JP2009184023A - ワイヤソーによるワーク切断方法及びワイヤソー切断装置 - Google Patents

ワイヤソーによるワーク切断方法及びワイヤソー切断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】固定砥粒式ワイヤソーにおけるワークの切断精度を向上。
【解決手段】芯線の周囲に砥粒を固着したワイヤソーを一定間隔で設けられた溝を有する複数本のガイドローラの前記溝内に巻き掛けてワイヤソー列を形成し、ワイヤソーを往復走行させ、前記ワークを複数のウェーハに切断するワイヤソーによるワーク切断方法において、下記工程(a),(b)を繰り返すサイクル走行を行うことを特徴とするワイヤソーによるワーク切断方法。
(a)ワイヤソー上の基準点Pが、往方向の走行長さF1より復方向の走行長さB1が小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、第1基準位置P1から出発し、第2基準位置P2に到達するまで繰り返す。
(b)ワイヤソー上の基準点Pが、復方向の走行長さB2より往方向の走行長さF2が小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、前記第2基準位置P2から出発し、前記第1基準位置P1に到達するまで繰り返す。
【選択図】図3

Description

本発明はワイヤソーによるワーク切断方法及びワイヤソー切断装置に関し、特にシリコン、ガラス、磁性体、水晶、サファイアなどのインゴットのスライス加工において使用される固定砥粒ワイヤソーによるワーク切断方法及びワイヤソー切断装置に関する。
ワイヤソー切断装置は、複数のガイドローラ間に一定間隔で張られ高速走行するワイヤに棒状のワーク(インゴット)を一定速度あるいは切込み位置により速度を変化させながら押し当てることにより、棒状のワーク(インゴット)を切断して複数枚のウェーハを同時に製造する装置である。
図4に、ワイヤソー切断装置の構成例を示す。
ワイヤソー切断装置10において、巻出しボビン11から供給されたワイヤソー1は、プーリー12により進行方向及び通過位置が変えられて、クーラントノズル13を備えた2つのガイドローラ14に巻き掛けられる。その結果、2つのガイドローラ14の間にその長手方向に沿ってワイヤソー1が間隔をおいて複数箇所に張られた状態となる。この構成によって、巻出しボビン11、巻取りボビン17とガイドローラ14とが同期して正転・逆転を繰り返すことでワイヤソー1が往復走行を行う。ワイヤソー1は、2つのガイドローラ14間で往復し、このワイヤソー1に対して、ブロック16によって固定されたワーク15が押し付けられることによって、ワーク15が複数箇所で切断される。なお、ガイドローラ14を通過したワイヤソー1はプーリー12によって、進行方向及び通過位置が変えられて巻取りボビン17によって巻き取られる。このとき、ガイドローラ14にはクーラントノズル13から加工液(冷却液)が供給される。
ワイヤソーには、ワイヤとワークの接触部に砥粒を含む加工液を供給する、いわゆる遊離砥粒式ワイヤソーと、芯線の周面にボンド材によってGC(グリーンカーボン)またはダイヤモンド、CBNなどの砥粒を固着した、いわゆる固定砥粒式ワイヤソーがある。図5に固定砥粒式ワイヤソーの拡大図を示す。固定砥粒式ワイヤソーは、φ0.06〜0.20mm程度の細い芯線1aに砥粒1bを均一にボンド材1cで固着する必要があるため、ワイヤ単位長さ当たりの工具費用が遊離砥粒式ワイヤソーと比較して高いため、イニシャルコストが高い。しかしながら、固定砥粒式ワイヤソーは線速を高くできる、ワーク送り速度を高くできるなどのメリットがある。特に、サファイア、単結晶SiCなどの砥粒は硬質材であるため、遊離砥粒式では切断速度が小さく、加工時間が長くなる。このようなケースでは、固定砥粒方式ワイヤソーの方が使用されることが多い。
また、このようなワイヤソー切断装置でワークを切断するときにおけるワイヤソーの切断方式として、ワイヤを一方向のみに走行させて切断を行う方式(以下、「一方向切断方式」と称す。)と、ワイヤを往復走行させて切断を行う方式(以下、「往復切断方式」と称す。)がある。一方向切断方式では、高い線速での長時間走行が可能であるため、加工能率が高い一方、インゴット径が大きい場合、1切断するために数百kmのワイヤソーが必要となり、単位長さ当たりの工具費用が遊離砥粒式ワイヤソーと比較して高い固定砥粒式ワイヤソーの利用には適さない。そのため、固定砥粒式ワイヤソーの利用方法として往復切断方式が好適である。
往復切断方式において、ワイヤソーを往復走行させてワーク15を切断すると、ワイヤソーの走行方向が切り替わるたびにワイヤソーが一時停止して線速がゼロになるため、ウェーハ表面に図6(a)に示すようなソーマークによる段差が生じてウェーハ表面精度が悪くなるという欠点がある。この現象の対策の一つに、往復長さを短くする方法がある。図6(b)には往復長さを短くした場合にウェーハ上に発生するソーマークを示す。すなわち、往復長さを短くすることによって、ワイヤの往復回数が増え、1往復間にワークに切込む量が少なくなることによりウェーハ上に発生するソーマークの山の高さが低くなる。
また、往復切断方式では往方向と復方向の走行長さを同じにして往復走行させると、常に同一部分でワークやガイドローラやプーリーなどの器具に接触し、金属疲労により器具との接触部分からワイヤソーの断線が起こりやすいという問題がある。この現象は特に往復長さが短いときに特に起こりやすい。
そのため、例えば特許文献1において開示されているような従来の遊離砥粒式ワイヤソーでは、巻出しボビン11から巻取りボビン17に向かう方向(往方向)の走行長さを、巻取りボビン17から巻出しボビン11に向かう方向(復方向)の走行長さより多く設定することにより、平均的には巻出しボビン11から巻取りボビン17に向かう方向(往方向)にワイヤソー1を供給するようにしている(例えば往方向に100m走行して、復方向に90m走行すると、次の往方向走行の際に巻出しボビン11から新しいワイヤソーが10m供給されることになる。)。この方法では徐々に新しいワイヤソーが供給されるため、ワイヤソーのある特定の部分のみがプーリーなどと接触することはないので、金属疲労が起こりづらく、ワイヤソーの断線のリスクが低減するという利点がある。
特開2005−186222号公報
ところで、固定砥粒方式ワイヤソーでワークの切断を行う場合、ワークとの摩擦によってワイヤソーに固着された砥粒が摩耗するため、徐々にワイヤソーの切味が低下する。砥粒が摩耗する量は砥粒のワーク加工量で決まるため、ワークと接触する時間が長くなる往復走行方式では特に問題となる。
図7(a),(b)に固定砥粒方式ワイヤソーを使用して、特許文献1に記載された、往方向走行長さを復方向走行長さより長くした往復走行方式でワークの切断を行ったときの模式図を示す。この往復走行方式では、ワークの長手方向におけるワイヤソー供給側(以下、「ワイヤソー供給側」と称す。)に新しいワイヤソーが常に供給されることになる。ワイヤソーに固着された砥粒はワークとの摩擦で摩耗するため、ワイヤソーがワークの長手方向におけるワイヤソー排出側(以下、「ワイヤソー排出側」と称す。)に向かうにしたがって、砥粒の摩耗が進行する。そのため、ワイヤソーは、ワイヤソー供給側の方が切味が高くなり,ワイヤソー排出側になるほど砥粒摩耗により切味が低くなる。特にワイヤソーの往復長さを短くすると、ワイヤソーがワークを通過するまでにワークと接触する長さが長くなるため、ワークの長手方向におけるワイヤソーの切味の差が大きくなる。
また、固定砥粒式ワイヤソーを寿命間近まで出来る限る有効に使いきるために、ワイヤソー排出側で砥粒摩耗の限界近くになるようにワイヤソー送り量を調節することになる。そのため、ワークの長手方向におけるワイヤソーの切味の差が大きくなり、かつ砥粒摩耗によりワイヤソー径が細くなるため、ワークの長手方向におけるウェーハ厚み差も大きくなる。
そのため、ワイヤソーにワークを一定の力で押しつけた場合、切味の差によってワイヤソーに撓み量(ワークの送り方向におけるワイヤの変位量)の差が発生する。すなわち、図7(a),(b)に示すようにワイヤソー供給側(A)からワイヤソー排出側(C)に向かうほど撓み量が大きくなる。撓み量が大きいほどワイヤソーに強い張力がかかりブレが生じるため、ワークにおいてワイヤソー排出側に向かうほど加工精度が低下する。また、ワイヤソー供給側が切断終了してもワイヤソー排出側に切り残しが発生してしまう。さらに撓み量が大きくなると、ワイヤソーが断線しやすくなる。このような現象は、特に固い材料の場合には摩擦による砥粒の摩耗が激しいため問題となる。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、固定砥粒式ワイヤソー切断装置よるワーク(インゴット)の切断において、ワークの長手方向におけるウェーハの加工精度の不均一性をなくすことを可能としたワイヤソーによるワーク切断方法及びワイヤソー切断装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、芯線の周囲に砥粒を固着したワイヤソーを、一定間隔で設けられた複数の溝を有する複数本のガイドローラの前記溝内に巻き掛けてワイヤソー列を形成し、前記ワイヤソーを往方向と復方向に往復走行させ、ワークをワーク送り速度を制御しながら前記ワイヤソー列に押し当てることにより、前記ワークを複数の薄板状のウェーハに切断するワイヤソーによるワーク切断方法において、下記工程(a),(b)を繰り返すサイクル走行を行うことを特徴とする。
(a)方向の走行長さより復方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が第1基準位置から出発し、第2基準位置に到達するまで繰り返す。
(b)復方向の走行長さより往方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が前記第2基準位置から出発し、前記第1基準位置に到達するまで繰り返す。
このような切断方法とすれば、ワイヤソー上の基準点は第1基準位置と第2基準位置との間のみを往方向(あるいは復方向)に移動するため、使用されるワイヤ量が一定となる。さらに、ワイヤソーが1サイクル走行で元の位置に戻り、ワークに接触する部分の砥粒が同じように摩耗するため、ワークの位置によってワイヤソーの切味にむらが出にくくなる。
特に前記工程(a)における往方向の走行長さと、前記工程(b)における復方向の走行長さが等しく、前記工程(a)における復方向の走行長さと、前記工程(b)における往方向の走行長さが等しいことが望ましい。
走行長さをこのように設定すれば、工程(a)における第1基準位置から出発し、第2基準位置に到達するまでのワイヤソーの運動パターンと、工程(b)における第2基準位置から出発し、第1基準位置に到達するまでのワイヤソーの運動パターンが対称になるため、砥粒の摩耗状態が一様になり、ウェーハにソーマークが規則的に形成される。これにより、1枚のウェーハの面内加工精度が向上する。
また、前記工程(a)における往方向の走行長さに対する前記工程(a)における復方向の走行長さの比が0.7以上であることが望ましい。
上記往方向走行長さと復方向走行長さの比が0.7以上であれば、往方向走行と復方向走行における、ワイヤソーの砥粒が略均一に摩耗する。上記往方向走行長さと復方向走行長さの比が0.7未満の場合には、ワイヤソーの砥粒の摩耗状態に差が生じるため好ましくない。
さらに、1つのワークを切断する際に、少なくとも2回のサイクル走行を行うようにワイヤソーの線速、往方向及び復方向の走行長さ、ワーク送り速度を設定することが望ましい。本発明のワイヤソーによるワーク切断方法によれば、サイクル走行する度にウェーハ上にうねり(滑らかな凹凸)が形成されるが、サイクル走行回数が増えるほど形成されるうねりの凹部と凸部の高さの差が小さくなる。図1はサイクル走行でワーク切断を行った時にウェーハに形成されるうねりを表す模式図であり、1つのワークを切断する際のサイクル走行回数がそれぞれ(a)1回,(b)2回,(c)6回の例である。図1(b),(c)から明らかなようにサイクル走行回数が2回以上であると切断されたウェーハの表面に形成されたうねりに対称性ができるため、ウェーハが両面から押圧されても割れが発生しにくくなる。2回未満のサイクル走行で切断すると、形成されるうねりが非対称となるため、押圧によってウェーハの割れが発生しやすくなるため好ましくない。特にサイクル走行回数が1回(図1(a)参照)ではウェーハ中心部に凹部を有した構造となり、大きく反り返るため割れが発生しやすい。
本発明のワイヤソー切断装置は、芯線の周囲に砥粒を固着したワイヤソーと、一定間隔で設けられた複数の溝を有する複数本のガイドローラと、前記溝内に前記ワイヤソーを巻き掛けることによって前記複数本のガイドローラの間に形成されたワイヤソー列と、前記ワイヤソーを往方向と復方向に往復走行させるワイヤソー走行手段と、ワークを保持し、ワーク送り速度を制御しながら前記ワイヤソー列に押し当てる方向に移動可能なワーク移動手段と、を備えたワイヤソー切断装置において、前記ワイヤソー走行手段は、下記工程(a),(b)を繰り返すサイクル走行を実行する機能を備えたことを特徴とする。
(a)往方向の走行長さより復方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が第1基準位置から出発し、第2基準位置に到達するまで繰り返す。
(b)復方向の走行長さより往方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が前記第2基準位置から出発し、前記第1基準位置に到達するまで繰り返す。
本発明のワイヤソー切断装置によれば、ワイヤソー上の基準点は第1基準位置と第2基準位置との間のみを往方向(あるいは復方向)に移動するため、使用されるワイヤ量が一定となる。さらに、ワイヤソーが1サイクル走行で元の位置に戻り、ワークに接触する部分の砥粒が同じように摩耗するため、ワークの位置によってワイヤソーの切味にむらが出にくくなる。
本発明のワイヤソーによるワーク切断方法によれば、固定砥粒式ワイヤソーを使用しても砥粒が均等に摩耗するため、ワークの長手方向での切断負荷(ワイヤソーの撓み)の変動を抑えることができ、ワークを確実に精度良く切断することができる。さらに、ワイヤソーがワークに接する長さが一定(第1基準位置と第2基準位置との距離)であり、ワイヤソーの切味が低下したときに一括交換することでワイヤソーを無駄なく利用できる。
以下に、本発明のワイヤソーによるワーク切断方法(以下、単に「ワーク切断方法」ともいう。)をその実施の形態に基づいて説明する。なお、本実施形態では図4と同じ構成のワイヤソー切断装置を使用した。なお、図4では2本のガイドローラを使用しているがこれに限定されず、3本以上であってもよい。また、ワイヤソーの走行はコンピュータ制御されたワイヤ駆動用モータ(図示せず)によって制御されている。
ワイヤソー1は、高張力線材からなるφ0.06〜0.2mm程度の芯線1aの上にダイヤモンド、CBN等の砥粒1bをボンド材1cで固着したものである(図5参照)。芯線1a上に固着される砥粒1bの種類及び平均粒子径やボンド材1cの種類は、ワークの種類、大きさ、形状などによって適宜決定されるが、サファイア、シリコンなどのインゴットから加工精度の高いウェーハを作成する場合には、例えば、ダイヤモンド砥粒とレジンボンドを使用することができる。特に砥粒の平均粒子径及び集中度はウェーハの加工精度に影響するため重要である。なお、集中度とは、バインダーを含む砥粒層中にダイヤモンドやCBN等の砥粒が含まれている割合、すなわち砥粒率を示すものである。砥粒率が容積パーセントで25%を集中度100と定義している。本実施形態ではサファイア切断の場合は砥粒の平均粒子径45μm、集中度90、シリコン切断の場合は砥粒の平均粒子径25μm、集中度100であるワイヤソー1を使用する。
なお、サファイア、シリコンなどのインゴットの切断加工においては固着された砥粒の平均粒径が15μm以上65μm以下であって、砥粒集中度が80以上120以下であると高精度な加工が可能である。平均粒径が15μmより小さい場合には、ワイヤソーの切味が低いため、ワイヤ撓みが大きくなって加工精度が低下し、65μmより大きい場合には加工面の面粗さ,加工変質層が大きくなる。また、砥粒集中度が80より小さい場合は作用砥粒数が少ないため、それぞれの砥粒摩耗が大きくなって加工精度が低下し、120より大きい場合には砥粒数が多いため,切粉の目詰まりやレジンボンド量が少なくなって砥粒保持力低下による砥粒脱落が発生して,加工精度が低下する。
次に本実施形態に係るワーク切断方法(ワイヤソーの動き)について説明する。
本実施形態のワーク切断方法では、ワーク切断に使用されるワイヤソーの長さ(ワイヤソー可動全長L)、ワイヤソーの往復走行長さを設定する。図2において、基準点Pはワイヤソー1上の点であり、ワイヤソー1を往復運転させることで第1基準位置P1と第2基準位置P2の間を移動する。すなわち、第1基準位置P1と第2基準位置P2の間の距離はワイヤソー可動全長Lに相当する。詳しくは後述するが、ワイヤソー可動全長Lを繰り返し往復運動するワイヤソー1にワーク送り速度を制御しながらワーク15を押し当てることで、ワーク15の切断を行う。
図3は、図2におけるワイヤソー上の基準点Pの動きを示す図である。なお、図3において、基準点Pの移動位置を矢印の先端位置として表現している。往方向へのワイヤソーの移動を矢印(実線)で、復方向へのワイヤソーの移動を矢印(点線)であり、それぞれの矢印の先端が基準点Pの位置である。
図3に基づいて基準点Pの動きを説明する(符号は図4参照)。本実施形態のワイヤソーの送り制御方法では、まず、ワイヤソー1は巻出しボビン11から巻取りボビン17に向かう方向(往方向)のワイヤソー走行長さより、巻取りボビン17から巻出しボビン11に向かう方向(復方向)のワイヤソー走行長さが大きくなるよう設定されて往復走行する。ここで、巻出しボビン11から巻取りボビン17に向かう方向(往方向)のワイヤソー走行長さをF1、巻取りボビン17から巻出しボビン11に向かう方向(復方向)のワイヤソー走行長さをB1とすると、基準点Pは第1基準位置(P1)から1往復することにより、F1とB1の差(F1−B1)だけ巻出しボビン11から巻取りボビン17に進むことになる。この往復走行を繰り返すことで、平均的には往方向に基準点Pは進んでいき、1往復ごとに(F1−B1)のワイヤソーが、巻出しボビン11から供給されることになる。なお、図3に図示したP’の位置は、往復走行を2回行った後に往方向へ走行した時の基準点Pの位置を示す。
なお、本実施形態において「往方向」及び「復方向」は、図4のワイヤソー切断装置に対応させた便宜上の呼称であり、巻出しボビン11から巻取りボビン17に向かう方向を「往方向」、巻取りボビン17から巻出しボビン11に向かう方向を「復方向」としているが、それぞれ反対であってもよい。
このような往復走行が繰り返された後に、ワイヤソーが往方向に移動したときに基準点Pが、第2基準位置P2に到達すると、往方向と復方向の走行長さの関係が逆転するようにワイヤソーが送り制御される。すなわち、第2基準位置P2到達後の往方向のワイヤソー走行長さF2は第2基準位置P2到達前の復方向のワイヤソー走行長さB1と等しく、基準点P’到達後復方向のワイヤソー走行長さB2は第2基準位置P2到達前の往方向の走行長さF1と等しい。また、F2とB2の差である(F2−B2)の絶対値はF1とB1の差である(F1−B1)と一致する。
第2基準位置P2到達後の往復走行(往方向:F2、復方向:B2)を繰り返すことで、平均的には復方向に基準点Pは進み、1往復ごとに(F2−B2)のワイヤソーが、巻出しボビン11に戻されることになる。基準点Pが元の位置(第1基準位置P1)まで戻ると、再び往方向と復方向の走行長さの関係が逆転するようにワイヤソーの走行が制御され、基準点Pは第1基準位置P1と第2基準位置P2との間を往復するサイクルを繰り返す。基準点Pはワイヤソー上のいずれの位置に設定してもよいことから、ワイヤソーは第1基準位置P1と第2基準位置P2との間の距離(ワイヤソー可動全長L)は、実際にワイヤソーが往復している距離となる。なお、基準点Pにおける第1基準位置P1→第2基準位置P2→第1基準位置P1の移動を1サイクル走行とする。
上述のサイクルが繰り返しながらワイヤソー1にワーク15を押し当てることでワーク15の切断を行う。このような切断方式ではワイヤソー可動全長Lをワーク切断に使用するワイヤソーの長さとすることで常に一定の長さのワイヤソーのみがワークと接することとなる。また、周期的な往復運動により砥粒が均等に摩耗する。そのため、ワークの長手方向でのワイヤソーの切味の変動を抑えることができる。
本実施形態のワーク切断方法によれば、1往復走行における往方向の走行長さF1及び復方向の走行長さB1、ワイヤ線速、線加速度、及び1サイクル走行当たりのサイクル周期、ワーク送り速度などのファクターの設定値でウェーハ加工精度及び切断効率が変化する。
例えば、ワイヤソーは走行する際、自転しながら(捩れながら)走行する。往方向へ走行するときと、復方向へ走行するときとでは、自転の回転方向が逆になるため、往方向走行長さと復方向走行長さの差が大きすぎる場合には、ワイヤソーの砥粒が偏摩耗する。その結果、ワイヤソーの往方向、復方向走行で切味に差が生じる。往方向走行長さと復方向走行長さの比(F/B)が0.7(より好ましくは0.8)以上であることが好ましい。(F/B)が0.7(より好ましくは0.8)以上であれば、ワイヤソーの往方向、復方向走行で砥粒が略均一に摩耗し、ワイヤソーの切味の差がほとんど生じない。
また、1往復走行はワークに形成されるソーマークに関係する。ソーマークはワイヤソーが往復走行することによって形成されるが、1往復走行におけるワーク送り量(距離)がソーマーク間隔を決定するため、ソーマーク間隔を小さくするためにはワイヤの往復走行回数が増えるように装置条件を設定すればよい。すなわち、ワイヤ速度制御(線速及び線加速度)が同じ場合には、往方向及び復方向の走行長さを短くすることでワイヤソーの往復回数が増え、ワイヤソーの往復走行長さが短くなることによりウェーハ上に発生するソーマークの山の高さが低くすることができる。
例えば、サファイアなどの硬質の材料のウェーハでは、ソーマークの間隔は0.05mm以下であることが好ましいことから、ワイヤソーが1往復走行している間のワークの送り量が0.05mm以下となるように各条件を設定すればよい。
サファイアなどの硬質の材料は、ワイヤソー線速が大きすぎるとワイヤソーの上滑りが起こるため、形成されるウェーハの加工精度が著しく低下する。そのため、ワイヤソー線速を200〜500m/min、ワーク送り速度を0.05〜0.3mm/minで研削が行われる。ワイヤソーの往復走行長さは、この条件に合わせて決定すればよい。
また、高い切断効率が必要であるシリコンのウェーハでは、切断効率を高めるためにワイヤソー線速を1000〜1500m/min、ワーク送り速度を0.5〜1.0mm/minで行われる。ソーマークの間隔は1mm以下であることが好ましいことから、ワイヤソーが1往復走行している間のワークの送り量が1mm以下となるようにワイヤソーの往復走行長さを設定すればよい。
また、本実施形態のワーク切断方法において、1サイクル走行が行われる度にウェーハ面にはサイクル走行に同期したうねりが発生する。そのため、1つのワークを切断する際に何回のサイクル走行を行うかでウェーハ表面に形成されるうねりの形状が決定される。具体的には往方向の走行長さF1に対する復方向の走行長さB1を短くするほど、1サイクル当たりの往復走行回数が少なくなり、1つのワークを切断する際のサイクル数が多くなるため、切断されたウェーハには形成されるうねりの数は多くなり、うねりの凹部と凸部の高さの差が小さくなる。なお、1つのワークを切断する際に2回以上のサイクル走行を行うことが望ましく、そうすることで表面のうねりの対称性がよく、滑らかな表面を有するウェーハが形成される。2回未満のサイクル走行で切断すると、形成されるうねりが非対称となるため、後工程での真空チャックの吸着圧などによってウェーハの割れが発生しやすくなる。特にサイクル走行が1回であるとの中心部に凹部を有した構造となり、さらに1回未満であると非対称な構造となるため、後工程への搬送の際やラップ加工や研削加工の際にウェーハの割れが多発する。
さらに、ワイヤソーとワークとの摩擦抵抗に対応させたワーク移動手段を設けることが望ましい。本実施形態のワーク切断方法では、固定砥粒式ワイヤソーの砥粒が摩耗するに従って切込み方向への切味は低下する。そのため、ワイヤソー切断装置に、ワイヤソーの砥粒の摩耗状態に対応させて、ワーク送り速度を制御するワーク移動手段を設けることで研削性能を良好に維持することができ、ワイヤソーの寿命と切断精度を向上させることができる。例えば、ワイヤソーに固着した砥粒の摩耗状態を検査するワイヤソー検査装置(図示せず)をワイヤソー切断装置10に設け、その検査結果に基づいてワークの切込速度を制御すればよい。
また、本実施形態のワーク切断方法では、上述のように第1基準位置P1と第2基準位置P2の間の距離(ワイヤソー可動全長L)をワイヤソーが往復走行するため、ワークに接触する部分は一様に摩耗する。そのため、必要に応じてワイヤソー可動全長Lに相当する長さを繰り送りする(切断に使用したワイヤソーを交換する)ことで、ワイヤソーの切味の制御を行うことができる。例えば、1つのワークを切断するたびに切断に使用したワイヤソーを交換したり、ワイヤソーの砥粒の摩耗を検査装置で検査し、その検査結果に基づいてワイヤソーの交換時期を決めたりするなどの方法がある。
また、本実施形態において、図3に示すパターンでワイヤソーを走行させたが、基準点Pが第1基準位置P1→第2基準位置P2→第1基準位置P1で移動するなら他のパターンでもよい。例えば、砥粒の摩耗度合いに合わせて、往方向の走行長さF1,F2、復方向の走行長さB1,B2を決定することが挙げられる。ただし、切断したウェーハのソーマークを規則的にするために往方向走行長さ(F)及び復方向走行長さ(B)に規則性を持たせることが望ましい。
さらには、切込み方向に対してワーク形状が変化する場合(例えば円形、三角形、異形)に接触長さに応じて走行長さを変化させることができ、切断面精度を向上させることができる。
以下に、具体的な実施例を示す。
ワークとして、硬脆材料であるサファイア及び大口径のシリコンを使用し、図4に示す装置構成のワイヤソー切断装置を用いて、本発明のワーク切断方法でワークを切断したときにおけるワイヤソーの撓み量、ソーマークの評価を行った。なお、本実施例において、(往方向走行長さF1)=(復方向の走行長さB2)、(復方向走行長さB1)=(往方向の走行長さF2)とした。
また、比較例として、往復走行であるがサイクル走行を行わない従来のワーク切断方法におけるワイヤソーの撓み量、ソーマークの評価を行った。
まず、硬質材料であるサファイアを使用して切断試験を行った。サファイアなどの硬質材料は、ワイヤソー線速が大きすぎるとワイヤソーの上滑りが起こるため、ワイヤソー線速を350m/minで切断試験を行った。
装置条件は以下の通りである。
・ワーク(インゴット):サファイア(外径:φ50mm、長さ150mm)
・ワイヤソー芯線:φ180μm
・砥粒:平均粒径45μm/集中度90
・ワイヤソー線速(最大値):350m/min
・ワイヤソー加速度:3.0m/s2
・ワーク送り速度:0.15mm/min
表1に往復走行に関係する条件を示す。なお、Vはワイヤソー線速、Lはワイヤソー可動全長、F1は往方向走行長さ、B1は復方向走行長さである。
Figure 2009184023
ワイヤソーの撓み量の測定は、上記装置条件で170分間、ワークの切断を行ったあとに装置を一旦停止し、ワーク送り量と実際にワークに切り込んでいる量の差を撓み量とした。
表1の実施例1〜8及び比較例1のワーク切断方法で撓み量の測定を以下の3箇所で行った(参考図:図7(a))。表2に結果を示す。
切断箇所A:ワイヤソー供給側から10mm
切断箇所B:ワイヤソー供給側から75mm
切断箇所C:ワイヤソー供給側から140mm
Figure 2009184023
比較例1では、切断箇所がワイヤソー供給側(図7(a)参照)に近いAが最も撓み量が小さく、B,Cとワイヤソー供給側へ向かうに従って、撓み量が大きくなった。一方、実施例1〜7では切断箇所A,B,Cによる撓み量の差はほとんどみられなかった。実施例8では切断開始から30分程度では切断箇所A,B,Cによる撓み量の差はほとんどみられなかったが、切断時間が長くなるにつれ、切断箇所A,B,Cの順で撓み量が大きくなっていった。
次に実施例1〜8について、ウェーハの切断を行い、切断箇所Bで切断したウェーハの表面粗さの評価を行った。なお、ウェーハの表面粗さの評価には、触針式面粗さ計を使用した。
表3に実施例1〜8について切断箇所Bで評価した1往復走行で発生するソーマークの間隔を示す。
Figure 2009184023
まず、ソーマークの間隔及びソーマーク溝の表面の平滑性を評価した。実施例1〜4及び7ではソーマークの間隔が均一であり、ソーマーク溝の表面も滑らかであった。実施例5ではソーマークの間隔がほぼ均一であったが、ソーマーク溝の表面が若干粗く、ワークの切り込み深さが深い位置なるほどその傾向が顕著であった。実施例6では、ソーマークの間隔の均一性が他の実施例と比較して明らかに悪かった。実施例8では、ワークの切り込み深さが浅い位置ではソーマークが均一でソーマーク溝の表面も滑らかであったが、ワークの切り込み深さが深い位置になるとソーマーク間隔が不均一であり、ソーマーク溝の表面が粗くなっていた。なお、使用後のワイヤソーの砥粒の摩耗状態を観察すると、実施例5では明らかな砥粒の偏摩耗が確認され、実施例8は明らかに他の実施例より摩耗が進んでいた。
次に、ウェーハの切込み方向の断面形状を触針式面粗さ計で評価したところ、実施例3,4,5,8には滑らかな形状の表面うねりが形成されていた。特に実施例4,5ではウェーハの全面で表面のうねりの形状が一様であった。それぞれの凹部と凸部の高さの差は10μm以下であった。一方で実施例1,6,7では中心に深さ50μm程度の凹部を有する凹型(図1(a)参照)であった。
次に、大口径シリコンの切断試験を行った。大口径(φ150mm)のシリコンの切断では切断効率を上げるため、高いワイヤソー線速で運転される。そのため、ワイヤソー線速を1200m/minとして切断試験を行った。ワイヤソーの撓み量の測定は、上記装置条件で95分間、ワークの切断を行ったあとに装置を一旦停止し、ワーク送り量と実際にワークに切り込んでいる量の差を撓み量とした。
装置条件は以下の通りである。
・ワーク(インゴット):シリコン(外径:φ150mm、長さ400mm)
・ワイヤソー芯線:φ120μm
・砥粒:平均粒径25μm/集中度100
・ワイヤソー線速(最大値):1200/min
・ワイヤソー加速度:3.0m/s2
・ワーク送り速度:0.80mm/min
表4に往復走行に関係する条件を示す。なお、Vはワイヤソー線速、Lはワイヤソー可動全長、F1は往方向走行長さ、B1は復方向走行長さである。また、(往方向走行長さF1)=(復方向の走行長さB2)、(復方向走行長さB1)=(往方向の走行長さF2)としている。
Figure 2009184023
表4の実施例9〜12及び比較例2のワーク切断方法で撓み量の測定を以下の3箇所で行った。表5に結果を示す。また、切断箇所Bで切断したウェーハの表面粗さの評価結果を表6に示す。
切断箇所A:ワイヤソー供給側から10mm
切断箇所B:ワイヤソー供給側から200mm
切断箇所C:ワイヤソー供給側から390m
Figure 2009184023
Figure 2009184023
比較例2では撓み量は切断箇所A、B、Cの順で大きくなったのに対して、実施例9〜12では切断箇所による撓み量の差はほとんどなかった。
切断箇所Bにおける切断後のウェーハのソーマークを比較すると、比較例2,実施例9〜11にはほとんど差がなかったのに対し、実施例12ではソーマークの間隔は他の実施例と比較して大きかった。しかしながら、比較例2ではソーマーク溝の表面が切断箇所Aでは滑らかであったのに対し、切断箇所B,Cでは切断箇所Aと比較して明らかに粗かった。これに対し、実施例9では切断箇所A,B,Cでソーマーク溝の表面はすべて滑らかで、切断箇所による差はみられなかった。
表面うねりは実施例9が最も凹部と凸部の差が40μmと大きく、実施例10,11では15μm以下であった。実施例12ではソーマークの間隔は他の実施例と比較して大きかったが、表面のうねりは非常に滑らかであった。
なお、実施例10ではワイヤソー可動全長Lを2000mで、1本のワークを高精度に切断することができた。一方、比較例2ではワイヤソー排出側で撓み量が大きくなり、ワイヤ断線が発生して最後まで切断することができなかった。
本発明のワイヤソーによるワーク切断方法によると、固定砥粒式ワイヤソーを使用して棒状インゴットから無駄なく加工精度の高いウェーハを製造できるのに加え、ワイヤソーを無駄なく使用できる。そのため、特にシリコンの高効率切断やサファイアなど硬質のインゴットの切断に使用するワイヤソー切断装置に適用できる。
サイクル走行でワーク切断を行った時にウェーハに形成されるうねりを表す模式図であり、1つのワークを切断する際のサイクル走行回数がそれぞれ(a)1回、(b)2回、(c)6回の例である。 本発明の実施形態に係るワイヤソーによるワーク切断方法の概念図である。 本発明の実施形態に係るワイヤソーの送り制御方法の説明図である。 ワイヤソー切断装置の全体構成図である。 固定砥粒式ワイヤソーの拡大図である。 往復走行方式でワーク切断を行った時にウェーハに形成されるソーマークを表す図であり、(a)はワイヤソーの往復長さが長い場合、(b)はワイヤソーの往復長さが短い場合である。 砥粒固定式ワイヤソーを使用して従来の往復切断方式でワークを切断したときに生じるワーク長手方向で発生するワイヤソー撓み状態を表す図であり、(a)は一部省略斜視図、(b)は正面図である。
符号の説明
1 ワイヤソー
1a 芯線
1b 砥粒
1c ボンド材
2 ウェーハ
10 ワイヤソー切断装置
11 巻出しボビン
12 プーリー
13 クーラントノズル
14 ガイドローラ
14a 軸
15 ワーク(インゴット)
16 ブロック
17 巻取りボビン
18 ウェーハ
18a ソーマーク
P 基準点
1 第1基準位置
2 第2基準位置
L ワイヤソー可動全長

Claims (8)

  1. 芯線の周囲に砥粒を固着したワイヤソーを、一定間隔で設けられた複数の溝を有する複数本のガイドローラの前記溝内に巻き掛けてワイヤソー列を形成し、前記ワイヤソーを往方向と復方向に往復走行させ、ワークをワーク送り速度を制御しながら前記ワイヤソー列に押し当てることにより、前記ワークを複数の薄板状のウェーハに切断するワイヤソーによるワーク切断方法において、下記工程(a),(b)を繰り返すサイクル走行を行うことを特徴とするワイヤソーによるワーク切断方法。
    (a)往方向の走行長さより復方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が第1基準位置から出発し、第2基準位置に到達するまで繰り返す。
    (b)復方向の走行長さより往方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が前記第2基準位置から出発し、前記第1基準位置に到達するまで繰り返す。
  2. 前記工程(a)における往方向の走行長さと、前記工程(b)における復方向の走行長さが等しく、
    前記工程(a)における復方向の走行長さと、前記工程(b)における往方向の走行長さが等しいことを特徴とする請求項1記載のワイヤソーによるワーク切断方法。
  3. 前記工程(a)における往方向の走行長さに対する前記工程(a)における復方向の走行長さの比が0.7以上であることを特徴とする請求項2に記載のワイヤソーによるワーク切断方法。
  4. 1つのワークを切断する際に、少なくとも2回のサイクル走行を行うようにワイヤソーの線速、往方向及び復方向の走行長さ、ワーク送り速度を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれかの項に記載のワイヤソーによるワーク切断方法。
  5. 芯線の周囲に砥粒を固着したワイヤソーと、
    一定間隔で設けられた複数の溝を有する複数本のガイドローラと、
    前記溝内に前記ワイヤソーを巻き掛けることによって前記複数本のガイドローラの間に形成されたワイヤソー列と、
    前記ワイヤソーを往方向と復方向に往復走行させるワイヤソー走行手段と、
    ワークを保持し、ワーク送り速度を制御しながら前記ワイヤソー列に押し当てる方向に移動可能なワーク移動手段と、を備えたワイヤソー切断装置において、
    前記ワイヤソー走行手段は、下記工程(a),(b)を繰り返すサイクル走行を実行する機能を備えたことを特徴とするワイヤソー切断装置。
    (a)往方向の走行長さより復方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が第1基準位置から出発し、第2基準位置に到達するまで繰り返す。
    (b)復方向の走行長さより往方向の走行長さが小さくなるようなワイヤソーの往復運動を、ワイヤソー上の基準点が前記第2基準位置から出発し、前記第1基準位置に到達するまで繰り返す。
  6. 前記工程(a)における往方向の走行長さと、前記工程(b)における復方向の走行長さが等しく、
    前記工程(a)における復方向の走行長さと、前記工程(b)における往方向の走行長さが等しいことを特徴とする請求項5記載のワイヤソー切断装置。
  7. 前記工程(a)における往方向の走行長さに対する前記工程(a)における復方向の走行長さの比が0.7以上であることを特徴とする請求項6に記載のワイヤソー切断装置。
  8. 1つのワークを切断する際に、少なくとも2回のサイクル走行を行うようにワイヤソーの線速、往方向及び復方向の走行長さ、ワーク送り速度が設定されていることを特徴とする請求項5から7のいずれかの項に記載のワイヤソー切断装置。
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