JP6488975B2 - シリコン単結晶の引上げ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、CZ法という)によりシリコン単結晶を引上げる方法に関する。更に詳しくは、CZ法によりシリコン単結晶を引上げる際に、単結晶中に取り込まれる酸素濃度をより安定させ、肩下酸素濃度が所望の濃度範囲内に制御された高品質な単結晶を安定して育成できるシリコン単結晶の引上げ方法に関するものである。
一般に、半導体デバイスの基板にはシリコン単結晶から切り出したシリコンウェーハが使用されており、シリコン単結晶は主にCZ法等の引上げ方法を利用して単結晶インゴットを引上げることにより製造される。CZ法によるシリコン単結晶の引上げ方法では、例えば、図2に示す一般的な引上げ装置10a等が用いられ、先ず、チャンバ11内のルツボ12に多結晶シリコン等の結晶用原料を充填し、このルツボ12内の結晶用原料をヒータにより加熱、溶融してシリコン融液30とし、溶融層を形成する。次に、チャンバ11上部から種ホルダに保持した単結晶からなる種結晶20をシリコン融液30に浸漬し、種結晶20を回転させながらゆっくりと引上げることによってシリコン単結晶31を育成する。
CZ法によりシリコン単結晶の育成を行う場合、先ず、種結晶を融液に浸したときに種結晶に発生する転位を除去する(無転位化する)ため、ネッキングを行ってネック(絞り部とも言う。) を形成し、次いで、単結晶を所望の直径まで拡径することによりショルダ(拡径部、コーン部とも言う。)を形成する。所望の直径に拡径後、引上げ速度及びシリコン融液の温度を制御しながらボディ(直胴部とも言う。)を成長させることによって、略円柱形状の単結晶が製造される。
このようにCZ法によりシリコン単結晶を育成する場合、石英製のルツボに含まれる酸素がシリコン融液中に溶け込み、その一部が引上げ中のシリコン単結晶に取り込まれる。この酸素は、例えばシリコン単結晶から切り出したウェーハを用いてデバイスを製造するときの熱処理過程等において、欠陥を発生させる原因となる。そして、これらの欠陥は、デバイスの性能に様々な影響を及ぼすことから、単結晶を育成する段階で、最終製品としてウェーハへ加工されるボディの酸素濃度を適切に制御することが当該分野における重要な課題の一つとされている。特に肩下は、ショルダ形成後に続いて形成されるボディであるため、炉内の熱環境やルツボ内の融液対流が安定した状態でなく、酸素濃度の制御が難しい。そのため、所望とする酸素濃度範囲から外れることが多く、単結晶の製品歩留の低下を招いていた。なお、本明細書において、「肩下」とは、ボディ、即ち直胴部における結晶域のうち、直胴部の成長開始時点(結晶長0mm)から直胴部の結晶長が100mmに達するまでの結晶域をいう。また、例えば肩下100mmとは、直胴部の成長開始時点(結晶長0mm)から直胴部の結晶長が100mmに到達する位置のことを指す。
CZ法によるシリコン単結晶の製造方法では、このような酸素濃度の制御による単結晶の高品質化をはじめ、様々な課題を解決するための改良及び研究が試みられている。例えば、特許文献1には、単結晶のコーン部を形成する際にチャンバ内の圧力を低下させつつ、また、チャンバ内に導入する不活性ガスの流量を減少させながらコーン部の形成を行う単結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、コーン部の形成をチャンバ内の圧力を低下させながら行うことにより、コーン部の形成の際に単結晶が拡径する速度を高速化することが可能となるため、コーン部の形成時間を短縮でき、単結晶を効率的に製造することができる。また、コーン部の形成をチャンバ内に導入する不活性ガスの流量を減少させながら行うことにより、単結晶が拡径する速度の過剰な高速化を抑えながら制御できるため、コーン部の単結晶化を促進してコーン部の形成を安定して行うことができるとされている。
また、特許文献2には、結晶成長中の結晶引上げ速度を比較的一定に保ち、結晶とルツボの回転速度やヒータに供給する電力を調節することによって、約950℃以上の温度における成長結晶の冷却速度と滞留時間を制御する方法が開示されている。この方法によって成長させた結晶は、結晶の欠陥(フローパターン欠陥や酸素析出等)の軸方向の濃度が比較的均一になるとされている。
また、特許文献3には、シリコン単結晶の育成を、強さが0.1T以上の横磁場印加の下で行う方法が開示されている。横磁場を印加することにより結晶成長界面近傍の温度変動が低減される結果、ドーパントやその他不純物の濃度分布が均一化され、更に結晶育成速度が高められるとされている。
特開2003−381967号公報(請求項1〜4、段落[0011]、段落[0012]) 特開平10−95698号公報(特許請求の範囲、段落[0013]) 特開2009−292662号公報(請求項2、段落[0020])
しかしながら、上記従来の特許文献1〜3に示された方法では、引上げ中の炉内圧力や不活性ガスの流量、結晶引上げ速度等を制御し、或いは引上げ中のシリコン融液等に磁場を印加することによって肩下酸素濃度を安定させている。
一方、引上げ中の炉内圧力や不活性ガスの流量等の条件を同じ条件に制御して複数の単結晶を引上げた場合であっても、これらの中には、肩下酸素濃度が同様に安定していない単結晶がみられる場合がある。即ち、肩下酸素濃度を不安定にさせる要因としては、未だ明確に解明されていない点も多く存在する。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上述の炉内圧力や不活性ガスの流量等、これまでに知られている因子以外に、肩下酸素濃度の安定性に関与する他の因子を発見し、本発明に至った。
本発明の目的は、CZ法によりシリコン単結晶を引上げる際、単結晶中に取り込まれる酸素の濃度をより安定させ、肩下酸素濃度が所望の濃度範囲内に制御された高品質な単結晶を安定して育成できるシリコン単結晶の引上げ方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、引上げ装置が備えるルツボ内に結晶用原料を充填し、結晶用原料を装置が備えるヒータで溶融して溶融層を形成した後、溶融層に種結晶を浸漬し、種結晶を回転させながら引上げて、種結晶の下側に単結晶のネック、ショルダ及びボディを順次成長させて単結晶を育成するシリコン単結晶の引上げ方法において、ヒータは高さ方向に分離してルツボを囲繞して設置された上段ヒータと下段ヒータから構成され、ショルダの成長開始時点をt1、ショルダの成長が終了してボディの成長へ移行する時点をt0、時点t0に到達する前30分の時点をt2(t2>t1)とするとき、少なくとも時点t2から時点t0までの間、下段ヒータのヒータパワーを時点t0における下段ヒータのヒータパワーで一定に保持し、前記下段ヒータのヒータパワーを一定に保持する際のヒータパワーは、前記ショルダの成長開始時点t 1 のヒータパワーの90〜70%に相当することを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に時点t1における下段ヒータのヒータパワーが時点t2における下段ヒータのヒータパワーよりも高く、時点t1から時点t2へ向かうに従って、下段ヒータのヒータパワーを減少させることを特徴とする。
本発明の第1の観点の単結晶の引上げ方法は、いわゆるCZ法による引上げ方法において、ルツボ内の結晶用原料を熔融するヒータには、高さ方向に分離してルツボを囲繞して設置された上段ヒータと下段ヒータから構成されたものを使用する。そして、ショルダの成長開始時点をt1、ショルダの成長が終了してボディの成長へ移行する時点をt0、時点t0に到達する前30分の時点をt2(t2>t1)とするとき、少なくとも時点t2から時点t0までの間の下段ヒータのヒータパワーを、時点t0における下段ヒータのヒータパワーで一定に保持する。このとき、単結晶の引上げを行うまでに予め、時点t0における下段ヒータのヒータパワーを定め、設定することも可能である。このように、ショルダ成長中、下段ヒータのヒータパワーを少なくとも時点t2から時点t0までの間、一定に保持することによって、引上げ中の単結晶に取り込まれる酸素の濃度をより安定させ、肩下酸素濃度が所望の濃度範囲内に制御された高品質な単結晶を安定して育成することができる。
また本発明の第1の観点の引上げ方法では、従来のようにショルダの成長終了後、直ちにボディの成長へ移行せずに、ボディの成長開始前、ヒータ出力がショルダの成長開始時の90〜70%程度まで低下した時点から、当該出力で下段ヒータのヒータパワーを所定時間一定に保持することにより、炉内の熱環境及びルツボ内の融液対流の状態をボディの成長を開始する前に安定させている。これにより、最終的に引上げられる単結晶の肩下酸素濃度を安定させることができる。
本発明の第2の観点の単結晶の引上げ方法は、時点t1における下段ヒータのヒータパワーが時点t2における下段ヒータのヒータパワーよりも高く、時点t1から時点t2へ向かうに従って、下段ヒータのヒータパワーを減少させる。即ち、ショルダの成長開始時点t1から上記時点t2に向かってヒータパワーが減少するように下段ヒータのヒータパワーを制御することにより、結晶径が大きい、所望の結晶径を有する単結晶が引上げやすくなる。
本発明実施形態及び実施例1,比較例1における下段ヒータのヒータパワーの挙動を示すグラフである。 本発明実施形態の引上げ方法で使用する一般的な引上げ装置の一例を示した概略図である。 本発明実施形態の引上げ方法で使用される一般的な引上げ装置の別の例を示した概略図である。 実施例1〜5及び比較例1,2で引上げられた各シリコン単結晶について、高さ方向の同じ位置で酸素濃度を測定したときの評価結果を示したグラフである。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本発明のシリコン単結晶の引上げ方法は、いわゆるCZ法による引上げ方法の改良である。CZ法では、先ず引上げ装置が備えるルツボ内に結晶用原料を充填する。そして、このルツボ内の結晶用原料を装置が備えるヒータで溶融して溶融層を形成した後、溶融層に種結晶を浸漬し、種結晶を回転させながら引上げることで、種結晶の下側に単結晶のネック、ショルダ及びボディを順次成長させて単結晶を育成する。
本発明の方法で使用する引上げ装置は、ルツボ内の結晶用原料を溶融させ、融液状態を保持するため、ルツボを囲繞して設置されるヒータが、少なくとも高さ方向に分離された上段ヒータと下段ヒータの2段で構成され、かつ各ヒータパワーを独立して制御できるタイプのものであれば、特に限定されず、CZ法で一般的に用いられている引上げ装置を使用することができる。その例として、図2,図3に本発明実施形態で使用する上記タイプの一般的な引上げ装置を示す。なお、図2、図3において同一符号は同一部材又は同一部位を示す。
図2に示す引上げ装置10aは、ルツボ12の側面外周に通常設けられるサイドヒータ13が、円筒状に、高さ方向で分割された状態で配置されている。即ち、ルツボ12の側面外周における高さ方向の異なった位置に、上段サイドヒータ13a及び下段サイドヒータ13bの2つのサイドヒータ13が併設されている。一方、図3に示す引上げ装置10bでは、ルツボ12の側面外周に1つのサイドヒータ13が配置されるとともに、ルツボ12底面の下方にボトムヒータ14がリング状に配置されている。
また、引上げ装置10a,10bは、チャンバ11を有し、チャンバ11の中央部に、シリコン原料を充填するためのルツボ12が配置される。ルツボ12は、一般に、有底円筒形状をした石英ルツボ12aと、その外周に配置された黒鉛ルツボ12bから構成される。ルツボ12は支軸16を介して駆動手段17に接続され、駆動手段17を駆動させるとルツボ12が所定速度で回転するとともに昇降する。また、サイドヒータ13又はボトムヒータ14の外周は保温筒15により包囲される。ルツボ12内に充填されたシリコン原料は、サイドヒータ13又はボトムヒータ14により融解されてシリコン融液30となり、溶融層が形成される。
また、チャンバ11の上端には円筒状のケーシング18が接続され、このケーシング18には引上げ手段19が設けられる。また、引上げ手段19は、その先端に種結晶20が取り付けられ、棒状のシリコン単結晶31を回転させながら引上げるように構成される。
更に、シリコン融液30から引上げられたシリコン単結晶31へのヒータからの熱を遮蔽するために、シリコン単結晶31の外周面が所定の間隔をあけて熱遮蔽部材21により包囲される。チャンバ11上部にはガス供給管22が接続され、チャンバ11底部にはガス排出管23が接続される。このガス供給管22からAr等の不活性ガスが所定流量、チャンバ11内に供給され、ガス排出管23から排出される。
引上げ手段19先端に取り付けられた種結晶20をシリコン融液30表面に接触させた後、ルツボ12を所定速度で回転させながら引上げ手段19により引上げ、シリコン融液30を凝固させてシリコン単結晶31を育成させる。
続いて、これらの装置を用いた本発明実施形態の引上げ方法の具体的な手順を、図2に示す引上げ装置10aを使用した例を代表して説明する。この引上げ方法では、従来の引上げ方法と同様、先ず、引上げ装置10aのチャンバ11内に設置されたルツボ12内に結晶用原料を充填し、これをサイドヒータ13により加熱、融解してシリコン融液30とする。これにより、ルツボ12内に溶融層が形成される。結晶用原料としては高純度のシリコン多結晶体が挙げられる。またシリコン多結晶体とともに必要に応じてドーパント不純物をルツボ12内に投入しても良い。
次に、駆動手段17により支軸16を介してルツボ12を所定の速度で回転させる。そして図示しない引上げ用モータにより、引上げ手段19を繰出して種結晶20を降下させ、種結晶20の先端部をシリコン融液30に接触させる。その後、種結晶20と石英るつぼ13を逆方向に所定の回転速度で回転させながら、種結晶20を引上げ手段19により徐々に引上げることにより、種結晶20の下方に所定長さの棒状のシリコン単結晶31を育成させる。具体的には、シリコン融液30に接触させた種結晶20を融解した後、先ず、引上げを開始してネック(種絞り部)を形成し、その後、結晶径を徐々に増大させてショルダ(肩部)を形成する。次いで、定形のボディ(直胴部)の引上げに移行する。なお、引上げ育成に従い減少する融液面の高さを考慮しながら、引上げ速度と融液温度を制御して結晶成長速度を最適化する。ボディを形成した後は、結晶径を徐々に小さくし、テールを形成する。
図1に、ショルダの成長開始時点からボディ成長中における下段ヒータのヒータパワー(出力)の挙動を示す。ここで言う、下段ヒータとは、図2に示す引上げ装置10aの場合、高さ方向に分割された上段サイドヒータ13aと下段サイドヒータ13bのうち、下段サイドヒータ13bをいう。なお、図3の引上げ装置10bの場合はボトムヒータ14をいう。
ルツボ12内に充填した結晶用原料を加熱、溶融するため、所定の出力まで下段ヒータのヒータパワーを上昇させて結晶用原料を溶融し、ネックを成長させた後、そのままショルダの成長へ移行する。ショルダ成長中、ショルダの成長開始時点から所定時間経過後、下段ヒータのヒータパワーの降下を停止して、ボディの成長を開始するまでの間、ボディの成長開始時に設定する出力で一定に保持する。ボディの成長開始以降の条件については、図1に示すように再び下段ヒータパワーを次第に上昇させる場合もあるが、ボディが所定の長さに成長するまで一定に保持する等、狙いの品質に併せて適宜変更される。
そして、本発明の引上げ方法では、上述のショルダの成長開始時点をt1、ショルダの成長を終了してボディの成長へ移行する時点をt0、時点t0に到達する前30分の時点をt2(t2>t1)とするとき、少なくとも時点t2から時点t0までの間の下段ヒータのヒータパワーを所定のヒータパワーで一定に保持することを特徴とする。ここで、所定のヒータパワー、即ち上記ヒータパワーを一定に保持する際のヒータパワーは、時点t0における下段ヒータのヒータパワーであることが好ましく、当該ヒータパワーはショルダの成長開始時の90〜70%程度の出力に相当する。このように、本発明の引上げ方法では、従来のようにショルダの成長終了後、直ちにボディの成長へ移行せずに、ボディの成長開始前、好ましくはヒータ出力がショルダの成長開始時の90〜70%程度まで低下した時点から、当該出力で下段ヒータのヒータパワーを所定時間一定に保持することにより、炉内の熱環境及びルツボ内の融液対流の状態をボディの成長を開始する前に安定させている。これにより、最終的に引上げられる単結晶の肩下酸素濃度を安定させることができる。なお、本明細書において、上述のヒータパワーを一定に保持するとは、時点t0における下段ヒータのヒータパワーの±5%の範囲内で変動させて保持する場合を含む。このときのヒータパワーが時点t0のときのヒータパワーの±5%の範囲内であれば、誤差の範囲として、t0のときのヒータパワーと完全に同一のヒータパワーで保持したときと同等の効果が得られる。
このように、少なくともボディの成長へ移行する時点t0の前30分間、下段ヒータのヒータパワーを一定に保持することで、肩下酸素濃度を安定させることができる明確な技術的理由は、現時点でははっきりと分かっていないが、これによって、ショルダ成長中の炉内の熱環境やルツボ内の融液対流が安定化することに起因するものと推察される。ここで、保持時間を、少なくともボディの成長開始前30分間としたのは、ヒータパワーを変更させた後、炉内の温度を安定させるためには、少なくとも30分程度の時間を要するため、30分未満では炉内の熱環境やルツボ内の融液対流が安定せず、酸素濃度が不安定になるからと考えられる。なお、ショルダの成長工程で、結晶が所定の径まで達した場合、そのままボディの成長へ移行することから、上記保持時間を極端に長くすることは、工程上或いは生産性といった観点から現実的でなく、好ましくは90分以内である。
また、時点t0における下段ヒータのヒータパワーは、ショルダの成長開始時点t1における下段ヒータのヒータパワーを100%としたとき、好ましくは90〜70%のヒータパワーに相当する。なお、ボディー成長中の下段ヒータのヒータパワーについては、シリコン融液の残量、ルツボの位置が変動するため、これらに合わせて連続的に変動させる。
また、下段ヒータのヒータパワー以外の条件については、本分野において通常設定されている一般的な条件を適宜採用することができる。例えば上段ヒータのヒータパワーは、ショルダの成長開始時点t1から時点t0までの間、予め定められたプログラム等に従って減少するように制御される。
また、引上げ速度、引上げ手段19の回転数、ルツボ12の回転については、要求される品質(酸素濃度や酸素、抵抗等の面内分布)を得るため、それらに応じて適宜制御される。ボディを形成した後は、結晶径を徐々に小さくし、テールを形成する。
以上の工程により、本発明の引上げ方法では、単結晶中に取り込まれる酸素濃度の安定性に関与する条件として、これまで考慮されていなかった条件を適切に制御することにより、肩下酸素濃度が所望の濃度範囲内に制御された高品質な単結晶を安定して育成できる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明をしたが、本発明は、主な半導体用シリコン単結晶である直径が150mmの単結晶、直径が200mmの単結晶、直径が300mmの単結晶、更には開発段階にある直径が450mmの単結晶の生産に適用できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図2に示す引上げ装置10aを用い、次の手順に従ってCZ法により直径が300mmのシリコン単結晶を育成した。
具体的には、先ず、結晶用原料として多結晶シリコンをルツボ12内に充填した後、上段サイドヒータ13a及び下段サイドヒータ13bの双方の出力を、結晶用原料を溶融するのに適当な出力まで上昇させて結晶用原料を溶融してシリコン融液30とし、ルツボ12内に溶融層を形成した。
次に、種結晶20をルツボ12内のシリコン融液30表面に接触させ、ルツボ12を所定速度で回転させつつ、種結晶20をルツボ12と逆方向に所定速度で回転させながら、引上げ手段19によって種結晶20を徐々に引上げ、種結晶20の下側に単結晶のネック、ショルダ及びボディを順次成長させた。これによりシリコン単結晶を引上げた。なお、ボディを形成した後は、結晶径を徐々に小さくし、テールを形成した。
シリコン単結晶育成中、下段サイドヒータ13b、即ち下段ヒータのヒータパワーは、結晶用原料の溶融が完了した後にヒータパワーの降下を開始して、シリコン融液30の温度調整を行い、ショルダの成長へ移行するよう制御した。
また、ショルダの成長を開始した時点t1からボディの成長へ以降した時点t0までの間の下段ヒータパワーは、図1及び以下の表1に示すように制御した。即ち、この実施例1では、時点t0を0分としたときの−30.5分の時点から、下段ヒータパワーを時点t0で設定したヒータパワーにて一定に保持しており、少なくとも時点t2から時点t0の30分間を含む、時点t0の経過前30.5分間、下段ヒータパワーを上記ヒータパワーにて一定に保持した。なお、表1に示す下段ヒータのヒータパワー(出力)の数値は、ショルダの成長を開始した時点t1における出力(kw)を100%としたときの相対値(%)である。また、表1における出力の変化幅とは、時点t0における下段ヒータパワーを基準(100%)としたときの出力の相対的な変化幅である。
また、図1には、ボディの成長を開始した時点t0から所定時間経過するまでの当該挙動を示す。なお、上段サイドヒータ13a、即ち上段ヒータのヒータパワーについては、ネックの成長が終了し、ショルダの成長を開始した時点から徐々に降下させ、ボディの成長開始時の出力まで降下した時点からボディの成長開始時点t0まで一定の出力になるように制御した。なお、引上げ中のルツボ及び種結晶の回転速度はボディ成長時に設定する回転速度になるように徐々に変動させ、引上げ速度はボディの結晶径が一定になるように制御した。
その他、シリコン単結晶育成中、炉内圧力は10〜100Torr、アルゴンガス流量は100〜250L/minの範囲内に制御し、引上げ手段19の引上げ速度は0.5〜1.5mm/min、回転速度は0.1〜2.0rpmの範囲内、またルツボ12の回転数は0.1〜2.0の範囲内で適宜調整した。
<実施例2>
ショルダ成長中の下段ヒータのヒータパワーについて、以下の表1に示すように、時点t0を0分としたときの−53分の時点から、時点t0で設定したヒータパワーで一定に保持したこと以外は、実施例1と同様にして直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。即ち、この実施例2では、少なくとも時点t2から時点t0の30分間を含む、時点t0の経過前53分間、上記ヒータパワーにて一定に保持した。
<実施例3>
ショルダ成長中の下段ヒータのヒータパワーについて、以下の表1に示すように、時点t0を0分としたときの−61分の時点から、時点t0で設定したヒータパワーで一定に保持したこと以外は、実施例1と同様にして直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。即ち、この実施例3では、少なくとも時点t2から時点t0の30分間を含む、時点t0の経過前61分間、上記ヒータパワーにて一定に保持した。
<実施例4>
ショルダ成長中の下段ヒータのヒータパワーについて、以下の表1に示すように、時点t0を0分としたときの−34分の時点から、時点t0で設定したヒータパワーで一定に保持したこと以外は、実施例1と同様にして直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。即ち、この実施例4では、少なくとも時点t2から時点t0の30分間を含む、時点t0の経過前34分間、上記ヒータパワーにて一定に保持した。なお、一定に保持した際の出力の変化幅は、以下の表1に示す範囲内とした。
<実施例5>
ショルダ成長中の下段ヒータのヒータパワーについて、以下の表1に示すように、時点t0を0分としたときの−33分の時点から、時点t0で設定したヒータパワーで一定に保持したこと以外は、実施例1と同様にして直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。即ち、この実施例5では、少なくとも時点t2から時点t0の30分間を含む、時点t0の経過前33分間、上記ヒータパワーにて一定に保持した。なお、一定に保持した際の出力の変化幅は、以下の表1に示す範囲内とした。
<比較例1>
ショルダ成長中の下段ヒータのヒータパワーについて、以下の表1に示すように、時点t0を0分としたときの−17分の時点から、時点t0で設定したヒータパワーで一定に保持したこと以外は、実施例1と同様にして直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。即ち、この比較例1では、時点t2から時点t0の30分間を含まない、時点t0の経過前17分間、上記ヒータパワーにて一定に保持した。なお、図1に、ショルダの成長を開始した時点t1からボディの成長へ以降した時点t0までの間、及び時点t0から所定時間経過するまでの下段ヒータパワーの挙動を示す。
<比較例2>
ショルダ成長中の下段ヒータのヒータパワーについて、以下の表1に示すように、時点t0を0分としたときの−18分の時点から、時点t0で設定したヒータパワーで一定に保持したこと以外は、実施例1と同様にして直径が300mmのシリコン単結晶を引上げた。即ち、この比較例2では、時点t2から時点t0の30分間を含まない、時点t0の経過前18分間、上記ヒータパワーにて一定に保持した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜5及び比較例1,2で引上げたシリコン単結晶について、肩下酸素濃度の評価を行った。この結果を以下の表1及び図4に示す。具体的には、引上げたシリコン単結晶を肩下0mmの位置で切り出して得られたシリコンウェーハについて、ウェ−ハの中心位置の酸素濃度を測定した。
Figure 0006488975
表1の結果及び図4を参照すると、肩下酸素濃度を10.5〜13.5×1017atoms/cm3(Old ASTM)の範囲になるように制御したにも拘わらず、下段ヒータのヒータパワーを所定の条件で一定に保持しなかった比較例1、比較例2では、肩下0mmの位置における酸素濃度が13.5×1017atoms/cm3(Old ASTM)を超える値を示した。これは、ショルダ成長時の融液状態、即ち融液温度が高く、かつ不安定な状態のまま、ボディの成長へ移行したため、その後のボディ成長工程においてその影響を強く受けたことによるものと考えられる。これに対し、下段ヒータのヒータパワーを所定の条件で一定に保持した実施例1〜5では、いずれの実施例においても肩下0mmの位置における酸素濃度が上述の目標値の範囲内に制御された。これは、下段ヒータのヒータパワーを所定の条件で一定に保持したことにより、ボディの成長へ移行する前に、ショルダ形成時の不安定な融液状態から、融液温度等の融液状態が安定した状態になったためと考えられる。
これらの結果から、ショルダ成長中であって、ボディの成長移行前の所定時間、下段ヒータのヒータパワーを一定に保持することにより、単結晶中に取り込まれる酸素濃度がより安定し、肩下酸素濃度が所望の濃度範囲内に制御された単結晶を安定して育成できることが確認された。
本発明は、CZ法によりシリコン単結晶を引上げる際、肩下酸素濃度が所望の濃度範囲内に制御された単結晶を安定して育成するのに極めて有用である。

Claims (2)

  1. 引上げ装置が備えるルツボ内に結晶用原料を充填し、前記結晶用原料を前記装置が備えるヒータで溶融して溶融層を形成した後、前記溶融層に種結晶を浸漬し、前記種結晶を回転させながら引上げて、前記種結晶の下側に単結晶のネック、ショルダ及びボディを順次成長させて単結晶を育成するシリコン単結晶の引上げ方法において、
    前記ヒータは高さ方向に分離して前記ルツボを囲繞して設置された上段ヒータと下段ヒータから構成され、
    前記ショルダの成長開始時点をt1、前記ショルダの成長が終了して前記ボディの成長へ移行する時点をt0、前記時点t0に到達する前30分の時点をt2(t2>t1)とするとき、
    少なくとも前記時点t2から前記時点t0までの間、前記下段ヒータのヒータパワーを前記時点t0における前記下段ヒータのヒータパワーで一定に保持し、
    前記下段ヒータのヒータパワーを一定に保持する際のヒータパワーは、前記ショルダの成長開始時点t 1 のヒータパワーの90〜70%に相当することを特徴とする単結晶の引上げ方法。
  2. 前記時点t1における前記下段ヒータのヒータパワーが前記時点t2における前記下段ヒータのヒータパワーよりも高く、前記時点t1から前記時点t2へ向かうに従って、前記下段ヒータのヒータパワーを減少させることを特徴とする請求項1記載の単結晶の引上げ方法。
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