JPH10264143A - ワイヤソーおよびインゴット切断方法 - Google Patents

ワイヤソーおよびインゴット切断方法

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JPH10264143A
JPH10264143A JP9454197A JP9454197A JPH10264143A JP H10264143 A JPH10264143 A JP H10264143A JP 9454197 A JP9454197 A JP 9454197A JP 9454197 A JP9454197 A JP 9454197A JP H10264143 A JPH10264143 A JP H10264143A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断時間が短縮され、かつ、切断されたウ
ェーハの表面平坦度が良好なワイヤソーおよびこれを用
いたインゴット切断方法を提供する。 【解決手段】 インゴット29の切断時には、制御部1
5の揺動方向切換手段15aにより、常にワイヤ列11
の走行方向が、インゴット29の切断残部の頂上部29
aから麓部29bへ向かう。これで非研削側の法面とワ
イヤ列11の間に隙間Sができ、切断時には砥液供給装
置12からワイヤ列11上へ供給した砥液a1の余剰分
a1′が、頂上部29aで削られ隙間Sに残る。このた
め、次に非研削側の法面を削るとき、揺動手段14で揺
動角度を変更したワイヤ列11に、隙間S内の砥液a
1′が十分に付着するので、短時間でインゴット29を
切断でき、ウェーハの表面平坦度も良好になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はワイヤソーおよび
インゴット切断方法、詳しくは切断時間の短縮や、切断
されたウェーハの表面平坦度(TTV:Total T
hicknessVariation)が良好なワイヤ
ソーおよびこれを用いたインゴット切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤソーは、ラッピングオイルに遊離
砥粒を混入したスラリー状の砥液を、走行するワイヤ列
にかけながら、このワイヤを単結晶シリコン棒などのイ
ンゴット(ワーク)に相対的に押し付けて、その砥粒の
研削作用により、ワークをウェーハに切断する装置であ
る。この場合、ワイヤ列は所定速度で走行しながら、一
定のサイクルで往復駆動されている。また、ワイヤとワ
ークとは、切断時、切断面を含む平面内でこのワーク中
心軸を中心として相対的に揺動させられている。ワイヤ
列による切断能力の向上には、砥液の供給方法も重要と
なる。これは、ワイヤ速度の上昇による切断能力の向上
に、ワイヤ速度に見合う砥液量の砥液を供給する必要が
あるからである。ワイヤ速度に見合った供給量を確保す
るには、砥液をワイヤ列に乗せて切断部位へ持ち込む方
法が有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のワイヤソーの揺動による切断方法によっては、以下
の課題が生じていた。すなわち、インゴットの切断作業
中において、ワイヤ列が一往復するときに削られる研削
量を細かく測定してみると、切断開始時、切断中期、切
断終了時でそれぞれ研削量にばらつきがあった。また、
これを原因として、切断時間が長くなるとともに、切断
されたウェーハの表面平坦度が悪くなることが判明し
た。そこで、発明者は鋭意研究を重ねた結果、インゴッ
ト切断中におけるワイヤ列の走行方向と、ワイヤ列の揺
動方向に何らかの因果関係があることを見出した。ま
た、本発明者らはその後の追跡研究により、従来のワイ
ヤソーでは、(1)インゴット切断時におけるワイヤ列
の走行方向とその揺動方向がばらばらである点、(2)
インゴットの切断縁が略円弧状である切断残部の頂上部
から麓部へ向かう際にはインゴットの研削量が大きく、
これと反対方向の場合にはインゴットの研削量が小さい
点を発見し、この発明を完成させた。
【0004】
【発明の目的】そこで、この発明は、ワイヤソーによる
インゴット切断での切断時間を短縮するワイヤソーおよ
びインゴット切断方法を提供することを、その目的とし
ている。また、切断されたウェーハの平面平坦度が良好
なワイヤソーおよびインゴット切断方法を提供すること
を、その目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、砥液
を供給しながらワイヤ列を往復動させることにより、円
柱状のインゴットをその軸線に対して略垂直に切断する
ワイヤソーにおいて、上記インゴットの切断面内で、そ
のインゴットの略中心部を支点として、上記インゴット
および上記ワイヤ列を相対的に揺動させる揺動手段と、
上記インゴット切断時の上記ワイヤ列の走行方向を、常
時、上記インゴットの切断縁が略円弧状である切断残部
の頂上部から麓部へ方向づける揺動方向切換手段とを有
するワイヤソーである。
【0006】なお、この発明が適用されるワイヤソーに
は品種の限定がなく、例えばインゴットをワイヤ列に押
接して切断するタイプでも、反対にワイヤ列をインゴッ
トに押接してい切断するタイプでもよい。また、ワイヤ
列の上側にインゴットが当接するタイプでも、ワイヤ列
の下側に押し当てられるタイプでもよい。ただし、後者
のワイヤ列の下側に押接されるタイプの方が、ワイヤ列
の上面に砥液を乗せて、良好にウェーハの切断溝内へ持
ち込める。また、砥液を供給する装置は、制御部により
砥液供給量が調整されるものでも、制御部とは別系統
(手動による弁開閉を含む)で制御されるものでもよ
い。
【0007】請求項2の発明は、ワイヤ列に乗せて砥液
をインゴットの切断部付近に供給しながら、インゴット
の軸線と略垂直な切断面内でこのワイヤ列を往復動させ
るとともに、この切断面内で、インゴットの略中心部を
支点にして、ワイヤ列およびインゴットを相対的に揺動
させることにより、上記インゴットを多数枚のウェーハ
に切断するインゴット切断方法であって、インゴット切
断時の上記ワイヤ列の走行方向を、常時、上記インゴッ
トの切断縁が略円弧状である切断残部の頂上部から麓部
へ向かう方向としたインゴット切断方法である。
【0008】
【作用】請求項1および請求項2に記載のワイヤソーお
よびインゴット切断方法では、インゴットの切断縁を略
円弧状としてワイヤ列によりインゴットを切断する際、
ワイヤ列の走行方向を、常に、略円弧状の切断残部の頂
上部から麓部へ向かうように制御する。このため、ワイ
ヤ列を一方向へ傾けて往復動させるインゴット切断中に
は、必ず、切断残部の非研削側の法面とワイヤ列との間
に、ほぼ揺動角に等しい隙間ができる。
【0009】インゴット切断時には、ワイヤ列に乗った
砥液の余剰分が、ハツリ作用により切断残部の頂上部で
削り取られて、この隙間に残る。これにより、その後、
ワイヤ列を他方向へ傾けて、切断残部の非研削側の法面
を削る際に、揺動角度を変更したワイヤ列の法面当接部
分に、この隙間内の砥液が十分に付着する。したがっ
て、ワイヤ列の一往復当たりの研削量が良好な状態で安
定し、切断時間が短縮されるとともに、切断されたウェ
ーハも表面平坦度が良好になる。要するに、この発明で
は、ワイヤをインゴットに対して相対的に揺動させて切
断する際、ワイヤの走行方向の進入側ではインゴット切
断面との間に所定の空隙を保持し、ワイヤ走行方向の退
出側ではその切断面とワイヤが摺接して研削・切断を行
うものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面を
参照して説明する。図1はこの発明の一実施例に係るワ
イヤソーを示す模式図、図2はワイヤ列によりインゴッ
トを切断している状態を示す要部要部拡大断面図であ
る。図1において、10はワイヤソーであり、このワイ
ヤソー10は、多数本のワイヤからなるワイヤ列11へ
砥液aを供給する砥液供給装置12と、ワイヤ列11を
往復動させる往復動手段13と、ワイヤ列11を揺動さ
せる揺動手段14と、これらを制御する制御部15とを
備えている。
【0011】砥液供給装置12は、内蔵するスラリーポ
ンプにより圧送された砥液aを、一対の砥液ノズル16
を介して、ワイヤ列11上に吐出して乗せる。往復動手
段13は、主に、駆動部となるワイヤ供給回収用モータ
17と、第1のワイヤリール18と、第2のワイヤリー
ル19と、それぞれ外周面に多数条のワイヤ溝が刻設さ
れた2本の溝ローラ20と、大小のウエイト21、22
とを有している。
【0012】第1、第2のワイヤリール18、19と2
本の溝ローラ20は、図示のように、多数個のガイドロ
ーラを介して、長尺なワイヤ列11により連結されてい
る。ワイヤ供給回収用モータ17の出力軸には、駆動用
リール23が固着されている。ワイヤ供給回収用モータ
17により駆動用リール23を右または左へ回転すると
(以下、図1にて時計回り方向への回転を右とする)、
動力伝達ベルト24を介して、第1、第2のワイヤリー
ル18、19が回転して、ワイヤ列11が導出された
り、巻き取られたりする。
【0013】揺動手段14は、一対の溝ローラ20の端
部が軸着されて、外周部にプーリが形成された揺動円板
25と、駆動部となる揺動用モータ26と、を有してい
る。揺動用モータ26によりその出力軸に固着された駆
動用プーリ27を回転すると、タイミングベルト28を
介して、その回転力が揺動円板25へ伝達され、これに
より揺動円板25が右または左へ所定角度だけ揺動す
る。揺動円板25は、その中心軸を中心として円板表面
を含む平面内で図1にて時計回り方向または反時計回り
方向に所定角度範囲で揺動する。このときの揺動角αは
2°に設定したが(図2も参照)、もちろんこれに限定
する必要はない。なお、図3に別タイプの揺動手段を開
示している。
【0014】図3は、この発明における上記ワイヤソー
10とは別形態の揺動手段の模式図であり、同図におい
て、40は別タイプの揺動手段14Aである。この揺動
手段14Aは、揺動円板25の中心軸を中心にして、3
本の溝ローラ20を正三角形に配置したものである。そ
の制御は、揺動手段14の場合と同様である。すなわ
ち、揺動用モータ26により揺動円板25を揺動させる
ことで、3本の溝ローラ20に架けられたワイヤ列11
が、右または左へ揺動角αだけ揺動する。次いで、図1
を参照しながら制御部15を詳細に説明する。
【0015】制御部15は、主に、砥液供給装置12の
ワイヤ列11への供給量と、往復動手段13によるワイ
ヤ列11の往復動速度と、揺動手段14によるワイヤ列
11の揺動角度とを制御する。しかも、制御部15に
は、インゴット29切断時のワイヤ列11の走行方向
を、常時、インゴット29の切断縁が円弧状である切断
残部の頂上部29aから麓部29b(図2参照)へ方向
づける揺動方向切換手段15aが組み込まれている。図
1、図2において、30はインゴット29を固定するカ
ーボンベッドである。
【0016】次に、この発明の一実施例に係るワイヤソ
ー10を用いたインゴット切断方法を説明する。図4
(a)はインゴットの切断残部の一方の法面側を切断し
ている状態を示す要部拡大断面図である。図4(b)は
インゴットの切断残部の他方の法面側を切断している状
態を示す要部拡大断面図である。図5は、間とワイヤ列
のワイヤ線速との関係を示すグラフである。図6は、時
間と、ワイヤ列の揺動角度との関係を示すグラフであ
る。
【0017】予め、インゴット29切断時のワイヤ列1
1の走行方向を、インゴット29の切断縁が円弧状であ
る切断残部の頂上部29aから麓部29bにセットして
おく。図1に示すように、ワイヤ供給回収用モータ17
により第1、第2のワイヤリール18、19を回転する
ことで、両リール18、19からワイヤ列11が導入さ
れたり、巻き取られたりする。これにより、ワイヤ列1
1が2分間毎に300m/minの速度で右または左へ
走行する(図5のグラフ参照)。
【0018】しかも、制御部15の揺動方向切換手段1
5により、走行方向の切り換えに同期して、揺動用モー
タ26により揺動円板25を対応する方向へ回転するの
で、対向配置された一対の溝ローラ20が、角度α(2
°)だけ反対方向へ同時回動することにより、揺動方向
が切り換わる(図5、図6のグラフ参照)。インゴット
29は、砥液供給装置12からワイヤ列11上に供給さ
れた砥液aを間において、走行中のワイヤ列11に当接
されることにより、徐々に切断される。以下、図4を参
照して、インゴット29の切断状況をさらに詳細に説明
する。
【0019】インゴット29の切断時においては、前述
したように走行方向の切り換えに同期して、溝ローラ2
0の傾斜方向を反転させることにより、ワイヤ列11の
走行方向は、常に、インゴット29の切断残部の頂上部
29aから麓部29bへ向かうように制御される。これ
により、図4に示すように、ワイヤ列11を一方向へ傾
けて往復動させるインゴット29の切断中においては、
必ず、切断残部の非研削側の法面とワイヤ列11の間
に、ほぼ揺動角に等しい隙間Sができる。
【0020】図4(a)において、インゴット29の切
断時には、同図右側の砥液ノズル16からワイヤ列11
へ砥液a1が供給される。その後、砥液a1の余剰分a
1′がハツリ作用により切断残部の頂上部29aで削り
取られ、この隙間Sに残る。このため、その後、図4
(b)に示すように、ワイヤ列11を反対側へ傾けて、
切断残部の非研削側の法面を削る際に、揺動手段14の
揺動用モータ26により揺動角度を変更したワイヤ列1
1の法面当接部分に、この隙間S内の砥液a1′を十分
に付着できる。したがって、ワイヤ列11の一往復当た
りの研削量は良好な状態で安定し、この結果、短時間で
インゴット29が切断でき、しかも切断されたウェーハ
も表面平坦度が良好になって、良品のウェーハが得られ
る。
【0021】なお、図4(b)中、a2は揺動方向切り
換え後、同図左側の砥液ノズル16から吐出された砥液
であり、またa2′はこの砥液a2の余剰分である。こ
の発明はこの実施例に限定されるものではなく、要旨を
逸脱しない範囲での設計変更などがあってもこの発明に
含まれる。
【0022】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、インゴット切断時のワイヤ列の走行方向を、常
に、切断残部の頂上部から麓部へ向かうようにしたの
で、ワイヤ列に乗った砥液の余剰分は、研削する度に切
断残部の非研削側の法面とワイヤ列の隙間に溜まる。し
たがって、その後、非研削側の法面を削る際には、ワイ
ヤ列に隙間内の砥液が十分に付着し、この結果、ワイヤ
列の一往復当たりの研削量が大きな値で安定し、切断時
間を短縮できるとともに、切断されたウェーハの表面平
坦度も小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るワイヤソーを示す模
式図である。
【図2】この発明の一実施例に係るワイヤ列によりイン
ゴットを切断している状態を示す要部拡大断面図であ
る。
【図3】この発明における別形態の揺動手段の模式図で
ある。
【図4】(a)はこの発明の一実施例に係るインゴット
の切断残部の一方の法面側を切断している状態を示す要
部拡大断面図である。 (b)この発明の一実施例に係るインゴットの切断残部
の他方の法面側を切断している状態を示す要部拡大断面
図である。
【図5】この発明の一実施例に係るワイヤソーでの切断
における時間とワイヤ列のワイヤ線速との関係を示すグ
ラフである。
【図6】この発明の一実施例に係るワイヤソーでの切断
における時間とワイヤ列の揺動角度との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
10 ワイヤソー、 11 ワイヤ列、 12 砥液供給装置、 13 往復動手段、 14、14A 揺動手段、 15 制御部、 15a 揺動方向切換手段、 29 インゴット、 a 砥液。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 達宜 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三 菱マテリアルシリコン株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥液を供給しながらワイヤ列を往復動さ
    せることにより、円柱状のインゴットをその軸線に対し
    て略垂直に切断するワイヤソーにおいて、 上記インゴットの切断面内で、そのインゴットの略中心
    部を支点として、上記インゴットおよび上記ワイヤ列を
    相対的に揺動させる揺動手段と、 上記インゴット切断時の上記ワイヤ列の走行方向を、常
    時、上記インゴットの切断縁が略円弧状である切断残部
    の頂上部から麓部へ方向づける揺動方向切換手段とを有
    するワイヤソー。
  2. 【請求項2】 ワイヤ列に乗せて砥液をインゴットの切
    断部付近に供給しながら、インゴットの軸線と略垂直な
    切断面内でこのワイヤ列を往復動させるとともに、この
    切断面内で、インゴットの略中心部を支点にして、ワイ
    ヤ列およびインゴットを相対的に揺動させることによ
    り、上記インゴットを多数枚のウェーハに切断するイン
    ゴット切断方法であって、 インゴット切断時の上記ワイヤ列の走行方向を、常時、
    上記インゴットの切断縁が略円弧状である切断残部の頂
    上部から麓部へ向かう方向としたインゴット切断方法。
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