JP2019181878A - 切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】円柱状のワークの切断面を均一にすることが可能なワイヤソー装置による切断方法を提供する。【解決手段】実施形態に係るワイヤソー装置による切断方法は、複数の加工用ローラ15a、15b、15cに巻回されるワイヤ20によって円柱状のワークWを切断する切断方法であって、ワークWの切断長さが略一定となるように、ワイヤWのチルト角度を設定し、設定したチルト角度でワークWを切断する際のワークWの切断深さが略一定となるように、ワークWのワイヤ方向への送り量dを相対的に調整する。【選択図】図2B
Description
本発明は、インゴット等の円柱状のワークをワイヤにより切断するワイヤソー装置による切断方法に関するものである。
従来から、走行するワイヤにインゴット等の円柱状のワークを押し付けることによりワークを切断するワイヤソーが知られている。ワイヤソーでは、ワイヤが一対のボビンに巻き付けられている。ワイヤは、一方のボビンから繰出された後、ワークの切断に寄与し、その後、他方のボビンに巻取られる。ワイヤが往復走行する場合は、繰出し側と巻取り側のボビンが所定の周期で入れ替わる。
インゴットの断面は円形であるため、ワイヤとインゴットが接触する長さは、切断の始端部と終端部は比較的短く、中央部では比較的長くなる。しかし、ワイヤの往復の1サイクル当たりの送り量は、ワイヤとインゴットとの接触長さに関係なく、インゴットの切断中、常に一定であった。
このため、接触長さが長くなるインゴットの切断中央部において、切断後半部分で砥石の量が減少し、切断後半部分の切断溝の幅が切断前半部よりも狭くなり、切断されたウエハに厚さムラが生じるという問題があった。そこで、特許文献1では、ワイヤの送り量を切断始端部や切断終端部において比較的大きくする一方、インゴットの切断中央部では比較的小さくするワイヤソーによる切断方法が提案されている。
ワイヤソー装置で円柱状のワークを切断する場合、ワークの切断場所によって切断長さが異なる。ワークの切断場所によって切断長さが異なると、切断面のクーラント液(研削液)の供給具合や切粉の排出性に差が生じる。このため、ワークの切断場所によって表面粗さが変わり、ワークの切断面を均一にすることができないという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、円柱状のワークの切断面を均一にすることが可能なワイヤソー装置による切断方法を提供することである。
本発明の一態様に係るワイヤソー装置による切断方法は、複数の加工用ローラに巻回されるワイヤによって円柱状のワークを切断する切断方法であって、前記ワークの切断長さが略一定となるように、前記ワイヤのチルト角度を設定し、設定した前記チルト角度で前記ワークを切断する際の前記ワークの切断深さが略一定となるように、前記ワークの前記ワイヤ方向への送り量を相対的に調整する。
本発明によれば、円柱状のワークの切断面を均一にすることが可能なワイヤソー装置による切断方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。各図における同等の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施の形態は、インゴット等の円柱状のワークを複数の加工用ローラに巻回されるワイヤによって切断する切断方法に関する。実施の形態に係る切断方法は、ワークの切断長さが略一定となるように、ワイヤのチルト角度を設定するとともに、設定したチルト角度でワークを切断する際のワークの切断深さが略一定となるように、ワークのワイヤ方向への送り量を調整する。このように、ワイヤのチルト角度と、ワークのワイヤへの送り量とを組み合わせてワークの切断長さを一定することにより、ワークの切断面を均一にする。
まず、図1を参照して、実施の形態に係るワークの切断に用いられるワイヤソー装置の構成について説明する。図1は、ワイヤソー装置10の構成を示す図である。ワイヤソー装置10は、インゴット等の円柱状のワークWをワイヤ列により切断して多数の円板(ウエハ)を形成する。ワイヤソー装置10は、支持台11、コラム12、ボビン13、張力調整部14、加工用ローラ15a、15b、15c、リブ16、ワーク支持部17、ワーク送り部18、制御部19を有している。なお、図1においては、ワイヤ20の図示は省略されている。
支持台11上には、コラム12が立設している。コラム12は、ワイヤ列によってワークWの切削加工を行う加工エリアとワイヤ20が巻きかけられた一対のボビン13が配置される非加工エリアとを区画する。コラム12の非加工エリア側の面には、コラム12を補強するリブ16が設けられている。
加工エリアには3つの加工用ローラ15a、15b、15cが配置されている。加工用ローラ15a、15b、15cは、コラム12の加工エリア側の面から加工エリアに向かって突設されている。加工用ローラ15a、15b、15cは、コラム12から回転自在に支持される。加工用ローラ15a、15b、15cは、それぞれの径方向中心を結んだ形状が三角形状となるように配置されている。加工用ローラ15a、15b、15cは、互いに平行に配置されている。加工用ローラ15a、15bは水平方向に互いに平行に配置されている。加工用ローラ15cは、加工用ローラ15a、15bよりも下方で、加工用ローラ15a、15b間に配置されている。
なお、ここでは図示していないが、各加工用ローラ15a、15b、15cの表面には、複数の環状溝が軸方向に沿って間隔を置いて形成されている。各加工用ローラ15a、15b、15cの環状溝に1本の線材からなるワイヤ20が連続的に螺旋状に巻回される。加工用ローラ15a、15b間のワイヤ列がワークWの切削加工に用いられる。加工用ローラ15a、15b間のワイヤ列は、以下に説明するチルト角度を変化させない場合、水平方向に平行に配置される。
実施の形態では、加工用ローラ15a、15b、15cは、これらの径方向中心を結んだ三角形状を保ったまま、チルト中心を中心として回転可能である。チルト中心は、例えば、加工用ローラ15a、15b、15cの径方向中心を結んだ三角形状の重心位置に配置される。この加工用ローラ15a、15b、15cによる三角形状が回転することで、加工用ローラ15a、15b間のワイヤ20が水平方向から傾く。このワイヤ20の水平方向からの傾きをチルト角度とする。本実施の形態では、チルト角度は、加工用ローラ15a、15b、15cによる三角形のチルト中心を中心とした回転角度と等しい。
加工用ローラ15a、15b、15cの上方には、ワークWを支持するワーク支持部17が設けられている。ワーク支持部17は、コラム12の加工エリア側の面に沿って上下動自在に支持されている。ワークWは、ワーク支持部17により、その軸方向が加工用ローラ15a、15b、15cの軸方向と平行になるように支持される。また、ワークWは、加工用ローラ15a、15bの略中央に位置する。
ワーク支持部17が上下に移動することで、ワークWを2つの加工用ローラ15a、15bの間に送ることができる。これにより、ワークWと、加工用ローラ15a、15b間のワイヤとの距離を相対的に調整することができる。なお、ここでは図示していないが、加工用ローラ15a、15bの近傍には、研削液供給ノズルが設けられている。研削加工時には、研削液供給ノズルから研削液が供給される。
非加工エリアには、一対のボビン13が配置される。一対のボビン13は支持台2に固定されている。ワイヤ20は、一対のボビン13のうち一方から繰り出された後、ワークの切断に寄与し、その後、他方のボビン13に巻き取られる。両方のボビン13には、その回転方向及び回転速度を変更可能なサーボモータ(不図示)が連結されている。ワイヤが往復走行する場合は、繰出し側と巻取り側のボビンが所定の周期で入れ替わる。なお、ワイヤ20は走行しながら摩耗するため、通常、往復走行でのワイヤの繰出し量に差が設けられ、所定量ずつ繰出し側から巻取り側のボビンへと適宜新線が供給される。
一対のボビン13に対応するように一対の張力調整部14が配置されている。張力調整部14は、例えば、ワイヤ20が巻回される複数のアイドラローラを備えている。張力調整部14は、測定されたワイヤ20の張力に応じて、アイドラローラのいずれかが揺動することでワイヤ20の張力を調整する。
制御部19は、ワークWの切断長さが略一定となるように、ワイヤ20のチルト角度を設定する。また、制御部19は、設定したチルト角度でワークWを切断する際のワークWの切断深さが略一定となるように、ワークWのワイヤ方向への送り量を調整する。
ワイヤソー装置10では、一方のボビン13からワイヤ20が繰出され、加工用ローラ15a、15b、15cを高速走行し、他方のボビン13に巻き取られる。そして、ワーク支持部17により把持されたワークWを、加工用ローラ15a、15b間のワイヤ列に向かって移動させて、ワークWをワイヤ列に押し当てることで、ワークWを切断して薄い円板が多数形成される。この時、制御部19により、ワイヤ20のチルト角度及びワークWのワイヤ20の方向への送り量が制御される。
ここで、図2A〜2Dを参照して、実施の形態に係るワイヤソー装置による切断方法について説明する。図2A〜2Cには、加工用ローラ15a、15b、15cとワークWを軸方向から見た図が示されている。図2Dは、実施の形態に係る切断方法で切断されたワークの切断長さを示す図である。ここでは、水平方向から±α度だけワイヤ20を傾ける1段チルトの例について説明する。すなわち、1段チルトでは、図2Aのワイヤ20が水平方向に平行な状態と、図2Bのワイヤ20が水平方向から+α度傾いた状態と、図2Cのワイヤ20が水平方向から−α度傾いた状態の3つの状態を含む。
まず、制御部19により、切断長さが一定となるようにワイヤ20のチルト角度が設定される。ここでは、3つの状態で切断されるため、切断長さが、例えば、ワークWの径Dの1/3となるように、チルト角度が設定される。
そして、制御部19により、設定したチルト角度でワークWを切断する際のワークWの切断深さが略一定となるように、ワークWのワイヤ20の方向への送り量が調整される。図3は、ワークWの切断深さを示す図である。図3に示すように、チルト角度を変化させたときのワークWの切断深さd2が、チルト角度を変化させない場合の切断深さd1と等しくなるように、ワークWの送り量が調整される。
図2B、2Cでは、チルト角度を変化させたときのワークWの位置を実線で、チルト角度を変化させる前のワークWの位置を二点鎖線で示している。図2B、2Cに示すように、チルト角度を変化させた場合、チルト角度を変化させる前と比較して、ワークWをワイヤ20から遠ざかる方向に移動させる。すなわち、この例では、チルト角度を変化させた場合のワークWの送り量は、チルト角度を変化させる前のワークWの送り量よりも小さくなる。
図4A〜4Dでは、切断長さや切断深さを考慮せずに、チルト角度のみを変化させた比較例を示している。図4A〜Dのようにチルト角度を振るだけでは、チルト角度を変化させた場合の切断深さが変化させない場合よりも深くなる場合がある。
実施の形態では、このような場合を考慮し、ワイヤ20のチルト角度とワークWの送り量とを制御している。上述のように設定されたチルト角度とワークWの送り量とで切断を行うことにより、図2Dに示すように、図2Aの状態で切断された長さと、図2Bの状態で切断された長さと、図2Cの状態で切断された長さがいずれもワークWの径Dの1/3(D/3)となる。また、図3に示すように、チルト角度を変化させたときのワークWの切断深さd2が、チルト角度を変化させない場合の切断深さd1と等しくなる。
このように、実施の形態によれば、切断長さと切断深さとを一定に保つことができ、研削液の供給具合や切粉の排出性の差をなくすことができる。これにより、ワークの切断場所によって表面粗さが変化してしまうのを抑制することができ、ワークの切断面を均一にすることが可能となる。また、ワイヤ20によりワークWを切断して得られる円板の切断面の面精度を向上させることが可能となる。さらに、ワイヤ20への負担を軽減することができ、ワイヤ20の断線を抑制することができる。
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。実施の形態では、ワークWを移動させて、ワークWのワイヤ20方向への送り量を調整したが、これに限定されない。ワイヤ20が巻回された加工用ローラ15a、15b、15cを移動させてワークWのワイヤ20方向への送り量を調整してもよい。
また、上述の1段チルトに限定されず、例えば、水平方向から±α度、±β度だけワイヤ20を傾ける2段チルト等を採用することも可能である。2段チルトでは、ワイヤ20が水平方向に平行な状態と、ワイヤ20が水平方向からそれぞれ+α度、+β度傾いた状態と、図2Cのワイヤ20が水平方向からそれぞれ−α度、−β度傾いた状態の5つの状態を含む。2段チルトの場合、5つの状態で切断されるため、切断長さが、例えば、ワークWの径の1/5となるようにチルト角度が設定されうる。
10 ワイヤソー装置
11 支持台
12 コラム
13 ボビン
14 張力調整部
15a〜15c 加工用ローラ
16 リブ
17 ワーク支持部
18 ワーク送り部
19 制御部
20 ワイヤ
W ワーク
11 支持台
12 コラム
13 ボビン
14 張力調整部
15a〜15c 加工用ローラ
16 リブ
17 ワーク支持部
18 ワーク送り部
19 制御部
20 ワイヤ
W ワーク
Claims (1)
- 複数の加工用ローラに巻回されるワイヤによって円柱状のワークを切断するワイヤソー装置による切断方法であって、
前記ワークの切断長さが略一定となるように、前記ワイヤのチルト角度を設定し、
設定した前記チルト角度で前記ワークを切断する際の前記ワークの切断深さが略一定となるように、前記ワークの前記ワイヤ方向への送り量を相対的に調整する、
切断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018078577A JP2019181878A (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 切断方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018078577A JP2019181878A (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 切断方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019181878A true JP2019181878A (ja) | 2019-10-24 |
Family
ID=68338311
Family Applications (1)
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JP2018078577A Pending JP2019181878A (ja) | 2018-04-16 | 2018-04-16 | 切断方法 |
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JP (1) | JP2019181878A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021065227A1 (ja) | 2019-10-02 | 2021-04-08 | 古河機械金属株式会社 | 無機材料を製造する装置及び無機材料を製造する方法 |
-
2018
- 2018-04-16 JP JP2018078577A patent/JP2019181878A/ja active Pending
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WO2021065227A1 (ja) | 2019-10-02 | 2021-04-08 | 古河機械金属株式会社 | 無機材料を製造する装置及び無機材料を製造する方法 |
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