JP2007022865A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無転位化の成功率が高く、かつ高速な引き上げ速度を必要としないテイル処理を備えたシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、シリコン単結晶からなる直胴部を引き上げ、続いて、前記シリコン単結晶を先窄まり状にしてから前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離すテイル処理を行うシリコン単結晶の製造方法であって、前記テイル処理の際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とし、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とする。
【選択図】なし
【解決手段】シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、シリコン単結晶からなる直胴部を引き上げ、続いて、前記シリコン単結晶を先窄まり状にしてから前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離すテイル処理を行うシリコン単結晶の製造方法であって、前記テイル処理の際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とし、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関するものであり、特に、テイル処理の際に転位を直胴部まで伝搬させることなく、無転位のシリコン単結晶を安定して製造することを可能とするシリコン単結晶の製造方法に関するものである。
シリコン単結晶の製造方法は種々あるが、なかでも、シリコン単結晶の引上げに関し、工業的に量産が可能な方式で広く応用されているものとしてCZ法がある。
図3には、このCZ法によるシリコン単結晶の引上げ装置の構成を説明するための縦断面図を示す。図3に示すように、シリコン単結晶の育成はチャンバー19の容器内で行われ、その中心位置に坩堝11が配されている。この坩堝11は、石英製の内層保持容器11aとこの外側に嵌合された黒鉛製の外層保持容器11bとから構成されている。坩堝11の外層保持容器11bの底部には、坩堝11を回転、並びに昇降させる軸18が設けられている。そして、坩堝11の外周には、ヒーター12が同心円筒状に配設され、坩堝11内にはこの加熱ヒーターにより溶融された結晶原料、つまり多結晶シリコンの融液13が収容されている。さらに、ヒーター12の外側には保温筒17が周設されている。
図3には、このCZ法によるシリコン単結晶の引上げ装置の構成を説明するための縦断面図を示す。図3に示すように、シリコン単結晶の育成はチャンバー19の容器内で行われ、その中心位置に坩堝11が配されている。この坩堝11は、石英製の内層保持容器11aとこの外側に嵌合された黒鉛製の外層保持容器11bとから構成されている。坩堝11の外層保持容器11bの底部には、坩堝11を回転、並びに昇降させる軸18が設けられている。そして、坩堝11の外周には、ヒーター12が同心円筒状に配設され、坩堝11内にはこの加熱ヒーターにより溶融された結晶原料、つまり多結晶シリコンの融液13が収容されている。さらに、ヒーター12の外側には保温筒17が周設されている。
坩堝11の上方には、チャンバー19の上部に連設形成された小型の円筒形状のプルチャンバー20を通して、引上げ軸14が回転、並びに昇降可能に設けられており、引上げ軸14の下端には種結晶16がシードチャック15に着脱可能に装着されている。そして、この種結晶16の下端を融液13の表面に接触させた後、種結晶16を坩堝1の回転と反対方向に回転させつつ上昇させることにより、種結晶16の下端から単結晶を成長させていく。
図3に示すようにシリコン融液13の表面に種結晶16を接触させると、その熱的衝撃に起因して、種結晶に高密度の転位が発生する。そこで、シリコン単結晶を無転位の状態で引き上げるために、種結晶16の下方にネッキング部を設けて、いわゆるダッシュ法によって、発生した転位を結晶表面から排除し、ネッキング部の下端に無転位の結晶を凝固させつつ引き上げていくようにする。
図4には、CZ法による単結晶の引き上げ工程を模式図で示す。図4(a)〜(b)に示すように、坩堝11内のシリコン融液13に種結晶16を接触させてから種結晶16を引き上げることにより、シリコン単結晶21を成長させていくと、ネック部21n、ショルダ部21aと移行し、その後、直胴部21bの引き上げとなる。次に、図4(c)〜(d)に示すように、所定長の直胴部21bを引き上げた後に、シリコン単結晶21を無転位で成長させるために、直胴部21bの最後からは直胴部21bで保持した直径を除々に小さくしてテイル部21cを形成し(この操作を「テイル絞り」と呼ぶ)、直径が所定の値d1に達した時点でシリコン単結晶21を一気に引き上げてシリコン融液13から切り離す(図4(e))。これにより、直胴部21cへの転位の侵入が防止される。尚、シリコン単結晶21のテイル部21cは、直胴部21bとは異なり結晶の直径が一定でない等の理由により、ウェーハ加工時には切り落とされてしまう不要の部位となる。
仮に、直胴部21bの形成が終了した時点で、テイル部21cを形成することなくシリコン単結晶21をシリコン融液13から切り離すと、直胴部21b中で有転位化した場合に固液界面から転位が直胴部21bを斜め上に貫いていき、シリコン単結晶21の直径ぐらいの融液直上の直胴部21bが有転位化してしまう。これを防ぐために、直胴部21bのボトムから除々にシリコン単結晶21の直径を小さくしてテイル部21cを形成し、テイル部21cの途中で有転位化した場合に直胴部21bへの転位の侵入を極力抑えようとするのがテイル絞りの目的である。
シリコン単結晶21を一定の直径で引き上げているよりも、テイル絞りではその直径を小さくしていくので、除々に引き上げ速度を大きくしていくか、シリコン融液13の温度を高くしていく必要がある。テイル絞りの通常の制御は、はじめ僅かに引き上げ速度とシリコン融液の温度とを上げて直径が小さくなるようにして、しばらくそのままにして直径が除々に小さくなるようにする。その後、再び除々に引き上げ速度とシリコン融液の温度とを上げていき、直径が小さくなるようにし、最終的には直径が小さくなった時点でシリコン融液13からシリコン単結晶21を切り離す。(図4(e))。
しかし、テイル絞りは制御が難しく、しばしばシリコン融液13の温度上昇を大きくしすぎたり、引き上げ速度を大きくしすぎることによって、充分に細くならずに融液8から単結晶9が切り離れてしまって有転位化する場合がある。逆に、シリコン融液13の温度が下がりすぎるとシリコン融液13表面での結晶化が始まり、シリコン単結晶21の引き上げを続行できなくなる場合もある。さらに、テイル絞り工程ではシリコン単結晶21の径変動が著しいので有転位化しやすい傾向がある。
そこで特許文献1には、テイル絞りを省略し、300mm/分以上の引き上げ速度でシリコン単結晶をシリコン融液から切り離すことで、無転位のシリコン単結晶を得る方法が開示されている。
特開平9−208376号公報
以上のように、テイル絞りはシリコン単結晶21のボディを無転位で引き上げるために必要な処理であるが、その制御が難しく、無転位化の成功率が充分でないという問題がある。
また、特許文献1に記載された方法では、300mm/分以上のかなり高速の引き上げ速度で引き上げる必要があり、引き上げの途中でシリコン単結晶が落下する可能性があった。特に、大口径のシリコン単結晶では落下の際の危険度が大きいという問題があった。
また、特許文献1に記載された方法では、300mm/分以上のかなり高速の引き上げ速度で引き上げる必要があり、引き上げの途中でシリコン単結晶が落下する可能性があった。特に、大口径のシリコン単結晶では落下の際の危険度が大きいという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、無転位化の成功率が高く、かつ高速な引き上げ速度を必要としないテイル処理を備えたシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、シリコン単結晶からなる直胴部を形成し、続いて、前記シリコン単結晶を先窄まり状にしてから前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離すテイル処理を行うシリコン単結晶の製造方法において、前記テイル処理の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とすることを特徴とする。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有物質が水素ガスであり、前記水素含有雰囲気中における水素ガス濃度が3%以上20%以下であることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記テイル処理の開始時から前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離す直前までの、前記シリコン単結晶の引き上げ速度の変動幅を、0.5mm/分以下にすることが好ましい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、シリコン単結晶からなる直胴部を形成し、続いて、前記シリコン単結晶を先窄まり状にしてから前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離すテイル処理を行うシリコン単結晶の製造方法において、前記テイル処理の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とすることを特徴とする。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有物質が水素ガスであり、前記水素含有雰囲気中における水素ガス濃度が3%以上20%以下であることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記テイル処理の開始時から前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離す直前までの、前記シリコン単結晶の引き上げ速度の変動幅を、0.5mm/分以下にすることが好ましい。
ここで、水素含有物質とは、水素原子をその分子中に含む物質であって、シリコン融液中に溶け込んだ際に熱分解されて、シリコン融液中に水素原子を供給できる物質である。この水素含有物質には水素ガス自体も含まれる。この水素含有物質を不活性ガスに混合してテイル処理時の雰囲気中に導入することにより、シリコン融液中の水素濃度を向上させることができる。水素含有物質の具体例としては、水素ガスのほか、H2O、HCl等の水素原子を含む無機化合物や、シランガス、CH4、C2H2などの炭化水素、アルコール、カルボン酸等の水素原子を含む有機化合物を例示できるが、特に水素ガスを用いることが望ましい。また、不活性ガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、Xeなどの各種希ガス単体、またはこれらの混合ガスを用いることができる。
また本発明では、水素含有雰囲気中における水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲としている。ここで、水素ガス換算濃度としたのは、水素含有物質が熱分解等して得られる水素原子の量が、水素含有物質に元来含まれる水素原子の数量等によって左右されるためである。例えば、H2Oの1モルには1モル分のH2が含まれるが、HClの1モルには0.5モル分のH2しか含まれない。従って本発明においては、水素ガスが3〜20%の濃度で不活性ガス中に導入されてなる水素含有雰囲気を基準とし、この基準となる雰囲気と同等の雰囲気が得られるように、水素含有物質の濃度を決めることが望ましく、このときの好ましい水素含有物質の濃度を水素ガス換算濃度として規定したものである。
即ち、本発明においては、水素含有物質がシリコン融液に溶解し高温のシリコン融液中で熱分解して水素原子に変換されると仮定した上で、変換後の雰囲気中の水素ガス換算濃度が3〜20%の範囲になるように水素含有物質の添加量を調整すればよい。
即ち、本発明においては、水素含有物質がシリコン融液に溶解し高温のシリコン融液中で熱分解して水素原子に変換されると仮定した上で、変換後の雰囲気中の水素ガス換算濃度が3〜20%の範囲になるように水素含有物質の添加量を調整すればよい。
水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の水素含有物質が不活性ガス中に含まれてなる水素含有雰囲気においてテイル処理を行うことにより、水素含有物質に由来する水素原子がシリコン融液に溶け込まれ、更にこの水素原子が、シリコンが凝固する際にシリコンの格子間に取り込まれる。シリコンの格子間に水素が取り込まれることによって、テイル処理時に発生する転位をテイル部の途中で固着させると共に、転位の発生自体を防止することができる。即ち、水素含有物質の添加によって、テイル部内における転位の伝搬を止めると共に転位の発生を防止することができる。
その結果、テイル部から直胴部への転位の伝搬が防止され、無転位化成功率が向上し、無転位のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
その結果、テイル部から直胴部への転位の伝搬が防止され、無転位化成功率が向上し、無転位のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
また、テイル処理の開始時からシリコン単結晶をシリコン融液から切り離す直前までの、シリコン単結晶の引き上げ速度の変動幅を0.5mm/分以下に設定することにより、シリコン融液とシリコン単結晶との間の固液界面の変化を抑制することができ、テイル部における有転位化を防止することができる。
以上説明したように、本発明によれば、無転位化の成功率が高く、かつ高速な引き上げ速度を必要としないテイル処理を備えたシリコン単結晶の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(CZ炉の構成)
図1は、本発明の実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法を実施するのに適したCZ炉の縦断面図である。
図1に示すCZ炉は、チャンバー内の中心部に配置された坩堝1と、坩堝1の外側に配置されたヒータ2と、ヒータ2の外側に配置された磁場供給装置9とを備えている。坩堝1は、内側にシリコン融液3を収容する石英坩堝1aを外側の黒鉛坩堝1bで保持する二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸1cにより回転および昇降駆動される。
坩堝1の上方には、円筒形状の熱遮蔽体7が設けられている。熱遮蔽体7は、黒鉛で外殻を作り、内部に黒鉛フェルトを充填した構造である。熱遮蔽体7の内面は、上端部から下端部にかけて内径が漸減するテーパー面になっている。熱遮蔽体7の上部外面は内面に対応するテーパー面であり、下部外面は、熱遮蔽体7の厚みを下方に向かって漸増させるようにほぼストレート面に形成されている。
そして、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ種結晶Tを引き上げることにより、シリコン単結晶6を形成できるようになっている。
(CZ炉の構成)
図1は、本発明の実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法を実施するのに適したCZ炉の縦断面図である。
図1に示すCZ炉は、チャンバー内の中心部に配置された坩堝1と、坩堝1の外側に配置されたヒータ2と、ヒータ2の外側に配置された磁場供給装置9とを備えている。坩堝1は、内側にシリコン融液3を収容する石英坩堝1aを外側の黒鉛坩堝1bで保持する二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸1cにより回転および昇降駆動される。
坩堝1の上方には、円筒形状の熱遮蔽体7が設けられている。熱遮蔽体7は、黒鉛で外殻を作り、内部に黒鉛フェルトを充填した構造である。熱遮蔽体7の内面は、上端部から下端部にかけて内径が漸減するテーパー面になっている。熱遮蔽体7の上部外面は内面に対応するテーパー面であり、下部外面は、熱遮蔽体7の厚みを下方に向かって漸増させるようにほぼストレート面に形成されている。
そして、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ種結晶Tを引き上げることにより、シリコン単結晶6を形成できるようになっている。
図1に示すシリコン単結晶6は引き上げ育成中のものであり、種結晶Tの下に形成されたネッキング部6nと、ネッキング部6nに続いて形成されたショルダー部6aと、ショルダー部6aに続いて形成された直胴部6bとからなる。また、シリコン単結晶6が更に引き上げられることによって、直胴部6bの下にテイル部が形成される。即ち、最終的にシリコン単結晶は、ネッキング部6n、ショルダー部6a、直胴部6b及びテイル部とから形成される。形成されたシリコン単結晶は、ネッキング部6n、ショルダー部6a及びテイル部が切り離されて直胴部のみが残され、直胴部には更に円筒研削がなされ、切断工程、ラッピング、エッチング等を経てシリコンウェーハに加工される。
熱遮蔽体7は、ヒータ2およびシリコン融液3面からシリコン単結晶6の側面部への輻射熱を遮断するものであり、育成中のシリコン単結晶6の側面を包囲するとともに、シリコン融液3面を包囲するものである。熱遮蔽体7の仕様例を挙げると次のとおりである。
半径方向の幅Wは例えば50mm、逆円錐台面である内面の垂直方向に対する傾きθは例えば21°、熱遮蔽体7の下端の融液面からの高さH1は例えば60mmとする。
半径方向の幅Wは例えば50mm、逆円錐台面である内面の垂直方向に対する傾きθは例えば21°、熱遮蔽体7の下端の融液面からの高さH1は例えば60mmとする。
また、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、水平磁場(横磁場)にあっては2000〜4000G(0.2T〜0.4T)、より好ましくは2500〜3500G(0.25T〜0.35T)とされ、磁場中心高さが融液液面に対して−150〜+100mm、より好ましくは−75〜+50mmの範囲内になるように設定される。
また、カスプ磁場にあっては、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、200〜1000G(0.02T〜0.1T)、より好ましくは300〜700G(0.03T〜0.07T)とされ、磁場中心高さが融液液面に対して−100〜+100mm、より好ましくは−50〜+50mmの範囲内になるように設定される。
上記の磁場の強度で上記の磁場中心高さ範囲で磁場供給装置9から磁場を供給することで、対流を抑えることができ、固液界面の形状を好ましい形状とすることができる。
また、カスプ磁場にあっては、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、200〜1000G(0.02T〜0.1T)、より好ましくは300〜700G(0.03T〜0.07T)とされ、磁場中心高さが融液液面に対して−100〜+100mm、より好ましくは−50〜+50mmの範囲内になるように設定される。
上記の磁場の強度で上記の磁場中心高さ範囲で磁場供給装置9から磁場を供給することで、対流を抑えることができ、固液界面の形状を好ましい形状とすることができる。
(本実施形態のシリコン単結晶の製造方法)
次に、図1に示すCZ炉を用いた、本実施形態のシリコン単結晶6の製造方法を説明する。
先ず、坩堝1内に高純度シリコンの多結晶を例えば300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率を所望の値、例えば10Ωcmになるようにp型(B,Al,Ga等)またはn型(P,As,Sb等)のドーパントを添加する。
次に、図1に示すCZ炉を用いた、本実施形態のシリコン単結晶6の製造方法を説明する。
先ず、坩堝1内に高純度シリコンの多結晶を例えば300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率を所望の値、例えば10Ωcmになるようにp型(B,Al,Ga等)またはn型(P,As,Sb等)のドーパントを添加する。
次に、CZ炉内を例えば不活性ガス雰囲気とし、雰囲気圧力を1.3〜13.3kPa(10〜100torr)とする。尚、CZ炉内の雰囲気は不活性ガス雰囲気に限らず、不活性ガス雰囲気中に3〜10体積%の水素ガスを添加させてなる雰囲気であっても良い。不活性ガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、Xeなどの希ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。
水素ガスを含む雰囲気中でシリコン単結晶6のネッキング部6nから直胴部6bまでの育成を行うことにより、シリコン単結晶内部に存在するOSFリング領域(リング状の酸化誘起積層欠陥:ring likely distributed oxidation-induced stackingfaults)の幅を非常に狭くすることができる。OSFリング位置に該当する領域は、エピタキシャル欠陥が発生する領域であるから、OSFリングの幅が狭くなることによって、エピタキシャル欠陥の発生する領域が非常に狭くなり、エピタキシャル欠陥が非常に少ないシリコンウェーハが得られるシリコン単結晶を提供できる。
水素ガスを含む雰囲気中でシリコン単結晶6のネッキング部6nから直胴部6bまでの育成を行うことにより、シリコン単結晶内部に存在するOSFリング領域(リング状の酸化誘起積層欠陥:ring likely distributed oxidation-induced stackingfaults)の幅を非常に狭くすることができる。OSFリング位置に該当する領域は、エピタキシャル欠陥が発生する領域であるから、OSFリングの幅が狭くなることによって、エピタキシャル欠陥の発生する領域が非常に狭くなり、エピタキシャル欠陥が非常に少ないシリコンウェーハが得られるシリコン単結晶を提供できる。
なお、不活性雰囲気中に酸素ガス(O2)が存在する場合には、気体の水素分子換算での濃度と酸素ガスの濃度の2倍との濃度差が3体積%以上の濃度で存在できる。水素原子含有ガスの水素分子換算での濃度と酸素ガスの濃度の2倍の濃度差が3体積%未満であると、シリコン結晶中に取り込まれた水素原子によるCOPおよび転位クラスター等のGrown−in欠陥の生成を抑制する効果が得られないことによる。
また、不活性ガス中の不純物としての窒素が高濃度になると、シリコン結晶が有転位化するので、通常の炉内圧1.3〜13.3kPa(10〜100Torr)の範囲では、窒素濃度20%以下にすることが好ましい。
次いで、磁場供給装置9から例えば3000G(0.3T)の水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とする。
次に、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ結晶引き上げを行って、まずはネッキング部6nを形成する。尚、引き上げの際の結晶方位は{100}、{111}または{110}のいずれかとする。
次に、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ結晶引き上げを行って、まずはネッキング部6nを形成する。尚、引き上げの際の結晶方位は{100}、{111}または{110}のいずれかとする。
続いて、坩堝1及び種結晶5の回転速度並びに引き上げ速度を調整してショルダー部6aを形成させ、肩変えして目標直胴径とする。
そして、直胴長さが例えば300mmに達した時点で、引き上げ速度を臨界速度よりも充分大きな、例えば1.0mm/minに調整し、その後引き上げ長さに応じてほぼ直線的に引き上げ速度を低下させ、直胴長さが例えば600mmに達したときに臨界速度よりも小さい例えば0.3mm/minとなるようにし、その後はこの引き上げ速度で例えば1600mmまで直胴部6bを育成する。
そして、直胴長さが例えば300mmに達した時点で、引き上げ速度を臨界速度よりも充分大きな、例えば1.0mm/minに調整し、その後引き上げ長さに応じてほぼ直線的に引き上げ速度を低下させ、直胴長さが例えば600mmに達したときに臨界速度よりも小さい例えば0.3mm/minとなるようにし、その後はこの引き上げ速度で例えば1600mmまで直胴部6bを育成する。
次に、CZ炉内を水素含有物質と不活性ガスとの混合ガスからなる水素含有雰囲気とし、雰囲気圧力を1.3〜13.3kPa(10〜100torr)とし、雰囲気ガス中における水素含有物質の濃度を水素ガス換算濃度で3〜20%とする。水素含有物質として水素ガスを選択した場合には、水素ガス濃度を3〜20%とすればよい。尚、このときの水素分圧は、全圧(雰囲気圧力)を1.3〜13.3kPaとした場合に、39Pa〜2.7kPaの範囲になる。
水素含有物質の水素ガス換算濃度(水素の濃度)が3%未満(水素分圧にして39Pa未満)では、シリコン中に導入される転位の伝搬及び転位の発生を低減できなくなるので好ましくない。また、水素含有物質の水素ガス換算濃度(水素の濃度)が高い程、転位発生の抑制効果が増大する。ただし、水素ガス換算濃度が50%(水素分圧にして6.75kPa)を超えると、CZ炉内に酸素リークを生じた場合に爆発などの危険性が増大するので安全上好ましくなく、その濃度が20%(水素分圧にして2.7kPa)を超えると、水素含有雰囲気中の水素濃度が高濃度になって爆発等の危険が増大するので好ましくない。水素濃度が20%以下であれば、酸素リークなどを生じた場合に、例え炉内で燃焼が発生したとしても、燃焼した際の圧力変動が1気圧を超えることがないので、安全上なにも問題ない。このため、より好ましい水素含有物質(水素ガス)の濃度は3%以上20%以下の範囲であり、特に好ましい濃度は3%〜10%の範囲である。
水素含有物質は、シリコン融液中に溶け込んだ際に熱分解されるか、あるいはテイル部を形成する際の雰囲気中に導入された際に熱分解されることによって、水素ガスを発生させる気体状の物質である。この水素含有物質を不活性ガスに混合してテイル部形成時の雰囲気中に導入することにより、シリコン融液中の水素濃度を向上させることができる。水素含有物質の具体例としては、水素ガスのほかに、H2O、HCl等の水素原子を含む無機化合物や、シランガス、CH4、C2H2などの炭化水素、アルコール、カルボン酸等の水素原子を含む各種物質を例示できるが、特に水素ガスを用いることが望ましい。また、不活性ガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、Xeなどの希ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。
なお、不活性雰囲気中に酸素ガス(O2)が存在する場合には、気体の水素分子換算での濃度と酸素ガスの濃度の2倍との濃度差が3体積%以上の濃度で存在できる。水素原子含有ガスの水素分子換算での濃度と酸素ガスの濃度の2倍の濃度差が3体積%未満であると、シリコン結晶中に取り込まれた水素原子によるCOPおよび転位クラスター等のGrown−in欠陥の生成を抑制する効果が得られないことによる。
次に、水素含有雰囲気中でテイル処理を行う。テイル処理は、直胴部6bの底部から除々にシリコン単結晶6の直径を小さくしてテイル部を形成することで、テイル部の途中で有転位化した場合に直胴部6bへの転位の侵入を極力抑えることを目的とするものである。
具体的には例えば、直胴部6bの直径が300mm程度の場合には、シリコン単結晶6の直径を50〜100mm程度まで小さくしてテイル処理を行う。この場合のテイル部は、シリコン単結晶の直径が300mm程度から50mmいないし100mm程度までに徐々に先窄まりになる部分である。
具体的には例えば、直胴部6bの直径が300mm程度の場合には、シリコン単結晶6の直径を50〜100mm程度まで小さくしてテイル処理を行う。この場合のテイル部は、シリコン単結晶の直径が300mm程度から50mmいないし100mm程度までに徐々に先窄まりになる部分である。
テイル部の形成は、シリコン単結晶6の直径を徐々に小さくして先窄まり状に成形する工程であるから、除々に引き上げ速度を大きくしていくか、シリコン融液3の温度を高くしていくことにより行う。テイル部形成時の通常の制御は、はじめ僅かに引き上げ速度とシリコン融液の温度とを上げて直径が小さくなるようにして、しばらくそのままにして直径が除々に小さくなるようにする。その後、再び除々に引き上げ速度とシリコン融液の温度とを上げていき、直径が小さくなるようにし、最終的には直径が小さくなった時点で引き上げ速度を高速にして、シリコン融液3からシリコン単結晶6を切り離す。
図2には、直径300mmの直胴部を形成した後、直径が50mmになるまでテイル処理を行う際の、引き上げ速度及び輻射温度計にて測定されたシリコン融液の温度の制御の一例をタイムチャートで示す。この図2に示す例では、テイル処理の開始と同時にシリコン融液3の温度を初期温度T0から徐々に高めて最終的にT1としている。また、引き上げ速度を初期速度v0からVmin〜Vmaxの間で調整している。引き上げ速度が速くなるとシリコン単結晶の直径の減少傾向が大きくなり、逆に引き上げ速度が遅くなると直径の減少傾向が小さくなることから、図2に示す例では、テイル部の形状を目視で確認しながら引き上げ速度をVmin〜Vmaxの間で調整している。
尚、初期温度T0とは、直胴部6bの育成時のシリコン融液の温度、即ちテイル部形成の直前のシリコン融液の温度である。テイル部の形成は直胴部6bの形成に引き続いて行う処理であるから、直胴部6bの育成時のシリコン融液の温度が、テイル部形成時の初期温度となる。初期温度T0の具体例は例えば1400℃〜1480℃の範囲が良く、1430℃〜1450℃の範囲がより良い。
同様に、初期速度v0とは、直胴部6bの育成時の引き上げ速度、即ちテイル部形成の直前の引き上げ速度である。テイル部の形成は直胴部6bの形成に引き続いて行う処理であるから、直胴部6bの育成時の引き上げ速度が、テイル部形成時の初期速度となる。初期速度v0の具体例は例えば0.1mm/分〜2.0mm/分の範囲が良く、0.3mm/分〜1.8mm/分の範囲がより良い。
同様に、初期速度v0とは、直胴部6bの育成時の引き上げ速度、即ちテイル部形成の直前の引き上げ速度である。テイル部の形成は直胴部6bの形成に引き続いて行う処理であるから、直胴部6bの育成時の引き上げ速度が、テイル部形成時の初期速度となる。初期速度v0の具体例は例えば0.1mm/分〜2.0mm/分の範囲が良く、0.3mm/分〜1.8mm/分の範囲がより良い。
また、テイル処理時のシリコン融液の最終温度T1は、例えば1430℃〜1500℃の範囲にすることが好ましく、1460℃〜1490℃の範囲にすることがより好ましい。
また、vminは例えば0.1mm/分〜0.8mm/分の範囲が好ましく、0.2mm/分〜0.6mm/分の範囲がより好ましい。更に、vmaxは例えば0.3mm/分〜2.0mm/分の範囲が好ましく、0.4mm/分〜1.8mm/分の範囲がより好ましい。
また、vminは例えば0.1mm/分〜0.8mm/分の範囲が好ましく、0.2mm/分〜0.6mm/分の範囲がより好ましい。更に、vmaxは例えば0.3mm/分〜2.0mm/分の範囲が好ましく、0.4mm/分〜1.8mm/分の範囲がより好ましい。
そして、シリコン単結晶の直径が所定の値、例えば50mmにまで低下したならば、引き上げ速度を段階的に速めてシリコン単結晶をシリコン融液から切り離す。このときの引き上げ速度は、1.0mm/分〜5.0mm/分程度が好ましく、1.2mm/分〜4.0mm/分程度がより好ましく、300mm/分以上の高速にする必要はない。これは、水素含有雰囲気中でテイル処理を行うことにより、無転位化の成功率が格段に向上するためである。
このようにして、ネッキング部6n、ショルダー部6a、直胴部6b及びテイル部からなるシリコン単結晶を製造する。
このようにして、ネッキング部6n、ショルダー部6a、直胴部6b及びテイル部からなるシリコン単結晶を製造する。
また、テイル部の形成時においては、シリコン融液3とテイル部を含むシリコン単結晶との固液界面の形状を、シリコン融液3側に突出する下凸状に維持し続けることが好ましい。テイル部の形成時にシリコン中に導入される転位は、固液界面の法線方向に沿って成長する性質があるので、固液界面を下凸状にすることで、導入された転位をテイル部の表面にまで到達させて転位を除去することができ、直胴部への転位の伝搬を防止することができる。また、テイル処理を行う間の雰囲気を水素含有雰囲気とすることで、シリコン融液3とシリコン単結晶との固液界面の形状を、下凸状に維持し続けることができ、転位の除去が容易になる。
更に、引き上げ速度について、(Vmax−Vmin)を引き上げ速度の変動幅とすると、テイル処理の開始時からシリコン単結晶をシリコン融液から切り離す直前までの、引き上げ速度の変動幅を0.5mm/分以下に設定することが好ましく、0.4mm/分以下にすることがより好ましい。変動幅を0.5mm/分以下にすることで、シリコン融液3とシリコン単結晶との固液界面の形状の乱れを防止し、固液界面を下凸状に維持し続けることができる。
本発明の単結晶シリコンの製造方法によれば、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の水素含有物質が不活性ガス中に含まれてなる水素含有雰囲気においてテイル処理を行うことにより、水素含有物質に由来する水素がシリコン融液に溶け込まれ、更にこの水素が、シリコンが凝固する際にシリコンの格子間に取り込まれる。シリコンの格子間に水素が取り込まれることによって、テイル処理時に発生する転位をテイル部の途中で固着させると共に、転位の発生自体を防止することができる。即ち、水素含有物質の添加によって、テイル部内における転位の伝搬を止めると共に転位の発生を防止することができる。
その結果、テイル部から直胴部への転位の伝搬が防止され、無転位化成功率が向上し、無転位のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
その結果、テイル部から直胴部への転位の伝搬が防止され、無転位化成功率が向上し、無転位のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
CZ法によりシリコン単結晶インゴットを下記の実験例1〜実験例9に示す条件のもとで製造し、得られた単結晶インゴットについて、テイル部による無転位化の成功率を調べた。
尚、各実験例において、1つのCZ炉を用いて10回の製造実験を行って10本のインゴットを製造し、各インゴットについて無転位化の成功の有無を調べ、その結果から無転位化の成功率を算出した。
また、無転位化の成功の有無は、テイル部を切り出して、X線トポグラフによって判定した。
尚、各実験例において、1つのCZ炉を用いて10回の製造実験を行って10本のインゴットを製造し、各インゴットについて無転位化の成功の有無を調べ、その結果から無転位化の成功率を算出した。
また、無転位化の成功の有無は、テイル部を切り出して、X線トポグラフによって判定した。
(実験例1)
図1に示す坩堝1に高純度シリコンの多結晶を300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率が12Ωcmになるようにp型のドーパントとしてB(ホウ素)を添加した。
図1に示す坩堝1に高純度シリコンの多結晶を300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率が12Ωcmになるようにp型のドーパントとしてB(ホウ素)を添加した。
次に、CZ炉内をアルゴンガス雰囲気とし、雰囲気圧力を4.0kPaとした。
次いで、磁場供給装置9から3000Gの水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とした。
次に、シードチャック5に直径15mmの種結晶Tを取り付け、この種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4をそれぞれ2rpm、4rpmで相互に逆回転させつつ結晶引き上げを行った。引き上げの際の結晶方位は{100}とした。
次いで、磁場供給装置9から3000Gの水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とした。
次に、シードチャック5に直径15mmの種結晶Tを取り付け、この種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4をそれぞれ2rpm、4rpmで相互に逆回転させつつ結晶引き上げを行った。引き上げの際の結晶方位は{100}とした。
引き上げは、先ず、種結晶Tをシリコン融液3に浸漬させてネッキング部を形成した。
続いて、坩堝1及び種結晶5の回転速度並びに引き上げ速度を調整してショルダー部6aを形成し、肩変えして直胴径を300mmとした。
そして、直胴長さが例えば300mmに達した時点で、引き上げ速度を1.0mm/minに調整し、その後引き上げ長さに応じてほぼ直線的に引き上げ速度を低下させ、直胴長さが600mmに達したときに引き上げ速度が0.3mm/minとなるようにし、その後はこの引き上げ速度で例えば1600mmまで直胴部6bを育成した。
続いて、坩堝1及び種結晶5の回転速度並びに引き上げ速度を調整してショルダー部6aを形成し、肩変えして直胴径を300mmとした。
そして、直胴長さが例えば300mmに達した時点で、引き上げ速度を1.0mm/minに調整し、その後引き上げ長さに応じてほぼ直線的に引き上げ速度を低下させ、直胴長さが600mmに達したときに引き上げ速度が0.3mm/minとなるようにし、その後はこの引き上げ速度で例えば1600mmまで直胴部6bを育成した。
次に、例えば図2に示したように、シリコン融液3の温度を徐々に高くすると共に、引き上げ速度を調整し、更に引き上げ速度の変動幅が0.32mm/分となるように調整することにより、シリコン単結晶6の直径を徐々に小さくしてテイル部を形成した。そして、シリコン単結晶の直径が48mmに達した時点で、引き上げ速度を段階的に引き上げてシリコン単結晶をシリコン融液から切り離した。尚、テイル部の長さは290mmとなった。
その後、シリコン単結晶をCZ炉外に取り出し、シリコン単結晶からテイル部を切り出した。そして、テイル部を無転位化の判定に供した。
その後、シリコン単結晶をCZ炉外に取り出し、シリコン単結晶からテイル部を切り出した。そして、テイル部を無転位化の判定に供した。
(実験例2)
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度1%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.39mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度1%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.39mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
(実験例3)
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.38mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.38mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
(実験例4)
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度6%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.41mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度6%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.41mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
(実験例5)
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度10%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.29mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度10%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.29mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
(実験例6)
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度20%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.32mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度20%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.32mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
(実験例7)
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度18%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.35mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
直胴部の形成後、CZ炉内の雰囲気を濃度18%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、テイル部形成時の引き上げ速度の変動幅を0.35mm/分としたこと以外は実験例1と同様にしてテイル部の形成を行い、このテイル部を無転位化の判定に供した。
表1に、各実験例における無転位化成功率を示す。
雰囲気中の水素濃度が3%未満である実験例1及び2と、他の実験例3〜7を比較すると、実験例3〜7では3%以上の水素を導入することで、無転位化の成功率が実験例1及び2の60〜70%から90〜100%まで大幅に上昇していることが分かる。
水素濃度が3%(実験例3)〜20%(実験例6)の範囲で、無転位化の成功率が高くなっているが、水素濃度が増大による危険性を回避することからも、水素濃度は3〜10%程度が好ましいと考えられる。
また、引き上げ速度の変動幅を見ると、実験例3〜7の変動幅はいずれも0.5mm/分以下となっている。このため実験例3〜7においては、シリコン単結晶とシリコン融液との固液界面が下凸状に維持されたものと考えられ、これにより無転位化の成功率が90%以上を示したものと考えられる。
以上のように、本実施例によれば、水素含雰囲気中でテイル部の形成を行うことにより、無転位化の成功率を向上させることができることが分かる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えばCZ炉内への水素ガスの供給は、市販の水素ガスボンベ、水素ガス貯蔵タンク、水素吸蔵済みの水素吸蔵合金を充填したタンク等から、専用の配管を通じて引き上げ炉内に供給すればよい。
また、水素含有雰囲気はテイル処理に限らず、ネッキング部、ショルダー部、直胴部の形成時における雰囲気を水素含有雰囲気としても良い。こうすることで、シリコン単結晶を無転位化することができると共に、シリコン単結晶内部に存在するOSFリング領域の幅を非常に狭くすることができ、エピタキシャル欠陥が非常に少ないシリコンウェーハが得られるシリコン単結晶を提供できる。
3…シリコン融液、6…シリコン単結晶、6b…直胴部、T…種結晶
Claims (4)
- シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、シリコン単結晶からなる直胴部を形成し、続いて、前記シリコン単結晶を先窄まり状にしてから前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離すテイル処理を行うシリコン単結晶の製造方法において、
前記テイル処理の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 前記水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶の製造方法
- 前記水素含有物質が水素ガスであり、前記水素含有雰囲気中における水素ガス濃度が3%以上20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記テイル処理の開始時から前記シリコン単結晶を前記シリコン融液から切り離す直前までの、前記シリコン単結晶の引き上げ速度の変動幅を、0.5mm/分以下にすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
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KR101289961B1 (ko) | 2010-08-06 | 2013-07-26 | 실트로닉 아게 | 실리콘 단결정 제조 방법 |
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-
2005
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