JP2014161924A - ワイヤソー - Google Patents

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豊宏 星山
Tatsumi Hamazaki
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Abstract

【課題】加工精度及び耐久性に優れたワイヤソーを提供する。
【解決手段】走行するワイヤ3にワークWを押し付けて切断するワイヤソー1である。回転軸Aを中心に回転する複数の円柱状のワイヤガイド2R,2Lの周囲に、ワイヤ3が巻き付けられている。ガイド溝11にワイヤ3を巻き掛けることにより、一対のワイヤガイド2R,2Lの間に同一ピッチPで平行に並ぶワイヤ列10が形成されている。直交する方向から見て、ワイヤ列10が回転軸Aに対して傾斜している。
【選択図】図9

Description

本発明は、走行するワイヤにインゴット等(ワーク)を押し付けて切断し、一度に複数の薄膜片を形成することができるワイヤソーに関し、特に、ワイヤガイドへのワイヤの巻き掛け方に関する。
ワイヤガイドの構造は、例えば、特許文献1に開示されている。
ワイヤの巻き掛け方に関する先行技術は、例えば、特許文献2や特許文献3に開示されている。
特開2008−126341号公報 特開2000―108012号公報 特開2000−309015号公報
この種のワイヤソーでは、互いに平行な回転軸を中心に回転する円柱状のワイヤガイドが、離れて並べられている。これらワイヤガイドの周囲にワイヤが巻き付けられていて、2つのワイヤガイド間に、等ピッチで回転軸と直交する方向に延びる一群のワイヤからなるワイヤ列が形成されている。高速で走行するワイヤ列にワークを押し付けることにより、ワークは複数の薄膜片に分断される。
走行中、ワイヤは振動する。そのため、大きく振動するワイヤでワークを切断すると、切削量や切削位置がばらついて加工精度が低下する。特に、切り始め時は、ワイヤがワークに食い込み始めるため、その影響が大きい。
ワイヤは、ワイヤガイドの外周に形成された環状のガイド溝に巻き掛けられている。そのガイド溝は、ワイヤと擦れて偏摩耗するため、ワイヤガイドの製品寿命を短くしている。
本発明の目的は、加工精度及び耐久性に優れたワイヤソーを提供することにある。
開示するワイヤソーは、走行するワイヤにワークを押し付けて当該ワークを切断するワイヤソーである。ワイヤソーは、互いに離れた位置に並べられて、互いに平行な回転軸を中心に回転する複数の円柱状のワイヤガイドと、前記複数のワイヤガイドの周囲に、中間部分が巻き付けられるワイヤと、前記ワイヤの両端の各々に対応して設けられ、当該ワイヤの巻き出し及び巻き取りを行う一対のワイヤ送り装置と、前記ワークを保持し、一対の前記ワイヤガイドの間に向かって進退するワーク保持部と、を備える。
前記ワイヤガイドの各々の外周には、前記回転軸方向に平行に並ぶ環状のガイド溝が複数形成されている。前記複数のガイド溝に前記ワイヤを巻き掛けることにより、前記一対のワイヤガイドの間に、前記ワークが押し付けられる同一ピッチで平行に並ぶワイヤ列が形成されている。そして、前記ワイヤ列に直交する方向から見て、当該ワイヤ列が、前記回転軸に対して傾斜している。
すなわち、従来のワイヤソーでは、ワークが押し付けられる切断用のワイヤ列は、回転軸と直交しているのに対し、このワイヤソーでは、切断用のワイヤ列は回転軸に対して傾斜している。
そして、このワイヤソーでは、切断方向が前記ワイヤ列の延びる方向と一致するように、前記ワーク保持部が、前記回転軸に対して傾斜した状態で前記ワークを前記ワイヤ列に押し付けるように構成されている。
具体的には、前記ワイヤガイドは前記一対のワイヤガイドのみからなり、これらワイヤガイドを挟んで前記ワイヤ列の反対側に、当該ワイヤ列と逆向きに走行する対向ワイヤ列が形成されている。そして、前記ワイヤ列に直交する方向から見て、前記対向ワイヤ列が傾斜し、当該対向ワイヤ列と前記ワイヤ列とが線対称に配置されている。
より具体的には、前記ガイド溝はV字状の断面形状を有し、前記ワイヤは固定砥粒ワイヤである。
本発明のワイヤソーによれば、加工精度及び耐久性を向上させることができる。
従来のワイヤソーの要部を示す概略斜視図である。 従来のワイヤソーのワイヤガイドの部分を示す概略斜視図である。 従来のワイヤソーのワイヤガイドの部分の概略上面図である。 従来のワイヤソーのワイヤガイドの部分の概略下面図である。 従来のワイヤソーのワイヤの挙動を説明する図である。(a)は、ワイヤガイドの上端部における断面を表している。(b)は、ワイヤガイドの下端部における断面を表している。 従来のワイヤソーのワイヤの挙動を説明するための図である。 ワイヤの捩れ角度を説明するための図である。同図は、走行方向に向かって見たワイヤの断面を表している。 本実施形態のワイヤソーの基本構造を示す概略斜視図である。 本実施形態のワイヤソーのワイヤガイドの部分の概略上面図である。 本実施形態のワイヤソーのワイヤガイドの部分の概略下面図である。 本実施形態のワイヤソーのワイヤの挙動を説明するための図である。 本実施形態のワイヤソーのワイヤガイドの部分の概略上面図であり、切断時におけるワークの状態を表している。 実施例における測定項目を説明するための概略図である。(a)は薄膜片を、(b)、(c)は薄膜片の断面を誇張して表してある。 実施例の試験結果をまとめた図である。 変形例のワイヤソーの要部を示す概略図である。
<従来のワイヤソーの要部構造>
図1及び図2に、従来のワイヤソーの一例として、固定砥粒方式のワイヤソーの要部を示す。このワイヤソーでは、表面に砥粒102が固定されたワイヤ101が用いられる。使用されるワイヤ101は1本であり、その長さは数100mにも及ぶ。
そして、そのワイヤ101の中間部分が複数(3つや4つのタイプもあるが、同図では2つ)のワイヤガイド103R,103L(包括的にワイヤガイド103ともいう)の周囲に巻き付けられていて、これらワイヤガイド103の間に、平行に並ぶ一群のワイヤ101からなるワイヤ列104が形成されている。
なお、便宜上、上下や左右、前後等の方向は、特に言及しない限り図示の矢印に従うものとする。また、実際には、ワイヤ101の直径は0.1〜0.5mm程度であり、ワイヤ列104の間隔は数100μm程度であるが、図では、分かり易くするために誇張及び簡略化して表してある。
ワイヤ101を、その一方の端部側から巻き出しながら他方の端部側を巻き取ることにより、ワイヤ列104は同方向に高速で走行する。図では、ワイヤ列104が、右側のワイヤガイド103R側から左側のワイヤガイド103L側に向かって走行する場合を表している。これら走行するワイヤ列104の上に、液供給装置105を通じて加工液を垂らしながら、上方から、シリコンやサファイアなどからなるインゴット(ワークWともいう)がワイヤ列104に押し付けられる。
そうすることで、円柱形状をしたワークWは輪切り状に切断され、複数の薄膜片が形成される。
図3及び図4にも示すように、ワイヤ101は、各ワイヤガイド103に形成されたガイド溝106に巻き掛けながら、両ワイヤガイド103に巻き付けられている。具体的には、各ワイヤガイド103の外周面には、回転軸Aに沿って並ぶ環状のガイド溝106が、数100μmの同ピッチで複数形成されている。
左右のワイヤガイド103のガイド溝106は、それぞれ、回転軸Aと直交して対向するように位置決めされている。
なお、これらガイド溝106を区別する場合には、右側のワイヤガイド103Rのガイド溝106を右ガイド溝106Rと称し、左側のワイヤガイド103Lのガイド溝106を左ガイド溝106Lと称する。また、各ワイヤガイド103の前端から順に、1番,2番,…,N番とする。
このワイヤソーの場合、ワイヤ101の走行方向から見ると、ワイヤ101は、右側のワイヤガイド103Rの1番目の右ガイド溝106R(1)の上側から巻き始められている。そして、図3に示すように、右ガイド溝106R(1)に巻き掛けられたワイヤ101は、ワイヤガイド103Lに向かって直線状に延び、右ガイド溝106R(1)と対向して位置する1番目の左ガイド溝106L(1)の上側に巻き掛けられる。
左ガイド溝106L(1)に巻き掛けられたワイヤ101は、図4に示すように、ワイヤガイド103Lの下側に回り込み、ワイヤガイド103Lの下端部からワイヤガイド103Rに向かって傾斜しながら直線状に延び、ワイヤガイド103Rの下端部から2番目の右ガイド溝106R(2)の下側に巻き掛けられる。ワイヤ101の傾斜角度は、ピッチPによって定まる。ちなみに、このワイヤソーの場合、傾斜角度はα°である。
右ガイド溝106R(2)に巻き掛けられたワイヤ101は、ワイヤガイド103Rの上側に回り込み、再度、図3に示すように、ワイヤガイド103Lに向かって直線状に延び、2番目の左ガイド溝106L(2)の上側に巻き掛けられる。
その後は、同じように繰り返し左右のワイヤガイド103にワイヤ101が巻き掛けられ、ワイヤガイド103Lの後端に位置するN番目の左ガイド溝106L(N)の上側からワイヤ101が図外に引き出されている。
その結果、図3に示すように、両ワイヤガイド103間の上側には、回転軸Aに直交して延びる切断用のワイヤ列104が形成されている。そして、図4に示すように、両ワイヤガイド103間の下側には、回転軸Aに傾斜して延びる移行用のワイヤ列107が形成されている。
従って、このワイヤソーの場合、図3に示すように、ワークWの中心軸Cを回転軸Aと平行に位置決めした状態で、ワークWはワイヤ列104に押し付けられる。そうすることで、切断方向をワイヤ列104の延びる方向と一致させている。
すなわち、従来のワイヤソーの場合、ワイヤガイドの周囲にワイヤが螺旋状に巻き付けられてはいるが、厳密には、ワイヤガイドの上側と下側とで巻き掛け方が異なり、歪んだ巻き付け方になっている。
<従来のワイヤソーの問題点>
ところが、このようにワイヤを巻き付けた場合、移行用のワイヤ列107が、左右のワイヤガイド103間を斜めに引っ張られた状態で走行するため、ワイヤ101に捩れが発生する。その結果、ワイヤ101の挙動が不安定になり、その影響は切断用のワイヤ列104にも及ぶため、切削量や切削位置がばらついて加工精度の低下を招く。
図5に、ワイヤ101が巻き掛けられたガイド溝106の断面を示す。(a)は、ワイヤ101がワイヤガイド103から外れ始める位置である、ワイヤガイド103の上端部における断面である。(b)は、ワイヤ101がワイヤガイド103から外れ始める位置である、ワイヤガイド103の下端部における断面である。
上端部及び下端部のいずれのワイヤ101も、ワイヤガイド103の径方向には同じ大きさの力が作用しているが、ワイヤガイド103の回転軸Aの方向に作用する力の大きさは異なっている。
すなわち、上端部のワイヤ101の場合、水平方向には、左右のワイヤガイド103間を真っ直ぐに延びるワイヤ列104によって強く引っ張られていて、垂直方向には、ガイド溝106に確りと巻き掛けられている。そのため、ワイヤガイド103の回転軸Aの方向に作用する力は小さく、ワイヤガイド103の上側はガイド溝106の底側に保持される。
そのため、切断用のワイヤ列104では、ワイヤ101を捩る力はほとんど生じない。
それに対し、下端部のワイヤ101の場合、図6にも示すように、垂直方向には、ガイド溝106に確りと巻き掛けられているが、水平方向には、左右のワイヤガイド103間を斜めに延びるワイヤ列107によって強く引っ張られている。そのため、ワイヤガイド103の回転軸Aの方向には強い力が作用し、しかもガイド溝106の斜面に沿って延びるため、ワイヤ101がガイド溝106の斜面を転がり易くなっている。
その結果、図6及び図7に示すように、移行用のワイヤ列107は、ワイヤ101の走行方向に向かって見た場合、反時計回りに大きな捩れを生じる(捩れ角度τ)。実測したところでは、約20°の捩れが認められた。
移行用のワイヤ列107だけが大きく捩れると、その影響が切断用のワイヤ列104に及び、走行するワイヤ101の挙動が不安定になる。その結果、切削量や切削位置がばらついて加工精度の低下を招く。
更に、図6に示すように、左右のワイヤガイド103で、符号f(A)及びf(A)で示す回転軸Aの方向への力の成分は逆向きに作用する。
具体的には、図4において白抜き矢印が示すように、左側のワイヤガイド103Lでは、後端側に向かって作用し、右側のワイヤガイド103Rでは、前端側に向かって作用する。その結果、左右のワイヤガイド103で、ガイド溝106の位置がずれるおそれがあり、また、各ワイヤガイド103の一端が偏って摩耗し易い傾向がある。
また更に、ワイヤ101は、左右のワイヤガイドで、それぞれ各ガイド溝106の一方の斜面に偏って接触しているため、各ガイド溝106は、ワイヤ101と擦れて偏摩耗する。
そのため、ワイヤガイド103の製品寿命を短くしている。
<本実施形態のワイヤソーの基本構造>
そこで、本発明者らは、ワイヤのワイヤガイドへの巻き掛け方を工夫した。
図8に、本実施形態のワイヤソー1の基本構造を示す。ワイヤソー1には、ワイヤガイド2(2R,2L)やワイヤ3、支持部4、ワイヤ送り装置5,6、ワーク保持部7、液供給装置8、加工制御装置9などが備えられている。
なお、方向の表示や図示の誇張及び簡略化は、先の説明と同様である。
支持部4は、ワイヤソー1の加工スペースに配置され、加工スペースを区画している壁体1aに取り付けられている。支持部4は、互いに離れて対向する一対の支持壁部4a,4aや、これら支持壁部4a,4aの下端部分に連なる連結部4bなどで構成されている。支持壁部4aの上端部分に、2つのワイヤガイド2R,2L(包括的にワイヤガイド2ともいう)が配置されている。
ワイヤガイド2は、円柱形状をしている。各ワイヤガイド2は、水平方向に互いに離れた位置に並べられた状態で、その各端部が各支持壁部4aに回転自在に支持されている。これらワイヤガイド2は、ワイヤガイド駆動モータ2aによって駆動され、同期して互いに平行な回転軸Aを中心に回転する。ワイヤガイド駆動モータ2aは、加工制御装置9によって駆動制御されている。
ワイヤ3には、公知の固定砥粒ワイヤが用いられている。1つのワイヤソー1に対し、例えば100m以上の長さの1本のワイヤ3が用いられ、その中間部分が左右の両ワイヤガイド2R,2Lの周囲に螺旋状に巻き付けられている。
左側ワイヤガイド2Lから外方に引き出されたワイヤ3の左端側の部分は、複数のプーリPに案内されて左側のワイヤ送り装置5(左ワイヤ供給装置5ともいう)まで延びている。同様に、ワイヤ3の右端側の部分も複数のプーリPに案内されて右側のワイヤ送り装置6(右ワイヤ巻取装置6ともいう)まで延びている。
これら一対のワイヤ送り装置5,6と、ワイヤガイド2との間には、それぞれ、テンション機構11が設けられ、これらテンション機構11がワイヤ3のテンションを調節している。左右のワイヤ送り装置5,6は、それぞれ加工制御装置9によって駆動制御されるアシストモータ5a,6aを有し、アシストモータ5a,6aの回転により、ワイヤ3の巻き出しや巻き取りが交互に同期して行われる。
具体的には、左ワイヤ供給装置5に新線のワイヤ3が設置される。そして、左ワイヤ供給装置5から所定長さのワイヤ3が巻き出されて、右ワイヤ巻取装置6に巻き取られる(前進走行)。続いて、所定長さよりも短い長さ分だけ、右ワイヤ巻取装置6からワイヤ3が巻き出されて、ワイヤ3は逆方向に走行し、左ワイヤ供給装置5に再度巻き取られる(後退走行)。
通常、前進走行及び後退走行ともに、その走行の開始時及び終了時以外は、等速で走行するように制御される。ワイヤ3は、これら前進走行と後退走行とを交互に繰り返し行うことにより、その新線部分は左ワイヤ供給装置5から順次繰り出され、左ワイヤ供給装置5から右ワイヤ巻取装置6へと順次巻き取られていく。ワイヤ3の走行時に、支持部4が揺動制御される場合もある。
ワーク保持部7は、ワーク保持部材7aや昇降モータ7bなどで構成され、支持部4の上方に配設されている。ワーク保持部材7aの下面は左右のワイヤガイド2R,2Lの間の部分と対向している。そのワーク保持部材7aの下面に、横向きにされたワークWが着脱可能に支持される。
昇降モータ7bはワーク保持部材7aの上側に配置されている。昇降モータ7bは、加工制御装置9と協働し、ボールネジ機構(不図示)により、上下にワーク保持部材7aを変位させる。それにより、図8に矢印で示すように、ワークWを支持したワーク保持部材7aは、鉛直方向を、両ワイヤガイド2R,2Lの中間点に向かって進退する。
液供給装置8は、両ワイヤガイド2の上方にそれぞれ設置されており、走行するワイヤ3の上に加工液を流下する。
加工制御装置9は、CPUやメモリ等のハードウエアと、メモリに実装された制御プログラム等のソフトウエアとで構成されている。加工制御装置9は、ワイヤソー1の動作全体を総合的に制御する機能を有している。ワークWをセットし、ワイヤソー1を作動させるだけで、切断の各処理は自動的に実行される。
<本実施形態のワイヤソーの要部構造>
図9及び図10に、ワイヤガイド2の部分を詳細に示す。図9は、鉛直方向の上方から見た図であり、図10は、鉛直方向の下方から見た図である。図9に示すように、このワイヤソー1では、上側に位置する切断用のワイヤ列10が、従来のワイヤソーのように各ワイヤガイド2の回転軸Aに対して直交して延びるのではなく、回転軸Aに傾斜して延びるように配置されている。
各ワイヤガイド2は、外径が150〜400mmの円柱形状をしており、左右のワイヤガイド2R,2Lは、それぞれの中心を通る回転軸Aが400〜800mm離れた位置に配置されている。各ワイヤガイド2の外周面には、回転軸Aに沿って並ぶ環状のガイド溝11が、数100μmの一定のピッチPで複数形成されている。
ガイド溝11は、断面V字状の形状をしており、溝底部の開き角度αは30〜100°の範囲で設定されている。特に固定砥粒ワイヤの場合には、30〜60°の範囲で設定するのが好ましい。そうすれば、切断用のワイヤ3を傾けても安定して支持できる。
このワイヤソー1では、左右のワイヤガイド2R,2Lのガイド溝11は、互いに対向するのではなく、回転軸Aの方向にずれて位置決めされている。具体的には、左ガイド溝11Lに対して、右ガイド溝11Rは、半ピッチ分だけ回転軸Aの方向にシフトしている。
そして、従来のワイヤソーと同様に、ワイヤ3は、各ワイヤガイド2に形成されたガイド溝11に巻き掛けながら、左右のワイヤガイド2R,2Lに螺旋状に巻き付けられている。
具体的には、ワイヤ3は、右側のワイヤガイド2Rの1番目の右ガイド溝11R(1)の上側から巻き始められている。そして、図10に示すように、右ガイド溝11R(1)に巻き掛けられたワイヤ3は、左側のワイヤガイド2Lに向かって傾斜しながら直線状に延び、右ガイド溝11R(1)と半ピッチずれて位置する左ガイド溝11L(1)の上側に巻き掛けられる。
左ガイド溝11L(1)に巻き掛けられたワイヤ3は、図10に示すように、ワイヤガイド2Lの下側に回り込み、ワイヤガイド2Lの下端部からワイヤガイド2Rに向かって傾斜しながら直線状に延び、ワイヤガイド2Rの下端部から右ガイド溝11R(2)の下側に巻き掛けられる。
上下のワイヤ3の傾斜角度は、左右のガイド溝11の位置関係とピッチPによって定まる。ちなみに、このワイヤソー1の場合、上下のワイヤ3の傾斜角度は同じ角度θに設定されている。
右ガイド溝11R(2)に巻き掛けられたワイヤ3は、ワイヤガイド2Rの上側に回り込み、再度、図9に示すように、ワイヤガイド2Lに向かって傾斜しながら直線状に延び、左ガイド溝11L(2)の上側に巻き掛けられる。
その後は、同じように繰り返し左右のワイヤガイド2R,2Lにワイヤ3が巻き掛けられ、ワイヤガイド2Lの後端に位置するN番目の左ガイド溝11(N)の上側からワイヤ3が図外に引き出されている。
その結果、図9に示すように、両ワイヤガイド2の上側には、同一ピッチPで平行に並ぶ切断用のワイヤ列10が形成されている。図10に示すように、両ワイヤガイド2の下側には、同一ピッチPで平行に並ぶ移行用のワイヤ列12が形成されている。
そして、このワイヤソー1の場合、切断用及び移行用の両ワイヤ列10,12ともに、回転軸Aに対して傾斜角度θで互い違いに傾斜して延びている。すなわち、切断用のワイヤ列10及び移行用のワイヤ列12は、鉛直方向の同じ向きから見た場合、ガイド溝11を通って回転軸と直交する基準線Sに対して互いに線対称状に配置されている。
切断用のワイヤ列10は、水平方向を、ワイヤガイド2Rからワイヤガイド2Lに向かって走行し、移行用のワイヤ列12は、水平方向を、切断用のワイヤ列10とは逆向きに走行する。
従って、図11に示すように、左右のガイド溝11R,11Lに巻きかけられたワイヤ3は、上下とも、傾斜した状態となっているが、その分、従来のワイヤソーと比べて、傾斜角度は小さくなる。また、ワイヤ3が、自然な状態でワイヤガイド2に螺旋状に巻き付けられるため、ガイド溝11の上下間及び左右のガイド溝11R,11L間で、ワイヤ3に力がバランス良く作用する。その結果、ワイヤ3の挙動が安定し、加工精度が向上する。
詳細には、切断用及び移行用のワイヤ列10,12ともに、ワイヤ3に捩れが生じるが、その捩れの程度は抑制され、かつ、均等に捩れる。実測したところでは、ワイヤ3の走行方向に向かって見た場合、切断用及び移行用の両ワイヤ列10,12ともに、反時計回りに約10°の捩れが認められた。
このように、捩れが生じても、ワイヤ3の全体がバランスよく捩れて、その捩れの程度も抑制される結果、ワイヤの挙動が安定して切断用のワイヤ列10の振動も抑制されるため、加工精度が向上する。
更に、各ワイヤガイド2のガイド溝11の上下で、ワイヤ3が同じ傾斜角度θで互い違いに傾斜しているため、ワイヤ3が傾斜することによって生じる回転軸Aの方向への力成分が、個々のガイド溝11の上下で相殺される。例えば、左ガイド溝11Lの上端部でワイヤ3に作用する回転軸A方向の力成分fLU(A)の大きさは、その下端部の同力成分fLD(A)と同じであり、互いに逆向きに作用する。右ガイド溝11の各力成分fRU(A),fRD(A)も同様である。
従って、左右のワイヤガイド2R,2Lは、ワイヤ3が走行しても、回転軸Aの方向に作用する力成分が釣り合うため、ガイド溝11R,11Lの位置ずれや、ワイヤガイド2の端部の偏った摩耗を効果的に防ぐことができる。
しかも、ワイヤ3は、各ガイド溝11の両斜面に均等に接触するため、各ガイド溝11の偏摩耗も効果的に防止できる。
従って、ワイヤガイド2の製品寿命を延ばすことができ、耐久性の向上が図れる。
このワイヤソー1の場合、切断用のワイヤ列10は、回転軸Aに対して傾斜しているため、ワークWの切断方向がワイヤ列10の延びる方向と一致するように、ワークWは、図12に示すように、角度θ傾けた状態で押し付けられる。
すなわち、ワーク保持部材7aは、鉛直方向から見て、切断用のワイヤ列10の傾斜角度θに対応して、ワークWの中心軸Cを回転軸Aに対して角度θ傾斜させた状態で支持するように構成されている。従って、ワークWは従来のワイヤソーと同様に、輪切り状に切断され、複数の薄膜片が形成される。
(実施例)
切断用のワイヤ列10が回転軸Aに直交する従来の巻き掛け方(比較例)と、本実施形態の巻き掛け方(実施例)とについて、加工精度を比較する実験を行った。なお、実験では、巻き掛け方のみが異なるように、それ以外の条件は比較例及び実施例で同じに設定した。
実験では、図13に示すように、比較例及び実施例の加工条件で得られた薄膜片Pについて、反り精度(W)と、厚みのばらつき(Δt)について測定した。その結果を図14に示す。
図14に示すように、反り精度及び厚みのばらつきともに、比較例に比べて実施例が小さくなり、加工精度の向上が認められた。
なお、本開示のワイヤソーは、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、ワイヤガイドの本数は2本に限らず、3本以上であってもよい。ただし、本数が増えればそれだけ傾斜角度は小さくなるため、特にワイヤガイドが2本の場合に効果的である。
切断用及び移行用のワイヤ列は、線対称に配置するのが好ましいが、必ずしもそうではなく、両ワイヤ列の傾斜角度は異なっていてもよい。ワイヤソーには、固定砥粒方式以外にも、砥粒を含む加工液を通常のワイヤに付着させるタイプ(遊離砥粒方式)もあるが、本発明はいずれにも適用可能である。
左右のワイヤガイド2R,2Lに同じ構造のワイヤガイドを使用し、図15に示すように、左右で反ピッチ分ずらした状態で回転自在に支持するのが好ましい。そうすれば、左右のワイヤガイド2R,2Lが共用可能になるため、部材コストや部品点数の削減が図れる。
1 ワイヤソー
2(2R,2L) ワイヤガイド
3 ワイヤ
10 ワイヤ列(切断用)
11(11R,11L) ガイド溝
12 ワイヤ列(移行用)

Claims (4)

  1. 走行するワイヤにワークを押し付けて当該ワークを切断するワイヤソーであって、
    互いに離れた位置に並べられて、互いに平行な回転軸を中心に回転する複数の円柱状のワイヤガイドと、
    前記複数のワイヤガイドの周囲に、中間部分が巻き付けられるワイヤと、
    前記ワイヤの両端の各々に対応して設けられ、当該ワイヤの巻き出し及び巻き取りを行う一対のワイヤ送り装置と、
    前記ワークを保持し、一対の前記ワイヤガイドの間に向かって進退するワーク保持部と、
    を備え、
    前記ワイヤガイドの各々の外周には、前記回転軸方向に平行に並ぶ環状のガイド溝が複数形成され、
    前記複数のガイド溝に前記ワイヤを巻き掛けることにより、前記一対のワイヤガイドの間に、前記ワークが押し付けられる同一ピッチで平行に並ぶワイヤ列が形成され、
    前記ワイヤ列に直交する方向から見て、当該ワイヤ列が、前記回転軸に対して傾斜しているワイヤソー。
  2. 請求項1に記載のワイヤソーにおいて、
    切断方向が前記ワイヤ列の延びる方向と一致するように、前記ワーク保持部が、前記回転軸に対して傾斜した状態で前記ワークを前記ワイヤ列に押し付けるワイヤソー。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワイヤソーにおいて、
    前記ワイヤガイドは前記一対のワイヤガイドのみからなり、これらワイヤガイドを挟んで前記ワイヤ列の反対側に、当該ワイヤ列と逆向きに走行する対向ワイヤ列が形成され、
    前記ワイヤ列に直交する方向から見て、前記対向ワイヤ列が傾斜し、当該対向ワイヤ列と前記ワイヤ列とが線対称に配置されているワイヤソー。
  4. 請求項3に記載のワイヤソーにおいて、
    前記ガイド溝は、V字状の断面形状を有し、
    前記ワイヤが、固定砥粒ワイヤであるワイヤソー。
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