JP2015035378A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】被膜形成剤添加の効果が好適に発揮され、耐久性とハイレート特性とを高いレベルで両立可能な非水電解液二次電池を提供すること。【解決手段】本発明により、正極と負極と非水電解液とを備えた非水電解液二次電池が提供される。上記負極は、非晶質炭素被覆黒鉛を含む負極活物質層を備えている。上記非晶質炭素被覆黒鉛は、個数基準の粒度分布において、3μm以下の微粒子の累積頻度αが10個数%以上50個数%以下であり、且つ、体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径D50(平均粒径)が5μm以上20μm以下である。また、上記非水電解液中には、少なくとも充電処理前の電池構築時において、0.01mol/L以上0.04mol/L以下のオキサラトボレート系化合物と、0.06mol/L以上のフッ素含有リン酸化合物と、を含んでいる。【選択図】図4

Description

本発明は、非水電解液二次電池とその製法に関する。より詳しくは、負極に非晶質炭素被覆黒鉛を備えた該電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、いわゆるポータブル電源や車両搭載用の高出力電源等に好ましく利用されている。
このような非水電解液二次電池では、初回充電の際に非水電解液の一部が分解されて、負極活物質の表面にその分解物からなるSEI膜(Solid Electrolyte Interphase膜)が形成される。かかる被膜によって以後の充放電に伴う非水電解液の分解が抑制されるため、電池の耐久性(例えばサイクル特性)を向上させることができる。これに関連する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、被膜形成剤としてのオキサラトボレート系化合物(例えば、Li〔B(C)を、非水電解液中の支持塩に対して所定の割合で含ませた非水電解液二次電池が開示されている。
特開2005−032712号公報
しかしながら、発明者らの検討によれば、ハイレート充放電(急速充放電)を繰り返す態様で使用され得る電池(例えば車載用電池)に特許文献1の技術を適用する場合に、更なる改善の余地が認められた。より詳しくは、被膜形成剤の添加量を非水電解液中の支持塩に対して定めた場合、他の設計パラメータ(典型的には負極の性状、例えば負極活物質の種類や性状)の変更に適切に対処することが難しく、ある時は負極活物質表面のSEI膜が不足して耐久性が低下したり、またある時は当該被膜が過剰となって電池抵抗の増大を招いたりする場合があった。このような抵抗の増大はとりわけハイレート充放電時に顕在化するため、かかる性能が要求され得る電池(例えば車載用電池)では被膜形成剤の添加量の最適化が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被膜形成剤添加の効果が好適に発揮され、電池特性に優れる(例えば耐久性とハイレート特性とを高いレベルで両立可能な)非水電解液二次電池を提供することである。
ここに開示される非水電解液二次電池は、正極と負極と非水電解液とを備えている。上記負極は、非晶質炭素被覆黒鉛を(典型的には主体として)含む負極活物質層を備えている。ここで、上記非晶質炭素被覆黒鉛は、以下の条件:(1)個数基準の粒度分布において、3μm以下の微粒子の累積頻度αが10個数%以上50個数%以下である;(2)体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径D50(平均粒径)が5μm以上20μm以下である;を満たしている。また、上記非水電解液中には、少なくとも充電処理前の電池構築時において、以下の2種類の被膜形成剤:(A)0.01mol/L以上0.04mol/L以下のオキサラトボレート系化合物;(B)0.06mol/L以上のフッ素含有リン酸化合物;を含んでいる。
ここに開示される発明では、非晶質炭素被覆黒鉛の微粉量および非水電解液中の被膜形成剤の添加量を規定することにより、負極の表面にリン原子および/またはホウ素原子を含む好適なSEI膜を形成する。これによって、ハイレート特性と耐久性とを高いレベルで両立可能な非水電解液二次電池を実現する。より具体的には、非晶質炭素被覆黒鉛の粒度分布をα≧10個数%、且つ、D50≦20μmとすることで、電池の内部抵抗を低く抑えることができ、高いハイレート特性を実現することができる。さらに、非晶質炭素被覆黒鉛の粒度分布をα≦50個数%、且つ、D50≧5μmとし、被膜形成剤として上記2種類の化合物を所定の濃度で非水電解液中に添加することで、負極活物質(非晶質炭素被覆黒鉛)表面における非水電解液の分解反応(副反応)を好適に抑制することができ、高い耐久性を実現することができる。
なお、本明細書において「累積頻度α」とは、フロー式画像解析法に基づく個数基準の粒度分布において、3μm以下の微粒子の累積頻度をいう。また、本明細書において「D50(平均粒径)」とは、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径をいう。
オキサラトボレート系化合物(LIBOB)の濃度と3μm以下の微粒子の累積頻度αと反応抵抗比との関係を示すグラフである。 オキサラトボレート系化合物(LIBOB)の濃度と3μm以下の微粒子の累積頻度αと容量低下率の関係を示すグラフである。 フッ素含有リン酸化合物(LiPO)の濃度と3μm以下の微粒子の累積頻度αと漏れ電流との関係を示すグラフである。 オキサラトボレート系化合物の濃度と3μm以下の微粒子の累積頻度αの最適値を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない構成要素や電池の一般的な製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される非水電解液二次電池は、正極と負極と非水電解液とを備えている。以下、各構成要素について順に説明する。
負極は、非晶質炭素被覆黒鉛を含む負極活物質層を備えるものであれば特に限定されないが、典型的には、負極集電体上に当該負極活物質層が固着された形態である。このような負極は、例えば、負極活物質を適当な溶媒(例えば水)に分散させてなる負極スラリーを負極集電体の表面に付与した後、乾燥して溶媒を除去することにより作製することができる。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を採用し得る。
負極活物質層に含まれる非晶質炭素被覆黒鉛は、黒鉛(例えば天然黒鉛)の表面に非晶質な炭素材料からなる被膜が形成された形態である。エネルギー密度の高い(理論容量の大きい)黒鉛を、ハイレート特性に優れた(電荷担体の吸蔵・放出スピードが速い)非晶質炭素で被覆することによって、これらの特性を高いレベルで兼ね備えることができる。
ここに開示される技術では、非晶質炭素被覆黒鉛として、以下の条件:
(1)フロー式画像解析法に基づく個数基準の粒度分布において、3μm以下の微粒子の累積頻度αが10個数%以上50個数%以下である。
(2)レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径D50(平均粒径)が5μm以上20μm以下である。
を満たすものを用いる。非晶質炭素被覆黒鉛の粒度分布をかかる範囲とすることで、負極活物質層に含まれる微粒子の割合を制御することができる。
より詳しくは、3μm以下の微粒子の個数基準の累積頻度αを10個数%以上とし、且つ、体積基準の平均粒径D50を20μm以下とすることで、適度な量の微粒子を確保する。これによって、非水電解液との接触面積を増やすことができ、抵抗を低く抑えることができる。このため、高いハイレート特性を実現することができる。
また、3μm以下の微粒子の個数基準の累積頻度αを50個数%以下とし、且つ、体積基準の平均粒径D50を5μm以上とすることで、微粒子の量が増えすぎることを抑制する。これによって、非晶質炭素被覆黒鉛の反応活性を相対的に低く抑えることができ、例えば充放電を長期間繰り返しても非水電解液が還元分解されるのを抑制することができる。したがって、高い耐久性(典型的にはサイクル特性)を実現することができる。
なお、負極活物質の粒度分布は、粉砕や篩分け等によって調整することができる。
負極活物質層には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記材料に加えてバインダや各種添加剤(例えば、増粘剤、分散剤、導電材等)を使用することもできる。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のポリマー材料を用い得る。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)等を用い得る。
負極活物質層全体に占める負極活物質(非晶質炭素被覆黒鉛)の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99.5質量%(例えば95質量%〜99質量%)とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層全体に占めるバインダの割合は例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。増粘剤等の各種添加剤を使用する場合には、負極活物質層全体に占める添加剤の割合は例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極は、典型的には、正極集電体上に正極活物質と導電材とバインダとを含む正極活物質層が固着された形態である。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材を採用し得る。正極活物質としては、層状系、スピネル系等のリチウム複合金属酸化物(例えば、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO、LiFePO等)を好適に採用し得る。導電材としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラックやケッチェンブラック)等の炭素材料を採用し得る。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリマー材料を採用し得る。
負極と正極との間には、両者を絶縁する絶縁層として、典型的にはセパレータが介在される。当該セパレータとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂から成る多孔質樹脂シートを好適に採用し得る。
非水電解液としては、非水溶媒中に支持塩と被膜形成剤とを溶解または分散させたものを採用し得る。非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用い得る。なかでも、カーボネート類、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を好適に採用し得る。支持塩としては、各種リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等を用いることができ、なかでもLiPF、LiBF等を好適に採用し得る。非水電解液中の支持塩の濃度は、0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるよう調製するとよい。
ここに開示される技術では、少なくとも充電処理前の電池構築時において、非水電解液中に以下の2種類の被膜形成剤:(A)0.01mol/L以上0.04mol/L以下のオキサラトボレート系化合物;(B)0.06mol/L以上のフッ素含有リン酸化合物;を含んでいる。これにより、負極活物質層内に従来に比べて多くの微粒子(非晶質炭素被覆黒鉛粒子)を含む場合であっても、当該微粒子の表面に好適な量および質のSEI膜を安定的に形成することができる。換言すれば、耐久性が高く且つ低抵抗なSEI膜を負極(負極活物質)の表面に形成することができる。したがって、負極と非水電解液との副反応を好適に抑制することができ、高い耐久性を実現することができる。
オキサラトボレート系化合物としては、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(Li〔BF(C)〕;LBFO)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(Li〔B(C);LIBOB)等を採用し得る。本発明者らの検討によれば、非水電解液中のオキサラトボレート系化合物の濃度は、0.1mol/L以下とすることが適当であり、0.01mol/L以上0.04mol/L以下とすることが好ましい。当該化合物の濃度が0.1mol/Lを上回ると、オキサラトボレート系化合物由来のホウ酸被膜が飽和するため好ましくない。0.04mol/L以下とすることで、負極のSEI膜が過度に成長しすぎることを好適に抑制し得る。
フッ素含有リン酸化合物としては、モノフルオロリン酸リチウム(LiPOF)等のモノフルオロリン酸塩;ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)等のジフルオロリン酸塩を採用し得る。非水電解液中のフッ素含有リン酸化合物の濃度は0.06mol/L以上であって、典型的には0.15mol/L以下(例えば0.1mol/L以下)とすることができる。これにより、LIBOBの添加では補えない部分を好適に補完することができる。
なお、上述の通り、電池構築時に添加した被膜形成剤は、その大部分が充電処理(典型的には初回充電処理)において負極で還元分解され、負極活物質の表面に、リン原子および/またはホウ素原子を含むSEI膜を形成するために消費される。したがって、ここに開示される発明においては、電池の構築から時間の経った電池(例えば、初回充電処理後の電池)において、必ずしも当該被膜形成剤そのものが非水電解液中に残存していることを要しない。
ここに開示される非水電解液二次電池は、従来品に比べて高い電池特性を実現し得る(例えば、優れたハイレート特性と高い耐久性とを兼ね備える)ことを特徴とする。したがって、かかる特徴を活かして、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載される駆動用電源として好適に利用し得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<非水電解液二次電池の構築>
先ず、表1に示す性状の負極活物質(非晶質炭素被覆黒鉛)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMCナトリウム塩)とを、質量比が98:1:1となるよう秤量して混練機に投入し、イオン交換水で粘度を調製しながら混練し、負極スラリーを調製した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔(負極集電体)の表面に両面を合計した目付量が7.4mg/cmとなるよう塗布して、負極集電体上に負極活物質層を有する長尺状の負極(例1〜例22)を作製した。
Figure 2015035378
次に、正極活物質としてのLi1.14Ni0.34Co0.33Mn0.33(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比が90:8:2となるようにN−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)に、両面を合計した目付量が11.2mg/cmとなるよう塗付して、正極集電体上に正極活物質層を有する長尺状の正極シートを作製した。
上記で作製した長尺状の負極(例1〜例22)および正極を、長尺状のセパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造のものを用いた。)を介して、活物質層同士が対向するよう配置し、長手方向に捲回して、それぞれ捲回電極体を作製した。作製した捲回電極体を、電池ケース内に配置し、そこに非水電解液を注入した。非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)とをEC:EMC:DMC=30:30:40の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、さらに被膜形成剤としてリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)とジフルオロリン酸リチウム(LiPO)とを表1に示す割合で含ませたものを用いた。このようにして、22種類のリチウムイオン二次電池(例1〜例22)を構築した。
<電気化学的評価>
構築した電池について、所定の初回充放電処理(コンディショニング処理)行った後、電池容量(初期容量)、抵抗特性、高温保存特性および過充電耐性を測定した。
(1)初期容量の測定
25℃の温度環境下において、以下(i),(ii)の手順で電池容量を測定した。そして、(ii)における積算の放電容量(CCCV放電容量)を「初期容量」とした。
(i)1Cの定電流で4.1Vまで充電した後、2.5時間定電圧充電し、その後、10秒間休止する。
(ii)0.5Cの定電流で3.0Vまで放電した後、2時間定電圧放電し、その後、10秒間休止する。
(2)反応抵抗の測定
−30℃の温度環境下において、振幅:5mV、測定周波数範囲:10000Hz〜0.1Hzの条件で交流インピーダンスの測定を行い、得られたCole−Coleプロットの円弧(半円)の直径を反応抵抗とした。結果を表2に示す。表2には、例13の反応抵抗を100としたときの相対値(反応抵抗比)を示している。また、図1には、例1〜例13に係るオキサラトボレート系化合物(LIBOB)の濃度(mol/L)と、3μm以下の微粒子の累積頻度α(個数%)と、反応抵抗比(相対値)との関係を示す。図1において、「○」はハイレート充電特性のクライテリアを満たす例(ここでは反応抵抗比が185以下の例、例えば180以下の例)を、「×」は当該クライテリア未達の例を、それぞれ示している。
表2および図1に示すように、ハイレート充電特性(抵抗特性)の観点からは、3μm以下の負極活物質(非晶質炭素被覆黒鉛)の累積頻度αが10個数%以上であり粒径D50(平均粒径)が20μm以下であることが好ましいとわかった。
(3)高温保存特性の測定
25℃の温度環境下で各電池をSOC80%に調整し、60℃の恒温槽で30日間保管した後、上記初期容量の測定と同様の手順で60℃保存後の電池容量を測定した。そして初期容量から60℃・30日保存後の電池容量の低下した割合を「容量低下率」として、次式:容量劣化率(%)=(1−(60℃保存後の電池容量)/(初期容量))×100;から算出した。結果を表2に示す。また、図2には、例1〜例12,例13〜例17に係るオキサラトボレート系化合物(LIBOB)の濃度(mol/L)と、3μm以下の微粒子の累積頻度α(個数%)と、容量低下率(%)との関係を示す。図2において、「○」は高温保存特性のクライテリアを満たす例(ここでは容量低下率が30%以下の例)を、「×」は当該クライテリア未達の例を、それぞれ示している。
表2および図2に示すように、耐久性(高温保存特性)の観点からは、3μm以下の負極活物質(非晶質炭素被覆黒鉛)の累積頻度αが50個数%以下であり粒径D50(平均粒径)が5μm以上であり、且つ、オキサラトボレート系化合物(LIBOB)の非水電解液中の濃度が0.01mol/L以上であることが好ましいとわかった。
(4)過充電耐性の測定
まず、−10℃の温度環境下において、低電流放電で電池をSOC30%の状態に調整した。次いで、40Aの定電流で強制的に電池を充電し、電池がシャットダウンした後の10分間の電流値(漏れ電流値)を測定した。当該10分間のうちの最大電流値を「漏れ電流」として表2に示す。また、図3には、例1〜例12,例18〜例22に係るフッ素含有リン酸化合物(LiPO)の濃度(mol/L)と、3μm以下の微粒子の累積頻度α(個数%)と、漏れ電流(A)との関係を示す。図3において、「○」は過充電耐性のクライテリアを満たす例(ここでは漏れ電流が5A以下の例、例えば1A以下の例)を、「×」は当該クライテリア未達の例を、それぞれ示している。
表2および図3に示すように、過充電耐性(漏れ電流)の観点からは、3μm以下の負極活物質(非晶質炭素被覆黒鉛)の累積頻度αが50個数%以下であり粒径D50(平均粒径)が5μm以上であり、且つ、フッ素含有リン酸化合物の非水電解液中の濃度が0.06mol/L以上であることが好ましいとわかった。
Figure 2015035378
<SEI膜形成ムラの評価>
発明者の検討によれば、非水電解液中に添加したLIBOBは、負極(負極活物質層)に含まれるCMCナトリウム塩のNaイオンと反応し、負極活物質の表面に被膜の形成ムラを生じさせることがあり得る。かかる被膜ムラに起因して、初回充放電時にリチウムの析出ムラが発生することがあり得る。ここでは、初回充放電後の電池をグローブボックス内で解体し、初回充放電後の負極表面のLi析出ムラの有無を確認することで、SEI膜形成ムラを評価した。結果を表2に示す。表2では、捲回電極体の中心付近の負極を目視で観察し、幅方向の中心部にLiの析出ムラ(被膜形成ムラ)がある場合を「×」、ない場合を「○」とした。
表2に示すように、SEI膜のムラを防止する観点からは、オキサラトボレート系化合物(LIBOB)の非水電解液中の濃度が0.04mol/L以下であることが好ましいとわかった。
以上の結果を、図4に纏める。このように、本発明に開示される構成によれば、ハイレート特性(入出力特性)と耐久性(高温保存特性)とを高いレベルで両立する(好ましくは、これに加えて高い過充電耐性を実現する)ことができるとわかった。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (1)

  1. 正極と負極と非水電解液とを備えた非水電解液二次電池であって、
    前記負極は、非晶質炭素被覆黒鉛を含む負極活物質層を備え、
    ここで、前記非晶質炭素被覆黒鉛は、以下の条件:
    (1)フロー式画像解析法に基づく個数基準の粒度分布において、3μm以下の微粒子の累積頻度αが10個数%以上50個数%以下である;および、
    (2)レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径D50(平均粒径)が5μm以上20μm以下である;
    を満たしており、
    前記非水電解液中には、少なくとも充電処理前の電池構築時において、
    0.01mol/L以上0.04mol/L以下のオキサラトボレート系化合物と、
    0.06mol/L以上のフッ素含有リン酸化合物と、
    を含んでいる、非水電解液二次電池。
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