JP2017178997A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Takamitsu Motoshiromizu
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Abstract

【課題】良好な耐酸化分解性および耐加水分解性を両立したポリエステル樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)銅元素と、(B)第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、(C)リン元素の含有量が1.5mol/t以上4.5mol/t以下であるポリエステル樹脂組成物であって、式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。ΔCOOH1≦60eq/t(I)ここで、ΔCOOH1は200℃、空気雰囲気下で24時間処理したときのカルボキシル基末端増加量を示す。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な耐酸化分解性および耐加水分解性を両立したポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリエステルは機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。
しかし、ポリエステルは熱分解や酸化分解、加水分解により機械物性が低下するため、長期にわたって使用する場合、或いは湿気のある状態で使用する場合においては、熱分解や酸化分解、加水分解を抑制すべく様々な検討がなされてきた。特に、電気絶縁用フィルムは高温条件下にさらされることから高い耐酸化分解性が要求されており、太陽電池用フィルムにおいては、高湿条件下にさらされることから、高い耐加水分解性が必要とされてきた。近年、上記のようなフィルムの要求特性はさらに向上してきており、高い耐酸化分解性および耐加水分解性を両立したフィルムが求められてきている。この課題に対して、以下の文献に示されるような検討がされてきている。
例えば、特許文献1には銅を含有するポリエステルフィルムが記載されている。しかし、銅のみでは、耐加水分解性が改良されているものの、耐酸化分解性についての改良には至っていなかった。
特許文献2には銅化合物とハロゲン化合物を含有するポリエステルフィルムが記載されている。銅化合物とハロゲン化合物によって脱炭酸反応が起こり、初期カルボキシル基末端量を低く抑え加水分解を抑制することはできているものの、耐酸化分解性についての改良には至っていなかった。
特許文献3には銅元素とアルカリ金属元素および特定量のリン元素を含有するポリエステルが開示されており、耐酸化分解性と耐加水分解性の向上が見られているものの、さらなる耐酸化分解性が求められている。
特開2010−202837号公報 特開2015−34231号公報 WO2015118966号公報
本発明の目的は、良好な耐酸化分解性および耐加水分解性を両立したポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、良好な耐酸化分解性および耐加水分解性を両立したポリエステル樹脂組成物を見出した。
すなわち、本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(A)銅元素と、(B)第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、(C)リン元素の含有量が1.5mol/t以上4.5mol/t以下であるポリエステル樹脂組成物であって、式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
ΔCOOH1≦60eq/t (I)
ここで、ΔCOOH1は200℃、空気雰囲気下で24時間処理したときのカルボキシル基末端増加量を示す。
本発明によれば、良好な耐酸化分解性および耐加水分解性を両立したポリエステル樹脂組成物を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を主原料として重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。主原料とは、ポリエステル中のジカルボン酸成分およびジオール成分から得られる構成単位が、合計で80モル%以上であることを示す。より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
本発明におけるジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。この中でも、ポリエステル樹脂組成物の耐酸化分解性および耐加水分解性や、組成物をフィルムにした際の機械強度の観点から、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。その中でもテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましく、製膜性の観点からテレフタル酸がさらに好ましい。
本発明におけるジオール成分としては、各種ジオールを用いることができる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またゲル化しない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。
この中で、沸点230℃以下のジオールであることが好ましく、脂肪族ジオールが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコールが特に好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、優れた耐酸化分解性および耐加水分解性を得るために、銅元素を含有することが必要である。
銅元素の含有量としては、下限として0.1mol/t以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mol/t以上、さらに好ましくは0.3mol/t以上である。また、上限としては、6.0mol/t以下であることが好ましく、より好ましくは4.0mol/t以下、さらに好ましくは2.0mol/t以下である。上記範囲を満足することにより、銅化合物の凝集などによる異物化、それによる透明性の低下を引き起こすことなく、耐酸化分解性および耐加水分解性を付与することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物においては、優れた耐酸化分解性および耐加水分解性を付与するために、第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素(以下、金属元素Bと記載する)を含有することが必要である。金属元素Bとして具体的には、第二族元素としてMg、Ca、Sr、Ba、Ra、銅元素を除く第一遷移元素としてSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、希土類としてY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。金属元素Bとして耐酸化分解性や耐加水分解性、入手のしやすさの観点から、この中でもMg、Ca、Mn、Co、Ceが好ましく、より好ましくはMn、Coである。金属元素Bの含有量の下限は、0.1mol/t以上であることが好ましく、より好ましくは0.3mol/t以上、0.7mol/t以上がさらに好ましい。銅元素と金属元素Bを併用することで、銅元素による耐酸化分解性がさらに向上する。また、金属元素Bは酸化分解や加水分解の起点となり分解反応を促進し得るため、上限としては10.0mol/t以下であることが好ましく、より好ましくは6.0mol/t以下、さらに好ましくは5.0mol/t以下である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は優れた耐酸化分解性および耐加水分解性を得るために、リン元素を1.5mol/t以上4.5mol/t以下含むことが必要である。リン元素の含有量の下限は、1.5mol/tであり、好ましくは1.8mol/t以上、より好ましくは2.0mol/t以上である。また、上限は4.5mol/t以下であり、好ましくは4.2mol/t以下、より好ましくは4.0mol/t以下である。これらの範囲にすることで、優れた耐酸化分解性および耐加水分解性を持つポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は式(I)を満たすことが必要である。
ΔCOOH1≦60eq/t (I)
ここでΔCOOH1とは、実施例(5)の方法により求められる耐酸化分解性の指標であり、200℃、空気雰囲気下、24時間処理したときのカルボキシル基末端増加量である。ΔCOOH1として好ましくは55eq/t以下、さらに好ましくは50eq/t以下、特に好ましくは45eq/t以下である。上記範囲を満たすことで、長期使用による高耐酸化分解性が必要とされる電絶フィルム用途などに好適なポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
ここで、耐酸化分解性試験では、熱効率の観点から、試験するポリエステル樹脂組成物の形態を統一することが重要である。当該耐酸化分解性試験ではペレットの形態で試験し、該ペレットは、1粒当たり表面積が10mm以上30mm以下のサイズで試験する必要がある。表面積が異なると正確に耐酸化分解性を比較することができない。
ここまで述べてきたように、本発明のポリエステル樹脂組成物は、(A)銅元素と、(B)第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、(C)リン元素の含有量が1.5mol/t以上4.5mol/t以下であることで、耐酸化分解性と耐加水分解性を両立することができる。
一般的にポリエステル合成は、高温で反応をおこなうため、重合反応は熱分解反応との競争反応であり、重合時の熱分解反応によってカルボキシル基末端が形成される。重合反応が長時間化し熱分解反応が進むと、重合後に得られるポリマー中のカルボキシル基末端量は高い値を示す。カルボキシル基末端は自己触媒として働き、加水分解を促進するため、耐加水分解性の観点から、カルボキシル基末端量は低く抑えることが求められる。
銅は還元性を有しており、熱分解や酸化分解の起点となるラジカルを不活性化することができるため、重合反応時の熱分解を抑制でき、さらに電絶フィルム用途などに求められる長期耐酸化分解性も付与可能である。本発明では、耐酸化分解性および耐加水分解性を付与する目的で銅元素を使用している。しかし、銅元素単独では銅元素量が増加すると、銅元素が異物となり透明性が劣る恐れがある。本発明では、鋭意検討し、金属元素Bと併用することで銅元素がポリエステル中に分散することを見出した。銅元素と金属元素Bを併用することで、銅元素のラジカル不活性化の効果が向上し、より効果的に熱分解および酸化分解を抑制できる。
ラジカルを不活性化できる銅元素と金属元素Bにより付与される耐酸化分解性と、還元性のリン元素により付与される耐酸化分解性の相乗効果によって、本発明のポリエステル樹脂組成物は、飛躍的な耐酸化分解性を発現している。同様に、銅元素と金属元素Bおよびリン元素の効果により耐酸化分解性を向上させたことで、ポリマーの熱分解を抑えることができるため、カルボキシル末端基量を低減させることが可能となる。カルボキシル基末端量が下がると耐加水分解性が向上するため、銅を単独で用いるよりも金属元素Bおよびリン元素と併用することにより、耐加水分解性も一層向上し、結果として耐酸化分解性および耐加水分解性を両立できる。
より優れた耐酸化分解性を付与するために、式(II)を満たすことが好ましい。
1.5≦M/Cu≦30.0 (II)
ここで、Mは組成物中に含まれる第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素の総和モル量(mol/t)、Cuは組成物中に含まれる銅元素のモル量(mol/t)をそれぞれ示す。M/Cuをこの範囲とすることで、得られる樹脂組成物の耐酸化分解性が良好になり、さらに透明性を付与することができる。M/Cuの下限としては1.5以上が好ましく、より好ましくは2.0、さらに好ましくは3.0以上である。上限としては30.0以下が好ましく、より好ましくは15.0以下が好ましく、さらに好ましくは10.0以下である。M/Cuを上記範囲とすることで、金属元素Bとの併用により銅元素の分散性が向上し、これにより銅元素のラジカル不活性化の効果が向上し、より効果的に熱分解および酸化分解を抑制できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の透明性は、実施例(7)の方法により求められる溶液ヘイズで評価する。溶液ヘイズの好ましい範囲としては、15%以下が好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。この範囲とすることで、得られる樹脂組成物の異物が少なく、透明性に優れるポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
より優れた耐酸化分解性および耐加水分解性を有するために、式(III)を満たすことが好ましい。
0.7≦M/P≦2.5 (III)
ここで、Mは組成物中に含まれる第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素の総和モル量(mol/t)、Pは組成物中に含まれるリン元素のモル量(mol/t)をそれぞれ示す。M/Pの下限としては0.7以上が好ましく、より好ましくは0.8以上である。上限としては2.5以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。この範囲とすることで、長期使用による高耐酸化分解性および高耐加水分解性が必要とされる電絶フィルム用途や太陽電池用フィルムなどに好適なポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は式(IV)を満たすことが好ましい。
ΔCOOH2≦50eq/t (IV)
ここで、ΔCOOH2とは、実施例(6)の方法により求められる耐加水分解性の指標であり、155℃、100%RHで4時間処理したときのカルボキシル基末端増加量である。ΔCOOH2としては50eq/t以下であることが好ましく、より好ましくは45eq/t以下であり、さらに好ましくは40eq/t以下である。この範囲にすることで、長期使用による高耐加水分解性が必要とされる電絶フィルム用途や太陽電池用フィルムなどに好適なポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。
次に、本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法について、説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、(A)銅元素と、(B)第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、(C)リン元素の含有量が1.5mol/t以上4.5mol/t以下とすることで、得ることができる。
本発明において銅元素と金属元素Bおよびリン元素をポリエステルに導入する方法としては、例えば、ポリエステル重縮合反応が完結するまでにそれぞれの元素を含む化合物を添加する方法、ポリエステル溶融ポリマー中へそれぞれの元素を含む化合物を添加し、混錬する方法、それぞれの元素を含む複数のポリエステルを溶融し、混錬する方法が挙げられる。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法として、ポリエステル重合反応が完結するまでに銅元素と金属元素Bおよびリン元素を含む化合物を添加する方法について詳しく記述するが、以下の記述に限定されることはない。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応(A)またはエステル交換反応(B)させる、1段階目の反応と、それに続く重縮合反応(C)からなる。
1段階目の工程のうち、エステル化反応(A)の工程は、ジカルボン酸とジオールを所定の温度でエステル化させ、所定量の水が留出するまで反応を行い、低重合体を得る工程である。また、エステル交換反応(B)の工程は、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールを所定の温度でエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応を行い、低重合体を得る工程である。
一般的に、ジカルボン酸成分とジオール成分を原料としてエステル化反応(A)を行う場合、予めエステル化反応物を貯留しておき、ジカルボン酸とジオールのスラリーを添加してエステル化反応を開始する手法が、ジオールに難溶なジカルボン酸のハンドリング性向上、反応時間の短縮の点から選択されている。エステル化反応物を貯留しなくても、エステル化反応は進行するが、加圧設備や触媒が必要となる場合がある。本発明においても、貯留エステル化反応物を使用し、エステル化反応を実施することが望ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法において、ジカルボン酸とジオールからエステル化反応物を得る際、エステル化反応性、耐酸化分解性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸成分とジオール成分のモル比(ジオール成分/ジカルボン酸成分)は、1.05以上1.40以下の範囲であることが好ましい。モル比を1.05以上1.40以下にすることによって、エステル化反応を効率的に進行させることができ、ジオール成分の2量体の副生を抑えることができる。その結果として、得られるポリエステル樹脂組成物の耐酸化分解性を良好にすることができる。モル比が1.05未満であると、エステル化反応が効率的に進まないため、タイムサイクルが長くなる場合がある。また、モル比が1.40を超えると、副生するジオール成分の2量体によって耐酸化分解性が低下する場合がある。
なお、本発明におけるエステル化反応において、触媒としてアルカリ金属塩、チタン化合物、アンモニウム塩などを用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、エステル化反応は無触媒においてもカルボキシル基末端による自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法において、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールからエステル交換反応(B)を経てエステル化物を得る際、エステル交換反応性、耐酸化分解性の観点から、エステル交換反応開始前のジカルボン酸アルキルエステルとジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸アルキルエステル)は1.7以上2.3以下の範囲であることが好ましい。上記範囲とすることで、エステル交換反応を効率的に進行させることができ、またジオール成分の2量体の副生を抑えることができる。その結果として、得られるポリエステル樹脂組成物の耐酸化分解性を良好にすることができる。モル比が1.7を下回る場合は、エステル化反応が効率的に進行しないため、タイムサイクルが長くなる場合がある。一方、モル比が2.3を超えると、副生するジオール成分の2量体によって耐酸化分解性が低下する場合がある。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造方法において、エステル交換反応に用いられる触媒は、公知のエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒及び助触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが好ましく使用され、金属元素Bとして用いても構わない。具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
2段階目の工程である重縮合反応(C)は、エステル化反応(A)またはエステル交換反応(B)で得られた低重合体を移送した反応器内を減圧にすることにより、重縮合反応を開始し、反応器内の温度、圧力および攪拌速度を調節し重合反応を行い、攪拌トルクが所定の値に到達した時、すなわちポリエステル樹脂組成物が所望の粘度に到達した時まで重縮合反応を行うことにより、高分子量ポリエステル樹脂を得る工程である。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる重縮合触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、スズ化合物などが挙げられる。
銅元素および金属元素B、リン元素は、(A)または(B)工程、それに続く(C)工程のいずれの段階で添加しても良いが、耐酸化分解性、耐加水分解性に優れたポリエステル樹脂組成物を効率的に製造することができる点で、(A)または(B)工程終了から(C)工程完了までの間で添加することが好ましい。銅元素および金属元素B、リン元素はそれぞれジオールと混合した状態で添加することが好ましく、銅元素の分散性の観点から、銅元素と金属元素Bは添加前に混合した状態で添加することがさらに好ましい。
銅元素を含む化合物としては、酸化銅、カルボン酸銅、銅錯体化合物など各種の銅化合物を用いることができる。具体的には、酸化銅(I)、酸化銅(II)、ジメチル銅リチウム、ジブチル銅リチウム、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、安息香酸銅、炭酸銅、硝酸銅、硫酸銅、オレイン酸銅、ギ酸銅、メタクリル酸銅、ステアリン酸銅、イソ酪酸銅、チオシアン酸銅、水酸化銅、硫化銅、塩化銅、臭化銅、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、フタロシアニン銅(II)、ビス(8−キノリノラト)銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム等が挙げられるが、これに限定されるものではない。その中でも、耐酸化分解性および耐加水分解性を両立する観点から、有機酸銅が好ましく、その中でも酢酸銅などのカルボン酸銅が特に好ましい。なお、これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
金属元素Bは具体的には、第二族元素としてMg、Ca、Sr、Ba、Ra、銅元素を除く第一遷移元素としてSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、希土類としてY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。金属元素として耐酸化分解性や耐加水分解性、入手のしやすさの観点から、この中でもMg、Ca、Mn、Co、Ceが好ましく、より好ましくはMn、Coである。
金属元素Bを含む化合物としては、有機酸塩、ハロゲン化塩、水酸化物、アルコキシド、酸化物、有機アルキル化合物などの各種の金属化合物を用いることができる。具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、グルタミン酸マグネシウム、安息香酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、二酸化マンガン、塩化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(III)、水酸化コバルト(II)、ヘキサニトロコバルト(III)酸カリウム、ヘキサニトロコバルト(III)酸ナトリウム、硫酸コバルト(II)、ギ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、酸化セリウム(III)、酸化セリウム(IV)、塩化セリウム(III)、フッ化セリウム(III)、硫酸セリウム(III)、硫酸セリウム(IV)、硝酸セリウム(III)アンモニウム、ペンタニトラトセリウム(III)酸アンモニウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム、硝酸セリウム(III)、水酸化セリウム(IV)、炭酸セリウム(III)、シュウ酸セリウム(III)、酢酸セリウム(III)、酢酸セリウム(IV)など化合物が挙げられる。その中でも、耐酸化分解性および耐加水分解性を両立する観点から、有機酸塩が好ましく、その中でも酢酸塩などのカルボン酸塩が特に好ましい。なお、これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
用いるリン化合物は特に限定しないが、ホスファイト系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物等が挙げられる。
ホスファイト系化合物としては、具体的には、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
ホスフェイト系化合物としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等が挙げられる。
ホスホン酸系化合物としては、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等が挙げられる。
ホスフィン酸系化合物としては、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸、キシリルホスフィン酸、ビフェニリルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジトリルホスフィン酸等が挙げられる。
ホスフィンオキサイド系化合物としては、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド、トリプロピルホスフィンオキサイド、トリイソプロピルホスフィンオキサイド、トリブチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
亜ホスホン酸系化合物としては、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等が挙げられる。
亜ホスフィン酸系化合物としては、メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸、ジエチル亜ホスフィン酸、ジプロピル亜ホスフィン酸、ジイソプロピル亜ホスフィン酸、ジブチル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等が挙げられる。
ホスフィン系化合物としては、メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、メエルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物においては、必要に応じて、色調調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤又はその他の添加剤等を必要に応じて、添加しても構わない。
また、本発明においては、さらに高分子量のポリエステル樹脂組成物を得るために、固相重合をおこなってもよい。固相重合の装置・方法は特に限定されないが、例えば、減圧下でポリエステル樹脂組成物の融点以下の温度で加熱処理されることで実施される。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐酸化分解性および耐加水分解性がいずれも良好であり、繊維、フィルムなどの成形品に広く利用することができる。その中でも特に、近年要求特性の高まっている長期耐久性の求められる電気絶縁用フィルムや太陽電池用バックシートフィルムなどに好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリマー中のリン元素含有量
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて測定した。
(2)ポリマー中の銅元素及び金属元素Bの含有量
原子吸光法(日立製作所製:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行った。
(3)ポリマーの固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(4)ポリマーのカルボキシル基末端量
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice, F.Huizinga, Anal.Chem.Acta, 22 363 (1960)) 。
(5)耐酸化分解性(ΔCOOH1)
150℃で12時間真空乾燥したペレット状のポリエステル樹脂組成物3.5gを、直径15mmのガラス試験管に入れ、酸素濃度20%の空気雰囲気下、200℃で24時間熱処理した。当該処理では、熱効率の観点から、処理するポリエステル樹脂組成物の形態を統一することが重要であり、該ペレットは、1個当たり表面積が10mm以上30mm以下のサイズで試験した。該処理前後のカルボキシル基末端量を測定し、該処理後から該処理前を減したカルボキシル基末端増加量ΔCOOH1により耐熱酸化分解性評価を実施した。なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。VACUUM OVEN VOS−451SD(東京理化器械(株)製)。
ΔCOOH1が低いほど、耐酸化分解性が良好である。
(6)耐加水分解性(ΔCOOH2)
ペレット状のポリエステル樹脂組成物3.5gを、直径15mmのガラス試験管に入れ、155℃、100%RHで4時間処理した。当該処理では、熱効率の観点から、処理するポリエステル樹脂組成物の形態を統一することが重要であり、該ペレットは、1個当たり表面積が10mm以上30mm以下のサイズで試験した。該処理前後のカルボキシル基末端量を測定し、該処理後から該処理前を減したカルボキシル基末端増加量ΔCOOH2により耐加水分解性評価を実施した。なお、処理装置は次の加熱処理装置を使用した。PRESSER COOKER 306SIII(HIRAYAMA製作所(株)製)。
ΔCOOH2が低いほど、耐加水分解性が良好である。
(7)溶液ヘイズ
ポリエステル樹脂組成物2gを20mLのオルトクロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの3/2(容積比)混合溶液に溶解し、光路長20mmのセルを用い、ヘイズメーター(スガ試験機社製 HZ−1)を用いて、積分球式光電光度法にて測定した。溶液ヘイズが低いほど、透明性が良好である。
(実施例1)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送し、酢酸銅(II)一水和物0.002重量部(0.1mol/t相当)/酢酸マンガン(II)四水和物0.074重量部(3.0mol/t相当)/エチレングリコール1.5重量部の混合溶液、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.04重量部(4.1mol/t相当)/エチレングリコール0.8重量部の混合溶液を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、耐酸化分解性、耐加水分解性および透明性いずれも良好であった。
(実施例2〜9、比較例1)
酢酸銅(II)一水和物の添加量を表1に記載の量に変更した以外は、実施例1に示した方法と同様に実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表1に示す。
実施例2〜9で得られたポリエステル樹脂組成物は、耐酸化分解性および耐加水分解性のいずれも良好であった。さらに、実施例2〜7で得られたポリエステル樹脂組成物は、透明性も良好であった。
比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、銅元素を含有しないため耐酸化分解性が不十分であった。
Figure 2017178997
(実施例10〜12、比較例2)
酢酸マンガン(II)四水和物の添加量を表2に記載の量に変更した以外は、実施例1に示した方法と同様に実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例10〜12で得られたポリエステル樹脂組成物は、耐酸化分解性および耐加水分解性のいずれも良好であった。さらに、実施例11〜12で得られたポリエステル樹脂組成物は、透明性も良好であった。
比較例2で得られたポリエステル樹脂組成物は、金属元素Bを含有しないため耐酸化分解性および耐加水分解性がともに不十分であった。
(比較例3)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)に、酢酸銅(II)一水和物0.056重量部(2.8mol/t相当)、および三酸化二アンチモン0.03重量部(1.0mol/t相当)を添加し、5分攪拌した。その後、リン酸0.02重量部(2.0mol/t相当)/リン酸二水素ナトリウム二水和物0.027重量部(1.7mol/t相当)/エチレングリコール1.6重量部の混合溶液を添加し、重合装置に移送した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.7相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物は、銅元素を含有しているものの、金属元素Bを含有していないため、耐酸化分解性および耐加水分解性がいずれも不十分であった。
(実施例13〜16)
金属元素B化合物を表2の化合物に変更した以外は実施例1に示した方法と同様に実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例13〜16で得られたポリエステル樹脂組成物は、耐熱酸化分解性および耐加水分解性いずれも良好であり、さらに透明性も良好であった。
(比較例4)
酢酸マンガン(II)四水和物の代りに酢酸ナトリウムを使用した以外は実施例1に示した方法と同様に実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表2に示す。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物は、ナトリウムは金属元素Bに該当せず金属元素Bを含有していないため、銅元素を分散できず、耐酸化分解性および耐加水分解性がいずれも不十分であった。
Figure 2017178997
(実施例17〜20、比較例5〜6)
リン化合物の添加量を表3に記載の量に変更した以外は、実施例1に示した方法と同様に実施した。得られたポリエステル樹脂組成物の特性を表3に示す。
実施例17〜20で得られたポリエステル樹脂組成物は、耐酸化分解性および耐加水分解性いずれも良好であり、さらに透明性も良好であった。
比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物はリン元素含有量が1.5mol/tを下回ったため、耐酸化分解性、耐加水分解性がともに不十分であった。
比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物はリン元素含有量が4.5mol/tを上回ったため、耐酸化分解性、耐加水分解性がともに不十分であった。
Figure 2017178997

Claims (4)

  1. (A)銅元素と、(B)第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含み、(C)リン元素の含有量が1.5mol/t以上4.5mol/t以下であるポリエステル樹脂組成物であって、式(I)を満たすことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
    ΔCOOH1≦60eq/t (I)
    ここで、ΔCOOH1は200℃、空気雰囲気下で24時間処理したときのカルボキシル基末端増加量を示す。
  2. 式(II)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
    1.5≦M/Cu≦30.0 (II)
    ここで、Mは組成物中に含まれる第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素の総和モル量(mol/t)、Cuは組成物中に含まれる銅元素のモル量(mol/t)をそれぞれ示す。
  3. 式(III)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
    0.7≦M/P≦2.5 (III)
    ここで、Mは組成物中に含まれる第二属元素、銅元素を除く第一遷移元素、希土類元素の総和モル量(mol/t)、Pは組成物中に含まれるリン元素のモル量(mol/t)をそれぞれ示す。
  4. 式(IV)を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
    ΔCOOH2≦50eq/t (IV)
    ここで、ΔCOOH2は155℃、100%RHで4時間処理したときのカルボキシル基末端増加量を示す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018159005A (ja) * 2017-03-23 2018-10-11 東レ株式会社 ポリエステル樹脂組成物
JP2020066728A (ja) * 2018-10-25 2020-04-30 遠東新世紀股▲分▼有限公司 ポリエステルの製造方法及びポリエステル混合物
WO2023120455A1 (ja) * 2021-12-23 2023-06-29 東レ株式会社 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品

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