JP2010023145A - 切断装置及び切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工部材の切断加工において、加工効率及び加工精度の向上を図ることができる切断装置及び切断方法を提供する。
【解決手段】切断装置1は、固定砥粒ワイヤ工具100を駆動し、固定砥粒ワイヤ工具100を被加工部材Wに対して揺動させる揺動機構160と、固定砥粒ワイヤ工具100が、被加工部材Wに対して往復で揺動し、固定砥粒ワイヤ工具100が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、固定砥粒ワイヤ工具100の被加工部材Wに対する相対的な位置を当該折り返し位置で所定の保持時間tだけ保持するように、揺動機構160を制御する揺動制御部164と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】切断装置1は、固定砥粒ワイヤ工具100を駆動し、固定砥粒ワイヤ工具100を被加工部材Wに対して揺動させる揺動機構160と、固定砥粒ワイヤ工具100が、被加工部材Wに対して往復で揺動し、固定砥粒ワイヤ工具100が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、固定砥粒ワイヤ工具100の被加工部材Wに対する相対的な位置を当該折り返し位置で所定の保持時間tだけ保持するように、揺動機構160を制御する揺動制御部164と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、ウェハの製造に利用される切断装置及び切断方法に関するものである。
ワイヤ工具を用いる切断装置は、高速で走行させたワイヤを被加工部材(ワークともいう)に押し当てることによって被加工部材を切断するものである。具体的には、シリコン、サファイア、石英、磁性材料、石材などの硬脆材で構成された被加工部材から、高い寸法精度で薄板(ウェハ)を切り出すスライス加工に用いられる。
このようなワイヤ工具には、遊離砥粒方式のものと固定砥粒方式のものとが存在する。遊離砥粒方式によるワイヤ工具(遊離砥粒ワイヤ工具)は、研削液中にミクロンサイズの砥粒を混合した加工液(スラリー)をワイヤによって被加工部材に擦りつけながら加工を行うワイヤ工具である。固定砥粒方式によるワイヤ工具(固定砥粒ワイヤ工具)は、表面に砥粒を直接固着させたワイヤによって加工を行うワイヤ工具である。この固定砥粒ワイヤ工具は、遊離砥粒ワイヤ工具に比べて加工精度が向上し、加工能率も高いという優位性をもつ。
ところで、この種のワイヤ工具を用いる切断装置には、下記特許文献1,2に開示されているように、切断中にワイヤ側もしくは被加工部材側を揺動させる揺動機構を有する装置も存在している。これらの装置は、走行するワイヤ工具と被加工部材との接触幅を小さくし、加工能率及び加工精度を向上させようとするものである。
特許3692703号公報
特公平6−35107号公報
ここで、特許文献1,2のようにワイヤ工具が往復で揺動する切断装置においては、ワイヤ工具が往復揺動の中央付近にある場合には、被加工部材の切断加工面における中央部がワイヤに接触し、ワイヤ工具が往復揺動の折り返し位置にある場合には、被加工部材の切断加工面における端部がワイヤに接触することになる。すなわち、ワイヤが切断加工面の中央部に接触する状態は、往復揺動の1周期において2回現れるのに対し、ワイヤが切断加工面の端部に接触する状態は、往復揺動の1周期において1回しか現れない。従って、被加工部材の両端部付近は中央部に比較して切断加工時間が短いといったように、被加工部材の部分ごとの切断加工時間が不均一である。従って、全体として加工効率が十分に得られない場合があり、また、このような切断加工時間の不均一が、被加工部材の切断加工面のうねりの発生等といった加工精度低下の原因ともなり得る。
そこで、本発明は、被加工部材の切断加工において、加工効率及び加工精度の向上を図ることができる切断装置及び切断方法を提供することを目的とする。
本発明の切断装置は、表面に砥粒を固着したワイヤを複数の主軸ローラに巻架した固定砥粒ワイヤ工具によって、固定砥粒ワイヤ工具及び所定の軸線に沿って延びる被加工部材のうち少なくとも一方を所定の軸線に交差する移動方向に移動させながら、被加工部材を切断することによってウェハを切り出す切断装置であって、固定砥粒ワイヤ工具による被加工部材の切断中に、固定砥粒ワイヤ工具及び被加工部材のうち少なくとも一方を駆動し、固定砥粒ワイヤ工具を、被加工部材の切断加工面に平行な平面内において、被加工部材に対して相対的に変位させる変位駆動機構と、固定砥粒ワイヤ工具が、被加工部材に対して相対的に往復で揺動し、固定砥粒ワイヤ工具が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、固定砥粒ワイヤ工具の被加工部材に対する相対的な位置を当該折り返し位置で所定の保持時間だけ保持するように、変位駆動機構を制御する揺動制御手段と、所定の保持時間を予め設定させる保持時間設定手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の切断方法は、表面に砥粒を固着したワイヤを複数の主軸ローラに巻架した固定砥粒ワイヤ工具によって、固定砥粒ワイヤ工具及び所定の軸線に沿って延びる被加工部材のうち少なくとも一方を所定の軸線に交差する移動方向に移動させながら、被加工部材を切断することによってウェハを切り出す切断方法であって、固定砥粒ワイヤ工具による被加工部材の切断中に、固定砥粒ワイヤ工具及び被加工部材のうち少なくとも一方を駆動し、固定砥粒ワイヤ工具を、被加工部材の切断加工面に平行な平面内において、被加工部材に対して相対的に変位させる変位駆動ステップを備え、変位駆動ステップでは、固定砥粒ワイヤ工具が、被加工部材に対して相対的に往復で揺動し、固定砥粒ワイヤ工具が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、固定砥粒ワイヤ工具の被加工部材に対する相対的な位置を当該折り返し位置で所定の保持時間だけ保持するように、固定砥粒ワイヤ工具及び被加工部材のうち少なくとも一方が駆動され、所定の保持時間を予め設定させる保持時間設定ステップを更に備えたことを特徴とする。
このような切断装置及び切断方法によれば、固定砥粒ワイヤ工具のワイヤによって被加工部材が切断加工される間に、固定砥粒ワイヤ工具を、被加工部材に対して相対的に往復で揺動させることができる。この揺動において、固定砥粒ワイヤ工具が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、その位置で予め設定された保持時間だけ保持される。従って、固定砥粒ワイヤ工具が、被加工部材に対して、往復揺動の折り返し位置にある時間を長くすることが可能となる。その結果、被加工部材の切断加工面において、往復揺動の折り返し位置に対応する切断加工時間と、往復揺動の中間の位置に対応する切断加工時間と、を均一に近づけることができる。その結果、切断加工時間の不均一に起因した加工効率及び加工精度の低下を抑えることができる。
また、本発明の切断装置において、変位駆動機構は、駆動源としてサーボモータを有し、揺動制御手段は、サーボモータに駆動制御信号を送出してサーボモータの回転を制御することとしてもよい。サーボモータは、正確な回転制御が容易に可能であるので、この切断装置の構成によれば、往復揺動の動作を正確に行うことができる。
本発明の切断装置及び切断方法によれば、被加工部材の切断加工において、加工効率及び加工精度の向上を図ることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る切断装置及び切断方法の好適な一実施形態について詳細に説明する。
図1及び図2に示す切断装置1は、走行するワイヤを用いて被加工部材を切断加工しウェハを切り出すための装置である。この切断装置1は、例えば、サファイヤ等の硬脆材料を切り出すために利用される。
図1及び図2に示すように、切断装置1は、X方向に延びる棒状の被加工部材Wを、ワイヤ50を用いて、X方向に直交する切断面で切断するための固定砥粒ワイヤ工具100を備えている。更に切断装置1は、この固定砥粒ワイヤ工具100にワイヤ50を供給するため、ワイヤ50が巻き付けられる一対のワイヤリール30A,30Bと、ワイヤ50の搬送を案内する複数のガイドプーリ20と、を備えている。なお、ガイドプーリ20のうち一部は、搬送されるワイヤ50のテンションを制御するテンション制御用プーリ20aである。上記固定砥粒ワイヤ工具100は、X方向に延びる2本の主軸ローラ10,11と、この主軸ローラ10,11を回転自在に支持する円板状の揺動板60とを備えている。なお、固定砥粒ワイヤ工具100は、更なる主軸ローラを備えるものであってもよい。
ワイヤ50は、鋼鉄等からなるワイヤの外周面にダイヤモンド等の砥粒が公知の方法によって固着されたものである。ここで用いられる砥粒としては、ダイヤモンド砥粒に限られず、CBN砥粒であってもよい。また、導電性を有する砥粒を用いてもよい。ここで、導電性を有する砥粒としては、ダイヤモンド半導体等から成る砥粒のように砥粒自体が導電性を有するものや、金属膜がコーティングされた砥粒のようにコーティングにより導電性を有するものが挙げられる。また、ワイヤ50表面に砥粒を固着させる方法としては、めっき、溶射、放電被膜法等を用いてワイヤ表面に被覆した金属被膜によって、砥粒を固着する方法を用いることができる。この金属被膜は、例えば、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、或いはこれらを主成分として含む金属(例えば真鍮)等からなる。また、ワイヤ50表面に固着される砥粒の平均粒径は3〜50μmである。また、砥粒の集中度(ワイヤ表面に付着している1mm2範囲内における砥粒数の割合)は、1mm2範囲内に砥粒を縦横に整列させたと仮定した場合に求められる最大個数に対して、10〜60%であることが好ましい。
ワイヤ50の両端部は、ワイヤリール30A,ワイヤリール30Bによって巻回されている。このワイヤリール30A,30Bは、モータなどの駆動手段(不図示)によって回転可能に設置されており、ワイヤリール30Aからワイヤリール30Bへワイヤ50の繰出しおよび巻取り動作を行うことができる。切断装置1の運転時において、ワイヤリール30A,30Bは、ワイヤ50の繰出しおよび巻取り動作を交互に行い、ワイヤ50を被加工部材W上で摺動させる摺動動作を行う。
各主軸ローラ10,11には、ワイヤ50を案内するための複数列の平行なワイヤ案内溝が一定のピッチで形成されている。ワイヤ50は、ワイヤ案内溝で案内されながら主軸ローラ10,11に交互に複数回巻架されている。この主軸ローラ10と11との間で主軸ローラ10,11の上端に沿って張られた複数のワイヤ50が、ワイヤ列50Cを形成する。切断装置1の運転時には、このワイヤ列50Cが被加工部材Wに直接接触して被加工部材Wの切断加工を行う。
また、ワイヤ列50Cの上方には、ワークテーブル40が設けられている。ワークテーブル40下面には、軸線X方向に延びる被加工部材Wが載置される。この被加工部材Wは、例えば、円柱状部材である。このワークテーブル40は、公知の昇降移動手段(不図示)によってワイヤ列50Cに対して昇降移動可能であり、切断装置1の運転時には、軸線Xに交差する移動方向Z(ここでは鉛直方向)に被加工部材Wを移動させる。被加工部材Wの移動方向Zへの移動については、固定砥粒ワイヤ工具100を動かしてもよいし、固定砥粒ワイヤ工具100および被加工部材Wの両方を動かしてもよい。
更に、このような固定砥粒ワイヤ工具100は、ワークテーブル40に対して揺動可能に構成されている。具体的には、揺動板60が、回転支点60aにおいて軸支されており、ワークテーブル40に対して、X方向に直交する面内で回動可能とされている。この構成により、切断装置1の運転時においては、固定砥粒ワイヤ工具100は、回転支点60aを中心として、所定の角度で時計回り及び反時計回りに交互に回動可能であり、被加工部材Wに対して往復で揺動する往復揺動動作を行う。例えば、回転支点60aは、主軸ローラ10と11との中央の位置に設定される。
このような固定砥粒ワイヤ工具100の往復揺動動作を実現するための揺動機構(変位駆動機構)160について説明する。この揺動機構160においては、揺動板60の裏面側に固定されたプーリ161が設けられている。また、揺動板60の駆動源として、サーボモータ162が設けられており、サーボモータ162の出力軸162aとプーリ161との間に、駆動ベルト163が架け渡されている。このような揺動機構160により、サーボモータ162を交互に正回転/逆回転させることで、揺動板60を時計回り/反時計回りに交互に回動させることができ、固定砥粒ワイヤ工具100の往復揺動動作が実現される。このような往復揺動動作により、被加工部材Wに対してワイヤ列50Cが揺動し、各ワイヤが被加工部材Wに対して当たる角度が周期的に変化する。
更に、切断装置1は、上記サーボモータ162の回転を制御するための揺動制御部164を備えている。揺動制御部164は、切断加工に関する各種設定情報の入力操作を受け付ける設定入力部165と、設定入力部165で入力された設定情報を記憶保存する設定記憶部166と、設定記憶部166に保存された設定情報に基づいてサーボモータ162に駆動制御信号を送出する駆動信号送出部167と、を有している。上記設定情報には、例えば、ワイヤ列50Cの揺動の速度、最大の揺動角等に関連するパラメータが含まれる。
この揺動制御部164としては、例えば、パーソナルコンピュータを採用することができる。このようなパーソナルコンピュータが、予め準備されたプログラムに従って動作することにより、上記設定入力部165、設定記憶部166、及び駆動信号送出部167の機能が実現される。以上のような構成に基づき、切断装置1のユーザは、設定入力部165から各種設定情報を予め入力しておくことで、運転時には揺動板60に所望の動作を行わせることができる。
なお、この切断装置1においては、被加工部材Wは、カーボン、レジン、ガラスなどで構成されるベース台(不図示)を介してワークテーブル40に載置してもよい。このようにすれば、固定砥粒ワイヤ工具100の揺動時においても、ワークテーブル40を損傷することなく、被加工部材Wを加工することが出来る。
次に、図1〜図4を参照して、切断装置1の動作を説明し、併せて被加工部材Wの切断方法について説明する。ここで、図3は、図1の主軸ローラ10,11及びワイヤ列50Cの動作を示す図である。図4は、加工時における被加工部材の切断加工面Wxの様子を示す図である。
切断装置1の運転が開始されると、ワイヤリール30A,30Bによってワイヤ50の繰出しおよび巻取り動作が交互に行われる。同時に、図1に示すように、ワークテーブル40によって被加工部材Wが移動方向Zに移動される。これにより、ワイヤ列50Cの各ワイヤ50が、被加工部材Wに直接押し当てられ、わずかに撓んだ状態で被加工部材Wを切断加工していく。なお、切断加工時には、ワイヤ列50Cのワイヤ50がわずかに撓むことから、各ワイヤ50は、被加工部材Wの切断加工部に対してある程度の長さをもって接触する。
更にこのとき、固定砥粒ワイヤ工具100は、往復揺動動作を行う。すなわち、固定砥粒ワイヤ工具100は、移動方向Zに交差する基準面S(ここでは水平面)に対して反時計回りに最大揺動角θだけ傾斜した位置(以下、「+θ位置」という)100Aと、基準面Sに対して時計回りに最大揺動角θだけ傾斜した位置(以下、「−θ位置」という)100Bと、の間を往復するように回動する。なお、固定砥粒ワイヤ工具100の+θ位置100Aから−θ位置100Bへの回動、及び−θ位置100Bから+θ位置100Aへの回動は、等角速度で行われる。この固定砥粒ワイヤ工具100の往復揺動動作により、ワイヤ列50Cの被加工部材Wに対する接触位置が、連続的に周期的に変化しながら被加工部材Wの切断加工が行われる。
このような切断装置1の動作に基づき、図4に示すように、移動方向Zに沿う被加工部材Wの切断加工面Wx上において一方向に湾曲した曲線Cを描く条痕が形成されながら、被加工部材Wが切断加工される。ここで、Uは曲線Cの頂点、VaおよびVbは曲線Cの端点、斜線部は切断加工済の部分、をそれぞれ示す。
このような切断装置1において、仮に、上記揺動板60の揺動運動が単純な往復運動であれば、端点Va付近の切断加工時間は、頂点U付近の切断加工時間よりも短くなる。その理由は、端点Vaにワイヤ50が接触する状態は、固定砥粒ワイヤ工具100が+θ位置100Aにある場合に対応するので、揺動板60の揺動の1周期の間に1回しか現れないのに対し、頂点Uにワイヤ50が接触する状態は、揺動板60の揺動の1周期の間に往復で2回現れるからである。同様の理由で、−θ位置100Bに対応する端点Vb付近の切断加工時間も、頂点U付近の切断加工時間よりも短くなる。
従って、この場合、切断加工面Wxの両端部付近(端点Va,Vb付近)は中央部(頂点U付近)に比較して切断加工時間が短いといったように、切断加工面Wxの部分ごとの切断加工時間が不均一である。従って、全体として切断加工の効率が十分に得られない場合があり、また、切断加工時間の不均一が、切断加工面Wxのうねりの発生等といった加工精度低下の原因ともなり得る。
そこで、この切断装置1では、往復揺動する固定砥粒ワイヤ工具100が、往復揺動の折り返し位置(+θ位置100A、及び−θ位置100B)に到達する毎に、固定砥粒ワイヤ工具100をその折り返し位置で所定時間だけ停止させることとしている。すなわち、固定砥粒ワイヤ工具100が、+θ位置100A、及び−θ位置100Bに到達したときには、それぞれ、揺動板60の回動が停止され、固定砥粒ワイヤ工具100の位置が所定の保持時間だけ保持される。
このような処理によれば、図5に示されるように、固定砥粒ワイヤ工具100は、+θ位置100Aから−θ位置100Bへ等角速度ωで回動し(動作S1)、−θ位置100Bで保持時間tだけ保持され(動作S2)、−θ位置100Bから+θ位置100Aへ等角速度ωで回動し(動作S3)、+θ位置100Aで保持時間tだけ保持される(動作S4)、といった一連の動作S1〜S4を周期的に繰り返す。
前述したように、揺動板60の駆動源はサーボモータ162であり、サーボモータ162の回転は、設定記憶部166に記憶された設定情報に基づいて揺動制御部164により制御される。従って、ユーザが所望の最大揺動角度θ、角速度ω、保持時間tを予め設定入力部165から入力し、設定記憶部166にこれらのパラメータを記憶させておくことで、予め準備されたプログラムによるサーボモータ162の制御を介して、固定砥粒ワイヤ工具100の上述のS1〜S4の動作の繰り返しを正確に行わせることが可能となる。なお、θ位置100A及び−θ位置100Bで固定砥粒ワイヤ工具100の回動を停止させるためには、サーボモータ162の回転を停止させればよい。
固定砥粒ワイヤ工具100の往復揺動動作の中に、上記のような保持時間tを設定することにより、固定砥粒ワイヤ工具100が+θ位置100A或いは−θ位置100Bにある時間が長くなり、その結果、端点Va,Vb付近の切断加工時間が延長される。従って、端点Va,Vb付近の切断加工時間と頂点U付近の切断加工時間との差を低減することができる。よって、この切断装置1によれば、被加工部材Wの切断加工面Wxにおける各部分ごとの切断加工時間を均等に近づけることができ、加工効率及び加工精度の向上を図ることができる。また、保持時間tは、設定入力部165におけるユーザの設定操作によって可変であるので、被加工部材Wの条件やその他の条件に応じて最適の保持時間tを設定することができる。
なお、固定砥粒ワイヤ工具100が+θ位置100Aから−θ位置100Bまで(或いは−θ位置100Bから+θ位置100Aまで)で回動する時間をTとすれば、加工効率及び加工精度を向上させる観点からは、保持時間tは、0.2≦t/T≦10とすることが好ましく、その中でも、0.5≦t/T≦5とすると更に好ましい。なお、図5の例では、好適なパラメータとして、最大揺動角θ=7deg、角速度ω=250deg/min、保持時間t=2秒が設定されており、この場合、T=3.4秒であり、t/T=0.59である。
続いて、本発明者らは、切断装置1を用いてシリコンインゴットの切断試験を行った。3回の切断試験において、保持時間tを、0秒、1秒、2秒と設定してそれぞれ切断試験1〜3を行い、それぞれの試験で得られたシリコンウェハの切断加工面の平坦度を測定した。切断試験1〜3においては、保持時間t以外の条件はすべて同じとし、揺動に関する他のパラメータについては、最大揺動角θ=7deg、角速度ω=250deg/minと設定した。なお、切断試験1では、保持時間t=0と設定しているが、これは、従来の切断装置による切断加工と同様の切断加工条件である。各切断試験の測定結果は、下表1に示す通りである。
この結果によれば、保持時間tが存在する切断試験2,3では、従来どおり保持時間t=0の切断試験1に比較して、シリコンウェハの切断加工面の平坦度の数値が小さくなり、加工精度が向上することが確認された。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では被加工部材Wを固定してワイヤ列50Cを揺動させているが、逆に、ワイヤ列50Cを固定して被加工部材Wを揺動させてもよい。
1…切断装置、10,11…主軸ローラ、50…ワイヤ、100…固定砥粒ワイヤ工具、100A,100B…折り返し位置、160…揺動機構(変位駆動機構)、164…揺動制御部(揺動制御手段)、165…設定入力部(保持時間設定手段)、W…被加工部材、X…軸線、Z…移動方向。
Claims (3)
- 表面に砥粒を固着したワイヤを複数の主軸ローラに巻架した固定砥粒ワイヤ工具によって、前記固定砥粒ワイヤ工具及び所定の軸線に沿って延びる前記被加工部材のうち少なくとも一方を前記所定の軸線に交差する移動方向に移動させながら、前記被加工部材を切断することによってウェハを切り出す切断装置であって、
前記固定砥粒ワイヤ工具による前記被加工部材の切断中に、前記固定砥粒ワイヤ工具及び前記被加工部材のうち少なくとも一方を駆動し、前記固定砥粒ワイヤ工具を、前記被加工部材の切断加工面に平行な平面内において、前記被加工部材に対して相対的に変位させる変位駆動機構と、
前記固定砥粒ワイヤ工具が、前記被加工部材に対して相対的に往復で揺動し、前記固定砥粒ワイヤ工具が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、前記固定砥粒ワイヤ工具の前記被加工部材に対する相対的な位置を当該折り返し位置で所定の保持時間だけ保持するように、前記変位駆動機構を制御する揺動制御手段と、
前記所定の保持時間を予め設定させる保持時間設定手段と、
を備えたことを特徴とする切断装置。 - 前記変位駆動機構は、
駆動源としてサーボモータを有し、
前記揺動制御手段は、
前記サーボモータに駆動制御信号を送出して前記サーボモータの回転を制御することを特徴とする請求項1に記載の切断装置。 - 表面に砥粒を固着したワイヤを複数の主軸ローラに巻架した固定砥粒ワイヤ工具によって、前記固定砥粒ワイヤ工具及び所定の軸線に沿って延びる前記被加工部材のうち少なくとも一方を前記所定の軸線に交差する移動方向に移動させながら、前記被加工部材を切断することによってウェハを切り出す切断方法であって、
前記固定砥粒ワイヤ工具による前記被加工部材の切断中に、前記固定砥粒ワイヤ工具及び前記被加工部材のうち少なくとも一方を駆動し、前記固定砥粒ワイヤ工具を、前記被加工部材の切断加工面に平行な平面内において、前記被加工部材に対して相対的に変位させる変位駆動ステップを備え、
前記変位駆動ステップでは、
前記固定砥粒ワイヤ工具が、前記被加工部材に対して相対的に往復で揺動し、前記固定砥粒ワイヤ工具が往復揺動の折り返し位置に到達したときには、前記固定砥粒ワイヤ工具の前記被加工部材に対する相対的な位置を当該折り返し位置で所定の保持時間だけ保持するように、前記固定砥粒ワイヤ工具及び前記被加工部材のうち少なくとも一方が駆動され、
前記所定の保持時間を予め設定させる保持時間設定ステップを更に備えたことを特徴とする切断方法。
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