JP2013233606A - ワイヤソー装置及び切断加工方法 - Google Patents

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利光 岩井
Seiji Aoki
省二 青木
Toyohiro Hoshiyama
豊宏 星山
Masaru Fukuman
勝 福万
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Abstract

【課題】揺動型ワイヤソー装置を用いた切断加工において、切断用ワイヤの断線や切断用ワイヤの使用量の増大等を防止する。
【解決手段】複数のワイヤガイド10A及び10Bに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤ11を走行させながら、切断用ワイヤ11に被加工物Wを押し当てて被加工物Wに対して切断加工を行うワイヤソー装置において、ワイヤガイド10A及び10Bと共に切断用ワイヤ11を揺動させるか、又は被加工物Wを揺動させる。被加工物Wの切断幅を2d、揺動半径をr、揺動角度をθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように揺動制御を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばシリコンインゴット等の被加工物を切断するワイヤソー装置及び切断加工方法に関する。
従来より、一般的に、シリコンインゴット等の被加工物(以下、ワークと称する)から薄板状のウェーハを切り出す手段としてワイヤソー装置が用いられている。ワイヤソー装置においては、複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、切断用ワイヤにワークを押し当てることによって、複数箇所でワークを同時に切断している。
また、例えば、特許文献1に開示されているワイヤソー装置においては、ワイヤガイド(ワークローラ)によって切断用ワイヤを走行させると同時にワイヤガイドと共に切断用ワイヤを揺動させながら、ワークに対して切断加工を行っている。このようにすると、切断用ワイヤを揺動させない場合と比較して、ワークと切断用ワイヤとの接触距離が短くなるため、研削力を増大させて切断速度を増大させることができると共に切り粉の排出性を向上させて加工精度を向上させることができる。同様の効果は、ワークを揺動させながらワークの切断加工を行うタイプのワイヤソー装置(例えば特許文献2参照)においても得ることができる。
特開平01−171753号公報 特開平08−85053号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているワイヤソー装置においては、図11(a)及び(b)に示すように、ワイヤガイド(ワークローラ)101と共に切断用ワイヤ102を揺動させながら、切断用ワイヤ102にワークWを押し当てていくと、ワークWの加工形状は略V字になる。すなわち、ワークWと切断用ワイヤ102との接触箇所(正確には接触箇所の中央)は、ワイヤガイド101間の中心(以下、軸間中心という)に対して左右に移動する。ここで、切断用ワイヤ102によるワークWの切断加工時には、切断用ワイヤ102はワークWとの接触点(つまりワークWの加工点)で若干撓むため、前述のように、ワークWの加工点がワイヤガイド101間を移動すると、次のような問題が生じる。
すなわち、ワークWの加工点が軸間中心に位置していない場合、ワークWの加工点の左右で切断用ワイヤ102の張力に差が生じてしまう。このため、ワークWの加工点の移動に伴い、ワイヤガイド101間で切断用ワイヤ102の伸縮が頻繁に起こる結果、切断用ワイヤ102の消耗が促進されるので、切断用ワイヤ102が断線したり、又は切断用ワイヤ102の使用量が増大したりするという問題が生じる。
尚、このような問題は、特許文献1に開示されているような切断用ワイヤ(つまりワイヤガイド)を揺動させるタイプのワイヤソー装置のみならず、特許文献2に開示されているようなワークを揺動させるタイプのワイヤソー装置においても生じる。
前記に鑑み、本発明は、揺動型ワイヤソー装置を用いた切断加工において、切断用ワイヤの断線や切断用ワイヤの使用量の増大等を防止できるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するために、本願発明者らは種々の検討を重ねた結果、切断用ワイヤを揺動させるタイプのワイヤソー装置(以下、ワイヤ揺動型ワイヤソー装置という)においても、ワークを揺動させるタイプのワイヤソー装置(以下、ワーク揺動型ワイヤソー装置という)においても、ワークの切断幅を2d、揺動半径をr、揺動角度をθとして、θ=arctan(d/r)を満たすように揺動手段を制御することによって、ワークWの加工点を実質的に軸間中心に位置させることができることを見出した。これにより、いずれの揺動型ワイヤソー装置を用いた切断加工においても、切断用ワイヤの断線や切断用ワイヤの使用量の増大等を防止できることとなった。
また、本願発明者らは、θ<arctan(d/r)の条件でも、例えばワーク保持手段の移動制御によりワークと切断用ワイヤとの接触長を制御することによって、ワークWの加工点を実質的に軸間中心に位置させることができることを見出した。
ところで、揺動手段の負荷や切断用ワイヤとワークとの干渉領域を小さくするためには、揺動角度θはできるだけ小さいことが好ましいが、例えばθ=arctan(d/r)の条件で、揺動角度θを小さくしようとすると、揺動半径rを大きくする必要がある。ところが、特許文献1に開示されているような従来のワイヤ揺動型ワイヤソー装置は、そもそも揺動半径rを大きくすることができない構成となっている。また、特許文献2に開示されているような従来のワーク揺動型ワイヤソー装置において揺動半径rを大きくしようとすると、ワークWを揺動させるためのアームが長くなってしまい、ワイヤソー装置が大型化・複雑化してしまうという別の問題が生じる。
そこで、本願発明者らはさらなる検討を重ねた結果、装置の大型化・複雑化を回避しつつ所望の揺動半径rが得られる新規なワイヤソー装置として、ワイヤガイド又はワークの保持手段を円弧往復させるRガイドを持つ揺動手段を備えたワイヤソー装置を想到した。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであって、本発明に係る第1のワイヤソー装置は、複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行うワイヤソー装置であって、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させるか、又は前記被加工物を揺動させる揺動手段と、前記被加工物の切断幅を2d、前記揺動手段による揺動半径をr、前記揺動手段による揺動角度をθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように前記揺動手段を制御する制御手段とを備えている。
本発明に係る第1のワイヤソー装置によると、ワイヤガイドと共に切断用ワイヤを揺動させるか又は被加工物を揺動させる揺動手段を、被加工物の切断幅を2d、揺動半径をr、揺動角度をθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように制御する制御手段を備えている。このため、被加工物の加工点を実質的に軸間中心(ワイヤガイド間の中心)に位置させることができるので、該加工点の左右で切断用ワイヤの張力に差が生じる事態を回避できる。従って、切断加工中における切断用ワイヤの伸縮ひいては切断用ワイヤの消耗を抑制できるので、切断用ワイヤの断線や切断用ワイヤの使用量の増大等を防止することができる。また、被加工物の加工点を軸間中心に位置させることによって、被加工物を常に一定の条件で加工することができるので、加工精度を向上させることができる。
本発明に係る第1のワイヤソー装置において、前記揺動手段は、前記揺動半径rを一定に保持しつつ、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させてもよい。このようにすると、前述の効果を奏するワイヤ揺動型ワイヤソー装置を構成することができる。また、この場合、前記揺動手段は、前記ワイヤガイドの保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含んでいてもよい。このようにすると、装置の大型化・複雑化を回避しつつ揺動半径rを大きくして揺動角度θを小さくすることができるので、揺動手段の負荷や切断用ワイヤと被加工物との干渉領域を小さくすることができる。
本発明に係る第1のワイヤソー装置において、前記揺動手段は、前記被加工物を揺動させ、前記制御手段は、前記被加工物に対する切断加工の進行に伴って前記揺動半径rを小さくすると共に該揺動半径rの変化に応じて前記揺動角度θを大きくしてもよい。このようにすると、前述の効果を奏するワーク揺動型ワイヤソー装置を構成することができる。また、この場合、前記揺動手段は、前記被加工物の保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含んでいてもよい。このようにすると、装置の大型化・複雑化を回避しつつ揺動半径rを大きくして揺動角度θを小さくすることができるので、揺動手段の負荷や切断用ワイヤと被加工物との干渉領域を小さくすることができる。
本発明に係る第1のワイヤソー装置において、前記制御手段は、θ=arctan(d/r)を満たすように前記揺動手段を制御すると共に、前記切断用ワイヤを、前記被加工物の加工形状である円弧に点接触させてもよい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることができる。
本発明に係る第1のワイヤソー装置において、前記制御手段は、θ<arctan(d/r)を満たすように前記揺動手段を制御すると共に、前記被加工物の加工形状である円弧の半径をRenc として、前記切断用ワイヤと前記被加工物との接触長Lを2Renc (arctan(d/r)−θ)に制御してもよい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることができる。
本発明に係る第2のワイヤソー装置は、複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行うワイヤソー装置であって、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させる揺動手段を備え、前記揺動手段は、前記ワイヤガイドの保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含む。
本発明に係る第2のワイヤソー装置によると、ワイヤガイドを揺動させる揺動手段が、ワイヤガイドの保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含む。このため、装置の大型化・複雑化を回避しつつ揺動半径rを大きくして揺動角度θを小さくできるので、揺動手段の負荷や切断用ワイヤと被加工物との干渉領域を小さくすることができる。
本発明に係る第3のワイヤソー装置は、複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行うワイヤソー装置であって、前記被加工物を揺動させる揺動手段を備え、前記揺動手段は、前記被加工物の保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含む。
本発明に係る第3のワイヤソー装置によると、被加工物を揺動させる揺動手段が、被加工物の保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含む。このため、装置の大型化・複雑化を回避しつつ揺動半径rを大きくして揺動角度θを小さくできるので、揺動手段の負荷や切断用ワイヤと被加工物との干渉領域を小さくすることができる。
本発明に係る切断加工方法は、複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行う切断加工方法であって、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させるか、又は前記被加工物を揺動させ、前記被加工物の切断幅を2d、前記揺動の半径及び角度をそれぞれr及びθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように前記揺動角度θを制御する。
本発明に係る切断加工方法によると、ワイヤガイドと共に切断用ワイヤを揺動させるか又は被加工物を揺動させる際に、被加工物の切断幅を2d、揺動半径をr、揺動角度をθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように揺動角度θを制御する。このため、被加工物の加工点を実質的に軸間中心(ワイヤガイド間の中心)に位置させることができるので、該加工点の左右で切断用ワイヤの張力に差が生じる事態を回避できる。従って、切断加工中における切断用ワイヤの伸縮ひいては切断用ワイヤの消耗を抑制できるので、切断用ワイヤの断線や切断用ワイヤの使用量の増大等を防止することができる。また、被加工物の加工点を軸間中心に位置させることによって、被加工物を常に一定の条件で加工することができるので、加工精度を向上させることができる。
本発明に係る切断加工方法において、前記揺動半径rを一定に保持しつつ、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させてもよい。このようにすると、ワイヤ揺動型ワイヤソー装置において、前述の効果を得ることができる。
本発明に係る切断加工方法において、前記被加工物に対する切断加工の進行に伴って前記揺動半径rを小さくすると共に該揺動半径rの変化に応じて前記揺動角度θを大きくしながら、前記被加工物を揺動させてもよい。このようにすると、ワーク揺動型ワイヤソー装置において、前述の効果を得ることができる。
本発明に係る切断加工方法において、θ=arctan(d/r)を満たすように前記揺動角度θを制御すると共に、前記切断用ワイヤを、前記被加工物の加工形状である円弧に点接触させてもよい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることができる。
本発明に係る切断加工方法において、θ<arctan(d/r)を満たすように前記揺動角度θを制御すると共に、前記被加工物の加工形状である円弧の半径をRenc として、前記切断用ワイヤと前記被加工物との接触長Lを2Renc (arctan(d/r)−θ)に制御してもよい。このようにすると、前述の効果を確実に得ることができる。
本発明によると、揺動型ワイヤソー装置を用いた切断加工において、切断用ワイヤの断線や切断用ワイヤの使用量の増大等を防止することができる。
図1は、第1の実施形態に係るワイヤソー装置の概略構成を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係る切断加工方法を示す図である。 図3は、第1の実施形態の変形例に係るワイヤソー装置の概略構成を示す図である。 図4は、第2の実施形態に係るワイヤソー装置の概略構成を示す図である。 図5は、第2の実施形態に係る切断加工方法を示す図である。 図6(a)及び(b)はそれぞれ、第2の実施形態に係る切断加工方法における切断加工の開始時点及び終了時点の様子を示す図である。 図7(a)及び(b)は、第2の実施形態に係る切断加工方法においてθ<arctan(d/r)の条件で揺動を行っている様子を示す図である。 図8は、比較例に係る切断加工方法においてθ>arctan(d/r)の条件で揺動を行っている様子を示す図である。 図9(a)は、揺動半径rと揺動角度θ(ワークWの揺動幅)との関係を示す図であり、図9(b)は、揺動角度θが45度の時のワークWと切断用ワイヤとの干渉領域を示す図である。 図10(a)は、円柱状のワークWを切断対象とする場合の本発明に係る切断加工方法を示す図であり、図10(b)は、円柱状のワークWの切断幅2d(半幅d)の算出方法を説明する図である。 図11(a)は、従来のワイヤソー装置の問題点を示す図であり、図11(b)は、図11(a)の要部を拡大して示す図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るワイヤソー装置及び切断加工方法について、図面を参照ながら説明する。
図1は、本実施形態に係るワイヤソー装置、具体的には、ワイヤ揺動型ワイヤソー装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係るワイヤソー装置は、例えば半導体装置や太陽電池等の製造に用いられるシリコンインゴット等の被加工物(以下、ワークWと称する)を複数箇所で同時に薄板状ウェーハに切断するために使用される。
図1に示すように、並列配置された2つのワイヤガイド10A及び10Bが、上方が開放されたワイヤガイド支持部材12に回転自在に取り付けられている。各ワイヤガイド10A及び10Bの回転軸は、対応する駆動モータ(図示省略)の出力軸に連結されており、該駆動モータの回転駆動により、各ワイヤガイド10A及び10Bはその水平軸心周りに回転する。各ワイヤガイド10A及び10Bには、ワークWを切断するための1本のワイヤ(以下、切断用ワイヤ11と称する)が各ワイヤガイド10A及び10Bの水平軸心方向に所定のピッチで螺旋状に巻き付けられている。また、ワイヤガイド支持部材12は、その下方に配置された円弧状のガイドレール(以下、Rガイドという)13に円弧往復可能に取り付けられている。ここで、ワイヤガイド支持部材12は、Rガイド13上を移動するための動力機構を有している。これにより、切断用ワイヤ11は各ワイヤガイド10A及び10Bと共に、位置Cを中心とする半径r、角度θの揺動をする。
また、図1に示すように、各ワイヤガイド10A及び10Bの中心(回転軸)を結ぶ線上の中点(つまり軸間中心)の上方には、各ワイヤガイド10A及び10Bに巻き付けられた切断用ワイヤ11と対向するようにワーク保持部材14が配設されており、ワーク保持部材14の下端にワークWが保持されている。ワーク保持部材14は、ワークWを切断送りするためのワーク昇降用モータを有している。すなわち、当該モータによりワーク保持部材14が下降してワークWが切断用ワイヤ11に押し付けられると、ワークWの複数箇所で同時にウェーハ切り出しが行われる。
尚、図示は省略しているが、切断用ワイヤ11の一端側は、ワイヤガイド10Aの外側に位置しており、複数の円盤状プーリに案内されながらワイヤ供給装置まで延びている。また、切断用ワイヤ11の他端側は、ワイヤガイド10Bの外側に位置しており、複数の円盤状プーリに案内されながらワイヤ巻取装置まで延びている。ここで、切断用ワイヤ11の張力を制御するために、各ワイヤガイド10A及び10Bの外側に配置されている円盤状プーリの1つにテンションアームが取り付けられていてもよい。
また、図示は省略しているが、本実施形態のワイヤソー装置は、ワイヤガイド10A及び10Bの駆動モータ、ワイヤガイド支持部材12の動力機構、ワーク保持部材14のワーク昇降用モータ、ワイヤ供給装置並びにワイヤ巻取装置等を制御する制御装置を有している。該制御装置は、例えば、中央演算処理装置(CPU)及び制御プログラムが格納されたメモリ等を備えており、切断用ワイヤ11の送り出し及び巻き取りを交互に繰り返しながら切断用ワイヤ11の新線部分が順次繰り出されるように、ワイヤガイド10A及び10Bの駆動モータ並びにワイヤ供給装置及びワイヤ巻取装置を制御したり、ワーク保持部材14が昇降するようにワーク昇降用モータを制御している。
本実施形態の特徴は、前記制御装置が、ワークWの切断幅を2d、ワイヤガイド支持部材12(つまり切断用ワイヤ11)の揺動半径及び揺動角度をそれぞれr、θとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように、ワイヤガイド支持部材12の動力機構を制御していることである。
図2は、本実施形態の揺動切断加工を模式的に示す図である。ここで、簡単のため、ワークWは、切断送り方向に常に一定の切断幅2d(半幅d)を有しているものとする。また、切断用ワイヤ11の揺動角度θは、ちょうどarctan(d/r)(=θ0 )に等しく設定されているものとする。
図2に示す揺動切断加工では、ワークWの加工形状は揺動半径r(一定)に等しい半径を持つ円弧になる。言い換えると、揺動する切断用ワイヤ11の延びる方向が常にワークWの加工形状である円弧の接線方向となる。これにより、切断用ワイヤ11とワークWとを点接触させながら、つまり、切断用ワイヤ11とワークWとの接触距離を最小化しながら、切断加工を行うことができるので、研削力を増大させて切断速度を増大させることができると共に切り粉の排出性を向上させて加工精度を向上させることができる。
ここで、θ=arctan(d/r)を満たすように揺動制御を行うと、ワークWの加工点を常に軸間中心(ワイヤガイド10A、10B間の中心)に位置させることができる。例えば、図2において、ワイヤガイド10A、10B間の切断用ワイヤ11(以下、単に切断用ワイヤ11という)が最も左に振れている場合、切断用ワイヤ11の中央がワークWの左端加工点と接触し、切断用ワイヤ11が最も右に振れている場合、切断用ワイヤ11の中央がワークWの右端加工点と接触し、切断用ワイヤ11が水平位置にある場合、切断用ワイヤ11の中央がワークWの中央加工点と接触する。このため、ワークWの加工点の左右で切断用ワイヤ11の張力に差が生じる事態を回避でき、それにより、切断加工中における切断用ワイヤ11の伸縮ひいては切断用ワイヤ11の消耗を抑制できるので、切断用ワイヤ11の断線や切断用ワイヤ11の使用量の増大等を防止することができる。また、ワークWの加工点を常に軸間中心に位置させることによって、ワークWを常に一定の条件で加工することができるので、加工精度を向上させることができる。
尚、本実施形態において、θ=arctan(d/r)を満たすように揺動制御を行ったが、これに代えて、θ<arctan(d/r)の条件で揺動を行ってもよい。この場合、ワークWの移動制御つまりワーク保持部材14の移動制御によりワークWと切断用ワイヤ11との接触長を制御することによって、具体的には、ワークWの加工形状である円弧の半径をRenc (つまり揺動半径r)として、切断用ワイヤ11とワークWとの接触長Lを2Renc (arctan(d/r)−θ)に制御することによって、ワークWの加工点(つまり切断用ワイヤ11との接触箇所の中央)を実質的に軸間中心に位置させることができる(後述する図7(a)、(b)参照)。これにより、θ=arctan(d/r)を満たす揺動制御と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態において、また、ワイヤガイド支持部材12を、その下方に配置したRガイド13に取り付けたが、これに代えて、図3に示すように、ワイヤガイド支持部材12を、その上方に配置したRガイド13に取り付けてもよい。また、ワイヤガイド支持部材12を揺動させるために、Rガイド13に代えて、例えば揺動円板や揺動アーム等を用いてもよい。但し、本実施形態のように、Rガイド13を用いた方が、揺動円板や揺動アーム等を用いた場合と比べて、装置の大型化・複雑化を回避しつつ揺動半径rを大きくして揺動角度θを小さくできるので、揺動手段の負荷や切断用ワイヤ11とワークWとの干渉領域を小さくすることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るワイヤソー装置及び切断加工方法について、図面を参照ながら説明する。
図4は、本実施形態に係るワイヤソー装置、具体的には、ワーク揺動型ワイヤソー装置の概略構成を示す図である。本実施形態に係るワイヤソー装置は、例えば半導体装置や太陽電池等の製造に用いられるシリコンインゴット等の被加工物(以下、ワークWと称する)を複数箇所で同時に薄板状ウェーハに切断するために使用される。
図4に示すように、2つのワイヤガイド20A及び20Bが並列配置されている。各ワイヤガイド20A及び20Bの回転軸は、対応する駆動モータ(図示省略)の出力軸に連結されており、該駆動モータの回転駆動により、各ワイヤガイド20A及び20Bはその水平軸心周りに回転する。各ワイヤガイド20A及び20Bには、ワークWを切断するための1本のワイヤ(以下、切断用ワイヤ21と称する)が各ワイヤガイド20A及び20Bの水平軸心方向に所定のピッチで螺旋状に巻き付けられている。
また、図4に示すように、各ワイヤガイド20A及び20Bの中心(回転軸)を結ぶ線上の中点(つまり軸間中心)の上方には、各ワイヤガイド20A及び20Bに巻き付けられた切断用ワイヤ21と対向するようにワーク保持部材24が配設されており、ワーク保持部材24の下端にワークWが保持されている。また、ワーク保持部材24は、その上方に配置された円弧状のガイドレール(以下、Rガイドという)25に円弧往復可能に取り付けられている。ここで、ワーク保持部材24は、Rガイド25上を移動するための動力機構を有している。これにより、ワークWは、位置Cを中心とする半径r、角度θの揺動をする。また、ワークWを切断送りするために、ワーク保持部材24はRガイド25と共に昇降可能に構成されている。すなわち、ワーク保持部材24が下降してワークWが切断用ワイヤ21に押し付けられると、ワークWの複数箇所で同時にウェーハ切り出しが行われる。
尚、図示は省略しているが、切断用ワイヤ21の一端側は、ワイヤガイド20Aの外側に位置しており、複数の円盤状プーリに案内されながらワイヤ供給装置まで延びている。また、切断用ワイヤ21の他端側は、ワイヤガイド20Bの外側に位置しており、複数の円盤状プーリに案内されながらワイヤ巻取装置まで延びている。ここで、切断用ワイヤ21の張力を制御するために、各ワイヤガイド20A及び20Bの外側に配置されている円盤状プーリの1つにテンションアームが取り付けられていてもよい。
また、図示は省略しているが、本実施形態のワイヤソー装置は、ワイヤガイド20A及び20Bの駆動モータ、ワーク保持部材24の動力機構及び昇降機構、ワイヤ供給装置並びにワイヤ巻取装置等を制御する制御装置を有している。該制御装置は、例えば、中央演算処理装置(CPU)及び制御プログラムが格納されたメモリ等を備えており、切断用ワイヤ21の送り出し及び巻き取りを交互に繰り返しながら切断用ワイヤ21の新線部分が順次繰り出されるように、ワイヤガイド20A及び20Bの駆動モータ並びにワイヤ供給装置及びワイヤ巻取装置を制御したり、ワーク保持部材24の昇降機構を制御している。
本実施形態の特徴は、前記制御装置が、ワークWの切断幅を2d、ワーク保持部材24(つまりワークW)の揺動半径及び揺動角度をそれぞれr、θとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように、ワーク保持部材24の動力機構を制御していることである。
図5は、本実施形態の揺動切断加工を模式的に示す図である。ここで、簡単のため、ワークWは、切断送り方向に常に一定の切断幅2d(半幅d)を有しているものとする。また、ワークWの揺動角度θは、ちょうどarctan(d/r)(=θ0 )に等しく設定されているものとする。
図5に示す揺動切断加工では、ワークWの加工形状は揺動半径rに等しい半径を持つ円弧になる。言い換えると、切断用ワイヤ21の延びる方向が常にワークWの加工形状である円弧の接線方向となる。これにより、切断用ワイヤ21とワークWとを点接触させながら、つまり、切断用ワイヤ21とワークWとの接触距離を最小化しながら、切断加工を行うことができるので、研削力を増大させて切断速度を増大させることができると共に切り粉の排出性を向上させて加工精度を向上させることができる。
ここで、θ=arctan(d/r)を満たすように揺動制御を行うと、ワークWの加工点を常に軸間中心(ワイヤガイド20A、20B間の中心)に位置させることができる。例えば、図5において、ワークWが最も左に振れている場合、ワイヤガイド20A、20B間の切断用ワイヤ21(以下、単に切断用ワイヤ21という)の中央がワークWの右端加工点と接触し、ワークWが最も右に振れている場合、切断用ワイヤ21の中央がワークWの左端加工点と接触し、ワークW中央が軸間中心にある場合、切断用ワイヤ21の中央がワークWの中央加工点と接触する。このため、ワークWの加工点の左右で切断用ワイヤ21の張力に差が生じる事態を回避でき、それにより、切断加工中における切断用ワイヤ21の伸縮ひいては切断用ワイヤ21の消耗を抑制できるので、切断用ワイヤ21の断線や切断用ワイヤ21の使用量の増大等を防止することができる。また、ワークWの加工点を常に軸間中心に位置させることによって、ワークWを常に一定の条件で加工することができるので、加工精度を向上させることができる。
ところで、図4に示す本実施形態のワーク揺動型ワイヤソー装置による揺動切断加工では、ワークWを切断送りするためにワーク保持部材24をRガイド25と共に下降させるので、切断加工の進行に伴って揺動半径rが小さくなる。
図6(a)及び(b)はそれぞれ、切断加工の開始時点及び終了時点での本実施形態の揺動切断加工の様子を模式的に示している。図6(a)に示すように、切断加工の開始時点では、揺動半径rが最大値rmax となり、このとき、arctan(d/r)で決まるθ0 は最小値arctan(d/rmax )(=θmin )になる。また、図6(b)に示すように、切断加工の終了時点では、揺動半径rが最小値rmin となり、このとき、arctan(d/r)で決まるθ0 は最大値arctan(d/rmin )(=θmax )になる。すなわち、本実施形態の揺動切断加工では、ワークWの切断加工の進行に伴う揺動半径rの減少に応じて、θ0 が最小値θmin から最大値θmaxまで変化するので、揺動半径rの変化に応じて揺動角度θを大きくしていってもよい。
尚、本実施形態において、θ=arctan(d/r)を満たすように揺動制御を行ったが、これに代えて、例えば図7(a)及び(b)に示すように、θ<arctan(d/r)(=θ0 )の条件で揺動を行ってもよい。ここで、図7(a)及び(b)は、切断加工の終了時点(つまりr=rmin 、θ0 =θmax )での様子を示している。この場合、ワークWの移動制御つまりワーク保持部材24の移動制御によりワークWと切断用ワイヤ21との接触長を制御することによって、具体的には、ワークWの加工形状である円弧の半径をRenc (つまり揺動半径r)として、切断用ワイヤ21とワークWとの接触長Lを2Renc (θ0 −θ)に制御することによって、ワークWの加工点(つまり切断用ワイヤ21との接触箇所の中央)を実質的に軸間中心に位置させることができる。これにより、θ=arctan(d/r)を満たす揺動制御と同様の効果を得ることができる。
一方、例えば図8に示すように、θ>arctan(d/r)(=θ0 )の条件で揺動を行うと、ワークWの加工点を軸間中心に位置させることができなくなり、ワークWの加工点の左右で切断用ワイヤ21の張力に差が生じてしまう。その結果、切断加工中に切断用ワイヤ21の伸縮ひいては切断用ワイヤ21の消耗が生じるので、切断用ワイヤ21の断線や切断用ワイヤ21の使用量の増大等の問題が起こってくる。ここで、図8は、切断加工の終了時点(つまりr=rmin 、θ0 =θmax )での様子を示している。
また、本実施形態において、ワークW(つまりワーク保持部材24)を揺動させるために、Rガイド25を用いたが、これに代えて、例えば揺動円板や揺動アーム等を用いてもよい。但し、本実施形態のように、Rガイド25を用いた方が、揺動円板や揺動アーム等を用いた場合と比べて、装置の大型化・複雑化を回避しつつ揺動半径rを大きくして揺動角度θを小さくできるので、揺動手段の負荷や切断用ワイヤ21とワークWとの干渉領域を小さくすることができる。
図9(a)は、揺動半径rと揺動角度θ(ワークWの揺動幅)との関係を示しており、図9(b)は、揺動角度θが45度の時のワークWと切断用ワイヤ21との干渉領域を示している。図9(a)に示すように、揺動半径r(つまり軸間中心における切断用ワイヤ21と揺動中心Cとの距離)が小さくなるに従って、揺動角度θつまりワークWの揺動幅が大きくなるので、例えば各ワイヤガイド20A及び20B間の距離を長くする等の装置の大型化が避けられなくなる。また、揺動角度θが大きくなると、それに伴って切断用ワイヤ21とワークWとの干渉領域が大きくなり、切断加工時にトラブルが生じやすくなる。例えば、図9(b)に示すように、揺動角度θが45度の場合で、ワークWと切断用ワイヤ21との干渉領域は270度にも達してしまう。
尚、以上に説明した各実施形態においては、ワークWを軸間中心において切断用ワイヤと点接触又は線接触させながら、ワークWの加工を行った。ここで、ワークWの加工位置(つまり切断位置)の変化又は切断用ワイヤ若しくはワークWの揺動状態の変化等に応じて、ワークWと切断用ワイヤとの接触長を変化させてもよい。
また、本発明が適用可能なワイヤソー装置は、図1、図3又は図4に示すワイヤソー装置に限られるものではなく、複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させると同時にワイヤガイドと共に切断用ワイヤを揺動させるか又は被加工物を揺動させながら、切断用ワイヤに被加工物を押し当てて切断加工を行うタイプのワイヤソー装置に本発明は広く適用可能である。例えば、図1、図3又は図4に示すワイヤソー装置には2つのワイヤガイドが用いられていたが、3つ以上のワイヤガイドを備えたワイヤソー装置にも本発明は適用可能である。また、例えば放電式のワイヤソー装置等にも本発明は適用可能である。
また、本発明が適用可能なワークWの形状(加工前の形状)も特に限定されるものではなく、例えば円柱状や直方体状等の様々な形状を持つワークWに本発明は広く適用可能である。但し、前述の各実施形態では、簡単のため、切断送り方向に常に一定の切断幅を有するワークW(例えば直方体状のワークW)を切断対象としたが、例えば円柱状のワークWを切断対象とする場合、図10(a)に示すように、ワークWの切断送りに伴って切断幅2d(半幅d)は変化するので、それを考慮して、θ≦arctan(d/r)を満たすように、揺動角度θを制御する必要がある。すなわち、ワークWに対する切断加工の開始直後は、切断幅は小さいので、揺動角度θも小さく設定する。その後、切断幅が徐々に大きくなるのに合わせて、揺動角度θを大きく設定することができ、最大切断幅(円柱の直径)のときに揺動角度θを最大にすることができる。その後、切断加工の終了まで切断幅が徐々に小さくなるのに合わせて、揺動角度θも小さく設定する必要がある。尚、図10(b)に示すように、円柱の半径をR、軸間中心における円柱の中心と加工点までの距離をlとして、切断幅2dの半幅dは√(R2 −l2 )と表すことができる。すなわち、前述の制御装置により、軸間中心における円柱の中心と加工点までの距離lをモニタリングすることにより、θ≦arctan(d/r)を満たすように、揺動角度θを制御することが可能となる。
また、本発明が適用可能なワークWの材質もシリコン等に特に限定されるものではないが、ワークWが例えばサファイアや炭化ケイ素(SiC)等の難削材からなる場合には、切断用ワイヤとして固定砥粒ワイヤを用いることが好ましい。切断用ワイヤとして固定砥粒ワイヤを用いる場合、砥粒を含むスラリーに代えて、冷却用の水等を供給しながら切断加工を行ってもよい。
本発明は、例えばシリコンインゴット等の被加工物を切断するワイヤソー装置及び切断加工方法に好適である。
10A、10B ワイヤガイド
11 切断用ワイヤ
12 ワイヤガイド支持部材
13 Rガイド
14 ワーク保持部材
20A、20B ワイヤガイド
21 切断用ワイヤ
24 ワーク保持部材
25 Rガイド
W ワーク

Claims (14)

  1. 複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行うワイヤソー装置であって、
    前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させるか、又は前記被加工物を揺動させる揺動手段と、
    前記被加工物の切断幅を2d、前記揺動手段による揺動半径をr、前記揺動手段による揺動角度をθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように前記揺動手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とするワイヤソー装置。
  2. 請求項1に記載のワイヤソー装置において、
    前記揺動手段は、前記揺動半径rを一定に保持しつつ、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させることを特徴とするワイヤソー装置。
  3. 請求項2に記載のワイヤソー装置において、
    前記揺動手段は、前記ワイヤガイドの保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含むことを特徴とするワイヤソー装置。
  4. 請求項1に記載のワイヤソー装置において、
    前記揺動手段は、前記被加工物を揺動させ、
    前記制御手段は、前記被加工物に対する切断加工の進行に伴って前記揺動半径rを小さくすると共に該揺動半径rの変化に応じて前記揺動角度θを大きくすることを特徴とするワイヤソー装置。
  5. 請求項4に記載のワイヤソー装置において、
    前記揺動手段は、前記被加工物の保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含むことを特徴とするワイヤソー装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイヤソー装置において、
    前記制御手段は、θ=arctan(d/r)を満たすように前記揺動手段を制御すると共に、前記切断用ワイヤを、前記被加工物の加工形状である円弧に点接触させることを特徴とするワイヤソー装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイヤソー装置において、
    前記制御手段は、θ<arctan(d/r)を満たすように前記揺動手段を制御すると共に、前記被加工物の加工形状である円弧の半径をRenc として、前記切断用ワイヤと前記被加工物との接触長Lを2Renc (arctan(d/r)−θ)に制御することを特徴とするワイヤソー装置。
  8. 複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行うワイヤソー装置であって、
    前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させる揺動手段を備え、
    前記揺動手段は、前記ワイヤガイドの保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含むことを特徴とするワイヤソー装置。
  9. 複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行うワイヤソー装置であって、
    前記被加工物を揺動させる揺動手段を備え、
    前記揺動手段は、前記被加工物の保持手段と、該保持手段を円弧往復させるRガイドとを含むことを特徴とするワイヤソー装置。
  10. 複数のワイヤガイドに螺旋状に巻き付けられた切断用ワイヤを走行させながら、前記切断用ワイヤに被加工物を押し当てて前記被加工物に対して切断加工を行う切断加工方法であって、
    前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させるか、又は前記被加工物を揺動させ、
    前記被加工物の切断幅を2d、前記揺動の半径及び角度をそれぞれr及びθとして、θ≦arctan(d/r)を満たすように前記揺動角度θを制御することを特徴とする切断加工方法。
  11. 請求項10に記載の切断加工方法において、
    前記揺動半径rを一定に保持しつつ、前記ワイヤガイドと共に前記切断用ワイヤを揺動させることを特徴とする切断加工方法。
  12. 請求項10に記載の切断加工方法において、
    前記被加工物に対する切断加工の進行に伴って前記揺動半径rを小さくすると共に該揺動半径rの変化に応じて前記揺動角度θを大きくしながら、前記被加工物を揺動させることを特徴とする切断加工方法。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の切断加工方法において、
    θ=arctan(d/r)を満たすように前記揺動角度θを制御すると共に、前記切断用ワイヤを、前記被加工物の加工形状である円弧に点接触させることを特徴とする切断加工方法。
  14. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の切断加工方法において、
    θ<arctan(d/r)を満たすように前記揺動角度θを制御すると共に、前記被加工物の加工形状である円弧の半径をRenc として、前記切断用ワイヤと前記被加工物との接触長Lを2Renc (arctan(d/r)−θ)に制御することを特徴とする切断加工方法。
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