以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1乃至図11は、本発明に係る板ガラスの製造方法及び製造装置の一実施形態を示す。
製造装置1は、予め略円形に形成された板ガラス2に対し、その外周部3に所定の加工(例えば研削加工)を施し、ノッチと呼ばれる切欠き部4を形成し、さらに外周部3及び切欠き部4に研磨加工を施すものを例示するが、これに限定されるものではない。本実施形態において、半導体ウェハの支持部材として使用される板ガラス2を例示するが、この用途に限定されるものではない。
製造装置1は、図1及び図2に示すように、加工用の板ガラス2を保持する保持ステーション5と、保持ステーション5から移載される板ガラス2の外周部3に加工を施すための第1加工ステーション6と、第1加工ステーション6により加工された板ガラス2に切欠き部4を形成する第2加工ステーション7と、切欠き部4の研磨を行う第1研磨ステーション8と、板ガラス2の外周部3を研磨する第2研磨ステーション9及び第3研磨ステーション10と、板ガラス2を移載する移載装置11と、上記の各構成要素の制御を実行する制御装置12と、を備える。なお、図1では、移載装置11の図示を省略している。
保持ステーション5は、複数の板ガラス2を積載する保持台5aと、この保持台5aに積載される板ガラス2の位置ずれを防止するガード部5bと、保持台5aを昇降させる昇降装置5cと、保持台5aに保持される板ガラス2の外周部3に接触可能な第1係止部材5dと、保持台5aに積載される板ガラス2の上面に接触可能な第2係止部材5eと、を備える。
保持台5aは、図2に示すように、略円形に構成される複数の板ガラス2を積載した状態で保持する。保持台5aに積載される複数の板ガラス2は、上から一枚ずつ移載装置11によって第1加工ステーション6へと移載される。
板ガラス2は、保持台5aに積載される際に帯電する場合がある。板ガラス2の帯電は、大気中に存在するダストを引き寄せることから、可能な限り低減させることが望ましい。このため、図2に示すように保持台5aは接地されている。
ガード部5bは、長尺状の円柱部材からなるアライメントである。本実施形態では、複数(図例では4個)のガード部5bが保持台5aの周囲に設置されている。各ガード部5bは、保持台5aに対して接近・離反可能に構成されている。ガード部5bは、保持台5aに積載される複数の板ガラス2が所定位置から大きくはみ出さないように、板ガラス2の所定位置から所定間隔を隔てた位置まで接近する。
昇降装置5cは、保持台5aの下方側に位置し、積載されている板ガラス2が移載される度に、次の板ガラス2を移載するために、保持台5aを上昇させる。
第1係止部材5dは、保持台5aに積載される板ガラス2のうち、最上部に位置する板ガラス2が移載される際に、この最上部の板ガラス2の下側に位置する2番目の板ガラス2の外周部3に接触してこれを係止する。第1係止部材5dは、板ガラス2の外周部3を係止する係止部(以下「第1係止部」という)13と、この第1係止部13を動作させるアクチュエータ14とを備える。第1係止部13は、アクチュエータ14により水平方向に進退自在に構成される。第1係止部13は、保持台5aに積載されている板ガラス2の外周部3から離れた位置(以下「待機位置」という)と、2番目の板ガラス2に係る外周部3に接触してこれを係止する位置(以下「係止位置」という)とに位置変更可能に構成される。
アクチュエータ14は、例えば空気圧又は液圧シリンダ装置により構成されるが、これに限定されず、他の各種アクチュエータを使用できる。アクチュエータ14は、ピストンロッド14aとシリンダ14bとを備える。ピストンロッド14aは、シリンダ14bに保持されるとともに、横方向(水平方向)に対して往復移動可能に構成される。第1係止部13はピストンロッド14aの先端部に固定されている。第1係止部13は、ピストンロッド14aの動きに応じて、板ガラス2の外周部3に接近・離反可能に構成される。
第2係止部材5eは、板ガラス2の上面を係止する係止部(以下「第2係止部」という)15と、この第2係止部15を動作させるアクチュエータ16とを備える。
第2係止部15は、アクチュエータ16により上下方向に進退自在に構成される。第2係止部15は、保持台5aに積載されている板ガラス2の上方で待機する位置(以下「待機位置」という)と、板ガラス2の上面に接触してこれを係止する位置(以下「係止位置」という)とに位置変更可能に構成される。
アクチュエータ16は、例えば空気圧又は液圧シリンダ装置により構成されるが、これに限定されず、他の各種アクチュエータを使用できる。アクチュエータ16は、ピストンロッド16aとシリンダ16bとを備える。ピストンロッド16aは、シリンダ16bに保持されるとともに、上下方向(Z軸方向)に対して往復移動可能に構成される。第2係止部15は、ピストンロッド16aの先端部に固定されている。第2係止部15は、ピストンロッド16aの動きに応じて、板ガラス2の上面に接近・離反可能に構成される。
第1加工ステーション6は、板ガラス2が載置される支持台(定盤)6aと、支持台6aに載置された板ガラス2の位置ずれを防止するガード部6bと、板ガラス2を加工する加工具(以下「第1加工具」という)6cとを備える。
支持台6aは、図1に示すように、板ガラス2よりも面積が小さい略円形の支持面17を有する。支持面17は、板ガラス2を固定するための吸着口18を有し、この吸着口18には図示しない真空ポンプが接続されている。板ガラス2は、真空ポンプの動作により、吸着口18に吸着されることで、支持面17に固定される。また、支持台6aは、この支持台6aを回転(自転)させる駆動装置(図示せず)を有する。第1加工ステーション6は、板ガラス2が支持台6aに固定された後に、駆動装置によってこの支持台6aを回転させながら、第1加工具6cによってこの板ガラス2を所定の形状に加工する。
ガード部6bは、複数(図例では4個)のアライメントにより構成される。各ガード部6bは、支持台6aに対して接近・離反可能に構成される。ガード部6bは、支持台6aに載置される板ガラス2が所定の位置から大きくはみ出さないように、板ガラス2の所定位置から所定間隔を隔てた位置まで接近する。板ガラス2は、ガード部6bが接近した後に支持台6aに固定され、第1加工具6cにより加工される。なお、支持台6aとともに板ガラス2を回転させながら加工する際に、ガード部6bが板ガラス2へ接触して過剰な摩擦力を生じる場合には、ガード部6bを予め離反状態にして当該加工を行うことが好ましい。一方、例えば、支持台6aにおいて板ガラス2を安定して支持することが困難であり、且つガード部6bが板ガラス2へ接触しても板ガラス2が変形したり撓んだりしない場合には、ガード部6bを接近状態にしたまま上記加工を行っても良い。
第1加工具6cは、回転(自転)可能な一対の切削工具又は研削工具を含む。本実施形態では、第1加工具6cは、板ガラス2における外周部3の面取り加工を行う研削砥石であるが、これに限定されるものではない。第1加工具6cは、支持台6aに載置された板ガラス2に対して接近・離反可能に構成される。
第1加工ステーション6は、板ガラス2を支持台6aに固定し、ガード部6bを板ガラス2に接近させた後、駆動装置によって支持台6aを回転させつつ、第1加工具7cにより、外周部3の全周に研削加工を施す。
第2加工ステーション7は、板ガラス2が載置される支持台7aと、支持台7aに載置された板ガラス2の位置ずれを防止するガード部7bと、板ガラス2に切欠き部4を形成する加工具(以下「第2加工具」という)7cとを有する。
支持台7aは、図1に示すように、板ガラス2よりも面積が小さい略円形の支持面19を有する。支持面19は、板ガラス2を固定するための吸着口20を有し、この吸着口20には図示しない真空ポンプが接続されている。板ガラス2は、真空ポンプの動作により、吸着口20に吸着されることで、支持面19に固定される。また、支持台7aには、この支持台7aを水平方向(図1におけるX軸又はY軸の方向)に移動させる駆動装置(図示せず)が設けられている。第2加工ステーション7は、この駆動装置によって第2加工具7cに対する支持台7aの位置を調節することができる。
ガード部7bは、複数(図例では4個)のアライメントにより構成される。ガード部7bは、支持台7aに載置される板ガラス2が所定位置から大きくはみ出さないように、板ガラス2の所定位置から所定間隔を隔てた位置まで接近する。板ガラス2は、ガード部7bが接近した後に支持台7aに固定され、第2加工具7cにより加工される。なお、板ガラス2が第1加工具7cにより加工されている最中に、板ガラス2を支持台7aにおいて安定して吸着支持できる場合、ガード部7bを離反状態として当該加工を行うことが好ましい。一方、板ガラス2が第1加工具7cにより加工されている最中に、板ガラス2を支持台7aにおいて安定して吸着支持困難である場合等には、ガード部7bを接近状態として当該加工を行っても良い。
第2加工具7cは、回転可能な一つの切削工具を有するが、これに限定されるものではない。第2加工具7cは、支持台7aに載置された板ガラス2に対して接近・離反可能に構成され得るが、所定の位置に固定されていてもよい。
第2加工ステーション7は、板ガラス2を支持台7aに固定し、ガード部7bを板ガラス2に接近させた後、駆動装置によってこの支持台7aを移動させつつ、第2加工具7cによって板ガラス2の外周部3における所定の位置に切欠き部4を形成する。
第1研磨ステーション8は、板ガラス2を支持する支持台8aと、板ガラス2に形成された切欠き部4を研磨する研磨具(以下「第1研磨具」という)8bとを備える。
支持台8aは、図1に示すように、板ガラス2よりも面積が小さい円形の支持面21を有する。支持面21は、板ガラス2を固定するための吸着口22を有し、この吸着口22には図示しない真空ポンプが接続されている。板ガラス2は、真空ポンプの動作により、吸着口22に吸着されることで、支持面21に固定される。また、支持台8aは、図3の実線及び二点鎖線で示すように板ガラス2を回動(傾動)させるべく、図示しない駆動装置によって回動(揺動)自在に構成される。
本実施形態では、第1研磨具8bとして、研磨面を有するテープ(研磨テープ)が使用され得るが、これに限定されず、砥石その他のものを使用できる。図4に示すように、第1研磨具8bは、駆動装置23に装着されている。駆動装置23は、第1研磨具8bを支持する複数の支持ローラ24a〜24fと、各支持ローラ24a〜24fを支持するヘッド部25とを備える。
本実施形態において、駆動装置23は、6個の支持ローラ(以下「第1支持ローラ」乃至「第6支持ローラ」という)24a〜24fを含むが、その数はこれに限定されない。 第1支持ローラ24a及び第2支持ローラ24bは、所定の間隔をおいて配置されるフリーローラである。第1研磨具8bは、この第1支持ローラ24aと第2支持ローラ24bとの中間位置にて板ガラス2に対する研磨を行う。第3支持ローラ24c乃至第6支持ローラ24fは、所定の方向に往復移動することにより、第1研磨具8bであるテープを往復動させることができる。
図4(a)に示すように、ヘッド部25は、ヘッド部本体21aと、このヘッド部本体21aに支持されるとともに、所定の方向に往復動可能なスライド体25bとを備える。ヘッド部本体21aは、スライド体25bの他、第1支持ローラ24aと第2支持ローラ24bとを回転可能に支持している。
スライド体25bは、第3支持ローラ24c乃至第6支持ローラ24fを回転可能に支持する。スライド体25bに支持されるこれらの支持ローラ24c〜24fのうち、第3支持ローラ24c及び第6支持ローラ24fはフリーローラとして構成される。第4支持ローラ24d及び第5支持ローラ24eは、スライド体25bに設けられるモータ等の駆動部(図示せず)により駆動されるもの(駆動ローラ)である。
スライド体25bは、所定の方向(図4において符号Aで示す方向)に往復動することで、第1支持ローラ24aと第2支持ローラ24bとの間に位置する第1研磨具8bを往復動させる。スライド体25bの移動中は、第4支持ローラ24d及び第5支持ローラ24eが第1研磨具8bを係止する。これにより、第1研磨具8bは、板ガラス2の切欠き部4を好適に研磨できる。
また、ヘッド部25は、図4(b)(c)の実線及び二点鎖線で示すように、その姿勢を所定の傾斜角度に変更(傾動)可能に構成される。ヘッド部25は、この傾動により、第1研磨具8bの板ガラス2に対する角度を変更させる。
なお、第1研磨具8bは、図示しない送り機構(巻取り機構)により、各支持ローラ24a〜24fに支持されながら、所定の方向(図4において符号Bで示す方向)に搬送される。
第1研磨具8bとしてのテープは、上記の往復動、及びヘッド部25の傾動による角度変更により、板ガラス2の切欠き部4を三次元的に研磨することができる。
また、上述のように支持台8aを傾動させることにより、板ガラス2に形成された切欠き部4の全範囲を研磨することが可能になる。以下、図5を参照しながら、第1研磨ステーション8の動作について詳細に説明する。なお、板ガラス2の切欠き部4は、第1のR面26と、一対の第2のR面27と、第1のR面26及び第2のR面27の間に形成される一対のテーパ面28とを有する。第1研磨ステーション8は、これらの全ての面を研磨することができる。
具体的には、まず図5(a)に示すように、切欠き部4の一方のテーパ面28と第1研磨具8b(テープ)が向き合う位置に切欠き部4を配置し、第1研磨具8bをこのテーパ面28及びこれに連続する第1のR面26に接触させる。その後、第1研磨具8bの往復動を伴う研磨加工を開始すると共に、ヘッド部25及び板ガラス2を所定の角速度で傾動させる。そして、図5(b)に示すように、第1研磨具8bが第1のR面26と向き合う位置、次いで図5(c)に示すように第1研磨具8bが他方のテーパ面28と向き合う位置まで板ガラス2を傾動させつつ、第1研磨具8bの往復動を伴う研磨加工を継続することで、切欠き部4の側端面全域に研磨加工を施す。
第2研磨ステーション9は、板ガラス2を支持する支持台9aと、板ガラス2の外周部3を研磨する研磨具(以下「第2研磨具」という)9bとを備える。
支持台9aは、第1加工ステーション6の支持台6aと同じように、回転可能に構成される。また、支持台9aは、板ガラス2よりも面積が小さい略円形の支持面29を有する。支持面29は、板ガラス2を固定するための吸着口30を有し、この吸着口30には図示しない真空ポンプが接続されている。板ガラス2は、真空ポンプの動作により、吸着口30に吸着されることで、支持面29に固定される。また、支持台9aは、この支持台9aを回転(自転)させる駆動装置(図示せず)を有する。
第2研磨具9bは、第1研磨具8bと同様に、研磨面を有するテープにより構成される。より具体的には、第2研磨具9bは、板ガラス2を挟むように対向配置される一対のテープを含む(図1参照)。各第2研磨具9bは、第1研磨具8bと同様な駆動装置及び送り機構(いずれも図示せず)により、その姿勢を傾斜させるとともに、往復動により板ガラス2の研磨を行う。また、第2研磨具9bは、支持台9aに対して接近・離反可能に構成される。第2研磨具9bとしてのテープの幅は、第1研磨具8bとしてのテープの幅よりも大きく(幅広)になっている。第2研磨具9bは、主として板ガラス2における外周部3の端面を研磨する。第2研磨具9bは、切欠き部4の一部又は全部を補助的に研磨でき、あるいは、切欠き部4を除く外周部3を研磨できる。
第2研磨ステーション9は、板ガラス2を支持台9aに固定した後、支持台9aを回転させながら、第2研磨具9bにより板ガラス2における外周部3の端面に研磨加工を施す。
第3研磨ステーション10は、第2研磨ステーション9と同型のものが使用される。第3研磨ステーション10は、第2研磨ステーション9と同様な構成の支持台10a及び研磨具(以下「第3研磨具」という)10bを備える。第2研磨ステーション9と同様に、第3研磨ステーション10の支持台10aは、支持面31、吸着口32を有する。
第3研磨ステーション10は、第2研磨ステーション9と同様に、板ガラス2を支持台10aに固定した後、支持台10aを回転させながら、第3研磨具10bにより板ガラス2における外周部3の端面に研磨加工を施す。
移載装置11は、保持ステーション5から第1加工ステーション6へと板ガラス2を移載する第1移載装置33、第1加工ステーション6から第2加工ステーション7へと板ガラス2を移載する第2移載装置34、第2加工ステーション7から第1研磨ステーション8へと板ガラス2を移載する第3移載装置35、第1研磨ステーション8から第2研磨ステーション9へと板ガラス2を移載する第4移載装置36、第2研磨ステーション9から第3研磨ステーション10へと板ガラス2を移載する第5移載装置37、及び第3研磨ステーション10から板ガラス2を搬出する第6移載装置38を備える。
図2に示すように、各移載装置33〜38は、支持フレーム39を介して一体に連結されている。支持フレーム39は、各移載装置33〜38が板ガラス2を移載することができるように、水平方向に対して往復移動可能に構成されている。各移載装置33〜38は、板ガラス2を等ピッチで移載するように、等間隔で支持フレーム39に支持されている。
第1移載装置33は、本体部33aと、この本体部33aに設けられる吸着装置33bと、この吸着装置33bの一部を上下動させる昇降装置33cとを備える。本体部33aは、その上部が支持フレーム39に固定されている。本体部33aは、昇降装置33cを介して吸着装置33bを支持している。
吸着装置33bは、金属製の吸着パッド40と、この吸着パッド40に接続される真空ポンプ41と、吸着パッド40に板ガラス2が吸着されたことを検知するセンサ42とを有する。吸着パッド40は、昇降装置33cによって上下動自在に構成される。この吸着パッド40は、板ガラス2に対する接触部に、ゴム等の弾性体(図示せず)を有する。真空ポンプ41は、本体部33aに内蔵されており、図示しない接続配管を介して吸着パッド40に接続されている。これに限らず、真空ポンプ41は、本体部33aの外側に設けられていてもよい。センサ42は、吸着パッド40の内部における圧力(負圧)を検出するように、吸着パッド40に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、センサ42は、真空ポンプ41に組み込まれていてもよい。センサ42により検出された情報は、制御装置12に送信され得る。
昇降装置33cは、吸着パッド40を昇降させるロッド部43と、このロッド部43を駆動する駆動装置44とを備える。ロッド部43は、本体部33aの下部から下方に突出しており、その端部において吸着パッド40を支持している。駆動装置44は、ロッド部43を上下動させるように、本体部33aに内蔵されている。
第1移載装置33は、保持ステーション5と連動して、保持台5aに積載されている板ガラス2を第1加工ステーション6の支持台6aへと移載する。
以下、図6乃至図8を参照しながら、第1移載装置33の動作について説明する。まず、図6(a)及び図7(a)に示すように、保持ステーション5の保持台5aは、複数(5枚)の板ガラス2a〜2eを積載している。以下、最上部に位置する板ガラス2aを「第1の板ガラス」といい、第1の板ガラス2aの下側に位置する板ガラス2bを「第2の板ガラス」という。なお、以下では、説明の便宜上、複数の板ガラス2a〜2eを総称して板ガラス2の用語を使用する場合がある。また、図6では、保持ステーション5に係る保持台5a及び昇降装置5cの図示を省略しており、図7では、保持ステーション5に係るガード部5bの図示を省略している。
図6(a)に示すように、保持台5aの上方には、第1移載装置33の吸着パッド40が待機している。図7(a)に示すように、第1移載装置33は、昇降装置33cを作動させて、二点鎖線で示す位置にある吸着パッド40を下降させて、第1の板ガラス2aを吸着可能な位置(同図において実線で示す位置。以下「吸着位置」という)に移動させる。
この吸着位置では、吸着パッド40は、第1の板ガラス2aの上面から距離Lをおいて離間している。吸着パッド40が吸着位置に配置されると、第1移載装置33は、真空ポンプ41(図2参照)を作動させ、吸着パッド40から空気を吸引する。これにより、吸着パッド40は、第1の板ガラス2aを吸着可能な状態(吸引状態)となって、この吸着位置にて待機する。
図6(a)及び図7(a)に示すように、第1係止部材5dの第1係止部13は、第1の板ガラス2aの外周部3から離れた待機位置にある。また、第2係止部材5eの第2係止部15は、第1の板ガラス2aの上面から離れた待機位置にある。なお、第1係止部13は、上面13aと、下面13bと、上面13aと下面13bとの間に位置するとともに、少なくとも第2の板ガラス2bの外周部3に接触してこれを係止する係止面13cとを含む。係止面13cの上下方向における幅(上面13aと下面13bとの間隔)は、板ガラス2の厚みよりも大きい。また、第2係止部15は、第2の板ガラス2bの上面に接触可能な係止面15aを有する。係止面15aは、第1の板ガラス2aに対向するように、下方に向けられている。
また、図7(a)に示すように、加工初期において、保持台5aは、第1の板ガラス2aの上面と、第1係止部材5dに係る第1係止部13の上面13aとが上下方向において一致する(面一となる)ように、その上下方向の位置が調整される。これにより、第1の板ガラス2aに対する第1係止部13の位置合わせが行われる。
吸着パッド40の準備が完了すると、保持ステーション5は、昇降装置5cによって保持台5aを上昇させ、保持している第1の板ガラス2aを吸着パッド40に接近させる。保持ステーション5は、第1の板ガラス2aの上面を吸着パッド40に接触させるべく、保持台5aを距離Lだけ上方に移動させる。これにより、第1の板ガラス2aの上面が吸着パッド40に接触し、吸着パッド40はその吸引力によって、この第1の板ガラス2aの上面に密着する。そうすると、吸着パッド40の内部圧力が変化する。センサ42は、吸着パッド40内の圧力変化を検知し、第1移載装置33は、その検知信号を制御装置12に送信する。制御装置12は、この信号を受信すると、保持ステーション5に制御信号を送信し、その昇降装置5cを停止させる。これにより、保持台5aは、吸着パッド40が第1の板ガラス2aを吸着させた状態で、その位置に停止する(図6(b)及び図7(b)参照)。
保持台5aが停止すると、第1係止部材5dの第1係止部13は、係止位置に移動した際に、第1の板ガラス2aの外周部3に接触することなく、第2の板ガラス2bの外周部3に接触するように、上下方向において、第1の板ガラス2a及び第2の板ガラス2bに対して相対的に位置付けられる。以下、この点について図7(a)(b)を参照しながら説明する。
第1係止部13が第1の板ガラス2aの外周部3に接触せず、第2の板ガラス2bの外周部3に接触するには、その上面13aが、第1の板ガラス2aの下面又は第2の板ガラス2bの上面よりも下方に配置され、かつ、第2の板ガラス2bの下面よりも上方に配置される必要がある。
このため、各板ガラス2a〜2eの厚みをTとしたとき、加工開始初期、すなわち、第1回目の第1の板ガラス2aの移載に関しては、吸着位置にある吸着パッド40と第1の板ガラス2aとの離間距離L(図7(a)参照)、すなわち、保持台5aを上昇させる距離Lは、T<L<2Tとされることが好ましい。本実施形態では、L=1.5Tとした例を示している。これにより、第1の板ガラス2aの上面と一致するように配置された第1係止部13の上面13aは、保持台5aが距離Lだけ上昇したときに、第1の板ガラス2aの上面から相対的に下方に移動することになる。すなわち、第1係止部13の上面13aは、上下方向(Z軸方向)において、第2の板ガラス2bの上面と下面との間に位置することになる。
具体的には、図7(b)に示すように、第1係止部13の上面13aは、第2の板ガラス2bの厚さ方向における中心線X1とほぼ一致するように配置されることになる。さらに、第1係止部13の係止面13cは、第2の板ガラス2bの外周部3と上下方向において重なる(オーバラップする)ように配置される。したがって、第1係止部13を係止位置に移動させると、係止面13cは、第1の板ガラス2aの外周部3に接触することなく、第2の板ガラス2bの外周部3に接触する。
図6(c)及び図7(c)に示すように、保持ステーション5は、第1係止部材5dに係るアクチュエータ14の動作により、第1係止部13を待機位置から係止位置へと移動させる。これにより、第1係止部13の係止面13cは、第2の板ガラス2bの外周部3に接触する。この係止面13cは、第2の板ガラス2bの下側に位置する第3の板ガラス2c、さらにその下側に位置する第4の板ガラス2dにも接触し得る。
第1係止部13が第2の板ガラス2bに接触すると、第1移載装置33は、支持フレーム39の移動により、吸着パッド40を横方向(水平方向)に移動させる。そうすると、第1の板ガラス2aは、図6(d)及び図7(d)に示すように、その下面が第2の板ガラス2bの上面に接触した状態で、横方向にスライドする。このとき、第1係止部材5dの第1係止部13が第2の板ガラス2bの外周部3を係止するため、第2の板ガラス2bは、横方向に移動せず、第1の板ガラス2aのみがスライドする。第1の板ガラス2aが移動するにつれ、第2の板ガラス2bの上面が徐々に露出する。保持ステーション5は、第2係止部材5eのアクチュエータ16を作動させ、第2係止部15を待機位置から下降させる。これにより、第2係止部15の係止面15aは、係止位置にて第2の板ガラス2bの上面に接触する。
図6(e)及び図7(e)に示すように、第1移載装置33は、第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとが重なる部分を残した状態で、これらを上下方向に分離させる。具体的には、第1移載装置33は、図7(e)に示すように、第1の板ガラス2aを二点鎖線で示す位置までスライドさせる。このとき、第1の板ガラス2aは、図7(e)及び図8に示すように、その一部が第2の板ガラス2bの上面に接触したまま重なり合っている。この状態から、第1移載装置33は、駆動装置44を作動させてロッド部43を上方に移動させる。これにより、吸着パッド40が上昇し、第1の板ガラス2aは、第2の板ガラス2bから上方に離れる。これに限らず、保持台5aを下方に移動させることにより、あるいは、吸着パッド40を上方に移動させつつ保持台5aを下方に移動させることにより、第1の板ガラス2aの分離を行ってもよい。
上記のような吸着パッド40と保持台5aとの上下方向における相対的な移動は、第1の板ガラス2aが第2の板ガラス2bの中心位置と重ならない位置までスライドしたときに行うことが望ましい。すなわち、図7(e)に示すように、第1の板ガラス2aの外周部3が第2の板ガラス2bの中心O(同図において第2の板ガラス2bの中心線X2と共に示す)から離れたときに、吸着パッド40を上昇させることが望ましい。また、第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとが重なり合う部分(図8においてクロスハッチングで示す部分)の面積は、板ガラス2に係る表面積の16%以下とされることが望ましい。これにより、第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとの間の密着力を十分に低減させることができ、第1の板ガラス2aを第2の板ガラス2bから容易に分離させることができる。
吸着パッド40が保持台5aから離れると、保持ステーション5は、図6(f)及び図7(f)に示すように、第1係止部材5dの第1係止部13及び第2係止部材5eの第2係止部15を係止位置から待機位置へと戻し、これらによる第2の板ガラス2bの係止を解除する。
また、第1移載装置33は、支持フレーム39の移動に伴って、横方向に移動し、吸着パッド40を第1加工ステーション6に係る支持台6aの上方位置に配置する(図示せず)。その後、第1移載装置33は、昇降装置33cを作動させて吸着パッド40を下降させ、保持している第1の板ガラス2aを支持台6aの支持面17に載置する。支持台6aの吸着口18の作用により、支持面17に第1の板ガラス2aが固定されると、第1移載装置33は、吸着装置33bによる第1の板ガラス2aの吸着を解除した後、昇降装置33cを作動させて吸着パッド40を上昇させる。その後、第1移載装置33は、支持フレーム39の移動により、保持ステーション5の上方位置へと移動する。
図6(f)及び図7(f)に示すように、第1の板ガラス2aが第1加工ステーション6へと移載されることにより、第2の板ガラス2bは、残りの板ガラス2b〜2eのうちで最上部に位置することになり、次に移載されるべき第1の板ガラス2aとなる。また、第2の板ガラス2bの下側に位置する第3の板ガラス2cが、次回の移載時における第2の板ガラス2bとなる。
以後、第2回目以降の第1の板ガラス2aの移載では、吸着位置にある吸着パッド40と、第1の板ガラス2aとの離間距離L(図示せず)は、各板ガラス2a〜2eの厚みTと同じになる(L=T)。したがって、第2回目以降の第1の板ガラス2aの移載では、保持ステーション5は、板ガラス2の厚みTに相当する距離だけ保持台5aを上昇させ、第1の板ガラス2aを吸着パッド40に吸着させる。すなわち、加工初期(第1回目)の第1の板ガラス2aの移載の場合には、第1係止部材5dの第1係止部13の第1の板ガラス2aに対する位置合わせを行う必要があり、L=1.5Tに設定していたが、第2回目以降の第1の板ガラス2aの移載には、再度の位置合わせは不要であり、保持台5aを板ガラス2の厚みTに相当する距離だけ上昇させることで、第1係止部13を所期の係止位置に配置できる。
第2移載装置34は、本体部34aと、この本体部34aに設けられる吸着装置34bと、この吸着装置34bの一部を上下動させる昇降装置34cとを備える。
本体部34aは、その上部が支持フレーム39に固定されている。本体部34aは、昇降装置34cを介して吸着装置34bを支持している。吸着装置34bは、ゴム等の弾性体からなる吸着パッド45と、この吸着パッド45に接続される真空ポンプ46とを有する。吸着パッド45は、昇降装置34cによって上下動自在に構成される。真空ポンプ46は、本体部34aに内蔵されており、図示しない接続配管を介して吸着パッド45に接続されている。昇降装置34cは、吸着パッド45を昇降させるロッド部47と、このロッド部47を駆動する駆動装置48とを備える。ロッド部47は本体部34aの下部から下方に突出しており、その端部において吸着パッド45を支持している。駆動装置48は、ロッド部47を上下動させるように、本体部34aに内蔵されている。
第3移載装置35乃至第6移載装置38は、第2移載装置34と同型のものであり、第2移載装置34と同様に、本体部35a〜38a、吸着装置35b〜38b及び昇降装置35c〜38cを備える(図2参照)。第3移載装置35乃至第6移載装置38の各本体部35a〜38aは、その上部が支持フレーム39に固定されている。各本体部35a〜38aは、各昇降装置35c〜38cを介して各吸着装置35b〜38bを支持している。各吸着装置35b〜38bは、ゴム等の弾性体からなる吸着パッド45と、この吸着パッド45に接続される真空ポンプ46とを有する。各昇降装置35c〜38cは、吸着パッド45を昇降させるロッド部47と、このロッド部47を駆動する駆動装置48とを備える。
以下、第2移載装置34乃至第6移載装置38の動作について、図9を参照しながら説明する。この図9では、第3移載装置35が、第2加工ステーション7から第1研磨ステーション8へと板ガラス2を移載する場合を例示する。
まず、図9(a)に示すように、第2加工ステーション7による加工が終了すると、第3移載装置35は、この第2加工ステーション7における支持台7aの上方位置に待機する吸着パッド45を下降させ、板ガラス2に接触させる(図9(a)において二点鎖線で示す)。なお、第3移載装置35は、吸着装置35bの真空ポンプ46を始動させており、吸着パッド45は吸引状態となっている。このとき、第2加工ステーション7は、支持台7aの吸着口20により板ガラス2を吸着させ続ける。支持台7aは、吸着パッド45が板ガラス2を保持可能なまでに吸着した後に、吸着口20による板ガラス2の吸着を解除させる。
その後、図9(b)において実線で示すように、第3移載装置35は、昇降装置35cによって吸着パッド45を上昇させ、板ガラス2を支持台7aから離間させる。その後、支持フレーム39が移動することにより、第3移載装置35は、図9(b)の二点鎖線で示すように、板ガラス2を第2加工ステーション7の上方位置から第1研磨ステーション8の上方位置まで移動させる。
図9(c)に示すように、第3移載装置35は、第1研磨ステーション8の上方位置に移動すると、昇降装置35cを作動させて吸着パッド45を下降させる。これにより、板ガラス2は、第1研磨ステーション8の支持台8aに接近する。昇降装置35cは、板ガラス2が支持台8aの支持面21に接触する位置で、下降させていた吸着パッド45を停止させる(図9(c)において二点鎖線で示す)。板ガラス2が支持面21に接触すると、第3移載装置35は、吸着パッド45による板ガラス2の保持を継続させつつ、支持台8aの吸着口22に板ガラス2を吸着させる。この吸着により板ガラス2が支持面21に固定されると、制御装置12は、第3移載装置35の吸着装置35bによる板ガラス2の吸着を解除させる。
その後、昇降装置35cの動作により、吸着パッド45が上昇して板ガラス2から離間する(図9(c)において実線で示す)。吸着パッド45が待機位置へと戻ると、支持フレーム39の移動により、第3移載装置35は再び第2加工ステーション7の上方位置へと移動する。このようにして、第3移載装置35は、第2加工ステーション7から第1研磨ステーション8への板ガラス2の移載を繰り返す。
第3移載装置35以外の第2移載装置34、第4移載装置36乃至第6移載装置38についても同様に、第1加工ステーション6から第2加工ステーション7、第1研磨ステーション8から第2研磨ステーション9、第2研磨ステーション9から第3研磨ステーション10、そして第3研磨ステーション10から次工程へと板ガラス2が繰り返し移載される。
図10は、制御装置12の機能ブロック図を示す。制御装置12は、例えばCPU、ROM、RAM、HDD、モニタ、入出力インターフェース等の各種ハードウェアを実装するコンピュータ(例えばPC)を含む。図10に示すように、制御装置12は、CPUにより構成されるとともに各種の演算処理を実行する演算処理部49と、保持ステーション5、第1加工ステーション6、第2加工ステーション7、第1研磨ステーション8乃至第3研磨ステーション10、及び移載装置11の制御を実行する装置制御部50と、ROM、RAM、HDD等により構成されるとともに、上記の各構成要素の制御に必要なプログラムを記憶する記憶部51とを備える。これらの要素はバス(図示せず)により相互に接続されている。また、装置制御部50は、第1移載装置33の吸着装置33bに係るセンサ42からの信号を受信して、保持ステーション5に係る昇降装置5cを制御することにより、吸着パッド40が第1の板ガラス2aを吸着したときに、上昇している保持台5aを停止させる。
演算処理部49は、記憶部51に格納されている各プログラムに基づいて、保持ステーション5に係る保持台5aの移動距離に係る演算、第1加工ステーション6及び第2加工ステーション7に係る各加工具6c,7cの回転速度、トルク等に係る演算、第1研磨ステーション8に係る第1研磨具8b乃至第3研磨具10bの送り速度や傾斜角度に係る演算を実行する。また、演算処理部49は、第1加工ステーション6、第2研磨ステーション9及び第3研磨ステーション10に係る支持台6a,9a,10aの回転速度の演算などを実行する。
装置制御部50は、演算処理部49と協働して、保持ステーション5における昇降装置5cの駆動制御、各ガード部5b〜7bの駆動制御、第1係止部材5d及び第2係止部材5eに係る各アクチュエータ14,16の駆動制御、第1加工ステーション6及び第2加工ステーション7に係る各加工具6c,7cの始動・停止及び回転速度の制御を実行する。また、装置制御部50は、第1加工ステーション6に係る支持台6aの回転駆動制御、第2加工ステーション7及び第1研磨ステーション8に係る各支持台7a,8aの移動制御、第1研磨ステーション8に係る第1研磨具8bの駆動制御、第1研磨ステーション8乃至第3研磨ステーション10に係る各研磨具8b、9b,10bの搬送制御、各支持台6a〜10aに係る板ガラス2の吸着、及び移載装置11(29〜34)の制御などを実行する。
記憶部51は、保持ステーション5、第1加工ステーション6、第2加工ステーション7、第1研磨ステーション8乃至第3研磨ステーション10、及び移載装置11の制御を実行するための各種プログラムを記憶している。
図11は、板ガラス2の製造方法に係るフローチャートを示す。以下、上記構成の製造装置1を用いて板ガラス2を製造(加工)する方法について図11を参照しながら説明する。
まず、加工用の板ガラス2が保持ステーション5に保持される(S1:保持工程)。この保持工程S1では、予め略円形に切断された複数の板ガラス2が保持ステーション5の保持台5aに積載される。保持ステーション5は、積載された板ガラス2の外周部3にガード部5bを接近させる。
保持工程S1が終了すると、保持ステーション5、第1移載装置33、及び制御装置12が連動し、保持台5aに積載されている板ガラス2が第1加工ステーション6へと移載される(S2:第1移載工程)。
この第1移載工程S2では、図6及び図7を参照して既に説明したように、第1移載装置33の吸着パッド40を吸着位置に設置して待機させる工程(図6(a)及び図7(a)参照)、保持ステーション5の保持台5aを上昇させて、第1の板ガラス2aを吸着パッド40に接触・吸着させる工程(図6(b)及び図7(b)参照)が実行される。その後、第1係止部材5dの第1係止部13を第2の板ガラス2bの外周部3に接触させて係止する工程(図6(c)及び図7(c)参照)、第1の板ガラス2aを横方向にスライドさせる工程(図6(d)及び図7(d)参照)、第2係止部15を第2の板ガラス2bの上面に接触させて係止する工程が実行される。さらに、スライドさせた第1の板ガラス2aを上方に移動させて第2の板ガラス2bから離間させる工程(図6(e)及び図7(e)参照)、そして、第1係止部材5dの第1係止部13及び第2係止部材5eの第2係止部15による第2の板ガラス2bの係止を解除する工程(図6(f)及び図7(f)参照)等が実行される。
第1加工ステーション6の支持台6aに板ガラス2が載置されると、第1加工ステーション6による板ガラス2の加工が行われる(S3:第1加工工程)。この第1加工工程S3では、制御装置12の制御により、支持台6aに係る吸着口18の吸着によって板ガラス2が支持面17に固定される。その後、一対の第1加工具6cが回転駆動されるとともに、支持台6aが回転を開始する。第1加工具6cは、板ガラス2の外周部3に接触してその研削(面取り加工)を実行する。
第1加工工程S3が終了すると、板ガラス2は、第2移載装置34によって、第1加工ステーション6から第2加工ステーション7へと移載される(S4:第2移載工程)。この第2移載工程S4では、第1加工ステーション6に係る支持台6aの固定を維持した状態で、第2移載装置34の吸着パッド45による板ガラス2の吸着が行われる。この吸着が完了すると、制御装置12の制御により、第1加工ステーション6の支持台6aによる板ガラス2の吸着が解除される。第2移載装置34の吸着パッド45は、昇降装置34cの動作によって上昇し、板ガラス2を支持台6aから離間させる。
支持フレーム39の移動により、第2移載装置34は、第1加工ステーション6の上方位置から第2加工ステーション7の上方位置へと移動する。その後、第2移載装置34は、昇降装置34cによって吸着パッド45を下降させ、板ガラス2を第2加工ステーション7に係る支持台7aに載置する。支持台7aは、吸着パッド45による板ガラス2の吸着が維持された状態で、第2加工ステーション7に係る支持台7aの吸着口20の吸着によって板ガラス2をその支持面19に固定する。その後、第2移載装置34の吸着パッド45による板ガラス2の保持が解除され、第2移載装置34は、吸着パッド45を上昇させて待機位置へと戻し、第2移載工程S4を終える。
次に、第2加工ステーション7によって板ガラス2に切欠き部4が形成される(S5:第2加工工程)。この第2加工工程S5では、上述の支持台7aによる板ガラス2の固定を経た後、支持台7aを第2加工具7cに向かって移動させ、板ガラス2を回転中の第2加工具7cに接触させる。第2加工ステーション7は、この第2加工具7cによって板ガラス2の外周部3に切欠き部4を形成する。
第2加工工程S5が終了すると、板ガラス2は、第3移載装置35によって第2加工ステーション7から第1研磨ステーション8へと移載される(S6:第3移載工程)。この第3移載工程S6については、図9を参照して既に説明した通りである。
第3移載工程S6により、第1研磨ステーション8に係る支持台8aの支持面21に板ガラス2が固定されると、第1研磨具8bによって、板ガラス2の切欠き部4の研磨が行われる(S7:第1研磨工程)。この第1研磨工程S7では、制御装置12の制御によって、支持台8aを回動させるとともに、第1研磨具8bであるテープによって、切欠き部4の第1のR面26、第2のR面27及びテーパ面28に対して研磨が施される。
第1研磨工程S7が終了すると、板ガラス2は、第4移載装置36によって、第1研磨ステーション8から第2研磨ステーション9へと移載される(S8:第4移載工程)。この第4移載工程S8では、第4移載装置36は、第1研磨ステーション8の支持台8aに固定されている板ガラス2を、吸着パッド45により保持するとともに、第2研磨ステーション9の支持台9aへと移載する。
第2研磨ステーション9の支持台9aに板ガラス2が固定されると、第2研磨具9bによって板ガラス2の外周部3に研磨が施される(S9:第2研磨工程)。この第2研磨工程S9では、支持台9aの吸着口30によって板ガラス2を支持面29に固定した後、この支持台9aを回転させながら、第2研磨具9bによって板ガラス2の外周部3に研磨が施される。
第2研磨工程S9が終了すると、板ガラス2は、第5移載装置37によって、第2研磨ステーション9から第3研磨ステーション10へと移載される(S10:第5移載工程)。この第5移載工程S10では、第5移載装置37は、第2研磨ステーション9の支持台9aに固定されている板ガラス2を、吸着パッド45により保持するとともに、第3研磨ステーション10の支持台10aへと移載する。
第3研磨ステーション10の支持台10aに板ガラス2が固定されると、第2研磨工程S9と同じように、支持台10aが回転しながら、第3研磨具10bによって板ガラス2の外周部3に研磨が施される(S11:第3研磨工程)。
第3研磨工程S11が終了すると、板ガラス2は、第6移載装置38によって、第3研磨ステーション10から次工程へと移載される(S12:第6移載工程)。この第6移載工程S12では、第3研磨ステーション10の支持台10aにある板ガラス2を第6移載装置38の吸着パッド45によって保持し、この板ガラス2を支持台10aから離間させた後、次工程へと移送する。この際、板ガラス2は、図示しない保持台に保持され、又は、図示しない搬送装置によって次工程へと移送され得る。その後、板ガラス2は、その表面に研磨加工が施される(仕上げ工程)。以上によって、外周部3に切欠き部4が形成された略円形の板ガラス2が完成する。
以上説明した本実施形態に係る板ガラス2の製造方法及び製造装置1によれば、第1移載工程S2において、保持台5aに保持される第1の板ガラス2aの上面を、第1移載装置33に係る吸着パッド40に吸着させ、この吸着パッド40を横方向に移動させることにより、この第1の板ガラス2aを第2の板ガラス2bに接触させた状態でスライドさせることができる。第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとが全面的に密着した状態では、第1の板ガラス2aを第2の板ガラス2bから上方に分離させようとすると、多大な力を要することになり、第2の板ガラス2bから容易に剥離させることは非常に困難である。このため、本実施形態では、第1の板ガラス2aを第2の板ガラス2bに対してスライドさせ、第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとの接触面積を低減した後に、第1の板ガラス2aを上方に移動させて第2の板ガラス2bから分離させる。
したがって、この製造方法及び製造装置1によれば、第1の板ガラス2aの移載を容易に行うことができ、その効率を向上させて板ガラス2の製造コストを可及的に低減できる。さらに、製造装置1を大型化する必要もないため、製造装置1に係るコスト及びその設置スペースを抑えることも可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能 である。
上記の実施形態では、第1移載工程S2において、保持ステーション5の保持台5aを吸着位置に設けられた第1移載装置33の吸着パッド40に向かって上昇させることにより、第1の板ガラス2aをこの吸着パッド40に吸着させる例を示したが、これに限定されない。図12に示すように、保持台5aを所定の位置に配置するとともに、吸着パッド40を保持台5aの上方位置(二点鎖線で示す)から下方に移動させることによって、第1の板ガラス2aを吸着パッド40に吸着させてもよい。
上記の実施形態では、第1移載工程S2において、第1の板ガラス2aをスライドさせ、第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとが重なる部分が残る状態で、吸着パッド40を上方に移動させることにより、第1の板ガラス2aを第2の板ガラス2bから上方に離間させた例を示したが、これに限定されない。図13に示すように、第1の板ガラス2aをスライドさせて、この第1の板ガラス2aが第2の板ガラス2bと重ならない位置、すなわち、横方向において、第1の板ガラス2aを第2の板ガラス2bから離れた位置(二点鎖線で示す位置)まで移動させた後に、第1の板ガラス2aを上方に移動させてもよい。すなわち、本発明では、吸着パッド40と保持台5aとを横方向において相対的に移動させることにより、第1の板ガラス2aと第2の板ガラス2bとの分離・離間を行うことができる。また、これに限らず、第1の板ガラス2aを横方向にスライドさせて、第2の板ガラス2bから離間させ、そのままこの第1の板ガラス2aを上方に移動させることなく横方方向に移動させ、第1加工ステーション6に係る支持台6aの支持面17に載置してもよい。
上記の実施形態では、第1係止部材5dによって第2の板ガラス2bの外周部3を係止する例を示したが、これに限定されない。例えば、図14に示すように、第1係止部材5dに加え、又はこの第1係止部材5dに代えて、第2の板ガラス2bをクランプ部材52によって挟持することにより、これを係止してもよい。このクランプ部材52は、第2の板ガラス2bの外周部3を係止する係止部材として機能し、第2の板ガラス2bに対して、横方向に接近・離反可能に構成され得る。
また、上記の実施形態では、積載された複数の板ガラス2の除電を行うべく、保持ステーション5の保持台5aを接地した例を示したが、これに限定されない。例えば、図15に示すように、イオナイザを具備するエア吹付部材53(例えばエアガン又はエアノズル)により、第2の板ガラス2bの上面に除電エアを吹き付けることによって、板ガラス2の除電を行ってもよい。
上記の実施形態では、略円形に構成された板ガラス2の外周部3を加工及び研磨する例を示したが、これに限定されない。本発明では、多角形状、楕円その他の各種形状に構成される板ガラス2を加工できる。板ガラス2を円形以外の形状に加工する場合、第1加工ステーション6の第1加工具6cは、板ガラス2の外周部3を所定の形状に加工すべく、所定の軌跡を描くように移動するように構成される。この場合、支持台6aは、板ガラス2を回転させるような構成を備えなくてもよい。
上記のように板ガラス2を円形以外の形状に形成する場合、第2研磨ステーション9及び第3研磨ステーション10は、板ガラス2の外周部3の端面を倣うように移動しながら砥石による研磨を行うようにすればよい。
上記の実施形態では、第1加工工程S3の後に、第2加工工程S5を実施する例を示したが、これに限らず、これらの順を逆にしてもよい。また、第2加工工程S5の後に第2研磨工程S9を行い、その後に第1研磨工程S7を実行してもよい。
上記の実施形態では、板ガラス2の外周部3に対する研磨を第2研磨工程S9と第3研磨工程S11との二回に分けて行う例を示したが、これに限定されない。板ガラス2における外周部3の研磨は、第3研磨工程S11を省略して第2研磨工程S9のみで行ってもよく、また、三回以上に分けて行うようにしてもよい。第1加工工程S3、第2加工工程S5、及び第1研磨工程S7についても同様である。
上記の実施形態では、切欠き部4として、V字状のノッチを例示したが、これに限らず、オリエンテーションフラットと呼ばれる直線状の切欠き部が半導体ウェハに形成される場合には、これに対応して直線状の切欠き部を板ガラス2に形成してもよい。
上記の実施形態では、第2研磨具9b、及び第3研磨具10bを研磨テープにより構成した例を示したが、これに限定されない。各研磨具9b、10bは、回転砥石その他の砥石により構成されてもよい。