JP6539246B2 - Uv光曝露から生じるタンパク質の改変と分解を減ずるまたは排除する方法 - Google Patents

Uv光曝露から生じるタンパク質の改変と分解を減ずるまたは排除する方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般に、タンパク質ベースの分子を、該タンパク質ベースの分子をUV光に曝露することを含む操作中、特にUV−C波長の光を使用するウイルス不活化処理中、分解と改変から保護し、タンパク質を損傷することなくUV−C曝露増加を促進する化合物と処理に関する。
細胞培地および上清のウイルス汚染は、世界中の生物製剤製造者にとっての課題である。細胞上清から大小のエンベロープまたは非エンベロープ(すなわち「裸の」)DNAまたはRNAウイルス粒子を不活化および/または除去するいくつかの方法が採用されている。これらの手法の例には、20nm濾過法、アニオン交換膜クロマトグラフィー法、低pHインキュベーションおよび深層濾過法が含まれる。
上述の手法に加えて、ウイルスを不活化するために、紫外線もタンパク質含有溶液の処理に使用されている。しかし、効率的にウイルスを不活化するためには、溶液を十分な光量のUV−C帯のUV光に曝さなければならない。いくつかの例では、所望するレベルのUV−C光曝露により、この溶液中のタンパク質の望まない改変および/または分解がもたらされ得る。例えば、場合によっては、反応種が溶液中で形成し、溶液中のタンパク質が間接的に酸化または改変し得る;UV−C曝露による他の間接的な改変の機構も可能である。例えば、Cabiscol, et al., (2010) Int. Microbiol, 3:315; Bandyopadhyay et al. (1999) Curr. Sci. 77:658-666; Schoneich, (2005) Biochim Biophys Acta 1703:111-19; Stadtman et al., (2003) Antioxid. Redox. Signal 5:577-82; Stadtman, (1993) Ann. Rev. Biochem. 62:797-821; および Dean et al., (1997) Biochem. J. 324:1-18を参照されたい。
本開示は、UV帯光、より具体的にはUV−C光に曝露された溶液中のタンパク質の酸化、改変および分解を減ずる方法を提供することにより、これらおよび他の課題に取り組む。記載したように、UV−C曝露はウイルス不活化操作の構成要素であり得、溶液中のタンパク質はどのタイプでもよく、例えば、抗原結合タンパク質(例えば、(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質のうちの1または複数)などのタンパク質である。
Cabiscol, et al., (2010) Int. Microbiol, 3:315 Bandyopadhyay et al. (1999) Curr. Sci. 77:658-666 Schoneich, (2005) Biochim Biophys Acta 1703:111-19 Stadtman et al., (2003) Antioxid. Redox. Signal 5:577-82 Stadtman, (1993) Ann. Rev. Biochem. 62:797-821 Dean et al., (1997) Biochem. J. 324:1-18
1つの態様では、タンパク質成分を含む試料中のウイルスを不活化する方法が提供される。1つの実施形態では、方法は、(a)タンパク質成分を含む試料を準備することであって、ここで試料はウイルスを含むことがわかっているかまたはその疑いがある;(b)ウイルスが不活化するUV光の標的光量を特定すること;(c)試料に保護剤を添加して安定化混合物を形成すること;(d)安定化混合物を、選択された出力レベルと選択された波長で選択された時間動作する光源により供給されるUV光に曝すこと;(e)安定化混合物のUV−C曝露レベルを評価すること;および(f)標的光量が安定化混合物に供給されていないことが評価により示された場合は、波長、UV光源出力およびUV光曝露時間のうちの1または複数を調節することを含む。
1つの実施形態では、試料は、クロマトグラフィーカラムプールを含み;特定の実施形態では、プールは、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むHICカラムプール、タンパク質成分を含むSECカラムプール、タンパク質成分を含むIECカラムプール、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラムプールのうちの1または複数を含み得る。別の実施形態では、試料は、クロマトグラフィーカラム溶出物流を含み;特定の実施形態では、溶出物流は、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流のうちの1または複数を含み得る。
他の実施形態では、タンパク質成分は、(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質のうちの1または複数を含み得る。
さらなる実施形態では、ウイルスは、dsDNAウイルス、ssDNAウイルス、dsRNAウイルスおよびssRNAウイルスのうちの1または複数を含み;特定の実施形態では、ウイルスは、アデノウイルス科、アスファウイルス科、ヘルペスウイルス科、イリドウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、サーコウイルス科、ヘパドナウイルス科、パルボウイルス科、ビルナウイルス科、レオウイルス科、アレナウイルス科、ボルナウイルス科(vornaviridae)、ブニヤウイルス科、デルタウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、アルテリウイルス科、アストロウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科(cornonavirdae)、フラビウイルス科、HEV様ウイルス、ノダウイルス科、ピコルナウイルス科、トガウイルス科およびレトロウイルス科(tertroviridae)のウイルス科のうちの1または複数を含み得る。特定の実施形態では、ウイルスはパルボウイルスMVM、レトロウイルスMuLVまたはブニヤウイルスCVVである。
さらに別の実施形態では、保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で試料に添加され、他の実施形態では、保護剤は、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンのうちの1または複数を含み得る。特定の実施形態では、保護剤は、(i)チロシン;(ii)トリプトファン;および(iii)チロシンとトリプトファンのうちの1または複数を含む。
さらなる実施形態では、UV光は、約200nm〜約280nmの範囲の波長を有し;特定の実施形態では、UV光は約254nmの波長を有する。標的光量は、様々な実施形態で、約1mJ/cm、約10mJ/cm、約25mJ/cm、約50mJ/cm、約75mJ/cm、約100mJ/cm、約125mJ/cm、約200mJ/cm、約250mJ/cm、約300mJ/cm、約350mJ/cm、約400mJ/cm、約450mJ/cm、約500mJ/cm、約600mJ/cm、約700mJ/cm、約800mJ/cm、約900mJ/cm、約1000mJ/cmおよび約1000mJ/cm超のうちの1または複数であり得る。
いくつかの実施形態では、方法は、約0.5以上、約1.0以上、約1.5以上、約2.0以上、約2.5以上、約3.0以上、約3.5以上、約4.0以上、約4.5以上、約5.0以上、約5.5以上、約6.0以上、約6.5以上、または約6.5超のウイルス対数減少値(LRV)を提供する。
別の実施形態では、方法は自動化され、さらに別の実施形態では、方法はタンパク質精製操作の1ステップとして実行される。
別の態様では、UV曝露中に生成する反応種の存在から生じるタンパク質の分解または改変を減ずる方法が提供される。1つの実施形態では、方法は、(a)反応種の存在下で分解または改変されるとわかっているかその疑いがあるタンパク質成分を含む試料を準備すること;(b)UV光の標的光量を特定すること;(c)試料に保護剤を添加して安定化混合物を形成すること;(d)安定化混合物を、選択された出力レベルと選択された波長で選択された時間動作する光源により供給されるUV光に曝すこと;(e)安定化混合物のUV−C曝露レベルを評価すること;および(f)標的光量が安定化混合物に供給されていないことが評価により示された場合は、波長、UV光源出力およびUV光曝露時間のうちの1または複数を調節することを含む。
1つの実施形態では、試料は、クロマトグラフィーカラムプールを含み;特定の実施形態では、プールは、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むHICカラムプール、タンパク質成分を含むSECカラムプール、タンパク質成分を含むIECカラムプール、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラムプールのうちの1または複数を含み得る。別の実施形態では、試料は、クロマトグラフィーカラム溶出物流を含み;特定の実施形態では、溶出物流は、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流のうちの1または複数を含み得る。
他の実施形態では、タンパク質成分は、(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質のうちの1または複数を含み得る。
さらに別の実施形態では、保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で試料に添加され、他の実施形態では、保護剤は、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンのうちの1または複数を含み得る。特定の実施形態では、保護剤は、(i)チロシン;(ii)トリプトファン;および(iii)チロシンとトリプトファンのうちの1または複数を含む。
さらなる実施形態では、UV光は、約200nm〜約280nmの範囲の波長を有し;特定の実施形態では、UV光は約254nmの波長を有する。標的光量は、様々な実施形態で、約1mJ/cm、約10mJ/cm、約25mJ/cm、約50mJ/cm、約75mJ/cm、約100mJ/cm、約125mJ/cm、約200mJ/cm、約250mJ/cm、約300mJ/cm、約350mJ/cm、約400mJ/cm、約450mJ/cm、約500mJ/cm、約600mJ/cm、約700mJ/cm、約800mJ/cm、約900mJ/cm、約1000mJ/cmおよび約1000mJ/cm超のうちの1または複数であり得る。
いくつかの実施形態では、方法は、約0.5以上、約1.0以上、約1.5以上、約2.0以上、約2.5以上、約3.0以上、約3.5以上、約4.0以上、約4.5以上、約5.0以上、約5.5以上、約6.0以上、約6.5以上、または約6.5超のウイルス対数減少値(LRV)を提供する。
別の実施形態では、方法は自動化され、さらに別の実施形態では、方法はタンパク質精製操作の1ステップとして実行される。
さらに別の態様では、UV光に供されたタンパク質中のメチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方の酸化を減ずる方法が提供される。1つの実施形態では、方法は、(a)メチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方を含むタンパク質成分を含む試料を準備すること;(b)UV光の標的光量を特定すること;(c)試料に保護剤を添加して安定化混合物を形成すること;(d)安定化混合物を、選択された出力レベルと選択された波長で選択された時間動作する光源により供給されるUV光に曝すこと;(e)安定化混合物のUV−C曝露レベルを評価すること;および(f)UV光の標的光量が安定化混合物に供給されていないことが評価により示された場合は、波長、UV光源出力およびUV光曝露時間のうちの1または複数を調節することを含む。
1つの実施形態では、試料は、クロマトグラフィーカラムプールを含み;特定の実施形態では、プールは、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むHICカラムプール、タンパク質成分を含むSECカラムプール、タンパク質成分を含むIECカラムプール、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラムプールのうちの1または複数を含み得る。別の実施形態では、試料は、クロマトグラフィーカラム溶出物流を含み;特定の実施形態では、溶出物流は、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流のうちの1または複数を含み得る。
他の実施形態では、タンパク質成分は、(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質のうちの1つまたは複数を含み得る。
さらに別の実施形態では、保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で試料に添加され、他の実施形態では、保護剤は、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンのうちの1または複数を含み得る。特定の実施形態では、保護剤は、(i)チロシン;(ii)トリプトファン;および(iii)チロシンとトリプトファンのうちの1または複数を含む。
さらなる実施形態では、UV光は、約200nm〜約280nmの範囲の波長を有し;特定の実施形態では、UV光は約254nmの波長を有する。標的光量は、様々な実施形態で、約1mJ/cm、約10mJ/cm、約25mJ/cm、約50mJ/cm、約75mJ/cm、約100mJ/cm、約125mJ/cm、約200mJ/cm、約250mJ/cm、約300mJ/cm、約350mJ/cm、約400mJ/cm、約450mJ/cm、約500mJ/cm、約600mJ/cm、約700mJ/cm、約800mJ/cm、約900mJ/cm、約1000mJ/cmおよび約1000mJ/cm超のうちの1または複数であり得る。
いくつかの実施形態では、方法は、約0.5以上、約1.0以上、約1.5以上、約2.0以上、約2.5以上、約3.0以上、約3.5以上、約4.0以上、約4.5以上、約5.0以上、約5.5以上、約6.0以上、約6.5以上、または約6.5超のウイルス対数減少値(LRV)を提供する。
別の実施形態では、方法は自動化され、さらに別の実施形態では、方法はタンパク質精製操作の1ステップとして実行される。
SEC−HPLCアッセイにより、3つの異なるpHレベル(pH4.3、5.0および7.0)でモニタリングした、UV−C曝露の関数としての、3つの異なるモノクローナル抗体試料(Mab X、Mab Y、Mab Z)におけるメインピーク変化パーセントのプロットであり;y軸は溶液表面に照射された0mJの光量と比較した値の変化%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。試料は全て、濾過されたウイルス不活化プール(FVIP)であった。 CEX−HPLCアッセイにより、3つの異なるpHレベル(pH4.3、5.0および7.0)でモニタリングした、UV−C曝露の関数としての2つの異なるモノクローナル抗体試料(Mab X、Mab Z)のメインピーク、酸性ピークおよび塩基性ピーク純度のプロットであり;y軸は溶液表面に照射された0mJ/cmの光量と比較して、測定種の分布%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。試料は全て、濾過されたウイルス不活化プール(FVIP)であった。 SEC−HPLCアッセイにより、3つの異なる伝導率レベル(低(30nM HOAc)、標準(100mM HOAc)および高(300mM HOAc))でモニタリングした、UV−C曝露の関数としての3つの異なるモノクローナル抗体試料(Mab X、Mab Y、Mab Z)におけるメインピーク変化パーセントのプロットであり;y軸は溶液表面に照射された0mJ/cmの光量と比較した値の変化%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。 CEX−HPLCアッセイにより、3つの異なる伝導率レベル(低(30nM HOAc)、標準(100mM HOAc)および高(300mM HOAc))でモニタリングした、UV−C曝露の関数としての、2つの異なるモノクローナル抗体試料(Mab X、Mab Z)のメインピーク、酸性ピークおよび塩基性ピーク純度のプロットであり;y軸は溶液表面に照射された0mJ/cmの光量と比較して、測定種の分布%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。試料は全て、濾過されたウイルス不活化プール(FVIP)であった。 SEC−HPLCアッセイにより、3つの異なる濃度(低(6g/L)、標準(12g/L)および高(24g/L))でモニタリングした、UV−C曝露の関数としてのモノクローナル抗体試料(Mab X)のメインピーク濃度のパーセントのプロットであり;y軸は溶液表面に照射された0mJ/cmの光量と比較した値の変化%としてプロットされ、x軸は、溶液成分によるUV吸光度を明らかにする場合、受けられた算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。 SEC−HPLCアッセイによりモニタリングされた、UV−C曝露の関数としてのモノクローナル抗体(Mab X)のメインピーク純度のプロットと3枚のトレースである。プロットはMab Xの2つのペプチドマップ、UV曝露の実施1とUV曝露の実施2を示す。y軸は溶液表面に照射された0mJ/cmの光量と比較した値の変化%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。 溶液表面に照射された10,000mJ/cmのUV曝露後のモノクローナル抗体(Mab X)のアミノ酸残基上で観察された酸化作用を強調したペプチドマップである。425および249位置でのメチオニン残基の酸化がこの極度なUV−C光量への曝露時に観察された。 0、150、375および/または1000mJ/cm光量のUV−C曝露の関数としてのモノクローナル抗体(Mab X)の純度および活性の傾向を要約した表である。ペプチドマップの結果は、光量の増加に従いレベルが増加するタンパク質上の特定のメチオニン残基の酸化を同定する。Mab Xは「対照」と呼ばれ、チロシンは「添加(Add)1」と呼ばれる。 SEC−HPLCアッセイによりモニタリングされた、保護剤の存在および不存在下でのUV−C曝露の関数としてのモノクローナル抗体(Mab X)のメインピーク純度のプロットであり;y軸は測定種の分布としてのメインピーク%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。プロットは、Mab X、UV曝露の実施1およびUV曝露の実施2、無処理反復実施、およびUV曝露「添加2番」のトリプトファンでの保護実施の、3つのペプチドマップを示す。 保護剤およびモノクローナル抗体(Mab Y)の存在および不存在下でのUV−C曝露の関数としてのxmuLV不活化のプロットである。y軸は既知のウイルス負荷スパイクからの相対的な対数減少としてプロットされる(対数減少値(LRV))。x軸は、溶液成分によるUV吸光度を明らかにする場合、受けられた算出光量(mJ/cm)としてプロットされる。試料「対照」(Mab Y)のタンパク質濃度は2g/Lおよび30g/Lであり、試料「添加剤(Additive)1」(Mab Y+チロシン)のタンパク質濃度は2g/Lおよび30g/Lである。 DNAウイルスの不活化に必要なUV−C光量を示す表である。 RNAウイルスの不活化に必要なUV−C光量を示す表である。 予測対数減少値(LRV)対様々なウイルスの不活化に必要なUV光量を示す表である。 大量の安定化試料に対処するために並列運転する複数のUV−C光源を示す概略図である。 SEC−HPLCアッセイによりモニタリングされた、チロシン(TYR)、トリプトファン(TRP)、フェニルアラニン(PHE)、葉酸、メチオニン(MET)およびヒスチジン(HIS)を含む様々な保護剤の存在下でのUV−C曝露の関数としてのモノクローナル抗体(Mab X)のメインピーク純度のプロットであり;y軸は測定種の分布としてのメインピーク%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量としてプロットされる。アミノ酸とMab Xのモル比は20:1である。Mab Xの対照も準備される。 SEC−HPLCアッセイによりモニタリングされた、チロシン(TYR)、トリプトファン(TRP)、フェニルアラニン(PHE)、葉酸、メチオニン(MET)およびヒスチジン(HIS)を含む様々な保護剤の存在下でのUV−C曝露の関数としてのモノクローナル抗体(Mab X)のメインピーク純度のプロットであり、初期純度からの変化%として示され;y軸はメインピーク純度の標準化した変化%としてプロットされ、x軸は溶液表面に照射された算出光量としてプロットされる。アミノ酸とMab Xのモル比は20:1である。Mab Xの対照も準備される。
本開示は、紫外線域のC帯(UV−C、約254nm)の照射を用いてタンパク質含有溶液を処理する方法を提供する。より具体的には、本開示は、タンパク質を安定化させるか、タンパク質改変、例えばメチオニンやトリプトファンなどの残基の酸化を最小限化する化学物質の存在下で、紫外線域のC帯(UV−C、約254nm)の照射を用いてタンパク質含有溶液を処理する方法を提供する。
本明細書で提供されるウイルス不活化処理は、タンパク質損傷、改変または不純化を最小限にしつつ、ウイルスおよびウイルス関連粒子の不活化の可能性を最大限にする慎重なバランスを目標とする。本開示は、溶液をUV−C帯光で処理した際に生成される種による間接的な改変に対し溶液のタンパク質を保護し得る、様々な溶液の添加剤の素性を提供する。いくつかのポリペプチド分子にわたって、特に抗原結合タンパク質(例えばモノクローナル抗体分子)のデータを収集し、UV−Cがタンパク質改変に及ぼす作用を確立した。SEC−HPLC(凝集と二量体化を調べる)、CEX−HPLC(電荷の改変を調べる)、ペプチドマッピング(分子修飾、酸化および他の作用を調べる)、および生物活性(分子の力価を調べる)により測定して、光量レベル(透過されたUV−CのmJ/cm)とタンパク質改変レベルの関係が構築された。
したがって、1つの態様では、本開示はタンパク質成分を含む試料中のウイルスを不活化する方法に関する。方法は、ウイルスを不活化するためにUV光を用いることを含む。開示の方法の1つの有利な点は、試料のタンパク質成分の分解または改変の可能性を最小限化し得る保護剤を包含することである。方法は、フィードバック成分を含み得、この中で保護剤を含む試料は、試料がウイルスを不活化するのに十分な光量のUV光を受けていると同時に、タンパク質を損傷し得る光量のUV光へのタンパク質成分の曝露を最小限にすることを確保するため監視される。この処理は、効率的に試料中のウイルスを排除し得ると同時にタンパク質分解を最小限にし得、大規模運転(試料体積または並列運転のいずれの意味でも)に有利であり得るが、これは特に、この方法が、およそ数リットルの培養を含むベンチスケールから数千リットルの培養を含む生産スケールまで拡大可能であるためである。
別の態様では、本開示は、溶液をUV光に曝露することにより生成し得る反応種などの反応種の存在下でのタンパク質の分解または改変を減ずる方法に関する。タンパク質は、長時間UV光に曝露した結果、分解または改変され得ることが観察されている。タンパク質成分を含む試料中に保護剤を含むことで、タンパク質への損傷は減少または排除され得る。方法は、フィードバック成分を含み得、この中で保護剤を含む試料は、試料がウイルスを不活化するのに十分な光量のUV光を受けていると同時に、タンパク質を損傷し得る光量のUV光へのタンパク質成分の曝露を最小限にすることを確保するため監視される。この処理は、試料のタンパク質成分をタンパク質分解または改変から効率的に保護し得、大規模運転(試料体積または並列運転のいずれの意味でも)に有利であり得るが、これは特に、この方法が、およそ数リットルの培養を含むベンチスケールから数千リットルの培養を含む生産スケールまで拡大可能であるためである。
さらに別の態様では、本開示は、UV光に供されたタンパク質中のメチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方の酸化を減ずる方法に関する。トリプトファンおよびメチオニンは、長時間UV光に曝露した結果、酸化し得ることが観察されている。タンパク質成分を含む試料中に保護剤を含むことで、そのような酸化は減少または排除され得る。方法は、フィードバック成分を含み得、この中で保護剤を含む試料は、試料がウイルスを不活化するのに十分な光量のUV光を受けていると同時に、タンパク質を損傷し得る光量のUV光へのタンパク質成分の曝露を最小限にすることを確保するため監視される。この処理は、試料のタンパク質成分をタンパク質分解または改変から効率的に保護し得、大規模運転(試料体積または並列運転のいずれの意味でも)に有利であり得るが、これは特に、この方法が、およそ数リットルの培養を含むベンチスケールから数千リットルの培養を含む生産スケールまで拡大可能であるためである。
開示の方法の1つの利点は、実験室スケール(典型的にはミリリットルまたはリットルのスケール)からパイロットプラントスケール(典型的には数百リットル)、または産業スケール(典型的には数千リットル)まで、あらゆるスケールで実行され得ることである。さらに、処理は、複数回、平行してまたは順次実行され得る。したがって、処理は自動化に容易に適応可能である。開示の方法の大規模適用は、特に生体分子製造プロセスにおいて所望され得る。
I.定義
本明細書では、「a」「an」とは特に断らない限り単数または複数を意味する。
本明細書では、「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば抗体またはその免疫機能断片を含む)などの選択的結合剤により結合されることができ、動物において使用されてその抗原に結合することができる抗体を産生するのに使用されることもできる分子または分子の一部分を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、例えば抗体と相互作用できる1または複数のエピトープを有し得る。
本明細書では、「抗原結合タンパク質」という用語は、抗原または標的に結合する部分と、所望により、抗原結合部分に抗原結合タンパク質が抗原に結合するのを促進する立体構造を取るのを許容する足場またはフレームワーク部分を含むタンパク質を指す。抗原結合タンパク質の例は、モノクローナル抗体;ヒト抗体;ヒト化抗体;キメラ抗体;組換え抗体;一本鎖抗体;ジアボディ;トリアボディ;テトラボディ;ドメイン抗体;Fab断片;F(ab’)断片;IgD抗体;IgE抗体;IgM抗体;IgG1抗体;IgG2抗体;IgG3抗体;またはIgG4抗体およびそれらの断片を含む。抗原結合タンパク質は、例えば、代替的なタンパク質足場またはグラフト化CDRまたはCDR誘導体を有する人工的足場を含み得る。そのような足場は、限定ではなく、例えば抗原結合タンパク質の3次元構造を安定化するために導入された突然変異を含む抗体由来の足場、並びに例えば生体適合性ポリマーを含む完全合成足場を含む。例えば、Korndorfer et al., (2003) Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics, 53(1):121-129; Roque et al., (2004) Biotechnol. Prog. 20:639-654を参照されたい。さらに、、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)は、足場、ならびにフィブロネクチン成分を利用する抗体模倣体に基づく複数の足場とを形成できる。
抗原結合タンパク質は、例えば天然のイムノグロブリンの構造を有し得る。「イムノグロブリン」は四量体分子である。天然のイムノグロブリンでは、各四量体が2つの同一のポリペプチド鎖の対からなり、各対が1本の「軽」鎖(約25kDa)と1本の「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識を担う、約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主としてエフェクター機能を担う、定常領域を画定する。ヒト軽鎖は、κ軽鎖とλ軽鎖として分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεとして分類され、それぞれ抗体のイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして定義する。軽鎖と重鎖内で、可変領域と定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域により連結され、重鎖は約10以上のアミノ酸の「D]領域も含んでいる。一般には、あらゆる目的でその全容が本明細書に参照として組み込まれるFundamental Immunology 2nd ed. Ch. 7 (Paul, W., ed., Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、完全な(intact)イムノグロブリンが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
天然のイムノグロブリン鎖は、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域により結合されている比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を示す。N末端からC末端まで、軽鎖と重鎖はいずれも、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4の各ドメインを含む。アミノ酸の各ドメインへの割当は、Kabat et al., (1991) “Sequences of Proteins of Immunological Interest”, 5th Ed., US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no. 91-3242の定義に従いなされ得る。Kabatの命名システムを用いて示されるが、所望であれば、本明細書で開示するCDRは、Chothia(Chothia & Lesk, (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917; Chothia et al., (1989) Nature 342:878-883またはHonegger & Pluckthun, (2001) J . Mol. Biol. 309:657-670を参照)などの代わりの命名スキームに従い再定義もされ得る。
本明細書では、「抗体」という用語は、特に断らない限り、完全な(intact)イムノグロブリンまたは完全な(intact)抗体と特異的な結合を競うその抗原結合部分を指す。抗原結合部分は、組換えDNA法により、または完全な(intact)抗体の酵素的または化学的切断により産生され得る。抗原結合部分は、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体(dAb)、相補性決定領域(CDR)を含む断片、1本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディおよびポリペプチドに特異的な抗原結合を与えるのに十分なイムノグロブリンの一部分を少なくとも含むポリペプチドを含む。
Fab断片は、V、V、CおよびC1ドメインを有する一価の断片であり;F(ab’)断片はヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を有する二価の断片であり;Fd断片はVとC1ドメインを有し;Fv断片は抗体の1本の腕のVとVドメインを有し;dAb断片はVドメイン、VドメインまたはVまたはVドメインの抗原結合性断片を有する(米国特許第6,846,634号および同第6,696,245号;および米国特許出願公開第05/0202512号、同第04/0202995号、同第04/0038291号、同第04/0009507号、同第03/0039958号、Ward et al., Nature 341:544-546 (1989))。
一本鎖抗体(scFv)は抗体であり、この中でV領域とV領域がリンカー(例えばアミノ酸残基の合成配列)で接合されて連続的なタンパク質鎖を形成しており、リンカーはタンパク質鎖がそれ自体の上に折り畳まれて一価の抗原結合部位を形成できるのに十分な長さを有する(例えば、Bird et al., (1988) Science 242:423-26およびHuston et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-83を参照)。ジアボディは、2本のポリペプチド鎖を含む二価の抗体であり、各ポリペプチド鎖はリンカーで接合されたV領域とV領域を含むが、リンカーは2つの領域を同一の鎖上で対合させるには短すぎるので、各ドメインに別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインと対合させる(例えば、Holliger et al., (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48およびPoljak et al., (1994) Structure 2:1121-23を参照)。ジアボディの2本のポリペプチド鎖が同一であれば、それらの対合から生じるジアボディは2つの同一の抗原結合部位を有することになる。異なる配列を有するポリペプチド鎖は、2つの異なる抗原結合部位を有するジアボディを作製するのに使用され得る。同様に、トライボディとテトラボディは、それぞれ3本と4本のポリペプチド鎖を有する抗体であり、それぞれ3つと4つの抗原結合部位を形成するが、これらは同じかまたは異なり得る。
所与の抗体の相補性決定領域(CDR)とフレームワーク領域(FR)は、Kabat et al., (1991) “Sequences of Proteins of Immunological Interest”, 5th Ed., US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH Publication no. 91-3242に記載されるシステムを用いて同定され得る。Kabatの命名システムを用いて示されるが、所望であれば、本明細書で開示するCDRは、Chothia(Chothia & Lesk, (1987) J. Mol. Biol. 196:901-917; Chothia et al., (1989) Nature 342:878-883またはHonegger & Pluckthun, (2001) J . Mol. Biol. 309:657-670を参照)などの代わりの命名スキームに従い再定義もされ得る。1または複数のCDRは分子内に共有結合または非共有結合的に組み込まれてそれを抗原結合タンパク質にし得る。抗原結合タンパク質はCDR(複数可)をより大きいポリペプチド鎖の一部として取り込み得、CDR(複数可)を別のポリペプチド鎖に共有結合させ得、またはCDR(複数可)を非共有結合的に組み込み得る。CDRは抗原結合タンパク質を対象の特定の抗原に特異的に結合させる。
抗原結合タンパク質は1または複数の結合部位を有し得る。2以上の結合部位がある場合、結合部位は互いに同一であるか異なり得る。例えば、天然のヒトイムノグロブリンは、典型的には2つの同一の結合部位を有するが、「二特異性」または「二官能性」抗体は2つの異なる結合部位を有する。この二特異型の抗原結合タンパク質は、本開示の態様を含む。
本明細書では、「ヒト抗体」という用語は、ヒトイムノグロブリン配列由来の1または複数の可変および定常領域を有する全ての抗体を指す。1つの実施形態では、全ての可変および定常ドメインはヒトイムノグロブリン配列由来である(完全ヒト抗体)。これらの抗体は様々な方法で調製され得、その例が以下に記載されるが、これには、Xenomouse(登録商標)、UltiMab(商標)、HuMAb−Mouse(登録商標)、Velocimouse(登録商標)、Velocimmune(登録商標)、KyMouse若しくはAlivaMab system由来のマウスまたはヒト重鎖トランスジェニックマウス由来のマウスなどの、ヒト重鎖および/または軽鎖をコードする遺伝子由来の抗体を発現する遺伝子改変マウスを対象抗原で免疫化すること、トランスジェニックラットヒト抗体レパートリー、トラスジェニックウサギヒト抗体レパートリーまたはウシヒト抗体レパートリー、またはHuTarg(商標)テクノロジーを通じる方法が含まれる。ファージベースの手法も利用され得る。
ヒト化抗体は、1または複数のアミノ酸の置換、欠失および/または付加により、非ヒト種由来の抗体の配列と異なる配列を有するので、ヒト化抗体はヒト対象に投与される際に非ヒト抗体と比べて免疫応答を誘発しにくい、および/またはより軽度な免疫応答を誘発する。1つの実施形態では、非ヒト種抗体の重鎖および/または軽鎖のフレームワークおよび定常ドメインのある特定のアミノ酸を変異させてヒト化抗体を産生する。別の実施形態では、ヒト抗体由来の定常ドメイン(複数可)が非ヒト種の可変ドメイン(複数可)に融合される。別の実施形態では、非ヒト抗体の1または複数のCDR配列中の1または複数のアミノ酸残基が、非ヒト抗体がヒト対象に投与される場合にあり得る免疫原性を低下させるように変更され、変更されたアミノ酸残基は、抗体のその抗原に対する免疫特異的結合に重要ではないか、またはアミノ酸配列に与えられた変更は保存的な変更であり、したがってヒト化抗体の抗原への結合は非ヒト化抗体の抗原への結合よりも有意に悪くはない。ヒト化抗体をいかに作製するかの例は、米国特許第6,054,297号、同第5,886,152号および同第5,877,293号中に見出され得る。
本明細書では、「キメラ抗体」という用語は、1つの抗体由来の1または複数の領域と、1または複数の他の抗体由来の1または複数の領域を含む抗体を指す。1つの実施形態では、CDRの1または複数が、選択された標的に結合するヒト抗体由来である。別の実施形態では、CDRの全てが選択された標的に結合するヒト抗体由来である。別の実施形態では、選択された標的に結合する2つ以上のヒト抗体由来のCDRが混合されキメラ抗体中で合わせられる。例えば、キメラ抗体は、選択された標的に結合する第1ヒト抗体の軽鎖由来のCDR1と、選択された標的に結合する第2ヒト抗体軽鎖由来のCDR2およびCDR3と、選択された標的に結合する第3抗体由来の重鎖由来のCDR(複数)を含み得る。さらに、フレームワーク領域は、選択された標的に結合する同一の抗体のうちの1つに、ヒト抗体などの1または複数の異なる抗体に、またはヒト化抗体に、由来し得る。キメラ抗体の一例では、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種由来または特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体と同一であるか、相同性があるか、それに由来し、鎖(複数可)の残りの部分は、別の種由来または別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体(単数または複数)と同一であるか、相同性があるか、それに由来する。所望の生物活性(例えば選択された標的に特異的に結合する能力)を示す、そのような抗体の断片も含まれる。
本明細書では、「Fc」と「Fc領域」という用語は交換可能に使用され、ヒトまたは非ヒト(例えばマウス)のCH2およびCH3イムノグロブリンドメインを含むか、ヒトまたは非ヒトのCH2およびCH3イムノグロブリンドメインと少なくとも90%同じである2つの近接した領域を含む抗体の断片を指す。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合およびC3ドメインの疎水性相互作用により1つにまとまっている。FcはFc受容体と相互作用する能力を有し得るが、必須ではない。例えば、その全容が参照として本明細書に組み込まれる、William E. Paul, ed., Fundamental Immunology, Second Edition, 209, 210-218 (1989)中、Hasemann & Capra, “Immunoglobulins: Structure and Function”を参照されたい。
本明細書では、「Fc融合」と「Fc融合タンパク質」という用語は交換可能に使用され、Fcドメインに共有結合されたペプチドまたはポリペプチドを指す。
本明細書では、「タンパク質」と「ポリペプチド」という用語は交換可能に使用され、ペプチド結合により連結された少なくとも5つの天然または非天然のアミノ酸の任意の鎖を意味する。
本明細書では、「ペプチボディ」という用語は、所望によりリンカーによりFcドメインと接合された1または複数の生理活性のあるペプチドを含むポリペプチドを指す。ペプチボディの例については、米国特許第6,660,843号、米国特許第7,138,370号および米国特許第7,511,012号を参照されたい。
本明細書では、「Fab’断片」という用語は、1本の軽鎖と、VドメインとC1ドメインおよびC1とC2ドメインの間の領域も含む1本の重鎖の一部分を含み、したがって2つのFab’断片の2本の重鎖間に鎖間のジスルフィド結合が形成されてF(ab’)分子が形成される、構造体を指す。
本明細書では、「F(ab’)断片」という用語は、2本の軽鎖とC1とC2ドメインの間の定常領域の一部分を含む2本の重鎖を含み、したがって2本の重鎖の間に鎖間のジスルフィド結合が形成される、構造体を指す。したがって、F(ab’)断片は、2本の重鎖間のジスルフィド結合により1つにまとめられた2つのFab’断片からなる。
本明細書では、「Fv領域」という用語は、重鎖と軽鎖の両方に由来する可変領域を含むが定常領域をもたない構造体を指す。
本明細書では、「ドメイン抗体」という用語は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含む、免疫学的機能を有するイムノグロブリン断片を指す。いくつかの例では、2つ以上のV領域がペプチドリンカーで共有結合され、二価のドメイン抗体を生成する。二価のドメイン抗体の2つのV領域は、同一または異なる抗原を標的にできる。
本明細書では、「ヘミボディ」という用語は、1本の完全重鎖、1本の完全軽鎖、および該完全重鎖のFc領域と対合された1つの第2重鎖Fc領域を含む、免疫学的機能を有するイムノグロブリン構築物を指す。必須ではないが、リンカーが、重鎖Fc領域と第2重鎖Fc領域を接合するのに使用され得る。特定の実施形態では、ヘミボディは、本明細書で開示される抗原結合タンパク質の一価の形態である。他の実施形態では、電荷を帯びた残基の対を使用して1つのFc領域を第2のFc領域に連結し得る。
本明細書では、「二価抗原結合タンパク質」または「二価抗体」という用語は、2つの抗原結合部位を含む抗原結合タンパク質または抗体を指す。いくつかの例では、2つの結合部位は、同一の抗原特異性を有する。二価抗原結合タンパク質と二価抗体は、本明細書で記載するように、二特異性であり得、本開示の態様を形成し得る。
本明細書では、「多特異性抗原結合タンパク質」または「多特異性抗体」という用語は、タンパク質成分との関連で使用される場合、2つ以上の抗原またはエピトープを標的とするものであり、本開示の別の態様を形成する。
本明細書では、「二特異性」、「二重特異性」または「二官能性」という用語は、抗原結合タンパク質または抗体タンパク質成分との関連で使用される場合、それぞれ2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。二特異性抗原結合タンパク質および抗体は、多特異性抗原結合タンパク質または多特異性抗体の種であり、限定ではなくハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む様々な方法で産生され得る。例えば、Songsivilai and Lachmann, (1990) Clin. Exp. Immunol. 79:315-321; Kostelny et al., (1992) J. Immunol. 148:1547-1553を参照されたい。二特異性抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は、同一または異なるタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。
本明細書では、「プロテインA」という用語は、ブドウ球菌プロテインAと同一であるか実質的に同じ任意のタンパク質を意味し、市販のおよび/または組換え型のプロテインAを含む。本発明の目的では、プロテインAは、具体的には、1つのサブユニット(例えばBサブユニット)が2回以上複製されて一続きの配列に連結されて組換えプロテインA分子を形成しているMab Select SuRe(商標)培地(GEヘルスケア社)などの改変されたプロテインA由来の培地、および他の非天然プロテインA分子を含む。
本明細書では、「プロテインG」という用語は、レンサ球菌プロテインGと同一であるか実質的に同じ任意のタンパク質を意味し、市販のおよび/または組換え型のプロテインGを含む。プロテインAおよびGは、しばしばアフィニティークロマトグラフィーによる抗原結合タンパク質(例えば抗体、ペプチボディおよびFc領域を含む他の融合タンパク質)の精製に使用される。例えばVola et al. (1994), Cell Biophys. 24-25: 27-36; Aybay and Imir (2000), J. Immunol. Methods 233(1-2): 77-81; Ford et al. (2001), J. Chromatogr. B 754: 427-435を参照されたい。プロテインAおよびGは、これらのタイプのタンパク質のFc領域に結合するので、この点で便利である。IgG抗体のFc領域を含む組換え融合タンパク質は、同様の方法を用いて精製され得る。プロテインAおよびGは、分離マトリックスの吸着剤成分として、開示の方法において使用され得る。
本明細書では、「単離する」および「精製する」という用語は交換可能に使用され、異質性要素、例えば対象のタンパク質を含む試料中に存在し得るタンパク質またはDNAなどの生物学的巨大分子の量を1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%以上減ずることを意味する。異質性タンパク質の存在は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動および染色および/またはELISAアッセイを含む任意適切な方法でアッセイされ得る。DNAおよび他の核酸の存在は、ゲル電気泳動および染色および/またはポリメラーゼ連鎖反応を用いるアッセイを含む任意適切な方法によりアッセイされ得る。
本明細書では、「保護剤」および「添加剤」という用語は交換可能に使用され、UV−C光量レベルに応答してのタンパク質改変の程度を限定または調節する能力のある化合物を意味する。開示の方法における使用に適した保護剤の非限定的リストは、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンのうちの1または複数を含む。「保護剤」という用語は、単独の化合物並びにチロシンとトリプトファンなどの互いにどのような比率でもあり得る化合物の併用を包含する。本明細書で記載するように、全UV吸光度へのチロシンの貢献度が最も低い。
本明細書では、「UV光の光量」という用語は、標的にUV光として照射されるエネルギー量を意味する。標的に照射されるUV光の光量は、強度と曝露時間の関数である。「UV光の光量」の例の非限定的なリストには、約1mJ/cm、約10mJ/cm、約25mJ/cm、約50mJ/cm、約75mJ/cm、約100mJ/cm、約125mJ/cm、約200mJ/cm、約250mJ/cm、約300mJ/cm、約350mJ/cm、約400mJ/cm、約450mJ/cm、約500mJ/cm、約600mJ/cm、約700mJ/cm、約800mJ/cm、約900mJ/cm、約1000mJ/cmおよび約1000mJ/cm超が含まれる。
本明細書では、「UV光」という用語は、光スペクトルの少なくとも10nmと最大400nmの間の波長を有する領域を意味する。例として、「UV光」という用語は、約200nm〜約280nmの範囲の波長を有する、約254nmの波長を含む光を包含する。本明細書で提供される方法では、UV光は、一様な柱状でフィルターを通して照射され得;したがって、一様な柱状および非柱状のUV、ならびにフィルターを通したUV光およびフィルターなしのUV光が「UV光」という用語に包含される。
本明細書では、「タンパク質成分を含む試料」という用語は、少なくとも水性成分とタンパク質成分を含む液体のアリコートを意味する。様々な実施形態において水性成分は緩衝剤を含み得る。タンパク質成分は、ペプチド結合により接合された2つ以上のアミノ酸を含む任意の種を含み得る。タンパク質成分は天然のアミノ酸20個の全て複数個またはゼロ個を含み得、該タンパク質成分の残りの部分は任意の非天然アミノ酸を含み得る。したがって、本明細書で提供される方法は、1または複数の天然アミノ酸、または1または複数の非天然アミノ酸を含むタンパク質を含む試料について実行され得る。様々な実施形態において、タンパク質成分を含む試料中のタンパク質は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、Fcドメイン;ペプチド;Fc融合タンパク質;および治療用タンパク質である。
本明細書では、「反応種」という用語は、別の成分と反応できるかし得る、その反応成分の改変または酸化をもたらす任意の溶液成分を意味する。「反応種」の例の非限定的なリストは、酸素イオン(例えばO2−)、ヒドロキシルイオン(例えばOH)および過酸化物(例えばH)を含む。
本明細書では、「水分ファクター」という用語は、式:
Figure 0006539246
により計算される値であり、ここでα=溶液の吸光度であり、lは光路長(メートル)である。
II.試料中のウイルスを不活化する方法
ウイルス不活化は、治療用途のタンパク質溶液の調製において重要なステップである。事実、様々な監督機関がウイルス不活化基準を構築し、様々な業者がこの問題に取り組んでいる。ウイルス不活化技術は、フィルター技術、HTSTおよびUV−C技術を含む多くの方面で開発されている。これらの技術は各々強みを有すると同時に欠点を有する。UV−Cの場合、有効かつ効率的なウイルス不活化手法であるが、タンパク質をUV−C光に長時間曝露するとタンパク質分解および/または酸化につながり得ることが観察されている。かくして、UV−C技術は有効なウイルス不活化手法であるが、タンパク質を含む試料を高光量のUV−C光に曝露すると、タンパク質自体に有害作用が生じ得る。したがって、本開示の1つの態様では、タンパク質成分を含む試料中のウイルスを不活化するのに必要な高光量のUV−C光が使用され得る一方で同時にタンパク質自体への可能な損傷を減少または排除する方法が提供される。したがって、タンパク質成分を含む試料中のウイルスを不活化する方法が提供される。1つの実施形態では方法は以下のように実行され得る。
まず、タンパク質成分を含む試料が準備されるが、ここで試料はウイルスを含むことがわかっているかまたはその疑いがある。タンパク質成分を含む試料は、タンパク質を含む限りはどのような組成であってもよい。例えば、試料は、プールにまとめられたクロマトグラフィーカラムからの溶出物を含み得る。この実施形態では、クロマトグラフィーカラムプールはどのタイプのクロマトグラフィー操作から集めてもよい。クロマトグラフィーカラムプールの例には、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むHICカラムプール、タンパク質成分を含むSECカラムプール、タンパク質成分を含むIECカラムプール、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラムプールが含まれる。
タンパク質成分を含む試料は、クロマトグラフィーカラム溶出物流も含み得る。例えば、溶出物流は、クロマトグラフィーカラムから出た時に獲得され得るので、この方法はインサイツかつリアルタイムで実行できる。クロマトグラフィー溶出物流の例には、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流が含まれる。
開示の方法はあらゆるタイプのタンパク質成分を含む試料に適用され得るが、特にタンパク質ベースの治療との関連で有益であり、この分野ではウイルス不活化基準が採用されている。したがって、1つの例では、タンパク質成分を含む試料は、タンパク質ベースの医薬分子を含む試料である。特定の実施形態では、開示の方法の試料のタンパク質成分は、抗原結合タンパク質(例えば(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質の1つまたは複数)、Fcドメイン、ペプチドおよび治療用タンパク質を含む。これらのタイプの分子は一般に治療用分子の様態として同定される。抗体抗原結合タンパク質に関して、本明細書で記載するように「抗体」という用語は完全ヒト抗体、ヒト化抗体または完全非ヒト(例えばマウス)抗体を指し、開示の方法はこれらの全タイプの分子に適用され得る。
開示の方法の様々な実施形態において、開示の方法により処理される試料は、ウイルスの不活化が望ましい細胞を含む試料であり得る。そのような試料の例としては、ウイルスの不活化が望ましい、血小板細胞、CHO細胞または大腸菌などの細菌細胞を含む試料が含まれる。そのような試料は細胞培養物を含み得る。これらの実施形態では、方法は、細胞を含む試料をタンパク質成分を含む試料に置き換えて、記載どおりに実行され得る。
UV−Cウイルス不活化は、タンパク質成分を含む試料または血小板などの細胞を含む試料にもっとも一般的に適用されるが、それは要件ではなく、他の実施形態では、開示の方法は、タンパク質成分を含まない試料からウイルスを除去するのにも使用され得る。
1つの態様では、開示の方法は、タンパク質成分を含む試料に意図せず導入され得るウイルスの不活化に関する。タンパク質生産過程に意図せず導入されるウイルスの有力源は、汚染された原材料または製造作業者による曝露を含む。開示の方法の1つの利点は、あらゆるタイプのウイルスに使用でき、ウイルスがエンベロープであろうが非エンベロープであろうが関係ないことである。したがって、方法は、二本鎖DNAウイルス、一本鎖DNAウイルス、二本鎖RNAウイルスおよび一本鎖RNAウイルスに適用され得る。開示の方法を用いて不活化され得る、事実上そのウイルス科全メンバーを含むウイルス科の例としては、アデノウイルス科、アスファウイルス科、ヘルペスウイルス科、イリドウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、サーコウイルス科、ヘパドナウイルス科、パルボウイルス科、ビルナウイルス科、レオウイルス科、アレナウイルス科、ボルナウイルス科(vornaviridae)、ブニヤウイルス科、デルタウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、アルテリウイルス科、アストロウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科(cornonavirdae)、フラビウイルス科、HEV様ウイルス、ノダウイルス科、ピコルナウイルス科、トガウイルス科およびレトロウイルス科(tertroviridae)が挙げられる。治療用タンパク質生産過程に特に関連があり得る特定の実施形態では、開示の方法を用いて不活化され得るウイルスとして、パルボウイルスMVM、レトロウイルスMuLVまたはブニヤウイルスCVVが挙げられる。
方法の続きであるが、ウイルスが不活化されるUV光の標的光量が特定される。UV−Cを用いてもっとも有効かつ効率的にウイルスを不活化するためには、所望の結果が得られるUV−Cの標的光量を特定するのが望ましい。開示の方法は不活化されるウイルスのタイプに対しUV−C曝露条件(まとめて「UV−C光量」を構成する)を最適化しなくとも実行され得、方法は任意の便利なUC−C光量で実行され得るが、方法の効率性は、不活化されるウイルスに特定の標的光量を特定することで増大し得る。一部のウイルスはUV−C光により不活化される条件が同じであり得、適切な曝露条件を選択することで、2種類以上のウイルスが開示の方法の1回の操作で不活化され得ることに注意されたい。様々なDNAおよびRNAを含むウイルスのUV感受性を特定するための様々な研究がなされている。例えばLytle & Sagripanti, (2005) J Virol. 79:14244-252およびKnipe et al., (2007) Field’s Virology, Lippincott Williams & Wilkins(本明細書に参照として組み込まれる)並びに図11と図12を参照されたい。
続けて、次に試料に保護剤を添加して安定化混合物を形成する。保護剤の1つの機能は、試料をUV−C光に曝露した結果として生じ得る一切の改変または分解を減ずるかまたは排除するように、試料の成分、例えば試料中のタンパク質を分解または改変し得る反応種を除去することである。より具体的には、溶液を特定の操作、例えばウイルスの不活化に必要な光量のUV−C光に曝露すると、反応種が生じ得る。いくつかの場合、試料中にこれらの反応種が存在すると、例えばタンパク質を含む試料成分が間接的に酸化することで、望ましくない改変につながり得る。他の場合、試料中にこれらの反応種が存在することは、試料成分の間接的な改変にも寄与し得る。本明細書で記載するように、タンパク質改変および/または分解の可能性は、ウイルス不活化法におけるUV−C光の使用と関連する課題の一つである。
タンパク質を分解または改変し得る反応種の例は、酸素イオン(例えばO2−)、ヒドロキシルイオン(例えばOH)および過酸化物(例えばH)などの反応種を含む。これらおよびその他の反応種は一般的に、有効なウイルス不活化にしばしば必要とされる高光量のUV−C光に溶液を曝露している間に生成するので、試料をUV光に曝露する前に保護剤を加えるのが好ましい。
全ての化学種が保護剤として使えるわけではない。事実、本明細書で示される実施例で概説するように、適切な保護剤を特定するために詳細な研究が行われた。適切な保護剤は、UV−C曝露中に生成するような、試料中のあらゆる反応種を除去する能力をもつ化合物であり、その結果としてこれらの反応種が試料の成分(例えばタンパク質)に及ぼす作用が保護剤の不存在下で反応種が試料成分に及ぼすよりも減少する。いくつかの場合、UV−C操作中に生じる反応種への曝露による試料成分の分解または改変は、保護剤を使用して完全に排除され得る。
試料中に存在するあらゆる反応種の望ましくない結果を中和する有効性に加えて、保護剤の選択に際し別途考慮されるのは、UV−C曝露後それを試料から回収するのに関する困難である。開示の方法が、抗原結合タンパク質(例えば(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質の1つまたは複数)または治療用タンパク質などの治療用分子を含む試料に適用される場合、この考慮は非常に重要な要素となる。製品品質に関する規制上の制限により、保護剤の望ましい特性は、それが保護機能を果たした後に試料から回収する能力である。
上述の望ましい保護剤の特性を全て考慮し、適切な保護剤のリストが提供され、限定ではなくチロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンが含まれる。様々な実施形態において、保護剤は2つ以上の化合物を様々な割合で含む。例えば、保護剤は、チロシン、トリプトファン、またはチロシンとトリプトファン両方をあらゆる所望の割合で含み得る。保護剤の精密な組成と併用の割合は、経験的におよび/または本明細書に記載のように決定され得る。
追加の保護剤が、本開示を手引きとして用いて容易に特定され得る。そのような1つの選別において、候補保護剤がタンパク質を含む試料に加えられ、1または複数のウイルスを不活化するのに適切な光量でUV−C光に曝露され(関連のUV−C光量の構築には、図11と図12並びに本明細書に提供される参照文献が手引きとして使用され得る)、次いで検査しタンパク質の分解または改変の程度が決定され得る。これに関し、標準的なクロマトグラフィーおよび分析の手法が使用され得る。例えば、タンパク質の改変を評価するのにIECが使用され得、タンパク質分解を検査するのにSECまたは質量分析法が使用され得る。
開示の方法で使用される保護剤はどのような濃度で添加してもよい。好ましい実施形態では、保護剤は、試料の成分の改変または分解を効果的に減ずるまたは排除する濃度で添加される。保護剤の量は、保護剤の特定と類似の態様で決定され得る。すなわち、選択された保護剤は試料に初期濃度で添加され得、試料はUV−C光に曝露され、試料成分(たとえばタンパク質)の分解および/または改変の程度は構築された方法を用いて判定される。保護剤の特定の場合と同様に、適切な手法にはIEC、SECおよび質量分析法が含まれる。タンパク質成分が所望の程度に保護されていない場合、必要とされる程度の保護が得られる濃度が特定されるまで評価が繰り返され得る。1つの特定の実施形態では、保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で試料に添加される。言い換えると、保護剤は、1mMの保護剤と200mMのタンパク質(すなわち1:200)よりも保護剤が大きい濃度比で試料に添加され得る。使用され得る他の濃度比は、1:180、1:170、1:160、1:150、1:140、1:130、1:120、1:110、1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、1:50、1:40、1:30、1:20または1:10を含む。
提供される保護剤と保護剤の濃度は記載したように使用され得るが、追加の保護剤と保護剤の濃度の特定は経験的マトリックスタイプの手法を用いて容易に実行できる。そのような手法の一例では、マトリックスは、様々な候補保護剤を具現化する一方の軸と、様々な保護剤レベルを具現化するもう一方の軸で構築され得る。実験を記載したように行って(例えば、SEC、IECおよび/または質量分析法を用いて所与の保護剤および濃度の効果を評価する)、マトリックスを好ましい保護剤およびそれらの保護剤の好ましい濃度で埋める。この手法は、さらに追加の保護剤および保護剤の濃度を提供しよう。
タンパク質成分を含む試料と保護剤を含む安定化混合物を形成した後、この安定化混合物を、選択された出力レベルと選択された波長で選択された時間動作する光源により供給されるUV光に曝露する。これらのパラメータの組合せは本明細書ではまとめてUV−C光量と呼ばれる。開示の方法で使用され得る光源の例には、Newport Oriel(登録商標)Flood UV−C光源、例えばモデル97536が含まれる。
UV−C光源は好ましくはある範囲の出力レベルに調節できるようにされている。好ましい出力レベルの範囲は約1mJ〜約1000mJである。特定の例では、UV−C光源は、約1mJ、約10mJ、約25mJ、約50mJ、約75mJ、約100mJ、約125mJ、約200mJ、約250mJ、約300mJ、約350mJ、約400mJ、約500mJ、約600mJ、約700mJ、約800mJ、約900mJまたは約1000mJを照射できる。UV−C光源の望ましい別の特徴は、第1出力レベルから第2出力レベルに、モニターからのフィードバックに応答して自動で、またはオペレータにより手動で、切り替えができることである。
UV−C光源はまた、好ましくは、UV−C光をある範囲の波長で照射できるようにされている。好ましい波長は、UVスペクトルの全C帯に対応する約200nm〜約280nmの範囲である。特に好ましい実施形態では、波長は約254nmである。
保護剤または保護剤の組合せを試料に添加して安定化混合物を形成する場合、安定化混合物の吸光度は保護剤を添加していない試料の吸光度と異なり得る。例えば、添加された保護剤(複数可)または安定化試料中に存在する他の化合物(例えば緩衝剤成分、溶解剤など)は、試料が曝露されているUV光の一部を吸収し得る。これにより、試料中に存在する何らかのウイルスに透過される有効なUV光が減少し、ひいてはウイルス不活化が低下し得る。
保護剤(複数可)および/または他の溶液成分の固有の吸光度を明らかにし、安定化混合物がUV−C光の標的光量を確実に受けるように、フィードバックループが使用され得、ここでUV光曝露のプロパティーは混合物のUV吸光度の評価に応じて異なる。したがって、UVC曝露装置に入る混合物の吸光度を評価した後、装置から出てくる安定化混合物が標的光量を確実に受けているように、装置内での曝露プロパティー(例えばランプ出力、レジデンスタイムまたは他の手段)が一過的に変更され得る。そのような評価は、代替的に、装置から出る混合物の吸光度を測定することにより、または装置内の混合物を測定することにより、なされ得る。1つの実施形態では、そのような評価は、254nmなどの特定の波長で試料の吸光度をモニタリングしてなされ得る。吸光度のデータは、受光量の判定に使用され得、試料中に含まれ得る成分(例えばタンパク質、保護化学物質、または他の溶液化学物質)による紫外線吸光度を考慮しての照射エネルギー量の調整量として定義され得る。1つの実施形態では、評価は、溶液表面の光源出力を測定してなされ得る。あるいは、光源出力はランプ表面で測定され得る。さらに、ランプが消費する電力が、光源出力を評価するのに測定され得る。
評価により安定化試料中の保護剤(複数可)の吸光度による受光量の減少が示されることが期待される。したがって、評価によりUV光の標的光量が安定化混合物に照射されていないことが示された場合、波長、UV光源出力およびUV光曝露時間のうちの1または複数が次いで調節される。
1つの実施形態では、UVC放射の平行ビームを受けるよく混合される容器の光量は、式:
Figure 0006539246
を用いて調節され得、ここでα=溶液の吸光度であり、lは光路長である。例えば、Bolton, (2003) ASCE, 129(3): 209-215を参照されたい。所与のウイルス不活化操作用の水分ファクターを決定後、UV光の標的光量を水分ファクターで除算して処理の曝露時間を決定する。別の実施形態では、UVC放射を受ける非混合容器(例えば薄膜処理リアクタまたは同等のもの)の光量は、式:
光量〜(P/Q)exp(−al)=(P/Q)exp(−al)
を使用して調節され得、ここでa=溶液の吸光度であり、lは環(annulas)の光路長である。式中、Pはランプの出力であり、Qは混合物の体積流量であり、吸光度=aであり;PおよびQは参照混合物の出力と流量であり、吸光度=aである。例えば、Ye, Z (2007) “UV Disinfection Between Concentric Cylinders”(ジョージア工科大学博士論文)を参照されたい。
開示の方法のいずれかまたは全ステップは、手動でも、自動化またはコンピューター制御システムなどによる任意の便利な自動化手段によっても実行され得ることに注意されたい。いくつかの実施形態では、方法全体が自動化され得る。他の実施形態では、1つまたは複数のステップが自動化され得る。例えば、照射された光量の評価と標的光量レベルからの変化に応じての調節は、単一の自動化ステップを形成し得る。1つの実施形態では、安定化試料がUV光に曝露されるのと同時に標的光量からの変化が監視される。標的から変化が検出されると、標的光量が得られるように、制御モジュールが、曝露時間、曝露波長またはUV光源の出力を調節し得る。これはフィードバックループタイプの配置においてリアルタイムで実行され得る。
開示の方法は、どのようなスケールでも、また、単独ユニット操作でも一連の続き処理としても、実行され得る。単独ユニット操作の1つの実施形態では、任意の量の安定化試料が容器内で形成される。次いで容器はUV光(例えばUV−C光)に曝露され、続いてウイルス不活化の評価が実行される。操作は試料中に存在する全てのウイルスが不活化されるまで反復され得る。あるいは、評価は、UV光への曝露と継続して実行され得る。ウイルス不活化後、試料を別の容器に移してさらに処理または梱包できる。
一連の続き処理の1つの実施形態では、前のカラムから出てきた溶出物流に保護剤を添加して、前の精製ステップの溶出物から安定化試料が形成され得る。保護剤は、保護剤を溶出物流に導入するのに関連する任意のせん断力により溶出物流と混合され得る。次に、安定化試料は、中を通過する試料に連続的にUV光を露出するように構成された装置を通過できる。UV光の標的光量が得られると、この流れは次に、安定化試料中に存在する望ましくない保護剤(複数可)または他の化合物を除去する精製ステップなどの第2の精製操作に送られ得る。
別の態様では、開示の方法は、ベンチスケールから商業スケールまであらゆるスケールで実行され得る。方法を商業スケールで実行する場合、安定化試料をアリコートに分け、各アリコートを平行して処理すると便利な場合がある。例えば、複数のUV−C光源を並列運転させて大量の安定化試料に対処できる。図13はそのような構成の概略的な例を示す。
III.UV曝露中に生成する反応種の存在によるタンパク質分解または改変を減ずる方法
本明細書で記載し図1〜図8にも示すように、タンパク質成分を含む試料は、UV光、特にUV−C帯の光に曝露されると分解または改変し得る。しかし、UV−C帯は、例えばウイルス不活化などの様々な目的でスペクトルのなかでもっとも有効な領域であり、特に製造用途において有用である。観察されるタンパク質の分解および/または改変は、試料の溶媒成分にUV光または電離放射線を放射することで生じる反応種の存在により生じ得る。反応種の例は、酸素イオン(例えばO2−)、ヒドロキシルイオン(例えばOH)および過酸化物(例えばH)を含む。反応種の存在は、タンパク質に有害な作用を及ぼし得る。例えば、Cabiscol, et al., (2010) Int. Microbiol, 3:315およびBandyopadhyay et al. (1999) Curr. Sci. 77:658-666を参照されたい。
タンパク質生産操作において、UV光の使用は、ウイルスの不活化に使用され得るが、タンパク質の分解および/または改変を促進することもある。したがって、1つの態様では、本開示はUV曝露の間に生成する反応種の存在から生じるタンパク質の分解または改変を減ずる方法を提供する。1つの実施形態では、開示の方法は以下のように実行され得る。
まず、反応種の存在下で分解または改変されることがわかっているかその疑いがあるタンパク質成分を含む試料を準備する。タンパク質成分を含む試料は、タンパク質を含む限りはどのような組成であってもよい。例えば、試料は、プールにまとめられたクロマトグラフィーカラムからの溶出物を含み得る。この実施形態では、クロマトグラフィーカラムプールはどのタイプのクロマトグラフィー操作から集めてもよい。クロマトグラフィーカラムプールの例には、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むHICカラムプール、タンパク質成分を含むSECカラムプール、タンパク質成分を含むIECカラムプール、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラムプールが含まれる。
タンパク質成分を含む試料は、クロマトグラフィーカラム溶出物流も含み得る。例えば、溶出物流は、クロマトグラフィーカラムから出た時に獲得され得るので、この方法はインサイツかつリアルタイムで実行できる。クロマトグラフィー溶出物流の例には、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流が含まれる。
開示の方法はあらゆるタイプのタンパク質成分を含む試料に適用され得るが、特にタンパク質ベースの治療との関連で有益であり、この分野ではタンパク質の分解および/または改変が重大な関心事であり得る。したがって、1つの例では、タンパク質成分を含む試料は、タンパク質ベースの医薬分子を含む試料である。特定の実施形態では、開示の方法の試料のタンパク質成分は、抗原結合タンパク質(例えば(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質の1つまたは複数)、Fcドメイン、ペプチドおよび治療用タンパク質を含む。これらのタイプの分子は一般に治療用分子の様態として同定される。抗体に関しては、本明細書で記載するように「抗体」という用語は完全ヒト抗体、ヒト化抗体または完全非ヒト(例えばマウス)抗体を指し、開示の方法はこれらの全タイプの分子に適用され得る。
開示の方法の様々な実施形態において、開示の方法により処理される試料は、ウイルスの不活化が望ましい細胞を含む試料であり得る。そのような試料の例としては、ウイルスの不活化が望ましい、血小板細胞、CHO細胞または大腸菌などの細菌細胞を含む試料が含まれる。そのような試料は細胞培養物を含み得る。これらの実施形態では、方法は、細胞を含む試料をタンパク質成分を含む試料に置き換えて、記載どおりに実行され得る。
方法の続きであるが、UV光の標的光量が決定される。標的光量はどのような理由でも選択され得るが、1つの好ましい実施形態では、関心のウイルスが不活化される光量が標的光量として選択される。特定の関心ウイルスを不活化することがわかっているかそう考えられるUV光量に対応する標的光量の選択を例として用いて、もっとも効果的かつ効率的にUV−Cを用いてウイルスを不活化するためには、所望の結果を得られるUV−Cの標的光量を特定することが望ましい。開示の方法は不活化されるウイルスのタイプに対しUV−C曝露条件(まとめて「UV−C光量」を構成する)を最適化しなくとも実行され得、方法は任意の便利なUC−C光量で実行され得るが、方法の効率性は、不活化されるウイルスに特定の標的光量を特定することで増大し得る。一部のウイルスはUV−C光により不活化される条件が同じであり得、適切な曝露条件を選択することで、2種類以上のウイルスが開示の方法の1回の操作で不活化され得ることに注意されたい。様々なDNAおよびRNAを含むウイルスのUV感受性を特定するための様々な研究がなされている。例えばLytle & Sagripanti, (2005) J Virol. 79:14244-252およびKnipe et al., (2007) Field’s Virology, Lippincott Williams & Wilkins(本明細書に参照として組み込まれる)並びに図11と図12を参照されたい。
方法の続きであるが、続けて、次に試料に保護剤を添加して安定化混合物を形成する。保護剤の1つの機能は、試料をUV−C光に曝露した結果として生じ得る一切の改変または分解を減ずるかまたは排除するように、試料の成分、例えば試料中のタンパク質を分解または改変し得る反応種を除去することである。より具体的には、溶液をUV−C光の必要な光量に曝露すると、本明細書で記載するように反応種が生じ得る。事実、このことは、ウイルス不活化法にUV−C光を使用することに関する課題の1つである。試料中にこれらの反応種が存在すると、タンパク質を含む試料成分の間接的な酸化につながり得る。さらに、反応種の存在は、試料成分の間接的な改変にも寄与し得る。
タンパク質を分解または改変し得る反応種の例は、酸素イオン(例えばO2−)、ヒドロキシルイオン(例えばOH)および過酸化物(例えばH)などの反応種を含む。これらおよびその他の反応種は一般的に、有効なウイルス不活化にしばしば必要とされる高光量のUV−C光に溶液を曝露している間に生成するので、試料をUV光に曝露する前に保護剤を加えるのが好ましい。
全ての化学種が保護剤として使えるわけではない。事実、本明細書で示される実施例で概説するように、適切な保護剤を同定するために詳細な研究が行われた。適切な保護剤は、UV−C曝露中に生成するような、試料中のあらゆる反応種を除去する能力をもつ化合物であり、その結果としてこれらの反応種が試料の成分(例えばタンパク質)に及ぼす作用が保護剤の不存在下で反応種が試料成分に及ぼすよりも減少する。いくつかの場合、UV−C操作中に生じる反応種への曝露による試料成分の分解または改変は、保護剤を使用して完全に排除され得る。
試料中に存在するあらゆる反応種の望ましくない結果を中和する有効性に加えて、保護剤の選択に際し別途考慮されるのは、UV−C曝露後それを試料から回収するのに関する困難である。開示の方法が、抗原結合タンパク質(例えば(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質の1つまたは複数)または治療用タンパク質などの治療用分子を含む試料に適用される場合、この考慮は非常に重要な要素となる。製品品質に関する規制上の制限により、保護剤の望ましい特性は、それが保護機能を果たした後に試料から回収する能力である。
上述の望ましい保護剤の特性を全て考慮し、適切な保護剤のリストが提供され、限定ではなくチロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンが含まれる。様々な実施形態において、保護剤は2つ以上の化合物を様々な割合で含む。例えば、保護剤は、チロシン、トリプトファン、またはチロシンとトリプトファン両方をあらゆる所望の割合で含み得る。保護剤の精密な組成と併用の割合は、経験的におよび/または本明細書に記載のように決定され得る。
追加の保護剤が、本開示を手引きとして用いて容易に特定され得る。そのような1つの選別において、候補保護剤がタンパク質を含む試料に加えられ、1または複数のウイルスを不活化するのに適切な光量でUV−C光に曝露され(関連のUV−C光量の構築には、図11と図12並びに本明細書に提供される参照文献が手引きとして使用され得る)、次いで検査しタンパク質の分解または改変の程度が決定され得る。これに関し、標準的なクロマトグラフィーおよび分析の手法が使用され得る。例えば、タンパク質の改変を評価するのにIECが使用され得、タンパク質分解を検査するのにSECまたは質量分析法が使用され得る。
開示の方法で使用される保護剤はどのような濃度で添加してもよい。好ましい実施形態では、保護剤は、試料の成分の改変または分解を効果的に減ずるまたは排除する濃度で添加される。保護剤の量は、保護剤の特定と類似の態様で決定され得る。すなわち、選択された保護剤は試料に初期濃度で添加され得、試料はUV−C光に曝露され、試料成分(たとえばタンパク質)の分解および/または改変の程度は構築された方法を用いて判定される。保護剤の特定の場合と同様に、適切な手法にはIEC、SECおよび質量分析法が含まれる。タンパク質成分が所望の程度に保護されていない場合、所望の程度の保護が得られる濃度が特定されるまで評価が繰り返され得る。1つの特定の実施形態では、保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で試料に添加される。言い換えると、保護剤は、1mMの保護剤と200mMのタンパク質(すなわち1:200)よりも保護剤が大きい濃度比で試料に添加され得る。使用され得る他の濃度比は、1:180、1:170、1:160、1:150、1:140、1:130、1:120、1:110、1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、1:50、1:40、1:30、1:20または1:10を含む。
提供される保護剤と保護剤の濃度は記載したように使用され得るが、追加の保護剤と保護剤の濃度の特定は経験的マトリックスタイプの手法を用いて容易に実行できる。そのような手法の一例では、マトリックスは、様々な候補保護剤を具現化する一方の軸と、様々な保護剤レベルを具現化するもう一方の軸で構築され得る。実験を記載したように行って(例えば、SEC、IECおよび/または質量分析法を用いて所与の保護剤および濃度の効果を評価する)、マトリックスを好ましい保護剤およびそれらの保護剤の好ましい濃度で埋める。この手法は、さらに追加の保護剤および保護剤の濃度を提供しよう。
タンパク質成分を含む試料と保護剤を含む安定化混合物を形成した後、この安定化混合物を、選択された出力レベルと選択された波長で選択された時間の間動作する光源により供給されるUV光に曝露する。これらのパラメータの組合せは本明細書ではまとめてUV−C光量と呼ばれる。開示の方法で使用され得る光源の例には、Newport Oriel(登録商標)Flood UV−C光源、例えばモデル97536が含まれる。
UV−C光源は好ましくはある範囲の出力レベルに調節できるようにされている。好ましい出力レベルの範囲は約1mJ〜約1000mJである。特定の例では、UV−C光源は、約1mJ、約10mJ、約25mJ、約50mJ、約75mJ、約100mJ、約125mJ、約200mJ、約250mJ、約300mJ、約350mJ、約400mJ、約450mJ、約500mJ、約600mJ、約700mJ、約800mJ、約900mJ、約1000mJまたは1000mJ超を照射できる。UV−C光源の望ましい別の特徴は、第1出力レベルから第2出力レベルに、モニターからのフィードバックに応答して自動で、またはオペレータにより手動で、切り替えができることである。
UV−C光源はまた、好ましくは、UV−C光をある範囲の波長で照射できるようにされている。好ましい波長は、UVスペクトルの全C帯に対応する約200nm〜約280nmの範囲である。特に好ましい実施形態では、波長は約254nmである。
保護剤または保護剤の組合せを試料に添加して安定化混合物を形成する場合、安定化混合物の吸光度は保護剤を添加していない試料の吸光度と異なり得る。例えば、添加された保護剤(複数可)または他の安定化試料中に存在する化合物(例えば緩衝剤成分、溶解剤など)は、試料が曝露されているUV光の一部を吸収し得る。これにより、試料中に存在する何らかのウイルスに透過される有効なUV光が減少し、ひいてはウイルス不活化が低下し得る。
保護剤(複数可)および/または他の溶液成分の固有の吸光度を明らかにし、UV−C光の標的光量が安定化混合物により受けられたことを確認するために、フィードバックループが使用され得、ここでUV光曝露のプロパティーは混合物のUV吸光度の評価に応じて異なる。したがって、UVC曝露装置に入る混合物の吸光度を評価した後、装置から出てくる安定化混合物が標的光量を確実に受けているように、装置内での曝露プロパティー(例えばランプ出力、レジデンスタイムまたは他の手段)が一過的に変更され得る。そのような評価は、代替的に、装置から出る混合物の吸光度を測定することにより、または装置内の混合物を測定することにより、なされ得る。1つの実施形態では、そのような評価は、254nmなどの特定の波長で試料の吸光度をモニタリングしてなされ得る。吸光度のデータは、受光量の判定に使用され得、試料中に含まれ得る成分(例えばタンパク質、保護化学物質、または他の溶液化学物質)による紫外線吸光度を考慮しての照射エネルギー量の調整量として定義され得る。1つの実施形態では、評価は、溶液表面の光源出力を測定してなされ得る。あるいは、光源出力はランプ表面で測定され得る。さらに、ランプが消費する電力が、光源出力を評価するのに測定され得る。
評価により安定化試料中の保護剤(複数可)の吸光度による受光量の減少が示されることが期待される。したがって、評価によりUV光の標的光量が安定化混合物に照射されていないことが示された場合、波長、UV光源出力およびUV光曝露時間のうちの1または複数が次いで調節される。
1つの実施形態では、UVC放射の平行ビームを受けるよく混合される容器の光量は、式:
Figure 0006539246
を用いて調節され得、ここでα=溶液の吸光度であり、lは光路長である。例えば、Bolton, (2003) ASCE, 129(3): 209-215を参照されたい。所与のウイルス不活化操作用の水分ファクターを決定後、UV光の標的光量を水分ファクターで除算して処理の曝露時間を決定する。別の実施形態では、UVC放射を受ける非混合容器(例えば薄膜処理リアクタまたは同等のもの)の光量は、式:
光量〜(P/Q)exp(−al)=(P/Q)exp(−al)
を使用して調節され得、ここでa=溶液の吸光度であり、lは環の光路長である。式中、Pはランプの出力であり、Qは混合物の体積流量であり、吸光度=aであり;PおよびQは参照混合物の出力と流量であり、吸光度=aである。例えば、Ye, Z (2007) “UV Disinfection Between Concentric Cylinders” (ジョージア工科大学博士論文)を参照されたい。
開示の方法のいずれかまたは全ステップは、手動でも、自動化またはコンピューター制御システムなどによる任意の便利な自動化手段によっても実行され得ることに注意されたい。いくつかの実施形態では、方法全体が自動化され得る。他の実施形態では、1つまたは複数のステップが自動化され得る。例えば、照射された光量の評価と標的光量レベルからの変化に応じての調節は、単一の自動化ステップを形成し得る。1つの実施形態では、安定化試料がUV光に曝露されるのと同時に標的光量からの変化が監視される。標的からの変化が検出されると、標的光量が得られるように、制御モジュールが、曝露時間、曝露波長またはUV光源の出力を調節し得る。これはフィードバックループタイプの配置においてリアルタイムで実行され得る。
開示の方法は、どのようなスケールでも、また、単独ユニット操作でも一連の続き処理としても、実行され得る。単独ユニット操作の1つの実施形態では、任意の量の安定化試料が容器内で形成される。次いで容器はUV光(例えばUV−C光)に曝露され、続いてウイルス不活化の評価が実行される。操作は試料中に存在する全てのウイルスが不活化されるまで反復され得る。あるいは、評価は、UV光への曝露と継続して実行され得る。ウイルス不活化後、試料を別の容器に移してさらに処理または梱包できる。
一連の続き処理の1つの実施形態では、前のカラムから出てきた溶出物流に保護剤を添加して、前の精製ステップの溶出物から安定化試料が形成され得る。保護剤は、保護剤を溶出物流に導入するのに関連する任意のせん断力により溶出物流と混合され得る。次に、安定化試料は、中を通過する試料に連続的にUV光を露出するように構成された装置を通過できる。UV光の標的光量が得られると、この流れは次に、安定化試料中に存在する望ましくない保護剤(複数可)または他の化合物を除去する精製ステップなどの第2の精製操作に送られる。
別の態様では、開示の方法は、ベンチスケールから商業スケールまであらゆるスケールで実行され得る。方法を商業スケールで実行する場合、安定化試料をアリコートに分け、各アリコートを平行して処理すると便利な場合がある。例えば、複数のUV−C光源を並列運転させて大量の安定化試料に対処できる。図13はそのような構成の概略的な例を示す。
IV.UV光に供されたタンパク質中のメチオニン残基、トリプトファン残基またはトリプトファン残基とメチオニン残基の両方の酸化を減ずる方法
本開示の別の態様では、UV光に供されたタンパク質中のメチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方の酸化を減ずる方法が提供される。本明細書および関連文献で記載されるように、メチオニン残基とトリプトファン残基は酸化しやすいのでタンパク質不活化につながり得る。例えば、Schoneich, (2005) Biochim Biophys Acta 1703:111-19; Stadtman et al., (2003) Antioxid. Redox. Signal 5:577-82; Stadtman, (1993) Ann. Rev. Biochem. 62:797-821;およびDean et al., (1997) Biochem. J. 324:1-18を参照されたい。本開示全体に記載するように、UV光は様々な用途、例えばもっとも一般的な産業用途であるウイルス不活化において有効であるが、望ましくないタンパク質の改変および分解につながり得る。いくつかの場合、タンパク質の改変および/または分解は、UV曝露中に生成する反応種の存在が直接または間接的原因になり得る。分子レベルでは、これらの反応種はタンパク質の側鎖の残基、特にメチオニン残基とトリプトファン残基の側鎖を攻撃し得る。タンパク質ベース治療との関連では、これらの改変は最終的に高分子量の種(例えば凝集体およびマルチマー)および低分子量の種(例えば断片化タンパク質)の形成をもたらし得る。治療薬中にこれらの種が存在することは、治療を受けている患者にとっての重篤な問題へと変換し得る。
これらの起こり得る問題に鑑み、タンパク質、特にタンパク質ベースの治療薬の改変および/または分解の可能性を排除することが望ましい。したがって、UV光に供されたタンパク質中のメチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方の酸化を減ずる方法が提供される。1つの実施形態では、開示の方法の方法は以下のように実行され得る。
まず、メチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方を含むタンパク質成分を含む試料を準備する。タンパク質成分を含む試料は、試料がタンパク質を含んでおり、タンパク質がメチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方を含んでいる限り、どのような組成であってもよい。例えば、試料は、プールにまとめられたクロマトグラフィーカラムからの溶出物を含み得る。この実施形態では、クロマトグラフィーカラムプールはどのタイプのクロマトグラフィー操作から集めてもよい。クロマトグラフィーカラムプールの例には、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物プール、タンパク質成分を含むHICカラムプール、タンパク質成分を含むSECカラムプール、タンパク質成分を含むIECカラムプール、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラムプールが含まれる。
タンパク質成分を含む試料は、クロマトグラフィーカラム溶出物流も含み得る。例えば、溶出物流は、クロマトグラフィーカラムから出た時に獲得され得るので、この方法はインサイツかつリアルタイムで実行できる。クロマトグラフィー溶出物流の例には、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、およびタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流が含まれる。
開示の方法はあらゆるタイプのタンパク質成分を含む試料に適用できるが、開示の方法は、タンパク質ベースの治療薬との関連で特に有益であり、この分野では、メチオニン残基、トリプトファン残基、またはメチオニン残基とトリプトファン残基両方の酸化によるタンパク質の改変および/または分解により、タンパク質ベースの治療薬が不活化するかまたは患者にとって有害になり得る。したがって、1つの例では、タンパク質成分を含む試料は、タンパク質ベースの医薬分子を含む試料である。特定の実施形態では、開示の方法の試料のタンパク質成分は、抗原結合タンパク質(例えば(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質の1つまたは複数)、Fcドメイン、ペプチドおよび治療用タンパク質を含む。これらのタイプの分子は一般に治療用分子の様態として同定される。抗体に関しては、本明細書で記載するように「抗体」という用語は完全ヒト抗体、ヒト化抗体または完全非ヒト(例えばマウス)抗体を指し、開示の方法はこれらの全タイプの分子に適用され得る。
開示の方法の様々な実施形態において、開示の方法により処理される試料は、ウイルスの不活化が望ましい細胞を含む試料であり得る。そのような試料の例としては、血小板細胞、CHO細胞または大腸菌などの細菌細胞を含む試料が含まれる。そのような試料は細胞培養物を含み得る。これらの実施形態では、方法は、細胞を含む試料をタンパク質成分を含む試料に置き換えて、記載どおりに実行され得る。
開示の方法の1つの適用を代表するUV−Cウイルス不活化は、タンパク質成分を含む試料または血小板などの細胞を含む試料にもっとも一般的に適用されるが、それは要件ではなく、他の実施形態では、開示の方法は、タンパク質成分を含まない試料からウイルスを除去するのにも使用され得る。
方法の続きであるが、UV光の標的光量が決定される。標的光量はどのような理由でも選択され得るが、1つの好ましい実施形態では、関心のウイルスが不活化される光量が標的光量として選択される。特定の関心ウイルスを不活化することがわかっているかそう考えられるUV光量に対応する標的光量の選択を例として用いて、もっとも効果的かつ効率的にUV−Cを用いてウイルスを不活化するためには、所望の結果を得られるUV−Cの標的光量を特定することが望ましい。開示の方法は不活化されるウイルスのタイプに対しUV−C曝露条件(まとめて「UV−C光量」を構成する)を最適化しなくとも実行され得、方法は任意の便利なUC−C光量で実行され得るが、方法の効率性は、不活化されるウイルスに特定の標的光量を特定することで増大し得る。一部のウイルスはUV−C光により不活化される条件が同じであり得、適切な曝露条件を選択することで、2種類以上のウイルスが開示の方法の1回の操作で不活化され得ることに注意されたい。様々なDNAおよびRNAを含むウイルスのUV感受性を特定するための様々な研究がなされている。例えばLytle & Sagripanti, (2005) J Virol. 79:14244-252およびKnipe et al., (2007) Field’s Virology, Lippincott Williams & Wilkins(本明細書に参照として組み込まれる)並びに図11と図12を参照されたい。
方法の続きであるが、続けて、次に試料に保護剤を添加して安定化混合物を形成する。保護剤の1つの機能は、試料をUV−C光に曝露した結果として生じ得る一切の改変または分解を減ずるかまたは排除するように、試料の成分、例えば試料中のタンパク質を分解または改変し得る反応種を除去することである。より具体的には、溶液をUV−C光の必要な光量に曝露すると、本明細書で記載するように反応種が生じ得る。事実、このことは、ウイルス不活化法にUV−C光を使用することに関する課題の1つである。試料中にこれらの反応種が存在すると、タンパク質を含む試料成分の間接的な酸化につながり得る。さらに、反応種の存在は、試料成分の間接的な改変にも寄与し得る。
タンパク質を分解または改変し得る反応種の例は、酸素イオン(例えばO2−)、ヒドロキシルイオン(例えばOH)および過酸化物(例えばH)などの反応種を含む。これらおよびその他の反応種は一般的に、有効なウイルス不活化にしばしば必要とされる高光量のUV−C光に溶液を曝露している間に生成するので、試料をUV光に曝露する前に保護剤を加えるのが好ましい。
全ての化学種が保護剤として使えるわけではない。事実、本明細書で示される実施例で概説するように、適切な保護剤を同定するために詳細な研究が行われた。適切な保護剤は、UV−C曝露中に生成するような、試料中のあらゆる反応種を除去する能力をもつ化合物であり、その結果としてこれらの反応種が試料の成分(例えばタンパク質)に及ぼす作用が保護剤の不存在下で反応種が試料成分に及ぼすよりも減少する。いくつかの場合、UV−C操作中に生じる反応種への曝露による試料成分の分解または改変は、保護剤を使用して完全に排除され得る。
試料中に存在するあらゆる反応種の望ましくない結果を中和する有効性に加えて、保護剤の選択に際し別途考慮されるのは、UV−C曝露後それを試料から回収するのに関する困難である。開示の方法が、抗原結合タンパク質(例えば(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体またはIgG4抗体およびそれらの断片のうちの1または複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;および(v)治療用タンパク質の1つまたは複数)または治療用タンパク質などの治療用分子を含む試料に適用される場合、この考慮は非常に重要な要素となる。製品品質に関する規制上の制限により、保護剤の望ましい特性は、それが保護機能を果たした後に試料から回収する能力である。
上述の望ましい保護剤の特性を全て考慮し、適切な保護剤のリストが提供され、限定ではなくチロシン、トリプトファン、メチオニン、ピリドキシンおよびリボフラビンが含まれる。様々な実施形態において、保護剤は2つ以上の化合物を様々な割合で含む。例えば、保護剤は、チロシン、トリプトファン、またはチロシンとトリプトファン両方をあらゆる所望の割合で含み得る。保護剤の精密な組成と併用の割合は、経験的におよび/または本明細書に記載のように決定され得る。
追加の保護剤が、本開示を手引きとして用いて容易に特定され得る。そのような1つの選別において、候補保護剤がタンパク質を含む試料に加えられ、1または複数のウイルスを不活化するのに適切な光量でUV−C光に曝露され(関連のUV−C光量の構築には、図11と図12並びに本明細書に提供される参照文献が手引きとして使用され得る)、次いで検査しタンパク質の分解または改変の程度が決定され得る。これに関し、標準的なクロマトグラフィーおよび分析の手法が使用され得る。例えば、タンパク質の改変を評価するのにIECが使用され得、タンパク質分解を検査するのにSECまたは質量分析法が使用され得る。
開示の方法で使用される保護剤はどのような濃度で添加してもよい。好ましい実施形態では、保護剤は、試料の成分の改変または分解を効果的に減ずるまたは排除する濃度で添加される。保護剤の量は、保護剤の特定と類似の態様で決定され得る。すなわち、選択された保護剤は試料に初期濃度で添加され得、試料はUV−C光に曝露され、試料成分(たとえばタンパク質)の分解および/または改変の程度は構築された方法を用いて判定される。保護剤の特定の場合と同様に、適切な手法にはIEC、SECおよび質量分析法が含まれる。タンパク質成分が所望の程度に保護されていない場合、所望の程度の保護が得られる濃度が特定されるまで評価が繰り返され得る。1つの特定の実施形態では、保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で試料に添加される。言い換えると、保護剤は、1mMの保護剤と200mMのタンパク質(すなわち1:200)よりも保護剤が大きい濃度比で試料に添加され得る。使用され得る他の濃度比は、1:180、1:170、1:160、1:150、1:140、1:130、1:120、1:110、1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、1:50、1:40、1:30、1:20または1:10を含む。
提供される保護剤と保護剤の濃度は記載したように使用され得るが、追加の保護剤と保護剤の濃度の特定は経験的マトリックスタイプの手法を用いて容易に実行できる。そのような手法の一例では、マトリックスは、様々な候補保護剤を具現化する一方の軸と、様々な保護剤レベルを具現化するもう一方の軸で構築され得る。実験を記載したように行って(例えば、SEC、IECおよび/または質量分析法を用いて所与の保護剤および濃度の効果を評価する)、マトリックスを好ましい保護剤およびそれらの保護剤の好ましい濃度で埋める。この手法は、さらに追加の保護剤および保護剤の濃度を提供しよう。
タンパク質成分を含む試料と保護剤を含む安定化混合物を形成した後、この安定化混合物を、選択された出力レベルと選択された波長で選択された時間の間動作する光源により供給されるUV光に曝露する。これらのパラメータの組合せは本明細書ではまとめてUV−C光量と呼ばれる。開示の方法で使用され得る光源の例には、Newport Oriel(登録商標)Flood UV−C光源、例えばモデル97536が含まれる。
UV−C光源は好ましくはある範囲の出力レベルに調節できるようにされている。好ましい出力レベルの範囲は約1mJ〜約1000mJである。特定の例では、UV−C光源は、約1mJ、約10mJ、約25mJ、約50mJ、約75mJ、約100mJ、約125mJ、約200mJ、約250mJ、約300mJ、約350mJ、約400mJ、約450mJ、約500mJ、約600mJ、約700mJ、約800mJ、約900mJ、約1000mJまたは1000mJ超を照射できる。UV−C光源の望ましい別の特徴は、第1出力レベルから第2出力レベルに、モニターからのフィードバックに応答して自動で、またはオペレータによる手動で、切り替えができることである。
UV−C光源はまた、好ましくは、UV−C光をある範囲の波長で照射できるようにされている。好ましい波長は、UVスペクトルの全C帯に対応する約200nm〜約280nmの範囲である。特に好ましい実施形態では、波長は約254nmである。
保護剤または保護剤の組合せを試料に添加して安定化混合物を形成する場合、安定化混合物の吸光度は保護剤を添加していない試料の吸光度と異なり得る。例えば、添加された保護剤(複数可)または他の安定化試料中に存在する化合物(例えば緩衝剤成分、溶解剤など)は、試料が曝露されているUV光の一部を吸収し得る。これにより、試料中に存在する何らかのウイルスに透過される有効なUV光が減少し、ひいてはウイルス不活化が減少し得る。
保護剤(複数可)および/または他の溶液成分の固有の吸光度を明らかにし、UV−C光の標的光量が安定化混合物により受けられたことを確認するために、フィードバックループが使用され得、UV光曝露のプロパティーは混合物のUV吸光度の評価に応じて異なる。したがって、UVC曝露装置に入る混合物の吸光度を評価した後、装置から出てくる安定化混合物が標的光量を確実に受けているように、装置内での曝露プロパティー(例えばランプ出力、レジデンスタイムまたは他の手段)が一過的に変更され得る。そのような評価は、代替的に、装置から出る混合物の吸光度を測定することにより、または装置内の混合物を測定することにより、なされ得る。1つの実施形態では、そのような評価は、254nmなどの特定の波長で試料の吸光度をモニタリングしてなされ得る。吸光度のデータは、受光量の判定に使用され得、試料中に含まれ得る成分(例えばタンパク質、保護化学物質、または他の溶液化学物質)による紫外線吸光度を考慮しての照射エネルギー量の調整量として定義され得る。1つの実施形態では、評価は、溶液表面の光源出力を測定してなされ得る。あるいは、光源出力はランプ表面で測定され得る。さらに、ランプが消費する電力が、光源出力を評価するのに測定され得る。
評価により安定化試料中の保護剤(複数可)の吸光度による受光量の減少が示されることが期待される。したがって、評価によりUV光の標的光量が安定化混合物に照射されていないことが示された場合、波長、UV光源出力およびUV光曝露時間のうちの1または複数が次いで調節される。
1つの実施形態では、UVC放射の平行ビームを受けるよく混合される容器の光量は、式:
Figure 0006539246
用いて調節され得、ここでα=溶液の吸光度であり、lは光路長である。例えば、Bolton、(2003) ASCE、129(3): 209-215を参照されたい。所与のウイルス不活化操作用の水分ファクターを決定後、UV光の標的光量を水分ファクターで除算して処理の曝露時間を決定する。別の実施形態では、UVC放射を受ける非混合容器(例えば薄膜処理リアクタまたは同等のもの)の光量は、式:
光量〜(P/Q)exp(−al)=(P/Q)exp(−al)
を使用して調節され得、ここでa=溶液の吸光度であり、lは環の光路長である。式中、Pはランプの出力であり、Qは混合物の体積流量であり、吸光度=aであり;PおよびQは参照混合物の出力と流量であり、吸光度=aである。Ye、Z (2007) “UV Disinfection Between Concentric Cylinders”(ジョージア工科大学博士論文)。
開示の方法のいずれかまたは全ステップは、手動でも、自動化またはコンピューター制御システムなどによる任意の便利な自動化手段によっても実行され得ることに注意されたい。いくつかの実施形態では、方法全体が自動化され得る。他の実施形態では、1つまたは複数のステップが自動化され得る。例えば、照射された光量の評価と標的光量レベルからの変化に応じての調節は、単一の自動化ステップを形成し得る。1つの実施形態では、安定化試料がUV光に曝露されるのと同時に標的光量からの変化が監視される。標的からの変化が検出されると、標的光量が得られるように、制御モジュールが、曝露時間、曝露波長またはUV光源の出力を調節し得る。これはフィードバックループタイプの配置においてリアルタイムで実行され得る。
開示の方法は、どのようなスケールでも、また、単独ユニット操作でも一連の続き処理としても、実行され得る。単独ユニット操作の1つの実施形態では、任意の量の安定化試料が容器内で形成される。次いで容器はUV光(例えばUV−C光)に曝露され、続いてウイルス不活化の評価が実行される。操作は試料中に存在する全てのウイルスが不活化されるまで反復され得る。あるいは、評価は、UV光への曝露と継続して実行され得る。ウイルス不活化後、試料を別の容器に移してさらに処理または梱包できる。
一連の続き処理の1つの実施形態では、前のカラムから出てきた溶出物流に保護剤を添加して、前の精製ステップの溶出物から安定化試料が形成され得る。保護剤は、保護剤を溶出物流に導入するのに関連する任意のせん断力により溶出物流と混合され得る。次に、安定化試料は、中を通過する試料に連続的にUV光を露出するように構成された装置を通過できる。UV光の標的光量が得られると、この流れは次に、安定化試料中に存在する望ましくない保護剤(複数可)または他の化合物を除去する精製ステップなどの第2の精製操作に送られ得る。
別の態様では、開示の方法は、ベンチスケールから商業スケールまであらゆるスケールで実行され得る。方法を商業スケールで実行する場合、安定化試料をアリコートに分け、各アリコートを平行して処理すると便利な場合がある。例えば、複数のUV−C光源を並列運転させて大量の安定化試料に対処できる。図13はそのような構成の概略的な例を示す。
本開示では様々な参照文献が提供されている。本明細書で引用される参照文献は全て、あらゆる目的のために、その全容が本明細書に組み込まれる。
以下の実施例は、開示の方法の実施形態および態様を実証するものであり、制限的な意図はない。
[実施例1]
UV−C光量曝露時のタンパク質改変に関するプロセス化学の評価
Fc部分を含む3つの異なる組換えタンパク質すなわちIgG2モノクローナル抗体のMab X、Mab YおよびMab Zを、哺乳動物発現系すなわちCHO細胞において発現させた。タンパク質を細胞および他の固体破片から遠心分離し、プロテインAクロマトグラフィー樹脂を用いて精製した。タンパク質は、塩が50〜300nMの範囲の酢酸ナトリウム、pHが4.3〜7.4の範囲、タンパク質濃度が2〜30g/Lを含む異なる条件の溶液に交換した。
精製後、これらの各タンパク質アリコートを、特注の500ワットHgのNewport Oreil(登録商標)Flood曝露源(モデル97536)での照射により、254nMの波長でUV−C光に曝露して処理した。曝露源は、0〜1000mJ/cmの標的光量が受けられるように一様な柱状でフィルターを通して照射されるように構成された。受光量は、試料中に含まれ得る成分(例えばタンパク質、保護化学物質、または他の溶液化学物質)による紫外線吸光度を考慮しての照射エネルギー量の調整量として定義された。光量は式:
Figure 0006539246
により調整され、α=溶液の吸光度であり、lは光路長であった。所望の受光量を水分ファクターで除算して、処理用の標的照射光量セットポイントを決定した。照射は、溶液表面で光源出力を測定し、曝露時間を調節して達成された。
各試料のタンパク質改変を次の1つまたは全てで分析した:SEC−HPLCで凝集レベル、CEX−HPLCで電荷アイソフォームレベル、ペプチドマップでアミノ酸残基改変、および細胞ベース生物活性アッセイで力価比較。
観察された結果は、pH、伝導率およびタンパク質濃度が、タンパク質改変レベルに有意な影響を及ぼさなかったことを示した。これらの実験で、タンパク質純度および/または改変の変動の主な原因は、UV−C光量のレベルであることが確証された。図1〜図8は、UV−C曝露が試験した3つのモノクローナル抗体に及ぼす影響を要約する。
[実施例2]
UV−C光量曝露時のタンパク質改変およびウイルス不活化に関する溶液添加剤の評価
pH、伝導率またはタンパク質濃度ではなくUV−C曝露がモノクローナル抗体タンパク質対象の改変および/または分解の原因であることを確定し、UV−C曝露に関連する望ましくない効果からタンパク質を保護するであろう化合物を同定する集中的研究を行った。
Fc部分を含む組換えタンパク質であるモノクローナル抗体Mab Xを哺乳動物発現系すなわちCHO細胞において発現させた。タンパク質を細胞および他の固体破片から遠心分離し、プロテインAクロマトグラフィー樹脂を用いて精製した。プロテインAカラム溶出プールをpH5.0に調節し、および濃度2g/L、12g/Lまたは30g/Lのタンパク質濃度に希釈または濃縮した。
精製後、各濃度の試料を、20mMのタンパク質当たり1mMの添加剤の割合で、添加剤と合わせた。添加剤は、チロシン、トリプトファン、メチオニン、ヒスチジン、葉酸、フェニルアラニン、ピリドキシンおよびリボフラビンのうちの1または複数を含んだ。これらのタンパク質アリコートのそれぞれを、特注のNewport Oreil(登録商標)Flood曝露源(モデル97536)での照射により、254nMの波長でUV−C光に曝露して処理した。曝露源は、0〜1000mJ/cmの標的光量が受けられるように一様な柱状でフィルターを通して照射されるように構成された。受光量は、試料中に含まれ得る成分(例えばタンパク質、保護化学物質、または他の溶液化学物質)による紫外線吸光度を考慮しての照射エネルギー量の調整量として定義された。これは式:
Figure 0006539246
により調整され、α=溶液の吸光度であり、lは光路長である。所望の受光量を水分ファクターで除算して、処理用の標的照射光量セットポイントを決定した。照射は、溶液表面で光源出力を測定し、曝露時間を調節して達成された。
各試料のタンパク質改変を次の1つまたは全てにより分析した:SEC−HPLCで凝集レベル、CEX−HPLCで電荷アイソフォームレベル、ペプチドマップでアミノ酸残基改変、および細胞ベース生物活性アッセイで力価比較。これらのアッセイの結果を図1〜図9に示す。
いくつかの添加剤、すなわち葉酸およびヒスチジンは、良い意味でタンパク質改変レベルに有意な影響を及ぼさず、メチオニンはわずかな利点を示したことが、観察された結果により示された。しかし、トリプトファンまたはチロシンなどの他の添加剤は、UV放射の光量レベルに相対的にタンパク質改変の程度を制限する有意な正の効果を有し、図9〜図10および図14〜図15にこの調査結果を要約する。チロシンおよびトリプトファンが有効な保護剤である一方で、ヒスチジンおよびフェニルアラニンは有意に保護効果が少ないかまたは保護効果がないことは、驚くべきことである。チロシンおよびトリプトファンに見出される環構造は、フェニルアラニンおよびヒスチジンに見出される構造と似ている。チロシンとフェニルアラニンは、構造的に非常に近い関係のアミノ酸である。メチオニンは、高光量のUV−Cで処理されたタンパク質中で大幅に酸化されたことが確認された(図7および図8)のに、有効な保護剤ではなかったことはさらに驚くべきことであり、一方で、やはり高光量のUV−Cで処理されたタンパク質中での酸化が確認されたトリプトファンは、有効な保護剤であった。
さらに、得られたウイルス不活化レベル(すなわちxmuLV)は、添加剤の存在に関係なくUV−C光量レベルに応答性であり、事実上有意であり得る(図10参照)ことが示された。これらの実験の結果は、添加剤はUV−Cが媒介する改変に対する保護を提供するが、UV光量レベルによるウイルス不活化に有害な影響を与えないことを示している。
[実施例3]
UV−C処理のインプロセス実行の評価
Fc部分を含む2つの異なる組換えタンパク質すなわちIgG2モノクローナル抗体のMab WおよびMab Xを、哺乳動物発現系すなわちCHO細胞において発現させた。タンパク質を細胞および他の固体破片から遠心分離および深層濾過により分離した。精製、調整および評価の後、一連の前処理試料を形成した。2つの試料レッグを作製した:一方は遠心分離および深層濾過材料由来であり、他方はそのプールをタンパク質クロマトグラフィー樹脂でさらに精製し中和したもの由来。これらのプールをそれぞれ蛍光被覆した細粒子トレーサーと合わせ、さらに保護的添加剤すなわちチロシンありとなしのプールに分けた。個々の安定化混合物の吸光度を254nm波長の分光測定で評価した。次に、これらの安定化タンパク質混合物の各々を様々な光量のUV−C光に曝露して処理した。処理は、混合物を、33ワットHqランプを内蔵するAtlantic UV Infinity(登録商標)薄膜リアクタに通すことにより達成された。混合物は、1.5mのランプを囲む石英スリーブとステンレス鋼シェルの間に形成された0.9mmの環状スペースを通って流れた。
各前処理プールを別々の光量曝露プールに分けた。リアクタ内に照射される光量は、流量調節により曝露時間を変えることで調節した。照射光量は、式:
光量〜(P/Q)exp(−al)=(P/Q)exp(−al)
に従い調節し、a=溶液の吸光度であり、lは環の光路長である。式中、Pはランプの出力であり、Qは混合物の体積流量であり、吸光度=aであり;PおよびQは参照混合物の出力と流量であり、吸光度=aである。
次いで各試料のタンパク質改変を、SEC−HPLCにより凝集レベルについて分析した(表1)。
Figure 0006539246
[実施例4]
UV−C処理のインプロセスとインライン実行の評価
Fc部分を含む3つの異なる組換えタンパク質すなわちモノクローナル抗体を、哺乳動物発現系すなわちCHO細胞において発現させる。タンパク質は、細胞および他の固体破片から遠心分離し、プロテインAクロマトグラフィー樹脂を用いて精製され得る。流れているプロテインA溶出物中の精製されたタンパク質はサージ槽に通され、ここで保護剤により調整されて安定化混合物を形成し、その後254nm波長でインライン吸収分光法により吸光度を評価される。
サージ槽から流れ出てくる安定化し評価されたタンパク質混合物は、UV−C光への曝露により処理される。処理は、混合物を、33ワットHqランプを内蔵するAtlantic UV Infinity(登録商標)薄膜リアクタに通すことにより達成される。混合物は、1.5mのランプを囲む石英スリーブとステンレス鋼シェルの間に形成された0.9mmの環状スペースを通って流れる。
リアクタ内に照射される光量は、ランプ出力または流量を変えることで調節される。照射光量は、一定の標的受光量を式:
光量〜(P/Q)exp(−al)=(P/Q)exp(−al)
(ここでa=溶液の吸光度であり、lは環の光路長である)に従い維持するように、サージ槽から出てくる安定化混合物の変化する吸光度を明らかにするように調整される。式中、Pはランプの出力であり、Qは混合物の体積流量であり、吸光度=aであり;PおよびQは参照混合物の出力と流量であり、吸光度=aである。
次に、各試料のタンパク質改変を次の1つまたは全てにより分析する:SEC−HPLCで凝集レベル、CEX−HPLCで電荷アイソフォームレベル、ペプチドマップでアミノ酸残基改変、および細胞ベース生物活性アッセイで力価比較。

Claims (14)

  1. タンパク質成分を含む試料中のウイルスを不活化する方法であって、
    (a)タンパク質成分を含む試料を提供することと、ここで、前記試料は、精製ステップからの溶出物流であり、かつ、ウイルスを含むと知られている又はその疑いがあり;
    (b)前記溶出物流に保護剤を添加して、安定化混合物を形成することと、ここで、前記保護剤は、チロシン、トリプトファン又はメチオニンのうち一又は二以上を含む
    (c)インライン吸収分光法により254nmにおける前記安定化混合物の吸光度を測定することと;
    (d)ウイルスを不活性化するUV光の標的光量が、前記安定化混合物に送達されるように、UV光への連続的曝露を提供するように構成された装置に、前記安定化混合物を通過させることと;及び
    (e)UV光の標的光量が、前記装置を通過する安定化混合物に持続的に送達されるように、吸光度測定に基づいて、前記装置を通過する前記安定化混合物の流量又は前記装置のランプ出力を調整することと、ここで、上記ステップ(c)、(d)及び(e)は、リアルタイム自動化フィードバックループの一部として行われる、
    (f)UV光への曝露の後、前記混合物から前記保護剤を除去することと
    を含む、方法。
  2. 前記ウイルスが、dsDNAウイルス、ssDNAウイルス、dsRNAウイルス及びssRNAウイルスの一又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ウイルスが、アデノウイルス科、アスファウイルス科、ヘルペスウイルス科、イリドウイルス科、パピローマウイルス科、ポリオーマウイルス科、ポックスウイルス科、サーコウイルス科、ヘパドナウイルス科、パルボウイルス科、ビルナウイルス科、レオウイルス科、アレナウイルス科、ボルナウイルス科(vornaviridae)、ブニヤウイルス科、デルタウイルス科、フィロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、ラブドウイルス科、アルテリウイルス科、アストロウイルス科、カリシウイルス科、コロナウイルス科(cornonavirdae)、フラビウイルス科、HEV様ウイルス、ノダウイルス科、ピコルナウイルス科、トガウイルス科及びレトロウイルス科のうちの1又は複数のウイルスを含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ウイルスは、パルボウイルスMVM、レトロウイルスMuLV又はブニヤウイルスCVVである、請求項3に記載の方法。
  5. 0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、又は6.5超のウイルス対数減少値(LRV)を提供する、請求項1に記載の方法。
  6. UV曝露中に生成する反応種の存在から生じるタンパク質分解又は改変を減ずる方法であって、
    (a)反応種の存在下で分解又は改変されると知られている又はその疑いのあるタンパク質成分を含む試料を提供することと、ここで、前記試料は、精製ステップからの溶出物流であり;
    (b)前記溶出物流に保護剤を添加して、安定化混合物を形成することと、ここで、前記保護剤は、チロシン、トリプトファン又はメチオニンのうち一又は二以上を含む
    (c)インライン吸収分光法により254nmにおける前記安定化混合物の吸光度を測定することと;
    (d)UV光の標的光量が、前記安定化混合物に送達されるように、UV光への連続的曝露を提供するように構成された装置に、前記安定化混合物を通過させることと;及び
    (e)UV光の標的光量が、前記装置を通過する安定化混合物に持続的に送達されるように、吸光度測定に基づいて、前記装置を通過する前記安定化混合物の流量又は前記装置のランプ出力を調整することと、ここで、上記ステップ(c)、(d)及び(e)は、リアルタイム自動化フィードバックループの一部として行われる、
    (f)UV光への曝露の後、前記混合物から前記保護剤を除去することと
    を含む、方法。
  7. UV光に供されたタンパク質中のメチオニン残基、トリプトファン残基、又はメチオニン残基とトリプトファン残基両方の酸化を減ずる方法であって、
    (a)メチオニン残基、トリプトファン残基、又はメチオニン残基とトリプトファン残基両方を含むタンパク質成分を含む試料を提供することと、ここで、前記試料は、精製ステップからの溶出物流であり;
    (b)前記溶出物流に保護剤を添加して、安定化混合物を形成することと、ここで、前記保護剤は、チロシン、トリプトファン又はメチオニンのうち一又は二以上を含む
    (c)インライン吸収分光法により254nmにおける前記安定化混合物の吸光度を測定することと;
    (d)UV光の標的光量が、前記安定化混合物に送達されるように、UV光への連続的曝露を提供するように構成された装置に、前記安定化混合物を通過させることと;及び
    (e)UV光の標的光量が、前記装置を通過する安定化混合物に持続的に送達されるように、吸光度測定に基づいて、前記装置を通過する前記安定化混合物の流量又は前記装置のランプ出力を調整することと、ここで、上記ステップ(c)、(d)及び(e)は、リアルタイム自動化フィードバックループの一部として行われる、
    (f)UV光への曝露の後、前記混合物から前記保護剤を除去することと
    を含む、方法。
  8. 前記流出物流が、タンパク質成分を含むプロテインAカラム溶出物流、タンパク質成分を含むプロテインGカラム溶出物流、タンパク質成分を含むHICカラム溶出物流、タンパク質成分を含むSECカラム溶出物流、タンパク質成分を含むIECカラム溶出物流、及びタンパク質成分を含むヒドロキシアパタイトカラム溶出物流のうちの1又は複数を含む、請求項1、6又は7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記タンパク質成分は、(i)モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、一本鎖抗体、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab’)断片、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体又はIgG4抗体及びそれらの断片のうちの1又は複数を含む抗原結合タンパク質、(ii)Fcドメイン;(iii)ペプチド;(iv)Fc融合タンパク質;及び(v)治療用タンパク質のうちの1又は複数を含む、請求項1、6又は7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記保護剤が、タンパク質200部当たり保護剤1部超の濃度比で前記溶出物流に添加される、請求項1、6又は7のいずれか1項に記載の方法。
  11. UV光が、200nm〜280nmの範囲の波長を有する、請求項1、6又は7のいずれか1項に記載の方法。
  12. UV光が、254nmの波長を有する、請求項11に記載の方法。
  13. 標的光量が、1mJ/cm、10mJ/cm、25mJ/cm、50mJ/cm、75mJ/cm、100mJ/cm、125mJ/cm、200mJ/cm、250mJ/cm、300mJ/cm、350mJ/cm、400mJ/cm、450mJ/cm、500mJ/cm、600mJ/cm、700mJ/cm、800mJ/cm、900mJ/cm、1000mJ/cm及び1000mJ/cm超のうちの1又は複数である、請求項1、6又は7のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記タンパク質成分が、抗体である、請求項1、6又は7のいずれか1項に記載の方法。
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