JP2007045682A - シリコン単結晶の育成方法およびシリコンウェーハ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、単結晶を育成する雰囲気ガスが、水素含有物質の気体を含み、前記シリコン単結晶の径方向断面の少なくとも一部に転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度であり、かつ、赤外線散乱体欠陥発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度でシリコン単結晶を育成するシリコン単結晶の育成方法とする。
【選択図】 図4
Description
CZ法で製造されたシリコン単結晶には、デバイスの製造過程で顕在化してくる微細欠陥、すなわちGrown-in欠陥が生じることが知られている。図1は、CZ法にて得られたシリコン単結晶の径方向における欠陥分布状態を説明するための断面図である。図1に示すように、CZ法にて得られたシリコン単結晶のGrown-in欠陥は、赤外線散乱体欠陥またはCOP(Crystal Originated Particle)などと呼ばれる大きさが0.1〜0.2μm程度の空孔欠陥、および転位クラスターと呼ばれる大きさが10μm程度の微小転位からなる。
図2に示すように、引き上げ速度の早い段階では、結晶周辺部にリング状のOSF発生領域が現れ、OSF発生領域の内側部分が赤外線散乱体欠陥の多数発生する赤外線散乱体欠陥発生領域となっている。そして、引き上げ速度の低下にしたがって、OSF発生領域の径が次第に小さくなってOSF発生領域の外側部分に転位クラスターの発生する転位クラスター発生領域が現れ、やがてOSF発生領域が消滅して、全面に転位クラスター発生領域が現れる。
図3に示すように、(Gc≧Ge)となるホットゾーン構造を有する育成装置にて、図3に示すBからCの範囲の引き上げ速度で育成すると、固液界面近傍での結晶側の温度勾配Gが制御され、ウェーハ面全面にわたって均一な無欠陥領域となるシリコン単結晶が得られる。
しかしながら、近年、集積回路の微細化に伴って、モニターするLPDサイズが小さくなってきており、具体的には、例えば、モニターするLPDサイズが、0.11μm未満と小さくなってきている。このため、ウェーハ中の転位クラスターサイズの微細化技術が必要である。また、LPDモニター用ウェーハは繰り返し使用されるため、繰り返し洗浄後においてもLPD密度が増加しないウェーハが要求されている。
また、本発明は、上記シリコン単結晶の育成方法によって育成されたシリコン単結晶の直胴部から採取され、高精度なLPDモニター用ウェーハとして好適に使用できるシリコンウェーハを提供することを目的とする。
また、上記のシリコン単結晶の育成方法では、結晶中心部での温度勾配(Gc)が結晶外周部での温度勾配(Ge)と同一かこれより大きく(Gc≧Ge)なるホットゾーン構造を用い、前記シリコン単結晶の径方向略全域が転位クラスター発生領域となる引き上げ速度の範囲で前記シリコン単結晶を引き上げる方法とすることができる。
また、上記のシリコン単結晶の育成方法では、前記シリコン単結晶の径方向断面に、ライトエッチング欠陥密度が5×104個/cm2以上となる転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度でシリコン単結晶を育成する方法とすることができる。
また、上記のシリコン単結晶の育成方法では、前記シリコン単結晶の径方向断面に、Secoエッチング欠陥密度が3×104個/cm2以上となる転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度でシリコン単結晶を育成する方法とすることができる。
また、上記のシリコン単結晶の育成方法では、前記水素原子含有物質の気体が、水素ガスである方法とすることができる。
また、上記のシリコン単結晶の育成方法では、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算分圧で40〜400Paの範囲とする方法とすることができる。
本発明のシリコンウェーハは、上記のいずれかに記載のシリコン単結晶育成方法によって育成されたシリコン単結晶の直胴部から採取されたシリコンウェーハであって、SC−1洗浄を10回繰り返した後の表面における0.09μm以上のLPD密度が0.1個/cm2以下であることを特徴とする。
また、本発明において、「LPD」とは「レーザ光散乱式パーティクルカウンター(SP1(surfscan SP1):KLA−Tencor社製)を用いて検出される欠陥のこと」を意味する。
本発明において、「Secoエッチング欠陥」とは「As-GrownのシリコンウェーハをSeco液を用いて無攪拌状態で30分間のSecoエッチングを行い、エッチング後の表面に光学顕微鏡を用いて検出される欠陥のこと」を意味する
本発明において、「SC−1洗浄」とは「NH4OH/H2O2/H2Oが混合比 1/1 /5 、濃度4vol% /4.4vol% /91.6vol% とされたSC1液に10分浸漬した後、純水洗浄をおこなうこと」を意味する。
本発明において、「シリコン単結晶の径方向断面の少なくとも一部に転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度であり、かつ、赤外線散乱体欠陥発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度」とは、育成されたシリコン単結晶に赤外線散乱体欠陥発生領域が含まれず、転位クラスター発生領域が含まれる引き上げ速度のことをいう。具体的に例えば、図2ではFより下の範囲、図3ではCより下の範囲、図4ではEより下の範囲である。
また、雰囲気ガス中における水素原子含有物質の気体の水素分子分圧を400Pa以下とすることで、仮に、シリコン単結晶の育成装置内にリークして空気が流入したとしても、燃焼することなく安全に操業することが可能である。
シリコン融液中の水素濃度は、ヘンリーの法則から気相中の水素分圧に依存して決まり、
PH2=kCLH2と表される。
ここで、PH2は雰囲気中の水素分圧、CLH2はシリコン融液中の水素濃度、kは両者の間の係数である。
一方、シリコン単結晶中の濃度は、シリコン融液中の濃度と偏析との関係で決まり、
CSH2 =k′CLH2 =(k′/k)PH2と表される。
ここで、CSH2は結晶中の水素濃度、k′は水素のシリコン融液−結晶間の偏析係数である。
なお、Grown-in欠陥の形成に影響を及ぼした水素のほとんどは、その後の冷却の過程でシリコン単結晶外に逸散する。
図5に示すように、本発明のシリコン単結晶の育成方法において、雰囲気ガス中における水素原子含有物質の気体の水素分子分圧を40〜400Paとすることで、無欠陥結晶の引き上げ速度マージンを効果的に大きくすることができる。このため、本発明において育成される転位クラスター発生領域を含むシリコン単結晶を、無欠陥結晶の引き上げ速度に近い比較的早い引き上げ速度で育成する場合に、シリコン単結晶中に無欠陥結晶が混在しないように作り分けすることが容易となり、ウェーハ面全面にわたって転位クラスター発生領域となる均質なシリコン単結晶を容易に形成できる。
なお、水素分圧を40Pa未満とした場合、無欠陥結晶の引き上げ速度マージンを大きくする効果が十分に得られないため好ましくない。また、雰囲気ガス中における水素原子含有物質の気体の水素分圧を400Pa以下とすることで、仮に、シリコン単結晶の育成装置内にリークして空気が流入したとしても、燃焼することなく安全に操業することが可能である。
水素原子含有物質の気体としては、水素ガスとすることができるが、例えば、H2O、CH4、HCL等の水素原子を含む無機化合物や、シランガス、CH4・C2H2などの炭化水素、アルコール、カルボン酸等の水素原子を含む各種物質の気体から選択される1種または複数のガスを用いることができる。
なお、水素原子含有物質の気体として水素ガスを用いる場合には、市販の水素ガスボンベ、水素ガス貯蔵タンク、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させた水素タンク等から専用の配管を通じて引き上げ炉内に供給させることができる。
また、不活性ガス(希ガス)としては、Ar、He、Ne、Kr、Xeから選択される1種または複数のガスを用いることができる。通常、安価なアルゴン(Ar)ガスが用いられるが、ArガスにHe、Ne、Kr、Xeなどの他の不活性ガスを混合したものを用いてもよい。
即ち、本発明においては、水素含有物質がシリコン融液に溶解し高温のシリコン融液中で熱分解して水素原子に変換されると仮定した上で、変換後の雰囲気中の水素ガス換算分圧が上記の範囲になるように水素含有物質の添加量を調整すればよい。
本発明の単結晶の製造方法によれば、上記の水素ガス換算分圧の水素含有物質が不活性ガス中に含まれてなる水素含有雰囲気において単結晶を形成することにより、水素含有物質に由来する水素がシリコン融液に溶け込まれ、更にこの水素が、シリコンが凝固する際にシリコンの格子間に取り込まれる。
図6は、本実施形態におけるシリコン単結晶の育成方法を実施するのに適したCZ炉の縦断面図である。
図6に示すCZ炉は、チャンバー内の中心部に配置された坩堝1と、坩堝1の外側に配置されたヒータ2と、ヒータ2の外側に配置された磁場供給装置9とを備えている。坩堝1は、内側にシリコン融液3を収容する石英坩堝1aを外側の黒鉛坩堝1bで保持する二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸により回転および昇降駆動される。
坩堝1の上方には、円筒形状の熱遮蔽体7が設けられている。熱遮蔽体7は、黒鉛で外殻を作り、内部に黒鉛フェルトを充填した構造である。熱遮蔽体7の内面は、上端部から下端部にかけて内径が漸減するテーパー面になっている。熱遮蔽体7の上部外面は内面に対応するテーパー面であり、下部外面は、熱遮蔽体7の厚みを下方に向かって漸増させるようにほぼストレート面に形成されている。
また、カスプ磁場にあっては、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、200〜1000G、より好ましくは300〜700Gとされ、磁場中心高さが融液液面に対して−100〜+100mm、より好ましくは−50〜+50mmの範囲内になるように設定される。
上記の磁場の強度で上記の磁場中心高さ範囲で磁場供給装置9から磁場を供給することで、対流を抑えることができ、固液界面の形状を好ましい形状とすることができる。
(操業条件の設定)
まず、目標とする転位クラスター発生領域からなるシリコン単結晶の引き上げ速度の許容範囲などの操業条件を把握するために、雰囲気ガス中における水素分圧を例えば、0、20、40、160、240、400Paの混合比率とし、それぞれの条件で目標直径、例えば300mmの単結晶を育成する。
次に、図6に示すCZ炉を用い、単結晶を育成する雰囲気ガスとして、不活性ガスと水素ガスとの混合ガスを用いて、上述した方法により設定された適切な操業条件で、シリコン単結晶6の育成を行う。
このようにしてシリコン単結晶が育成されると、通常の加工方法にしたがいIDソーまたはワイヤソー等の切断装置でスライスし、面取り、ラッピング、エッチング、研磨等の工程を経てシリコン単結晶ウェーハに加工する。なお、これらの工程の他にも洗浄等種々の工程があり、工程順の変更、省略等目的に応じ適宜工程は変更使用される。
「実験例1〜実験例5」
図3と同じ(Gc≧Ge)となるホットゾーン構造を有する育成装置を用い、表1に示す実験例1〜実験例5の水素分圧となるように引き上げ炉内に水素が添加された不活性ガスを供給して、シリコン単結晶の径方向断面におけるライトエッチング欠陥密度が5×104個/cm2以上、Secoエッチング欠陥密度が3×104個/cm2以上となる引き上げ速度でシリコン単結晶を育成し、得られたシリコン単結晶をスライスして実験例1〜実験例5のシリコンウェーハを得た。
そして、実験例1〜実験例5のシリコンウェーハ表面のSC−1洗浄を行なう前と10回繰り返した後の0.09μm以上のLPD密度を求めた。
その結果を表1に示す。
Claims (7)
- チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、
単結晶を育成する雰囲気ガスが、水素含有物質の気体を含み、
前記シリコン単結晶の径方向断面の少なくとも一部に転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度であり、かつ、赤外線散乱体欠陥発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度でシリコン単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶の育成方法。 - 結晶中心部での温度勾配(Gc)が結晶外周部での温度勾配(Ge)と同一かこれより大きく(Gc≧Ge)なるホットゾーン構造を用い、
前記シリコン単結晶の径方向略全域が転位クラスター発生領域となる引き上げ速度の範囲で前記シリコン単結晶を引き上げることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の育成方法。 - 前記シリコン単結晶の径方向断面に、ライトエッチング欠陥密度が5×104個/cm2以上となる転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度でシリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶の育成方法。
- 前記シリコン単結晶の径方向断面に、Secoエッチング欠陥密度が3×104個/cm2以上となる転位クラスター発生領域が形成される引き上げ速度よりも遅い引き上げ速度でシリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶の育成方法。
- 前記水素原子含有物質の気体が、水素ガスであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のシリコン単結晶の育成方法。
- 前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算分圧で40〜400Paの範囲とすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のシリコン単結晶の育成方法。
- 請求項1〜請求項6のいずれかに記載のシリコン単結晶育成方法によって育成されたシリコン単結晶の直胴部から採取されたシリコンウェーハであって、
SC−1洗浄を10回繰り返した後の表面における0.09μm以上のLPD密度が0.1個/cm2以下であることを特徴とするシリコンウェーハ。
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