JP6598894B2 - ワイヤソー及びワイヤソーによる材料の切断方法 - Google Patents

ワイヤソー及びワイヤソーによる材料の切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、切断エリアで案内される切断ワイヤを有するワイヤソーと、ワイヤソーによる材料の切断方法とに関する。
本発明は特に、固定砥粒ソーイング技術に関する。今日、半導体応用、太陽電池、またはLEDのためのウェハは、固定砥粒を使用して切断されることが一層多くなっている。スラリに懸濁されて、切断を行うため金属ワイヤにより搬送される砥粒は、もう見られない。砥粒は金属ワイヤに直接塗着される。このようなワイヤは固定砥粒ワイヤ(ダイヤモンドワイヤなど)と呼ばれる。
これらのソーイング技術は、半導体、電子部品、太陽光発電、光学部品、およびフォトニクスの産業で使用される。ソーイング対象となる典型的な(脆性)材料は、GaAs、ゲルマニウム、多結晶か単結晶かモノライクシリコン、InP、石英、サファイア、または他のセラミック材料である。
ワイヤソーのワイヤ案内ロールはポリウレタンコーティングされ、切断ワイヤを案内するための溝をワイヤ受入面に有する。ダイヤモンドワイヤは、これらの溝でワイヤ案内ロールにウェブ状に設けられる。溝のピッチ(つまり溝パターンが繰り返される距離)は、使用されるワイヤ直径とともに、ソーイングされるウェハの厚さを決定するだろう。
使用後ワイヤに残っているソーイング性能がそれほど低下していない条件ではワイヤウェブの一部が前の切断ですでに使用されていても固定砥粒ワイヤが連続切断で継続的に使用されうる場合には、固定砥粒ウェハ成形プロセスのコストはかなり削減されうる。ソーイング性能は、プロセス中のワイヤ撓曲(ワイヤの湾曲)により測定されうる。ソーイング可能性を失ったワイヤは、新品の未使用ワイヤよりも多く撓曲する(高い湾曲を持つ)だろう。
切断ワイヤを二方向に移動させることによりダイヤモンドワイヤでシリコンを切断することは慣例である。普通のハンドソーと全く同じように、ワイヤは前後に動かされる。通常は、正方向切断(ワイヤが供給スプールから受入(または廃棄)スプールまで移動する)は、反対方向よりも若干長い。これはいわゆるピルグリムモードである。ピルグリムモードは、新しい未使用ワイヤの断続的な追加を招く。これは驚くことではないだろうが、スラリ切断のためにはワイヤは一方向のみに動くのが普通なので、使用されるピルグリムモードは通常の切断方法ではない。
切断プロセスを開始する前に、切断ワイヤがワイヤソーに載置される。特許文献1は、ワイヤ管理システムを有するワイヤソーを図1に示しており、ワイヤソーは切断準備状態である。ピルグリム動作を行うため、切断ワイヤが供給スプールから巻き出され、切断エリアを進むことによりワイヤウェブを形成し、それから受入スプール(廃棄スプール)へ巻き取られる。普通は、供給スプールと、受入スプールと、ワイヤウェブを形成するワイヤ案内ローラとが駆動される。
ワイヤは、一方向に例えば500〜600メートル進む。つまり、開始点と比較すると、500〜600メートルの追加分が供給スプールから受入スプールへ巻き出されるが、受入スプールから供給スプールへ巻き戻されるのは例えば490〜590メートルのみである。こうして、新しいワイヤがワイヤウェブへ給送される。切断される工作物へ切断ワイヤ部分が到達しなくなる(つまり、この部分の後方に多くの切断ワイヤが給送されるため、ワイヤが戻った時にはもう工作物に到達しない)と、ワイヤは消耗したと言うべきであり、切断ワイヤ上のダイヤモンドが削られてしまっているか、ワイヤから離脱している。
供給スプールおよび受入スプール上の切断ワイヤの多数の重複巻線はワイヤを破損させることが判明している。スプールを離れるかスプールに達する最上部のワイヤ部分とその下に配設されるワイヤ部分との間に生じる摩擦は、ワイヤの寿命を短くすることでコストを上げる。ワイヤどうしが巻かれる時には摩擦が生じる。
特許文献2は、供給スプールに続いて中間ホイールを有するワイヤ管理システムを開示している。切断ワイヤは供給スプールから巻き出され、ワイヤウェブへ進む前に中間ホイールへ進む。ワイヤがワイヤウェブを離れる時には、受入スプールへ巻き付けられる前に第2中間ホイールに進む。明らかに、新しいワイヤを供給スプールから導入せずに中間ホイールが切断ワイヤを供給できる限り、切断ワイヤはワイヤウェブに給送されうる。また、中間ホイールの直径がDである場合には、供給スプールおよび受入スプールを回転させる必要を伴わずに、πDのワイヤが切断に使用されうる。しかし、中間ホイールに一時的に保管されうるワイヤ部分の長さは非常に短い。有効なピルグリムモードでは、方向を逆転する前に切断ワイヤを数百メートル、例えば500または600メートル走行させることが必要である。そのため、特許文献2に開示されているシステムは、300枚までのウェハを同時に切断するのには適していない。さらに、減速して方向を変える前に、ワイヤは最高速度に達することはない。切断効率はワイヤの速度に左右されるので、これは、ワイヤ(実際にはすべてのプーリおよびロール)が非常に頻繁に加速されなければならないという望ましくない結果につながるだろう。その結果、切断には好ましくない低い平均ワイヤ速度となり、大量のエネルギーを必要することになるだろう。
特許文献3は、ワイヤ管理システムを有するワイヤソーを開示している。ワイヤが低い張力で供給および受入スプールに巻き付けられるように、切断ワイヤの張力を低下させるのに中間キャプスタンドラムが使用される。これは、プーリおよびロールがあまりに短時間で摩損するのを防止しうる。しかし、ワイヤの張力はゼロまで低減されえないので、収容スプールへの巻き付けおよび巻き出しの際には、やはりワイヤが傷ついてしまう。さらに、これら中間ドラムの各々は、高い動的制御を有する別々の駆動装置を必要とする。
このシステムの問題は、ワイヤが常時、張力状態に保持されなければならないという事実に存する。さもなければ、不確定な作用が生じるだろう。この文献はまた、巻線が互いに絡まるという問題を解決していない。ワイヤは巻き付け手順の間に摩耗する。高い張力を有する尖鋭な未使用ワイヤは、下のワイヤ巻線と摩擦を生じるだろう。
スイス特許第691292A5号明細書 特開2000−158436号公報 特開2000−024905号公報 中国特許出願公開101628451A号明細書 中国特許出願公開102152215A号明細書 国際公開第2012/018678A1号パンフレット
本発明の目的は、これらの問題を克服することと、切断ワイヤの破損を防止するワイヤソーを提供することである。ワイヤソーは特に、スプールでのワイヤの相対移動(ワイヤ対ワイヤの摩擦/擦過)によるワイヤ破損を防止するはずである。低摩損のワイヤ管理によって、切断ワイヤの寿命が延長されるはずである。低摩損ワイヤ管理では、先行技術よりもはるかに長く同じワイヤ部分を使用することができる。こうして、新しい切断ワイヤ部分を追加するサイクルも、本発明により延長可能となるはずである。最後に、ワイヤ管理システムそのものは構築が容易で、省スペースかつコスト効率が高い。ワイヤソーでは、低いスペース要件で大量のワイヤを保管することが可能なはずである。
新ワイヤ用の収容スプールに多くのワイヤを設けること(大量収容保管)の特に大きな利点の一つは、以下の通りである。ワイヤの最終部分が完全に使い切られない。この部位がその状態に達する前に、この部分の先行部位が完全に摩損してワイヤ破損につながりうる。ワイヤの最初と最後の部分は、ワイヤウェブに全く到達できないので、これらが切断に使用されることは皆無である。これは収容スプールに装着され、ワイヤウェブまで/の中を移動しない。要するに、ワイヤの最初と最後の部分は効率的に使用されえないのである。収容スプール上のワイヤを長くすると、効率的に使用されないワイヤ部分の割合を減少させることは明らかである。また、一つの収容スプール上のワイヤはこのような部分を二つ有するのに対して、合計で同じ量のワイヤを含む二つのスプールはこのような部分を四つ有して、損失が二倍になる。
本発明のワイヤソー(8)は、切断エリア(13)と、前記切断エリア(13)で切断ワイヤ(3)を第1方向と前記第1方向と反対である第2方向に案内するためのワイヤ管理システム(7)であって、前記切断エリア(13)へ前記切断ワイヤ(3)を供給するためのワイヤ供給ユニット(5)と、前記切断エリア(13)から前記切断ワイヤ(3)を受け入れるためのワイヤ受入ユニット(6)とを包含するワイヤ管理システム(7)と、を包含し、前記ワイヤ供給ユニット(5)が、保管スプール(2)を駆動させて、その回転軸線(2b)を中心として回転する回転駆動装置(11)であって、前記保管スプール(2)は、前記切断ワイヤ(3)の一部分を一時的に受け入れ、前記ワイヤソーの使用時には、前記保管スプール(2)の一端部と収容スプール(1)の一端部とが対向するように、新しいワイヤを装填するための前記収容スプール(1)が、着脱可能式に前記保管スプール(2)に取り付けられる、回転駆動装置(11)と、切断プロセスにおける前記ワイヤソーの使用時には、10本以下の巻線が相互に前記保管スプール(2)の上で重複する、および/または、前記保管スプール(2)の上の前記巻線が前記収容スプール(1)の上の前記巻線よりも低い密度を有するように、前記切断ワイヤ(3)を前記保管スプール(2)へ案内するのに適応したワイヤ案内手段(9)と、を包含している。
進歩的なワイヤ管理システムは、ワイヤ破損のリスクを効率的に低減し、切断ワイヤの寿命を延長し、ダイヤモンドなどの研磨粒子の不要な損失を低減させる。これは、切断手順の間の切断ワイヤの摩損を低減することにより達成される。
収容スプールは、大量の切断ワイヤを重複巻線として支承することができる。保管スプールは、切断ワイヤを非重複巻線として支承することができる。保管スプールは、ピルグリムサイクル中に、つまり切断ワイヤが第1方向に動かされてから逆転される間に使用されるワイヤ部分を一時的に支承する。保管スプールに対する切断ワイヤの巻き付けおよび/または巻き出しの間に、ワイヤは多数巻線の受入部には巻き付けられず、保管スプールのワイヤ接触面と直接に接触している。
本発明はまた、ピルグリムサイクル中に大量のワイヤ(つまり非常に長いワイヤ区分)を管理できる。それにもかかわらず、所望の量の新ワイヤを追加すること、および/または、切断エリアにおいて一つ以上のサイクルで進むワイヤ部分から所望の量の使用後ワイヤを取り出すことが可能である。
「本質的に一致する」は、回転軸線が直線上で本質的に整列されることを意味する。正確に同一の直線からのわずかな偏差は、言うまでもなく本発明の範囲内である。切断中に、スプールの配向が大きく分散せず、その相対的配向(アライメント)が5度以内、より好ましくは2度以内、最も好ましくは1度以内に留まることが好適である。
「ワイヤ巻線の密度」は、スプールの軸線に沿った単位長さごとのワイヤの数を意味する。
好ましくは保管スプールにおいて、10本以下の巻線が互いに重複し、好ましくは5本以下の巻線が重複し、理想的には巻線が重複しない。つまり最適な実施形態では、非重複巻線としての保管スプールに、好ましくは少なくとも保管スプールの最大部分にわたって、切断ワイヤが支承される。
収容スプールと関連の保管スプールとの回転速度は、切断サイクルの主要段階では本質的に等しい。ワイヤが二つのスプールに連続的に(最初に収容スプール、それから保管スプール、またはその逆)巻き付けられる時のみ、ワイヤ受入面の速度が重要である。また、収容スプールおよび保管スプールの表面速度が同一でない場合には、ワイヤはそれが巻き付けられているスプールの速度を取るので、ワイヤは加速も減速もされる必要がないだろう。ワイヤが使い切られると収容スプールの直径が変化するので、回転速度を変えることにより、ワイヤのための張力付加システムによって、またはその両方により、速度差が軽減されなければならない。移行後、一つのスプールから次のスプールへ移るワイヤの張力のわずかな調節を除いて回転速度は同一であるべきである。
ワイヤ案内手段は、保管スプールの軸線に沿って、および/または収容スプールの軸線に沿って、移動可能である。
ある実施形態では、重複巻線としての切断ワイヤを保管スプールにも巻き付けることが可能であろう。しかし、本発明のねらいは、保管スプールの巻線の密度を収容スプールの巻線よりはるかに小さく保つことである。好適な実施形態において、切断ワイヤは非重複巻線として保管スプールに支承される。
切断ワイヤの低摩損性は、巻線密度が低いか非重複巻線を全く含まない保管スプールの使用によって生じる。切断ワイヤの寿命が長いことで、ピルグリムサイクル中に新しいワイヤ部分の追加を抑えられる。
本発明の好適な実施形態は、高いダイヤモンド密度を有するダイヤモンド切断ワイヤの使用を可能にする。典型的なワイヤは、1mmにつき約600個のダイヤモンドを有する。高密度のワイヤは、1mmにつき800個またはそれ以上のダイヤモンドを表面に有する。好ましくは、ダイヤモンド密度は、切断ワイヤ面1mmにつきダイヤモンドが少なくとも800個、より好ましくは少なくとも1,000個に上る。非重複(またはほとんど重複しない)巻線の保管スプールに対する巻き付け/巻き出しは、切断ワイヤにほとんど影響しない(つまり巻き付けおよび巻き出しから生じる摩耗はわずかである)。ダイヤモンドの摩耗および離脱が回避されうる。
収容スプールと保管スプールの一方が他方のスプールよりも高速で回転しないように、通常は同期化手段が設けられる。このような同期化は、機械的に、または制御デバイスによって実現されうる。ワイヤの歪みおよび/または捻じれを防止するため、保管スプールおよび収容スプールは少なくとも本質的に同じ回転速度で回転すべきである。
本発明のさらなる利点は、以下の通りである。
ワイヤソー全体の切断性能にとって不可欠である切断ワイヤを破損させないことが明白である。
ダイヤモンドワイヤウェハ成形において最大のコスト要因である高価な切断ワイヤの必要性が低い。切断ワイヤの消費量が著しく低減される。切断ワイヤのコストが50%まで削減されると予測される。
良好なウェハ品質。ワイヤは尖鋭なままであり、撓曲ははるかに少ない。この結果、良好なTTV、SM、Warp値が得られる。
ワイヤが長い間尖鋭なままであることによる切断の高速化。
スプールが長い寿命も有してワイヤ破損がそれほど頻繁に発生しないことによる停止時間の減少。
保管スプールと収容スプールの回転軸線の一致により、非常に単純で省スペースの構造が達成される。一つのスプールから他のスプールへも切断ワイヤの進行は、簡易な手法で実現されうる。
ワイヤ案内手段は好ましくは、ワイヤ供給ユニットの収容スプールの新ワイヤを切断エリアへ漸増的に追加することを容易にする、および/または、摩損ワイヤを受入ユニットの収容スプールへ廃棄するのに適応している。
保管スプールの一端部が収容スプールの一端部と対向するように、保管スプールと収容スプールとが配設される。回転軸線はスプール軸線と一致する。
好ましくは、保管スプールのワイヤ支承面の直径は、収容スプールのワイヤ支承面の直径より大きい。こうして、大量のワイヤを多数の重複巻線として収容スプールに保持することができる。他方、ワイヤは保管スプールでは重複せず、そのため直径は大きくなりうる。直径が大きいと、大量のワイヤを非重複状態で一時的に保管できる。発明の好適な実施形態では、移行領域での保管スプールおよび収容スプールの直径は本質的に同じである。こうして、切断ワイヤを取り出す時、つまり一つのスプールから他のスプールへ取り出しを変更する時に、妨げのない移行となる。最も好適な実施形態では、保管スプールの直径と収容スプールの直径とは本質的に同一である。
代替的実施形態では、保管スプールのワイヤ支承面は収容スプールのワイヤ支承面とほぼ同じ直径を有するか、切断ワイヤが完全に装填された収容スプールの直径は、保管スプールのワイヤ支承面と同じかこれより大きい直径を有する。収容スプールがほどける際に、ワイヤ巻線上面の直径は減少する。(新しいワイヤを含むスプールが使用される時間にわたる)平均では、収容スプールのワイヤ巻線上面と保管スプールのワイヤ支承面との間の差は、可能な限り小さく抑えられる。ワイヤ支承面はワイヤと接触しているスプールの表面であり、ワイヤ巻線上面はこのスプールのワイヤ巻線により形成される上面である。
好ましくは、保管スプールのワイヤ支承面の長さは収容スプールのワイヤ支承面の長さより大きい。こうして、大量の切断ワイヤの一時的保管が可能となる。
収容スプールが好ましくは着脱可能状態で保管スプールに取り付けられることが好ましい。真新しい切断ワイヤをワイヤソーに挿入する時には、新しい切断ワイヤが装填された新しい収容スプールによって空の収容スプールが容易に交換されうる。
好ましくは、収容スプールはスリーブ状に形成されて保管スプールの端部領域に被せられる。このように、着脱可能な収容スプールは軽量でコスト効率の良い構造であり、容易に同心状態で保管スプールに取り付けられる。
好ましくは、ワイヤ供給ユニットとワイヤ受入ユニットの少なくとも一方は、収容スプールの回転速度と保管スプールの回転速度とを互いに同期化することが可能な同期化手段を包含する。こうして、収容スプールと保管スプールとに巻き付けられたワイヤ部分すべてが同じ速度で回転するので、最適なワイヤ管理が可能となる。
収容スプールと保管スプールとは、共通の回転軸上に取り付けられうる。回転軸は、支持体により収容スプールと保管スプールとの間に支持されうる。こうして、収容スプールは片側のみから取り付けられ、ゆえに容易な交換が可能である。取り付け部はさらに、収容スプールから保管スプールへの、またその逆のワイヤの乗り換えを容易にする(静止または回転している自由または強制的な)傾斜またはテーパ部分を有しうる。好ましくは、共通回転軸は、共通機械回転軸などの機械回転軸である。
好ましくは、同期化手段は保管スプールと収容スプールとの間の固定接続であり、保管スプールと収容スプールとは共通の回転駆動装置を有する。耐トルク接続であるこのような機械的接続は、スプールの最適な同期化を保証する。
好ましくは、保管スプールおよび収容スプールの各々は独自の回転駆動装置を有し、同期化手段は、回転駆動装置に接続された制御デバイスである。両方のスプールが個別の駆動装置を有する場合には、回転速度が一時的に変化して、「表面速度」または円周速度(ワイヤが巻き付けられる円周)を均等化する。このようにして、スプール間で切り換わる時のワイヤの衝撃が軽減されうる。しかし、切断手順時間の大部分で回転速度は均等でなければならない。
別々の駆動装置により、スプールの間で切り換わる時のワイヤ速度の急変に対処できる。発生する力を(おそらくは電動式の)ダンサプーリなど他の衝撃減衰手段が容易に補正するように、スプールの間の移行は好ましくは非常に低い回転速度で行われる。トラベラプーリは、ワイヤの張力を所与の公差内に保持しうる。収容スプールと保管スプールとは、通常は同じ回転速度を有する。移行エリアのみで、回転速度の若干の偏差が望ましい。これは、別々の駆動装置を制御する制御デバイスにより達成されうる。
収容スプールと保管スプールとの間の移行エリアでは、ワイヤ張力の変化を軽減するため弾性材料が設けられうる。収容スプールと保管スプールとが切断手順中に互いに同期化されることでワイヤ破損を回避することが重要である。
保管スプールおよび/または収容スプールは、一つのスプールから他のスプールへのワイヤの移行を容易にする移行エリアを有しうる。このエリアは、ワイヤの保管ではなく移行をスムーズにするのに使用される。
好ましくは、保管スプールと収容スプールとの間の移行エリアはテーパ状または丸い形状を有し、好ましくは、保管スプールと収容スプールとの間に挿入される別の部材によって移行エリアが形成される。こうして、収容スプールから保管スプールへのワイヤのスムーズな移行が可能となる。好ましくは、移行エリアは弾性材料で形成される。
好ましくは、ワイヤ案内手段は、保管スプールの回転軸線上で移動可能であるトラベラプーリを包含する。トラベラプーリの線形移動により、規定の状態で、好ましくは非重複巻線として保管スプールにワイヤを巻きつけることができる。トラベラプーリの経路は好ましくは保管スプールの長さにわたって、そして収容スプールの長さにわたって延在するため、新しいワイヤを追加する時に、ワイヤが収容スプールから直接的に取り出されうる。
好ましくは、ワイヤ案内手段は、保管スプールのワイヤ支承面にある少なくとも一つの螺旋ワイヤ案内溝を包含する。こうして非規定状態での巻きを防止できる。
好ましくは、保管スプールはドラムである。ドラムは、好ましくは比較的軟質のシースまたはマントル(ショア硬度98°など)を有する。軟質のマントルは交換されうる。保管スプールは、マントルが交換される前にドラムが多数回使用されうるように表面を平滑にするため数回の旋盤加工または研削が行われうる弾性コーティングを有しうる。
すでに上述したように、保管スプールは、螺旋ワイヤ案内溝を含むマントルを有しうる。ワイヤはスプールを中心に螺旋状に置かれなければならないので、ワイヤが正しい場所にあることが重要である。螺旋溝は、この目的を効率的にサポートする。
この目的は、インゴット、ブリック、またはコアなど、好ましくは半導体材料である材料の材片を切断するためのワイヤソーによっても達成され、ワイヤソーは、切断エリアと、切断エリアで切断ワイヤを案内するための案内手段と、切断ワイヤを両方向に駆動するための駆動手段とを有し、上記実施形態の一つによるワイヤ管理システムを包含するワイヤソーであることを特徴とする。工作物は何らかの材料、一般的には、サファイア、ホウ素、ガラス、水晶、シリコン等のような脆性材料でありうる。
ワイヤソーは、ウェハ(ワイヤウェブ)の切断、ブリック形成(WO2010128011A1などに開示されているワイヤメッシュ)、クロッピング、方形化(丸いインゴットを方形または疑似方形、つまり傾斜角部を含む一般的な単結晶形状にする)、ロッドの切断、および/または脆性材料の他の切断動作に使用されうる。
ワイヤソーの切断ワイヤは、供給ユニットの収容スプールと受入ユニットの収容スプールとの間に延在する。つまり、ワイヤの両端部は収容スプールに固定されている。これらのスプールの間で、ワイヤは、工作物を切断するための切断部分(ワイヤウェブや単一切断範囲など)を切断エリアに形成する。
好ましくは、ワイヤソーは、切断ワイヤからワイヤウェブを形成するための少なくとも二つのワイヤ案内ローラを包含する。
しかし本発明は、方形化、ブリック形成、クロッピングにも使用されうる。切断領域は、単一のワイヤ、または隣接するか交差する多数のワイヤを含みうる。ワイヤ間の距離は1ミリメートル未満(ウェハ成形など)か、10センチメートルより大きい(ブリッキングなど)。本出願において、ワイヤソーの語はこれらのタイプのソーをすべて指す。
インゴット、ブリック、またはコアなどの、好ましくは半導体材料である材料の材片を、上述したようなワイヤソーで切断する切断方法により、この目的が達成され、切断エリアでの切断ワイヤの移動方向は交互に逆転され、第1方向での切断ワイヤの移動中に、ワイヤ供給ユニットおよびワイヤ受入ユニットの一方の保管スプールから切断ワイヤが巻き出される。
好ましくは、保管スプールのワイヤ支承面の長さの少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%に切断ワイヤが見られなくなるまで第1方向での切断ワイヤの移動が続き、それから切断ワイヤの移動方向が逆転される。方向が変更される時に保管スプールのワイヤ支承面がワイヤを案内するように、ワイヤはワイヤ支承面に少なくとも部分的に残りうる。
好ましくは、第1方向での切断ワイヤの移動中に、切断ワイヤがワイヤ供給ユニットおよびワイヤ受入ユニットの他方の保管スプールに巻き付けられる、および/または、保管スプールのワイヤ支承面の長さの少なくとも40%、好ましくは少なくとも20%に切断ワイヤが見られない時に第1方向での切断ワイヤの移動が逆転される。
好ましくは、保管スプールのワイヤ支承面全体に切断ワイヤが見られなくなり新しい切断ワイヤの一部分が収容スプールから巻き出されるまで、第1方向での切断ワイヤの移動が続く。
好ましくは、切断ワイヤは、固定砥粒を有するワイヤ、好ましくはダイヤモンドワイヤである。
ワイヤは、特許文献4から、および/または、特許文献5から周知のような構造化ワイヤでありうる。
特許文献6から、研磨粒子としてナノチューブを使用するワイヤが知られている。
基本的に、張力状態でのスプールに対する巻き付けおよび巻き出しに神経を使うあらゆる種類の切断ワイヤにとって、本発明は有益である。
切断方法の一実施形態は、未使用ワイヤが切断区分へ、好ましくは間隔を空けて追加されることを特徴とする。一ステップで、ワイヤ供給ユニットの収容スプールからワイヤ受入ユニットの保管スプールへ切断エリアを介してワイヤが移送される(「新しい」ワイヤ部分)の追加)。別のステップでは、ワイヤ供給ユニットの保管スプールからワイヤ受入ユニットの収容スプールへ切断エリアを介してワイヤが移送される(摩損ワイヤ部分の廃棄)。
切断ワイヤのための張力付与システムは、好ましくは、移動可能でありプーリアームに取り付けられるダンサプーリから成る。好ましくは、実際張力を測定するために測定デバイスが一体化される。このようにして、トラベラプーリの最適位置を事前に算出することにより、被制御巻き取りプロセスが達成されうる。
切断区分への未使用ワイヤの追加にも同じことが当てはまる。巻線に応じて収容スプール上の正確な位置を取るように、トラベラプーリが制御される。
スプール上のワイヤピッチを正確に考慮に入れるためと、保管スプール上の巻線が互いに接触するのを防止する(非重複)ために、制御が必要とされる。これは高速においても保証される。
好ましくは、第1方向での切断ワイヤの移動中に、切断ワイヤは、ワイヤ供給ユニットの保管スプールから巻き出され、ワイヤウェブの新ワイヤ側を介してワイヤウェブへ移送され、ワイヤウェブの使用後ワイヤ側を介してワイヤウェブからワイヤ受入ユニットへ移送されてここで保管スプールに巻き付けられ、また第2方向での切断ワイヤの移動中に、切断ワイヤは、ワイヤ受入ユニットの保管スプールから巻き出され、ワイヤウェブの使用後ワイヤ側を介してワイヤウェブへ移送され、ワイヤウェブの新ワイヤ側を介してワイヤウェブからワイヤ供給ユニットへ移送され、ここで保管スプールに巻き付けられる。
好ましくは、類似の長さ、好ましくは等しい長さの切断ワイヤ材片がワイヤ供給ユニットの保管スプールから巻き出され新ワイヤ側を介してワイヤウェブへ移送される間に確実にこのスプールに保管されるように、使用後切断ワイヤの自由規定材片は、ワイヤウェブの使用後ワイヤ側を介してワイヤウェブから移送されてワイヤ受入ユニットの収容スプールに巻き付けられる。
好ましくは、類似の長さ、好ましくは等しい長さの切断ワイヤ材片が使用後ワイヤ側を介してワイヤウェブへ移送されワイヤ受入ユニットの保管スプールに巻き付けられる間にワイヤウェブを部分的に取り替えるため、ワイヤ供給ユニットの収容スプールから巻き出された新しい切断ワイヤの自由規定材片がワイヤウェブの新ワイヤ側を介してワイヤウェブへ移送される。
好ましくは、ワイヤ受入ユニットの収容スプールに切断ワイヤを巻き付けた後に、ワイヤ案内手段により誘導されてからワイヤ受入ユニットの保管スプールに巻き付けられる間に、切断ワイヤが切断エリアで同じ方向に移動し続ける。
好ましくは、ワイヤ供給ユニットの保管スプールから切断ワイヤを完全に巻き出した後に、ワイヤ案内手段により誘導されてからワイヤ供給ユニットの収容スプールから巻き出される間に、切断ワイヤが切断エリアで同じ方向に移動し続ける。
好ましくは、ワイヤ案内手段により保管スプールから収容スプールへ、またその逆に誘導される間に、切断ワイヤのワイヤ速度は最大ワイヤ速度の20%未満、好ましくは5%未満まで低下する。
好ましくは、供給ユニットの保管スプールのワイヤ支承面の長さの少なくとも80%、好ましくはほぼ100%に切断ワイヤが存在しなくなるまで、第1方向での切断ワイヤの移動が継続し、それから切断ワイヤの移動方向が逆転し、続いて、受入ユニットの保管スプールのワイヤ支承面の長さの少なくとも80%、好ましくはほぼ100%に切断ワイヤが存在しなくなるまで、第2方向での切断ワイヤの移動が継続する。
好ましくは、時間とともに、ワイヤ供給ユニットの収容スプールが完全に空になってから新しい満載収容スプールと交換されなければならなくなり、同じくワイヤ受入ユニットの満載収容スプールが空の収容スプールと交換されなければならなくなるまで、使用後切断ワイヤの一つの材片が次々にワイヤ受入ユニットの収容スプールに載置される。
好ましくは、切断ワイヤの移動方向の複数逆転を包含する第1切断サイクルの間に、切断ワイヤの一区分、好ましくは切断ワイヤの未使用区分は切断エリアに達することなく供給ユニットの回転保管スプールに残るように、切断ワイヤが供給ユニットの回転保管スプールから完全に巻き出される前に切断ワイヤの移動方向が逆転され、切断ワイヤの移動方向の複数逆転を包含する第2切断サイクルの間に、第1サイクルの間に切断エリアに達することなく供給ユニットの回転保管スプールに残っている切断ワイヤの一区分が切断エリアへ給送されるように、好ましくはここまで運ばれるように、切断ワイヤの移動方向が逆転される。好ましくは、第2切断サイクルの間に、切断ワイヤの使用後区分が切断エリアに達することなく受入ユニットの回転保管スプールに保管されるように、切断ワイヤが受入ユニットの回転保管スプールから完全に巻き出される前に切断ワイヤの移動方向が逆転される。
この実施形態では、続いて行われる切断サイクルによって材片を切断することができ、各切断サイクルは重複していてもいなくても、切断ワイヤの異なる区分を使用する。切断ワイヤの一区分が(ダイヤモンドなどの粒子の摩耗により)完全に摩損した場合には、切断ワイヤの隣接区分が使用されうる。このような未使用区分は供給ユニットの保管スプールに見られる。最初に、少なくとも2回の異なる切断サイクルのためのワイヤ長さを用意するように、供給ユニットの保管スプールに充分なワイヤが保管される。(使用後)区分から(未使用)区分への切り替えは、供給ユニットの収容スプールから新しい(未使用)ワイヤを巻き出すことなく、また受入ユニットの収容スプールへ古い(使用後)ワイヤを巻き付けることなく、行われうる。このようにして、切断(つまり材片、インゴット、ブリック、またはコアの完全な切断)の間に、保管スプールと収容スプールとの間の移行が回避される。
この実施形態では、切断される材料への力または圧が切断サイクルを通してより均一に分散される。新しいワイヤは、同じスプール、つまり同じ直径の保管スプールから引き出されて、ワイヤ張力の突然の変化が生じないので、新しいワイヤの追加は力または圧力を変化させない。保管スプールのワイヤは、ワイヤウェブのワイヤと概ね同じ張力(20N〜25Nなど)を有する。しかし、収容スプールのワイヤは通常、低い張力(7N)を有する。上記の実施形態によれば、ワイヤが同じスプールから引き出されるので、切断ワイヤ速度、切断ワイヤの張力などの変化は生じない。こうして、細溝(ワイヤの軸方向の溝)等、不均質なスプール表面によるウェハの理想的切断からの逸脱が、効率的に回避されうる。
好ましくは、切断方法は、受入ユニットの保管スプールから受入ユニットの収容スプールへ切断ワイヤの使用後区分を移送するステップを包含し、この移送ステップは、受入ユニットの保管スプールから切断ワイヤの使用後区分を完全に巻き出す(つまり切断エリアへ、または切断エリアまで一時的に移動させる)ことと、続いて、切断ワイヤの移動方向を逆転させることと、切断ワイヤの使用後区分を受入ユニットの収容スプールへ巻きつけることにより、好ましくは行われる。この実施形態では、受入ユニットの保管スプールに一時的に保管されたワイヤを当該の収容スプールへ取り出すための別のステップが実施される。
好ましくは、受入ユニットの保管スプールから受入ユニットの収容スプールへの切断ワイヤの使用後区分の移送ステップは、二つの連続切断の間に行われる。この実施形態では、材料の切断は二つの切断の間に、つまりワイヤウェブ(切断エリア)と接触している(切断対象)材料が存在しない時に実施されるので、この移送ステップによって材料の切断は影響を受けない。
発明の別の態様は、切断ワイヤの不均一な摩耗に関する。通常、切断ワイヤは区分単位で使用される、つまり第1切断サイクルでは切断ワイヤの第1区分が使用され(つまり切断される材片と接触し)、次のサイクルでは次の切断ワイヤが切断に使用されるのである。切断ワイヤの区分は、この区分の端部領域では特に不均一な摩耗に抵抗し、まだ「尖鋭である」切断ワイヤの損失、つまり最適とは言えない切断ワイヤの利用につながることが認識されている。
この問題は、好ましくはインゴット、ブリック、またはコアの形をした好ましくは半導体材料である材料の材片を、切断エリアで案内される切断ワイヤを有するワイヤ管理システムを包含するワイヤソーにより切断する、特に上述した実施形態の一つによる切断方法によって解決され、ワイヤ管理システムは、ワイヤソーの切断エリアへ切断ワイヤを供給するためのワイヤ供給ユニットと、ワイヤソーの切断エリアから切断ワイヤを受け入れるためのワイヤ受入ユニットとを包含し、
切断ワイヤの移動方向の複数逆転を包含する第1切断サイクルの間に、切断ワイヤの第1区分が材片の切断のための切断エリアで使用され、第1切断サイクルの逆転の間に切断される材片と少なくとも一度は接触するすべてのワイヤ点により第1区分が画定され、
切断ワイヤの移動方向の複数逆転を包含する第2切断サイクルの間に、材片を切断するための切断エリアで切断ワイヤの第2区分が使用され、第2区分は第1区分と異なっており、第2切断サイクルの逆転の間に、切断される材片と接触するすべての点により画定され、
切断ワイヤの第1区分と切断ワイヤの第2区分とが、その端部領域で重複する。
原理的には、発明のこの態様は、上述した実施形態から独立している。供給ユニットと受入ユニットとは異なる手法で構築され、例えば(収容スプールを追加せずに)保管スプールのみを各々が包含しうる。しかし、前述の実施形態の一つとの組み合わせは好適な実施形態をもたらす。
この切断方法は、切断ワイヤを、特に切断サイクル中に使用される切断ワイヤ区分の端部領域も、最適な形で利用できる。原理は、対応の図に関して以下で詳細に説明される。
好ましくは、切断サイクル内での切断ワイヤの2回の連続逆転の間に、材片と本質的に同じ有効相互作用長さを有するワイヤ点の範囲の外側に、重複範囲が配置される。また、切断中にワイヤウェブを完全に横切るがワイヤ案内ロールの間に残っているワイヤ区分、言わば完全利用区分は、平均するとすべてが同じ摩損を有する。その相互作用長さはすべて同じである。理想的には、第2切断区分は第1切断サイクルの完全利用区分の端部を始点とする。こうして、摩損の少ない領域が重複する。驚くことに、こうして重複区分の少ない摩損は完全利用区分と同じ量の摩損に達することが分かっている。この実施形態では、許容限度を超える切断ワイヤ区分の摩損が防止される。上記実施形態による方法を実行するための制御ユニットが設けられることは、当業者には明白である。制御ユニットは特に、切断サイクル、逆転、ピルグリム長さ、ワイヤ張力等を制御する。
本発明のさらなる実施形態は図および従属請求項に記される。参照符号のリストは開示の一部を成す。これから図面により発明が詳細に説明される。
本発明によるワイヤ管理システムを有するワイヤソーを示す図である。 切断ワイヤ部分を支承する保管スプールを備えるワイヤ管理システムを示す図である。 切断ワイヤが保管スプールから部分的に巻き出された図2のワイヤ管理システムを示す図である。 切断ワイヤが保管スプールから完全に巻き出された図2のワイヤ管理システムを示す図である。 切断ワイヤが保管スプールにより部分的に受け入れられた図2のワイヤ管理システムを示す図である。 切断ワイヤが収容スプールから巻き出されている図2のワイヤ管理システムを示す図である。 各スプールが別々の回転駆動装置を有するワイヤ管理システムの実施形態を示す図である。 保管スプールと収容スプールとが互いに固定接続された実施形態を示す図である。 スプールの間の移行エリアが切断ワイヤのスムーズな移行のための案内要素を有する実施形態を示す図である。 移行エリアがテーパ形状を有する実施形態を示す図である。 フランジを備えない収容スプールを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 代替的な進歩的切断方法のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断方法の実施形態のステップを示す図である。 切断ワイヤ区分の摩損または摩耗を示す図である。 切断ワイヤ区分の摩損または摩耗を示す図である。
図1は、インゴット、ブリック、またはコアの形の、好ましくは半導体、サファイア、または水晶材料である材料の材片を切断するためのワイヤソー8を示す。ワイヤソー8は、切断エリア13と、切断エリア13で切断ワイヤ3を案内することにより切断ワイヤ3からワイヤウェブを形成するワイヤガイドローラ14とを有する。ワイヤソー8は、第1方向と、第1方向と反対である第2方向に交互に切断ワイヤ3を駆動するための駆動装置15を包含する。本発明によるワイヤソーは、方形化装置の場合のように互いに交差するワイヤも有することがある。加えて、切断エリアの切断ウェブは単一ワイヤから成ることもある。
ワイヤソー8は、ワイヤソー8の切断エリア13へ切断ワイヤ3を供給するためのワイヤ供給ユニット5と、ワイヤソー8の切断エリア13から切断ワイヤ3を受け入れるためのワイヤ受入ユニット6とを包含するワイヤ管理システム7を有する。いわゆる「ピルグリムモード」では、実際の移動方向に応じて、供給ユニット5が受入機能も有して受入ユニット6が供給機能を有するように、ワイヤ3の移動方向は交互に逆転される。しかし、図の実施形態によれば、新しい切断ワイヤ部分を切断エリア13に追加する時には、追加ワイヤ部分を供給ユニット5から巻き出すことによってこれが行われ、供給ユニット5は新しいワイヤを含む収容スプール1を包含する。受入ユニット6は、廃棄するために使用後ワイヤを収集するための収容スプール1を包含する。
図1の実施形態では、供給ユニット5と受入ユニット6の両方は類似の構造のものである。
各ユニットは、切断ワイヤ3を重複巻線として支承するための回転収容スプール1と、切断ワイヤ3を巻線(不図示)として一時的に受け入れるための回転保管スプール2とを包含する。好ましくは、保管スプール2の巻線は重複しない。
図2から分かるように、保管スプール2の回転軸線2bは収容スプール1の回転軸線1bと一致している。
各ユニットは、当該の保管スプール2に巻き付けられる(またはこれから巻き出される)時に切断ワイヤ3を案内するのに適応したワイヤ案内手段9を包含するため、保管スプール2上のワイヤ巻線は互いに重複しない、および/または、収容スプール1上の巻線より低い密度を有する。本件実施形態において、ワイヤ案内手段9は、スプール1,2の回転軸線に対して本質的に平行である方向に移動可能であるトラベラプーリ4である。
図2は、供給ユニット5(または受入ユニット6)をより詳細に示す。保管スプール2のワイヤ支承面2aの直径は、収容スプール1のワイヤ支承面1aの直径より大きい。保管スプール2のワイヤ支承面2aの長さは、収容スプール1のワイヤ支承面1aの長さより大きい。
図2は、切断ワイヤ3が保管スプール2にほぼ完全に巻き付けられた状況を示している。切断エリア13の方向に切断ワイヤ3を移動させる(図13)と、ワイヤは保管スプール2から連続的に巻き出される。図3で切断ワイヤは保管スプール3から部分的に巻き出され、図4で保管スプール2には切断ワイヤ3が存在しない。巻き出し手順の間、トラベラプーリ4は右から左へ継続的に進む。
ワイヤ供給ユニット5とワイヤ受入ユニット6の各々は、収容スプール1の回転速度と保管スプール2の回転速度とを互いに同期化することが可能な同期化手段を包含する。図3乃至6および8乃至10で、同期化手段はスプール1,2の間の固定機械接続から成る。この場合にこれは、スプール1,2が同じ回転速度を有することを確実にする。この事例では、保管スプール2と収容スプール1とは共通の回転駆動装置を有する。
図7に示された本発明の実施形態では、保管スプール2および収容スプール1の各々が独自の回転駆動装置10,11、例えばモータを有する。この実施形態において、同期化手段は、両方の回転駆動装置10,11に接続されてその回転速度を制御する制御デバイス16である。同期化手段が同期化に使用される場合には、収容スプール1と保管スプール2が単独で加速または減速されて、ワイヤ収容面またはワイヤ巻線上面のそれぞれの直径の差を補正する。スプール1,2は単独で回転されるので、その速度も、単独で、また時間並列状態でも変更されうる。また、保管スプール2のワイヤ収容面が(収容スプールのワイヤ巻線上面よりも)大きな直径を有している場合には、収容スプールから保管スプールへワイヤが乗り換える時にそのワイヤ巻線上面が同じ速度を有するように、収容スプールの回転速度の方が若干高い。保管スプール2から収容スプール1へ進む時にも同じことが可能である。
好ましくは、収容スプール1は着脱可能式に保管スプール2に取り付けられる。これは、例えばロック解除可能なスナップ動作機構により達成されうる。ワイヤソーへ新しいワイヤを供給する時には、完全なスプールが保管スプールへ、または共回回転軸に装着されうる。
図8,9,10の実施形態では、保管スプール2と収容スプール1との間の移行エリア12が設けられる。移行エリア12は単純な接続ロッドでありうる(図8)か、移行エリア12で切断ワイヤを保護するための案内手段でありうる(図9)。
図10では、移行エリア12はテーパ形状を有する。移行エリア12は、保管スプール2と収容スプール1との間に挿入される別の部材により形成され、ワイヤを保護するため軟質でありうる。
収容スプール1と保管スプール2とは、共通の回転軸上に取り付けられうる(図8)。回転軸は、支持体により収容スプール1と保管スプール2との間に支持されうる(図9)。このようにして、収容スプール1は片側のみから取り付けられ、ゆえに容易な交換が可能である。取り付けはさらに、収容スプール1から保管スプール2へ、またその逆のワイヤ3の乗り換えを容易にする(静止または回転している自由または強制的な)傾斜部分(図9)を有しうる。支持体はさらに、システムの剛性を高める。
保管スプール2のワイヤ支承面2aは、螺旋経路を備えるワイヤ案内溝を包含しうる。
収容スプール1と受入スプール2とは同期的に回転する、つまり同じ回転速度を有する。新しいワイヤスプールの開始時に、ワイヤはたいてい供給ユニット5の収容スプール1上に、しかしある程度は保管スプール2の周りにも存在する。ワイヤは(ワイヤをロールに巻き付けるかロールから巻き出す時にワイヤを位置決めするロールである)トラベラプーリ4の上を進む。切断ワイヤ3の末端部は、受入ユニット5の収容スプール1に接続されている。
図11は、端部にフランジを備えていない収容スプール1の実施形態を示す。ワイヤ3を台形形状に配設すると、ワイヤが正しい場所に保持される。フランジがない場合には、収容スプールと保管スプールとの間の移行が容易になりうる。フランジは、移行エリア12のテーパ形状も形成しうる。
ワイヤ3が切断を開始すると、収容スプール1と関連の保管スプール2とが回転する(両方のスプールの上部が図2の図面の平面から移動する)。ワイヤ3は保管スプールから巻き出され、プーリアーム21により保持されたダンサプーリ20が、ワイヤの張力を一定に、また保管スプール2の回転軸線に対して多かれ少なかれ垂直に保ち、トラベラプーリ4は、スプール上でのワイヤ巻線の正しい位置決めを確実にする。
保管スプール2を回転させると、さらに保管スプール2から実質上すべてのワイヤ3が取り出される。この時に二つのオプションがある。
a)新しいワイヤ部分を収容スプールから作業区分に追加すること。この事例では、ワイヤが収容スプール1から巻き出される(つまり保管スプール2が反対方向に回転して保管スプール2の底部が図面の平面から移動する)前に、保管スプール2の回転が逆転され、ワイヤ3はワイヤウェブから巻き出されて保管スプールに再び巻き付けられる。
b)新しいワイヤを作業区分に追加すること。保管スプール2と同期的に回転する収容スプール1から新しいワイヤが巻き出されるように、保管スプール2がさらに(保管スプール2の上側が図面の平面から)回転される。正しい量の新しいワイヤが収容スプール1から引き出されると、この方法は、項目a)に記載されているように、使用後ワイヤを保管スプール2に(トラベラプーリ4が図6に示されたような位置にある場合には、保管スプール2に達するため最初は収容スプール1に)巻き付ける。(理想的には、ワイヤが保管スプールに巻き付けられなければならない時に、トラベラプーリ4はこの位置にはない。移行が起こった時にトラベラプーリ4が保管スプールのすぐ隣に配置されるように、位置が制御および監視されうる。これは、収容スプールから多かれ少なかれワイヤを追加することなどにより達成される。)
以下に留意することが重要である。
通常は、
‐ワイヤウェブを一度通過したワイヤ区画は、普通は消耗していない。そのためこの区画は好ましくは新しいワイヤと同じく丁寧に扱われる。また、好ましくは受入ユニット6も保管スプール2を有する。
‐ワイヤ移動方向が逆転される前にワイヤが減速される。これは、例えば500メートルの使用後ワイヤが保管スプール2から巻き出される時間の大部分において、ワイヤ3が最大速度を有することを意味する。使用後ワイヤ部位の端部の近くで、ゆえに保管スプール2の(左)端部の近くで、ワイヤ3が減速される。この低速は、収容スプール1への移行を行うのに有益である。スプールのワイヤ巻線上面の直径が正確に同一であることはほぼ決してなく、ゆえにこの上面でのワイヤの速度は同じではないので、ワイヤの張力は移行中に急速に変化するだろう。システム、特にダンサは、この変化を補正するのに充分に高速でなければならない。低速では、変化はゆっくりであり、システムが良好に補正を行う。
スプールの間の移行部では、ダンサプーリ20を取り出して衝撃を回避するため速度差が調節されうる。ダンサプーリ20は、できる限り早く中立位置に達するべきである。
収容スプール1の直径(実際には、まだスプールにあるワイヤをワイヤ接触面1aの直径に加えたもの)が時間とともに変化して、保管スプール2の直径は(いくらかの摩損を除いて)一定であるので、ワイヤは移行中に衝撃を受ける。収容スプールと保管スプールの両方の直径が一定である場合のみ、衝撃は生じない。ワイヤ速度が低い場合には、ワイヤ3の衝撃を吸収するのに使用されるシステムは、この衝撃の均衡を保つのに充分なほど高速でありうる。このシステムは、特許文献2および特許文献3でのウェイトに匹敵しうる。好ましくは(上流または下流で)トラベラプーリ4に隣接する収容スプール/保管スプールと切断エリア(ワイヤウェブなど)との間の経路へ、追加の衝撃吸収体が挿入されうる。別の手法は、収容スプールおよび保管スプールの相対速度を変化させることであり、図7に示されているように、両方が独自の駆動装置を有する場合に可能である。重要なのは、衝撃を吸収すること、および/または、保管スプールから出るワイヤの速度と少し後に収容スプールから出るワイヤの速度とをできる限り近く維持しようとすることである。スプール1,2のワイヤ巻線上面の直径がかなり異なっている場合には、速度をできる限り等しくしないことが有益である。例えば、収容スプールのワイヤ巻線上面が小径を有する場合には、巻き付けられなければならない追加ワイヤができる限り高速で巻かれるように、(トラベラプーリ4と保管スプール2とトラベラプーリ4と収容スプール1との間でのワイヤ角度の差により生じる)このスプールの速度は若干高い。ワイヤが保管スプールに巻き付けられない場合には、回転速度の分断も起こりうる。
トラベラプーリ4は好ましくは、トラベラプーリ4と保管スプール2または収容スプール1との間に延在するワイヤ区画をこのスプールのワイヤ支承面2aと(自動または手動で)整合させるのに適応している。収容スプール1のワイヤ支承面2aの直径は、(摩損のみで変化する)保管スプール2のものと比較して大きく変化するので、トラベラプーリ4が、収容スプール1を補助している時には調節可能であるとともに、保管スプール2を補助している時には好ましくはロック可能であるため保管スプール2を補助している時には位置が固定される場合に、とりわけ好適である。この位置での良好な整合およびロックは、ワイヤのより安定した作用を確実にし、摩損の減少、良好なウェハ品質、そしてワイヤ破損の減少につながる。
ロールとドラムとが互いに機械的に接続される場合には、ワイヤ3が保管スプール2にある限り最初の回転速度を有することも可能であり、(収容スプールが小径を有すると仮定すると)保管スプール2上に存在しなくなった時のみ、(収容および保管スプールの両方の)回転速度が上昇する。
目標はワイヤウェブでのワイヤ速度を制御することであり、それはこうして最高のウェハ品質が結果的に得られるからである。ワイヤウェブの外側でのワイヤ速度は、収容スプールと保管スプールとの間の移行またはワイヤの張力の制御のため、一時的にこの速度から逸脱しうる。
図12aから12mは、材片を切断する進歩的方法の実施形態を示す。
初期化(図12a〜12d)
図12aでは、ワイヤウェブ17がセットされ、切断ワイヤの末端部が受入ユニット6の収容スプール1(つまりワイヤウェブ17の使用後ワイヤ側19)に接続される。使用後ワイヤ側19は、受入ユニット6へ向かう方向にワイヤが切断エリア13から離れる側である。新ワイヤ側18は、供給ユニット5へ向かう方向にワイヤが切断エリア13から離れる側である。「新」および「使用後」は、供給ユニット5の収容スプールが新しい(未使用)ワイヤを支承して受入ユニット6の収容スプールが古い(すでに使用された)ワイヤを支承しているという事実を指す。図12aは、基本的に同一の直径を持つ収容スプールおよび保管スプールを示す。
図12bでは、切断ワイヤ3は第1方向に移動し、供給ユニット5の収容スプール1から新ワイヤ側18を介してワイヤウェブ17へ移送され、使用後ワイヤ側19を介して受入ユニット6の保管スプール2へ移送されるため、ワイヤ支承面は、好ましくはその全長にわたって、ワイヤ部分を非重複巻線として保持する。
図12cでは、ワイヤウェブ17から新ワイヤ側18を介して進む切断ワイヤ3が供給ユニット5の保管スプール2に巻き付けられるのに対して、受入ユニット6の保管スプール2から切断ワイヤ3が巻き出される。切断ワイヤは第2方向に移動する。所望であれば、ワイヤウェブ17はすでに切断された材料である。
図12dでは、供給ユニット5の保管スプール2が完全に補充されている。ワイヤ3は移動しない。初期化が終了する。
切断(図12e,12f)
図12eでは、切断が進行中である。切断ワイヤ3は第1方向に移動し、ワイヤ3が受入ユニット6の保管スプール2に巻き付けられる。
図12fでは、切断が進行中である。切断ワイヤ3は第2方向に移動し、ワイヤ3は供給ユニット5の保管スプール2に巻き付けられる。
使用後(古い摩損)ワイヤの外向き移送と新しい(未使用の新品)ワイヤの装填(図12g〜12m)
図12gでは、供給ユニット5の保管スプール2が完全に補充されている。第1切断サイクルが終了している。ワイヤ3は移動しない。ワイヤソー8は現在、次のソーイングサイクルの準備状態にある。図12eおよび12fのステップは、適切な頻度で反復されうる。代替的に、ワイヤソー8は、使用後ワイヤの(受入ユニットの収容スプールへの)外向き移送と、新しいワイヤの(供給ユニットの収容スプールからの)装填の準備が整っている。
図12hでは、ワイヤウェブ17から古いワイヤ側19を介して到達した「使用後」ワイヤ(古いまたは摩損したワイヤ)の一部分が、受入ユニット6の収容スプール1に巻き付けられる。受入ユニット6の収容スプール1に巻き付けられる使用後ワイヤの量は、特定のプロセス要求に応じて自由に選択されうる。所望であれば、ワイヤウェブ17は継続して材料を切断できる。好ましくは、ワイヤ速度は遅い。
図12iでは、収容スプールでの巻きプロセスが終了し、ワイヤ3は移動しながら収容スプール1と保管スプール2との間の移行エリアを通過する。所望であれば、ワイヤウェブ17は材料を切断できる。好ましくは、ワイヤ速度は遅い。
図12jでは、切断ワイヤ3は第1方向に移動し、ワイヤ3は受入ユニット6の保管スプール2に巻き付けられる。後者は、例えば95%まで補充されている。
図12kでは、ワイヤ3が減速されている。ワイヤ3は、供給ユニット5の保管スプール2から完全に取り出されている。この時、供給ユニット5の収容スプール2から新ワイヤ側18を介して到達した「新しい」ワイヤ(未使用または新品ワイヤ)のワイヤウェブ17への追加が、図12lに示されているように開始する。
図12mでは、受入ユニット6の保管スプール2が再び完全に補充され、使用後(古い摩損)ワイヤの外向き移送と新しい(未使用の新品)ワイヤ部分の装填とのステップが完了している。この時、図12f〜図12e〜12fなどに示されたステップにより切断プロセスが継続する。
図13aから13lは、材片を切断する進歩的方法の代替的実施形態を示す。
初期化(図13a〜13c)
図13aでは、ワイヤウェブ17がセットされ、切断ワイヤの末端部が、ワイヤウェブ17の使用後ワイヤ側19の受入ユニット6の収容スプール1に接続される。
図13bでは、切断ワイヤ3が第1方向に移動し、供給ユニット5の収容スプール1から新ワイヤ側18を介してワイヤウェブ17へ移送され、使用後ワイヤ側19を介して受入ユニット6の保管スプール2へ移送されるため、ワイヤ支承面は非重複巻線としてワイヤ部分を保持する。
しかし、後の段階で追加ワイヤのための場所を取っておくために、受入ユニット6の保管スプール2の全長にワイヤが補充されるわけではない。この状況は図13cに示されている。
切断(図13d〜13f)
図13dでは、切断は進行中である。切断ワイヤ3は第2方向に移動し、ワイヤ3は供給ユニット5の保管スプール2に巻き付けられる。
後の段階で追加ワイヤのための場所を残しておくために、供給ユニット5の保管スプール2の全長にワイヤが補充されるわけではない。この状況は13eに示されている。
図13fでは、切断が進行中である。切断ワイヤ3は第1方向に移動し、図13cの状況に達するまで、受入ユニット6の保管スプール2にワイヤ3が巻き付けられる。図13d〜13fのステップは、適切な頻度で反復されうる。
新しい(未使用の新品)ワイヤの装填、使用後(古い摩損)ワイヤの外向き移送(図13g〜13l)
図13gでは、図13cに示されたステップと反対に、ワイヤ3は第1方向に移動を継続している。供給ユニット5の収容スプール1の新ワイヤの所望の部分が、新ワイヤ側18を介してワイヤウェブ17へ移送され、ワイヤウェブ17から使用後ワイヤ側19を介して到達した切断ワイヤ3が同じ量だけ、受入ユニット6の保管スプール2へ移送される。
図13hでは、ワイヤウェブ17への新しいワイヤの追加が完了している。
図13iで、切断ワイヤ3は、受入ユニット6の保管スプール2から使用後ワイヤ側19を介してワイヤウェブ17へ移送され、切断ワイヤはワイヤウェブ17から新ワイヤ側18を介して供給ユニット5の保管スプール2へ移送される。所望であれば、ワイヤウェブ17は継続して材料を切断できる。
図13jでは、供給ユニット5の保管スプール2が補充される。図12および13に示された方法はそれぞれ、互換的に使用されうる。状態が図12gおよび13jに示されたものと等しい時には、図12および図13に示された方法の間で切り換えられうる。
図13kでは、ワイヤウェブ17から使用後ワイヤ側19を介して進んだワイヤの「使用後」部分(古いまたは摩損したワイヤ)が、受入ユニット6の収容スプール1に巻き付けられる。古いワイヤの量は、特定のプロセス要求に応じて自由に選択されうる。ワイヤ受入ユニット6の収容スプール1に所望の量の古いワイヤが巻き付けられた後に、ワイヤ3は移動しながら収容スプール1と保管スプール2との間の移行エリアを通過する。所望であれば、図13kに示されたステップ全体の間に、ワイヤウェブ17が継続して材料を切断できる。好ましくは、ワイヤ速度は遅い。
図13lでは、新しい(未使用、新品)ワイヤ部分の装填と使用後(古い摩損)ワイヤ部分の外向き移送とのステップが完了している。この時、図13f〜図13d〜図13e〜図13fなどに示されたステップにより切断プロセスが継続する。
これらの図には、ワイヤ移動方向が記されている。ワイヤ移動の間には、通常、切断動作が実施される。
図14〜21は、切断方法の代替的実施形態を示す。
図14は、切断ワイヤ3の移動方向の複数逆転を包含する第1切断サイクルを示す。第1切断サイクルの間、供給ユニット5の保管スプール2から切断ワイヤ3が完全に巻き出される前に、切断ワイヤ3の移動方向が逆転するため、第1切断サイクルの間に、切断ワイヤ3の区分22、好ましくは未使用区分は、切断エリア13に達することなく供給ユニット5の保管スプール2に保管/残留する。
第1切断サイクルに続く移行的ステップでは、前の未使用区分22からの切断ワイヤ3も切断エリア13に運ばれる、つまりワイヤウェブの一部になるか、少なくとも切断エリア13の方へ移動する。切断ワイヤの未使用区分22は連続的に小さくなる(図15)。
図16は、切断ワイヤ3の移動方向の複数逆転を包含する第2切断サイクルを示す。第1切断サイクルの間に切断エリア13に達することなく供給ユニット5の保管スプール2に保管された切断ワイヤ3の区分が切断エリア13へ運ばれるように、そして第2切断サイクルの間に受入ユニット6の保管スプール2から切断ワイヤ3が完全に巻き出される前に切断ワイヤ3の移動方向が逆転されるように、第2切断サイクルの間に切断ワイヤ3の移動方向が逆転されるため、第2サイクルの間に(材料を切断するための切断ワイヤ3の移動方向の連続逆転で)切断エリア13に達することなく切断ワイヤ3の使用後区分23が受入ユニット6の保管スプール2に保管される。供給ユニット5の保管スプール2上のほぼすべてのワイヤが使用されるまで、図15のステップが反復される。
やはり図15乃至16に見られるのは、時間とともにより多くの使用後切断ワイヤ(点線で図示)が受入ユニット6の保管スプール2に一時的に保管されることである。
保管スプール2上のすべてのワイヤが使い切られると、供給ユニット5の保管スプール2からすべてのワイヤが取り出される。これは図17に示されている。
好適な実施形態において、切断方法は、受入ユニット6の保管スプール2から受入ユニット6の収容スプール1へ切断ワイヤ3の使用後区分を移送するステップを包含する。これは―図18によれば―切断ワイヤ3の使用後区分を受入ユニット6の保管スプール2から完全に巻き出し(つまり、切断エリア13つまりワイヤウェブへ引っ張り)、それから切断ワイヤ3の移動方向を逆転させ、受入ユニット6の収容スプール1に切断ワイヤ3の使用後区分を巻き付けることによって行われる(図19)。図14乃至23の図は概略的に過ぎないことに言及しておく。特に、切断ワイヤは言うまでもなく多数の重複巻線/層として収容スプールに巻き付けられうる。
受入ユニット6の保管スプール2から受入ユニット6の収容スプール1へ切断ワイヤ3の使用後区分を移送するステップは、二つの連続切断の間に行われる、つまりこのステップの間には、材料の材片は切断されないか切断ワイヤと接触していない。
この時、供給ユニット5の保管スプール1から切断エリア13の方へ新しいワイヤが巻き出される(図20)。切断エリア13の反対側では、受入ユニット6の保管スプール2に切断ワイヤ3が巻き付けられる。図21では、新しい切断サイクルが開始される。この時、図14から20に記されたステップが反復されうる。図中の切断ワイヤは概略的に描かれていることと、ワイヤ(特に点線で描かれたワイヤ)はスプールの表面全体で連続的に延在することとに言及しなければならない。
この実施形態の大きな利点は、使用後と未使用の切断ワイヤ3の交換が、収容スプール1からワイヤを引き出すことなく、切断の間に(つまりワイヤウェブが材片と接触している間に)達成されうることである。二つの連続逆転の間に保管スプールから巻き出されるかこれに巻き付けられるこのワイヤ長さを、保管スプール2に最初に保管されていた切断ワイヤの長さより短くすることができる。使用後から未使用の切断ワイヤ3の交換は、第1方向での移動の間のピルグリム長さと続く反対方向での移動の間のピルグリム長さとの間の差によって、継続的に行われうる。
以下の方法(図22および23)の基本的概念は、主に上述した実施形態から独立している。しかし、上述したワイヤ管理システムによりこの方法を実施することは、当然可能である。
図22および23は、切断ワイヤ区分の摩損の程度を示す。横座標は切断ワイヤ3の長さに、縦座標は摩損または磨耗度に対応する。MAXの表記は、切断に許容可能である切断ワイヤの可能最大磨耗度を示す。この点を越えると、ワイヤ破損および低品質の切断についての不許容のリスクにつながる。切断ワイヤ3の移動方向の複数逆転を包含する切断サイクルで使用されるワイヤ区分の摩耗プロフィールは、ほぼ台形の形状を有する。磨耗関数の平坦域は、二つの連続する切断サイクルの逆転の間に、材片と本質的に同じ有効相互作用長さを有するワイヤ点の範囲27、つまり完全利用区分を指す。こうしてこれらの摩損は同じである。切断の開始時には、平坦域に達するまでワイヤ区分の摩損が増大する。切断の終了時に、切断ワイヤ区分の摩損は再び減少する。この勾配は、材片との効果的相互作用の長さがワイヤ区分の端部に向かって小さくなるという事実を発端とし、この区分のワイヤ点は、ワイヤの移動方向が逆転する前にワイヤウェブ全体移動しない。結果的に、これらの点には、完全利用区分の点ほど多くの切断材料は「見られない」。切断サイクルの間に、切断される材料の一つの点のみと接触するワイヤ点が存在する。当該のワイヤ区分の端部でのこれらの摩損の差を相殺するため、以下の方法が提案される。
好ましくはインゴット、ブリック、またはコアの形の好ましくは半導体材料である材料の材片を切断する方法は、切断エリア13を案内される切断ワイヤ3を有するワイヤ管理システム7を包含するワイヤソー8により実施される。ワイヤ管理システム7は、ワイヤソー8の切断エリア13へ切断ワイヤ3を供給するためのワイヤ供給ユニット5と、ワイヤソー8の切断エリア13から切断ワイヤ3を受け入れるためのワイヤ受入ユニット6とを包含する。ワイヤ管理システムが上述したものと同じ構造を有する必要はない。
切断ワイヤ3の移動方向の複数逆転を包含する第1切断サイクルの間に、材片を切断するため切断ワイヤ3の第1区分24が切断エリア13で使用され、第1区分24は、第1切断サイクルの逆転の間に、切断される材料の材片と少なくとも一度は接触するすべてのワイヤ点により画定される。時間とともに、摩耗は連続的に大きくなる(図22の点線はワイヤの中間磨耗状態を示す)。
切断ワイヤ3の移動方向の複数逆転を包含する第2切断サイクルの間に、材料の材片を切断するため切断ワイヤ3の第2区分25が切断エリア13で使用され、第2区分25は第1切断区分24とは異なっており、第2切断サイクルの逆転の間に、切断される材片と接触するすべての点により画定される。
切断ワイヤ3の第1区分24と切断ワイヤ3の第2区分25とは、その端部領域で重複して、重複範囲26を形成する。端部領域では―図23から分かるように―第1切断サイクルから生じる摩損の程度は、第2切断サイクルから生じる摩損の程度に達し、ワイヤ区分24,25の端部領域に仮想三角形を追加することにより、驚くことにワイヤ長全体に沿って一定の摩損が得られる。このようにして、重複切断区分を常に使用することにより切断ワイヤ3が最適な程度、好ましくは100%まで活用されて、切断ワイヤ3の領域全体の最初と最後の端部のみに最適未満の摩損が見られる。
好ましくは、重複範囲26は、外側に、好ましくは切断サイクルの2回の連続逆転の間に材片と本質的に同じ有効相互作用長さを有するワイヤ点の範囲27,28(図22の平坦領域)にすぐ隣接して配置される。この実施形態は図23に示されており、重複範囲26は、摩耗プロフィールの二つの斜面形状範囲を包含する。
1回の切断後に最大摩損(MAX)に達しない場合には、収容スプールから新ワイヤ部分を追加することなくワイヤ区分が第2連続切断に使用されうる。第2切断の後に最大摩損(MAX)に達しない場合には、収容スプールから新ワイヤ部分を追加することなく第3連続切断にワイヤ区分が使用されうる―というやり方である。1回の完全切断に不充分なワイヤ品質である場合には、1回の切断に多数のワイヤ区分が使用されうる。代替的に、数回の完全な切断の後に完全利用区分でワイヤがほぼ完全に摩損するように、切断の詳細(特にピルグリム長さおよび切断圧力)が選択されうる。
本発明はこれらの実施形態に限定されない。他の変形は当業者には自明であり、以下の請求項に明記された発明の範囲に含まれると考えられる。上記明細書に記載された個々の特徴は、特に図に関して、互いに組み合わされて、他の実施形態を形成する、および/または、必要な変更を加えたうえで、請求項に記載されたものと残りの説明に適用されうる。
1 収容スプール
1a 収容スプール1のワイヤ支承面
1b 収容スプール1の回転軸線
2 保管スプール
2a 保管スプール2のワイヤ支承面
2b 保管スプール2の回転軸線
3 切断ワイヤ
4 トラベラプーリ
5 ワイヤ供給ユニット
6 ワイヤ受入ユニット
7 ワイヤ管理システム
8 ワイヤソー
9 ワイヤ案内手段
10 回転駆動装置
11 回転駆動装置
12 移行エリア
13 切断エリア
14 ワイヤ案内ローラ
15 駆動手段
16 制御デバイス
17 ワイヤウェブ
18 新ワイヤ側
19 使用後ワイヤ側
20 ダンサプーリ
21 プーリアーム
22 切断ワイヤ3の未使用区分
23 切断ワイヤ3の使用後区分
24 切断ワイヤ3の第1区分
25 切断ワイヤ3の第2区分
26 重複範囲
27 (完全)摩損ワイヤ点の範囲、完全利用区分
28 (完全)摩損ワイヤ点の範囲、完全利用区分

Claims (33)

  1. ワイヤソー(8)であって、
    切断エリア(13)と、
    前記切断エリア(13)で切断ワイヤ(3)を第1方向と前記第1方向と反対である第2方向に案内するためのワイヤ管理システム(7)であって、前記切断エリア(13)へ前記切断ワイヤ(3)を供給するためのワイヤ供給ユニット(5)と、前記切断エリア(13)から前記切断ワイヤ(3)を受け入れるためのワイヤ受入ユニット(6)とを包含するワイヤ管理システム(7)と、を包含し、
    前記ワイヤ供給ユニット(5)が、
    保管スプール(2)を駆動させて、その回転軸線(2b)を中心として回転する回転駆動装置(11)であって、前記保管スプール(2)は、前記切断ワイヤ(3)の一部分を一時的に受け入れ、前記ワイヤソー(8)の使用時には、前記保管スプール(2)の一端部と収容スプール(1)の一端部とが対向するように、新しいワイヤを装填するための前記収容スプール(1)が、着脱可能式に前記保管スプール(2)に取り付けられる、回転駆動装置(11)と、
    切断プロセスにおける前記ワイヤソー(8)の使用時には、10本以下の巻線が相互に前記保管スプール(2)の上で重複する、および/または、前記保管スプール(2)の上の前記巻線が前記収容スプール(1)の上の前記巻線よりも低い密度を有するように、前記切断ワイヤ(3)を前記保管スプール(2)へ案内するのに適応したワイヤ案内手段(9)と、
    を包含しているワイヤソー。
  2. 前記収容スプール(1)と前記保管スプール(2)とが相互に隣接して取り付けられる、請求項1に記載のワイヤソー。
  3. 前記保管スプール(2)のワイヤ支承面(2a)の長さが前記収容スプール(1)のワイヤ支承面(1a)の長さより大きい、請求項1に記載のワイヤソー。
  4. 前記保管スプール(2)の前記回転軸線(2b)が前記収容スプール(1)の回転軸線(1b)と一致する、請求項1に記載のワイヤソー。
  5. 前記保管スプール(2)が、100メートルを超える切断ワイヤ(3)を保管することが可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  6. 前記保管スプール(2)が、切断ワイヤ(3)を非重複状態で保管することが可能である、請求項1に記載のワイヤソー。
  7. 前記ワイヤ供給ユニット(5)が、前記収容スプール(1)の回転速度と前記保管スプール(2)の回転速度とを互いに同期化することが可能な同期化手段を包含する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  8. 前記同期化手段が前記保管スプール(2)と前記収容スプール(1)との間の固定接続であり、前記保管スプール(2)と前記収容スプール(1)とが共通の回転駆動装置を有している、請求項7に記載のワイヤソー。
  9. 前記保管スプール(2)と前記収容スプール(1)の各々が独自の回転駆動装置(10,11)を有し、前記回転駆動装置(10,11)に接続される制御デバイスの形の前記同期化手段が、前記回転駆動装置(10,11)を同期化する、請求項7に記載のワイヤソー。
  10. 前記ワイヤ案内手段(9)が、前記保管スプール(2)の長さにわたって前記保管スプール(2)の前記回転軸線(2b)に沿って移動可能であるトラベラプーリ(4)を包含する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  11. 前記トラベラプーリ(4)もまた前記収容スプール(1)の長さにわたって前記収容スプール(1)の前記回転軸線(1b)に沿って移動可能である、請求項10に記載のワイヤソー。
  12. 前記保管スプール(2)がドラムとして構成され、マントルを包含する、請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  13. 前記マントルが、螺旋ワイヤ案内溝を包含する、請求項12に記載のワイヤソー。
  14. 前記マントルが、弾性コーティングを包含する、請求項12に記載のワイヤソー。
  15. ワイヤソー(8)であって、切断エリア(13)と、前記切断エリア(13)で切断ワイヤ(3)を第1方向と前記第1方向と反対である第2方向に案内するためのワイヤ管理システム(7)であって、前記切断エリア(13)へ前記切断ワイヤ(3)を供給するためのワイヤ供給ユニット(5)と、前記切断エリア(13)から前記切断ワイヤ(3)を受け入れるためのワイヤ受入ユニット(6)とを包含するワイヤ管理システム(7)と、を包含し、
    前記ワイヤ受入ユニット(6)が、
    保管スプール(2)を駆動させて、その回転軸線(2b)を中心として回転する回転駆動装置(11)であって、前記保管スプール(2)は、前記切断ワイヤ(3)の一部分を一時的に受け入れ、前記ワイヤソー(8)の使用時には、前記保管スプール(2)の一端部と収容スプール(1)の一端部とが対向するように、新しいワイヤを装填するための前記収容スプール(1)が、着脱可能式に前記保管スプール(2)に取り付けられる、回転駆動装置(11)と、
    切断プロセスにおける前記ワイヤソー(8)の使用時には、10本以下の巻線が相互に前記保管スプール(2)の上で重複する、および/または、前記保管スプール(2)の上の前記巻線が前記収容スプール(1)の上の前記巻線よりも低い密度を有するように、前記切断ワイヤ(3)を前記保管スプール(2)へ案内するのに適応したワイヤ案内手段(9)と、
    を包含しているワイヤソー。
  16. 前記収容スプール(1)と前記保管スプール(2)とが相互に隣接して取り付けられる、請求項15に記載のワイヤソー。
  17. 前記保管スプール(2)のワイヤ支承面(2a)の長さが前記収容スプール(1)のワイヤ支承面(1a)の長さより大きい、請求項15に記載のワイヤソー。
  18. 前記保管スプール(2)の前記回転軸線(2b)が前記収容スプール(1)の回転軸線(1b)と一致する、請求項15に記載のワイヤソー。
  19. 前記保管スプール(2)が、100メートルを超える切断ワイヤ(3)を保管することが可能である、請求項15から18のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  20. 前記保管スプール(2)が、切断ワイヤ(3)を非重複状態で保管することが可能である、請求項15に記載のワイヤソー。
  21. 前記ワイヤ受入ユニット(6)が、前記収容スプール(1)の回転速度と前記保管スプール(2)の回転速度とを互いに同期化することが可能な同期化手段を包含する、請求項15から18のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  22. 前記同期化手段が前記保管スプール(2)と前記収容スプール(1)との間の固定接続であり、前記保管スプール(2)と前記収容スプール(1)とが共通の回転駆動装置を有している、請求項21に記載のワイヤソー。
  23. 前記保管スプール(2)と前記収容スプール(1)の各々が独自の回転駆動装置(10,11)を有し、前記回転駆動装置(10,11)に接続される制御デバイスの形の前記同期化手段が、各回転駆動装置(10,11)を同期化する、請求項21に記載のワイヤソー。
  24. 前記ワイヤ案内手段(9)が、前記保管スプール(2)の長さにわたって前記保管スプール(2)の前記回転軸線(2b)に沿って移動可能であるトラベラプーリ(4)を包含する請求項15から18のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  25. 前記トラベラプーリ(4)もまた前記収容スプール(1)の長さにわたって前記収容スプール(1)の前記回転軸線(1b)に沿って移動可能である、請求項24に記載のワイヤソー。
  26. 前記保管スプール(2)がドラムとして構成され、マントルを包含する、請求項15から18のいずれか1項に記載のワイヤソー。
  27. 前記マントルが、螺旋ワイヤ案内溝を包含する、請求項26に記載のワイヤソー。
  28. 前記マントルが、弾性コーティングを包含する、請求項26に記載のワイヤソー。
  29. ワイヤソー(8)による材料の切断方法であって、前記ワイヤソー(8)が、切断エリア(13)と、前記切断エリア(13)で切断ワイヤ(3)を第1方向と前記第1方向と反対である第2方向に案内するためのワイヤ管理システム(7)であって、前記切断エリア(13)へ前記切断ワイヤ(3)を供給するためのワイヤ供給ユニット(5)と、前記切断エリア(13)から前記切断ワイヤ(3)を受け入れるためのワイヤ受入ユニット(6)とを包含するワイヤ管理システム(7)と、を包含し、
    前記ワイヤ供給ユニット(5)と前記ワイヤ受入れユニット(6)のいずれか一方又は両方が、
    保管スプール(2)を駆動させて、その回転軸線(2b)を中心として回転する回転駆動装置(11)であって、前記保管スプール(2)は、前記切断ワイヤ(3)の一部分を一時的に受け入れ、前記ワイヤソー(8)の使用時には、前記保管スプール(2)の一端部と収容スプール(1)の一端部とが対向するように、新しいワイヤを装填するための前記収容スプール(1)が、着脱可能式に前記保管スプール(2)に取り付けられる、回転駆動装置(11)と、
    切断プロセスにおける前記ワイヤソー(8)の使用時には、10本以下の巻線が相互に前記保管スプール(2)の上で重複する、および/または、前記保管スプール(2)の上の前記巻線が前記収容スプール(1)の上の前記巻線よりも低い密度を有するように、前記切断ワイヤ(3)を前記保管スプール(2)へ案内するのに適応したワイヤ案内手段(9)と、を包含し、
    記切断方法は、切断プロセスを包含し、
    前記切断プロセスにおいて、前記切断ワイヤ(3)が新ワイヤ側(18)から使用後ワイヤ側(19)へ第1方向に移動する間に、前記切断ワイヤ(3)が前記ワイヤ供給ユニット(5)の前記保管スプール(2)から巻き出され、前記切断エリア(13)を移動し、前記使用後ワイヤ側(19)へ移送されて前記ワイヤ受入ユニット(6)の前記保管スプール(2)に巻き付けられ、
    前記切断ワイヤ(3)が前記使用後ワイヤ側(19)から前記新ワイヤ側(18)へ第2方向に移動する間に、前記切断ワイヤ(3)が前記ワイヤ受入ユニット(6)の前記保管スプール(2)から巻き出され、前記切断エリア(13)を移動し、前記新ワイヤ側(18)へ移送されて前記ワイヤ供給ユニット(5)の前記保管スプール(2)に巻き付けられる、切断方法。
  30. 新ワイヤ装填プロセスをさらに含み、前記新ワイヤ装填プロセスにおいて、前記ワイヤ供給ユニット(5)の前記収容スプール(1)からの前記切断ワイヤ(3)が、前記第1方向の前記切断エリア(13)に追加される、請求項29に記載の切断方法。
  31. 前記ワイヤソー(8)の前記ワイヤ受入ユニット(6)が、使用後ワイヤを収集するための収容スプール(1)を包含し、前記切断方法が使用後ワイヤの外向き移送プロセスを包含し、
    使用後ワイヤの前記外向き移送プロセスは、すでに使用された切断ワイヤ(3)の一部分が前記切断エリア(13)から前記ワイヤ受入ユニット(6)の前記収容スプール(1)へ移送されて、同時に切断ワイヤ(3)の一部分が前記ワイヤ供給ユニット(5)の前記保管スプール(2)から巻き出されて前記切断エリア(13)へ移送される、請求項29に記載の切断方法。
  32. 前記ワイヤ供給ユニット(5)の前記保管スプール(2)から巻き出され、前記切断エリア(13)へ移送される前記切断ワイヤ(3)の前記一部分が、前記切断エリア(13)から前記ワイヤ受入ユニット(6)の前記収容スプール(1)へ移送されるすでに使用された切断ワイヤ(3)の前記一部分と等しい長さである、請求項31に記載の切断方法。
  33. 前記第1方向での前記切断ワイヤ(3)の前記移動が、前記ワイヤ供給ユニット(5)の前記保管スプール(2)のワイヤ支承面(2a)の長さの少なくとも60%に切断ワイヤが存在しなくなるまで続けられてから、前記切断ワイヤ(3)の移動方向が逆転される、請求項29に記載の切断方法。
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