JP2014146770A - 剥離装置および剥離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2枚の板状体の間にパターン等が担持されている場合でもこれを損傷させることなく2枚の板状体を良好に剥離させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】第1板状体BLを保持する第1保持手段310と、第1板状体の一端部を第2板状体とは反対の方向へ柱面状に屈曲させて、第1板状体が密着している第2板状体の密着領域の一部を第1板状体が剥離した剥離領域に転換させ、しかも、密着領域と剥離領域との境界がなす剥離境界線を単一かつ直線状とする剥離開始手段321と、剥離境界線が形成された第2板状体SBを保持する第2保持手段122と、第1保持手段と第2保持手段との間隔を増大させて第1板状体と第2板状体とを離間させる離間手段とを備える剥離装置である。
【選択図】図6

Description

この発明は、互いに密着した2枚の板状体を剥離して離間させる剥離装置および剥離方法に関するものである。
ガラス基板や半導体基板などの板状体に所定のパターンや薄膜を形成する技術として、他の板状体に担持されたパターンや薄膜(以下、「パターン等」という)を基板に転写するものがある。この技術においては、2枚の板状体を密着させてパターン等を一方から他方に転写した後、パターン等を損壊させることなく2枚の板状体を剥離する必要がある。
この目的のために、例えば特許文献1に記載の技術では、貼り合わせた2枚の基板を水平姿勢に保持し、上下基板それぞれを真空吸着した状態で離間方向に移動させている。このとき、上側基板を局所的に吸着する多数の吸着パッドを基板の一方端部側から順に上昇させることで、剥離が基板の一方端から他方端へ向けて進行するようにされている。さらに、剥離初期段階において基板の分離のきっかけを与えるために、一方基板の端部を突き上げる構成が開示されている。また特許文献2には、ステージ上に載置したシートを取り出すために、ステージとシートとの間に楔状の剥離爪を挿入して両者の間に隙間を作る技術が記載されている。
特開2008−287949号公報(例えば図10、図15) 特開2003−072123号公報(例えば図13)
この種の転写技術は種々のデバイス製造プロセスに適用されるようになってきているが、パターン等を形成する材料の多様化やパターンの微細化、基板の大型化等に伴って、剥離プロセスにおいてより緻密な進行管理が必要となってきている。すなわち、剥離プロセスでは、2枚の板状体の間において剥離済みの領域と未剥離の領域との境界である剥離境界線が未剥離の領域側へ進行することにより最終的に全体が剥離されるが、この剥離境界線の進行速度、つまり剥離速度が変動すると応力集中に起因するパターン等の損壊が生じやすい。特に、剥離プロセスの初期段階では剥離境界線の形状が安定していないため、剥離境界線の形状変化に伴う剥離速度の変動が起きやすい。
しかしながら、上記従来技術では、剥離速度をこのように厳密に管理することができる構成となっておらず、特に剥離境界線の局所的な形状変化に起因する剥離速度の変動を抑制する方法がなかった。このため、パターン等の損壊を防止するという点で、上記従来技術には改善の余地が残されていた。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、互いに密着した2枚の板状体を剥離して離間させる剥離装置および剥離方法において、2枚の板状体の間にパターン等が担持されている場合でもこれを損傷させることなく2枚の板状体を良好に剥離させることが可能な技術を提供することを目的とする。
この発明の一の態様は、互いに密着した第1板状体と第2板状体とを剥離させる剥離装置において、上記目的を達成するため、前記第1板状体を保持する第1保持手段と、前記第1板状体の一端部を前記第2板状体とは反対の方向へ柱面状に屈曲させて、前記第1板状体が密着している前記第2板状体の密着領域の一部を前記第1板状体が剥離した剥離領域に転換させ、しかも、前記密着領域と前記剥離領域との境界がなす剥離境界線を単一かつ直線状とする剥離開始手段と、前記剥離境界線が形成された前記第2板状体を保持する第2保持手段と、前記第1保持手段と前記第2保持手段との間隔を増大させて、前記第1板状体と前記第2板状体とを離間させる離間手段とを備えている。
また、この発明の他の態様は、互いに密着した第1板状体と第2板状体とを剥離させる剥離方法において、上記目的を達成するため、前記第1板状体の一端部を前記第2板状体とは反対の方向へ柱面状に屈曲させて、前記第1板状体が密着している前記第2板状体の密着領域の一部を前記第1板状体が剥離した剥離領域に転換させ、前記密着領域と前記剥離領域との境界に単一かつ直線状の剥離境界線を形成する剥離境界線形成工程と、前記第1板状体と前記第2板状体とを離間方向に相対移動させて、前記剥離境界線を直線状に維持しつつ前記密着領域側に進行させる剥離工程とを備えている。
このように構成された発明では、互いに密着した第1板状体と第2板状体とを離間させるのに先立って、その一方である第1板状体の一端部を第2板状体とは反対側へ屈曲させることで、剥離のきっかけを与える。このとき、第1板状体を柱面状に屈曲させることにより、密着領域と剥離領域との境界の剥離境界線を直線状とすることができる。こうして初期段階の剥離境界線を直線状としておくことで、第1板状体と第2板状体とを離間させる過程では直線状の剥離境界線を密着領域側に進行させることができ、剥離境界線の形状変動に起因する剥離速度の変化を抑制することができる。そのため、本発明では、剥離速度をより厳密に管理して剥離を進行させることが可能であり、例えば2枚の板状体の間にパターン等(パターンや薄膜)が担持されている場合であってもその損壊を防止しながら剥離を行うことができる。
この発明にかかる剥離装置は、例えば、第1保持手段は、第1板状体の主面のうち第2板状体に密着する一方主面と反対側の他方主面に当接して第1板状体を保持する平面状の当接面を有するとともに、当接面とこれに接続する他の面との間の稜線の少なくとも一部が当該稜線方向における第1板状体の長さ以上の長さの直線となっており、第1板状体の一端部を稜線よりも外側に突出させた状態で第1板状体を保持し、剥離開始手段は、稜線の外側において第1板状体を屈曲させるように構成されてもよい。
このような構成では、第1板状体のうち平面状の当接面に当接している領域は平面状態に保持されるので、この領域での屈曲を防止して一端部のみを確実に屈曲させることができる。また直線状の稜線に第1板状体を当接させた状態で屈曲させることで、屈曲により生じる剥離境界線を確実に直線状とすることができる。
また例えば、互いに密着した平面サイズの異なる2枚の板状体を剥離させる場合には、それらのうち平面サイズの大きいものを第1板状体、他方を第2板状体として、第1保持手段は第1板状体のうち第2板状体と密着していない周縁部を稜線の外側に突出させて保持し、剥離開始手段は、第2板状体側から周縁部に当接して第1板状体を第2板状体とは反対の方向へ押し遣る押圧部材を備えるように構成されてもよい。押圧部材によって第1板状体の一端部を押し遣ることで、第1板状体を確実に変形させ、第2板状体からの部分的な剥離が可能となる。
この場合、押圧部材が稜線と平行な方向において一様に第1板状体に当接するように構成されてもよい。第1板状体への押圧力が不均一である場合、第1板状体が波打つように変形し柱面状の変形とならないことがある。それにより形成される剥離境界線もうねってしまい直線状とならない。1つの方向に沿って均一な押圧力を与えることで第1板状体を柱面状に屈曲させて剥離境界線を確実に直線状とすることができる。それが稜線と平行な方向であればより効果的である。
また例えば、第2板状体の一方主面中央部の有効領域に担持されたパターンまたは薄膜を介して密着した第1板状体と第2板状体とを剥離させる場合には、剥離開始手段は、有効領域の外側に剥離境界線を生成させることが望ましい。このような構成では直線状の剥離境界線が確立されるまでの初期段階で剥離境界線のうねりが生じたとしても、その影響が有効領域に及ぶことが防止される。すなわち、有効領域内のパターン等の損壊が防止される。
この場合、例えば、第1板状体とは反対側かつ有効領域の外側で、剥離境界線と平行な方向において一様に第2板状体に当接する当接部材を備えるように構成されてもよい。このようにすると、剥離の初期段階で剥離境界線が有効領域まで到達するのを防止することができる。
なおこの場合、第1板状体と第2板状体との離間移動につれて、当接部材を第2板状体に当接させながら剥離境界線から離れる方向に移動させるようにしてもよく、このようにすれば、当接部材によって剥離境界線の不規則な進行を規制しつつ剥離を進行させることができる。
また例えば、第1保持手段は、第1板状体を有効領域との対向位置よりも外側で吸着保持し、剥離開始手段は、第1板状体の第1保持手段に吸着保持される部分よりも外側の第1板状体の一端部を屈曲させるように構成されてもよい。このような構成では、第1板状体の変形が起こる位置は吸着保持された位置よりも外側に限定されるので、有効領域との対向位置での変形が防止される。これにより、パターン等へのストレスやその歪みを防止することができる。
また例えば、第2保持手段は、剥離境界線が形成される位置に最も近い第2板状体の周縁部を保持するように構成されてもよい。こうすることで、剥離境界線の近傍に応力を集中させて第1板状体と第2板状体との分離を確実に開始させることができ、また剥離境界線を、第2保持手段により保持される第2板状体の周縁部から反対方向に向けて確実に進行させることができる。
また例えば、離間手段は、第1保持手段と第2保持手段との間隔を一定の速さで増大させるように構成されてもよい。直線状の剥離境界線を形成した上で一定速度で第1保持手段と第2保持手段とを離間させることで、密着領域全体において一定の剥離速度を得ることができる。
また、この発明にかかる剥離方法は、例えば、剥離境界線形成工程に先立って、ステージの平面部の稜線よりも外側に第1板状体の一端部を突出させた状態でステージの平面部に第1板状体を当接させる設置工程を備え、剥離境界線形成工程では、ステージと反対側から一端部を第2板状体とは反対の方向へ押し遣るように構成されてもよい。
このような構成では、上記した剥離装置と同様に、第1板状体の一端部を第2板状体から離間する方向に変形させることができ、これにより第1板状体と第2板状体とを部分的に剥離させて剥離境界線を形成することができる。
また、第2板状体の一方主面中央部の有効領域に担持されたパターンまたは薄膜を介して密着した第1板状体と第2板状体とを剥離させる場合には、例えば設置工程では、第1板状体のうち有効領域と対向する領域を平面部に当接させる一方、有効領域と対向する領域よりも外側で第1板状体を平面部の稜線に当接させるようにしてもよい。これにより、剥離工程の実施前に剥離境界線が有効領域まで到達するのを防止することができ、また第1板状体の変形を有効領域の外側のみに限定することができる。
また例えば、剥離工程では、第2板状体の第1板状体とは反対側の面に対して、剥離境界線の方向に直交する方向に延びる当接部材を当接させながら、第2板状体に対して当接部材を相対的に、第1板状体と第2板状体との離間移動に同期させて剥離領域とは反対側に移動させるようにしてもよい。このようにすれば、当接部材によって剥離境界線の不規則な進行を規制しつつ、剥離の進行を安定的に管理することができる。
この発明によれば、第1板状体と第2板状体とが密着する密着領域の端部に予め単一かつ直線状の剥離境界線を形成した上で第1板状体と第2板状体とを離間させるので、剥離境界線の進行速度が管理しやすくなる。そのため、第1板状体と第2板状体との間にパターン等が担持されている場合でも、剥離速度の変動に起因するパターン等の損壊が防止されて、良好に剥離を行うことができる。
この発明にかかる剥離装置の一実施形態を示す斜視図である。 この剥離装置の主要部を示す図である。 この剥離装置の電気的構成を示すブロック図である。 ステージとこれに載置される積層体との位置関係を示す図である。 剥離処理を示すフローチャートである。 処理中の各段階における各部の位置関係を示す第1の図である。 処理中の各段階における各部の位置関係を示す第2の図である。 剥離境界線と剥離速度との関係を示す図である。
図1はこの発明にかかる剥離装置の一実施形態を示す斜視図である。各図における方向を統一的に示すために、図1右下に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面、Z軸が鉛直軸を表す。より詳しくは、(+Z)方向が鉛直上向き方向を表している。
この剥離装置1は、主面同士が互いに密着した状態で搬入される2枚の板状体を剥離させるための装置である。例えばガラス基板や半導体基板等の基板の表面に所定のパターンを形成するパターン形成プロセスの一部において用いられる。より具体的には、このパターン形成プロセスでは、被転写体である基板に転写すべきパターンを一時的に担持する担持体としてのブランケット表面にパターン形成材料を均一に塗布し(塗布工程)、パターン形状に応じて表面加工された版をブランケット上の塗布層に押し当てることによって塗布層をパターニングし(パターニング工程)、こうしてパターンが形成されたブランケットを基板に密着させることで(転写工程)、パターンをブランケットから基板に最終転写する。
このとき、パターニング工程において密着された版とブランケットとの間、または転写工程において密着された基板とブランケットとの間を離間させる目的のために、本装置を好適に適用することが可能である。もちろんこれらの両方に用いられてもよく、これ以外の用途で用いられても構わない。例えば担持体に担持された薄膜を基板に転写する際の剥離プロセスにも適用することができる。
この剥離装置1は、上部ユニット10、中央ユニット30および下部ユニット50がそれぞれ筐体に据え付けられた構造を有している。図1では装置の内部構造を示すために筐体の図示を省略している。また、この剥離装置1は後述する制御ユニット70(図3)を備えている。
上部ユニット10では、筐体に固定される支持ベース101の上面に1対の支柱102,103がY方向に所定の間隔で並べて立設されており、これらの支柱の上部に梁部材104が架設されている。支柱102,103の(+X)側側面には鉛直方向(Z方向)に延びるガイドレール102a,103aがそれぞれ取り付けられている。ガイドレール102a,103aにはそれぞれスライダ111,112が鉛直方向に摺動自在に取り付けられており、これらのスライダ111,112はY方向に延設されるアーム支持プレート113の両端部にそれぞれ取り付けられている。
アーム支持プレート113の両端部には(+X)方向に延びる1対のアーム114,115が取り付けられており、これらのアームに種々の処理ブロックを装着することができる。この実施形態では(+Y)側の1つのアーム115に処理ブロックとしての上部吸着ブロック120が装着されている。上部吸着ブロック120については後で説明する。
アーム支持プレート113の(−X)側側面にはプレート昇降機構116が設けられ、その上方の梁部材104に取り付けられたモータ105の回転軸と接続されている。モータ105の回転軸が回転すると、その回転運動がプレート昇降機構116に設けられた例えばボールねじ機構などの変換機構によって上下運動に変換され、これによりアーム支持プレート113がガイドレール102a,103aに沿ってZ方向に移動する。これに伴って、アーム115に取り付けられた上部吸着ブロック120もZ方向に移動する。
次に中央ユニット30の構成を説明する。中央ユニット30は、筐体に固定される支持ベース301の上面略中央部にステージ310が設置されている。詳しくは後述するが、塗布層を介して版とブランケットとが密着してなる積層体、またはパターンを介して基板とブランケットとが密着してなる積層体が外部からこの剥離装置1に搬入されると、該積層体はステージ310の上面に載置される。ステージ310はその上に載置される積層体よりも大きな平面サイズを有している。
支持ベース301上においてステージ310の(+Y)側には、ステージ310の上面に載置された積層体の端部を下方へ屈曲させることで剥離を開始させる初期剥離ブロック320が取り付けられている。初期剥離ブロック320については後に詳述する。
下部ユニット50では、筐体に固定される支持ベース501が中央ユニット30の支持ベース301の下方にY方向に延設されており、その上面にガイドレール510が取り付けられている。ガイドレール510にはスライダ511が摺動自在に取り付けられており、スライダ511は押圧ローラブロック520を支持している。したがって押圧ローラブロック520はY方向に移動自在となっている。
押圧ローラブロック520は、中央ユニット30のステージ310の上方でX方向に延設されたローラ521と、ステージ310の下方にX方向に延設された横架部およびその両端からステージ310の上面より上方まで突き出した立設部を有し該立設部でローラ521の両端を回転自在に保持するローラ保持部522と、図1では隠れているがローラ保持部522をZ方向に移動させてローラ521の高さを変化させる昇降機構523(図3)とを備えている。
下部ユニット50はさらにモータ502を備えており、モータ502の回転運動は図示しない変換機構によってY方向の直線運動に変換され、押圧ローラブロック520を駆動する。すなわち、押圧ローラブロック520は、モータ502の回転によって、ガイドレール510に沿ってY方向に移動する。
図2はこの剥離装置の主要部を示す図である。より詳しくは、図2(a)はステージ310の周辺構成の配置を示す斜視図であり、図2(b)はそのY−Z切断面を見た部分断面図である。図において破線矢印は各構成要素の可動方向を示している。
ステージ310には複数の溝が刻設されている。具体的には、最も内側に、ステージ310の中央部分を囲むように矩形環状の環状溝313が設けられている。そして、環状溝313の外側(±X)側、(±Y)側の周囲に隣接して、概略矩形形状をした溝314が設けられている。なお溝314は環状でなくてもよく、例えば矩形の四辺のうち一部が独立したものであってもよい。
これらの各溝には、実行される処理に応じて適宜陽圧、負圧および大気圧のいずれかが個別に供給される。これにより、ステージ310に載置される物体の吸着および吸着の解除、さらに該物体の浮上が実現される。後述するように、この実施形態では主として、環状溝313が大気圧に解放された大気解放溝として、また他の溝314が負圧を供給されて真空吸引溝としてそれぞれ機能する。
図2(b)からわかるように、ステージ310の上面は略水平の平面である水平面部311と、これに接続し所定の傾き角θを有する平面である傾斜面部312とで構成されている。水平面部311と傾斜面部312とが接する稜線部Eは、X方向に平行な直線状となっている。図では傾きが強調されているが、傾き角θとしては数度程度であり、例えば2度とすることができる。溝314は水平面部311のうち稜線部Eの近傍に設けられている。
ステージ310の水平面部311の上方には、ステージ310下方から延びるローラ保持部522により回転自在に保持されたローラ521がX方向に延設配置されている。ローラ521は図示しない昇降機構によりZ方向に移動可能であり、これによりステージ310に対して接近、離間移動する。また、モータ502(図1)の回転によってローラ521は押圧ローラブロック520と一体的にY方向へ移動する。ローラ521は駆動源を有しておらず自由回転する。
ステージ310の稜線部Eの上方には、上部吸着ブロック120(図1)の吸着機構が設けられる。該吸着機構は、X方向に延設されるヘッド部121と、該ヘッド部121にそれぞれ装着されてX方向に並べられた複数の吸着パッド122とを有している。吸着パッド122は例えばゴムなどの弾性材料により形成され、それぞれに負圧が供給されることで、物体を吸着することができる。ヘッド部121は上部吸着ブロック120の昇降機構123(図1)により昇降移動が可能となっており、これにより、各吸着パッド122が一体的に、ステージ310に対して接近、離間移動する。なお、図示を省略しているが、上部吸着ブロック120はさらに、ヘッド部121をY方向に移動させることで各吸着パッド122のY方向位置を調整するための位置調整機構を有している。
ステージ310の傾斜面部312の上方には、初期剥離ブロック320の押圧部材321が配置されている。より具体的には、初期剥離ブロック320は、傾斜面部312の上方でX方向に延設された押圧部材321を有しており、押圧部材321は支持アーム322により支持されている。押圧部材321は、1枚の板状体により略直方体形状に形成され、長手方向に垂直な断面において、その一方短辺に向けて幅が小さくなるテーパーが設けられるとともにその頂部に平坦な頂面が形成される。このような形状の押圧部材321がX方向を長手方向として、また頂面を下向きにして支持アーム322に支持される。押圧部材321はX方向の両端部がそれぞれステージ310の端部よりも外側まで延びており、したがってステージ310に載置される積層体のX方向端部よりも外側まで延設されている。
支持アーム322は、筺体に固定されたベースプレート325に立設された1対のガイドレール326,327に摺動自在に取り付けられた1対のスライダ323,324により支持されている。さらに、初期剥離ブロック320は例えばモータやシリンダ等の適宜の駆動源を有する駆動部328を備えており、駆動部328の駆動力は必要に応じ例えばボールねじ機構などの変換機構によりZ方向の直線運動に変換されて支持アーム322に伝達される。したがって、駆動部328が作動すると支持アーム322がZ方向に昇降移動し、これと一体的に押圧部材321が昇降してステージ310に対して接近、離間移動する。なお、図示を省略しているが、初期剥離ブロック320はさらに、ベースプレート325上でガイドレール326,327をY方向に移動させることで押圧部材321のY方向位置を調整するための位置調整機構を有している。
図3はこの剥離装置の電気的構成を示すブロック図である。装置各部は制御ユニット70により制御される。制御ユニット70は、装置全体の動作を司るCPU701と、各部に設けられたモータ類を制御するモータ制御部702と、各部に設けられたバルブ類を制御するバルブ制御部703と、各部に供給する負圧を発生する負圧供給部704と、ユーザからの操作入力を受け付けたり装置の状態をユーザに報知するためのユーザインタフェース(UI)部705とを備えている。なお、外部から供給される負圧を利用可能である場合には制御ユニット70が負圧供給部を備えていなくてもよい。
モータ制御部702は、上部ユニット10に設けられたモータ105、上部吸着ユニット120に設けられた昇降機構123、中央ユニット30の初期剥離ブロック320に設けられた駆動部328、下部ユニット50に設けられたモータ502および昇降機構523などを制御する。バルブ制御部703は、負圧供給部704から吸着パッド122につながる配管経路上に設けられて吸着パッド122に所定の負圧を供給するためのバルブ群V10、負圧供給部704からステージ310に設けられた真空吸着溝につながる配管経路上に設けられて真空吸着溝314に所定の負圧を供給するためのバルブ群V30などを制御する。
図4はステージとこれに載置される積層体との位置関係を示す図である。より具体的には、図4(a)はステージ310に載置される積層体の位置を示す平面図であり、図4(b)はステージ310に積層体が載置された状態を表す部分側面図である。ここでは、最終的にパターンが転写されるべき基板SBと、該基板SBに転写すべきパターンを一時的に担持するブランケットBLとが重ね合わされてなる積層体がステージ310に載置される場合を例として説明するが、ブランケットBLをパターニングする版とブランケットBLとの積層体の場合でも同様に考えることができる。この場合、以下の説明において「基板」を「版」に読み替えればよい。
パターンを介して基板SBとブランケットBLとが密着してなる積層体においては、ブランケットBLが基板SBより大きな平面サイズを有している。このため、基板SBではその全面がブランケットBLに対向しているのに対して、ブランケットBLはその中央部分が基板SBと対向しているが、周縁部は基板SBと対向しない余白部分となっている。基板SBの表面領域のうち周縁部を除く中央部分に、パターンが有効に転写されてデバイスとして機能する有効領域ARが設定される。したがって、この剥離装置1の目的は、ブランケットBLから基板SBの有効領域ARに転写されたパターンを損傷させることなく、基板SBからブランケットBLを剥離させることである。
図4(a)に示すように、基板SBの有効領域ARの全体がステージ310の水平面部311に位置するように、積層体はステージ310に載置される。このときに環状溝313が有効領域ARを完全に取り囲むように、予め環状溝313の配置が決定されている。一方、ステージ310の水平面部311に環状溝313を取り囲むように設けられた溝314は、ブランケットBLがステージ310に載置されたときブランケットBLによって塞がれる位置に設けられている。
基板SBの(+Y)側端部は、ステージ310の稜線部Eより僅かに(+Y)側へ突出した位置に配置される。一方、ブランケットBLの(+Y)側端部は、ステージ310の稜線部Eから大きくせり出して傾斜面部312の上方にまで広がる。このため、この部分ではブランケットBLの下面はステージ310に当接しておらず、ブランケットBLと傾斜面部312との間には隙間が空いている。
吸着パッド122は、基板SBの(+Y)側端部の直上で、かつステージ310に設けられた溝314よりも(+Y)側の位置となるように、そのY方向位置が予め調整されている。一方、押圧部材321は、傾斜面部312に突出したブランケットBL端部の上方に位置している。このように基板SBとブランケットBLとの積層体がステージ310に載置された状態でCPU701の制御指令に応じて各部が動作することで、基板SBとブランケットBLとの剥離が行われる。
図5は剥離処理を示すフローチャートである。また、図6および図7は処理中の各段階における各部の位置関係を示す図であり、処理の進行状況を模式的に表したものである。この剥離処理は、CPU701が予め記憶された処理プログラムを実行して各部を制御することによりなされる。
オペレータまたは外部の搬送ロボット等によって積層体が搬入されステージ310上の上記位置に配置されると(ステップS101)、ステージ310の真空吸着溝314に負圧が供給されて、積層体がステージ310により吸着保持される(ステップS102)。続いて、装置各部が剥離を実行するための初期位置に配置される(ステップS103)。図6(a)は各部の初期位置を示している。同図に示すように、ヘッド部121が降下されて各吸着パッド122の下面が基板SBの端部上面に当接するが、この時点では吸着パッド122には負圧が供給されておらず単に機械的に基板SBの上面に押し当てられているだけである。また、押圧部材321はブランケットBLの端部付近で、かつその上面からは上方に離間した位置に配置される。さらに、ローラ521は、基板SBの有効領域ARよりも(+Y)側で、かつ真空吸着溝314の位置よりも(−Y)側の位置で、基板SBの上面に当接される。
次に、この状態で押圧部材321を降下させ(ステップS104)、押圧部材321の下端(頂面)をブランケットBLに当接させつつさらに降下させる。このとき、図6(b)に示すように、ブランケットBLの(+Y)側端部が押圧部材321の頂面によって下方へ押し遣られて下向きに屈曲する。稜線部Eよりも(−Y)側、つまり図において左側では、ブランケットBLの下面はステージ310の水平面部311に吸着保持されているためブランケットBLの変形が規制される。したがって、ブランケットBLの屈曲が発生する箇所は、稜線部Eよりも(+Y)側、つまり図において右側に限定される。特に稜線部Eの近傍に応力が集中するため、この部分で屈曲が起きやすくなっている。
X方向に延設された押圧部材321は、X方向において一様にブランケットBLを押圧する。つまり、X方向位置によらず押圧力が一定である。このため、ブランケットBLの曲がり方はX方向において一様となる。すなわち、ブランケットBLはX方向に平行な軸を有する柱面状に屈曲する。また、ステージ310の稜線部EもX方向となっているのでその傾向はより顕著である。
一方、基板SBはブランケットBLよりも剛性の高い材料により形成されており、変形はブランケットBLよりも限定的である。つまり、基板SBの(+Y)側端部はブランケットBLの下方への屈曲に追従せず、自身の剛性により元の水平姿勢に戻ろうとする。このため、下向きに屈曲するブランケットBLと水平姿勢を維持しようとする基板SBとの間に隙間が生じ、部分的な剥離が開始される。つまり、押圧部材321がブランケットBLを押圧することが、基板SBとの分離のきっかけとなっている。基板SBがブランケットBLとともに下方へ屈曲するのを防止するために、ブランケットBLは適度の柔軟性を備えるとともに基板SBはより高剛性である必要がある。また、吸着パッド122は、押圧部材321によるブランケットBLの押圧に伴う基板SBの変形に追従できる、つまり基板SBが一時的に撓んだ場合でも当接状態が解除されないだけの伸縮性を備えている必要がある。
ここではブランケットBLと基板SBとが密着した未剥離の領域を密着領域、既に剥離して両者に隙間ができている領域を剥離領域と称し、さらに密着領域と剥離領域との境界がなす線を剥離境界線と称し符号PLにより表す。ブランケットBLがX方向の軸を有する柱面状に屈曲することから、剥離境界線PLはX方向に沿った単一の直線状となる。
図6(c)は図6(b)の状態における基板SBとブランケットBLとを上方から見た図であり、斜線を付した領域R1、R2およびR3はそれぞれ、ブランケットBLにおいて押圧部材321と当接する領域、ブランケットBLにおいて真空吸着溝314に供給される負圧により吸着される領域、および基板SBにおいてローラ521と当接する領域を示している。同図に示すように、剥離が始まった初期段階では、ブランケットBLの中央側(図において左側)から(+Y)側に向かって、有効領域ARの(+Y)側端部、ローラ521との当接領域R3、吸着される領域R2、剥離境界線PL、基板SBの(+Y)側端部、押圧部材321との当接領域R1がこの順番に並ぶ。
ローラ521と基板SBとの当接領域R3およびブランケットBLが吸着される領域R2よりも外側(図において右側)でブランケットBLが押圧されることで、ブランケットBLの変形が有効領域ARにまで及ぶことが防止される。また、ローラ521の当接位置が有効領域ARよりも外側となっていることで、有効領域AR内のパターンにローラ521からの局所的な押圧力が加わることが回避される。
図5に戻って、こうして押圧部材321の押し当てによりブランケットBLが下方へ屈曲する一方で基板SBが水平状態に戻ることで剥離境界線PLが形成されると、続いて基板SBの上面に当接している吸着パッド122に負圧を供給して基板SBを吸着保持させ、吸着パッド122の上昇を開始させる(ステップS105)。吸着パッド122の上昇と同期してローラ521を基板SB上面に当接させたまま、剥離済みの領域とは反対方向、つまり(−Y)方向へ移動させる(ステップS106)。吸着パッド122の上昇速度およびローラ521の移動速度はいずれも一定速度である。
図7(a)に示すように、吸着パッド122を上昇させると、吸着パッド122に吸着された基板SBの端部が持ち上げられ、ブランケットBLからの剥離が進む。つまり剥離境界線が(−Y)方向(図において左方向)に進行する。ローラ521を基板SBの上面に当接させることで、剥離境界線の進行はローラ521との当接位置までに限定される。ローラ521はX方向に延設されているから、剥離境界線もX方向に延びる直線状となっている。この実施形態では複数(図2では6個)の吸着パッド122をX方向に並設することで、高い吸着保持力を得ている。また、基板SBの端部にできるだけ近い位置で吸着することで、基板SBが確実に持ち上げられるようにしている。
この状態で吸着パッド122を上昇させつつローラ521を一定速度で(−Y)方向に移動させることで、剥離境界線は直線状態が維持されたまま一定速度で(−Y)方向に進行する。すなわち、(−Y)方向を剥離方向として剥離が進行する。有効領域ARよりも外側からローラ521の移動を開始しているので、有効領域AR上方を通過するローラ521の速度は一定となっており、有効領域AR内でパターンがローラ521から受ける押圧力は場所によらず均一である。
こうして吸着パッド122の上昇およびローラ521の移動を継続し、これらが基板SB全体について剥離が完了する終了位置に到達すると(ステップS107)、これらの移動を停止するとともに、ローラ521および押圧部材321を所定の退避位置に移動させる(ステップS108)。この状態で吸着パッド122の吸着が解除されると、ブランケットBLから剥離された基板SBの搬出が可能となる(ステップS109)。続いてステージ310による吸着が解除されると、ブランケットBLの搬出が可能となる(ステップS110)。これらが搬出されて、剥離処理は終了する。
上記した剥離処理の過程において、環状溝313は常時大気解放されている。ブランケットBLは環状溝313よりも外側に設けた真空吸着溝314によって真空吸着されているため、環状溝313が大気解放された状態でもブランケットBLの保持が失われることはない。一方、有効領域ARを取り囲むように設けられた環状溝313を大気解放状態とすることで、次のような利点が得られる。
もしステージ310の上面に例えば傷や異物の付着などの凹凸があった場合、真空吸着によってブランケットBLがステージ310上面に押し付けられると、ステージの凹凸に倣ってブランケットBLも撓んでしまうことがある。これにより、基板SBが撓んだり、基板SBとブランケットBLとの間に挟まれたパターンが歪んだりすることがある。いずれにしても基板SBにパターンを良好に転写するという目的からは好ましくない現象である。本実施形態では、環状溝313よりも内側の領域ではブランケットBLがステージ310の上面に強く押し付けられることがない。このため、ステージ上面に凹凸があったとしてもその影響が基板SBやパターンに及ぶことは回避される。
上記のようなブランケットBLから基板SBへのパターン転写においては、ブランケットBLに担持されたパターンを完全な形で基板SBに移行させるためには剥離境界線の進行速度、つまり剥離の進行速度(ここでは「剥離速度」と称する)が一定であることが求められる。特に微細なパターンの場合やパターン形成材料の性質によっては、剥離速度が変化するときにせん断力が加わってパターンが損壊することがあるからである。版からブランケットBLへのパターニングについても同様である。
上記した剥離処理では、予め直線状に形成した剥離境界線を一定速度で進行させることが可能であり、少なくとも有効領域AR内において剥離境界線の進行速度を一定とすることで、剥離速度の変化に起因するパターンの損壊を防止することが可能となっている。
図8は剥離境界線と剥離速度との関係を示す図である。剥離の初期段階で特に分離のきっかけを与えることなく基板SBとブランケットBLとを引き離した場合、図8(a)に比較例1として示すように、一般的には基板SBの両角部から剥離が始まり、剥離境界線PLは当初2箇所に形成された後にそれらが一体化し、最終的にはローラとの当接によって直線状となる。
また、前記した従来技術のようにブランケットを局所的に押し出したり剥離爪を挿入することによって分離のきっかけを与える構成では、図8(b)に比較例2に示すように、きっかけを与えられた部分で局所的に大きな剥離領域ができ、それが次第に広がることで最終的に剥離境界線PLがつながる。
これらの構成では、剥離の初期段階で生じる剥離境界線の形状が管理されておらず一定しない。このため基板とブランケットとの離間を一定速度で行ったとしても、局所的に生じた剥離境界線PLが一体化するときに進行速度の不連続な変動があるほか、うねった剥離境界線PLが直線状に変化する過程では局所的に見れば随所で速度変動が発生している(位置による速度差があるが故に剥離境界線の形状が変化する)。これがパターン損壊の原因となり得る。
これらの比較例でも、基板にローラを当接させることで最終的には剥離境界線を直線とすることは可能であるが、その効果を確実に得るためには、ローラとの当接位置まで剥離が進んだ時点でいったんその進行を止め、その後ローラを移動させながら剥離を行う必要がある。このときに速度変動が生じてしまうため、やはりパターン損壊の原因となる。予めローラを有効領域よりも外側で基板に当接させておけば有効領域内での損壊は防止できるが、ローラをどれだけ基板端部に近づけることができるかで有効領域のサイズが決まってしまい、構造上の制約から有効領域が狭まってしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態の剥離処理では、図8(c)に示すように、剥離の初期段階で剥離方向に直交する直線状の剥離境界線PLを形成しており、処理が進行する過程でもその形状は変わることなく剥離方向に進行するのみである。このため、局所的にも剥離速度が終始一定に保たれ、パターンの損壊が防止される。
剥離の初期段階で剥離境界線PLを直線状とするための本実施形態における主たる構成は、ブランケットBLを基板SBから離間する方向に柱面状に屈曲させることであり、ローラ521を当接させることは剥離境界線PLを直線に保ちつつ一定速度で進行させるための構成要素である。この意味において、初期段階におけるローラ521の位置に関わらず、本実施形態では当初より直線状の剥離境界線を生じさせることが可能である。
以上のように、この実施形態では、剥離の初期段階において、剥離対象物である積層体の一方であるブランケットBLの一端部を他方の基板SBから離間する方向に柱面状に屈曲させることで、両者が密着する密着領域の端部に単一かつ直線状の剥離境界線PLを生じさせる。そして、剥離境界線PLを直線状に維持しつつ、これを一定速度で進行させて剥離を行うことで、剥離速度の変動に伴うパターン損壊を防止しながら良好に剥離を行うことが可能となっている。
ブランケットBLを柱面状に変形させるために、この実施形態では、直線状の稜線部Eを有するステージ310の水平面部311に積層体を載置し、稜線部Eから突出した部分のブランケットBLを押圧部材321で押圧する。このとき、押圧部材321は稜線方向と平行に延びる広い範囲で一様にブランケットBLを押圧する。これにより、ブランケットBLが局所的に撓んでしまうことが防止され、柱面状の変形を安定して確実に生じさせることができる。
以上説明したように、この実施形態では、剥離処理の対象物である積層体のうちブランケットBLが本発明の「第1板状体」に相当し、基板SB(または版)が本発明の「第2板状体」に相当する。したがって、本実施形態におけるステージ310が本発明の「第1保持手段」および「ステージ」として、また吸着パッド122が本発明の「第2保持手段」としてそれぞれ機能している。また、初期剥離ブロック320が本発明の「剥離開始手段」として機能する一方、吸着パッド122を上昇させる昇降機構523が本発明の「離間手段」として機能している。
また、上記実施形態ではステージ310の水平面部311が本発明の「当接面」として機能しており、押圧部材321およびローラ521がそれぞれ本発明の「押圧部材」および「当接部材」として機能している。
また、本発明の剥離処理(図5)においては、ステップS101およびS102が本発明の「設置工程」に相当し、ステップS104が本発明の「剥離境界線形成工程」に相当している。さらに、ステップS105ないしS108が、本発明の「剥離工程」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、基板SBとブランケットBLとが重ね合わされた積層体が、ブランケットBLを下にして水平姿勢に載置される。しかしながら、基板およびブランケットの姿勢はこれに限定されるものではなく任意である。
また例えば、上記実施形態では平板状の押圧部材321によりブランケットBLを押し下げて屈曲させているが、これに代えて、例えばローラ状の押圧部材を用いてもよい。また、ステージ310の上面は水平面部311から傾斜面部312に接続するテーパー形状となっているが、例えば階段状の段差を有するステージであってもよい。この場合には、ブランケットBLを必要以上に屈曲させることのないように、押圧部材にストッパ機構を設けることが望ましい。
また例えば、上記実施形態ではステージ310の表面状態の影響が基板SBやパターンに及ぶのを防止するために大気解放された環状溝313を設けているが、環状溝313は必須の要件ではなく、また適宜に管理された陽圧または負圧が供給されてもよい。また溝の形状も環状に限定されるものではなく、有効領域の外側を連続的にまたは断続的に取り囲む任意の形状とすることができる。
また、基板SBおよびブランケットBLそれぞれの保持は真空吸着によるものに限定されない。例えば機械的または磁気的にこれらを保持するものであってもよい。例えばブランケットBLについてはその外周部を保持枠で機械的に押さえるようにすることができる。また上記実施形態では基板SBの一端部のみ真空吸着しているが、基板全体を吸着したり、吸着パッドを基板の各所に分散配置するようにしてもよい。
また例えば、ステージ310の傾斜面部312に真空吸着溝を設けて、押圧部材321により押圧されて屈曲したブランケットBLを吸着して屈曲した姿勢を維持させるようにしてもよい。
この発明は、2枚の板状体を密着させてパターン等を転写させるパターン形成処理における剥離プロセスに適用することができるほか、このようなパターン転写を伴うものに限らず、互いに密着した2枚の板状体を良好に剥離する種々の目的に対して好適に適用可能である。
122 吸着パッド(第2保持手段)
310 ステージ(第1保持手段、ステージ)
311 (ステージ310の)水平面部(当接面)
320 初期剥離ブロック(剥離開始手段)
321 押圧部材
521 ローラ(当接部材)
523 昇降機構(離間手段)
BL ブランケット(第1板状体)
S101,S102 設置工程
S104 剥離境界線形成工程
S105〜S108 剥離工程
SB 基板(第2板状体)

Claims (13)

  1. 互いに密着した第1板状体と第2板状体とを剥離させる剥離装置において、
    前記第1板状体を保持する第1保持手段と、
    前記第1板状体の一端部を前記第2板状体とは反対の方向へ柱面状に屈曲させて、前記第1板状体が密着している前記第2板状体の密着領域の一部を前記第1板状体が剥離した剥離領域に転換させ、しかも、前記密着領域と前記剥離領域との境界がなす剥離境界線を単一かつ直線状とする剥離開始手段と、
    前記剥離境界線が形成された前記第2板状体を保持する第2保持手段と、
    前記第1保持手段と前記第2保持手段との間隔を増大させて、前記第1板状体と前記第2板状体とを離間させる離間手段と
    を備える剥離装置。
  2. 前記第1保持手段は、前記第1板状体の主面のうち前記第2板状体に密着する一方主面と反対側の他方主面に当接して前記第1板状体を保持する平面状の当接面を有するとともに、前記当接面とこれに接続する他の面との間の稜線の少なくとも一部が当該稜線方向における前記第1板状体の長さ以上の長さの直線となっており、前記第1板状体の前記一端部を前記稜線よりも外側に突出させた状態で前記第1板状体を保持し、
    前記剥離開始手段は、前記稜線の外側において前記第1板状体を屈曲させる請求項1に記載の剥離装置。
  3. 前記第1保持手段は、互いに密着した平面サイズの異なる2枚の板状体のうち平面サイズの大きいものを前記第1板状体、他方を前記第2板状体として、前記第1板状体のうち前記第2板状体と密着していない周縁部を前記稜線の外側に突出させて保持し、
    前記剥離開始手段は、前記第2板状体側から前記周縁部に当接して前記第1板状体を前記第2板状体とは反対の方向へ押し遣る押圧部材を備える請求項2に記載の剥離装置。
  4. 前記押圧部材が前記稜線と平行な方向において一様に前記第1板状体に当接する請求項3に記載の剥離装置。
  5. 前記第2板状体の一方主面中央部の有効領域に担持されたパターンまたは薄膜を介して密着した前記第1板状体と前記第2板状体とを剥離させ、
    前記剥離開始手段は、前記有効領域の外側に前記剥離境界線を生成させる請求項1ないし4のいずれかに記載の剥離装置。
  6. 前記第1板状体とは反対側かつ前記有効領域の外側で、前記剥離境界線と平行な方向において一様に前記第2板状体に当接する当接部材を備える請求項5に記載の剥離装置。
  7. 前記第1保持手段は、前記第1板状体を前記有効領域との対向位置よりも外側で吸着保持し、
    前記剥離開始手段は、前記第1板状体の前記第1保持手段に吸着保持される部分よりも外側の前記第1板状体の前記一端部を屈曲させる請求項5または6に記載の剥離装置。
  8. 前記第2保持手段は、前記剥離境界線が形成される位置に最も近い前記第2板状体の周縁部を保持する請求項1ないし7のいずれかに記載の剥離装置。
  9. 前記離間手段は、前記第1保持手段と前記第2保持手段との間隔を一定の速さで増大させる請求項1ないし8のいずれかに記載の剥離装置。
  10. 互いに密着した第1板状体と第2板状体とを剥離させる剥離方法において、
    前記第1板状体の一端部を前記第2板状体とは反対の方向へ柱面状に屈曲させて、前記第1板状体が密着している前記第2板状体の密着領域の一部を前記第1板状体が剥離した剥離領域に転換させ、前記密着領域と前記剥離領域との境界に単一かつ直線状の剥離境界線を形成する剥離境界線形成工程と、
    前記第1板状体と前記第2板状体とを離間方向に相対移動させて、前記剥離境界線を直線状に維持しつつ前記密着領域側に進行させる剥離工程と
    を備える剥離方法。
  11. 前記剥離境界線形成工程に先立って、ステージの平面部の稜線よりも外側に前記第1板状体の前記一端部を突出させた状態で前記ステージの前記平面部に前記第1板状体を当接させる設置工程を備え、
    前記剥離境界線形成工程では、前記ステージと反対側から前記一端部を前記第2板状体とは反対の方向へ押し遣る請求項10に記載の剥離方法。
  12. 前記第2板状体の一方主面中央部の有効領域に担持されたパターンまたは薄膜を介して密着した前記第1板状体と前記第2板状体とを剥離させる請求項11に記載の剥離方法において、
    前記設置工程では、前記第1板状体のうち前記有効領域と対向する領域を前記平面部に当接させる一方、前記有効領域と対向する領域よりも外側で前記第1板状体を前記平面部の稜線に当接させる剥離方法。
  13. 前記剥離工程では、前記第2板状体の前記第1板状体とは反対側の面に対して、前記剥離境界線の方向に直交する方向に延びる当接部材を当接させながら、前記第2板状体に対して前記当接部材を相対的に、前記第1板状体と前記第2板状体との離間移動に同期させて前記剥離領域とは反対側に移動させる請求項10ないし12のいずれかに記載の剥離方法。
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