JP6541016B2 - 酸基含有(メタ)アクリレート樹脂及びソルダーレジスト用樹脂材料 - Google Patents

酸基含有(メタ)アクリレート樹脂及びソルダーレジスト用樹脂材料 Download PDF

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Description

本発明は、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関する。
プリント配線基板用のソルダーレジスト用樹脂材料には、エポキシ樹脂をアクリル酸でアクリレート化した後、酸無水物を反応させて得られる酸基含有エポキシアクリレート樹脂が広く用いられている。ソルダーレジスト用樹脂材料に対する要求性能は、少ない露光量で硬化すること、アルカリ現像性に優れること、硬化物における耐熱性や強度、柔軟性、伸び、誘電特性等に優れることなど様々なものが挙げられる。
従来知られているソルダーレジスト用樹脂材料として、1,1−ビス(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタンとアクリル酸、無水テトラヒドロフタル酸を反応させて得られる酸基含有エポキシアクリレート樹脂が知られている(下記特許文献1参照)。特許文献1記載の酸基含有エポキシアクリレート樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を原料とする酸基含有エポキシアクリレート樹脂と比較して耐熱性に優れる特徴を有するものの、硬化物における伸度が非常に低く、硬化物に割れが生じ易く信頼性に劣るため、フレキシブル基板等の柔軟性が求められる用途に適さない等の課題があった。
特開2001−89644号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の反応原料であるエポキシ樹脂として、ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物のポリグリシジルエーテルを必須の成分とする原料エポキシ樹脂と、ポリヒドロキシ化合物との反応生成物を用いることにより、光感度やアルカリ現像性等の性能を維持しつつ、硬化物における伸度と耐熱性のバランスに優れる樹脂材料となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、エポキシ樹脂(A)、不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)、及びポリカルボン酸無水物(C)を必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂であって、前記エポキシ樹脂(A)が、ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)のポリグリシジルエーテルを必須成分とする原料エポキシ樹脂(a1)と、ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂に関する。
本発明はさらに、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物に関する。
本発明はさらに、前記硬化性樹脂組成物の硬化物に関する。
本発明はさらに、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料に関する。
本発明はさらに、前記硬化性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料に関する。
本発明はさらに、前記ソルダーレジスト用樹脂材料からなるレジスト部材に関する。
本発明によれば、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供することができる。
図1は、実施例1で得られた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)のGPCチャート図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂(A)、不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)、及びポリカルボン酸無水物(C)を必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂であって、前記エポキシ樹脂(A)が、ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)のポリグリシジルエーテルを必須成分とする原料エポキシ樹脂(a1)と、ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応生成物であることを特徴とする。
本発明において(メタ)アクリレート樹脂とは、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、或いはその両方を有する樹脂のことをいう。また、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタクリロイル基の一方或いは両方のことをいい、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
前記エポキシ樹脂(A)は、ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)のポリグリシジルエーテルを必須成分とする原料エポキシ樹脂(a1)と、ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応生成物である。当該特徴は、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂を得るための必須の要件である。
前記ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)は、ヒドロキシ基を一つ乃至複数有するナフタレン骨格がアルキレン基で結合された構造を有するものであれば、その他の具体構造は特に限定されず、多種多様なものを用いることができる。好ましい具体例の一つとしては、下記構造式(1)
Figure 0006541016
[式中Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、Rはアルキレン基である。kは1又は2、lは0又は1〜6の整数である。]
で表される化合物が挙げられる。ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記構造式(1)中のRについて、前記脂肪族炭化水素基は直鎖型でも分岐型でもよく、不飽和結合を一つ乃至複数有していてもよい。また、その炭素原子数も特に問わない。中でも、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに一層優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となることから、炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましい。前記アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等、炭素原子数1〜6程度のアルコキシ基が挙げられる。前記ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記構造式(1)中のRについて、アルキレン基の炭素原子数は特に問われない。中でも、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに一層優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となることから、炭素原子数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基であることがより好ましい。
前記構造式(1)中の水酸基について、kは1又は2であり、2つのkは互いに同じ数であってもよいし、異なっていてもよい。水酸基の置換位置は、kが1の場合はRが結合している炭素原子に対し2位であることが好ましい。また、kが2の場合は、Rが結合している炭素原子に対し2位及び7位であることが好ましい。したがって前記化合物(a1)のより好ましいものとしては、下記構造式(1−1)〜(1−3)の何れかで表されるものが挙げられる。
Figure 0006541016
[式中Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、Rはアルキレン基である。lは0又は1〜6の整数、mは0又は1〜5の整数である。]
前記原料エポキシ樹脂(a1)は、前記化合物(p1)のポリグリシジルエーテルの他、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分のうち特に好ましいものとしては、下記構造式(2)
Figure 0006541016
[式中Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、Rはアルキレン基である。kは1又は2、nは0又は1、pは0又は1〜5の整数、qは0又は1〜6の整数である。]
で表される化合物(p2)のポリグリシジルエーテルが挙げられる。化合物(p2)のポリグリシジルエーテルを併用することにより、硬化物の耐熱性が一層高まる。
前記構造式(2)中のR、Rは前記構造式(1)中のものと同義である。構造式(2)中の水酸基について、kは1又は2であり、nは0又は1である。水酸基の置換位置は、kが1の場合はRが結合している炭素原子に対し2位であることが好ましい。また、kが2の場合は、Rが結合している炭素原子に対し2位及び7位であることが好ましい。nが1の場合には、Rが結合している炭素原子に対し7位であることが好ましい。したがって前記化合物(p2)のより好ましいものとしては、下記構造式(2−1)〜(2−4)の何れかで表されるものが挙げられる。
Figure 0006541016
[式中Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、Rはアルキレン基である。pは0又は1〜5の整数、qは0又は1〜6の整数、rは0又は1〜4の整数、sは0又は1〜5の整数である。]
前記原料エポキシ樹脂(a1)は、前記化合物(p2)のポリグリシジルエーテルの他、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ジヒドロキシベンゼン、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;ポリアリーレンエーテル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等を含有していてもよい。
前記原料エポキシ樹脂(a1)はどのように製造されたものであってもよい。例えば、前記化合物(p1)のポリグリシジルエーテルや前記化合物(p2)のポリグリシジルエーテル、その他のエポキシ樹脂をそれぞれ別々に用意して配合してもよいし、各成分の前駆体フェノール樹脂を配合した後に一括でポリグリシジルエーテル化する方法で製造してもよい。前記原料エポキシ樹脂(a1)を製造する一つの好ましい方法としては、例えば、各種のヒドロキシナフタレン化合物と、ホルムアルデヒド或いはアルキルアルデヒドとをアルカリ触媒存在下、20〜150℃程度の温度条件下で反応させてフェノール中間体を得、これをポリグリシジルエーテル化する方法が挙げられる。ヒドロキシナフタレン化合物とアルデヒド化合物との反応割合は、ヒドロキシナフタレン化合物1モルに対してアルデヒド化合物が0.6〜2.0モルの範囲となる割合であることが好ましく、0.6〜1.5モルの範囲となる割合であることがより好ましい。反応終了後は適宜中和や水洗処理を行うことが好ましい。また、必要に応じて再沈殿や精密濾過等の精製処理を行っても良い。
前記アルカリ触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、金属ナトリウム、金属リチウム等のアルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。触媒添加量は、ヒドロキシナフタレン化合物1モルに対し0.2〜2.0モルの範囲であることが好ましい。
反応は必要に応じて有機溶剤中で行っても良い。有機溶剤の選択は反応原料や生成物の溶解性、反応温度条件等により適宜選択されるが、例えば、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒としても良い。
前記フェノール中間体のポリグリシジルエーテル化反応は、公知慣用の方法にて行うことができる。その一例としては、例えば、前記フェノール中間体が含有するフェノール性水酸基1モルに対して2〜10モルのエピハロヒドリンを用い、フェノール性水酸基1モルに対し0.9〜2.0モルの塩基性触媒を一括又は分割添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。
前記原料エポキシ樹脂(a1)は、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、前記化合物(p1)のポリグリシジルエーテルの含有量が20%以上であることが好ましく、20〜65%の範囲であることがより好ましく、25〜50%の範囲であることが特に好ましい。前記原料エポキシ樹脂(a1)が前記化合物(p2)のポリグリシジルエーテルを含有する場合、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記化合物(p2)のポリグリシジルエーテルの含有量は1〜30%の範囲となる割合であることが好ましく、2〜20%の範囲であることがより好ましい。
原料エポキシ樹脂(a1)中の各成分の含有量は、下記条件で測定されるGPCチャート図の面積比から算出される値である。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
前記ポリヒドロキシ化合物(a2)は、前記原料エポキシ樹脂(a1)と反応し得る化合物であれば、その具体構造は特に限定されず、多種多様なものを用いることができる。中でも、原料エポキシ樹脂(a1)との反応性に優れることから、芳香族ポリヒドロキシ化合物が好ましい。芳香族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ポリヒドロキシビフェニル、ポリ(ヒドロキシフェニル)アルカン、その他のビスフェノール化合物等の他、これら化合物の炭素原子上に一つ乃至複数の置換基を有する化合物等が挙げられる。炭素原子上の置換基は脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子挙げられ、其々の具体例は前述の通りである。中でも、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに一層優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となることから、芳香族ジヒドロキシ化合物であることが好ましく、ジヒドロキシナフタレン又はその芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有する化合物が好ましい。
前記原料エポキシ樹脂(a1)と前記ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応は、例えば、反応触媒の存在下、100〜200℃程度の温度範囲で行うことができる。原料エポキシ樹脂(a1)と前記ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応割合は、硬化物における伸度や耐熱性の他、現像性にも優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となることから、前記原料エポキシ樹脂(a1)の総質量に対し、前記ポリヒドロキシ化合物(a2)を0.1〜20質量%の範囲で用いることが好ましく、0.5〜10質量%の範囲で用いることがより好ましい。
前記反応触媒は、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。触媒の添加量は、前記原料エポキシ樹脂(a1)と前記ポリヒドロキシ化合物(a2)との合計質量に対し0.05〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
前記原料エポキシ樹脂(a1)と前記ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応は、必要に応じて有機溶媒中で行ってもよい。用いる有機溶媒の選択は、反応原料及び生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の溶解性や、反応温度条件により適宜選択されるが、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジアルキレングリコールアセテート等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒としても良い。有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1〜5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
前記不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)は、アクリル酸やメタクリル酸等の一分子中に(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基とを有する化合物や、その酸ハロゲン化物、酸無水物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記ポリカルボン酸無水物(C)は、一分子中に二つ以上のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物であれば、いずれのものも利用できる。具体的にはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。ポリカルボン酸無水物(C)はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性に優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となる点では、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等、分子構造中に環状構造を有する化合物の酸無水物が好ましい。また、現像性に優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となる点では、コハク酸無水物が好ましい。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、前記エポキシ樹脂(A)、前記不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)、及び前記ポリカルボン酸無水物(C)を必須の反応原料とするものであればその製造方法は特に限定されず、例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法でも、順次反応させる方法でも、どちらでも良い。中でも、反応の制御が容易であることから、先に前記エポキシ樹脂(A)と不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)とを反応させ、次いで前記ポリカルボン酸無水物(C)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、前記エポキシ樹脂(A)と不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)とを反応触媒の存在下、100〜150℃程度の温度範囲で反応させた後、反応系中にポリカルボン酸無水物(C)を加え、90〜120℃程度の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。また、前記エポキシ樹脂(A)の製造と酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の製造とを連続して行ってもよい。
前記エポキシ樹脂(A)と不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)との反応割合は、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1モルに対し、不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)を0.9〜1.1モルの範囲で用いることが好ましい。また、前記ポリカルボン酸無水物(D)の反応割合は、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1モルに対し、0.2〜1.0モルの範囲で用いることが好ましい。
前記反応触媒は前記原料エポキシ樹脂(a1)と前記ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応で用いるものと同様の化合物が挙げられる。触媒の添加量は反応原料の合計質量に対し0.03〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。前記エポキシ樹脂(A)の製造と酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の製造とを連続して行う場合には、新たに触媒を添加しなくてもよいし、適宜添加してもよい。
反応は、必要に応じて有機溶媒中で行ってもよい。用いる有機溶媒は前記原料エポキシ樹脂(a1)と前記ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応で用いるものと同様の化合物が挙げられる。有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1〜5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、硬化物における伸度や耐熱性の他、現像性にも優れる酸基含有(メタ)アクリレート樹脂となることから、40〜90mgKOH/gの範囲であることが好ましい。なお、本願発明において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価はJIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、分子構造中に重合性の(メタ)アクリロイル基を有することから、例えば、光重合開始剤を添加することにより硬化性樹脂組成物として利用することができる。
前記光重合開始剤は、照射する活性エネルギー線の種類等により適切なものを選択して用いればよい。また、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤と併用してもよい。光重合開始剤の具体例としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾフェノン化合物等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記光重合開始剤の市販品は、例えば、BASF社製「IRGACURE127」、「IRGACURE184」、「IRGACURE250」、「IRGACURE270」、「IRGACURE290」、「IRGACURE369E」、「IRGACURE379EG」、「IRGACURE500」、「IRGACURE651」、「IRGACURE754」、「IRGACURE819」、「IRGACURE907」、「IRGACURE1173」、「IRGACURE2959」、「IRGACURE MBF」、「IRGACURE TPO」、「IRGACURE OXE 01」、「IRGACURE OXE 02」、IGM RESINS社製「OMNIRAD184」、「OMNIRAD250」、「OMNIRAD369」、「OMNIRAD369E」、「OMNIRAD651」、「OMNIRAD907FF」、「OMNIRAD1173」等が挙げられる。
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、硬化性樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計に対し0.05〜15質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂以外の樹脂成分を含有しても良い。該樹脂成分は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸無水物、必要に応じて不飽和モノカルボン酸無水物等を反応させて得られるような、樹脂中にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂や、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、塗工粘度調節等の目的で有機溶剤を含有してもよい。その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜調整される。一般には、硬化性樹脂組成物の合計に対し10〜90質量%の範囲で用いられる。前記溶剤の具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物は、この他、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有しても良い。
本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる特徴を有する。一般に、硬化物の伸度を挙げるためには樹脂構造中に柔軟な構造を導入する必要があるが、この場合、硬化物の耐熱性が著しく低下する傾向にある。本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、これら両立の難しい性能を共に高いレベルで兼備する点において、これまでの技術常識を覆す性能を有する。本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、硬化物における伸度と耐熱性とのバランスに優れる特徴が生かされる用途として、例えば、半導体デバイス関係の用途としては、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層として用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ関係の用途としては、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサーなどに好適に用いることができる。
また、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂は、硬化物における伸度と耐熱性の他、現像性にも優れることから、ソルダーレジスト用途に好適に用いることができる。本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、例えば、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂、光重合開始剤及び各種の添加剤に加え、硬化剤、硬化促進剤、有機溶媒等の各成分を含んでなる。
前記硬化剤は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂中のカルボキシ基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。ここで用いるエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらのエポキシ樹脂の中でも、硬化物における耐熱性に優れることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が50〜120℃の範囲であるものが特に好ましい。
前記硬化促進剤は、前記硬化剤の硬化反応を促進するものであり、前記硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合には、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化剤100質量部に対し1〜10質量部の範囲で用いる。
前記有機溶媒は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂や硬化剤等の各種成分を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料を用いてレジスト部材を得る方法は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60〜100℃程度の温度範囲で有機溶剤を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して紫外線や電子線等にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140〜180℃程度の温度範囲で加熱硬化させる方法が挙げられる。
以下に、実施例および比較例をもって本発明をより詳しく説明する。
エポキシ樹脂(a1)中の各成分の含有量は下記条件で測定されるGPCチャート図の面積比から算出した。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
エポキシ樹脂(a1)のMSデータ、C13NMRは下記装置で測定した。
MS :日本電子株式会社製 二重収束型質量分析装置 AX505H(FD505H)
NMR:日本電子株式会社製 NMR GSX270
本願実施例において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価はJIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定した。
製造例1 エポキシ樹脂(a1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン240g、37質量%ホルムアルデヒド水溶液85g、イソプロピルアルコール376g、48%水酸化カリウム水溶液88gを仕込んだ。窒素を吹き込みながら撹拌を開始し、75℃まで加熱して2時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ108gを添加して中和した。イソプロピルアルコールを減圧下除去し、メチルイソブチルケトン480gを加えた。水200gを加えて水洗する作業を3回繰り返した後、メチルイソブチルケトンを加熱減圧条件下で除去し、水酸基当量は84g/当量のフェノール樹脂中間体245gを得た。
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、先で得たフェノール樹脂中間体84g、エピクロルヒドリン463g、ノルマルブタノール53gを仕込み溶解させた。50℃まで加熱した後、20%水酸化ナトリウム水溶液220gを3時間かけて添加し、更に1時間反応させた。反応終了後、150℃まで加熱して減圧条件下で未反応のエピクロルヒドリンを留去した。得られた粗生成物にメチルイソブチルケトン300gとノルマルブタノール50gとを加えて溶解させた。更に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15gを添加し、80℃で2時間反応させた。洗浄液のpHが中性となるまで水洗した後、系内を共沸させて脱水した。精密濾過後に溶媒を減圧下で留去し、エポキシ樹脂(a1)126gを得た。エポキシ樹脂(a1)の軟化点は95℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は9.0dPa・s、エポキシ当量は174g/当量であった。C13NMRチャートにて203ppm付近にカルボニル基の存在を示すピークを確認した。また、MSスペクトルにて下記構造式(x1)で表される化合物の存在を示す512のピークと、(x2)で表される化合物の存在を示す556のピークとを確認した。エポキシ樹脂(a1)は、下記構造式(x1)で表される化合物を10%、下記構造式(x2)で表される化合物を40%、その他のオリゴマーを50%含有するものであった。
Figure 0006541016
実施例1 酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート105g、先で得たエポキシ樹脂(a1)190gおよび2,7−ジヒドロキシナフタレン5gを仕込んで溶解させた。ジブチルヒドロキシトルエン0.7g、トリフェニルフォスフィン1.3gを添加し、窒素雰囲気下、150℃で2時間反応させた。メトキノン0.1g、アクリル酸74gを加え、空気を吹き込みながら120℃で10時間反応させた。ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート105g、テトラヒドロ無水フタル酸73gを加え、110℃で5時間反応させて、基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)を得た。基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)のGPCチャート図を図1に示す。
実施例2 酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート105g、先で得たエポキシ樹脂(a1)190gおよび2,7−ジヒドロキシナフタレン5gを仕込んで溶解させた。ジブチルヒドロキシトルエン0.7g、トリフェニルフォスフィン1.3gを添加し、窒素雰囲気下、150℃で2時間反応させた。メトキノン0.1g、アクリル酸74gを加え、空気を吹き込みながら120℃で10時間反応させた。ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート87g、無水コハク酸44gを加え、110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)を得た。酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。
比較製造例1 酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1’)の製造
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート87g、1,1−ビス(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン(DIC株式会社製「EPICLON HP−4700、エポキシ当量162g/当量)162gを仕込んで溶解させた。ジブチルヒドロキシトルエン0.6g、熱重合禁止剤としてメトキノン0.1g、アクリル酸72g、トリフェニルフォスフィン1.2gを加え、空気を吹き込みながら120℃で10時間反応させた。ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート95g、テトラヒドロ無水フタル酸64gを加えて110℃で5時間反応させ、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1’)を得た。酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1’)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。
実施例3、4及び比較例1
下記要領で硬化性樹脂組成物を調製し、各種評価試験を行った。結果を表1に示す。
◆硬化物の耐熱性及び伸度の評価
・硬化性樹脂組成物の調製
先で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂100g、DIC株式会社製「EPICLON N−680」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)24g、BASF社製「イルガキュア907」[2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン]5g、BASF社製「IRGACURE TPO」(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)3g、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13gを配合して硬化性樹脂組成物を得た。
・硬化物の作成
ガラス基材の上に硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cmの紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。
・硬化物の耐熱性の評価
硬化物から6mm×40mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度(Tg)とて評価した。
・硬化物の伸度の評価
硬化物から10mm×80mmの試験片を切り出し、引っ張り試験装置(島津製作所社製「機密万能試験器オートグラフAG−IS」)を用いて下記条件で伸度を測定し、評価した。
温度23℃、湿度50%、標線間距離20mm、支点間距離20mm、引っ張り速度10mm/分
◆速乾性、光感度、乾燥管理幅の評価
・硬化性樹脂組成物の調製
先で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂100g、DIC株式会社製「EPICLON N−680」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)24g、東亞合成株式会社製「ルミキュアDPA−600T」(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとをモル比40/60で含有する組成物)10g、BASF社製「イルガキュア907」[2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン]5g、BASF社製「IRGACURE TPO」(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)3g、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13g、顔料としてフタロシアニングリーン0.65gを配合し、ロールミルにより混錬して硬化性樹脂組成物を得た。
・速乾性の評価
ガラス基材の上に硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。塗膜表面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを載せ、更に50gの重りを載せて10秒放置した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム持ち上げた際に張り付きが生じなかったものをA、張り付きが生じたものをBとして評価した。
・光感度の測定
ガラス基材の上に硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、コダック社製のステップタブレットNo.2を介し、メタルハライドランプを用いて1000mJ/cmの紫外線を照射した。これを1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で180秒現像し、残存した段数で評価した。残存段数が多いほど光感度が高い。
・乾燥管理幅の測定
ガラス基材の上に硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃での乾燥時間がそれぞれ30分、40分、50分、60分であるサンプルを作成した。これらを1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で180秒現像し、残渣が残らなかったサンプルの80℃乾燥時間を乾燥管理幅として評価した。乾燥管理幅が長いほどアルカリ現像性に優れる。
Figure 0006541016

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂(A)、不飽和モノカルボン酸又はその誘導体(B)、及びポリカルボン酸無水物(C)を必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂であって、前記エポキシ樹脂(A)が、ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)のポリグリシジルエーテルを必須成分とする原料エポキシ樹脂(a1)と、ポリヒドロキシ化合物(a2)との反応生成物であり、
    前記原料エポキシ樹脂(a1)が、前記ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)のポリグリシジルエーテルに加え、下記構造式(2)
    Figure 0006541016
    [式中R はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、R はアルキレン基である。kは1又は2、nは0又は1、pは0又は1〜5の整数、qは0又は1〜6の整数である。]
    で表される化合物(p2)のポリグリシジルエーテルを含有するものであることを特徴とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  2. 前記ビス(ヒドロキシナフチル)アルカン化合物(p1)が、下記構造式(1)
    Figure 0006541016
    [式中Rはそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子の何れかであり、Rはアルキレン基である。kは1又は2、lは0又は1〜6の整数である。]
    で表される化合物である請求項1記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  3. 前記ポリヒドロキシ化合物(a2)が、芳香族ジヒドロキシ化合物である請求項1記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂。
  4. 請求項1記載の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、光重合開始剤とを含有する硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  6. 請求項記載の硬化性樹脂組成物からなる絶縁材料。
  7. 請求項記載の硬化性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料。
  8. 請求項記載のソルダーレジスト用樹脂材料を用いてなるレジスト部材。
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