JP7116314B2 - 非水電解液電池用電解液及びそれを用いた非水電解液電池 - Google Patents
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Description
非水有機溶媒と、
溶質としてイオン性塩と、
添加剤として後述の一般式(1)で示される不飽和結合及び芳香環のうち少なくとも1種を有するケイ素化合物を含有する非水電解液電池用電解液において、後述の一般式(2)で示される化合物(すなわち一般式(1)のエテニル基の一つがエチル基に置き替わった化合物)を含有させる事により、低温(0℃以下、例えば-20℃)での抵抗を低減させるという意外な効果を見出し、本発明に至った。
(I)非水有機溶媒、
(II)イオン性塩である、溶質、
(III)一般式(1)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(以降、「ケイ素化合物(1)」と記載する場合がある)、及び、
(IV)一般式(2)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(以降、「ケイ素化合物(2)」と記載する場合がある)を含み、
上記(III)の量を100質量%とした時の上記(IV)の濃度が0.05~25.0質量%である、非水電解液電池用電解液(以降、単純に「非水電解液」又は「電解液」と記載する場合がある)である。
[R1は、それぞれ独立して、不飽和結合及び芳香環のうち少なくとも1種を有する置換基である。]
エテニル基の一つがエチル基に置き替わった一般式(2)で示される化合物は、具体的には後述の化合物(2a)~(2q)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、中でも(2b)、(2f)、(2h)、及び(2j)からなる群から選ばれる少なくとも1種が入手のし易さと化合物の安定性の点から特に好ましい。
本発明の非水電解液電池用電解液は、少なくとも、
(I)非水有機溶媒、
(II)イオン性塩である、溶質、
(III)上記一般式(1)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤、及び、
(IV)上記一般式(2)で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含み、
上記(III)の量を100質量%とした時の上記(IV)の濃度が0.05~25.0質量%である。
本発明の非水電解液電池用電解液に用いる非水有機溶媒の種類は、特に限定されず、任意の非水有機溶媒を用いることができる。具体的には、エチルメチルカーボネート(以降「EMC」と記載する)、ジメチルカーボネート(以降「DMC」と記載する)、ジエチルカーボネート(以降「DEC」と記載する)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルエチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルプロピルカーボネート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロピルメチルカーボネート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロピルエチルカーボネート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロピルプロピルカーボネート、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロピル)カーボネート、エチレンカーボネート(以降「EC」と記載する)、プロピレンカーボネート(以降「PC」と記載する)、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(以降「FEC」と記載する)、ジフルオロエチレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2-フルオロプロピオン酸メチル、2-フルオロプロピオン酸エチル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ-ブチロラクトン、及びγ-バレロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記環状カーボネートの具体例としてEC、PC、ブチレンカーボネート、及びFEC等が挙げられ、中でもEC、PC、及びFECからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記鎖状カーボネートの具体例としてEMC、DMC、DEC、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルエチルカーボネート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロピルメチルカーボネート、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-1-プロピルエチルカーボネート等が挙げられ、中でもEMC、DMC、DEC、及びメチルプロピルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、上記エステルの具体例として、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2-フルオロプロピオン酸メチル、及び2-フルオロプロピオン酸エチル等が挙げられる。
例えば、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオン、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及び(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンの対からなるイオン性塩であることが好ましい。
そのため、該溶質を非水有機溶媒に溶解する際の液温は特に限定されないが、-20~50℃が好ましく、0~40℃がより好ましい。
上記電解液に含まれる(III)成分と(IV)成分は、それぞれのR1基が全く同じ構造である組合せ(例えば、(1a)と(2a)の組合せ)であってもよいし、それぞれのR1基が異なる構造である組合せ(例えば、(1a)と(2b)の組合せ)であってもよい。また、(III)成分として複数種類の一般式(1)で示される化合物を含んでもよいし、(IV)成分として複数種類の一般式(2)で示される化合物を含んでもよい。
本発明の要旨を損なわない限りにおいて、本発明の非水電解液電池用電解液に一般に用いられる添加成分を任意の比率でさらに添加しても良い。具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルフルオロベンゼン、フルオロベンゼン(以降、FBと記載する場合がある)、ビフェニル、ジフルオロアニソール、tert-ブチルベンゼン、tert-アミルベンゼン、2-フルオロトルエン、2-フルオロビフェニル、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、メチルプロパルギルカーボネート、エチルプロパルギルカーボネート、ジプロパルギルカーボネート、無水マレイン酸、無水コハク酸、プロパンサルトン、1,3-プロパンスルトン(以降、PSと記載する場合がある)、ブタンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、ジメチレンメタンジスルホネート、トリメチレンメタンジスルホネート、下記一般式(3)で示される化合物(例えば、R2がエチレン基である化合物(以降、「Dod」と記載する場合がある)、R2がプロピレン基である化合物(以降、「Dad」と記載する場合がある)、R2がブチレン基である化合物、R2がペンチレン基である化合物、R2が-CH2-CH(C3H7)-基である化合物(以降「pDod」と記載する場合がある))、メタンスルホン酸メチル、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(以降、LDFBOPと記載する場合がある)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸ナトリウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸カリウム、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム(以降、LDFOBと記載する場合がある)、ジフルオロオキサラトホウ酸ナトリウム、ジフルオロオキサラトホウ酸カリウム、ジオキサラトホウ酸リチウム、ジオキサラトホウ酸ナトリウム、ジオキサラトホウ酸カリウム、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム(以降、LTFOPと記載する場合がある)、テトラフルオロオキサラトリン酸ナトリウム、テトラフルオロオキサラトリン酸カリウム、トリス(オキサラト)リン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム(以降、LiPO2F2と記載する場合がある)、エチルフルオロリン酸リチウム(以降、LEFPと記載する場合がある)、プロピルフルオロリン酸リチウム、フルオロリン酸リチウム、エテンスルホニルフルオリド(以降、ESFと記載する場合がある)、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(以降、TSFと記載する場合がある)、メタンスルホニルフルオリド(以降、MSFと記載する場合がある)、ジフルオロリン酸フェニル(以降、PDFPと記載する場合がある)等の過充電防止効果、負極皮膜形成効果や正極保護効果を有する化合物が挙げられる。
当該その他の添加剤の電解液中の含有量は0.01質量%以上、8.00質量以下%が好ましい。
[一般式(3)中、R2は炭素数2~5の炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合は分枝構造をとってもよい。また、当該炭化水素基にはハロゲン原子やヘテロ原子や酸素原子が含まれていてもよい。]
中でも、LiBF4、LiTFSI、LiBETI、LiFSI、LTFFSI、LDFPI、LDFPFSIを“その他の添加剤”として用いると、本発明の効果(一般式(1)、(2)で示されるケイ素化合物の組み合わせによって、サイクル特性と低温での抵抗の絶対値の低減をバランスよく発揮できる非水電解液電池用電解液を提供すること)を損なう事無く、更なるサイクル特性の向上及び/又は低温での抵抗の絶対値の低減を達成できるため、好ましい。
上記シュウ酸基を有するホウ素錯体のリチウム塩が、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウムであり、シュウ酸基を有するリン錯体のリチウム塩が、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム、及びジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であると、更なるサイクル特性向上と低温での抵抗の絶対値の低減に加えて、正極からのNi成分の溶出抑制効果が特に優れているため、より好ましい。
上記O=S-F結合を有する化合物としては、例えば、フルオロスルホン酸リチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウム、フルオロ硫酸プロピル、フルオロ硫酸フェニル、フルオロ硫酸-4-フルオロフェニル、フルオロ硫酸-4-tertブチルフェニル、フルオロ硫酸-4-tertアミルフェニル、エテンスルホニルフルオリド、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド、メタンスルホニルフルオリド、フッ化ベンゼンスルホニル、フッ化-4-フルオロフェニルスルホニル、フッ化-4-tertブチルフェニルスルホニル、フッ化-4-tertアミルフェニルスルホニル、フッ化-2-メチルフェニルスルホニル等が挙げられ、中でも、フルオロスルホン酸リチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であると、更なるサイクル特性向上と低温での抵抗の絶対値の低減に加えて、正極からのNi成分の溶出を抑制できるだけでなく、サイクル後の低温での抵抗に関しても増加を抑制できるため特に好ましい。
上記O=P-F結合を有する化合物としては、例えば、ジフルオロリン酸リチウム、エチルフルオロリン酸リチウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウム、ジフルオロリン酸フェニルが挙げられ、中でも、ジフルオロリン酸リチウム、エチルフルオロリン酸リチウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であると、更なるサイクル特性の向上、低温での抵抗の絶対値の低減、及び正極からのNi成分の溶出抑制効果をある程度有しつつ、上述のシュウ酸基を有するホウ素錯体のリチウム塩、シュウ酸基を有するリン錯体のリチウム塩、O=S-F結合を有する化合物に比べて特に生産性が高く、製造コストが安い点から好ましい。
また、その他の添加剤として、上述した中でも、FB、PS、Dod、Dad、pDodを“その他の添加剤”として用いると、本発明の効果(一般式(1)、(2)で示されるケイ素化合物の組み合わせによって、サイクル特性と低温での抵抗の絶対値の低減をバランスよく発揮できる非水電解液電池用電解液を提供すること)を損なう事無く、更なるサイクル特性の向上及び/又は低温での抵抗の絶対値の低減を達成できるため、好ましい。
本発明の非水電解液電池は、少なくとも、(ア)上記の非水電解液電池用電解液と、(イ)正極と、(ウ)リチウム金属を含む負極材料、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウムの吸蔵放出が可能な負極材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する負極とを含む。さらには、(エ)セパレータや外装体等を含むことが好ましい。
(イ)正極は、少なくとも1種の酸化物及び/又はポリアニオン化合物を正極活物質として含むことが好ましい。
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(イ)正極を構成する正極活物質は、充放電が可能な種々の材料であれば特に限定されるものでないが、例えば、(A)ニッケル、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物、(C)リチウム含有オリビン型リン酸塩、及び(D)層状岩塩型構造を有するリチウム過剰層状遷移金属酸化物から少なくとも1種を含有するものが挙げられる。
正極活物質(A)ニッケル、マンガン、コバルトの少なくとも1種以上の金属を含有し、かつ層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物、リチウム・コバルト・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン複合酸化物、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物等が挙げられる。また、これらリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、B、Ba、Y、Sn等の他の元素で置換したものを用いても良い。
LiaNi1-b-cCobM1 cO2 [1-1]
式[1-1]中、M1はAl、Fe、Mg、Zr、Ti、Bからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、aは0.9≦a≦1.2であり、b、cは、0.1≦b≦0.3、0≦c≦0.1の条件を満たす。
これらは、例えば、特開2009-137834号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。具体的には、LiNi0.8Co0.2O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.87Co0.10Al0.03O2、LiNi0.6Co0.3Al0.1O2等が挙げられる。
LidNieMnfCogM2 hO2 [1-2]
式[1-2]中、M2はAl、Fe、Mg、Zr、Ti、B、Snからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素であり、dは0.9≦d≦1.2であり、e、f、g及びhは、e+f+g+h=1、0≦e≦0.7、0≦f≦0.5、0≦g≦0.5、及びh≧0の条件を満たす。
リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物は、構造安定性を高め、リチウム二次電池における高温での安全性を向上させるためにマンガンを一般式[1-2]に示す範囲で含有するものが好ましく、特にリチウムイオン二次電池の高率特性を高めるためにコバルトを一般式[1-2]に示す範囲でさらに含有するものがより好ましい。
具体的には、例えば4.3V以上に充放電領域を有する、Li[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O2、Li[Ni0.45Mn0.35Co0.2]O2、Li[Ni0.5Mn0.3Co0.2]O2、Li[Ni0.6Mn0.2Co0.2]O2、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Zr0.01]O2、Li[Ni0.49Mn0.3Co0.2Mg0.01]O2等が挙げられる。
正極活物質(B)スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物としては、例えば、一般式[1-3]で示されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物が挙げられる。
Lij(Mn2-kM3 k)O4 [1-3]
式[1-3]中、M3はNi、Co、Fe、Mg、Cr、Cu、Al及びTiからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属元素であり、jは1.05≦j≦1.15であり、kは0≦k≦0.20である。
具体的には、例えば、LiMnO2、LiMn2O4、LiMn1.95Al0.05O4、LiMn1.9Al0.1O4、LiMn1.9Ni0.1O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
正極活物質(C)リチウム含有オリビン型リン酸塩としては、例えば一般式[1-4]で示されるものが挙げられる。
LiFe1-nM4 nPO4 [1-4]
式[1-4]中、M4はCo、Ni、Mn、Cu、Zn、Nb、Mg、Al、Ti、W、Zr及びCdから選ばれる少なくとも1つであり、nは、0≦n≦1である。
具体的には、例えば、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4等が挙げられ、中でもLiFePO4及び/又はLiMnPO4が好ましい。
正極活物質(D)層状岩塩型構造を有するリチウム過剰層状遷移金属酸化物としては、例えば一般式[1-5]で示されるものが挙げられる。
xLiM5O2・(1-x)Li2M6O3 [1-5]
式[1-5]中、xは、0<x<1を満たす数であり、M5は、平均酸化数が3+である少なくとも1種以上の金属元素であり、M6は、平均酸化数が4+である少なくとも1種の金属元素である。式[1-5]中、M5は、好ましくは3価のMn、Ni、Co、Fe、V、Crから選ばれてなる1種の金属元素であるが、2価と4価の等量の金属で平均酸化数を3価にしてもよい。
また、式[1-5]中、M6は、好ましくはMn、Zr、Tiから選ばれてなる1種以上の金属元素である。具体的には、0.5[LiNi0.5Mn0.5O2]・0.5[Li2MnO3]、0.5[LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2]・0.5[Li2MnO3]、0.5[LiNi0.375Co0.25Mn0.375O2]・0.5[Li2MnO3]、0.5[LiNi0.375Co0.125Fe0.125Mn0.375O2]・0.5[Li2MnO3]、0.45[LiNi0.375Co0.25Mn0.375O2]・0.10[Li2TiO3]・0.45[Li2MnO3]等が挙げられる。
この一般式[1-5]で表される正極活物質(D)は、4.4V(Li基準)以上の高電圧充電で高容量を発現することが知られている(例えば、米国特許7,135,252)。
これら正極活物質は、例えば特開2008-270201号公報、WO2013/118661号公報、特開2013-030284号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
(イ)正極は、正極集電体を有する。正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
(イ)正極は、例えば正極集電体の少なくとも一方の面に正極活物質層が形成される。正極活物質層は、例えば、前述の正極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)、フッ素化黒鉛等の炭素材料を用いることができる。正極においては、結晶性の低いアセチレンブラックやケッチェンブラックを用いることが好ましい。
負極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、リチウム金属、リチウム金属と他の金属との合金や金属間化合物、種々の炭素材料(人造黒鉛、天然黒鉛など)、金属酸化物、金属窒化物、スズ(単体)、スズ化合物、ケイ素(単体)、ケイ素化合物、活性炭、導電性ポリマー等が用いられる。
非水電解液中のカチオンがリチウム主体となるリチウムイオン二次電池の場合、(ウ)負極を構成する負極活物質としては、リチウムイオンのド-プ・脱ド-プが可能なものであり、例えば(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料、(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料、(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物、(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金、及び(I)リチウムチタン酸化物から選ばれる少なくとも1種を含有するものが挙げられる。これら負極活物質は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組合せて用いることもできる。
負極活物質(E)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nm以下の炭素材料としては、例えば熱分解炭素類、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、有機高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは黒鉛化したものでもよい。当該炭素材料は、X線回折法で測定した(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下のものであり、中でも、その真密度が1.70g/cm3以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料が好ましい。
負極活物質(F)X線回折における格子面(002面)のd値が0.340nmを超える炭素材料としては、非晶質炭素が挙げられ、これは、2000℃以上の高温で熱処理してもほとんど積層秩序が変化しない炭素材料である。例えば難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、1500℃以下で焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソペーズビッチカーボンファイバー(MCF)等が例示される。株式会社クレハ製のカーボトロン(登録商標)P等は、その代表的な事例である。
負極活物質(G)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属の酸化物としては、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な、例えば酸化シリコン、酸化スズ等が挙げられる。
Siの超微粒子がSiO2中に分散した構造を持つSiOx等がある。この材料を負極活物質として用いると、Liと反応するSiが超微粒子であるために充放電がスムーズに行われる一方で、上記構造を有するSiOx粒子自体は表面積が小さいため、負極活物質層を形成するための組成物(ペースト)とした際の塗料性や負極合剤層の集電体に対する接着性も良好である。
なお、SiOxは充放電に伴う体積変化が大きいため、SiOxと上述負極活物質(E)の黒鉛とを特定比率で負極活物質に併用することで高容量化と良好な充放電サイクル特性とを両立することができる。
負極活物質(H)Si、Sn、Alから選ばれる1種以上の金属若しくはこれら金属を含む合金又はこれら金属若しくは合金とリチウムとの合金としては、例えばシリコン、スズ、アルミニウム等の金属、シリコン合金、スズ合金、アルミニウム合金等が挙げられ、これらの金属や合金が、充放電に伴いリチウムと合金化した材料も使用できる。
これらの好ましい具体例としては、WO2004/100293号や特開2008-016424号等に記載される、例えばケイ素(Si)、スズ(Sn)等の金属単体(例えば粉末状のもの)、該金属合金、該金属を含有する化合物、該金属にスズ(Sn)とコバルト(Co)とを含む合金等が挙げられる。当該金属を電極に使用した場合、高い充電容量を発現することができ、かつ、充放電に伴う体積の膨張・収縮が比較的少ないことから好ましい。また、これらの金属は、これをリチウムイオン二次電池の負極に用いた場合に、充電時にLiと合金化するため、高い充電容量を発現することが知られており、この点でも好ましい。
さらに、例えばWO2004/042851号、WO2007/083155号等に記載される、サブミクロン直径のシリコンのピラーから形成された負極活物質、シリコンで構成される繊維からなる負極活物質等を用いてもよい。
負極活物質(I)リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム等を挙げることができる。
スピネル構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li4+αTi5O12(αは充放電反応により0≦α≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。また、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムとしては、例えば、Li2+βTi3O7(βは充放電反応により0≦β≦3の範囲内で変化する)を挙げることができる。これら負極活物質は、例えば特開2007-018883号公報、特開2009-176752号公報等に記載される製造方法等に準じて調製することができる。
例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、負極活物質としてハードカーボンやTiO2、V2O5、MoO3等の酸化物等が用いられる。例えば、非水電解液中のカチオンがナトリウム主体となるナトリウムイオン二次電池の場合、正極活物質としてNaFeO2、NaCrO2、NaNiO2、NaMnO2、NaCoO2等のナトリウム含有遷移金属複合酸化物、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物のFe、Cr、Ni、Mn、Co等の遷移金属が複数混合したもの、それらのナトリウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の遷移金属以外の金属に置換されたもの、Na2FeP2O7、NaCo3(PO4)2P2O7等の遷移金属のリン酸化合物、TiS2、FeS2等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、及びポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、カーボン材料等が使用される。
(ウ)負極は、負極集電体を有する。負極集電体としては、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金等を用いることができる。
(ウ)負極は、例えば負極集電体の少なくとも一方の面に負極活物質層が形成される。負極活物質層は、例えば、前述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とにより構成される。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、炭素繊維、黒鉛(粒状黒鉛や燐片状黒鉛)、フッ素化黒鉛等の炭素材料を用いることができる。
電極は、例えば、活物質と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを所定の配合量でN-メチル-2-ピロリドン(NMP)や水等の溶媒中に分散混練し、得られたペーストを集電体に塗布、乾燥して活物質層を形成することで得ることができる。得られた電極は、ロールプレス等の方法により圧縮して、適当な密度の電極に調節することが好ましい。
上記の非水電解液電池は、(エ)セパレータを備えることができる。(イ)正極と(ウ)負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、セルロース、紙、又はガラス繊維等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化されているものが好ましい。
ポリオレフィンセパレ-タとしては、例えば多孔性ポリオレフィンフィルム等の微多孔性高分子フィルムといった正極と負極とを電気的に絶縁し、かつリチウムイオンが透過可能な膜が挙げられる。多孔性ポリオレフィンフィルムの具体例としては、例えば多孔性ポリエチレンフィルム単独、又は多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンフィルムとを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。また、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとを複合化したフィルム等が挙げられる。
非水電解液電池を構成するにあたり、非水電解液電池の外装体としては、例えばコイン型、円筒型、角型等の金属缶や、ラミネート外装体を用いることができる。金属缶材料としては、例えばニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が挙げられる。
ラミネート外装体としては、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、SUS製ラミネートフィルム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルム等を用いることができる。
LiNi0.6Mn0.2Co0.2O2粉末91.0質量%に、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(以降PVDF)を4.5質量%、導電材としてアセチレンブラックを4.5質量%混合し、さらにN-メチル-2-ピロリドン(以降NMP)を添加し、正極合材ペーストを作製した。このペーストをアルミニウム箔(A1085)の両面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用NCM622正極を得た。
LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2粉末91.0質量%に、バインダーとしてPVDFを4.5質量%、導電材としてアセチレンブラックを4.5質量%混合し、さらにNMPを添加し、正極合材ペーストを作製した。このペーストをアルミニウム箔(A1085)の両面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用NCM811正極を得た。
LiNi0.87Co0.10Al0.03O2粉末89.0質量%に、バインダーとしてPVDFを5.0質量%、導電材としてアセチレンブラックを6.0質量%混合し、さらにNMPを添加し、正極合材ペーストを作製した。このペーストをアルミニウム箔(A1085)の両面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用NCA正極を得た。
人造黒鉛粉末92.0質量%に、バインダーとして8.0質量%のPVDFを混合し、さらにNMPを添加し、負極合材ペーストを作製した。このペーストを銅箔の片面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用黒鉛負極を得た。
人造黒鉛粉末85質量%に、ナノシリコン7質量%、導電材(HS-100)3質量%、カーボンナノチューブ(VGCF)2質量%、そしてスチレンブタジエンゴム2質量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%と水を混合し、負極合材ペーストを作製した。このペーストを銅箔の片面に塗布して、乾燥、加圧を行った後に、4×5cmに打ち抜くことで試験用ケイ素含有黒鉛負極を得た。
上記一般式(1)及び(2)で示される不飽和結合及び芳香環のうち少なくとも1種を有する置換基を備えたケイ素化合物は種々の方法により製造できる。製造法としては、限定されることはないが、例えば、四塩化ケイ素とエチニルグリニャール試薬とをテトラヒドロフラン中で内温40℃以下にて反応させる事により、エチニルトリクロロシラン、トリエチニルクロロシラン、テトラエチニルシラン(1j)が得られる。この時、エチニルグリニャール試薬の使用量を調整して反応させた後に、内温100℃以下で減圧蒸留する事によりこれらのケイ素化合物を作り分けることが可能である。
特許文献7に開示した方法に従って、LiPF6濃縮液の合成を行った。すなわち、炭酸エステル(DMC、又はEMC、又はDEC)中で、三塩化リンと塩化リチウムと塩素を反応させて六塩化リン酸リチウムを合成した後に、そこにフッ化水素を導入する事でフッ素化を行い、LiPF6と塩化水素と未反応のフッ化水素が含まれるDMC溶液、EMC溶液、DEC溶液をそれぞれ得た。これを減圧濃縮する事でほぼ全ての塩化水素と大部分のフッ化水素が除去されたLiPF6濃縮液が得られた。残るフッ化水素を取り除くため、各炭酸エステルを添加して濃度30.0質量%に調整して粘度を下げた後に、濃縮液各100gに対して10質量%の脱水イオン交換樹脂を添加し、精製処理を行った。これによって、各溶媒のLiPF6溶液が得られた。
露点-60℃以下のグローブボックス内において、上記で調製した30.0質量%のLiPF6/EMC溶液と、水分値が15質量ppm以下の非水溶媒である、EC、DMC、EMCとを、LiPF6濃度が1.0M、溶媒比(体積)がEC:DMC:EMC=3:3:4となるように混合し、1時間攪拌を行った。これを基準電解液1とした。
同様に、30.0質量%のLiPF6/DMC溶液と、EC、DMCとを、LiPF6濃度が1.0M、溶媒比(体積)がEC:DMC=1:2となるように混合し、1時間攪拌を行ったものを基準電解液2、
30.0質量%のLiPF6/EMC溶液と、FEC、DMC、EMCとを、LiPF6濃度が1.0M、溶媒比(体積)がFEC:DMC:EMC=3:3:4となるように混合し、1時間攪拌を行ったものを基準電解液3、
30.0質量%のLiPF6/DEC溶液と、EC、DECと、LiFSIとを、LiPF6濃度が0.7M、LiFSI濃度が0.3M、溶媒比(体積)がEC:DEC=1:2となるように混合し、1時間攪拌を行ったものを基準電解液4、
30.0質量%のLiPF6/EMC溶液と、EC、FEC、EMCとを、LiPF6濃度が1.0M、溶媒比(体積)がEC:FEC:EMC=1:2:7となるように混合し、1時間攪拌を行ったものを基準電解液5とした。なお、これらの基準電解液の調製は液温を40℃以下に維持しながら行った。
基準電解液1に対し、0.3質量%に相当するケイ素化合物(1a)を加え、1時間攪拌して溶解した。これを非水電解液1-(1a)-100-(0)とした。
次に、ケイ素化合物(1a)と、これを100質量%とした時に0.07質量%の比率となる量のケイ素化合物(2b)を混合し、当該ケイ素化合物(1a)と(2a)の混合物を基準電解液1に対して0.3質量%となるように加え、1時間攪拌して溶解した。これを非水電解液1-(1a)-100-(2b)-0.07とした。
ケイ素化合物(1)と(2)を混合し、それを基準電解液1に対して0.3質量%となるようにそれぞれ添加し、また、その他の溶質又は添加剤を表2~27に示す濃度となるように添加し、
攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
また、表28~52に示すように、上述と同様の手順で、ケイ素化合物(1)とその他の溶質又は添加剤とを含むものの、ケイ素化合物(2)を含有しない比較例用の非水電解液を作製した。
また、表53~77に示すように、上述と同様の手順で、ケイ素化合物(1)、ケイ素化合物(2)、及びその他の溶質又は添加剤を含み、ケイ素化合物(2)が30質量%の比率で含有された比較例用の非水電解液を作製した。
露点-50℃以下のアルゴン雰囲気で、上述のNCM622正極に端子を溶接した後に、その両側をポリエチレン製セパレータ(5×6cm)2枚で挟み、更にその外側を予め端子を溶接した黒鉛負極2枚で、負極活物質面が正極活物質面と対向するように挟み込んだ。そして、それらを一辺の開口部が残されたアルミラミネートの袋に入れ、非水電解液を真空注液した後に、開口部を熱で封止する事によって、表78~103の実施例及び比較例に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、非水電解液として表78~103に記載のものを用いた。
組み立てた上記の電池は、正極活物質重量で規格した容量は65mAhとなった。電池を25℃恒温槽に入れその状態で充放電装置と接続した。充電レート0.2C(容量65mAhの電池が5時間で満充電となる電流値)にて4.3Vまで充電を行った。4.3Vを1時間維持した後に、放電レート0.2Cにて3.0Vまで放電を行った。これを充放電1サイクルとし、計3サイクルの充放電を行って電池を安定化させた。
初期充放電を完了させた電池を充放電装置と25℃恒温槽から取り出し、次に電気化学測定装置に接続したうえで-20℃の恒温槽に入れた。その状態で1時間静置させた後に、IV測定を行って直流抵抗の絶対値を求めた。
表78~103に示すように、それぞれの電解液組成において、ケイ素化合物(2)を添加しなかった組成を比較例とし、各実施例の直流抵抗の絶対値は、当該比較例の直流抵抗の絶対値を100とした時の相対値で表した。
上述の-20℃での直流抵抗値測定試験が完了した電池を、電気化学測定装置と-20℃恒温槽から取り出し、充放電装置に接続したうえで50℃の恒温槽にいれた。その状態で2時間静置させた後に、充電レート2Cにて4.3Vまで充電を行った。4.3Vに到達後はその電圧を1時間維持した後、放電レート2Cにて3.0Vまで放電を行った。この50℃の環境下での2Cでの充放電を400サイクル繰り返した。そして400サイクル後の放電容量で電池の劣化の具合を評価した。
表78~103に示すように、それぞれの電解液組成において、ケイ素化合物(2)を添加しなかった組成を比較例とし、各実施例の400サイクル後の容量の値は、当該比較例の容量の値を100とした時の相対値である。
例えば、図1及び図2に示すように、ケイ素化合物(2)を含まない比較例1-0-2に対して、ケイ素化合物(2b)を0.07質量%の比率で含む実施例1-0-4は、サイクル特性を損なうことなく低温での抵抗の絶対値増加を緩和できている。
ケイ素化合物(2b)を0.12質量%の比率で含む実施例1-0-5は、サイクル特性をほとんど損なうことなく低温での抵抗の絶対値増加をより緩和できている。
ケイ素化合物(2b)を20質量%の比率で含む実施例1-0-6は、抵抗の絶対値増加の緩和効果が大きく、サイクル特性がわずかに低下しているもののその量は軽微であるため、サイクル特性と低温での抵抗の絶対値の低減をバランスよく発揮できていると言える。
その他の溶質又は添加成分を1~6種さらに含有する表79~103に示す組成系の電解液についても上記と同様の傾向が確認された。なお、表79~103においては、ケイ素化合物(2)が30.0質量%である比較例のサイクル特性は見かけ上大きく損なわれていないように見えるが、これはその他の溶質又は添加成分の添加効果(耐久性向上効果)により、電池の劣化が見え難くなっているためである。このようにその他の溶質又は添加成分を併用添加する系において、ケイ素化合物(1)100質量%に対してケイ素化合物(2)が0.05~25.0質量%である本発明の非水電解液を用いるとサイクル特性がほぼ損なわれない(例えば実施例1-1-1等)のに対し、ケイ素化合物(2)の含有量が25.0質量%を超える組成では、やはり劣化が認められる(例えば比較例1-1-2)ものである。
なお、表104において、直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値は、実施例1(1b,2b)-0-1の直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値を100とした時の相対値で表した。
なお、表105において、直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値は、実施例1(1b,2b)-0-1の直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値を100とした時の相対値で表した。
正極を上述のNCM811正極とし、非水電解液として表106、107に記載のもの(基準電解液1の代わりに基準電解液2を使用)を用いた以外は、実施例1-0-1の電池の作製手順と同様に、実施例2-1~2-19、比較例2-1~2-38に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、正極活物質重量で規格した容量は73mAhとなった。
充電の上限電圧を4.2Vとした以外は実施例1-0-1と同様の手順で電池の初期充放電を行い、実施例1-0-1と同様の手順で低温での抵抗値評価及びサイクル特性評価を行った。
なお、表106、107に示すように、それぞれの電解液組成において、ケイ素化合物(2)を添加しなかった組成を比較例とし、各実施例の直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値は、当該比較例の直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値を100とした時の相対値で表した。
正極を上述のNCM811正極とし、負極を上述のケイ素含有黒鉛負極とし、非水電解液として表108、109に記載のもの(基準電解液1の代わりに基準電解液3を使用)を用いた以外は、実施例1-0-1の電池の作製手順と同様に、実施例3-1~3-19、比較例3-1~3-38に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、正極活物質重量で規格した容量は73mAhとなった。
充電の上限電圧を4.2Vとし、サイクル数を200回とした以外は実施例1-0-1と同様の手順で電池の初期充放電を行い、実施例1-0-1と同様の手順で低温での抵抗値評価及びサイクル特性評価を行った。
なお、表108、109に示すように、それぞれの電解液組成において、ケイ素化合物(2)を添加しなかった組成を比較例とし、各実施例の直流抵抗の絶対値と200サイクル後の容量の値は、当該比較例の直流抵抗の絶対値と200サイクル後の容量の値を100とした時の相対値で表した。
正極を上述のNCA正極とし、非水電解液として表110、111に記載のもの(基準電解液1の代わりに基準電解液4を使用)を用いた以外は、実施例1-0-1の電池の作製手順と同様に、実施例4-1~4-19、比較例4-1~4-38に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、正極活物質重量で規格した容量は70mAhとなった。
充電の上限電圧を4.1Vに、そして放電の下限電圧を2.7Vとした以外は実施例1-0-1と同様の手順で電池の初期充放電を行い、実施例1-0-1と同様の手順で低温での抵抗値評価及びサイクル特性評価を行った。
なお、表110、111に示すように、それぞれの電解液組成において、ケイ素化合物(2)を添加しなかった組成を比較例とし、各実施例の直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値は、当該比較例の直流抵抗の絶対値と400サイクル後の容量の値を100とした時の相対値で表した。
正極を上述のNCA正極とし、負極を上述のケイ素含有黒鉛負極とし、非水電解液として表112、113に記載のもの(基準電解液1の代わりに基準電解液5を使用)を用いた以外は、実施例1-0-1の電池の作製手順と同様に、実施例5-1~5-19、比較例5-1~5-38に係るアルミラミネート型の電池を作製した。なお、正極活物質重量で規格した容量は70mAhとなった。
充電の上限電圧を4.1Vに、そして放電の下限電圧を2.7Vとし、サイクル数を200回とした以外は実施例1-0-1と同様の手順で電池の初期充放電を行い、実施例1-0-1と同様の手順で低温での抵抗値評価及びサイクル特性評価を行った。
なお、表112、113に示すように、それぞれの電解液組成において、ケイ素化合物(2)を添加しなかった組成を比較例とし、各実施例の直流抵抗の絶対値と200サイクル後の容量の値は、当該比較例の直流抵抗の絶対値と200サイクル後の容量の値を100とした時の相対値で表した。
なお、表114に記載の溶出量は、各組成系において“その他の添加剤”を含有しない電解液を用いた参考実施例の溶出量を100とした時の相対値である。
表114及び図3に示す評価結果から、その他の添加剤として、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO2F2)、エチルフルオロリン酸リチウム(LEFP)、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウム(LDFPI)、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム(LTFOP)、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム(LDFBOP)、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム(LDFOB)、フルオロスルホン酸リチウム(LiSO3F)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiFSI)及び(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LTFFSI)からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有すると、Ni含有電極を用いた際に該電極から電解液へのNi成分の溶出を低減できることが確認された。
ケイ素化合物(1)と(2)を混合し、それを基準電解液1に対して0.3質量%となるようにそれぞれ添加し、
攪拌して溶解する事で、それぞれの非水電解液を得た。
Claims (15)
- 前記R1が、アルケニル基、アリル基、アルキニル基、アリール基、アルケニルオキシ基、アリルオキシ基、アルキニルオキシ基、及びアリールオキシ基から選ばれる基である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記アルケニル基が、エテニル基であり、
アリル基が2-プロペニル基であり、
アルキニル基が、エチニル基であり、
アリール基が、フェニル基、2-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、及び4-tert-アミルフェニル基から選ばれる基であり、
アルケニルオキシ基が、ビニロキシ基であり、
アリルオキシ基が2-プロペニルオキシ基であり、
アルキニルオキシ基が、プロパルギルオキシ基であり、
アリールオキシ基が、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、4-フルオロフェノキシ基、4-tert-ブチルフェノキシ基、及び4-tert-アミルフェノキシ基から選ばれる基である、請求項2に記載の非水電解液電池用電解液。 - 前記一般式(1)における3つのR1のうち、少なくとも2つがエテニル基、エチニル基、又はその両方である、請求項1に記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記一般式(1)で示される化合物が前記(1a)、(1b)、(1c)、(1e)、(1f)、(1g)、(1h)、(1i)、(1j)、(1k)、(1p)、及び(1q)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記一般式(2)で示される化合物が前記(2b)、(2f)、(2h)、及び(2j)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記(III)の量を100質量%とした時の(IV)の濃度が0.10~20.0質量%である、請求項1~6のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記非水有機溶媒が、環状カーボネート及び鎖状カーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~7のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記鎖状カーボネートが、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びメチルプロピルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記溶質が、アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカチオンと、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオン、(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオン、及び(ジフルオロホスホニル)(トリフルオロスルホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンとの対からなるイオン性塩である請求項1~9のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
- 前記溶質のカチオンがリチウム、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウムであり、アニオンがヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオン、及び(ジフルオロホスホニル)(フルオロスルホニル)イミドアニオンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項10に記載の非水電解液電池用電解液。
- シュウ酸基を有するホウ素錯体のリチウム塩、シュウ酸基を有するリン錯体のリチウム塩、O=S-F結合を有する化合物、及びO=P-F結合を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~11のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
- シュウ酸基を有するホウ素錯体のリチウム塩が、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウムであり、シュウ酸基を有するリン錯体のリチウム塩が、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム、及びジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、O=S-F結合を有する化合物がフルオロスルホン酸リチウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、及び(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、O=P-F結合を有する化合物がジフルオロリン酸リチウム、エチルフルオロリン酸リチウム、及びビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項12に記載の非水電解液電池用電解液。
- ジフルオロリン酸リチウム、エチルフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロオキサラトリン酸リチウム、ジフルオロビス(オキサラト)リン酸リチウム、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、及びビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム、(トリフルオロメタンスルホニル)(フルオロスルホニル)イミドリチウム、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドリチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~11のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液。
- 少なくとも、正極と、リチウム金属を含む負極材料、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はマグネシウムの吸蔵放出が可能な負極材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する負極と、請求項1~14のいずれかに記載の非水電解液電池用電解液とを含む、非水電解液電池。
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