JP6564558B2 - 棒状化粧料保持体 - Google Patents
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ここで、抜け防止手段の頭部をなくし、受皿中央の足部のみにすれば破断は防げるが、この場合、図12(A)および図12(B)に示す受皿500および棒状化粧料SMの拡大断面図のように、固化した棒状化粧料SMがやはり経時的な体積変化によって膨張・収縮する際に棒状化粧料SMと受皿500の上面510の中央との間に空気が潜入したとき、受皿中央の足部による保持だけでは充分ではなくこの潜入した空気の膨張・収縮の繰り返しによって間隙空間を肥大させるポンプ現象が生じて棒状化粧料SMが浮き上がってキャップの内側天井部位と当接してキャップの内側天井部位を汚してしまう、所謂、天付き不良が生じるという問題があった。
また、正立姿勢にした状態で容器本体の上部側から溶融した化粧料を注入充填すると、充填口および通気口が溶融した化粧料を通過させる程度に充分な大きさの構造であるため、台座部上面側から台座部下面側へ溶融した化粧料が漏れて台座部上面側に溶融した化粧料を充填することができないという問題があった。
また、正立姿勢にした状態で容器本体の上部側から溶融した化粧料を注入充填すると、2つの孔が溶融した化粧料を通過させる程度に充分な大きさの構造であるため、中皿底面上側から中皿底面下側へ溶融した化粧料が漏れて中皿底面上側に溶融した化粧料を充填することができないという問題があった。
ここで、「底部分の中心と筒状部分の筒周壁との間の中間領域または中間近傍領域」とは、底部分の中心から筒状部分の筒周壁までの距離の1/3乃至2/3の範囲内の領域、すなわち、底部分の中心と筒状部分の筒周壁との間を3等分した真ん中の領域をいう。
また、保持ピンの全てに接して溶融状態の化粧料が注がれる仮想内接円の内周側領域が、底部分に形成され、底部分に形成して前記底部分と棒状化粧料との間に潜入した空気を底部分の下方裏面側へ逃がす複数の脱気孔が、保持ピン同士の中間となる位置であって保持ピンの全てに接する仮想外接円の外周側領域となる位置にそれぞれ配設されていることにより、溶融状態の化粧料を注入ノズルで充填する際に、溶融状態の化粧料が、脱気孔の設置位置とは別異の領域、すなわち、注入抵抗のない保持ピンの全てに接する仮想内接円の内周側領域に向けて充填され、この内周側領域から仮想外接円の外周側領域へ流れて保持ピンの相互間の狭い箇所を回り込むように通過して流路が広くなり流速が遅くなったときに脱気孔に到達するため、溶融状態の化粧料による脱気孔の孔内の閉塞を回避して棒状化粧料の経時的な温度変化によって生じがちな潜入した空気を確実に脱気し、棒状化粧料の浮き上がりを防止することができる。
また、複数のリブが周方向で間隔を空けて棒状化粧料と凹凸係合して棒状化粧料と棒状化粧料保持体との周方向の相対的な位置関係が規制されるため、棒状化粧料と棒状化粧料保持体との周方向の相対的な回転を防止することができる。
また、棒状化粧料については、本発明の棒状化粧料保持体に充填、固化して保持可能な固形化粧料であれば如何なるものであっても構わないが、特に、口紅、リップクリーム、リップグロス、コンシーラー、美白用スティック、目元リンクルケア用スティック、ファンデーション、頬紅、チック等の化粧料において、本発明の棒状化粧料保持体を有効に利用することができる。
さらに、棒状化粧料保持体は、棒状化粧料を保持する器状のものであって、棒状化粧料の容器本体内に配設されて上方から溶融した化粧料が流し込まれた後に固化した棒状化粧料を繰り出し自在に保持するものであれば、容器本体の筒型スリーブに対して回転しながら繰り出し方向であるスリーブ軸方向へ移動するものでもよく、筒型スリーブに対して回転せずにスリーブ軸方向へ移動するものでもよい。
これにともない、底部分の形状は、平面視円形状、すなわち、丸底でもよいし、平面視多角形状、すなわち、角底でもよい。
また、保持ピンの設置数は、棒状化粧料を安定して保持するために、底部分を周方向に沿って少なくとも3等分する3本以上であれば、何本でも良いが、棒状化粧料において保持ピンを有する領域と有さない領域との双方においてできるだけ棒状化粧料全体としての均一性をもたせるために、3本〜8本程度が好ましく、4本〜6本程度がより好ましい。
同様に、複数の脱気孔の設置箇所は、保持ピン同士の中間となる位置であって保持ピンの全てに接する仮想外接円の外周側領域となる位置に配設可能な設置箇所であればいくつでもよい。
さらに、脱気孔の形状は、平面視円形状、平面視多角形状など如何なる形状でもよい。
ここで、図1は、本発明の実施例である棒状化粧料保持体100を備えた棒状化粧料容器MCの側断面図であり、図2は、本発明の実施例である棒状化粧料保持体100の概略を示す透視斜視図であり、図3は、図2の符号3−3で観た側断面図であり、図4(A)は、図2の符号4Aで観た平面図であり、図4(B)は、図2の符号4Bで観た底面図であり、図5(A)は、棒状化粧料SMの収縮時の様子を示す平面図であり、図5(B)は、棒状化粧料SMの収縮時の様子を示す側断面図であり、図6(A)は、棒状化粧料SMの膨張時の様子を示す平面図であり、図6(B)は、棒状化粧料SMの膨張時の様子を示す側断面図であり、図7(A)は、棒状化粧料SMの収縮時の様子を示す拡大側断面図であり、図7(B)は、棒状化粧料SMの膨張時の様子を示す拡大側断面図であり、図8(A)乃至図11(B)は、溶融状態の化粧料LMを充填するときの様子を示す平面図である。
このうち、容器外筒CCは、内部に棒状化粧料保持体100と、スリーブSLと、回転筒RCとを収容するように設けられている。
そして、底蓋BCの底蓋周壁BC1が回転筒RCと容器外筒CCとの間に入り込むとともに、底蓋周壁BC1の外周に設けられた凸部(図示しない)が容器外筒CCの内側の凹部(図示しない)に嵌合することにより、底蓋BCが回転筒RCを容器外筒CC内部に固定するように構成されている。
そして、環状リブSL2が複数の爪状突起RC2と螺旋溝RC1の上端との間に係合することにより、スリーブSLが、回転筒RCに対して軸方向の移動を規制されるとともに周方向に回転自在に構成されている。
外装キャップOCは、容器外筒CCに対して着脱自在に設けられ、装着時にスリーブSLを覆うように構成されている。
すると、棒状化粧料保持体100の係合突起121が回転筒RCの螺旋溝RC1およびスリーブSLの保持体用ガイド溝SL1に案内されて、棒状化粧料保持体100がスリーブSLに対してスリーブ上方端開口SL3に接近移動する。
すると、棒状化粧料保持体100の係合突起121が回転筒RCの螺旋溝RC1およびスリーブSLの保持体用ガイド溝SL1に案内されて、棒状化粧料保持体100がスリーブSLに対してスリーブ上方端開口SL3から離間移動する。
これにより、スリーブSL内の棒状化粧料SMがスリーブ上方端開口SL3から出入りする。
図2乃至図4(B)に示すように、本実施例の棒状化粧料保持体100は、棒状化粧料SMの下方部分を正立状態で収容する円筒状の筒状部分110とこの筒状部分110の下方端で棒状化粧料SMを封止する丸底状の底部分120とを備えている。
そして、筒状部分110の筒上方端開口113から溶融状態の化粧料LMを充填・固化してなる棒状化粧料SMを保持するように構成されている。
本実施例の4つの保持ピン122は、一例として略円柱状であり、保持ピン122の直径は、0.5〜3.0mmであり、特に1.0〜2.0mm程度が好ましい。
ここで、「底部分120の中心と筒状部分110の筒周壁111との間の中間領域または中間近傍領域」とは、底部分120の中心から筒状部分110の筒周壁111までの距離の1/3乃至2/3の範囲内の領域、すなわち、底部分120の中心と筒状部分110の筒周壁111との間を3等分した真ん中の領域をいう。
さらに、棒状化粧料SMと保持ピン122の周側面との間で生じる相対的な摩擦力が増加する。
この4つの脱気孔123は、4つの保持ピン122同士の中間となる位置であって保持ピン122の全てに接する仮想外接円Oの外周側領域A1となる位置にそれぞれ配設されいる。
すなわち、棒状化粧料SMと底部分120との間に潜入した空気の膨張・収縮の繰り返しによって間隙空間を肥大させるポンプ現象が回避される。
また、詳しくは後述するように、溶融状態の化粧料LMを注入ノズルNZで充填する際に注入ノズルNZから出たばかりの高温の溶融状態の化粧料LMが脱気孔123上に直に注がれることがない。
この4つのリブ112は、4つの保持ピン122と対向してそれぞれ配置されている。
これにより、図5(B)に示すように、棒状化粧料保持体100内で保持した棒状化粧料SMが経時的な温度変化によって膨張する際、棒状化粧料保持体100の径方向外側に向かって体積変化しようとする力FC1が棒状化粧料SMと凹凸係合するリブ112の周側面で棒状化粧料保持体100の径方向内側に向かうリブ応力(内力)FD1で受け止められて抑制される。
また、4つのリブ112が周方向で間隔を空けて棒状化粧料SMと凹凸係合して、棒状化粧料SMと棒状化粧料保持体100との周方向の相対的な位置関係が規制される。
この迂回突起壁124は、脱気孔123より底部分120の中心寄りの位置で脱気孔123にそれぞれ対向して配置されている。
これにより、詳しくは後述するように、溶融状態の化粧料LMが底部分120の上方表面側の中心から径方向外側へ流れて保持ピン122間の迂回突起壁124に当たって溶融状態の化粧料LMの流れが左右に分散されたり迂回突起壁124を乗り越えるように上方へ分散される。
溶融状態の化粧料LMの注入充填は、棒状化粧料容器MCが組み立てられる工程中の、外装キャップOCの装着前の段階で、スリーブSLのスリーブ上方端開口SL3に樹脂製の注入充填用キャップ(図示せず)が取付けられ、棒状化粧料保持体100がスリーブSL内で最も低い位置に位置する状態で、上方の注入ノズルNZから正立姿勢の棒状化粧料容器MCに対して注入充填用キャップを介して行われる。
すると、溶融状態の化粧料LMは、注入ノズルNZに対向する位置である底部分120の中心、すなわち、注入抵抗のない保持ピン122の全てに接する仮想内接円Iの内周側領域A2に向けて注入される。
言い換えると、注入ノズルNZから出たばかりの高温の溶融状態の化粧料LMが直接脱気孔123上に注がれることがない。
このとき、溶融状態の化粧料LMは、4つの保持ピン122間を通って径方向外側へ移動する。
なお、溶融状態の化粧料LMの流れが、迂回突起壁124を乗り越えるように上方へ分散されてもよい。
本実施例では、迂回突起壁124が、脱気孔123を中心とした平面視円弧形状に形成されている。
これにより、溶融状態の化粧料LMが迂回突起壁124に当たって、溶融状態の化粧料LMの流れが左右に分岐して径方向外側へ向かって脱気孔123の傍を通過するように案内される。
すなわち、溶融状態の化粧料LMが脱気孔123の孔内に浸入せず、溶融状態の化粧料LMが脱気孔123の上方で固化する。
また、溶融状態の化粧料LMは、4つの保持ピン122における棒状化粧料保持体100の径方向外側へ回り込むように移動する。
これにより、溶融状態の化粧料LMが、保持ピン122の全てに接する仮想内接円Iの内周側領域A2に向けて充填され、この内周側領域A2から仮想外接円Oの外周側領域A1へ流れて保持ピン122の相互間の狭い箇所を回り込むように通過して、流路が広くなり流速が遅くなったときに、脱気孔123に到達する。
これにより、底部分120の上方表面側における脱気孔123の孔径を小さくすることができるため、溶融状態の化粧料LMが底部分120へ充填された際に、化粧料LM自体の粘性と表面張力によってより脱気孔123内に入りにくくなり、その結果、脱気孔123の内周面が化粧料LMと接触しにくくなる。
また、本実施例では、脱気孔123の最小孔径が、0.4mm未満である。
これは、空気が脱気孔123を通過するが、粘性のある溶融状態の化粧料LMが入り込まない大きさである。
そして、棒状化粧料保持体100内およびスリーブSL内の化粧料が固化して棒状化粧料SMとなった後、注入充填用キャップがスリーブ上方端開口SL3から取り外される。
その後、スリーブ上方端開口SL3近傍の棒状化粧料SM、すなわち、棒状化粧料SMの先端表面が、カット加工や加熱加工などによりきれいに整えられる。
また、脱気孔123の最小孔径が、0.4mm未満であることにより、容易に脱気孔123を設けることができるなど、その効果は甚大である。
110 ・・・ 筒状部分
111 ・・・ 筒周壁
112 ・・・ リブ
113 ・・・ 筒上方端開口
120 ・・・ 底部分
121 ・・・ 係合突起
122 ・・・ 保持ピン
123 ・・・ 脱気孔
124 ・・・ 迂回突起壁
500 ・・・ 受皿
510 ・・・ 上面
O ・・・ 仮想外接円
I ・・・ 仮想内接円
A1 ・・・ 仮想外接円の外周側領域
A2 ・・・ 仮想内接円の内周側領域
BC ・・・ 底蓋
BC1 ・・・ 底蓋周壁
CC ・・・ 容器外筒
LM ・・・ 溶融状態の化粧料
MC ・・・ 棒状化粧料容器
NZ ・・・ 注入ノズル
OC ・・・ 外装キャップ
RC ・・・ 回転筒
RC1 ・・・ 螺旋溝
RC2 ・・・ 爪状突起
SL ・・・ スリーブ
SL1 ・・・ 保持体用ガイド溝
SL2 ・・・ 環状リブ
SL3 ・・・ スリーブ上方端開口
SM ・・・ 棒状化粧料
Claims (6)
- 棒状化粧料の下方部分を正立状態で収容する筒状部分と該筒状部分の下方端で棒状化粧料を封止する底部分とを備え、前記正立状態にした前記筒状部分の筒上方端開口から充填される溶融状態の化粧料が固化した棒状化粧料を保持する棒状化粧料保持体において、
前記底部分から棒状化粧料に向けて突出して棒状化粧料を保持する複数の保持ピンが、前記底部分を周方向に沿って少なくとも3等分するとともに前記底部分の中心と前記筒状部分の筒周壁との間の中間領域または中間近傍領域にそれぞれ配設され、
前記保持ピンの全てに接する仮想内接円の内周側領域が、前記溶融状態で注入された化粧料を受け止める前記底部分の上方表面に形成され、
前記底部分に形成して前記底部分と棒状化粧料との間に潜入した空気を底部分の下方裏面側へ逃がす複数の脱気孔が、前記保持ピン同士の中間となる位置であって前記保持ピンの全てに接する仮想外接円の外周側領域となる位置にそれぞれ配設され、
前記溶融状態の化粧料が前記筒状部分の筒上方端開口から前記底部分の内周側領域に向かって充填されるように構成されていることを特徴とする棒状化粧料保持体。 - 前記脱気孔が、前記底部分の上方表面側から下方裏面側へ向かって漸次広がるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の棒状化粧料保持体。
- 前記底部分から突起して前記溶融状態の化粧料の流れを迂回させる迂回突起壁が、前記脱気孔より底部分の中心寄りの位置で脱気孔にそれぞれ対向して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の棒状化粧料保持体。
- 前記迂回突起壁が、前記脱気孔を中心とした平面視円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の棒状化粧料保持体。
- 前記底部分の上方表面側から前記筒状部分の筒周壁に沿って上方へ延びた複数のリブが、前記保持ピンと対向してそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の棒状化粧料保持体。
- 前記脱気孔の最小孔径が、0.4mm未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の棒状化粧料保持体。
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