JP6458590B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法という)によるシリコン単結晶の製造方法に関し、特に、石英ルツボ内のシリコン原料の加熱方法に関するものである。
近年、シリコンウェーハの原料となるシリコン単結晶の多くはCZ法により製造されている。CZ法は、石英ルツボ内に収容されたシリコン融液の液面に種結晶を浸漬し、種結晶をゆっくり引き上げることにより、種結晶と同一の結晶方位をもつシリコン単結晶を育成する方法である。
近年、引き上げられるシリコン単結晶の大口径化に伴い、育成中の単結晶中に気泡が取り込まれ、単結晶中にピンホールや転位が発生する問題が目立つようになってきた。気泡はシリコン融液中に溶け込んだアルゴン(Ar)ガスや石英ルツボとシリコン融液との反応によって生じる一酸化ケイ素(SiO)ガスなどの気体が石英ルツボの内表面に形成された傷を起点に凝集することにより発生し、ルツボ内表面から離脱した気泡はシリコン融液中を浮上して単結晶中に取り込まれるものと考えられている。ピンホールはエアポケットとも呼ばれる球状の結晶欠陥(空洞欠陥)であり、その多くはサイズが300〜500μmのものであるが、150μm以下の非常に小さなものや1mm以上の非常に大きなものもある。
シリコン単結晶中のピンホールの発生を抑制するため、特許文献1には、シリコン原料の溶融後からボディー部の引き上げ終了まで炉内圧を上げ続ける方法が提案されている。また、特許文献2には、シリコン単結晶の引き上げを開始する前に、シリコン単結晶の引き上げ時よりもヒータ出力を高くかつ炉内圧を低く30Torr以下とする状態を一定時間保持することにより、シリコン単結晶中のピンホールの発生を抑制する方法が開示されている。さらに特許文献3には、ルツボの周囲を加熱するサイドヒータとルツボの底部を加熱するボトムヒータとで構成される分割ヒータを用いてルツボ内の原料を溶融することにより、原料を短時間で溶融する方法が開示されている。
特開2011−184213号公報 特開2011−201757号公報 特開平2−221184号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の方法は、シリコン融液中の酸素濃度を制御するために炉内圧を調整することができず、また温度によって気体の膨張を制御することができないという問題もある。また特許文献2に記載された従来の方法は、ボディー部の育成開始までにシリコン融液中の気体を取り除く必要があり、サイクルタイムが長くなるという問題がある。またヒータ出力を高くすることによる消費電力の大幅な増加や石英ルツボへの熱負荷の増加も問題となる。
したがって、本発明の目的は、単結晶中のピンホールの発生を効率的に抑制することが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、上下にそれぞれ配置された上部ヒータと下部ヒータとを用いて、石英ルツボ内のシリコン融液を加熱し、前記シリコン融液から単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前記石英ルツボ内のシリコン原料を加熱してシリコン融液を生成するシリコン融液生成工程と、前記シリコン融液に種結晶を着液させる着液工程と、結晶直径が徐々に増加した円錐状のショルダー部を育成するショルダー部育成工程と、結晶直径が一定に維持された円柱状のボディー部を育成するボディー部育成工程とを備え、前記シリコン融液生成工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第1のパワー比は、前記ボディー部育成工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第2のパワー比よりも大きいことを特徴とする。


本発明によれば、ボディー部育成前にシリコン融液中の気体を放出させることができ、ボディー部育成中は気泡の発生を抑制することができる。したがって、ボディー部に気泡が取り込まれてピンホールや転位が形成される確率を低減することができる。
本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、前記着液工程後であって前記ショルダー部育成工程前に、結晶直径が細く絞られたネック部を育成するネッキング工程をさらに備え、前記ネッキング工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第3のパワー比は、前記第2のパワー比よりも大きいことが好ましい。このように、ネッキング工程においてもルツボの底部の加熱を強化することにより、シリコン融液中の気体を十分に放出させることができる。
本発明において、前記着液工程から前記ショルダー部育成工程の途中あるいは完了までの期間における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第4のパワー比は、前記第2のパワー比よりも大きいことが好ましい。これによれば、ルツボ底部の加熱を強化する期間をできるだけ長くしてシリコン融液中の気体を十分に放出させることができる。
本発明において、前記第1のパワー比は、その工程の中で一定である必要はなく、工程中に変化させてもよい。同様に、第3及び第4のパワー比は、その工程の中で一定である必要はなく、工程中に変化させてもよい。ただし、それらパワー比は一貫して、ボディー部育成工程のパワー比よりも大きいことが要求される。このようにすることで、シリコン単結晶の引き上げ条件をより細かく制御することができ、単結晶収率を向上させることができる。
本発明において、前記シリコン融液生成工程は、前記石英ルツボ内のシリコン原料を溶融する溶融工程と、前記石英ルツボ内の全てのシリコン原料が溶融した後、前記シリコン融液を一定期間放置して前記シリコン融液を安定化させる融液安定化工程を含み、前記融液安定化工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第5のパワー比は、前記第2のパワー比よりも大きいことが好ましい。前記第5のパワー比は、融液安定化工程よりも前のシリコン原料を溶融する溶融工程における第6のパワー比と同じであってもよく、異なっていてもよい。また、その工程の中で一定である必要はなく、工程中に変化させてもよい。ただし、一貫してボディー部育成工程のパワー比よりも大きいことが要求される。これによれば、ルツボ底部の加熱を強化する期間をできるだけ長くしてシリコン融液中の気体を十分に放出させることができる。また、融液安定化工程における加熱条件を溶融工程と異ならせることができ、これによりシリコン融液を速やかに安定化させることが可能となる。
本発明において、前記融液安定化工程における前記一定期間は15時間以上であることが好ましい。また、前記ボディー部育成工程開始時よりも前の工程において、前記第2のパワー比よりも大きなパワー比が採用される時間の合計は51時間以上であることが好ましい。これによれば、ボディー部育成工程において気泡の発生を十分に抑制することができ、ピンホール発生率を0.1%以下に抑えることが可能である。
本発明において、前記第1、第3および第4のパワー比は、1.0以上2.0以下であることが好ましく、1.1以上1.5以下であることが特に好ましい。また前記第2のパワー比は、0.5以上0.9以下であることが好ましい。これによれば、ボディー部育成前にシリコン融液中の気体を放出させることができ、ボディー部育成中に気泡の発生を抑制することができる。したがって、ボディー部に気泡が取り込まれてピンホールや転位が形成される確率を低減することができる。
本発明によれば、単結晶中のピンホールの発生や有転位化を効率的に抑制することが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することができる。
図1は、シリコン単結晶引き上げ装置の構造を示す略断面図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。 図3は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す略断面図である。 図4は、本発明の第2の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。 図5は、本発明の第3の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。 図6は、本発明の第4の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。 図7は、ボディー部育成工程よりも前の工程における下部加熱強化時間とピンホール発生率との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、シリコン単結晶引き上げ装置1の構造を示す略断面図である。
図1に示すように、シリコン単結晶引き上げ装置1は、チャンバー10と、チャンバー10の内側に配置された断熱材11と、チャンバー10内に配置されシリコン原料を収容する石英ルツボ12と、石英ルツボ12を支持するサセプタ13と、サセプタ13を昇降可能に支持する回転支持軸14と、サセプタ13の周囲を取り囲むように配置されたヒータ15と、サセプタ13の上方に配置された略逆円錐台形状の熱遮蔽体16と、サセプタ13の上方であって回転支持軸14と同軸状に配置された単結晶引き上げ用ワイヤー17と、チャンバー10の上方に配置されたワイヤー巻き取り機構18とを備えている。
チャンバー10は、メインチャンバー10Aと、メインチャンバー10Aの上部開口に連結された細長い円筒状のプルチャンバー10Bとで構成されており、上述の石英ルツボ12、サセプタ13、回転支持軸14、ヒータ15及び熱遮蔽体16はメインチャンバー10A内に設けられている。
熱遮蔽体16は、シリコン融液3の上方において育成中のシリコン単結晶2を取り囲むように設けられている。巻き取り機構18はプルチャンバー10Bの上方に配置されており、ワイヤー17は巻き取り機構18からプルチャンバー10B内を通って下方に延びており、ワイヤー17の先端部はメインチャンバー10Aの内部空間まで達している。図1には、育成途中のシリコン単結晶2がワイヤー17に吊設された状態が示されている。
本実施形態におけるヒータ15は上下方向に2分割された分割ヒータであり、上部ヒータ15aと下部ヒータ15bとで構成されている。上部ヒータ15a及び下部ヒータ15bはそれぞれ独立に制御可能である。したがって、例えば上部ヒータ15aのパワーを下部ヒータ15bよりも大きくしたり、あるいは上部ヒータ15aのパワーを下部ヒータ15bよりも小さくしたりすることができる。
シリコン単結晶の引き上げ工程では、まずサセプタ13内に石英ルツボ12をセットし、石英ルツボ12内にシリコン原料を充填し、ワイヤー17の先端部に種結晶を取り付ける。次にポリシリコン塊等のシリコン原料をヒータ15で加熱してシリコン融液3を生成する。次に種結晶を降下させてシリコン融液3に着液させた後、種結晶及び石英ルツボ12をそれぞれ回転さながら、種結晶をゆっくり上昇させることにより、略円柱状のシリコン単結晶2を成長させる。その際、シリコン単結晶2の直径は、その引き上げ速度やヒータ15のパワーを制御することにより制御される。
単結晶引き上げ中、チャンバー10内は一定の減圧状態に保たれている。プルチャンバー10Bの上部に設けられたガス吸気口19aからアルゴンガスが供給され、メインチャンバー10Aの下部に設けられたガス排気口19bからアルゴンガスが排気され、チャンバー10内にはアルゴンガスの流れが発生している。
図2は、本発明の第1の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。また、図3は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す略断面図である。
図2及び図3示すように、シリコン単結晶2の育成では、石英ルツボ12内のシリコン原料を加熱してシリコン融液3を生成するシリコン融液生成工程S11と、種結晶をシリコン融液3に着液させる着液工程S12と、結晶直径が細く絞られたネック部2aを形成するネッキング工程S13と、結晶直径を円錐状に広げてショルダー部2bを形成するショルダー部育成工程S14と、規定の直径まで単結晶が成長した時点で一定の直径で引き上げを継続してボディー部2cを形成するボディー部育成工程S15と、引き上げ終了時に直径を細く絞り、最終的に液面から切り離すテール部育成工程S16が順に実施される。以上により、ネック部2a、ショルダー部2b、ボディー部2c及びテール部2dを有するシリコン単結晶インゴット2が完成する。
また図2に示すように、シリコン融液生成工程S11からショルダー部育成工程S14までの一連の工程では、下部ヒータ15bのパワーを上部ヒータ15aのパワー以上に設定した「第1の加熱条件」にてシリコン原料の加熱を行う。上部ヒータ15aのパワーをHPとし、下部ヒータ15bのパワーをHPとするとき、第1の加熱条件下でのパワー比(HP/HP)は1.0以上2.0以下であることが好ましく、1.1以上1.5以下であることが特に好ましい。このヒータ制御によればルツボ底部の加熱が強化されるので、ルツボ内底面に形成された微細な傷や突起を起点とする気泡の発生を活発化させることができ、シリコン融液に溶け込んだ気体を積極的に排除することができる。
シリコン融液生成工程S11は、石英ルツボ12内のシリコン原料が全て溶融した後、シリコン融液を一定期間放置して安定化させる融液安定化工程を含むことが好ましい。その際、融液安定化工程におけるパワー比(第5のパワー比)は、それよりも前のシリコン原料を溶融する溶融工程におけるパワー比(第6のパワー比)と同じであってもよく、異なっていてもよい。シリコン融液の放置期間は15時間以上であることが好ましい。この放置期間において第1の加熱条件下でシリコン融液を加熱することにより、気泡を十分に排除することができる。
第1の加熱条件は、シリコン融液生成工程S11のみならず、着液工程S12、ネッキング工程S13及びショルダー部育成工程S14でも採用することが好ましい。第1の加熱条件下での加熱期間をできるだけ長くすることで、シリコン融液に溶け込んだ気体をできるだけ多く除去することができる。また、ショルダー部2bはウェーハ製品に使われない部位であり、ショルダー部2bにピンホールが形成されても問題はなく、しかもショルダー部2bやネック部2aにピンホールが形成される確率は低く、第1の加熱条件をできるだけ長い時間適用することでボディー部2cにピンホールが形成される確率を低減できる利点の方が大きい。
一方、ボディー部育成工程S15及びテール部育成工程S16では、下部ヒータ15bのパワーを上部ヒータ15aのパワー未満に設定した「第2の加熱条件」にてシリコン原料の加熱を行う。すなわち、第2の加熱条件は、上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比を、第1の加熱条件よりも小さく設定するものである。第2の加熱条件下でのパワー比(HP/HP)は、0.5以上0.9以下であることが好ましい。このヒータ制御によればルツボ底部の加熱が抑えられるので、ルツボ内底面に形成された微細な傷や突起を起点とする気泡の発生を鎮静化させることができ、ボディー部2cに気泡が取り込まれてピンホールや転位が発生する確率を低減することができる。
シリコン融液生成工程S11からショルダー部育成工程S14までの各工程において、上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比HP/HPは常に一定である必要はなく、工程ごとに異なっていてもかまわない。ただし本実施形態において、シリコン融液生成工程S11からショルダー部育成工程S14までの各工程におけるパワー比は、ボディー部育成工程S15におけるパワー比(第2のパワー比)よりも大きいことが必要である。
したがって、例えば、ネッキング工程S13におけるパワー比(第3のパワー比)は、ボディー部育成工程S15におけるパワー比(第2のパワー比)よりも大きい限り、シリコン融液生成工程S11におけるパワー比(第1のパワー比)と異なっていてもよい。また、着液工程S12からショルダー部育成工程S14の途中あるいは完了までの期間全体におけるパワー比(第4のパワー比)は、ボディー部育成工程S15におけるパワー比(第2のパワー比)よりも大きい限り、シリコン融液生成工程S11におけるパワー比(第1のパワー比)と異なっていてもよい。
より具体的には、シリコン融液生成工程S11、着液工程S12、ネッキング工程S13、ショルダー部育成工程S14、及びボディー部育成工程S15におけるパワー比は、2.0、1.7、1.4、1.1、0.7とすることができる。すなわち、ボディー部育成工程S15に近づくほどパワー比が小さくするように制御してもよい。
以上説明したように、本実施形態によるシリコン単結晶の製造方法は、ボディー部育成工程S15よりも前のシリコン融液生成工程S11からショルダー部育成工程S14では、ルツボ底部の加熱が強化されるように分割ヒータの上下のパワー比を設定するので、ピンホールの原因となる気泡をボディー部育成工程S15の開始前にできるだけ多く除去することができる。また、ボディー部育成工程S15では、ルツボ底部の加熱を抑え、ルツボ上部の加熱が強化されるように分割ヒータの上下のパワー比を設定するので、気泡の発生を抑制することができ、ボディー部2cに気泡が取り込まれてピンホールが形成される確率を低減することができる。
また本実施形態においては、気泡の発生を促進させるために炉内圧を変化させないので、炉内圧を調整してシリコン融液中の酸素濃度を制御することが可能となる。また、分割ヒータを用いて必要な場所に必要な熱量を与えるので、無駄な消費電力を抑えて効率よくシリコン原料を加熱することができ、コスト削減を図ることもできる。また、熱負荷の増大による石英ルツボの内倒れや沈み込みを防止することができる。
図4は、本発明の第2の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態によるシリコン単結晶の育成工程は、ショルダー部育成工程S14で第2の加熱条件H2を採用することを特徴とするものである。すなわち、シリコン融液生成工程S11からネッキング工程S13までの期間では第1の加熱条件H1を採用し、ショルダー部育成工程S14からテール部育成工程S16までの期間では第2の加熱条件H2を採用する。その他の条件は第1の実施の形態と同様である。
ショルダー部育成工程S14においてボディー部育成工程S15と同様に下部ヒータ15bのパワーを上部ヒータ15aよりも弱くすることにより、シリコン融液中の気泡の発生を抑制することができる。ショルダー部はウェーハ製品に使われない部位であり、ショルダー部にピンホールが形成されても問題はないが、稀に気泡が原因で転位が発生することがある。しかし、ショルダー部育成工程において上部ヒータ15aのパワーを強くし、下部ヒータ15bのパワーを弱くした場合には、気泡を原因とする有転位化の確率を低減することができる。また、シリコン融液生成工程S11、着液工程S12及びネッキング工程S13においてルツボ底部の加熱を強化することにより、ボディー部育成工程S15に移行する前にシリコン融液中の気体を排除することができ、ボディー部育成工程S15において気泡の発生を抑制することができる。
図5は、第3の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態によるシリコン単結晶の育成工程は、ネッキング工程S13及びショルダー部育成工程S14で第2の加熱条件H2を採用することを特徴とするものである。すなわち、シリコン融液生成工程S11から着液工程S12までの期間では第1の加熱条件H1を採用し、ネッキング工程S13からテール部育成工程16までの期間では第2の加熱条件H2を採用する。その他の条件は第1の実施の形態と同様である。このように、ネッキング工程S13以降において下部ヒータ15bのパワーを上部ヒータ15aよりも弱くすることにより、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
図6は、第4の実施の形態によるシリコン単結晶の育成工程を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態によるシリコン単結晶の育成工程は、着液工程S12、ネッキング工程S13及びショルダー部育成工程S14で第2の加熱条件H2を採用することを特徴とするものである。すなわち、シリコン融液生成工程S11では第1の加熱条件H1を採用し、着液工程S12からテール部育成工程16までの期間では第2の加熱条件H2を採用する。その他の条件は第1の実施の形態と同様である。このように、着液工程S12以降において下部ヒータ15bのパワーを上部ヒータ15aよりも弱くすることにより、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
本発明者等の行った実験によれば、ボディー部育成工程S15を開始する前の工程において、上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比HP/HPを大きくしている時間(下部加熱強化時間)の合計が51時間以上であれば、ピンホール発生率を0.1%以下とすることが可能である。
図7は、ボディー部育成工程S15よりも前の工程における下部加熱強化時間とピンホール発生率との関係を示すグラフであって、横軸はボディー部育成工程開始時間(直胴入り時間)(h)、縦軸はピンホール発生率(従来技術の場合を1とした正規化値)をそれぞれ示している。「ボディー部育成工程開始時間」とは、ヒータ15のパワーをオンにしてシリコン融液生成工程S11を開始してからボディー部育成工程S15を開始するまでにかかった時間のことを言う。加熱条件としては第1の実施の形態を採用している。すなわち、ボディー部育成工程S15よりも前では第1の加熱条件H1を採用して下部ヒータ15bによる加熱を強化し、ボディー部育成工程S15以降では第2の加熱条件H2を採用して上部ヒータ15aによる加熱を強化している。
図7には9個のシリコン単結晶サンプルのピンホール発生率がプロットされており、ピンホール発生率は、ボディー部育成工程開始までの時間が長くなるほど低下する傾向が見られる。すなわち、第1の加熱条件下で加熱する時間が長ければ長いほどピンホール発生率が低下することが分かる。特にボディー部育成工程開始時間が51時間以上の場合、その効果が高く、安定してピンホール発生率を低く抑えることができる(従来技術比で0.3以下)。
例えば、第1の加熱条件H1を採用する工程がシリコン融液生成工程S11だけである上記第4の実施の形態においてピンホール発生率を従来技術比で安定して低く、従来技術比で0.3以下にするためには、シリコン融液生成工程S11での下部加熱強化時間を51時間以上とする必要がある。ここで、シリコン融液生成工程S11において固体のシリコン原料が完全に溶融するまでには約36時間かかるので、シリコン原料が完全に溶融した後に融液安定化工程を15時間以上実施すれば、シリコン融液生成工程S11は51時間以上となる。このように時間設定されたシリコン融液生成工程S11において、ボディー部育成工程S15におけるパワー比(第2のパワー比)よりも大きなパワー比を採用して加熱した場合には、ピンホール発生率を安定して低く、従来技術比で0.3以下に抑えることが可能となる。
第1〜第3の実施の形態のように、ショルダー部育成工程S14、ネッキング工程S13又は着液工程S12においてボディー部育成工程S15におけるパワー比(第2のパワー比)よりも大きなパワー比を採用する場合には、融液安定化工程を15時間未満としてもかまわない。ただしこのような場合でも融液安定化工程を15時間以上とすることにより、ピンホール発生率を確実に抑えることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、着液工程S12の後、結晶直径を細く絞って無転位化を図るネッキング工程S13を実施しているが、本発明においてネッキング工程は必須でない。また、上記実施形態では、テール部育成工程S16において第2の加熱条件H2を採用しているが、テール部育成工程S16において第2の加熱条件H2を採用することは必須ではなく、他の加熱条件を採用してもよい。すなわち、本発明においては、シリコン融液生成工程S11における上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比(第1のパワー比)が、ボディー部育成工程S15における上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比(第2のパワー比)よりも大きければよい。
(比較例1)
図1に示したシリコン単結晶引き上げ装置1を用いて直径約300mmのシリコン単結晶の引き上げを行った。上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比を常に1とし、分割ヒータを単一ヒータとして機能させて引き上げを行った。その後、得られたシリコン単結晶インゴットから厚さ約0.8mmのシリコンウェーハ609419枚を切り出し、ピンホールの有無を検査した。ピンホールの有無の検査はシリコンウェーハの両面の外観を目視で確認することにより行った。ピンホール発生率は、1本のシリコン単結晶インゴットから得られる全ウェーハ中に含まれるピンホールの総数をそのウェーハの全枚数で割った値である。そして、この検査の結果で得られたピンホール発生率を基準値とした。
(実施例1)
シリコン融液生成工程において上部ヒータ15aに対する下部ヒータ15bのパワー比は1.1とし、ボディー部育成工程におけるパワー比は0.5とした点以外は上記比較例1と同一条件下で直径約300mmのシリコン単結晶の引き上げを行った。その後、得られたシリコン単結晶インゴットから厚さ約0.8mmのシリコンウェーハ76999枚を切り出し、ピンホールの有無を検査した。この検査の結果、実施例1のピンホール発生率(比較例1と比べた正規化値)は0.3以下となった。
以上の結果から、上下方向に2分割された分割ヒータを用いて上述の加熱制御を行った実施例1は、単一ヒータを用いた比較例1よりもピンホール発生率が低くなることが分かった。
1 単結晶引き上げ装置
2 シリコン単結晶
2a ネック部
2b ショルダー部
2c ボディー部
2d テール部
3 シリコン融液
10 チャンバー
10A メインチャンバー
10B プルチャンバー
11 断熱材
12 石英ルツボ
13 サセプタ
14 回転支持軸
15 ヒータ(分割ヒータ)
15a 上部ヒータ
15b 下部ヒータ
16 熱遮蔽体
17 ワイヤー
18 ワイヤー巻き取り機構
19a ガス吸気口
19b ガス排気口

Claims (7)

  1. 上下にそれぞれ配置された上部ヒータと下部ヒータとを用いて、石英ルツボ内のシリコン融液を加熱し、前記シリコン融液から単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、
    前記石英ルツボ内のシリコン原料を加熱してシリコン融液を生成するシリコン融液生成工程と、
    前記シリコン融液に種結晶を着液させる着液工程と、
    結晶直径が徐々に増加したショルダー部を育成するショルダー部育成工程と、
    結晶直径が一定に維持されたボディー部を育成するボディー部育成工程とを備え、
    前記シリコン融液生成工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第1のパワー比は、前記ボディー部育成工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第2のパワー比よりも大きく、前記第1のパワー比は1.1以上1.5以下であり、前記第2のパワー比は0.5以上0.9以下であることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記着液工程後であって前記ショルダー部育成工程前に、結晶直径が細く絞られたネック部を育成するネッキング工程をさらに備え、
    前記ネッキング工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第3のパワー比は、前記第2のパワー比よりも大きく、前記第3のパワー比は1.1以上1.5以下であることを特徴とする請求項1のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記着液工程から前記ショルダー部育成工程の途中あるいは完了までの期間における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第4のパワー比は、前記第2のパワー比よりも大きく、前記第4のパワー比は1.1以上1.5以下であることを特徴とする請求項1又は2のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記シリコン融液生成工程は、前記石英ルツボ内のシリコン原料を溶融する溶融工程と、前記石英ルツボ内の全てのシリコン原料が溶融した後、前記シリコン融液を一定期間放置して前記シリコン融液を安定化させる融液安定化工程を含み、前記融液安定化工程における前記上部ヒータに対する前記下部ヒータの第5のパワー比は、前記第2のパワー比よりも大きく、前記第5のパワー比は1.1以上1.5以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記融液安定化工程における前記一定期間が15時間以上であることを特徴とする請求項4に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  6. 前記ボディー部育成工程開始時よりも前の工程において、前記第2のパワー比よりも大きなパワー比が採用される時間の合計が51時間以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  7. 前記上部ヒータ及び前記下部ヒータはともに、前記石英ルツボの周囲を取り囲むように配置された略円筒状の部材であり、前記石英ルツボの直径よりも大きな開口径を有し、前記上部ヒータ及び前記下部ヒータの内側に前記石英ルツボが配置されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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