JP6569703B2 - リチウムイオン電池の電極材分析方法 - Google Patents

リチウムイオン電池の電極材分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池、特に車載用のリチウムイオン電池の電極材分析方法に関する。
リチウムイオン電池に用いられる電極材の性能を評価する方法として、コインセル又はラミネートセルを作製して、その容量及び入出力特性を測定する方法がある。但し、これらの評価方法によって得られる情報は、セルの形状及び外装材等の影響を含めたものであり、電極材の特性だけを評価しているのではない。
そこで、近年、電池に組み込まれた電極材が充放電時にどのような変化を生じるかを推定するために、小型の分析用セルを用いて、試料に電流を流す又は電圧を印加する等の操作をしながら電極材の分析を行う、その場(in-situ)分析が適用されるようになってきている。
特開平08−189907号公報 特開2010−230355号公報 特開2016−114578号公報 特開2016−029641号公報 特開2012−159311号公報
しかしながら、その場分析では、低い電流値を流す低C(capacity)レート、例えば0.01C〜0.1Cで電極材にリチウム(Li)イオンを吸蔵又は放出させて、半定常的な状態で電極材の分析を行っている。この半定常的な状態での電極材の分析は、該電極材に含まれる活物質における変化を動的に捉えることはできない。
本発明は、前記従来の問題を解決し、リチウムイオン電池における活物質の電流入出力によるリチウムイオンの吸蔵又は放出する際の変化を結晶構造の変化から検出して、電極材の特性評価をリチウムイオン電池の実用的作動条件下で行えるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、X線回折装置によって高Cレートでその場分析を実施可能とする分析用セルを作製し、高Cレートで且つ短時間の電流入出力による電極材の入出力特性を該電極材(活物質)の構造の変化から評価する構成とする。
具体的に、本発明は、リチウムイオン電池の電極材分析方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
すなわち、第1の発明は、リチウムイオン電池の電極材分析方法を対象とし、リチウムイオン電池の分析用セルを用意する工程と、分析用セルに、所定の電流を印加すると共に、所定の波長を持つX線をX線透過用窓材を透して照射することにより、X線回折プロファイルを取得する工程とを備えている。所定の電流を印加する工程は、電極に含まれる活物質の量から計算される容量に対してその容量を1時間で充電又は放電するCレート以上の電流を流し、分析用セルは、リチウムイオン電池における測定試料であって、正極材又は負極材からなる作用極と、作用極に対して、電解液を含むセパレータを挟んで対向するリチウムからなる対極と、対極と接して対向するX線透過用窓材とを有する
これによれば、電極に含まれる活物質の量から計算される容量に対してその容量を1時間で充電又は放電するCレート以上の電流を流す構成としている。これにより、電流を流している最中の活物質の結晶構造が変化する様子を連続的に検出することができる。その結果、未使用の活物質は、使用済みの活物質と比べて、短時間で所定の結晶軸ピークの半値幅が小さくなることを確認でき、電極材の評価を実用的作動条件下で行うことができる。その上、電極材の特性評価を研究室レベルで行うことが可能となる。
また、分析用セルとして、リチウムからなる対極と接して対向するX線透過用窓材を有する分析用セルを用い、当該窓材、対極及びセパレータを介してX線を作用極に照射する構成を採る。このため、作用極における対極と近い領域でのリチウムイオンの吸蔵又は放出による結晶構造の変化をその場で確実に捉えることができる。
の発明は、上記第の発明において、作用極は、リチウム酸化物又はカーボンを成分とする混合物からなり、電気抵抗が低減するようにセパレータと対向する方向に圧縮されていてもよい。
これによれば、作用極の抵抗が低減すると共に、電池の容量を大きくすることができる。
の発明は、上記第又はの発明において、X線透過用窓材は、高分子材料からなる2枚の薄膜の間に金属箔を挟み込んで構成されていてもよい。
これによれば、外部からの酸素がX線透過用窓材を通して対極にまで拡散することを防止できる。また、X線透過用窓材に金属ベリリウム(Be)を用いないため、窓材の取り扱いが容易となる。
の発明は、上記第の発明において、高分子材料はポリイミドであり、金属箔はアルミニウム箔であってもよい。
これによれば、ベリリウム(Be)を用いないX線透過用窓材を確実に作製することができる。
の発明は、上記第の発明において、X線におけるX線透過用窓材の入射面に対する入射角度は45°未満であってもよい。
これによれば、より低い入射角であるほど、測定試料である作用極の浅い領域、すなわち、セパレータを介した対極に近い領域のX線回折プロファイルを得ることができる。
の発明は、上記第1〜の発明において、リチウムイオン電池は車載用であってもよい。
これによれば、ハイブリッド(HV)車、プラグインハイブリッド(PHV)車及び電気自動(EV)車に搭載されるリチウムイオン電池の特性評価及び分析をその場で確実に行うことができる。
本発明によれば、リチウムイオン電池における活物質の電流入出力によるリチウムイオンの吸蔵又は放出する際の変化を電流の入力中の結晶構造の変化から検出することにより、電極材の特性評価をリチウムイオン電池の実用的作動条件下で行うことができる。
図1は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン電池の分析用セルを示す模式的な断面図である。 図2は図1に示す分析用セルにおけるX線の回折位置を示す模式的な断面図である。 図3は本発明の比較例に係るリチウムイオン電池の分析用セルを示す模式的な断面図である。 図4は図3に示す分析用セルにおけるX線の回折位置を示す模式的な断面図である。 図5は本発明の一実施例に係るリチウムイオン電池の分析用セルを示す平面図である。 図6は図5のVI−VI線における分析用セルを示す断面図である。 図7は本発明の一実施形態に係る分析用セルの正極材の活物質に用いるリチウム酸化物の結晶構造を示す模式的な斜視図である。 図8は本発明の一実施形態に係る分析用セルに対して充電を行った場合の充電電位とc軸の各格子定数との関係を示すグラフである。 図9は本発明の一実施形態に係る分析用セルに対して充電を行った場合の充電電位とa軸の各格子定数との関係を示すグラフである。 図10は充電初期(1500秒間)の電圧変化を100秒間隔でプロットしたグラフである。 図11は未使用の電極材を含む試料Aにおける図10の測定1〜測定4のX線回折の各測定結果を示すグラフである。 図12は使用済みの電極材を含む試料Bにおける図10の測定1〜測定4のX線回折の各測定結果を示すグラフである。 図13は図11及び図12における測定番号と(110)回折線の2θ位置との関係を示すグラフである。 図14は図11及び図12における測定番号と(110)回折線の半値幅との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。
(一実施形態)
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
[分析用セル]
まず、本実施形態に係るリチウムイオン電池の「その場」分析用セルについて、図1の模式図を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態に係る分析用セル10は、導電性を持つ電極押さえ材21の上に配置された測定試料である正極材からなる作用極11と、該作用極11の上に配置され、多数の微細な空孔を有し且つリチウムイオンを含む電解液に浸された絶縁体からなるセパレータ12と、該セパレータ12の上に配置されたリチウム箔からなる対極13と、該対極13の上に配置されたX線透過用窓材22と、対極13の周縁部及びX線透過用窓材22の少なくとも周縁部を下面で保持する上蓋24とを含む。これにより、上蓋24と対極13とが導通する。電極押さえ材21の下面は、下蓋(後述)と、該下蓋と電極押さえ材21との間に配設された圧縮ばね(後述)とによって付勢されている。これにより、作用極11は、セパレータ12及び対極13と共に、上蓋24に電池として作用する適当な圧力で密着される。その上、該作用極11は、電極押さえ材21及び圧縮ばねを介して下蓋と導通する。
本実施形態に係る作用極11は、リチウム酸化物からなる活物質を含む正極である。活物質には、例えば、LiCoO、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O、及びLi(Co0.33Ni0.33Mn0.33)O等を用いることができる。また、公知のように、作用極11は、活物質以外にも、導電助材及び結着材を含んでおり、スラリ状の混合溶液として金属箔(集電箔)に塗布され、所定の乾燥及びプレスを経て電極押さえ材21の上面に配置される。このため、外部端子(図示せず)、電極押さえ材21及び作用極11の各界面で発生する接触抵抗を低減することができる。金属箔には、例えば、厚さが10μmから20μmのアルミニウム又は銅を用いることができる。
X線透過用窓材22は、一例として、それぞれ厚さが7μm程度の2枚のポリイミド樹脂の間に、厚さが2μm程度のアルミニウム箔23を挟み、エポキシ樹脂によって互いに貼り合わされて構成されている。このように、アルミニウム箔23をポリイミド樹脂に挟み込むことにより、外部からの酸素がX線透過用窓材22を透して対極13へ拡散することを抑止できる。その上、X線透過用窓材22として、金属ベリリウム(Be)を用いないため、その取り扱いは極めて容易となる。
図2に示すように、X線、例えば銅(Cu)の特性X線(Kα線)を用いて、回折X線の強度を検出する場合には、作用極11における測定部位がセパレータ12に近い領域となることが分かる。これにより、後述するように、比較的に高いCレートの充放電の開始直後の、比較的短期間に、すなわち結晶構造が安定状態に遷移するより前に、作用極11の対極13に近い領域における過渡的なX線回折プロファイルを取得することができるようになる。なお、作用極11における対極13に近い領域の結晶構造を測定するには、X線の入射角度θを比較的に小さい角度(低角度)、すなわち25°未満として、より表面側を入射角25°〜45°程度とすることにより、電極表面から内部にかけて測定することができ、着目する領域に合った入射角とすることが好ましい。
[分析用セル:比較例]
図3を参照しながら、従来のベリリウム(Be)箔をX線透過用窓材22Aに用いた比較例としての分析用セル10Aを説明する。図3に示すように、比較例に係る分析用セル10Aは、導電性を持つ電極押さえ材21Aの上に配置されたリチウム箔からなる対極13Aと、該対極13Aの上に配置され、電解液を含む絶縁体からなるセパレータ12Aと、該セパレータ12Aの上に配置された測定試料である正極材からなる作用極11Aと、該作用極11Aの上に配置されたベリリウム(Be)箔からなるX線透過用窓材22Aとを含む。
比較用の分析用セル10Aにおける作用極11Aは、スラリ状の混合溶液を塗布し乾燥させて作製されており、その後のプレスは行っていない。また、他の方法として、ペレット状に成形した正極試料をX線透過用窓材22Aに押し付けた状態として作製する。
このように、比較用の分析用セル10Aにおいては、作用極11Aをスラリ状の混合溶液から作製する場合は、乾燥後にプレスを行っていないこと、また、作用極11Aにペレット状の試料を用いる場合は、X線透過用窓材22Aとの接触抵抗が大きく、いずれも過電圧が大きくなることから、高Cレートの充放電を実施することができない。
なお、Be箔からなるX線透過用窓材22Aの場合に、スラリ状の混合溶液を乾燥させた後、プレスする場合、金属Beが変形又は破損する不具合を生じる場合がある。
その上、このように作用極11AをX線の入射側に配置する構成の場合は、図4からも分かるように、作用極11における測定部位が、対極13A(セパレータ12A)から離れた領域となることが分かる。この場合には、分析用セル10Aに対して、充放電直後の比較的短期間では、本実施形態に係る作用極11とは異なり、比較例に係る作用極11Aの対極13Aに近い領域における過渡的なX線回折プロファイルを取得することはできない。
以下に、本発明に係る分析用セル10の実施例について図面を参照しながら説明する。
図5及び図6に示すように、本実施例に係る分析用セル10は、電極押さえ材21と、該電極押さえ材21を内部に保持する円筒状のセル本体30と、該セル本体30の上面に接着剤又は複数のねじによって固持される円板状の上蓋24と、セル本体30の下面に接着剤又は複数のねじによって固持される円板状の下蓋25とを有している。ここでは、セル本体30と、上蓋24及び下蓋25とは、それぞれシール材又はOリングによって封止される。
セル本体30には、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いることができる。セル本体30の外形(最大径)は、例えば65mm程度であり、その内径は、例えば35mm程度である。但し、これらの寸法は一例である。また、上蓋24及び下蓋25には、例えばステンレス鋼を用いることができる。
電極押さえ材21は、上面が作用極11と対向して密着するピストン状の押さえ本体部21aと、該押さえ部本体21aの外周面を摺動可能に保持する円筒状の保持部21bとから構成される。押さえ本体部21aには、例えばステンレス鋼を用いることができる。押さえ本体部21aの外形は、一例として20mm程度である。保持部21bには、例えばフッ素樹脂を用いることができる。押さえ部本体21aの下部は、その上部(頭部)から下方に一体に延びる円筒部を有しており、該円筒部には、上述した圧縮ばね32がその下端部を露出するように嵌め込まれている。この圧縮ばね32は、下蓋25の上面を支点として押さえ部本体21aの頭部を上方に付勢する。この付勢力により生じる作用極11と対極13との密着力をリチウムイオン電池が正常に動作する範囲に設定することができる。また、いずれも金属からなる下蓋25、圧縮ばね32及び押さえ部本体21aを通して、作用極11と導通を図ることができる。
なお、上蓋24には、押さえ本体部21aの頂面に対して所定の圧力を印加でき、且つ、照射されるX線の透過を確保するために、X線透過用窓材22の少なくとも一部を露出する開口部を設けてもよい。
また、電極押さえ材21は、必ずしも押さえ本体部21aと保持部21bとを別体に構成する必要はなく、内部短絡を防げる限りは、両者をステンレス鋼により一体に形成してもよい。
[電極材分析方法]
公知のように、リチウムイオン電池の充電時における正極での反応式は、
LiMeO → Li1−xMeO + xLi + xe
(但し、Meは、Ni、Co及びMn等の金属である。)
であり、Liイオンが正極から放出される。
図7は、作用極11の活物質であるLiMeOの結晶構造の単位格子を表している。該単位格子は、a軸と該a軸と互いに直交するc軸を含む正方晶系の単位格子(空間群:R−3m)であり、図中の白丸印○がリチウム(Li)原子である。
図8は、充電を行った場合の単位格子におけるc軸の格子定数の変化を表し、図9は、充電を行った場合の単位格子におけるa軸の格子定数の変化を表している。図8及び図9における充電電位は対極13に対する電位を表す。図8に示すように、c軸の格子定数は、充電電位が4V付近で2%程増大し、その後は初期値よりも小さくなる。また、図9に示すように、a軸の格子定数は、充電電位が4.1V付近で3.8%程減少し、充電完了までほぼ単調に減少することを確認している。
次に、本実施例に係る分析用セル10を用いた測定方法について図面を参照しながら説明する。
まず、試料Aは、未使用電池の電極を作用極11として用い、試料Bは、容量低下が認められた使用後電池の電極を作用極11を試料として用いている。
図10は、充電時間の最初の1500秒間を拡大して示しており、300秒毎に測定する4回分の測定タイミング(測定1〜測定4)を表している。具体的には、1時間で充電又は放電させる1Cレートの電流を連続して流し、活物質の結晶構造が変化する様子を連続的に検出する。活物質におけるX線回折プロファイルのピークは、X線のターゲット材として、銅(Cu)を用いる場合は、2θが63°〜67°に認められる面指数の(108)ピーク及び(110)ピークを用いる。これは、a軸及びc軸の変化を同時に検出することができるため適当である。また、これらのピークを同時に検出する場合は、所定の2θの範囲を同時に検出可能な一次元検出器を用いることが好ましい。
図11は未使用の試料Aの4回分のX線回折の測定結果を表し、図12は使用済みの試料Bの4回分のX線回折の測定結果を表している。それぞれ、図中の1〜4の数字は図10に示す測定順と対応する。試料Aを示す図11のグラフと試料Bを示す図12のグラフとは、いずれも(108)ピークが低角度側にずれており、(110)ピークが高角度側にずれていることが分かる。このことは、図13の測定番号、すなわち測定回数と(110)回折線の2θ位置との関係を示すグラフからも明らかである。
さらに、図14の測定番号、すなわち測定回数と(110)回折線の半値幅との関係を示すグラフからは、2回目の測定では、試料A及び試料Bは、共にグラフの半値幅が大きくなる。しかしながら、未使用の試料Aの場合は、3回目の測定で半値幅が小さくなり、急速に元に戻りつつあることが分かる。これに対し、使用済みの試料Bの場合は、6回目の測定で、試料Aのグラフの半値幅とほぼ同一となる。
ここで、図13に示したグラフのピークの移動は、活物質の充電状態が変化していることを表している。また、図14に示したグラフの半値幅の増大は、活物質の充電状態のばらつき、すなわち結晶格子のサイズのばらつきを表している。
なお、本実施形態においては、充電時のレートを1Cに設定したが、該レートを5C以上に設定すると、分析用セル10における各部位での接触抵抗が増大して、所定の測定を行い難くなるので、3C以下のレートが好ましい。
また、本実施形態及び実施例においては、分析用セル10に対して充電を行う際の正極材の構造及び特性の評価を行ったが、これに限られず、放電を行う際の正極材の構造及び特性評価を行うこともできる。正極の活物質として、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)Oを用いたが、リチウム酸化物であればよく、例えば、Li(NiCoAl)O、Li(NiMnCo)O(但し、いずれもx+y+z=1)、LiCoO、LiMn、及びLiFePO等を用いることができる。
また、測定試料である作用極11を正極としたが、負極を作用極11としても、その構造及び特性評価を行うことができる。
−効果−
以上説明したように、本実施形態に係るリチウムイオン電池の電極材、すなわち活物質の分析方法は、ベリリウム窓材を用いない分析用セル10における対極13と近い領域の結晶構造の変化を測定することができる。
その上、電池に対する充放電時に流す電流のCレートを1C以上の比較的に高レートに設定することにより、充電時の活物質からのリチウムイオンの放出又は放電時の活物質へのリチウムイオンの吸蔵による結晶構造の変化をその場で測定することができる。
例えば、耐久試験を行った実際のリチウムイオンセルから取り出した電極材(使用済みの活物質)と、耐久試験前のリチウムイオンセルから取り出した電極材(未使用の活物質)とでは、未使用の活物質の方が使用済みの活物質よりも、半値幅の増大が早期に収束することが分かり、特性評価の指標とすることができる。
また、本発明は、リチウムイオン電池の電極材の特性評価を研究室レベルで行うことができるということも大きな特徴である。
本発明に係るリチウムイオン電池の電極材分析方法は、リチウムイオンの吸蔵又は放出による結晶構造の変化から電極材の特性の評価をその場、すなわちリチウムイオン電池の実用的作動条件下で分析でき、極めて有用である。
10 分析用セル
11 作用極(測定試料)
12 セパレータ
13 対極(リチウム箔)
21 電極押さえ材
21a 押さえ部本体
21b 保持部
22 X線透過用窓材
23 アルミニウム箔
24 上蓋
25 下蓋
30 セル本体
32 圧縮ばね

Claims (6)

  1. リチウムイオン電池の電極材分析方法であって、
    前記リチウムイオン電池の分析用セルを用意する工程と、
    前記分析用セルに、所定の電流を印加すると共に、所定の波長を持つX線を照射することにより、X線回折プロファイルを取得する工程とを備え、
    前記所定の電流を印加する工程は、
    電極に含まれる活物質の量から計算される容量に対してその容量を1時間で充電又は放電するCレート以上の電流を流し、
    前記分析用セルは、
    前記リチウムイオン電池における測定試料であって、正極材又は負極材からなる作用極と、
    前記作用極に対して、電解液を含むセパレータを挟んで対向するリチウムからなる対極と、
    前記対極と接して対向するX線透過用窓材とを有する、リチウムイオン電池の電極材分析方法。
  2. 請求項に記載のリチウムイオン電池の電極材分析方法であって、
    前記作用極は、リチウム酸化物又はカーボンを主成分とする混合物からなり、電気抵抗が低減するように前記セパレータと対向する方向に圧縮されている、リチウムイオン電池の電極材分析方法。
  3. 請求項又はに記載のリチウムイオン電池の電極材分析方法であって、
    前記X線透過用窓材は、高分子材料からなる2枚の薄膜の間に金属箔を挟み込んで構成されている、リチウムイオン電池の電極材分析方法。
  4. 請求項に記載のリチウムイオン電池の電極材分析方法であって、
    前記高分子材料はポリイミドであり、前記金属箔はアルミニウム箔である、リチウムイオン電池の電極材分析方法。
  5. 請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の電極材分析方法であって、
    前記X線における前記X線透過用窓材の入射面に対する入射角度は45°未満である、リチウムイオン電池の電極材分析方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の電極材分析方法であって、
    前記リチウムイオン電池は車載用である、リチウムイオン電池の電極材分析方法。
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