JP6593333B2 - 風味の向上した食肉及び食肉加工品並びにその製造方法 - Google Patents

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本発明は、アドバンテームを配合した食肉及び食肉加工品に関する。また、本発明は、食肉にアドバンテームを添加することによる、風味の向上した食肉又は食肉加工品の製造方法に関する。さらに、本発明は、食肉又は食肉加工品の風味向上剤に関する。
食肉又は食肉加工品のおいしさには、様々な因子が寄与しており、多くのニーズが存在する。たとえば、食肉のやわらかさ、多汁性、うま味、厚み、脂の甘み、濃厚感等がある。また、獣臭や魚臭、さらにはグラス臭等の好まれないフレーバーを少なくすることも重要である。これらのニーズに対し、多くの技術が開発され、既に用いられている。
やわらかさや多汁性を付与する方法としては、重合リン酸塩が一般的に広く用いられており、その他にも、アルギニン等の塩基性アミノ酸を用いる方法(特許文献1)、アルギニンとタンパク加水分解物等を併用する方法(特許文献2)、アルギニン等の塩基性アミノ酸と油脂及び乳化剤からなる乳化液を用いる方法(特許文献3)、アルギニンと焼き塩、グルタチオン、糖アルコール、加工澱粉等を併用する方法(特許文献4)、アルギニンとトランスグルタミナーゼを併用する方法(特許文献5)、アルギニンとプロテイングルタミナーゼを併用する方法(特許文献6)、プロテアーゼ及び澱粉及びカードランを用いる方法(特許文献7、特許文献8)、グルタチオン及び焼き塩及び糖アルコール等を用いる方法(特許文献9)が開示されている。
食肉又は食肉加工品にうま味や、厚みを付与する方法としては、グルタミン酸や核酸が広く一般的に用いられており、その他にも、グルタチオンを用いる方法(特許文献10)が開示されている。また、食肉加工品の種類に応じ、各々に適した酵母エキス等の天然調味料が広く使用されている。
一方、脂の自然な甘みや、濃厚感は、食肉中の動物脂や魚脂等に由来する部分が大きいとされるが、脂の持つ自然な甘みを再現することは非常に難しい。食肉加工品に好ましい食味を維持しつつも十分な甘みを付与する方法として、ステビア及び生醤油及びアルコールを用いる方法(特許文献11)が開示されているが、焼肉等の甘い味付けの食肉加工品においては好ましい効果を発揮するものの、動物脂等の持つ自然な甘みとは質が異なる。また、食肉の内部に効率的に甘みを浸透させる方法として、アセスルファムカリウムを含む食肉加工用調味料組成物を用いる方法(特許文献12)が開示されているが、砂糖に比べ効率的に肉内部にまで浸透しすっきりとした甘みを付与できるものの、動物脂等の持つ自然な甘みとは質が異なる。
甘味料を食肉加工品に用いる技術としては、他にもいくつか知られているが、その多くは、食肉加工品において好ましくないフレーバーをマスキングする技術や、特定のフレーバーを増強する方法である。例えば、スクラロースを用いることで食肉臭をマスキングする方法(特許文献13)、スクラロースを用いることで食塩含有食品の風味を向上させる方法(特許文献14)、スクラロースを用いることで燻製品のスモークフレーバーを増強する方法(特許文献15)が開示されている。また、甘味料以外でも、食肉加工品における好ましくないフレーバーをマスキングする技術は多く、ヒマワリ種子抽出物及びγ−アミノ酪酸及びテアニン及びルチンより選ばれる1種とヘスぺリジンを用いることによる肉類の不快臭を低減化する方法(特許文献16)等がある。
さらには、甘味料により特定のフレーバーをマスキングすると同時に、食肉の呈味向上機能を併せ持つ技術も知られており、ソーマチンを用いることにより、大豆タンパク質を含む食肉加工品において、大豆タンパク臭をマスキングし、食肉の呈味感を向上させる方法(特許文献17)が開示されているが、動物脂等の持つ甘みについては言及されていない。
以上のように、動物脂等の持つ自然な甘みや、濃厚感を付与することのできる技術は確立されていないのが現状である。
特公昭57−021969号公報 特開平7−155138号公報 特開2002−199859号公報 国際公開第2005/032279号 国際公開第2012/060470号 国際公開第2012/060409号 特許第4850942号公報 特許第4850943号公報 特許第4544160号公報 特開昭61−239867号公報 特許第5257820号公報 特開2002−101852号公報 特開2000−157184号公報 特許第3439559号公報 特開2000−166462号公報 特許第4643526号公報 特許第5284892号公報
本発明の目的は、風味の向上した、具体的には動物脂、魚脂等の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感の付与された、食肉又は食肉加工品及びその製造方法、食肉又は食肉加工品の風味向上剤、並びに食肉又は食肉加工品の風味向上方法を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、食肉又は食肉加工品にアドバンテームを添加することにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]アドバンテームが食肉に対して0.0001ppm〜10ppm含有されることを特徴とする、食肉又は食肉加工品。
[2]アドバンテームの含有量が0.001ppm〜5ppmである、[1]に記載の食肉又は食肉加工品。
[3]食肉又は食肉加工品が鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、[1]又は[2]に記載の食肉又は食肉加工品。
[4]食肉又は食肉加工品が魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、[1]又は[2]に記載の食肉又は食肉加工品。
[5]アドバンテームを食肉に対して0.0001ppm〜10ppm添加することを特徴とする、食肉又は食肉加工品の製造方法。
[6]アドバンテームの添加量が0.001ppm〜5ppmである、[5]に記載の製造方法。
[7]食肉又は食肉加工品が鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、[5]又は[6]に記載の製造方法。
[8]食肉又は食肉加工品が魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、[5]又は[6]に記載の製造方法。
[9]アドバンテームを含有する、食肉または食肉加工品の風味向上剤。
[10]食肉又は食肉加工品が、鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、[9]に記載の風味向上剤。
[11]食肉又は食肉加工品が、魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、[9]に記載の風味向上剤。
[12]アドバンテームを食肉に対して0.0001ppm〜10ppm添加することを特徴とする、食肉又は食肉加工品の風味向上方法。
[13]食肉又は食肉加工品が、鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、[12]に記載の風味向上方法。
[14]食肉又は食肉加工品が、魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、[12]に記載の風味向上方法。
本発明により、風味の向上した食肉又は食肉加工品を提供することができる。具体的には、動物脂、魚脂等の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感の付与された食肉又は食肉加工品を提供することができる。さらには、うま味や厚みが付与され、好ましくない獣臭、魚臭等の低減された食肉又は食肉加工品を提供することができる。
本発明において用いるアドバンテームは、一般式がN−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン−1−メチルエステルで示される化合物である。
アドバンテームは、アスパルテーム又はその誘導体を、フェニル基上に種々の置換基を持ち、かつ主鎖上に1から2個のアルキル置換基を持つ3−フェニルプロピオンアルデヒド誘導体、シンナムアルデヒド誘導体又は(2−フェニルエチル)アルキルケトン誘導体と還元剤(例えば水素/パラジウム炭素触媒)とを用いて、還元的にアルキル化することによって合成することできる。或いは、通常のペプチド合成法(たとえば、泉屋ら、「ペプチド合成の基礎と実験」、丸善1985.1.20発行)に従って得られる、β位のカルボン酸に保護基を持つアスパルテーム誘導体(たとえばβ−O−ベンジル−α−L−アスパルチル−L−アミノ酸メチルエステル)を、上記3−フェニルプロピオンアルデヒド誘導体、シンナムアルデヒド誘導体又は(2−フェニルエチル)アルキルケトン誘導体と還元剤(たとえばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)とを用いて還元的にアルキル化(A.F.Abdel−Maidら、Tetrahedron Letters、31、5595(1990))した後に保護基を除去する方法、或いは必要に応じて不飽和結合を還元剤で飽和する方法によって得ることができる。また、上記3−フェニルプロピオンアルデヒド誘導体、シンナムアルデヒド誘導体又は(2−フェニルエチル)アルキルケトン誘導体の代わりに、これらのアセタール又はケタール誘導体等も還元的アルキル化の際のアルデヒド或いはケトン成分として用いられ得る。なお、本発明におけるアドバンテームの合成法は上記の通り例示されるが、必ずしもこれらに限られるものではない。
本発明における「食肉」には、鳥獣畜肉の食用となる肉部及び魚介類の食用となる肉部が含まれる。
鳥獣畜肉としては、特に限定されないが、豚、牛、羊、山羊、馬、ラクダ、アルパカ、イノブタ等の家畜、合鴨、アヒル、鶉、ガチョウ、鴨、七面鳥、鶏、鳩、ホロホロチョウ等の家禽、イノシシ、兎、鹿、キジ等野生の鳥獣、鯨、カエル、スッポン等の肉を挙げることができ、これらの食用となる肉部には、血液、脂肪を含む骨格筋や、舌、心臓、肝臓、胃、腸、腱等の内臓等も含まれる。また、骨の付いた骨格筋であってもよい。これら鳥獣畜肉の食用となる肉部は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
鳥獣畜肉の食用となる肉部(以下、本明細書において「畜肉」と略記することもある)は、生の畜肉の他、乾燥、加熱(煮る、焼く、蒸す等)、燻煙等の処理を施したものでもよく、また形状にも特に限定はなく、ブロック、スライス、ミンチ、ペースト等のものを使用することができる。
本発明において、畜肉としては、豚、牛、羊、山羊、馬等の家畜、および合鴨、アヒル、鶉、ガチョウ、鴨、七面鳥、鶏等の家禽の食用となる肉部が好ましく用いられ、これら家畜および家禽の血液、脂肪を含む骨格筋がより好ましく用いられる。
魚介類としては、特に限定されないが、アマゴ、アユ、イワナ、ウグイ、ウナギ、コイ、ナマズ、フナ、マス、ヤツメウナギ、ヤマメ等、主として河川、湖等の淡水に生育する魚類、アジ、アナゴ、アンコウ、イカナゴ、イサキ、イワシ、エイ、カサゴ、カジキ、カツオ、カマス、カレイ、カワハギ、キス、サケ、サバ、サメ、サワラ、サンマ、スズキ、タイ、タラ、ニシン、ハモ、ヒラメ、フグ、ブリ、マグロ等の主として海水に生育する魚類、アカガイ、アサリ、アワビ、イガイ、カキ、サザエ、トコブシ、トリガイ、バイガイ、バカガイ、ハマグリ、ホタテガイ、ミルガイ等の海水産の貝類、シジミ、タニシ等の淡水産の貝類、エスカルゴ等の陸棲貝類、アマエビ、イセエビ、クルマエビ等のエビ類、ケガニ、ズワイガニ、タラバガニ等のカニ類、アカイカ、ケンサキイカ、コウイカ、スルメイカ、ホタルイカ、ヤリイカ等のイカ類、イイダコ、マダコ等のタコ類、その他ウニ、オキアミ、クラゲ、シャコ、ナマコ、ホヤ等が挙げられる。かかる魚介類は、天然産のもの及び養殖したもののいずれでもよい。
上記魚介類の食用となる肉部には、これらの頭部、かま、胴体、ヒレ、尾、触手の肉や、軟骨に付随した肉、肝臓、心臓、精巣、卵巣等の内臓が含まれる。これら魚介類の食用となる肉部は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
魚介類の食用となる肉部(以下、本明細書において「魚肉」と略記することもある)は、生の魚肉の他、乾燥、加熱(煮る、焼く、蒸す等)、燻煙等の処理を施したものでもよく、また形状にも特に限定はなく、ブロック、開いたもの、おろしたもの、フレーク、すり身等を使用することができる。
本発明において、魚肉としては、淡水または海水に生育する魚類の食用となる肉部が好ましく用いられ、前記魚類の頭、かま、胴体、尾等の肉がより好ましく用いられ、ウナギ、アジ、サケ、サバ、サンマ、ブリ、マグロ等、魚脂を豊富に含む魚類の肉が特に好ましく用いられる。
本発明における食肉加工品は、食肉を調理あるいは加工したものであれば、特に限定されない。
たとえば、畜肉の加工品としては、ハンバーグ、ソーセージ、ミートボール等の畜肉練り製品や、ステーキ、グリル、ソテー、ロースト、しょうが焼き、野菜炒め、角煮、から揚げ、焼肉、焼き鳥、豚カツ、シチュー、カレー、天ぷら、ハム、チャーシュー等の畜肉単味品及び畜肉単味品を用いた調理品等が挙げられる。また、鶏だしや豚骨スープのように、畜肉を食用となる肉部以外の部分(骨等)とともに煮込む、或いは畜肉や食用となる肉部以外の部分(骨等)から抽出する等の方法で得られたもの、及び豚骨ラーメンのようにそれを用いた調理品も含まれる。さらには、これらの冷凍品、チルド品、乾燥品、レトルト品も含まれる。
また、魚肉の加工品としては、かまぼこ、ちくわ、だて巻き、つみれ、なると、はんぺん、さつま揚げ、魚肉ハム、魚肉ソーセージ等の水産練り製品、魚肉フレークの油漬け、たたき、焼き魚、から揚げ、天ぷら、フライ、マリネ、カレー、シチュー等の魚肉単味品及び魚肉単味品を用いた調理品、魚醤等の発酵品、辛子明太子、カラスミ等の卵巣加工品、カツオだし、煮干しだし、オイスターソース等の魚介類の抽出物やその加工品等が挙げられる。さらには、これらの冷凍品、チルド品、乾燥品、レトルト品も含まれる。
本発明において、好ましい食肉加工品としては、豚、牛、羊、山羊、馬等の家畜、および合鴨、アヒル、鶉、ガチョウ、鴨、七面鳥、鶏等の家禽の食用となる肉部、特に好ましくはこれら家畜および家禽の血液、脂肪を含む骨格筋の練り製品や、調理品等が例示される。また、前記家畜、家禽の食用となる肉部と、骨等の食用となる肉部以外の部分とともに煮込む、またはそれらから抽出等して得られただし、スープ等も好ましく用いられる。
魚肉の加工品としては、魚類、特に魚脂を豊富に含む魚類の肉を用いた練り製品、調理品、該魚類の抽出物およびその加工品等が好ましいものとして例示される。
本発明は、アドバンテームが含有され、風味の向上した食肉又は食肉加工品を提供する。
また、本発明は、アドバンテームを食肉又は食肉加工品に添加することにより、風味の向上した食肉又は食肉加工品を製造する方法を提供する。
食肉又は食肉加工品にアドバンテームを添加する段階は、鳥獣畜肉又は魚介類から食肉を調製する時、食肉加工品の製造時、食肉の調理時、喫食時のどの段階でもかまわない。食肉を調製する際に、原料となる鳥獣畜肉又は魚介類、或いはその一部に直接添加してもよく、また、食肉加工品の製造過程のいかなる工程において添加してもよく、調製された食肉又は製造された食肉加工品に添加してもよい。また、食肉用の調味料に添加して用いることもできる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、アドバンテームを食塩、糖類、甘味料、香辛料、酵素、澱粉、デキストリン、酵母エキス、野菜エキス等他の食品原料や食品添加物と併用することもできる。
本発明の食肉又は食肉加工品の風味向上効果は、食肉とアドバンテームが、後述する特定の比率で共存することにより奏されると考えられるため、食肉又は食肉加工品へのアドバンテームの添加方法は特に制限されず、食肉の塊に注入する方法、食肉の表面に塗布する方法、食肉の練り製品に練り込む方法の他に、天ぷら、から揚げ、フライ等の揚げ物では揚げ衣に添加する方法、しょうが焼き、焼き肉、焼き鳥、焼き魚等の焼き物では、たれに添加する方法、シチューやカレー等では、ソースに添加する方法等をも含む。食肉または食肉加工品へアドバンテームを添加する際の形態は特に限定されず、粉末状で添加してもよく、また、水等に溶解して液体状として添加してもよく、賦形剤等を用いてペースト状、顆粒状として添加してもよい。
本発明におけるアドバンテームの添加量は、食肉に対し0.0001ppm〜10ppmであり、好ましくは0.001ppm〜5ppmであり、より好ましくは0.001ppm〜0.5ppmであり、さらに好ましくは0.005ppm〜0.1ppmであり、さらにより好ましくは0.005ppm〜0.02ppmである。食肉加工品が、鶏だし、カツオだし等の食肉抽出物又はその加工品である場合、食肉由来の固形分に対し、上記範囲にて添加する。
食肉に対するアドバンテームの添加量が0.0001ppmより少ない場合には、十分な風味向上効果が得られない傾向があり、10ppmより多い場合には、好ましい食肉の風味がマスクされてしまう傾向がある。
本発明はまた、アドバンテームを含有する食肉又は食肉加工品の風味向上剤を提供する。
本発明の風味向上剤は、アドバンテームを単独で含有するものでもよく、食塩、糖類、香辛料、酵素、澱粉、デキストリン、酵母エキス、野菜エキス、甘味料、その他の賦形剤等、食品に用いられる一般的な原料又は食品添加物とともに含有するものでもよい。本発明の風味向上剤の形態は特に限定されず、液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状等とすることができる。また、本発明の風味向上剤におけるアドバンテームの含有量は特に制限されないが、たとえば、0.000001重量%〜10重量%、好ましくは0.00001重量%〜1重量%であり、食肉の調製時又は食肉加工品の製造時、或いは食肉又は食肉加工品の調理時、喫食時等に、食肉に対し0.0001ppm〜10ppm、好ましくは0.001ppm〜5ppm、より好ましくは0.001ppm〜0.5ppm、さらに好ましくは0.005ppm〜0.1ppm、さらにより好ましくは0.005ppm〜0.02ppmの範囲で添加することを前提に設計すればよい。
本発明はさらにまた、食肉又は食肉加工品にアドバンテームを添加することにより、食肉又は食肉加工品の風味を向上させる方法を提供する。
アドバンテームの添加方法及び食肉に対する添加量は、上記した通りである。
本発明において、食肉又は食肉加工品の風味とは、食肉又は食肉加工品の味及び香りとして感じられる感覚をいい、主として、食肉又は食肉加工品のうま味、厚み、脂の甘み、濃厚感、ジューシー感、肉風味等により評価される。
従って、本発明において、食肉又は食肉加工品における風味の向上とは、食肉又は食肉加工品について、アドバンテームを添加しない場合に比べ、うま味、厚み、脂の甘み、濃厚感、ジューシー感、肉風味が強く感じられ、獣臭や魚臭、グラス臭、脂の劣化臭、ベタつき、パサつきが感じられないことをいう。
ここで、食肉又は食肉加工品のうま味とは動物性タンパク質由来のうま味、厚みとはしっかりとした呈味が舌の上に乗る感覚、脂の甘みとは脂の持つ自然な甘み、濃厚感とは主に脂によりもたらされるこってりとした感覚、ジューシー感とは肉の脂質が口の中で広がる感覚、肉風味とは、食肉又は食肉加工品において出現する好ましいフレーバーをいう。また、獣臭とはいわゆる畜肉自体が持つ不快な臭い、魚臭とは、魚が腐敗したような不快な臭い、グラス臭とは餌となる草に由来する雑草のような臭い、脂の劣化臭とは脂が酸化劣化した際に発する鼻をつく不快な臭い、ベタつきとは脂がしつこく舌にまとわりつく感覚、パサつきとは肉汁が乏しく、しっとり感の感じられない状態を意味する。
一般的に、良質な動物脂又は魚脂には、自然な脂の甘み及び濃厚感があるが、劣化臭やベタつきはなく、これらはジューシー感にも寄与する。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、この実施例により何ら限定されない。
実施例1:ハンバーグへのグラニュー糖または各種甘味料の添加効果
国産牛赤身肉及び国産牛脂、又は黒毛和牛赤身肉及び黒毛和牛牛脂を用い、それぞれ2cm角程度の小片にカットした赤身肉100重量部に対し牛脂4重量部の比率にて混合し、5mmダイスのミンサー「グレートミンチ WMG−22」(ワタナベフーマック株式会社製)にて挽肉を調製した。調製した挽肉を用い、表1に示す配合に従いミキサー(ホバート(HOBART)社製)に原料を投入し、低速で2.5分間混合した。得られた生地を130gずつハンバーグの形状に成型した。成型した生地は、ホットプレートを用いて表面を250℃で1分間焼成した後、裏面を250℃で30秒間焼成した。その後、フタをして160℃で8分間蒸し焼きにし、ハンバーグを得た。黒毛和牛赤身肉及び黒毛和牛牛脂を用いたハンバーグは、国産牛赤身肉及び国産牛脂を用いたハンバーグに比べて品質が高く、優れた風味を有する比較対照品として製造した。
得られたハンバーグは、4名のパネラーによる官能評価に供した。官能評価は、肉の風味、脂の風味、食感等に着目し、総合的にフリーコメント形式にて行うと同時に、黒毛和牛赤身肉及び黒毛和牛牛脂を用いた高品質の対照品と比較した際の品質差について行い、同等レベルを「○」、やや近いレベルを「△」、明らかに異なるレベルを「×」とした。
評価結果を表1に示す。表1に記載した「ppm」とは、100万分の1を示す単位であり、ここでは、1ppm=0.0001重量パーセントを意味する。グラニュー糖および各種甘味料の添加量は、食肉(赤身肉と牛脂より調製した挽肉)に対する割合で示した。グラニュー糖および各種甘味料の添加量は、甘味強度が同等となる添加量に設定した。
表1に示す通り、黒毛和牛赤身肉及び黒毛和牛牛脂を用いた試験区1に比べ、国産牛赤身肉及び国産牛脂を用いた試験区2は、上述の高品質のハンバーグの特徴が全く見られず、品質レベルの差は顕著であった。一方、アドバンテームを添加した試験区7においては、良質な動物脂特有の脂の自然な甘みが付与されており、総合的に高品質のハンバーグの特徴を有していた。試験区1との品質差もほとんどなく、同等レベルであった。グラニュー糖又はその他の甘味料を添加した試験区3〜6及び8においては、グラニュー糖や各甘味料特有の甘みは付与されるものの、脂の自然な甘みとは異質であり、呈味バランスがむしろ崩れる傾向にあった。ソーマチンを添加した試験区9においては、不自然な甘みの付与は見られないものの、脂の自然な甘みの付与もなく、肉のうま味向上効果、獣臭マスク効果など、風味に対する影響が強い傾向が見られた。なお、ソーマチンの添加量を増やした場合も、脂の自然な甘みは付与されず、後味にベタつきのある甘みが付与されることを別途確認している。以上より、脂の自然な甘みを付与し得るのはアドバンテームのみであり、さらにアドバンテームは、濃厚感やジューシー感の付与、獣臭のマスク効果等の作用も併せて有することが示された。
実施例2:ハンバーグへのアドバンテームの添加効果
実施例1と同様の方法にて、表2に示す配合に従い、ハンバーグを調製した。得られたハンバーグは、4名のパネラーによる官能評価に供した。官能評価は、実施例1でアドバンテームの添加効果として確認された脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感に着目して行い、これらが付与されることで、黒毛和牛赤身肉及び黒毛和牛牛脂を用いた試験区1に近い品質となっているかどうかを評価した。試験区1の品質と比較し、同等レベルを「◎」、ほぼ同等レベルを「○」、やや近いレベルを「△」、明らかに異なるレベルを「×」とした。
評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、試験区4〜試験区14において、試験区1の品質に近づいたと評価されており、特に試験区6〜試験区13において、試験区1と同等レベルもしくはほぼ同等レベルの品質のハンバーグが得られたと評価された。すなわち、国産牛赤身肉及び国産牛脂を用いたハンバーグにアドバンテームを特定量添加することにより、黒毛和牛赤身肉及び黒毛和牛牛脂を用いたハンバーグの品質に近づくことが示され、かかる品質の向上に有効なアドバンテームの添加量は、食肉に対し0.0001ppm〜10ppm、好ましくは0.001ppm〜5ppmであり、特に好ましくは0.005ppm〜0.02ppmであることが明らかとなった。なお、アドバンテームの添加量が0.0001ppmより少ないと十分な品質の向上効果が得られず、10ppmより多いと、好ましい肉の風味がマスクされてしまう傾向が見られた。
実施例3:豚骨スープへの各種甘味料の添加効果
豚骨、豚肉、豚脂にネギ及び生姜を加えて煮込むことで豚骨スープを調製した。調製した豚骨スープの、豚由来固形分含量は約2重量%である。また、調製した豚骨スープに10重量%の水を加えることで、希釈豚骨スープを作製し、そこへ表3に示す通り各種甘味料を添加した。得られたサンプルは、4名のパネラーによる官能評価に供した。官能評価は、味の厚み、脂の甘み、濃厚感等に着目し、総合的にフリーコメント形式にて行うと同時に、試験区1との品質差について行い、同等レベルを「○」、やや近いレベルを「△」、明らかに異なるレベルを「×」とした。
評価結果を表3に示す。
表3に示す通り、通常の豚骨スープである試験区1に比べ、試験区2の希釈豚骨スープは、顕著に味の厚み等呈味が弱かったが、希釈豚骨スープにアドバンテームを添加した試験区6においては、豚脂由来の濃厚感や脂の自然な甘みが付与されており、総合的に通常の豚骨スープの特徴を有していた。試験区1との品質差もほとんどなく、同等レベルであると評価された。他の甘味料を添加した試験区3〜5においては、各甘味料特有の甘みや、若干の厚みが付与されるものの、脂の自然な甘みとは異質であり、呈味バランスがむしろ崩れる傾向にあった。
以上より、脂の自然な甘みを付与し得るのはアドバンテームのみであり、さらにアドバンテームは、味の厚みや脂の濃厚感の付与機能も併せて有することが示された。また、アドバンテームにより、希釈された畜肉エキスあるいは畜肉スープの力価を自然に高めることができ、嵩増し用途においても使用可能であることが明らかとなった。
実施例4:ハンバーグへの各種甘味料の添加効果(2)
上述の通り、食肉加工品に対して甘味料を添加することにより特定の効果を得る方法は、多く知られている。中でも、動物脂の持つ甘みについては言及されていないながらも、スクラロースやソーマチンを用いる技術については、一定の好ましい効果が示されている。たとえば、ソーマチンを用いることにより、大豆タンパク質を含む食肉加工品の大豆タンパク臭をマスキングし、食肉の呈味感を向上させる効果(特許文献16)や、スクラロースを用いることにより、食肉臭をマスキングする効果(特許文献12)が開示されている。
そこで、ソーマチン及びスクラロースの添加効果と、本発明におけるアドバンテームの添加効果の比較を行った。実施例1と同様の方法にて、表4に示す配合に従い、ハンバーグを調製した。得られたハンバーグは、4名のパネラーによる官能評価に供した。官能評価は、実施例1でアドバンテームの添加効果として確認された脂の自然な甘みの付与、濃厚感の付与、ジューシー感の付与に加え、肉のうま味の付与、肉風味の増強、獣臭のマスキング効果に着目して行った。本評価において肉風味とは、ハンバーグにおいて出現する濃厚な好ましいフレーバーのことを意味する。試験区1と比較し、顕著な効果ありを「◎」、効果ありを「○」、やや効果ありを「△」とし、効果が認められない場合は空欄とした。なお、試験区4のソーマチン濃度は、特許文献16にて好ましいとされる濃度、試験区5のスクラロース濃度は、特許文献16にて比較対照として用いられた濃度、試験区6のスクラロース濃度は、特許文献12にて好ましいとされた濃度である。
評価結果を表4に示す。
表4に示す通り、アドバンテームの添加により、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感が顕著に付与されたのに対し、ソーマチン及びスクラロースの添加では、これらの効果は得られなかった。一方、特許文献12及び特許文献16にて開示されている通り、ソーマチンの添加により、肉のうま味及び肉風味の付与効果並びに獣臭のマスキング効果が、スクラロースの添加により獣臭のマスキング効果が得られることは確認された。
以上より、食肉加工品に脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感を付与し得るのはアドバンテームのみであり、さらにアドバンテームは、肉のうま味の付与効果及び獣臭のマスキング効果も併せて有することが示された。
実施例5:魚肉加工品におけるアドバンテーム添加効果の評価
魚肉加工品として、マグロフレークの油漬け(「セブンプレミアムシーチキンフレーク」、はごろもフーズ株式会社製)及びマグロのたたき(市販品)を用い、それぞれに対しアドバンテームを0.01ppm又は0.05ppmとなるように添加し、5名のパネラーによる風味の官能評価に供した。
評価項目は、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、マグロ肉のうま味及びマグロフレーク及びマグロのたたきの肉風味の向上効果並びに魚臭マスク効果とした。評価結果は、アドバンテームを添加しない対照に比べて、「顕著な効果がある;◎」、「効果がある;○」、「やや効果がある;△」として表した。なお、対照と比べて効果の認められない場合は空欄とした。
官能評価結果を表5に示した。
表5に示されるように、マグロフレークの油漬け及びマグロのたたきに0.01ppm又は0.05ppmのアドバンテームを添加した場合、脂の自然な甘み、濃厚感及びマグロ肉のうま味において、対照に比べて向上効果が認められた。なお、マグロのたたきにおいては、いずれの添加濃度でも脂の自然な甘み、濃厚感及びマグロ肉のうま味の顕著な向上効果が認められた。
実施例6:一枚肉のステーキにおけるアドバンテームの添加効果
畜肉加工品として、アメリカ産肩ロース肉(チャックアイロール)一枚肉のステーキを次の通り調製し、6名のパネラーによる風味の官能評価に供した。
(1)パウチに表6に示す各原材料を表中の配合量にて混合し、緩めに真空パックを施した。
(2)密閉後、−30℃で急速冷凍した。
(3)5℃の冷蔵庫にて一晩静置して解凍し、肉に浸漬し切らずにパウチ内部に残存する水分を除去した。
(4)グリドルにて250℃で70秒間ずつ、両面を2回焼き、次いでインピンジャーオーブンにて、片面を280℃で4分間焼いた。
官能評価は、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、肉のうま味及びステーキの肉風味の向上効果並びに獣臭マスク効果について行い、評価結果は、対照に比べて、「顕著な効果がある;◎」、「効果がある;○」、「やや効果がある;△」として表した。
官能評価結果を表7に示した。
表7に示されるように、アドバンテームを食肉に対し0.0105ppm又は0.0525ppm添加することにより、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、肉のうま味及びステーキの肉風味の向上効果並びに獣臭のマスク効果が認められた。特に、脂の自然な甘み及び肉のうま味については、顕著な向上効果が認められた。
実施例7:鶏もも肉から揚げにおけるアドバンテームの添加効果
食肉加工品として、次の通り鶏もも肉のから揚げを調製し、6名のパネラーによる風味の官能評価に供した。
(1)鶏もも肉を解凍後、30g〜35gにカットし、表8に示す原材料により調製した調味液を肉重量に対し15重量%加えて真空パックを施した。
(2)タンブラーにて、4rpmで60分間混合し、5℃で一晩静置した。
(3)ザルにあけて水切りし、肉重量に対し10重量%の片栗粉をまぶして、175℃の油で4分30秒揚げた。
官能評価は、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、肉のうま味及びから揚げの肉風味の向上効果並びに獣臭マスク効果について行い、評価結果は、対照に比べて、「顕著な効果がある;◎」、「効果がある;○」、「やや効果がある;△」として表した。なお、対照と比べて効果の認められない場合は空欄とした。
官能評価結果を表9に示した。
表9に示されるように、食肉に対して0.0115ppm又は0.0575ppmのアドバンテームが添加された鶏もも肉のから揚げでは、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感及び肉のうま味において、顕著な向上効果が認められた。
実施例8:ソーセージにおけるアドバンテームの添加効果(1)
食肉加工品として、次の通りソーセージ(高級品)を調製し、5名のパネラーによる風味の官能評価に供した。
(1)表10に示す量の豚ウデ赤身肉及び豚背油を混合し、目の細かさ=6.2mmのひき肉とした。
(2)表10に示す量の食塩を加えて、ニーダーにて混合し、5℃で一晩静置した。
(3)表10に示す量の大豆タンパクと、重合リン酸製剤からグルタミン酸ナトリウムまでの調味料成分及び冷水を加えて、ニーダーにて混合した。
(4)300gずつに小分けし、表10に示す量のホワイトペッパーを添加して混合した。
(5)手作りソーセージキットにて水戻しした羊腸に充填してひねり、60℃、湿度=65%にて30分、次いで60℃、湿度=75%にて10分、さらに75℃、湿度=100%にて30分加熱した。
(6)流水にて10分冷却した。
官能評価は、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、肉のうま味及び肉風味の向上効果並びに獣臭マスク効果について行い、評価結果は、対照に比べて、「顕著な効果がある;◎」、「効果がある;○」、「やや効果がある;△」として表した。なお、対照と比べて効果の認められない場合は空欄とした。
官能評価結果を表11に示した。
表11に示されるように、アドバンテームが添加されたソーセージでは、対照に比べて、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感及び肉のうま味において向上効果が認められ、特に、脂の自然な甘み、濃厚感及びジューシー感の顕著な向上が認められた。
実施例9:ソーセージにおけるアドバンテームの添加効果(2)
食肉加工品として、次の通りソーセージ(低価格品)を調製し、5名のパネラーによる風味の官能評価に供した。
(1)冷凍の豚ウデ赤身肉を解凍し、筋や脂を除去して2cm角にカットし、冷凍の豚脂を解凍して、同様にカットした。鶏のひき肉(CCM(Comminuted Chicken Meat))も事前に解砕した。次いで、前記豚ウデ赤味肉、豚脂及びCCMを、表12に示す量混合し、目の細かさ=5.0mmのひき肉とした。
(2)表12に示す量の食塩を加えて、ニーダーにて3分混合した。
(3)表12に示す量の重合リン酸製剤からホワイトペッパーまでの調味料成分を加えて、ニーダーにて3分混合した。
(4)1,000gずつに小分けし、表12に示す量のタピオカ澱粉、大豆タンパク及び水を添加して、ホバートミキサーにて2速(中程度の速さ)で1分混合した。
(5)21mm径のコラーゲンケーシングにスタッファーにて充填し、60℃、湿度=65%にて30分、次いで60℃、湿度=75%にて10分、さらに75℃、湿度=100%にて30分加熱した。
(6)流水にて10分冷却した。
官能評価は、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、肉のうま味及び肉風味の向上効果並びに獣臭マスク効果について行い、評価結果は、対照に比べて、「顕著な効果がある;◎」、「効果がある;○」、「やや効果がある;△」として表した。なお、対照と比べて効果の認められない場合は空欄とした。
官能評価結果を表13に示した。
表13に示されるように、アドバンテームが添加されたソーセージでは、対照に比べて、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感及び肉のうま味の顕著な向上が認められた。
従って、低価格品のソーセージであっても、アドバンテームを添加することにより、脂の自然な甘み、濃厚感、ジューシー感、肉のうま味といった風味が向上することが示された。
本発明によれば、食肉の風味を向上させることができるので、ハンバーグ等をはじめとする風味のよい食肉加工品を提供することができ、食品分野において極めて有用である。
また、本発明により、食肉又は食肉加工品の風味を向上させることができ、食品分野において有用な風味向上剤を提供することができる。
本出願は、日本国で出願された特願2014−145521を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (14)

  1. N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステルが食肉又は食肉由来の固形分に対して0.0001ppm〜10ppm含有されることを特徴とする、食肉又は食肉加工品。
  2. N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステルの含有量が0.001ppm〜5ppmである、請求項1に記載の食肉又は食肉加工品。
  3. 食肉又は食肉加工品が鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、請求項1又は2に記載の食肉又は食肉加工品。
  4. 食肉又は食肉加工品が魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、請求項1又は2に記載の食肉又は食肉加工品。
  5. N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステルを食肉又は食肉由来の固形分に対して0.0001ppm〜10ppm添加することを特徴とする、食肉又は食肉加工品の製造方法。
  6. N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステルの添加量が0.001ppm〜5ppmである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 食肉又は食肉加工品が鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 食肉又は食肉加工品が魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、請求項5又は6に記載の製造方法。
  9. N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステルを含有する、食肉又は食肉加工品の風味向上剤。
  10. 食肉又は食肉加工品が、鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、請求項9に記載の風味向上剤。
  11. 食肉又は食肉加工品が、魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、請求項9に記載の風味向上剤。
  12. N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステルを食肉又は食肉由来の固形分に対して0.0001ppm〜10ppm添加することを特徴とする、食肉又は食肉加工品の風味向上方法。
  13. 食肉又は食肉加工品が、鳥獣畜肉の食用となる肉部又はその加工品である、請求項12に記載の風味向上方法。
  14. 食肉又は食肉加工品が、魚介類の食用となる肉部又はその加工品である、請求項12に記載の風味向上方法。
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