JP5085923B2 - ウェハおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェハおよびその製造方法に関するものである。
ワイヤ工具は、高速で走行させたワイヤを被加工部材(ワークともいう)に押し当てることによって被加工部材を切断する工具である。具体的には、シリコン、サファイア、石英、磁性材料石材などの硬脆材で構成された被加工部材から、高い寸法精度で薄板(ウェハ)を切り出すスライス加工に用いられる。
このようなワイヤ工具には、遊離砥粒方式のものと固定砥粒方式のものとが存在する。遊離砥粒方式によるワイヤ工具(遊離砥粒ワイヤ工具)は、研削液中にミクロンサイズの砥粒を混合した加工液(スラリー)をワイヤによって被加工部材に擦りつけながら加工を行うワイヤ工具である。固定砥粒方式によるワイヤ工具(固定砥粒ワイヤ工具)は、表面に砥粒を直接固着させたワイヤによって加工を行うワイヤ工具である。この固定砥粒ワイヤ工具は、遊離砥粒ワイヤ工具に比べて加工精度が劣るものの加工能率が高いという優位性をもつ。
一方、ワイヤ工具には、切断中にワイヤ側もしくは被加工部材側を揺動させる揺動機構を有する装置も存在している。この揺動機構には、切断時における切粉の排出性を高めて、加工精度を高める利点がある。例えば、特許文献1には、ワイヤ列に微少振動を与えながらインゴットを切断することによってワイヤ工具の切れ味を長時間維持できる固定砥粒ワイヤ工具が記載されている。
特開平11−77510号公報
しかしながら、上記の固定砥粒ワイヤ工具にあっては、揺動する角度(揺動角)に対する詳細な検討はされていない。また、遊離砥粒ワイヤ工具に対してしばしば設定される揺動角(2θ=0〜4°)を固定砥粒ワイヤ工具に対して適用したとしても、主面のうねりが大きなウェハを形成してしまう。さらに、揺動時にウェハ主面において形成される線状の条痕がウェハを破損しやすくするおそれがある。
本発明は、上記した事情に鑑みて為されたものであり、主面のうねりが低減されかつ破損しにくいウェハ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係るウェハの製造方法は、表面に砥粒を固着したワイヤを複数の主軸ローラに巻架した固定砥粒ワイヤ工具によって、所定の軸線に沿って延びる被加工部材を切断することによってウェハを製造する方法であって、固定砥粒ワイヤ工具及び被加工部材のうち少なくとも一方を、所定の軸線に交差する移動方向に移動させつつ、固定砥粒ワイヤ工具及び被加工部材のうち少なくとも一方を揺動させることによって、移動方向に沿う被加工部材の切断加工面上おいて一方向に湾曲した曲線を描く複数の条痕を形成しながら、被加工部材を切断し、曲線の一端と曲線の頂点とを結ぶ直線が曲線の両端を結ぶ基準線に対してなす条痕の角度を1°以上とする。
本発明のウェハ製造方法によれば、条痕が描く曲線の一端と曲線の頂点とを結ぶ直線が基準線に対してなす条痕の角度(条痕角)を1°以上とする。このようにすれば、1°未満の条痕角を有する条痕を形成する場合に比べて、ウェハ主面のうねりが低減される。また、条痕角が1°未満の条痕を形成する場合に比べて、条痕が描く曲線の曲率が増大される。この曲率の増大によって、条痕に発生する応力が一方向に集中しにくくなるため、破損しにくいウェハを形成することができる。
ここで、上記の条痕角は3〜6°とすることが好ましい。このようにすれば、3°未満または6°超の条痕を形成する場合に比べて主面のうねりがより低減される。また、条痕角が3°未満の条痕を形成する場合に比べて、より破損しにくいウェハを形成することができる。
また、本発明に係るウェハは、ウェハの主面上において一方向に湾曲した曲線を描く複数の条痕を有し、曲線の一端と曲線の頂点とを結ぶ直線が曲線の両端を結ぶ基準線に対してなす条痕の角度が1°以上である。
本発明のウェハによれば、条痕が描く曲線の一端と曲線の頂点とを結ぶ直線が基準線に対してなす条痕の角度(条痕角)が1°以上である。これによれば、1°未満の条痕角を有するウェハに比べて、ウェハ主面のうねりが低減される。また、条痕角が1°未満の条痕を有する場合に比べて、条痕が描く曲線の曲率が増大される。曲率が増大されると、条痕に発生する応力が一方向に集中しにくくなるため、ウェハの破損が防止される。
ここで、上記の条痕角は、3〜6°であることが好ましい。これによれば、3°未満または6°超の条痕角を有するウェハに比べて主面のうねりがより低減される。また、3°未満の条痕角を有するウェハに比べて、ウェハの破損がより防止される。
本発明のウェハおよびその製造方法によれば、主面のうねりが低減されかつ破損しにくいウェハ及びその製造方法を提供することが可能である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
まず、図1を参照して、第一実施形態に係るウェハの製造方法を適用した固定砥粒ワイヤ工具の構成概略について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る製造方法を実施する固定砥粒ワイヤ工具を概略的に示す図である。
図1に示すように、固定砥粒ワイヤ工具100は、3本の主軸ローラ10,11,12と、複数のガイドプーリ20と、一対のワイヤリール30A,30Bと、ワイヤ50と、揺動板60とを備えている。固定砥粒ワイヤ工具100は、主軸ローラ10を備えなくともよいし、更なる主軸ローラを備えるものであってもよい。
ワイヤ50は、鋼鉄等からなるワイヤの外周面にダイヤモンド等の砥粒が公知の方法によって固着されたものである。
ワイヤ50の両端部は、ワイヤリール30A,ワイヤリール30Bによって巻回されている。このワイヤリール30A,30Bは、モータなどの駆動手段(不図示)によって駆動可能に設置されており、ワイヤリール30Aからワイヤリール30Bへワイヤ50の繰出しおよび巻取り動作を行うことができる。固定砥粒ワイヤ工具100の運転時において、ワイヤリール30A,30Bは、ワイヤ50の繰出しおよび巻取り動作を交互に行い、ワイヤ列50C(後述)を被加工部材W上で摺動する摺動動作を行う。
ワイヤ50の中間部は、ガイドプーリ20を介して、回動自在に設けられた3本の主軸ローラ10,11,12に巻架されている。この主軸ローラ10,11,12には、複数列の平行なワイヤ案内溝が一定のピッチで形成されている。このワイヤ案内溝によって案内されたワイヤ50は、ワイヤ列50Cを形成する。固定砥粒ワイヤ工具100の運転時には、ワイヤ列50Cが被加工部材Wに直接接触して被加工部材Wの切断加工を行う。
主軸ローラ10,11,12は、同一の揺動板60に軸支されている。この揺動板60は、揺動手段(不図示)によって揺動可能に設置されており、固定砥粒ワイヤ工具100の運転時には、ワイヤ列50Cを揺動させる揺動動作(後述)を行う。例えば、主軸ローラ10,11,12が正三角形をなす場合、揺動板60は、その三角形の重心を固定しつつワイヤ列50Cを揺動する。
ワイヤ列50Cの下方には、ワークテーブル40が設けられている。ワークテーブル40上には、軸線X方向に延びる被加工部材Wが載置される。この被加工部材Wは、例えば、円柱状部材である。このワークテーブル40は、公知の昇降移動手段(不図示)によって昇降移動可能に設置されており、固定砥粒ワイヤ工具100の運転時には、軸線Xに交差する移動方向Z、例えば鉛直方向に被加工部材Wを移動させる。被加工部材Wの移動方向Zへの移動については、固定砥粒ワイヤ工具100を動かしてもよいし、固定砥粒ワイヤ工具100および被加工部材Wの両方を動かしてもよい。
また、被加工部材Wは、カーボン、レジン、ガラスなどで構成されるベース台(不図示)を介してワークテーブル40に載置してもよい。このようにすれば、固定砥粒ワイヤ工具100の揺動時においても、ワークテーブル40を損傷することなく、被加工部材Wを加工することが出来る。
次に、図1〜図3を参照して、固定砥粒ワイヤ工具100の動作を説明し、併せて本実施形態に係るウェハ製造方法について説明する。ここで、図2は、図1の固定砥粒ワイヤ工具の動作を示す図である。図3は、加工時における被加工部材の切断加工面の様子を示す図である。
固定砥粒ワイヤ工具100の運転が開始されると、ワイヤリール30A,30Bによってワイヤ50の繰出しおよび巻取り動作が交互に行われる。同時に、図1に示すように、被加工部材Wが移動方向Zに移動されつつ、揺動板60によって揺動されるワイヤ列50Cが被加工部材Wに直接接触して被加工部材Wを切断加工していく。
このとき、ワイヤ列50Cは、移動方向Zに直行する基準面を中心として揺動される。具体的には、図2に示すように、固定砥粒ワイヤ工具100は、傾斜状態100aと、傾斜状態100bとの、2つの状態間を交互に行き来する。ここで、10a,11a,12aは傾斜状態100aの主軸ローラ、P1a,P2aはワイヤ列50Cと主軸ローラ10a,11a,12aとの接点、Laは接点P1aおよび接点P2aを結ぶ直線、をそれぞれ示す。傾斜状態100bに係る符号についても同様に、10b,11b,12bは傾斜状態100bの主軸ローラ、P1b,P2bはワイヤ列50Cと主軸ローラ10b,11b,12bとの接点、Lbは接点P1bおよび接点P2bを結ぶ直線、をそれぞれ示す。Qは直線La,Lbの交点を示し、基準面Sは交点Qを含み移動方向Zに直交する面として設定される。基準面Sは例えば水平面である。
直線La,Lbは、それぞれ傾斜状態100a,100bのワイヤ列50Cに相当する。直線La,Lbと基準面Sとのなす角度−θ,+θは、基準面Sに対してワイヤ列50Cが傾斜できる最大の傾斜角度を示す。固定砥粒ワイヤ工具100が傾斜状態100aから傾斜状態100bに傾斜するその間の角度を揺動角と定義すると、揺動角は2θで表される。なお、明細書中に記載される角度を示す符号はすべて絶対値を示す。
ワイヤ列50Cの揺動時には、基準面Sに対するワイヤ列50Cの傾斜角度が−θから0を経て+θへまたはその逆へ連続的に変化する。そのため、図3に示すように、移動方向Zに沿う被加工部材Wの切断加工面Wx上において一方向に湾曲した曲線Cを描く条痕が形成されながら、被加工部材Wが切断加工される。
ここで、Uは曲線Cの頂点、VaおよびVbは曲線Cの端点、Maは頂点Uと端点Vaを結ぶ直線、Mbは頂点Uと端点Vbを結ぶ直線、Yは端点Vaと端点Vbを結ぶ基準線、γaは基準線Yと直線Maとのなす条痕角、γbは基準線Yと直線Lbとのなす条痕角、斜線部は切断加工済部、をそれぞれ示す。この条痕角γaおよびγbは、後述する利点から1°≦γaまたは1°≦γbを満たす。なお、被加工部材Wが移動方向Zに移動されつつ切断加工が行われるため、切断加工面Wx上には、曲線Cと同じ条痕角γaおよびγbを有する複数の曲線を描く条痕が形成される。
次に、図4を参照して、本実施形態に係るウェハについて説明する。ここで、図4は実施形態に係るウェハの主面を示す図である。
被加工部材Wが移動方向Zに移動されつつ、被加工部材Wの切断加工面Wx上に複数の条痕が形成されながら上記の切断加工が行われると、最終的に、被加工部材Wから薄板状のウェハが切断される。切断されたウェハの主面には、図4に示すように、被加工部材Wの移動方向Zと同方向に湾曲した複数の曲線C1,C2,C3を描く条痕が形成されている。
ここで、U1は曲線C1の頂点、Va1およびVb1は曲線C1の端点、Ma1は頂点U1と端点Va1を結ぶ直線、Mb1は頂点U1と端点Vb1を結ぶ直線、Y1は端点Va1と端点Vb1を結ぶ基準線、γaは基準線Y1と直線Ma1とのなす条痕角、γbは基準線Y1と直線Mb1とのなす条痕角、Z1は基準線Y1を基準とする曲線C1の湾曲幅、Xはウェハ主面Wfxの軸線、をそれぞれ示す。C2,C3に係る要素符号についても同様である。
ウェハWfの主面Wfxは、上述の切断加工面Wxに対応する。なお、図4では、紙面の都合上3本の条痕のみが記載されているが、例えば、2インチウェハの場合、200[μm]程度の間隔で条痕が形成される。
軸線Xを通る基準線Y2を基準とする湾曲幅Z2は、Rをワーク半径として
Z2=Rtanγa・・・(1)
によって求められる。鋭角である条痕角γaが増大すると、湾曲幅Z2が増大されるので、曲線C2の曲率が増大する。曲線C1および曲線C3についても、上式のワーク半径Rの値が他の値に置き換わるのみであるので、条痕角γaが増大すると曲線C1およびC3の曲率が増大する。また、上式において、条痕角γaの代わりに条痕角γbを用いてもよい。
次に、図5〜図7を参照して、本実施形態に係るウェハおよびウェハ製造方法の利点について説明する。ここで、図5は、加工速度v=16.9[mm/h](一定)で切り出された2インチサファイアウェハ主面におけるろ波最大うねりWCM(JIS B 0610参照)と条痕角γとの関係を測定した結果を示すグラフである。図6は、揺動角2θと条痕角γとの関係を測定した結果を示すグラフである。図7は、条痕角の測定値と平均値との関係を示す表である。図7に示された条痕角γは、上述の条痕角γaおよびγbの平均値(γ=(γa+γb)/2)を示す。条痕角γが1°≦γを満足する場合には、上述の条痕角γaおよびγbに対して1°≦γaおよび1°≦γbのうち少なくとも一方が成立する。
図5を参照すると、条痕角γが1°≦γを満足することによって、WCMは30[μm]以下に低減される。これは、従来の場合(γ=0°)のWCMに比べて約1/2程度の値である。さらに、条痕角γが3°≦γ≦6°を満足することが好ましい。このようにすれば、WCMが15[μm]以下に低減される。これは、従来の場合(γ=0°)のWCMに比べて約1/3程度の値である。
図6を参照すると、1°≦γの条痕角γを有する条痕を形成する場合、揺動角2θを6°≦2θの範囲に設定すればよいことがわかる。また、3°≦γ≦6°の条痕角γを有する条痕を形成する場合、揺動角2θを12°≦2θ≦16°の範囲に設定すればよいことがわかる。
WCMはウェハ主面Wfxのうねり量に相当する。したがって、WCMが低減されるとウェハ主面Wfxのうねりが低減されて、ウェハWfの加工精度が向上する。従来、ウェハの加工精度を向上するにはウェハの加工時間を増大する必要があったが、上記によってウェハの加工精度が向上されれば、ウェハの加工時間の増分を低減することもできる。
次に、図8〜図11を参照して、本発明者が行った揺動角2θに対する考察について述べる。図8は揺動角とワイヤの撓み量を説明する図である。図9〜10は2〜4インチウェハの場合に対する揺動幅2Tと撓み量Dの差の計算結果をそれぞれ示す図である。
遊離砥粒ワイヤ工具ではワイヤを撓ませないように加工を行うことが重要であるが、固定砥粒ワイヤ工具ではワイヤに適切な撓みを持たせながら加工を行うことが必要である。本発明者は、ワーク径n[インチ]の被加工部材Wの加工において固定砥粒ワイヤの撓み量をn[mm]とすると、加工能率がよいことを見出した。
ここで、図8を参照して、撓みを有して揺動するワイヤと被加工部材との接触幅が短縮される条件(加工能率が向上する条件)を、近似的に求める。図8において、Dは移動方向Z上におけるワイヤの撓み量、Wx1,Wx2はワイヤ50と被加工部材Wとの接触部、Rはワーク半径、2Tは揺動幅、斜線部は切断加工済部、をそれぞれ示す。
また、図8では、円柱状の被加工部材Wの加工時に、接触幅が比較的大きくなる中心部付近の加工を想定する。揺動角2θで揺動するワイヤ50の傾斜時に、接触部Wx1,Wx2のうち一方にワイヤ50が接触するためには、
2T−D>0・・・(2)
を満たせばよい。ここで、揺動幅2Tは、2T=2Rtanθで近似的に表されるので、上式は、
tanθ>D/(2R)・・・(3)
と記載できる。
また、ワーク半径R[mm]はワーク径n[インチ]に対してR=12.7nと表され、ワーク径n[インチ]の被加工部材に対して加工能率を向上する固定砥粒ワイヤ工具の撓み量DはD=n[mm]と表される。したがって、円柱状の被加工部材Wの中心軸付近を加工する場合において、揺動角2θ[°]は、次式を満たせばよい。
2θ>(360/π)arctan(1/25.4)・・・(4)
図9〜図11に示された2T−Dの計算結果を参照すると、2〜4インチの被加工部材において2T−D>0を満たす条件はθ≧3°である。この条件は、図5および図6において述べた揺動角の下限条件2θ≧6°に合致する。なお、図9〜図11に示されたワーク半径Rとワイヤの撓み量Dは、図ごとに異なる値を示す。図9〜図11それぞれのワーク半径R及びワイヤの撓み量Dの値は、図9(2インチの場合)においてはR=25.4[mm],D=2[mm]、図10(3インチの場合)においてはR=38.1[mm],D=3[mm]、図11(4インチの場合)においてはR=50.8[mm],D=4[mm]、である。
以上のように、本実施形態に係るウェハおよびその製造方法では、条痕が描く複数の曲線C1〜C3それぞれの一端Va1〜Va3と曲線C1〜C3それぞれの頂点U1〜U3とを結ぶ直線Ma1〜Ma3が基準線Y1〜Y3に対してそれぞれなす条痕角γaが1°以上である。または、条痕が描く複数の曲線C1〜C3それぞれの一端Vb1〜Vb3と曲線C1〜C3それぞれの頂点U1〜U3とを結ぶ直線Mb1〜Mb3が基準線Y1〜Y3に対してそれぞれなす条痕角γbが1°以上である。
この場合、図5の測定結果より、条痕角γ=0°の場合に比べてWCMが約1/2に低減される。したがって、ウェハ主面Wfxのうねりが低減される。これは、図8〜図11の考察より、2θ<6°すなわちγ<1°の場合に比べてワイヤの被加工部材Wに対する接触幅が半分以下に低減されることによるものと考えられる。また、条痕角γaが1°未満の場合に比べて、(1)式より湾曲幅Z1〜Z3が増大されるため、条痕が描く曲線C1〜C3の曲率が増大される。この曲率の増大によって、条痕に発生する応力が一方向に集中しにくくなるため、ウェハの破損が防止される。
ここで、条痕角γが3°≦γ≦6°を満足すれば、図5の測定結果よりγ=0°の場合に比べてWCMが約1/3に低減されるので、ウェハ主面Wfxのうねりがより低減される。また、条痕角が3°未満の場合に比べて、条痕が描く曲線の曲率がさらに増大されるため、ウェハの破損がより防止される。
本発明に係るウェハおよびその製造方法は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しないように上記実施形態を変形したものであってもよい。
例えば、本実施形態では、主軸ローラを軸支する揺動板を揺動することによって条痕角を形成するウェハ製造方法を示したが、被加工部材を固定するワークテーブルを揺動することによって条痕角を形成する方法であってもよい。
本実施形態に係る製造方法を実施する固定砥粒ワイヤ工具を概略的に示す図である。 図1の固定砥粒ワイヤ工具の動作を示す図である。 加工時における被加工部材の切断加工面の様子を示す図である。 実施形態に係るウェハの主面を示す図である。 条痕角対WCM特性を示すグラフである。 揺動角対条痕角特性を示すグラフである。 条痕角の測定値と平均値との関係を示す表である。 揺動角とワイヤの撓み量を説明する図である。 2インチウェハの場合の揺動幅と撓み量の差を示す計算結果である。 3インチウェハの場合の揺動幅と撓み量の差を示す計算結果である。 4インチウェハの場合の揺動幅と撓み量の差を示す計算結果である。
符号の説明
10,10a,10b,11,11a,11b,12,12a,12b…主軸ローラ、20…ガイドプーリ、30A,30B…ワイヤリール、40…ワークテーブル、50…ワイヤ、50C…ワイヤ列、60…揺動板、100,100a,100b…固定砥粒ワイヤ工具、C,C1,C2,C3…条痕、P1a,P1b…接点、S…基準面、U,U1,U2,U3…曲線の頂点、Va,Va1,Va2,Va3,Vb,Vb1,Vb2,Vb3…曲線の端点、W…被加工部材、Wx…切断加工面、X…所定の軸線、Y,Y1,Y2,Y3…基準線、Z…移動方向、La,Lb…接点を結ぶ直線、Ma1,Ma2,Ma3,Mb1,Mb2,Mb3頂点と端点とを結ぶ直線、2θ…揺動角、+θ,−θ…傾斜角度、γ,γa,γb…条痕角。

Claims (2)

  1. 表面に砥粒を固着したワイヤを複数の主軸ローラに巻架した固定砥粒ワイヤ工具によって、所定の軸線に沿って延びる被加工部材を切断することによってウェハを製造する方法であって、
    前記固定砥粒ワイヤ工具及び前記被加工部材のうち少なくとも一方を、前記所定の軸線に交差する移動方向に移動させつつ、
    前記固定砥粒ワイヤ工具及び前記被加工部材のうち少なくとも一方を揺動させることによって、前記移動方向に沿う前記被加工部材の切断加工面上において一方向に湾曲した曲線を描く複数の条痕を形成しながら、前記被加工部材を切断し、
    前記少なくとも一方を揺動させる角度が12〜16°であり、前記曲線の一端と前記曲線の頂点とを結ぶ直線が前記曲線の両端を結ぶ基準線に対してなす前記条痕の角度を3〜6°とする、ウェハの製造方法。
  2. 請求項1に記載された製造方法によって製造されたウェハであって、当該ウェハの主面上において一方向に湾曲した曲線を描く複数の条痕を有し、前記曲線の一端と前記曲線の頂点とを結ぶ直線が前記曲線の両端を結ぶ基準線に対してなす前記条痕の角度が3〜6°である、ウェハ。
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