JP2008188721A - 基板の製造方法及びワイヤソー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工後の切断面の反りを小さくする事ができるワイヤソーによる基板製造方法を提供する。
【解決手段】口径150mmφ以上、且つ長さ300mm以上のインゴット15を、走行するワイヤ14に押し当てて切断する基板の製造方法において、インゴット15の径方向の中心部分のみワイヤ14の繰り出し速度を切断開始、完了付近よりも速くするものである。
【選択図】図1
【解決手段】口径150mmφ以上、且つ長さ300mm以上のインゴット15を、走行するワイヤ14に押し当てて切断する基板の製造方法において、インゴット15の径方向の中心部分のみワイヤ14の繰り出し速度を切断開始、完了付近よりも速くするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、走行するワイヤに被加工物であるインゴットを押し付けながら両者の接触部に砥粒を含むスラリーを供給して切断して基板を製造する基板の製造方法及びワイヤソー装置に係り、特に、化合物半導体の切断に好適な基板の製造方法及びワイヤソー装置に関するものである。
ワイヤソー装置は、走行するワイヤに被加工物であるインゴットを押し付けると共に、スラリータンクから遊離砥粒(以下、砥粒という)を含むスラリーを供給してインゴットを切断して基板を製造するように構成されている。例えば、ピアノ線等のワイヤにスラリー(遊離砥粒を混ぜた加工液)をかけながら、ワイヤを一方向走行または往復走行させつつ、インゴットに押し付けてインゴットを切断するものである。
切断される基板の精度を向上させるために、ワイヤの磨耗によるワイヤ径の変化を検出し、磨耗したワイヤを新しいワイヤに換えるための新しいワイヤの供給を制御することによりワイヤ径を安定させ、ワイヤ径の変化により基板の精度が低下することを防止する方法や高張力ワイヤを用いて切断する方法が提案されている。
また、ワイヤの磨耗を抑制するためには、ワイヤの繰り出し速度を速くするのが最も有効であるが、繰り出し速度を速くするとランニングコストが高くなる欠点がある。
ところで、従来の切断方法では大口径150mmφ以上のインゴットで、長尺300mm以上のインゴットはインゴット中心部で最も切断抵抗が高くなり、ワイヤの磨耗が大きくなり、ワイヤがブレることが起因で中心部分の切断面の加工精度を悪化させている。また、ワイヤのブレを低減させる為、ワイヤの張力を高くすると、切断中にインゴット中心部でワイヤの断線が頻繁に発生し、加工精度を悪化させている。
大口径150mmφ以上のインゴットで、インゴット長さ300mm以上のインゴットは切断中、インゴット中心部で切断抵抗が一番高くなり、ワイヤの磨耗が大きくなる。その為、インゴット中心部の切断面の加工精度を悪化させている。特に、1本のワイヤを溝付きローラ等に巻き付けてワイヤ列をインゴットに押しつけてインゴットを切断する場合、新しいワイヤの繰り出し側から巻き取り側に近づくに従い、ワイヤ磨耗して扁平になり、かつ振れる為、巻き取り側のウェハの反りの値を大きくさせている。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、加工後の切断面の反りを小さくする事ができるワイヤソーによる基板の製造方法及びワイヤソー装置を提供を目的とする。
上記目的を達成するために請求項1の本発明は、口径150mmφ以上、且つ長さ300mm以上のインゴットを、走行するワイヤに押し当てて切断する基板の製造方法において、インゴットの径方向の中心部分のみワイヤの繰り出し速度を切断開始、完了付近よりも速くすることを特徴とする基板の製造方法である。
請求項2の発明は、切断開始のワイヤの繰り出し速度を60m/minとし、中心部の切り出し速度を1.2倍以上の72m/min以上とし、完了付近でのワイヤの繰り出し速度を60m/minとした請求項1記載の基板の製造方法である。
請求項3の発明は、口径150mmφ以上、且つ長さ300mm以上のインゴットを、走行するワイヤに押し当てて切断するワイヤソー装置において、三角形状に並設された溝付きローラと、これら溝付きローラに所定間隔で螺旋状に巻き付けられたワイヤと、溝付きローラを正逆方向に駆動する駆動モータからなり、インゴットの径方向の中心部分のみワイヤの繰り出し速度を切断開始、完了付近よりも速くすることを特徴とするワイヤソー装置である。
請求項4の発明は、切断開始のワイヤの繰り出し速度を60m/minとし、中心部の切り出し速度を1.2倍以上の72m/min以上とし、完了付近でのワイヤの繰り出し速度を60m/minとした請求項3記載のワイヤソー装置である。
本発明によれば、インゴット中心部は、ワイヤの繰り出し速度を速くしている為、ワイヤの磨耗が小さく、ワイヤのブレを低減することができる。従って、加工後の切断面の反りを小さくすることができ、高精度のウェハを得ることができる。また、インゴット中心部でワイヤの繰り出し速度を速くしている為、ワイヤの磨耗が小さく、ワイヤを挟んだ左右でインゴットの厚さが異なり、薄くなっている側にブレたり、この薄い部分が破損したりすることを低減できる。また、繰り出し速度は中心部のみ速くする為、ランニングコストは大幅に高くならない。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1,図2に示すようにワイヤソー装置10は、三角形に並設された3本の溝付きローラ11、12、13と、これら溝付きローラ11、12、13に所定間隔を隔てて形成された各溝に対して螺旋状に巻き付けられた1本のワイヤ14と、溝付ローラ11、12、13の少なくとも1本を正逆方向に駆動することにより、前記溝付ローラ11、12、13を正逆方向に回転させて前記ワイヤ14を双方向に走行させる駆動モータ20と、ワイヤ14の双方向へ移動を可能とするための一対のワイヤリール21,22とから構成されている。
前記一対のワイヤリール21,22は、前記駆動モータ20の正逆回転の切り替えによるワイヤ14の双方向への移動に対応してそれぞれワイヤ14の繰り出しと巻き取りとを切り替えるように構成されている。また、この一対のワイヤリール21,22は、ワイヤ14の張力を一定に保持するテンショナとしても機能する。そして、溝付ローラ12、13間に巻きかけられたワイヤ14の列のほぼ中央外側部に臨ませてインゴット押し付け手段としてのアクチュエータ16が配置されており、アクチュエータ16の先端部にインゴット15をワイヤ列に押し付けるための治具16aが装着されている。
インゴット15の切断位置のワイヤ14には、スラリータンク18から遊離砥粒(以下、砥粒という)を含むスラリー17を、ポンプ19にて供給管23を通しノズル24より噴射してインゴット15を切断して基板を製造するように構成されている。例えば、ピアノ線等のワイヤ14にスラリー(遊離砥粒を混ぜた加工液)17をかけながら、ワイヤ14を一方向走行または往復走行させつつ、インゴット15に押し付けてインゴット15を切断する
アクチュエータ16を伸長すると、ワイヤ列にインゴット15が押し付けられるので、ワイヤ14にインゴット15を押し付けて互いの接触部にスラリー17を供給すると、ワイヤのミクロ的な変形と、スラリー17に含まれている砥粒によるラッピング作用によってインゴット15が複数のウェハにスライスされて、例えば厚さ1.0mm程度以下のウェハ(基板)を製造する。
アクチュエータ16を伸長すると、ワイヤ列にインゴット15が押し付けられるので、ワイヤ14にインゴット15を押し付けて互いの接触部にスラリー17を供給すると、ワイヤのミクロ的な変形と、スラリー17に含まれている砥粒によるラッピング作用によってインゴット15が複数のウェハにスライスされて、例えば厚さ1.0mm程度以下のウェハ(基板)を製造する。
インゴット15とワイヤ14を近づけると、まず、ワイヤ14がインゴット15の外周部に接触し、このワイヤ14が切断し始める。
本発明においては、速度線Sで示すように、切断開始のワイヤの繰り出し速度を60m/min以上とし、中心部の切り出し速度を1.2倍以上の72m/min以上とし、完了付近でのワイヤの繰り出し速度を60m/min以上に設定することで、ワイヤ14の磨耗を抑制し、インゴット15が高精度に切断される。
この場合、速度線Sの60m/minの立ち上がり時は、インゴット15の切断深さが、直径Dの約1/4から増速して1.2倍以上の72m/min以上とし、約3/4から減速して60m/minにして切断する。
表1は、150mmφのインゴットを従来の繰り出し速度60m/min一定の切断条件による切り出したウェハ反りとインゴット中心部でワイヤの繰り出し速度を速くした切断条件による切り出したウェハ反りを比較して示したものである。
表1において、従来の繰り出し速度60m/min一定で切断したときには、基板の反りが20μmあるが、中心部の速度を1.1倍(66m/min)とすると基板の反りは15μmとなり、1.2倍(72m/min)で10μm、1.3倍(78m/min)で8μm、1.4倍(84m/min)で8μm、1.5倍(90m/min)で8μmとなる。
このように、本実施例の切断条件によりスライスしたウェハの方が、従来の切断条件によりスライスしたウェハに比べ、反りの程度が小さい。
従って、この結果から、ランニングコストを大幅に高くすることなく、ワイヤの磨耗によるブレを抑制し、切断加工精度が向上することが分かる。
表2は150mmφのインゴットを従来の繰り出し速度50m/min一定の切断条件による切り出したウェハ反りとインゴット中心部でワイヤの繰り出し速度を速くした切断条件による切り出したウェハ反りを比較して示したものである。
表2において、従来の繰り出し速度50m/min一定で切断したときには、基板の反りが25μmであり、中心部の速度を1.1倍(55m/min)とすると基板の反りは25μm、1.2倍(60m/min)で25μm、1.3倍(65m/min)で25μm、1.4倍(70m/min)で20μm、1.5倍(75m/min)で20μmとなる。
このように、初期の繰り出し速度が50m/minと低いと、中心部の切断開始の繰り出し速度が1.2倍以上であっても、反りの値は低減できず、加工精度が向上することが出来なかった。
よって、初期の繰り出し速度を60m/min以上とするのがよい。
以上の実施例は、LEC法GaAsインゴットのスライスによるものであるが、本発明においては、LEC法GaAsインゴットのスライスのみならず、他の材料を用いたスライスについても適用可能である。
11、12、13 溝付きローラ
14 ワイヤ
15 インゴット
16 アクチュエータ
17 スラリー
18 スラリータンク
23 供給管
24 ノズル
14 ワイヤ
15 インゴット
16 アクチュエータ
17 スラリー
18 スラリータンク
23 供給管
24 ノズル
Claims (4)
- 口径150mmφ以上、且つ長さ300mm以上のインゴットを、走行するワイヤに押し当てて切断する基板の製造方法において、インゴットの径方向の中心部分のみワイヤの繰り出し速度を切断開始、完了付近よりも速くすることを特徴とする基板の製造方法。
- 切断開始のワイヤの繰り出し速度を60m/minとし、中心部の切り出し速度を1.2倍以上の72m/min以上とし、完了付近でのワイヤの繰り出し速度を60m/minとした請求項1記載の基板の製造方法。
- 口径150mmφ以上、且つ長さ300mm以上のインゴットを、走行するワイヤに押し当てて切断するワイヤソー装置において、三角形状に並設された溝付きローラと、これら溝付きローラに所定間隔で螺旋状に巻き付けられたワイヤと、溝付きローラを正逆方向に駆動する駆動モータからなり、インゴットの径方向の中心部分のみワイヤの繰り出し速度を切断開始、完了付近よりも速くすることを特徴とするワイヤソー装置。
- 切断開始のワイヤの繰り出し速度を60m/minとし、中心部の切り出し速度を1.2倍以上の72m/min以上とし、完了付近でのワイヤの繰り出し速度を60m/minとした請求項3記載のワイヤソー装置。
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---|---|---|---|---|
JP2010076070A (ja) * | 2008-09-29 | 2010-04-08 | Kyocera Corp | 基板の製造方法および太陽電池素子 |
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WO2015029323A1 (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-05 | 信越半導体株式会社 | インゴットの切断方法及びワイヤソー |
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2007
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