JP6497317B2 - ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な耐熱性および耐加水分解性を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物および、それを製造する方法に関するものである。
ポリエステルは機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。
しかし、ポリエステルは熱分解や酸化分解、加水分解により機械物性が低下するため、長期にわたって使用する場合、或いは湿気のある状態で使用する場合においては、熱分解や酸化分解、加水分解を抑制すべく様々な検討がなされてきた。特に、電気絶縁用フィルムは高温条件下にさらされることから高い耐熱性や耐酸化分解性が要求されており、太陽電池用フィルムにおいては、高湿条件下にさらされることから、高い耐加水分解性が必要とされてきた。近年、上記のようなフィルムの要求特性はさらに向上してきており、高い耐熱性、耐酸化分解性と耐加水分解性を兼ね備えたフィルムが求められてきている。この課題に対して、以下の文献に示されるような検討がされてきている。
例えば、特許文献1にはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のリン酸塩を含有するポリエステルの製造方法が記載されている。
しかし、リン酸金属塩のみでは、初期のCOOH末端基は抑制できるが、加水分解によるCOOH末端基増加量を抑制することは難しく、太陽電池用途のように長期間の耐久性を必要とする用途では十分な耐加水分解性が得られない。
特許文献2には、よう化銅(I)を含有してなるポリエステルフィルムが開示されており、よう化銅(I)を加えることでポリエステルフィルムの耐熱性が向上することが記載されているものの、耐加水分解性の改良には至っていなかった。
特許文献3には、銅塩およびハロゲン化物の少なくとも一つを有する二軸延伸ポリエステルフィルムが開示されており、耐加水分解性が改良されているものの、耐熱性についての改良には至っていなかった。
さらに、特許文献4にも銅塩を含むポリエステルフィルムが開示されており、銅塩を含むことによる耐加水分解性の向上が記載されているものの、耐熱性に関する改良には至っておらず、また、銅塩を重縮合反応が2時間以上経過した後に添加しなければならないことから、製造方法が複雑であるという課題があった。
特許文献5には緩衝剤を含有するポリエチレンテレフタレート組成物が開示されている。しかし、緩衝剤の効果によって耐加水分解性の向上は見られているものの、耐熱性や耐酸化分解性の向上には至っていなかった。
特開2001−114881号公報 特開昭62−177057号公報 特開2010−265459号公報 特開2010−202837号公報 特開2008−7750号公報
本発明の目的は、良好な耐熱性と耐酸化分解性および耐加水分解性を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物および、それを製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、本発明によれば、良好な耐熱性と耐酸化分解性および耐加水分解性を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物および、それを製造する方法を見出した。
すなわち、本発明の目的は以下の手段によって達成される。
銅の酸化物、アルキル化銅錯体、カルボン酸銅、ハロゲン化銅、炭酸銅、硝酸銅、硫酸銅、チオシアン酸銅、水酸化銅、硫化銅から選ばれる1種類以上の銅元素を含有する化合物と、アルカリ金属元素、および1.5mol/t〜5.0mol/tのリン元素を含むポリエステル樹脂を含む組成物であって、前記アルカリ金属元素をアルカリ金属化合物として、リン元素をホスファイト系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物から選ばれる2種類以上のリン化合物として含有し、該組成物中に含まれるアルカリ金属元素とリン元素の比が式(I)を満たす、主たる構成成分の繰り返し単位がエチレンテレフタレート又はエチレンナフタレートであるポリエステル樹脂組成物。
0.1≦M/P≦1.0 (I)
ここで、Mはポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属元素の総モル量、
Pはポリエステル樹脂中に含まれるリン元素のモル量をそれぞれ示す。
本発明によれば、良好な耐熱性と耐酸化分解性および耐加水分解性を兼ね備えたポリエステル樹脂組成物および、それを製造する方法を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等の芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。この中でも、ポリエステル樹脂組成物の耐酸化分解性および耐熱性、耐加水分解性や、組成物をフィルムにした際の機械強度の観点から、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましく、その中でもテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。
本発明におけるジオール成分としては、各種ジオールを用いることができる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またゲル化しない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。
この中で、沸点230℃以下のジオールであることが好ましく、脂肪族ジオールが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコールが特に好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、優れた耐熱性と耐酸化分解性を得るために、銅元素を含有することが必要である。銅元素の含有量としては、下限として0.1mol/t以上であることが好ましく、より好ましくは0.3mol/t以上、さらに好ましくは1.0mol/t以上である。また、上限としては、6.0mol/t以下であることが好ましく、より好ましくは5.5mol/t以下、さらに好ましくは4.5mol/t以下である。
本発明のポリエステル樹脂組成物においては、優れた耐熱性と耐加水分解性を付与するために、アルカリ金属元素が含まれていることが必要である。加えて、アルカリ金属をリン元素との比率が式(I)を満たすように含有することが必要である。
0.1≦M/P≦1.0 (I)
ここで、Mはポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属元素の総モル量、
Pはポリエステル樹脂中に含まれるリン元素のモル量をそれぞれ示す。
M/Pの下限は0.1以上であることが必要であり、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上である。また、上限は1.0以下であることが必要であり、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下である。
アルカリ金属元素としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Frが挙げられるが、耐熱性および耐加水分解性の観点から、Li、Na、Kのいずれかであることが好ましく、より好ましくは、Na、Kのいずれかである。アルカリ金属元素は二種類以上含有していてもかまわない。
アルカリ金属元素の含有量は、式(I)を満たす範囲であればよいが、下限として好ましくは0.3mol/t以上であり、より好ましくは0.5mol/t以上、さらに好ましくは1.0mol/t以上である。また上限としては4.5mol/t以下であることが好ましく、より好ましくは4.0mol/t以下、さらに好ましくは3.0mol/t以下である。
本発明のポリエステル樹脂組成物に用いられるアルカリ金属化合物としては、有機酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド、酸化物、有機アルキル化合物など各種のアルカリ金属化合物を用いることができる。具体的には、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、よう化リチウム、よう化ナトリウム、よう化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、n−ブチルリチウムなどの化合物が挙げられる。耐加水分解性の観点から、アルカリ金属はリン酸アルカリ金属塩として含有されていることが好ましく、さらに好ましくは、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムとして含有されていることが好ましい。
優れた耐熱性および耐加水分解性を得るためにリン元素を1.5mol/t〜5.0mol/t含むことが必要である。リン元素の含有量の下限は、1.5mol/tであり、この好ましくは1.8mol/t以上、より好ましくは2.0mol/t以上である。また、上限は5.0mol/t以下であり、好ましくは4.5mol/t以下、より好ましくは4.0mol/t以下である。これらの範囲にすることで、重合遅延などを起こすことなく、優れた耐熱性および耐加水分解性を持つポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
ここまで述べてきたように、本発明のポリエステル樹脂組成物は、銅元素と、アルカリ金属元素、および1.5mol/t〜5.0mol/tのリン元素を含み、組成物中に含まれるアルカリ金属元素とリン元素の比が式(I)を満たすことにより、優れた耐熱性と耐加水分解性を兼ね備えることができる。
0.1≦M/P≦1.0 (I)
ここで、Mはポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属元素の総モル量、
Pはポリエステル樹脂中に含まれるリン元素のモル量をそれぞれ示す。
具体的には、銅元素とリン元素の効果により耐熱性が向上することで、樹脂組成物の熱分解を抑えることができるため、重合後の初期カルボキシル末端基量が下がる。初期カルボキシル末端基量が下がると耐加水分解性が向上するため、銅を単独で用いるよりもリンと併用することにより、樹脂組成物のカルボキシル末端基量が特異的に下がり、耐加水分解性も一層向上する。同様に、銅化合物により付与される耐熱性と、リン化合物により付与される耐熱性の相乗効果によって、ポリマーとしての耐熱性が大きく向上する。
加えて、本発明のポリエステル樹脂組成物においては、アルカリ金属元素が式(I)を満たすように含有されていることで、耐加水分解性をさらに向上させている。上記の初期カルボキシル末端基量の低下効果との相乗効果によって、より優れた耐加水分解性を有しており、優れた耐熱性と耐加水分解性を併せ持つことに成功している。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、優れた耐加水分解性を有するために、リン化合物としてリン酸とリン酸アルカリ金属塩を含むことが好ましい。リン酸とリン酸アルカリ金属塩の割合は、リン酸をリン酸アルカリ金属塩に対して、0.5倍モル以上2.0倍モル以下であることが好ましく、より好ましくは0.8倍モル以上1.5倍モル以下である。
さらに、本発明においてはポリエステル組成物中の銅元素の含有量(Cu)とリン元素の含有量(P)のモル比、Cu/Pが0.1以上2.0以下の範囲にあることが好ましい。Cu/Pを0.1以上2.0以下にすることで、得られる樹脂組成物の耐熱性、耐酸化分解性および耐加水分解性がいずれも良好になる。Cu/Pの下限としては、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。また、Cu/Pの上限としては、1.8以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物の耐熱性は溶融耐熱性で評価する。具体的には、窒素雰囲気下、300℃で60分加熱処理したときのCOOH末端基増加量(ΔCOOH)で評価する。COOH末端基増加量(ΔCOOH)が35.0eq/t以下であることが好ましく、より好ましくは30.0eq/t以下であり、さらに好ましくは25.0eq/t以下である。この範囲にすることで、溶融時の劣化を抑えることができるため、溶融押出や溶融混練などを必要とするフィルムや繊維などの各種成型品に好適なポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
耐加水分解性の評価としては、155℃、100%RHで4時間処理したときのCOOH末端基量で評価する。処理後のCOOH末端基量としては70.0eq/t以下であることが好ましく、より好ましくは60.0eq/tであり、さらに好ましくは50.0eq/tである。この範囲にすることで、長期使用による高耐久性が必要とされる電絶フィルム用途や太陽電池用フィルムなどに好適なポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の耐酸化分解性は、空気雰囲気下、200℃で24時間処理したときのCOOH末端基増加量(ΔCOOH)およびIV低下量(ΔIV)で評価する。空気雰囲気下、200℃で24時間処理した際のΔCOOHは、好ましくは100.0eq/t以下であり、さらに好ましくは60.0eq/t以下、より好ましくは30.0eq/t以下である。また、ΔIVは0.20以下であることが好ましく、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.10以下である。この範囲にすることで、空気雰囲気下に長期間曝され、高い耐久性が必要とされる電絶フィルム用途や太陽電池用フィルムなどに好適なポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について、説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応(A)またはエステル交換反応(B)させる、1段階目の反応と、それに続く重縮合反応(C)からなる。
1段階目の工程のうち、エステル化反応(A)の工程は、ジカルボン酸とジオールを所定の温度でエステル化させ、所定量の水が留出するまで反応を行い、低重合体を得る工程である。また、エステル交換反応(B)の工程は、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールを所定の温度でエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応を行い、低重合体を得る工程である。
一般的に、ジカルボン酸成分とジオール成分を原料としてエステル化反応(A)を行う場合、予めエステル化反応物を貯留しておき、ジカルボン酸とジオールのスラリーを添加してエステル化反応を開始する手法が、ジオールに難溶なジカルボン酸のハンドリング性向上、反応時間の短縮の点から選択されている。エステル化反応物を貯留しなくても、エステル化反応は進行するが、加圧設備や触媒が必要となる場合がある。本発明においても、貯留エステル化反応物を使用し、エステル化反応を実施することが望ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法において、ジカルボン酸とジオールからエステル化反応物を得る際、エステル化反応性、耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸成分とジオール成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)は、1.05以上1.40以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.05以上1.30以下、さらに好ましくは1.05以上1.20以下である。モル比を1.05以上1.40以下にすることによって、エステル化反応を効率的に進行させることができ、ジオール成分の2量体の副生を抑えることができ、その結果として、得られるポリエステル樹脂組成物の耐熱性を良好にすることができる。モル比が1.05未満であると、エステル化反応が効率的に進まないため、タイムサイクルが長くなる場合がある。また、モル比が1.40を超えると、副生するジオール成分の2量体によって耐熱性が低下する場合がある。
なお、本発明におけるエステル化反応において、触媒としてアルカリ金属塩、チタン化合物、アンモニウム塩などを用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、エステル化反応は無触媒においてもCOOH末端基による自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法において、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールからエステル交換反応(B)を経てエステル化物を得る際、エステル化反応性、耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸アルキルエステルとジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸アルキルエステル)は1.7以上2.3以下の範囲であることが好ましい。ジオールのモル比を1.7〜2.3にすることによって、エステル化反応を効率的に進行させることができ、またジオール成分の2量体の副生を抑えることができ、その結果として、得られるポリエステル樹脂組成物の耐熱性を良好にすることができる。モル比が1.7を下回る場合は、エステル化反応が効率的に進行しないため、タイムサイクルが長くなる場合がある。一方、モル比が2.3を超えると、副生するジオール成分の2量体によって耐熱性が低下する場合がある。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法において、エステル交換反応に用いられる触媒は、公知のエステル交換触媒であるエステル交換触媒及び助触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが好ましく使用される。具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
2段階目の工程である重縮合反応(C)は、エステル化反応(A)またはエステル交換反応(B)で得られた低重合体を移送した反応器内を減圧にすることにより、重縮合反応を開始し、反応器内の温度、圧力および攪拌速度を調節し重合反応を行い、攪拌トルクが所定の値に到達した時、すなわちポリエステル樹脂組成物が所望の粘度に到達した時まで重縮合を行うことにより、高分子量ポリエステル樹脂を得る工程である。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる重縮合触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、スズ化合物が挙げられる。
アンチモン化合物としては、アンチモンの酸化物、アンチモンカルボン酸、アンチモンアルコキシドなどが挙げられる。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの酸化物、ゲルマニウムアルコキシドなどが挙げられる。
チタン化合物としては、チタンキレート錯体、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物などが挙げられる。
アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、塩基性アルミニウム化合物などが挙げられる。
スズ化合物としては、アルキル基を持つスズ化合物、ヒドロキシル基を持つスズ化合物などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法において、少なくとも1種類の銅化合物と2種類以上のリン化合物を添加することが、優れた耐熱性と耐酸化分解性および耐加水分解性を付与するために必要である。銅化合物と2種類以上のリン化合物は、(A)または(B)工程、それに続く(C)工程のいずれの段階で添加しても良いが、耐熱性、耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物を効率的に製造することができる点で、(C)工程で添加することが好ましく、特に重縮合反応開始時に添加することが好ましい。重縮合反応開始時とは、エステル化反応(A)またはエステル交換反応(B)で得られた低重合体を反応器内に移行してから、減圧を開始するまでの期間を指す。銅化合物、リン化合物はそれぞれジオールと混合した状態で添加する。
銅化合物としては、酸化物、アルキル化銅錯体、カルボン酸銅、ハロゲン化銅など各種の銅化合物を用いることができる。具体的には、酸化銅(I)、酸化銅(II)、ジメチル銅リチウム、ジブチル銅リチウム、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、安息香酸銅、炭酸銅、硝酸銅、硫酸銅、オレイン酸銅、ギ酸銅、メタクリル酸銅、ステアリン酸銅、イソ酪酸銅、チオシアン酸銅、水酸化銅、硫化銅、塩化銅、臭化銅、よう化銅等が挙げられるが、これに限定されるものではない。その中でも、耐熱性および耐加水分解性を両立する観点から、有機酸銅もしくはハロゲン化銅が好ましく、その中でも酢酸銅などのカルボン酸銅やよう化銅が特に好ましい。なお、これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
用いるリン化合物は特に限定しないが、ホスファイト系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物等が挙げられる。
ホスファイト系化合物としては、具体的には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)、4,4′−イソプロピリデン−ビス(ジフェニルモノアルキル(C12〜C15)ホスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノニルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジメチルフェニルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、2,2'-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-5,5'-スピロビ[1,3,2-ジオキサホスホリナン]等が挙げられる。
ホスフェイト系化合物としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等が挙げられる。
ホスホン酸系化合物としては、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等が挙げられる。
ホスフィン酸系化合物としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸、ジキシリルホスフィン酸、ジビフェニリルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アントリルホスフィン酸、2−カルボキシフェニルホスフィン酸、3−カルボキシフェニルホスフィン酸、4−カルボキシフェニルホスフィン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,3,6−トリカルボキフェニルホスフィン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスフィン酸、ビス(2−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3−ジカルボキルシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,6−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(3,5−ジカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,4−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,3,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(2,4,5−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、及びビス(2,4,6−トリカルボキシフェニル)ホスフィン酸、メチルホスフィン酸メチルエステル、ジメチルホスフィン酸メチルエステル、メチルホスフィン酸エチルエステル、ジメチルホスフィン酸エチルエステル、エチルホスフィン酸メチルエステル、ジエチルホスフィン酸メチルエステル、エチルホスフィン酸エチルエステル、ジエチルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸メチルエステル、フェニルホスフィン酸エチルエステル、フェニルホスフィン酸フェニルエステル、ジフェニルホスフィン酸メチルエステル、ジフェニルホスフィン酸エチルエステル、ジフェニルホスフィン酸フェニルエステル、ベンジルホスフィン酸メチルエステル、ベンジルホスフィン酸エチルエステル、ベンジルホスフィン酸フェニルエステル、ビスベンジルホスフィン酸メチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸エチルエステル、ビスベンジルホスフィン酸フェニルエステル等が挙げられる。
ホスフィンオキサイド系化合物としては、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
亜ホスホン酸系化合物としては、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等が挙げられる。
亜ホスフィン酸系化合物としては、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等が挙げられる。
ホスフィン系化合物としては、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
その中でも、リン化合物の組み合わせは、リン酸とリン酸金属塩を組み合わせることが好ましく、より好ましくはリン酸とリン酸アルカリ金属塩の組み合わせである。
これらから選ばれる2種類以上のリン化合物を添加する際は、予めジオール成分と混合して添加することが耐加水分解性の点から好ましい。なお、あらかじめ2種類以上のリン化合物を混合して添加すると、耐加水分解性が一層向上する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法においては、必要に応じて、色調調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤又はその他の添加剤等を必要に応じて、添加しても構わない。
また、本発明においては、さらに高分子量のポリエステル樹脂組成物を得るために、固相重合をおこなってもよい。固相重合の装置・方法は特に限定されないが、例えば、減圧化でポリエステル樹脂組成物の融点以下の温度で加熱処理されることで実施される。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性がいずれも良好であり、繊維、フィルムなどの成形品に広く利用することができる。その中でも特に、近年要求特性の高まっている長期耐久性の求められる電気絶縁用フィルムや太陽電池用バックシートフィルムなどに好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリマー中のリン元素量の定量
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
(2)ポリマー中の銅元素量及びアルカリ金属元素量の定量
原子吸光法(日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。
(3)ポリエステル樹脂組成物の固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(4)ポリエステル樹脂組成物のCOOH末端基量
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice, F.Huizinga, Anal.Chem.Acta, 22 363 (1960)) 。
(5)溶融耐熱性(耐熱性の評価)
150℃で12時間乾燥したペレット状のポリエステル樹脂組成物を、窒素雰囲気下、300℃で60分加熱処理した。この処理前後のIV及びCOOH末端基量を測定し、耐熱性評価を実施した。
ΔCOOH =|COOH末端基量(処理後)−COOH末端基量(処理前)|
ΔCOOHが低いほど、耐熱性が良好である。
(6)耐酸化分解性
150℃で12時間乾燥したペレット状のポリエステル樹脂組成物を、空気雰囲気下、200℃で24時間熱処理した。この処理前後のIV及びCOOH末端基量を測定し、耐熱性評価を実施した。
ΔCOOH =|COOH末端基量(処理後)−COOH末端基量(処理前)|
ΔIV = |IV(処理後)−IV(処理前)
ΔCOOH及びΔIVが低いほど、耐酸化分解性が良好である。
(7)耐加水分解性
ペレット状のポリエステル樹脂組成物を155℃、100%RHで4時間処理し、処理前後のCOOH末端基量を測定した。処理後のCOOH末端基量が低いほど、耐加水分解性が良好である。なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。PRESSER COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製)。
(実施例1)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例2〜6)
よう化銅(I)の量を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例2〜6で得られた樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
Figure 0006497317
(比較例1)
よう化銅(I)を加えなかった以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例1で得られた樹脂組成物は、よう化銅(I)を加えていなかったため、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも不十分であった。
(比較例2)
使用するリン化合物をリン酸二水素ナトリウム(3.7mol/t相当)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例2で得られた樹脂組成物は、アルカリ金属元素のモル量とリン元素のモル量の比であるM/Pが1.0を超えていたために、耐加水分解性が不十分であった。
(比較例3)
使用するリン化合物をリン酸(3.7mol/t相当)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例3で得られた樹脂組成物は、アルカリ金属元素を含まず、アルカリ金属元素のモル量とリン元素のモル量の比であるM/Pが0であったため、溶融耐熱性と耐加水分解性が不十分であった。
(比較例4)
リン酸の添加量を0.044重量部(4.5mol/t相当)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物はリンの含有量が5.0mol/tを超えたため、重合遅延が起こり、初期カルボキシル末端基量が高くなった。その結果、耐加水分解性が不十分なポリエステル樹脂組成物が得られた。
(比較例5)
リン酸二水素ナトリウムの添加量を0.019重量部(1.2mol/t相当)に、リン酸の添加量を0.005重量部(0.5mol/t相当)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物はリンの含有量が1.5mol/tを下回ったため、溶融耐熱性および耐加水分解性が不十分であった。
比較例1〜5にて得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
Figure 0006497317
(実施例7)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例8〜12)
酢酸銅(II)一水和物の量を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例8〜12で得られた樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例13)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.033重量部(3.4mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.0047重量部(0.3mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例13で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例14)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.027重量部(2.8mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.014重量部(0.9mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例14で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例15)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.013重量部(1.3mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.0375重量部(2.4mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例15で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
Figure 0006497317
(実施例16〜25)
銅化合物を表4のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表4に示す。
実施例16〜25で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
Figure 0006497317
(実施例26〜34)
銅化合物を表5のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表5に示す。
実施例26〜34で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
Figure 0006497317
(実施例35)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素リチウム0.018重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例35で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例36)
銅化合物を酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、実施例35と同様にポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例36で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例37)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素カリウム0.023重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例37で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例38)
銅化合物を酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、実施例37と同様にポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例38で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例39)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.027重量部(2.7mol/t相当)/リン酸水素二ナトリウム0.014重量部(1.0mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例39で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例40)
銅化合物を酢酸銅(II)一水和物に変更した以外は、実施例39と同様にポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例40で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例41)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、酢酸リチウム二水和物0.017重量部(1.7mol/t相当)を添加し、5分撹拌後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸トリメチル0.024重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例41で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例42)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸トリメチル0.028重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例42で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例43)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル0.071重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表6に示す。
実施例43で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
Figure 0006497317
(比較例6)
テレフタル酸ジメチル101.0重量部、エチレングリコール69.2重量部(ジカルボン酸成分の2.1倍モル)、酢酸マンガン4水和物を0.058重量部、三酸化二アンチモンを0.038重量部を添加し、150℃で内容物を溶解させた。
その後、撹拌しながら、60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.033重量部を添加し、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.6相当の溶融粘度に到達した時点で、反応系内を窒素ガスにて一度常圧にし、酢酸銅(II)一水和物0.01重量部(0.5mol/t相当)とヨウ化カリウム0.1重量部(6.0mol/t相当)を添加した。その後再度真空へ減圧し、固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物はM/Pが1.0を越えており、耐加水分解性が不十分であった。さらに、実施例7と比較して、溶融耐熱性と耐酸化分解性の悪化が見られた。
(比較例7)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)、酢酸銅(II)一水和物0.02重量部(1.0mol/t相当)、ヨウ化カリウム0.015重量部(0.9mol/t相当)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.005重量部(0.5mol/t相当)をそれぞれ添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、M/Pが1.0を超えており、リン元素残存量が少なかったため、溶融耐熱性および耐加水分解性が不十分であり、実施例7と比較すると耐酸化分解性の低下が見られた。
(比較例8)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸マンガン(II)四水和物0.06重量部(2.4mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
比較例8で得られたポリエステル樹脂組成物は、銅を含んでおらず、溶融耐熱性および耐酸化分解性が不十分であった。
(実施例44)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.55相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
その後、得られたポリエステル樹脂組成物を150℃で4時間乾燥、結晶化させたのち、チップ温度230℃、真空度0.3Torr以下で12時間固相重合を行い、固有粘度0.75のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
実施例44で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例45)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了させた。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.55相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了させ、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。
その後、得られたポリエステル樹脂組成物を150℃で4時間乾燥、結晶化させたのち、チップ温度230℃、真空度0.3Torr以下で12時間固相重合を行い、固有粘度0.82のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
実施例45で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例46)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例44と同様の方法で、固有粘度0.75のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
実施例46で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例47)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例45と同様の方法で、固有粘度0.82のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表7に示す。
実施例47で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
Figure 0006497317
(実施例48)
テレフタル酸ジメチル96.0重量部、イソフタル酸ジメチル5.0重量部、エチレングリコール61.4重量部(ジカルボン酸成分の1.9倍モル)、酢酸マグネシウム0.06重量部(2.8mol/t相当)、三酸化二アンチモンを0.03重量部(1.0mol/t相当)、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)を添加し、150℃で内容物を溶解させた。
その後、撹拌しながら、60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PET/I)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
実施例48で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例49)
テレフタル酸ジメチル94.8重量部、ナフタレンジカルボン酸ジメチル6.3重量部、エチレングリコール61.4重量部(ジカルボン酸成分の1.9倍モル)、酢酸マグネシウム0.06重量部(2.8mol/t相当)、三酸化二アンチモンを0.03重量部(1.0mol/t相当)、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)を添加し、150℃で内容物を溶解させた。
その後、撹拌しながら、60分かけて190℃まで昇温し、さらに60分かけて200℃まで昇温した後、さらに90分かけて240℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分間撹拌してエステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PET/N)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
実施例49で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例50)
ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール51.2重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を180℃で溶解した後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.05重量部(2.0mol/t相当)、三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)、よう化銅(I)0.053重量部(2.8mol/t相当)を添加した。撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分撹拌後エステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
実施例50で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例51)
ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール51.2重量部(ジカルボン酸成分の2.0倍モル)をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を180℃で溶解した後、触媒として酢酸マンガン4水和物0.05重量部、三酸化二アンチモン0.03重量部、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)を添加した。撹拌しながら230℃まで3時間かけて昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出した後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)のエチレングリコール溶液を添加し、5分撹拌後エステル交換反応を終了した。
その後、反応物を重合装置に仕込み、重合装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から真空へ徐々に減圧しエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で反応を終了し、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
実施例51で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例52)
リン酸二水素ナトリウム(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例50と同様の方法でポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。
実施例52で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(実施例53)
リン酸二水素ナトリウム二水和物(1.7mol/t相当)に代えてリン酸二水素カリウム(1.7mol/t相当)を用いた以外は、実施例51と同様の方法でポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
実施例53で得られたポリエステル樹脂組成物は、溶融耐熱性、耐酸化分解性、耐加水分解性いずれも良好であった。
(比較例9)
銅化合物を添加しない以外は、実施例50と同様にしてポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
比較例9で得られたポリエステル樹脂組成物は、銅を含んでいないため溶融耐熱性が不十分であった。また耐酸化分解性と耐加水分解性も実施例50と比べて劣っていた。
(比較例10)
リン酸二水素ナトリウム二水和物を添加せず、リン酸の添加量を3.7mol/tに変更した以外はは、実施例50と同様にしてポリエステル樹脂組成物(PEN)を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表8に示す。
比較例10で得られたポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属を含んでおらず、M/P=0であったため、耐加水分解性が不十分であり、実施例50と比べて溶融耐熱性が悪化した。
Figure 0006497317

Claims (11)

  1. 銅の酸化物、アルキル化銅錯体、カルボン酸銅、ハロゲン化銅、炭酸銅、硝酸銅、硫酸銅、チオシアン酸銅、水酸化銅、硫化銅から選ばれる1種類以上の銅元素を含有する化合物と、アルカリ金属元素、および1.5mol/t〜5.0mol/tのリン元素を含むポリエステル樹脂を含む組成物であって、前記アルカリ金属元素をアルカリ金属化合物として、リン元素をホスファイト系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物から選ばれる2種類以上のリン化合物として含有し、該組成物中に含まれるアルカリ金属元素とリン元素の比が式(I)を満たす、主たる構成成分の繰り返し単位がエチレンテレフタレート又はエチレンナフタレートであるポリエステル樹脂組成物。
    0.1≦M/P≦1.0 (I)
    ここで、Mはポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属元素の総モル量、
    Pはポリエステル樹脂中に含まれるリン元素のモル量をそれぞれ示す。
  2. 前記アルカリ金属が、Na、Kのいずれかから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記アルカリ金属をリン酸アルカリ金属塩として、1.0mol/t以上3.0mol/t以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. リン化合物として、リン酸とリン酸アルカリ金属塩を含み、リン酸をリン酸アルカリ金属塩に対して、0.5倍以上2.0倍以下のモル比で含有することを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 組成物中に含まれる銅元素の含有量とリン元素の含有量の比が式(II)を満たす請求項1から4いずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
    0.1≦Cu/P≦2.0 (II)
    ここで、Cuはポリエステル樹脂中に含まれる銅元素のモル量、
    Pはポリエステル樹脂中に含まれるリン元素のモル量をそれぞれ示す。
  6. 前記銅元素を0.1mol/t以上6.0mol/t以下含むことを特徴とする請求項1からいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 空気雰囲気下、200℃で24時間処理したときのCOOH末端基増加量ΔCOOHおよび固有粘度(IV)低下量ΔIVが式(III)、(IV)を満たすことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
    ΔCOOH ≦ 100.0(eq/t) (III)
    ΔIV≦ 0.20 (IV)
  8. 窒素雰囲気下、300℃で60分加熱処理したときのCOOH末端基増加量ΔCOOHが35.0eq/t以下であることを特徴とする請求項1からいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  9. 155℃、100%RHの条件で4時間処理した際の、COOH末端基量が70.0eq/t以下であることを特徴とする請求項1からいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  10. テレフタル酸、テレフタル酸エステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸エステルから選ばれるジカルボン酸またはジカルボン酸エステル、および、エチレングリコールを、エステル化反応またはエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させるポリエステル樹脂を含む組成物の製造方法において、少なくとも銅の酸化物、アルキル化銅錯体、カルボン酸銅、ハロゲン化銅、炭酸銅、硝酸銅、硫酸銅、チオシアン酸銅、水酸化銅、硫化銅から選ばれる1種類の銅化合物、およびホスファイト系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物から選ばれる2種類以上のリン化合物を添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記リン化合物が、リン酸およびリン酸金属塩の組み合わせからなることを特徴とする請求項10に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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