JP2018051741A - ワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法 - Google Patents

ワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法 Download PDF

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正明 高橋
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知之 河津
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Yoshio Nikami
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Abstract

【課題】砥粒が表面に固定されたワイヤの摩耗を抑制することのできるワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法を提供する。【解決手段】ワイヤソーは、固定砥粒のワイヤ10が巻き回された第1ボビン11と、ワイヤ10が巻き回される第2ボビン12と、第1ボビン11の回転駆動と第2ボビンの回転駆動とをそれぞれ制御する制御装置とを備える。制御装置は、第1ボビン11に巻き回されたワイヤ10が第2ボビン12へ送られる準備送りを行うとともに、準備送りしたワイヤ10の一部が第1ボビン11へ戻される復動と、復動で戻されたワイヤ10の一部が第2ボビン12へ送られる往動とを交互に繰り返させて、第2ボビン12に準備送りしたワイヤ10で被加工物100をスライスする。制御装置は、準備送りされるワイヤ10を第2ボビン12に単層であるように巻き回す。【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤ素線の表面に砥粒が固定されたワイヤによって被加工物をスライスするワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法に関する。
ワイヤソーは、第1ボビンから送られるワイヤを第2ボビンに巻き回す動作と、第2ボビンから送られるワイヤを第1ボビンに巻き回す動作とを交互に繰り返し、そのワイヤに被加工物を押し当てることによって被加工物を切断(スライス)する。
固定砥粒方式のワイヤソーは、ワイヤ素線の表面にダイヤモンドなどの砥粒が固定された固定砥粒ワイヤを用いて被加工物をスライスするため、砥粒と切削液とを含むスラリーをワイヤに供給して被加工物をスライスする遊離砥粒方式のワイヤソーよりもワイヤ線速度を高くできる利点を有する(例えば、特許文献1)。
国際公開第2013/011854号
ところで、固定砥粒方式のワイヤソーでは、ワイヤを送ることと巻き回すこととがボビンで繰り返されるとき、ボビンに巻き回される固定砥粒ワイヤと、ボビンに巻かれている固定砥粒ワイヤとが擦れ、また、ボビンに巻かれている固定砥粒ワイヤと、ボビンから送られる固定砥粒ワイヤとが擦れ、それによって、固定砥粒ワイヤが摩耗してしまう。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、砥粒が表面に固定されたワイヤの摩耗を抑制することを可能としたワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法を提供することにある。
上記課題を解決するワイヤソーは、砥粒が表面に固定されているワイヤが多層に巻かれている第1ボビンと、前記ワイヤが巻き回される第2ボビンと、前記ワイヤに対する前記第1ボビンの回転駆動と、前記ワイヤに対する前記第2ボビンの回転駆動とをそれぞれ制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1ボビンに巻かれているワイヤが前記第2ボビンへ送られる準備送りを行うとともに、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤの一部が前記第1ボビンへ戻される復動と、前記復動によって前記第1ボビンに戻されたワイヤの一部が前記第2ボビンへ送られる往動とを前記ワイヤに交互に繰り返させて、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤによって被加工物をスライスするものであって、前記制御装置は、前記準備送りされたワイヤが前記第2ボビンにおいて単層であるように、前記準備送りされるワイヤを前記第2ボビンに巻き回す。
上記課題を解決するワイヤソーの駆動方法は、砥粒が表面に固定されているワイヤが巻かれている第1ボビンと、前記ワイヤが巻き回される第2ボビンと、前記ワイヤに対する前記第1ボビンの回転駆動と、前記ワイヤに対する前記第2ボビンの回転駆動とをそれぞれ制御する制御装置と、を備えたワイヤソーを駆動する方法であって、前記制御装置が、前記第1ボビンに巻かれているワイヤを前記第2ボビンへ送る準備送りを行う工程とともに、前記制御装置が、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤの一部を前記第1ボビンへ戻す復動と、前記復動によって前記第1ボビンに戻されたワイヤの一部を前記第2ボビンへ送る往動とを、前記ワイヤに交互に繰り返させて、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤによって被加工物をスライスする工程とを備え、前記準備送りを行う工程においては、前記制御装置が、前記準備送りされたワイヤが前記第2ボビンにおいて単層であるように、前記準備送りされるワイヤを前記第2ボビンに巻き回す。
このような構成または方法によれば、砥粒が表面に固定されているワイヤが、第1ボビンから第2ボビンに準備送りによって送られる。準備送りされたワイヤは、1回の復動を通じて、被加工物のスライスに1度使用される。1度使用されたワイヤの一部は、第2ボビンへ再び送られ、1度使用されたワイヤの他部は、第1ボビンに残り続ける。そして、往動と復動との繰り返される回数が所定回数に到達するまでは、第1ボビンに巻き回されるワイヤの使用回数が1回ずつ増加する。この際、第1ボビンに巻き回されるワイヤにおいては、復動の回数が増えるほど、ワイヤから離脱した砥粒が多く、その表面はワイヤ素線に近づく。そのため、第1ボビンに巻かれているワイヤに対しては、ワイヤを送ることとワイヤを戻すこととが繰り返されるとはいえ、砥粒が表面に固定されたワイヤ同士の摩擦と比べて、第1ボビンに巻かれているワイヤと、第1ボビンに巻き回されるワイヤとの摩耗を軽減させることができる。また、ワイヤ素線に近い表面を有したワイヤが、使用中のワイヤの下層に位置する場合には、使用中のワイヤに対する摩耗を軽減させることもできる。そのうえ、第2ボビンにおいては、ワイヤが単層であるようにワイヤが巻き回されるため、第2ボビンにおいても、ワイヤの摩耗を軽減させることができる。
上記ワイヤソーは、前記各往動するワイヤの巻き回される位置を前記第2ボビンのなかで定める第2の位置決め部をさらに備え、前記制御装置は、前記第2ボビンの回転駆動と前記第2の位置決め部による位置決めとを制御することによって、前記各往動したワイヤが前記第2ボビンにおいて単層であるように、前記各往動するワイヤを前記第2ボビンに巻き回してもよい。
このような構成によれば、往動するワイヤが第2ボビンにおいて単層であるように、往動するワイヤが第2ボビンに巻き回される。そのため、第2ボビンにおけるワイヤの摩耗を、準備送りされたワイヤと往動したワイヤとの間、および、往動したワイヤ同士において軽減させることができる。
上記ワイヤソーにおいて、前記往動ごとに前記第1ボビンに残るワイヤの長さと、前記被加工物のスライスを完了するための前記往動の回数との乗算値が、前記被加工物ごとの供給長さであり、前記第1ボビンと前記第2ボビンとの間の引き回しに要する前記ワイヤの長さと前記供給長さとの合計が、前記被加工物ごとの使用量であり、前記制御装置は、前記準備送りするワイヤの長さを前記使用量としてもよい。
このような構成によれば、被加工物のスライスの開始から完了まで、上述した効果を継続的に得られる。
なお、第1ボビンに巻かれている未使用のワイヤにおいては、例えば、第1ボビンをワイヤソーに搭載する作業などに際して、上層のワイヤが下層内に食い込んでしまう場合がある。結果として、上層のワイヤを第1ボビンから第2ボビンへ送るときに、上層のワイヤにおいて断線を招く場合がある。そして、被加工物のスライスが行われている途中でワイヤのこうした断線が生じた場合には、被加工物そのものを廃棄せざるを得ない。この点、スライスの開始に先駆けて使用量のワイヤの全てが準備送りされる上記構成であれば、上述のようなスライス途中での断線を抑えることもできる。また、使用量よりも長いワイヤが準備送りされる構成と比べて、準備送りされるワイヤを単層で巻くための領域を縮小すること、また、準備送りされるワイヤを単層で巻くために要する時間を短縮することができる。
上記ワイヤソーにおいて、前記準備送りされるワイヤを単層で巻くための領域は、前記第1ボビンにおいて前記ワイヤを巻くための領域よりも広くてもよい。
このような構成によれば、準備送りされたワイヤを単層で巻くことが容易となる。
本発明のワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法によれば、固定砥粒ワイヤの摩耗を抑制することができる。
ワイヤソーを具体化した一実施形態について、その概略構造を示す概略図。 同実施形態のワイヤソーにおける電気的構成を示すブロック図。 同実施形態のワイヤソーにおけるスライス工程の流れを説明するフローチャート。 同実施形態のワイヤソーにおける加工位置と準備送り、復動および往動によるワイヤの配置との関係を模式的に示す模式図。 同実施形態のワイヤソーにおける準備送り後のワイヤの配置の概略を示す概略図。 同実施形態のワイヤソーにおける準備送り後の第2ボビンでのワイヤの配置構造を一部断面で示す一部断面図。 同実施形態のワイヤソーにおいて準備送り後の第1ボビンでのワイヤの配置構造を一部断面で示す一部断面図。 同実施形態のワイヤソーにおいてワイヤが往復移動する毎に第1ボビンに巻き残されるワイヤの使用回数を模式的に示すグラフ。 同実施形態のワイヤソーにおいてスライスが完了したときに第1ボビンに巻き残されるワイヤの配置構造を一部断面で示す一部断面図。 従来例のワイヤソーのスライス工程において、ワイヤが往復移動するとき、第1ボビンに対して巻き回され、および、送られるワイヤについて各部分の使用された回数を模式的に示すグラフ。 ワイヤソーを具体化した他の実施形態について、その第2ボビンの概略構造を示す概略図。 ワイヤソーを具体化したまた他の実施形態について、その第2ボビンの概略構造を示す概略図。 ワイヤソーを具体化したさらに他の実施形態について、その第1ボビンの概略構造を示す概略図。
ワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法を具体化した一実施形態を説明する。
図1に示すように、ワイヤソーは、図示しないフレームを有し、フレームには、未使用のワイヤ10を貯線する第1ボビン11と、使用済みのワイヤ10を回収する第2ボビン12とを備えている。
ワイヤ10の基端は第1ボビン11に固定され、ワイヤ10の先端は第2ボビン12に固定されている。第1ボビン11、および、第2ボビン12は、図示しないフレームに間隔をおいて回転可能に支持されている。第1ボビン11には、正逆回転可能な第1ボビン用モータ13の出力軸17が接続されている。第2ボビン12には、正逆回転可能な第2ボビン用モータ15の出力軸18が接続されている。
第1ボビン11、および、第2ボビン12の間に引き回されるワイヤ10の配線経路中には、一対の加工用ローラ20,21が間隔をおいて上記フレームに支持されている。一対の加工用ローラ20,21は、支持されたフレームにおいて回転可能である。加工用ローラ20,21は、紙面を貫通する方向に軸長を有するローラであって、加工用ローラ20,21の外周面には、ワイヤ10を案内するための溝が形成されている。ワイヤ10は、加工用ローラ20,21の外周面では溝に沿って配置されるとともに、2つの加工用ローラ20,21に架け渡されるようにして、一対の加工用ローラ20,21に周回されている。具体的には、一対の加工用ローラ20,21の間には、所定のピッチで複数列のワイヤ10が張架されている。ワイヤ列の所定のピッチは、被加工物100をスライスする厚みに応じて設定され、ワイヤ列の列数は、被加工物100をスライスする枚数に応じて設定される。
加工用ローラ20,21の間であって、ワイヤ列の上方には、被加工物100を支持・運搬するサドル39が昇降可能に配置されている。サドル39の下面には、被加工物100が装着される。サドル39は、ワイヤ列が被加工物100を貫通する位置までワイヤ列に対して下降可能に構成されている。サドル39は、被加工物100をワイヤ列に押し付け、そのワイヤ10の往復移動によって被加工物100をスライスする。サドル39は、1または複数の被加工物100を搬送可能であり、被加工物100の有無を示す信号をワイヤソーに出力する。
加工用ローラ20,21は、ワイヤ10の往復移動の速度が安定するように、ローラ用モータ22,23(図2参照)によって、第1ボビン11、および、第2ボビン12と同期して回転する。加工用ローラ20,21が回転することによって、加工用ローラ20,21の間に架け渡された複数列のワイヤ10は、第1ボビン11、および、第2ボビン12の間であってワイヤ10の延びる方向に往複する。
第1ボビン11、および、第2ボビン12の近傍となる位置には、第1、および、第2トラバーサローラ24,25が、ワイヤ10の往復移動の速度に併せて自転するとともに、第1ボビン11、および、第2ボビン12の軸線方向に沿って往復動可能に配置されている。第1ボビン11の近傍に位置する第1トラバーサローラ24は、第1ボビン11へ巻き回されるワイヤ10を案内するとともに、第1ボビン11から送られるワイヤ10を加工用ローラ20の方向へ案内する。第2ボビン12の近傍に位置する第2の位置決め部としての第2トラバーサローラ25は、第2ボビン12へ巻き回されるワイヤ10を案内するとともに、第2ボビン12から送られるワイヤ10を加工用ローラ21方向へ案内する。ワイヤ10の往復移動時には、第1トラバーサローラ24に接続された第1トラバーサ用モータ26、および、第2トラバーサローラ25に接続された第2トラバーサ用モータ27(図2参照)によって、第1トラバーサローラ24、および、第2トラバーサローラ25が自転、および、往復動する。そして、第1ボビン11、および、第2ボビン12に対して巻き回されるワイヤ10が案内される。
加工用ローラ20と第1ボビン11との間には第1ダンサアーム28が、加工用ローラ21と第2ボビン12との間には第2ダンサアーム29がそれぞれ揺動可能に設けられている。第1ダンサアーム28、および、第2ダンサアーム29の先端部には、ワイヤ10の張力を調節するための第1ダンサローラ30、および、第2ダンサローラ31が、ワイヤ10の往復移動の速度に併せて自転可能に支持されている。第1ダンサアーム28、および、第2ダンサアーム29の基端部には、第1ダンサアーム用モータ32(図2参照)、および、第2ダンサアーム用モータ33(図2参照)が接続されている。
第1ダンサローラ30、および、加工用ローラ20の間には、ワイヤ10を案内するためのガイドローラ34が設けられ、第2ダンサローラ31、および、加工用ローラ21の間には、ワイヤ10を案内するためのガイドローラ35が設けられている。
ワイヤ10は、固定砥粒ワイヤであって、ワイヤ素線10a(図6参照)と、該ワイヤ素線10aに固定された砥粒10b(図6参照)と、ワイヤ素線10aと砥粒10bとを固着しているバインダーとを有している。砥粒10bは、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN:Cubic boron nitride)、炭化ケイ素(SiC)、緑色炭化ケイ素(GC)、アルミナ等の材料からなる。なお、砥粒10bの固着方法は、電着、熱硬化などの公知の方法が用いられる。
第1ボビン11が備えるボビン本体40は、1対のフランジ部41の間に、円筒面である貯線面43を含む胴部を備えている。第2ボビン12が備えるボビン本体50は、1対のフランジ部51の間に、円筒面である貯線面53を含む胴部を備えている。第1ボビン11のボビン本体40には、スライスの開始時において未使用のワイヤ10が貯線され、第2ボビン12のボビン本体50には、スライスの終了時において使用済みとなったワイヤ10が貯線される。
第2ボビン12の貯線面53が有する面積は、第1ボビン11の貯線面43が有する面積よりも大きい。例えば、第2ボビン12の軸方向の長さである軸長は、第1ボビン11の軸方向の長さである軸長よりも長い。第2ボビン12の軸長は、第1ボビン11の軸長の2倍の長さであり、第2ボビン12の貯線面53の表面積が第1ボビン11の貯線面43の2倍の表面積を有している。こうした貯線面53の構成によって、第2ボビン12の貯線面53は、単一の被加工物100に対して、そのスライスを完了するために要する使用量のワイヤ10を単層で貯線面53に巻き回すことを容易とする。
第1ボビン11は、ボビン本体40がワイヤ10を送る方向に回転することで、貯線面43の外周面に巻かれた未使用のワイヤ10を第1ボビン11から送る。ボビン本体40がワイヤ10を送るときの回転を、第1ボビン11の正転とする。ボビン本体40が正転すると、第1ボビン11のワイヤ10が第2ボビン12に送られる。被加工物100のスライスが開始された状態で、第1ボビン11から第2ボビン12にワイヤ10が送られることを、ワイヤ10の往復移動のうちの往動とする。
第1ボビン11は、ボビン本体40がワイヤ10を巻き回す方向に回転することで、貯線面43の外周面にワイヤ10を巻き回す。ボビン本体40がワイヤ10を巻き回すときの回転を、第1ボビン11の逆転という。ボビン本体40が逆転すると、第2ボビン12から送られたワイヤ10が第1ボビン11に巻き回される。被加工物100のスライスが開始された状態で、第2ボビン12から第1ボビン11にワイヤ10が送られることを、ワイヤ10の往復移動のうちの復動とする。
第2ボビン12は、ボビン本体50がワイヤ10を巻き回す方向に回転することで、ボビン本体50の貯線面53の外周面にワイヤ10を巻き回す。ボビン本体50がワイヤ10を巻き回すときの回転を、第2ボビン12の正転という。ボビン本体50が正転すると、第1ボビン11から送られたワイヤ10が第2ボビン12に巻き回される。
第2ボビン12は、ボビン本体50がワイヤ10を送る方向に回転することで、貯線面53の外周面に巻かれたワイヤ10を第2ボビン12から送る。ボビン本体50がワイヤ10を送るときの回転を、第2ボビン12の逆転という。ボビン本体50が逆転すると、第2ボビン12に巻かれているワイヤ10が第1ボビン11に送られる。
次に、図2を参照して、ワイヤソーの電気的構成について説明する。
ワイヤソーは、ワイヤ10の往復移動を制御する制御装置60を備える。制御装置60は、第1,第2ボビン用モータ13,15、第1,第2トラバーサ用モータ26,27、第1,第2ダンサアーム用モータ32,33、および、ローラ用モータ22,23を、ワイヤ10の往復移動の速度が安定するように、同期させながら駆動する。
次に、図3〜図10を参照して、ワイヤソーの動作について説明する。なお、図5〜図8に示すワイヤ10の態様は、その巻き回されている密度や巻き数を便宜的に示されており、実際に巻き回されている密度や巻き数は、図5〜図8に示す態様に限定されない。また、ワイヤソーにおいて、第1ボビン11から第2ボビン12までワイヤ10が引き回されていることを前提に説明する。
ワイヤソーは、単一の被加工物100に対して、そのスライスを完了させるために要する長さのワイヤ10を、そのスライスの開始に先立ち、第1ボビン11から第2ボビン12へ送る処理である準備送りを行う。そして、ワイヤソーは、第2ボビン12へ準備送りされたワイヤ10を第1ボビン11と第2ボビン12との間で往復移動させることによって、被加工物100をワイヤ10の研磨によってスライスする。
以下、スライス加工の動作について詳しく説明する。
図3に示すように、ワイヤソーを作動させるための条件が成立すると、制御装置60は、ワイヤ10の往復移動に関する長さを設定する(ステップS10)。ワイヤ10の往復移動に関する長さは、例えば、新線供給長「LA」である。復動長「LB」、往動長「LC」、および、巻き残し長「LD」は、第1ボビン用モータ13や第2ボビン用モータ15に関して設定された時定数や最高速度に従って定まる。また、制御装置60は、設定された往復移動に関する長さの他に、被加工物100をスライスするために要する時間である加工時間を設定する。ワイヤ10が往復する回数である最大往復回数「n」は、設定された加工時間に従って定まる。なお、最大往復回数「n」、巻き残し長「LD」、往動長「LC」は、ワイヤ10の仕様や被加工物100の仕様等に応じて適切な値である。適切な値は、実験や経験、理論に基づいてその範囲が定められる。
図4を参照して、準備長、新線供給長「LA」、復動長「LB」、往動長「LC」、巻き残し長「LD」について説明する。なお、図4に示される加工位置は、被加工物100と接触するワイヤ10の長さを含み、第1ボビンと第2ボビンとの間の長さを有するが、説明の便宜上、一点として図示する。また、図4においては、復動長「LB」、往動長「LC」、巻き残し長「LD」の各符号に、数値が付加されているものがある。これら符号に付加された数値は、ワイヤ10の往復移動した回数に対応する。数値は、最大往復回数が「n」(n:正の整数)であり、「1〜n」の間の任意の整数が「x」であり、「m」は「n−1」である。新線供給長「LA」は、巻き残し長「LD」×最大往復回数「n」である。
図4に示すように、ワイヤソーは、ワイヤ10を復動させる長さである復動長「LB」を、往動させる長さである往動長「LC」よりも長くする。こうした長さの差異によって、ワイヤ10が往復移動する都度、復動長「LB」と往動長「LC」との差である巻き残し長「LD」のワイヤ10が第1ボビン11に残る。
単一の被加工物100に対して、そのスライスを完了するための往動の回数である最大往復回数「n」と、巻き残し長「LD」との乗算値が、被加工物100ごとの供給長さの一例である新線供給長「LA」である。また、第1ボビン11と第2ボビン12との間の引き回しに要するワイヤ10の長さ「L」と、新線供給長「LA」との合計が、被加工物100ごとの使用量であり、各被加工物100に対して1回ずつ行われる順送りにおいて、準備送りされるワイヤ10の長さである。そして、第2ボビン12に準備送りしたワイヤ10のなかの新線供給長「LA」の全長が第1ボビン11に巻き残されるまでの間に、被加工物100のスライスが完了する。
図3に示すように、準備長を定めるための新線供給長「LA」が設定されると、制御装置60は、ワイヤ10を第1ボビン11から第2ボビン12に準備送りする準備送り工程を行う(ステップS14)。準備送り工程では、第2ボビン12の近傍の第2トラバーサローラ25が、ワイヤ10の直径φ(図6参照)よりも広いピッチd(図6参照)で第2ボビン12の貯線面53にワイヤ10を案内する。
図5に示すように、準備送りされたワイヤ10は、第2ボビン12においてそれが単層であるように巻き回される。ここで、1回目の準備送りにおいて単層であるようにとは、準備送りされるワイヤ10が第2ボビン12の貯線面53で積み重ならないように、準備送りされるワイヤ10が巻き回されることをいう。また、2回目以降の準備送りにおいて単層であるようにとは、第2ボビン12の貯線面53にすでに巻かれている使用済みのワイヤ10を下層として、準備送りされるワイヤ10同士が積み重ならないように、準備送りされるワイヤ10が巻き回されることをいう。
図6には、1回目の準備送りで第2ボビン12の貯線面53に単層で巻き回されたワイヤ10を示す。第2ボビン12は、ワイヤ素線10aの直径φよりも長い間隔であるピッチdでワイヤ10が巻かれている。第2ボビン12に案内されたワイヤ10同士は接触しないため、貯線面53においてワイヤ10同士の接触のおそれが低減され、ワイヤ10同士の接触によって生じるそれらワイヤ10の摩耗が抑制される。ここで、ピッチdは、ワイヤ素線10aの直径φよりも長く、好ましくは、隣接するワイヤ素線10aの表面に接着されている砥粒10b同士が擦れ合わない程度の間隔である。なお、説明の便宜上、第2ボビン12において予め下層に使用済みのワイヤ10が巻き回されている場合についての説明については割愛する。
図3に示すように、準備送り工程が終了すると、制御装置60は、2つの加工用ローラ20,21の間に架け渡されたワイヤ10に、被加工物100を所定の力で押し付ける。また制御装置60は、2つの加工用ローラ20,21の間でワイヤ10を往復移動させる。これによって、ワイヤ10の最大往復回数「n」回以下の往復移動で被加工物100がスライスされる。詳述すると、制御装置60は、第2ボビン12に準備送りしたワイヤ10を第1ボビン11に復動させる復動工程を行う(ステップS15)。復動工程では、ワイヤ10が復動長「LB」だけ復動されることで被加工物100の一部が削り取られる。続いて、制御装置60は、第1ボビン11に巻き回したワイヤ10を第2ボビン12に往動させる往動工程を行う(ステップS16)。往動工程では、ワイヤ10が往動長「LC」だけ往動されることによって、被加工物100の一部がさらに削り取られる。
復動工程と往動工程とが終了すると、制御装置60は、ワイヤ10の往復移動を繰り返すか否かを判断する(ステップS17)。ここで、スライスの開始から経過した時間が加工時間に到達していなければ往復移動を繰り返すと判断され、逆に、スライスの開始から経過した時間が加工時間に到達していれば往復移動を繰り返さないと判断される。
往復移動を繰り返すと判断した場合(ステップS17でYES)、制御装置60は、処理をステップS15に戻し、復動工程、および、往動工程の処理を実行する。
一方、往復移動を繰り返さないと判断した場合(ステップS17でNO)、制御装置60は、被加工物100のスライスを終了し、ワイヤソーから被加工物100を離脱させるようにするとともに、次のスライス対象である被加工物100があるか否かを判断する(ステップS18)。スライス対象があるか否かは、サドル39からの信号等に基づいて判断する。例えば、次の被加工物100がセットされている信号に基づいて次の被加工物100があると判断し、逆に、次の被加工物100がセットされていない信号に基づいて次の被加工物100がないと判断する。
次の被加工物100があると判断した場合(ステップS18でYES)、制御装置60は、準備長を定めるためのステップ(ステップS14)に戻るとともに、それ以降の処理を実行する。一方、次の被加工物100がないと判断した場合(ステップS18でNO)、制御装置60は、スライスを行うための処理を終了する。
図7〜図9を参照して、第1ボビン11におけるワイヤ10の動作について説明する。
図7に示すように、被加工物100のスライスを開始する前において、第1ボビン11には、未使用のワイヤ10のみが巻かれている。未使用のワイヤ10は、1回目の準備送り工程で、準備長の長さだけ、第1ボビン11から送られ、第2ボビン12へ巻き回される。例えば、図7に示すように、1回目の準備送りでは、第1ボビン11の第1層目J1と第2層目J2とから未使用のワイヤ10が準備送りされる。
その後、1回目の往復移動が行われる。復動工程で、第1ボビン11には、被加工物100をスライスしたワイヤ10が復動長「LB」だけ巻き回される。続いて、往動工程で、第1ボビン11は、ワイヤ10を往動長「LC」だけ往動させる。この往復移動によってワイヤ10による被加工物100のスライスが実行される。また、準備送りされたワイヤ10のなかで巻き残し長「LD」のワイヤ10が、第1ボビン11に巻き残される。このとき、1回目の往復移動による巻き残し長「LD1」は、巻き残し長「LD」である。
次に、2回目の往復移動が行われる。復動工程で、第1ボビン11には、被加工物100をスライスしたワイヤ10が復動長「LB」だけ巻き回される。続いて、往動工程で、第1ボビン11は、ワイヤ10を往動長「LC」だけ往動させる。この往復移動によってワイヤ10による被加工物100のスライスが実行される。また、準備送りされたワイヤ10のなかで巻き残し長「LD」のワイヤ10が、さらに第1ボビン11に巻き残される。このとき、2回目の往復移動による巻き残し長「LD2」は、巻き残し長「LD」である。そして、1回目の往復移動、および、2回目の往復移動によって、巻き残し長「LD」×2の長さに相当するワイヤ10が、第1ボビン11に巻き残される。
以降、スライスのための3回目以降の往復移動が行われ、往復移動の都度、巻き残し長「LD」の長さのワイヤ10が、第1ボビン11に巻き残される。ここで、往復回数を「x」とすれば、「x」回目の往復移動では、巻き残し長「LDx」が「LD×x」の長さになる。そして、往復移動回数が最大往復回数「n」のとき、ワイヤ10の巻き残し長「LDn」の長さが「LD×n」の長さになる。すなわち、新線供給長「LA」に相当するワイヤ10が、第1ボビン11に巻き残される。
図8に示すように、ワイヤ10が往復移動を繰り返す過程において、第1ボビン11に巻き回されるワイヤ10におけるスライスに使用された回数は、往復移動の回数が増加することに応じて増加する。例えば、スライスに使用された回数は、1回目の復動時では1回であり、それ以降は、往復移動毎に2回ずつ増加する。また、第2ボビンに巻かれているワイヤ10は、各往復移動において、巻き残し長「LD」ずつ、第1ボビン11の方向に移動する。このことから、ワイヤ10上のある1点についての使用回数は、最大で「(復動長「LB」/巻き残し長「LD」)×2−1」回になる。図8では、1点当たりの最大往復回数「u」を「復動長「LB」/巻き残し長「LD」」としている。そして、スライスに使用されたワイヤ10は、被加工物100との摩擦等によって、ワイヤ素線10aの表面に固定された砥粒10bが脱落したり、摩耗したりしている。よって、最大使用回数だけ使用された場合も含めて、使用中、および、使用済みのワイヤ10の表面は、未使用のワイヤ10の表面と比べて、凹凸が少なく、滑らかであり、ワイヤ素線10aの表面に近い表面を有する。
図9に示すように、第1ボビン11には、復動長「LB」のワイヤ10が巻き回され、巻き残し長「LD」のワイヤ10が巻き残される。例えば、復動工程では、準備送り後に最外周となる第1ボビン11の第3層目J3の未使用のワイヤ10の上に、使用中、および、使用済みのワイヤ10が巻き回されて、第2層目J2、および、第1層目J1を構成する。このとき、上述のように、使用中、および、使用済みのワイヤ10の表面は、未使用のワイヤ10の表面に比べて摩擦が小さくなっている。よって、往復移動する使用中、および、使用済みのワイヤ10と、また未使用のワイヤ10との相互の摩擦が低く抑えられ、第1ボビン11で繰り返されるワイヤ10の巻き回し、および、ワイヤ10の送りにおいて、未使用のワイヤ10や、使用中、および、使用済みのワイヤ10が摩耗するおそれが抑制される。
図10には、第1ボビン11と第2ボビン12との間でワイヤ10を往復移動させながら、第1ボビン11に巻かれているワイヤ10を少しずつ第2ボビン12に送る例を従来例として、この従来例におけるワイヤ10の使用回数を示す。使用回数は、整数値であり、所定の長さ毎に変化するため、これを図示すると階段状になるが、図10においては、説明の便宜上、直線によって示す。
従来例において、ワイヤ10の使用回数は、ワイヤ10の長さ方向において、第1ボビン11に近い部分で常に少なく、第1ボビン11から離れるほど多く、第2ボビン12に近い部分で最大使用回数qに到達する。このため、従来例では、ワイヤ10が往復移動する都度、スライスに使用中であってまだ高い研磨力を有する使用中のワイヤ10が、第1ボビン11における未使用のワイヤ10に重ね合わされる。結果として、ワイヤ10が往復移動する都度、高い研磨力を有したワイヤ10が、同じく高い研磨力を有した他のワイヤ10を研磨してしまう。そのため、使用中のワイヤ10、および、未使用のワイヤ10が被加工物をスライスすること以外のことを要因として、ワイヤ10の研磨力が低下したり、強度が低下したりする。
一方、本実施形態のワイヤソーにおいて、第1ボビン11に巻き回されるワイヤ10は、所定回の往復移動した後には、最大使用回数だけ使用されたものになる。つまり、本実施形態のワイヤソーによれば、往復移動するワイヤ10が第1ボビン11に巻き回されるとしても、その巻き回されるワイヤ10がワイヤ素線10aに近い状態であるため、高い研磨力を有したワイヤ10が、同じく高い研磨力を有した他のワイヤ10を研磨することが抑えられる。よって、巻き回される使用中、および、使用済みのワイヤ10、および、未使用のワイヤ10について、それらワイヤ10の研磨力や強度が高く維持される。
次に、第2ボビン12におけるワイヤ10の動作について説明する。
図6に示すように、第2ボビン12は、1回目のスライスでは、貯線面53に単層で巻き回される。往復移動するワイヤ10は、この貯線面53に対して接触しながら、巻き回しと送りとを繰り返す。ここで、貯線面53は、ワイヤ10を巻き回すための面であって、ワイヤ10のような研磨力を有しない摩擦の小さな面である。よって、貯線面53に巻き回されたワイヤ10が貯線面53によって研磨されるおそれは低く、ワイヤ10に研磨力や強度の低下が生じるおそれがない。
また、第2ボビン12は、2回目かそれ以降の往復移動以降のスライスでは、使用済みのワイヤ10が下層として巻かれている。つまり、ワイヤ10が往復移動するとき、第2ボビン12に巻き回されている使用済みワイヤ10の上に、使用中のワイヤ10の巻き回しと送りとが繰り返される。ここで、使用済みワイヤ10は研磨力が低下していることから、この使用済みワイヤ10の上層に巻き回されたワイヤ10が同使用済みワイヤ10によって研磨されるおそれは低く、使用中のワイヤ10に研磨力の低下や強度の低下が生じるおそれが低下する。
以上、本実施形態のワイヤソー、および、ワイヤソーの駆動方法によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)被加工物100をスライスできる長さのワイヤ10が一旦、第2ボビン12に準備送りで送られる。そして、被加工物100のスライスに使用されたワイヤ10が第1ボビン11に巻き回される。使用されたワイヤ10の表面においては、それがスライスに使用される毎に、固定された砥粒が摩耗したり離脱したりする。そのため、ワイヤ10の巻き回しおよび送りが第1ボビン11に対して行われるとしても、第1ボビン11に巻かれている未使用のワイヤ10の摩耗、および、使用中や使用済みのワイヤ10の摩耗は軽減される。これにより、被加工物100のスライスに要する時間の短縮、必要なワイヤ長の短縮、スライス面の精度向上等が図られるようになる。
(2)また、ワイヤ10が第2ボビン12に単層であるように巻き回されることから、第2ボビン12においても、巻き回しおよび送られるワイヤ同士が接触することがないため、ワイヤ10の摩耗が軽減する。また、使用済みのワイヤ10が下層に巻き回されていたとしても、使用済みのワイヤ10の表面は使用中のワイヤ10の表面よりも滑らかであるため、この上に巻き回しおよび送られる使用中のワイヤ10の摩耗も軽減される。これによっても、被加工物100のスライスに要する時間の短縮、必要なワイヤ長の短縮、スライス面の精度向上等が図られるようになる。
(3)第2トラバーサローラ25によって、往動されるワイヤ10が第2ボビン12に単層であるように巻き回されるようになる。そのため、第2ボビン12におけるワイヤ10の摩耗を、準備送りされたワイヤ10と往動したワイヤ10との間、および、往動したワイヤ10同士において軽減させることもできる。
(4)第2ボビン12のワイヤ10の巻き回される面(貯線面53)が第1ボビン11のワイヤ10の巻き回される面(貯線面43)よりも広いため、第2ボビン12にワイヤ10を単層で巻き回すことが容易である。また、第2ボビン12に単層でワイヤ10を巻き回せる長さを長くすることができるため、より大きな被加工物100のスライスに対応することもできる。
(5)第1ボビン11と第2ボビン12との間の引き回しに要するワイヤ10の長さ「L」と、新線供給長「LA」との合計が、被加工物100ごとの使用量であり、準備送りするワイヤの長さは、この使用量に設定される。そのため、被加工物100のスライスの開始から完了まで、上記(1)から(3)に準じた効果を継続的に得られる。
(6)第1ボビン11に巻かれている未使用のワイヤにおいては、例えば、第1ボビン11をワイヤソーに搭載する作業などに際して、上層のワイヤ10が下層内に食い込んでしまう場合がある。結果として、上層のワイヤ10を第1ボビン11から第2ボビン12へ送るときに、上層のワイヤ10において断線を招く場合がある。そして、被加工物100のスライスが行われている途中でワイヤ10のこうした断線が生じた場合には、被加工物100そのものを廃棄せざるを得ない。この点、スライスの開始に先駆けて使用量のワイヤ10の全てが準備送りされるため、上述のようなスライスの途中での断線を抑えることもできる。また、使用量よりも長いワイヤが準備送りされる構成と比べて、準備送りされるワイヤを単層で巻くための領域を縮小すること、また、準備送りされるワイヤを単層で巻くために要する時間を短縮することができる。
(7)制御装置60は、各被加工物100に対して1回ずつ準備送りを行うと共に、準備送りするワイヤ10の全てを第1ボビン11に巻かれている未使用のワイヤ10とする。そのため、(5)に準じた効果が、各被加工物100において得られると共に、各被加工物100のスライスに使用されるワイヤ10の性状に対する再現性を高めることも可能である。すなわち、各被加工物100のスライスにおけるバラツキを抑えることが可能でもある。
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
[被加工物]
・上記実施形態でインゴットを特に限定していないが、インゴットは、例えば、半導体用シリコン、太陽電池用シリコン、サファイアガラス等からできたものであってもよい。
[制御装置]
・制御装置60は、第1ボビン11および第2ボビン12の回転を制御する装置としたが、第1ボビン11の回転を制御する装置と、第2ボビン12の回転を制御する装置とを別に設け、各装置によって制御装置60が構成されてもよい。
[ボビン]
・上記実施形態では、第1ボビン11にはワイヤ10が多層に巻き残される場合について例示した。これに限らず、第1ボビンにワイヤ10が単層に巻き残されてもよい。これによれば、第1ボビンにおける使用中のワイヤ相互の接触が抑制されて、ワイヤの摩耗が抑制されるようになる。
・上記実施形態では、第2ボビン12のサイズが第1ボビン11のサイズよりも大きい場合について例示した。これに限らず、準備送りされるワイヤ10を単層に巻き回すことができる広さを第2ボビン12の貯線面53が有するのであれば、第2ボビン12のサイズよりも第1ボビン11のサイズが大きくてもよい。この際、制御装置60は、第1ボビン11に復動するワイヤ10同士が重ならないように巻き回す。
こうした構成においては、復動するワイヤ10を第1ボビン11に単層で巻き回すことが可能ともなるため、第1ボビン11に対して巻き回される、および、送られるワイヤ10同士が摩耗を生じさせるおそれが低減される。なお、第1ボビン11のサイズは、例えば第2ボビン12よりも径を大きくしたり、第2ボビン12よりも軸方向の長さを長くしたりすることによって、第2ボビン12のサイズより大きくすることができる。
・上記実施形態では、第2ボビン12の軸長が第1ボビン11の軸長よりも長い場合について例示した。これに限らず、被加工物100をスライスするワイヤ10を単層に巻き回すことができる広さを第2ボビン12の貯線面53が有するのであれば、第2ボビン12の外径が第1ボビン11の外径よりも大きくてもよい。第2ボビン12の外周面を形成する径を大きくすることによって、第2ボビン12にワイヤ10を単層であるように巻き回すことのできる面を増大させることができる。
例えば、図11に示すように、第2ボビン12の外径が第1ボビン11の外径の約2倍であってもよい。
また、第2ボビン12の軸長、および、外径が第1ボビン11の軸長、および、外径よりも大きくてもよい。
例えば、図12に示すように、第2ボビン12が第1ボビン11に対して、軸長が約2倍、軸径が約2倍であってもよい。
さらに、第2ボビン12の数量が2つであって、準備送りされるワイヤ10を2つの第2ボビン12に架け渡すことも可能である。要は、準備送りされるワイヤ10を単層で巻くための領域は、準備送りされるワイヤ10を単層に巻き回すことができる広さを有していればよく、相互に隣り合うワイヤ10の間の距離を長くして巻き回すことを容易なものとできる観点において、第1ボビン11におけるワイヤ10を巻くための領域よりも広いことが好ましい。
・上記実施形態では、第2ボビン12のサイズが第1ボビン11のサイズよりも大きい場合について例示した。これに限らず、準備送りされるワイヤ10を単層に巻き回すことができる広さを第2ボビン12の貯線面53が有するのであれば、第2ボビン12のサイズが第1ボビン11のサイズと同じ大きさであってもよいし、第1ボビン11のサイズよりも小さくてもよい。
例えば、図13に示すように、第1ボビン11のサイズは、準備送りされるワイヤ10を単層に巻き回すことができる大きさと同様であってもよい。
・上記実施形態では、第2ボビン12の貯線面53の面積は、第1ボビン11の貯線面43よりも広い場合について例示した。これに限らず、第2ボビン12の貯線面53において準備送りしたワイヤ10を単層で巻き回すことができるのであれば、第2ボビン12の貯線面53の面積が第1ボビン11の貯線面43の面積と同じ、もしくは、それより小さくてもよい。
[ワイヤ長]
・上記実施形態では、復動長に対して往動長が短い場合について例示したが、これに限らず、制御装置60は、往復移動の1回おき、もしくは、往復移動の2回以上おき毎に、復動長に対して往動長を短くする制御を行ってもよい。こうしたワイヤ長の制御によっても、第2ボビン12に準備送りされたワイヤ10が第1ボビン11に巻き残されるようになる。
・上記実施形態では、準備送りされるワイヤ10の長さが、第1ボビン11と第2ボビン12との間の引き回しに要するワイヤ10の長さ「L」と、新線供給長「LA」との合計である使用量である場合について例示した。これに限らず、準備送りされるワイヤ10の長さは、使用量未満であってもよいし、あるいは、複数回分の使用量であってもよい。準備送りされるワイヤ10の長さは、第1ボビン11と第2ボビン12との間の引き回しに要するワイヤ10の長さ「L」と、復動長「LB」との合計以上であればよい。
・上記実施形態において、制御装置60は、各被加工物に対して1回ずつ準備送りを行うと共に、準備送りするワイヤの全てを第1ボビン11に巻かれている未使用のワイヤとしてもよい。あるいは、制御装置60は、各被加工物に対して1回ずつ準備送りを行うと共に、準備送りするワイヤの一部が、第1ボビン11に巻かれている未使用のワイヤであって、準備送りするワイヤの他部が、前回の準備送りされたワイヤ10の一部であってもよい。
[単層巻き]
・上記実施形態では、第2ボビン12には、準備送り、および、各往動のとき、ワイヤ10が単層であるように巻き回される場合について例示した。これに限らず、少なくとも準備送りのときにワイヤ10が単層であるように巻き回されれば、使用前、および、使用直後のワイヤ10同士の接触が抑制されてワイヤの摩耗が抑制される。
・上記実施形態では、第1トラバーサローラ24が第1ボビン11へ巻き回されるワイヤ10を案内し、第2トラバーサローラ25が第2ボビン12へ巻き回されるワイヤ10を案内する場合について例示した。これに限らず、第1ボビン11へ巻き回されるワイヤ10を適切に案内することができるのであれば、第1ボビン11へ巻き回されるワイヤを第1トラバーサローラ以外の構造で案内してもよい。また、第2ボビン12へ巻き回されるワイヤ10を適切に案内することができるのであれば、第2ボビン12へ巻き回されるワイヤ10を第2トラバーサローラ以外の構造で案内してもよい。トラバーサローラ以外の構造であれ、巻き回されるワイヤ10をボビンの適切な位置に案内できればよい。
また、巻き回されるワイヤ10をボビンの適切な位置に案内できる構造であれば、第1、および、第2トラバーサローラ24,25のうちの少なくとも一方がトラバーサローラ以外の構造であってもよい。
10…ワイヤ、10a…ワイヤ素線、10b…砥粒、11…第1ボビン、12…第2ボビン、13…第1ボビン用モータ、15…第2ボビン用モータ、17,18…出力軸、20,21…加工用ローラ、22,23…ローラ用モータ、24…第1トラバーサローラ、25…第2トラバーサローラ、26…第1トラバーサ用モータ、27…第2トラバーサ用モータ、28…第1ダンサアーム、29…第2ダンサアーム、30…第1ダンサローラ、31…第2ダンサローラ、32…第1ダンサアーム用モータ、33…第2ダンサアーム用モータ、34,35…ガイドローラ、39…サドル、40…ボビン本体、41…フランジ部、43…貯線面、50…ボビン本体、51…フランジ部、53…貯線面、60…制御装置、100…被加工物。

Claims (5)

  1. 砥粒が表面に固定されているワイヤが多層に巻かれている第1ボビンと、
    前記ワイヤが巻き回される第2ボビンと、
    前記ワイヤに対する前記第1ボビンの回転駆動と、前記ワイヤに対する前記第2ボビンの回転駆動とをそれぞれ制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記第1ボビンに巻かれているワイヤが前記第2ボビンへ送られる準備送りを行うとともに、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤの一部が前記第1ボビンへ戻される復動と、前記復動によって前記第1ボビンに戻されたワイヤの一部が前記第2ボビンへ送られる往動とを前記ワイヤに交互に繰り返させて、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤによって被加工物をスライスするものであって、
    前記制御装置は、前記準備送りされたワイヤが前記第2ボビンにおいて単層であるように、前記準備送りされるワイヤを前記第2ボビンに巻き回す
    ことを特徴とするワイヤソー。
  2. 前記各往動するワイヤの巻き回される位置を前記第2ボビンのなかで定める第2の位置決め部をさらに備え、
    前記制御装置は、前記第2ボビンの回転駆動と前記第2の位置決め部による位置決めとを制御することによって、前記各往動したワイヤが前記第2ボビンにおいて単層であるように、前記各往動するワイヤを前記第2ボビンに巻き回す
    請求項1に記載のワイヤソー。
  3. 前記往動ごとに前記第1ボビンに残るワイヤの長さと、前記被加工物のスライスを完了するための前記往動の回数との乗算値が、前記被加工物ごとの供給長さであり、
    前記第1ボビンと前記第2ボビンとの間の引き回しに要する前記ワイヤの長さと前記供給長さとの合計が、前記被加工物ごとの使用量であり、
    前記制御装置は、前記準備送りするワイヤの長さを前記使用量とする
    請求項1または2に記載のワイヤソー。
  4. 前記準備送りされるワイヤを単層で巻くための領域は、前記第1ボビンにおいて前記ワイヤを巻くための領域よりも広い
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のワイヤソー。
  5. 砥粒が表面に固定されているワイヤが巻かれている第1ボビンと、
    前記ワイヤが巻き回される第2ボビンと、
    前記ワイヤに対する前記第1ボビンの回転駆動と、前記ワイヤに対する前記第2ボビンの回転駆動とをそれぞれ制御する制御装置と、を備えたワイヤソーを駆動する方法であって、
    前記制御装置が、前記第1ボビンに巻かれているワイヤを前記第2ボビンへ送る準備送りを行う工程とともに、前記制御装置が、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤの一部を前記第1ボビンへ戻す復動と、前記復動によって前記第1ボビンに戻されたワイヤの一部を前記第2ボビンへ送る往動とを、前記ワイヤに交互に繰り返させて、前記第2ボビンに準備送りされたワイヤによって被加工物をスライスする工程とを備え、
    前記準備送りを行う工程においては、前記制御装置が、前記準備送りされたワイヤが前記第2ボビンにおいて単層であるように、前記準備送りされるワイヤを前記第2ボビンに巻き回す
    ことを特徴とするワイヤソーの駆動方法。
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