JP2007022864A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無転位化の成功率を更に向上させることが可能となるシリコン単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】 シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、減径部と定径部からなるネッキング部を形成し、続いて、シリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前記ネッキング部を形成する際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とし、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法を採用する。
【選択図】 なし
【解決手段】 シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、減径部と定径部からなるネッキング部を形成し、続いて、シリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前記ネッキング部を形成する際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とし、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法を採用する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関するものであり、特に、ネッキング部を安定して形成することを可能とするシリコン単結晶の製造方法に関するものである。
シリコン単結晶の製造方法は種々あるが、なかでも、シリコン単結晶の引上げに関し、工業的に量産が可能な方式で広く応用されているものとしてCZ法がある。
図5には、このCZ法によるシリコン単結晶の引上げ装置の構成を説明するための縦断面図を示す。図5に示すように、シリコン単結晶の育成はチャンバー19の容器内で行われ、その中心位置に坩堝1が配されている。この坩堝11は、石英製の内層保持容器11aとこの外側に嵌合された黒鉛製の外層保持容器11bとから構成されている。坩堝11の外層保持容器11bの底部には、坩堝11を回転、並びに昇降させる軸18が設けられている。そして、坩堝11の外周には、ヒーター12が同心円筒状に配設され、坩堝11内にはこの加熱ヒーターにより溶融された結晶原料、つまり多結晶シリコンの融液13が収容されている。さらに、ヒーター12の外側には保温筒17が周設されている。
図5には、このCZ法によるシリコン単結晶の引上げ装置の構成を説明するための縦断面図を示す。図5に示すように、シリコン単結晶の育成はチャンバー19の容器内で行われ、その中心位置に坩堝1が配されている。この坩堝11は、石英製の内層保持容器11aとこの外側に嵌合された黒鉛製の外層保持容器11bとから構成されている。坩堝11の外層保持容器11bの底部には、坩堝11を回転、並びに昇降させる軸18が設けられている。そして、坩堝11の外周には、ヒーター12が同心円筒状に配設され、坩堝11内にはこの加熱ヒーターにより溶融された結晶原料、つまり多結晶シリコンの融液13が収容されている。さらに、ヒーター12の外側には保温筒17が周設されている。
坩堝11の上方には、チャンバー19の上部に連設形成された小型の円筒形状のプルチャンバー20を通して、引上げ軸14が回転、並びに昇降可能に設けられており、引上げ軸14の下端には種結晶16がシードチャック15に着脱可能に装着されている。そして、この種結晶16の下端を融液13の表面に接触させた後、種結晶16を坩堝1の回転と反対方向に回転させつつ上昇させることにより、種結晶16の下端から単結晶を成長させていく。
図5に示すようにシリコン融液13の表面に種結晶16を接触させると、その熱的衝撃に起因して、種結晶に高密度の転位が発生する。そこで、シリコン単結晶を無転位の状態で引き上げるために、種結晶16の下方にネッキング部を設けて、いわゆるダッシュ法によって、発生した転位を結晶表面から排除し、ネッキング部の下端に無転位の結晶を凝固させつつ引き上げていくようにする。
図6は、CZ法による引上げの際に種結晶の下方に設けられるネッキング部の形状を示す図である。通常、シリコン単結晶の引上げの際に形成されるネッキング部16nは、図6に示すように、シリコン融液13の表面に種結晶16を接触させたのちに種結晶16を引き上げて、その下端部を徐々に細く絞り込んで減径部16n1(テーパー部)を形成し、次いで所定直径の定径部16n2を成長させる。そのため、ネッキング部16nは、減径部16n1と定径部16n2とから構成される。一般的に、シリコン単結晶を無転位化させるためには、ネッキング部16nの定径部16n2は直径Dが約3mm以下で、長さLが30mm以上のものが必要とされている。
しかし、直径3mm以下の定径部16n2を備えたネッキング部16nの無転位化の成功率は70%程度であり、更なる無転位化の成功率の向上が求められている。
しかし、直径3mm以下の定径部16n2を備えたネッキング部16nの無転位化の成功率は70%程度であり、更なる無転位化の成功率の向上が求められている。
また、最近になって、半導体用ウェーハの効率生産にともなう要請から、引上げられるシリコン単結晶の大口径化および長尺化の必要性が増加している。そのため、例えば所謂12インチ結晶においては、単結晶の重量が300kgを超えることが想定されている。
シリコン単結晶の引上げの際には、単結晶の重量はネッキング部で支持され、単結晶の総重量はネッキング部の定径部に加わることになる。シリコン単結晶の機械的性質から算定すると、上述のように、300kgを超える大重量の結晶を保持する場合には、ネッキング部の定径部では、直径で4.5mm以上確保する必要があり、さらに、引上げ過程での振動、衝撃を考慮すると、安全性を加味して直径6.0mmが必要になる。ネッキング部がこれらの強度を具備できない場合には、単結晶の引上げ段階において、ネッキング部が切断する可能性が高く、そのためにシリコン単結晶が落下するという重大事故に結び付くことが想定される。一方で、定径部の直径が4mm以上になると、無転位化の成功率が大幅に低下するという問題が生じる。
そこで、シリコン単結晶の落下防止と無転位化の成功率向上を同時に達成するための手段として、特許文献1には、ダッシュ法による無転位化作業時にネッキング部を補助加熱機構を用いて加熱することにより、ネッキング部の温度分布を制御してネッキング部に作用する熱応力を軽減し、比較的直径が大きなネッキング部であってもシリコン単結晶を無転位化できる方法が開示されている。
また、特許文献2には、シリコン融液の温度と種結晶の引き上げ速度を制御することによって、4〜10mm程度の直径を有するネッキング部を安定して形成する方法が開示されている。
特開平11−189488号公報
特開2001−130995号公報
また、特許文献2には、シリコン融液の温度と種結晶の引き上げ速度を制御することによって、4〜10mm程度の直径を有するネッキング部を安定して形成する方法が開示されている。
しかし、特許文献1に記載された方法を採用するためには、引き上げ装置に補助加熱機構を組み込む必要があり、引き上げ装置全体の構成が大がかりになってしまう問題があった。
また、特許文献2に記載された方法では、ネッキング部の直径が4〜10mmと比較的大きいために無転位化の成功率が15%程度と充分ではなく、成功率の更なる向上が求められていた。
また、特許文献2に記載された方法では、ネッキング部の直径が4〜10mmと比較的大きいために無転位化の成功率が15%程度と充分ではなく、成功率の更なる向上が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無転位化の成功率を更に向上させることが可能となるシリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、減径部と定径部からなるネッキング部を形成し、続いて、シリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前記ネッキング部を形成する際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とすることを特徴とする。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることが好ましい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、減径部と定径部からなるネッキング部を形成し、続いて、シリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、前記ネッキング部を形成する際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とすることを特徴とする。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記水素含有物質が水素ガスであり、前記水素ガス含有雰囲気中における水素ガス濃度が3%以上20%以下であることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記ネッキング部の前記定径部の直径を3mm以下に制御することが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記ネッキング部の前記定径部の直径を4mm以上10mm以下に制御するとともに、前記定径部を形成する際の前記種結晶の引き上げ速度を2.5mm/分以上とすることが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記ネッキング部の前記定径部の直径を3mm以下に制御することが好ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の製造方法においては、前記ネッキング部の前記定径部の直径を4mm以上10mm以下に制御するとともに、前記定径部を形成する際の前記種結晶の引き上げ速度を2.5mm/分以上とすることが好ましい。
ここで、水素含有物質とは、水素原子をその分子中に含む物質であって、シリコン融液中に溶け込んだ際に熱分解されることによって水素ガスを発生させる気体状の物質である。この水素含有物質には水素ガス自体も含まれる。この水素含有物質を不活性ガスに混合してネッキング部形成時の雰囲気中に導入することにより、シリコン融液中の水素濃度を向上させることができる。水素含有物質の具体例としては、水素ガス、H2O、HCl等の水素原子を含む無機化合物や、シランガス、CH4、C2H2などの炭化水素、アルコール、カルボン酸等の水素原子を含む有機化合物を例示できるが、特に水素ガスを用いることが望ましい。また、不活性ガスとしては、安価なArガスが好ましく、これ以外にもHe、Ne、Kr、Xeなどの各種希ガス単体またはこれらの混合ガスを用いることができる。
また本発明では、水素含有雰囲気中における水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲としている。ここで、水素ガス換算濃度としたのは、水素含有物質が熱分解等して得られる水素原子の量が、水素含有物質に元来含まれる水素原子の数量等によって左右されるためである。例えば、H2Oの1モルには1モル分のH2が含まれるが、HClの1モルには0.5モル分のH2しか含まれない。従って本発明においては、水素ガスが3〜20%の濃度で不活性ガス中に導入されてなる水素含有雰囲気を基準とし、この基準となる雰囲気と同等の雰囲気が得られるように、水素含有物質の濃度を決めることが望ましく、このときの好ましい水素含有物質の濃度を水素ガス換算濃度として規定したものである。
即ち、本発明においては、水素含有物質がシリコン融液に溶解し高温のシリコン融液中で熱分解して水素原子に変換されると仮定した上で、変換後の雰囲気中の水素ガス換算濃度が3〜20%の範囲になるように水素含有物質の添加量を調整すればよい。
即ち、本発明においては、水素含有物質がシリコン融液に溶解し高温のシリコン融液中で熱分解して水素原子に変換されると仮定した上で、変換後の雰囲気中の水素ガス換算濃度が3〜20%の範囲になるように水素含有物質の添加量を調整すればよい。
本発明の単結晶シリコンの製造方法によれば、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の水素含有物質が不活性ガス中に含まれてなる水素含有雰囲気においてネッキング部を形成することにより、水素含有物質に由来する水素原子がシリコン融液に溶け込まれ、更にこの水素原子が、シリコンが凝固する際にシリコンの格子間に取り込まれる。シリコンの格子間に水素が取り込まれることによって、種結晶がシリコン融液に接触した際の熱衝撃によって発生する転位を、ネッキング部の途中で固着させると共に、転位の発生自体を防止することができる。即ち、水素含有物質の添加によって、ネッキング部内における転位の伝搬を止めると共に発生を防止することができる。
その結果、ネッキング部に続いて形成されるショルダー部やボディ部に対する転位の伝搬が防止され、無転位のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
その結果、ネッキング部に続いて形成されるショルダー部やボディ部に対する転位の伝搬が防止され、無転位のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
また、一般に、シリコン融液と種結晶との間の固液界面が下凸状となる場合にネッキング部における転位除去を促進させることができるが、シリコン融液に水素が溶け込まれることによって、この転位除去の効果をより促進させることができる。
また、本発明の単結晶シリコンの製造方法によれば、水素含有雰囲気中でネッキング部を形成すると共に、ネッキング部の定径部の直径を3mm以下にすることにより、ネッキング部の形成による無転位化の成功率を100%程度に高めることができる。
更に、本発明の単結晶シリコンの製造方法によれば、水素含有雰囲気中でネッキング部を形成すると共に、ネッキング部の定径部の直径を4mm以上10mm以下に制御し、かつ定径部を形成する際の種結晶の引き上げ速度を2.5mm/分以上にすることによって、直径4mm以上の定径部を有するネッキング部の形成による無転位化の成功率を、従来よりも飛躍的に高めることができる。
更に、本発明の単結晶シリコンの製造方法によれば、水素含有雰囲気中でネッキング部を形成すると共に、ネッキング部の定径部の直径を4mm以上10mm以下に制御し、かつ定径部を形成する際の種結晶の引き上げ速度を2.5mm/分以上にすることによって、直径4mm以上の定径部を有するネッキング部の形成による無転位化の成功率を、従来よりも飛躍的に高めることができる。
本発明の単結晶シリコンの製造方法によれば、水素含雰囲気中でネッキングの形成を行うことにより、無転位化の成功率を更に向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(CZ炉の構成)
図1は、本発明の実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法を実施するのに適したCZ炉の縦断面図である。
図1に示すCZ炉は、チャンバー内の中心部に配置された坩堝1と、坩堝1の外側に配置されたヒータ2と、ヒータ2の外側に配置された磁場供給装置9とを備えている。坩堝1は、内側にシリコン融液3を収容する石英坩堝1aを外側の黒鉛坩堝1bで保持する二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸1cにより回転および昇降駆動される。
坩堝1の上方には、円筒形状の熱遮蔽体7が設けられている。熱遮蔽体7は、黒鉛で外殻を作り、内部に黒鉛フェルトを充填した構造である。熱遮蔽体7の内面は、上端部から下端部にかけて内径が漸減するテーパー面になっている。熱遮蔽体7の上部外面は内面に対応するテーパー面であり、下部外面は、熱遮蔽体7の厚みを下方に向かって漸増させるようにほぼストレート面に形成されている。
そして、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ種結晶Tを引き上げることにより、シリコン単結晶6を形成できるようになっている。図1に示すシリコン単結晶6は、種結晶Tの下に形成されたネッキング部6nと、ネッキング部6nに続いて形成されたショルダー部6aと、ショルダー部6aに続いて形成されたボディ部6bとからなる。
(CZ炉の構成)
図1は、本発明の実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法を実施するのに適したCZ炉の縦断面図である。
図1に示すCZ炉は、チャンバー内の中心部に配置された坩堝1と、坩堝1の外側に配置されたヒータ2と、ヒータ2の外側に配置された磁場供給装置9とを備えている。坩堝1は、内側にシリコン融液3を収容する石英坩堝1aを外側の黒鉛坩堝1bで保持する二重構造であり、ペディスタルと呼ばれる支持軸1cにより回転および昇降駆動される。
坩堝1の上方には、円筒形状の熱遮蔽体7が設けられている。熱遮蔽体7は、黒鉛で外殻を作り、内部に黒鉛フェルトを充填した構造である。熱遮蔽体7の内面は、上端部から下端部にかけて内径が漸減するテーパー面になっている。熱遮蔽体7の上部外面は内面に対応するテーパー面であり、下部外面は、熱遮蔽体7の厚みを下方に向かって漸増させるようにほぼストレート面に形成されている。
そして、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ種結晶Tを引き上げることにより、シリコン単結晶6を形成できるようになっている。図1に示すシリコン単結晶6は、種結晶Tの下に形成されたネッキング部6nと、ネッキング部6nに続いて形成されたショルダー部6aと、ショルダー部6aに続いて形成されたボディ部6bとからなる。
熱遮蔽体7は、ヒータ2およびシリコン融液3面からシリコン単結晶6の側面部への輻射熱を遮断するものであり、育成中のシリコン単結晶6の側面を包囲するとともに、シリコン融液3面を包囲するものである。熱遮蔽体7の仕様例を挙げると次のとおりである。
半径方向の幅Wは例えば50mm、逆円錐台面である内面の垂直方向に対する傾きθは例えば21°、熱遮蔽体7の下端の融液面からの高さH1は例えば60mmとする。
半径方向の幅Wは例えば50mm、逆円錐台面である内面の垂直方向に対する傾きθは例えば21°、熱遮蔽体7の下端の融液面からの高さH1は例えば60mmとする。
また、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、水平磁場(横磁場)にあっては2000〜4000G(0.2T〜0.4T)、より好ましくは2500〜3500G(0.25T〜0.35T)とされ、磁場中心高さが融液液面に対して−150〜+100mm、より好ましくは−75〜+50mmの範囲内になるように設定される。
また、カスプ磁場にあっては、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、200〜1000G(0.02T〜0.1T)、より好ましくは300〜700G(0.03T〜0.07T)とされ、磁場中心高さが融液液面に対して−100〜+100mm、より好ましくは−50〜+50mmの範囲内になるように設定される。
上記の磁場の強度で上記の磁場中心高さ範囲で磁場供給装置9から磁場を供給することで、対流を抑えることができ、固液界面の形状を好ましい形状とすることができる。
また、カスプ磁場にあっては、磁場供給装置9から供給される磁場の強度は、200〜1000G(0.02T〜0.1T)、より好ましくは300〜700G(0.03T〜0.07T)とされ、磁場中心高さが融液液面に対して−100〜+100mm、より好ましくは−50〜+50mmの範囲内になるように設定される。
上記の磁場の強度で上記の磁場中心高さ範囲で磁場供給装置9から磁場を供給することで、対流を抑えることができ、固液界面の形状を好ましい形状とすることができる。
(第1の実施形態のシリコン単結晶の製造方法)
次に、図1に示すCZ炉を用い、単結晶を育成する雰囲気ガスとして不活性ガスと含有物質との混合ガスを用いた、第1の実施形態のシリコン単結晶6の製造方法を説明する。
先ず、坩堝1内に高純度シリコンの多結晶を例えば300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率を所望の値、例えば10Ωcmになるようにp型(B,Al,Ga等)またはn型(P,As,Sb等)のドーパントを添加する。
次に、図1に示すCZ炉を用い、単結晶を育成する雰囲気ガスとして不活性ガスと含有物質との混合ガスを用いた、第1の実施形態のシリコン単結晶6の製造方法を説明する。
先ず、坩堝1内に高純度シリコンの多結晶を例えば300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率を所望の値、例えば10Ωcmになるようにp型(B,Al,Ga等)またはn型(P,As,Sb等)のドーパントを添加する。
次に、CZ炉内を水素含有物質と不活性ガスとの混合ガスからなる水素含有雰囲気とし、雰囲気圧力を1.3〜13.3kPa(10〜100torr)とし、雰囲気ガス中における水素含有物質の濃度を水素ガス換算濃度で3〜20%とする。水素含有物質として水素ガスを選択した場合には、水素ガス濃度を3〜20%とすればよい。尚、このときの水素分圧は、全圧(雰囲気圧力)を1.3〜13.3kPaとした場合に、39Pa〜2.7kPaの範囲になる。
水素含有物質の水素ガス換算濃度(水素の濃度)が3%未満(水素分圧にして39Pa未満)では、シリコン中に導入される転位の伝搬及び転位の発生を低減できなくなるので好ましくない。また、水素含有物質の水素ガス換算濃度(水素の濃度)が高い程、転位発生の抑制効果が増大する。ただし、水素ガス換算濃度が50%(水素分圧にして6.75kPa)を超えると、CZ炉内に酸素リークを生じた場合に爆発などの危険性が増大するので安全上好ましくなく、その濃度が20%(水素分圧にして2.7kPa)を超えると、爆発しないまでも燃焼の危険が増大するので好ましくない。水素濃度が20%以下であれば、酸素リークなどを生じた場合に、例え炉内で燃焼が発生したとしても、燃焼した際の圧力変動が1気圧を超えることがないので、安全上なにも問題ない。このため、より好ましい水素含有物質(水素ガス)の濃度は3%以上20%以下の範囲であり、特に好ましい濃度は3%〜10%の範囲である。
水素含有物質は、シリコン融液中に溶け込んだ際に熱分解されて、シリコン融液中に水素原子を供給できる物資である。この水素含有物質を不活性ガスに混合してネッキング部形成時の雰囲気中に導入することにより、シリコン融液中の水素濃度を向上させることができる。水素含有物質の具体例としては、水素ガス、H2O、HCl等の水素原子を含む無機化合物や、シランガス、CH4、C2H2などの炭化水素、アルコール、カルボン酸等の水素原子を含む各種物質を例示できるが、特に水素ガスを用いることが望ましい。また、不活性ガスとしては、安価なArが好ましく、これ以外にもHe、Ne、Kr、Xeなどの各種希ガス単体、またはこれらの混合ガスを用いることができる。
なお、不活性雰囲気中に酸素ガス(O2)が存在する場合には、気体の水素分子換算での濃度と酸素ガスの濃度の2倍との濃度差が3体積%以上の濃度で存在できる。水素原子含有ガスの水素分子換算での濃度と酸素ガスの濃度の2倍の濃度差が3体積%未満であると、シリコン結晶中に取り込まれた水素原子によるCOPおよび転位クラスター等のGrown−in欠陥の生成を抑制する効果が得られないことによる。
また、不活性ガス中の不純物としての窒素が高濃度になると、シリコン結晶が有転位化するので、通常の炉内圧1.3〜13.3kPa(10〜100Torr)の範囲では、窒素濃度20%以下にすることが好ましい。
次いで、磁場供給装置9から例えば3000G(0.3T)の水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とする。
次に、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ結晶引き上げを行って、まずはネッキング部6nを形成する。尚、引き上げの際の結晶方位は{100}、{111}または{110}のいずれかとする。
次に、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ結晶引き上げを行って、まずはネッキング部6nを形成する。尚、引き上げの際の結晶方位は{100}、{111}または{110}のいずれかとする。
ネッキング部6nの形成について詳細に説明すると、種結晶Tをシリコン融液3に浸漬させてから、るつぼ1および引き上げ軸4を回転させつつ種結晶Tを引き上げることにより、図2に示すような減径部6n1を形成する。このときの引き上げ速度は、1.0mm/分〜2.5mm/分の範囲にすることが望ましい。この減径部6n1は、ネッキング部6nの一部であって、引き上げ方向の反対方向に沿って直径が徐々に減少されるように引き上げられたものである。本実施形態においては、最小直径D1が3mm以下になるまで減径部6n1の形成を行うことが望ましい。
次に、減径部6n1の端部の直径D1が3mm以下になった後に、今度は引き上げ速度を2.0mm/分〜4.0mm/分の範囲に設定して引き上げを続行することにより、図3に示すような定径部6n2を形成する。この定径部6n2は、減径部6n1と共にネッキング部6nを構成するものであり、引き上げ方向またはその反対方向に沿って直径が一定になるように引き上げられたものである。本実施形態においては、定径部6n2の直径D2を3mm以下とし、定径部6n2の長さを少なくとも5mm以上にすることが望ましい。このようにしてネッキング部6nを形成する。
ネッキング部6nを形成する間においては、シリコン融液3と種結晶Tの固液界面K、またはシリコン融液3と形成途上のネッキング部6nとの固液界面Kを、シリコン融液3側に突出する下凸状に維持し続けることが好ましい。図4に示すように、種結晶Tがシリコン融液3に接した際の熱衝撃によってシリコン中に導入される転位dは、固液界面Kの法線方向に沿って成長する性質があるので、固液界面Kを下凸状にすることで、導入された転位dをネッキング部6nの表面にまで到達させて転位dを除去することができる。
尚、ネッキング部6nの形成が終了したならば、CZ炉内の雰囲気を、水素含有雰囲気から水素含有物質を含まない雰囲気(例えば100%不活性ガス雰囲気)としても良く、水素含有雰囲気を保持したままで後述するショルダー部6a及びボディ部6bの形成を行っても良い。
続いて、坩堝1及び種結晶5の回転速度並びに引き上げ速度を調整してショルダー部6aを形成させ、肩変えして目標ボディ径とする。
そして、ボディ長さが例えば300mmに達した時点で、引き上げ速度を臨界速度よりも充分大きな、例えば1.0mm/minに調整し、その後引き上げ長さに応じてほぼ直線的に引き上げ速度を低下させ、ボディ長さが例えば600mmに達したときに臨界速度よりも小さい例えば0.3mm/minとなるようにし、その後はこの引き上げ速度で例えば1600mmまでボディ部6bを育成し、通常条件でテイル絞りを行った後、結晶成長を終了する。
そして、ボディ長さが例えば300mmに達した時点で、引き上げ速度を臨界速度よりも充分大きな、例えば1.0mm/minに調整し、その後引き上げ長さに応じてほぼ直線的に引き上げ速度を低下させ、ボディ長さが例えば600mmに達したときに臨界速度よりも小さい例えば0.3mm/minとなるようにし、その後はこの引き上げ速度で例えば1600mmまでボディ部6bを育成し、通常条件でテイル絞りを行った後、結晶成長を終了する。
本実施形態のシリコン単結晶の製造方法においては、ネッキング部6nの定径部6n2の直径D2が3mm以下であって、転位除去に関しては比較的有利な条件であるところ、ネッキング部6nの形成時の雰囲気を水素含有雰囲気とすることで、ネッキング部6n内における転位の伝搬を止めると共に転位の発生を防止することができ、これによりボディ部6bへの転位の伝搬をより効果的に防止することができる。これは、水素含有雰囲気においてネッキング部6nを形成することで、水素含有物質に由来する水素がシリコン融液3に溶け込まれ、更にこの水素が、シリコンが凝固する際にシリコンの格子間に取り込まれ、これにより種結晶Tがシリコン融液3に接触した際の熱衝撃によって発生する転位を、ネッキング部6nの途中で固着させると共に、転位の発生自体を防止できるためである。
よって、本実施形態によれば、ネッキング部6nの形成による無転位化の成功率を、従来の70%程度から100%程度に向上させることができる。
よって、本実施形態によれば、ネッキング部6nの形成による無転位化の成功率を、従来の70%程度から100%程度に向上させることができる。
(第2の実施形態のシリコン単結晶の製造方法)
次に、図1に示すCZ炉を用い、単結晶を育成する雰囲気ガスとして不活性ガスと含有物質との混合ガスを用いた、第2の実施形態のシリコン単結晶6の製造方法を説明する。
先ず、第1の実施形態と同様に、坩堝1内に高純度シリコンの多結晶を例えば300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率を所望の値、例えば10Ωcmになるようにp型(B,Al,Ga等)またはn型(P,As,Sb等)のドーパントを添加する。
また、第1の実施形態と同様にして、CZ炉内を水素含有物質と不活性ガスとの混合ガスからなる水素含有雰囲気とする。
次に、図1に示すCZ炉を用い、単結晶を育成する雰囲気ガスとして不活性ガスと含有物質との混合ガスを用いた、第2の実施形態のシリコン単結晶6の製造方法を説明する。
先ず、第1の実施形態と同様に、坩堝1内に高純度シリコンの多結晶を例えば300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率を所望の値、例えば10Ωcmになるようにp型(B,Al,Ga等)またはn型(P,As,Sb等)のドーパントを添加する。
また、第1の実施形態と同様にして、CZ炉内を水素含有物質と不活性ガスとの混合ガスからなる水素含有雰囲気とする。
次に、磁場供給装置9から例えば3000G(0.3T)の水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とする。このときのシリコン融液の温度は、シリコン融液3に種結晶5を接触させて種結晶Tを1.5mm/分の引き上げ速度で引き上げた場合に、種結晶Tの下端部の直径が減径しない温度とすることが好ましい。
「シリコン融液3に種結晶Tを接触させて種結晶Tを1.5mm/分の引き上げ速度で引き上げた場合に、種結晶下端部の直径が減径しない温度」とは、シリコン融液3に種結晶を接触させて引上げを開始したときに、その引上げ速度を1.5mm/分とすれば、種結晶下端部の直径が少なくとも減径しない、すなわち、そのままの直径で引上げられるか、または直径が漸増しつつ引上げられるようなシリコン融液3の液温条件を意味している。シリコン融液3が上記を超える高温状態になると、ネッキング部6nの減径部形成での固液界面の形状を下凸状態に十分にすることができず、無転位化が図れなくなるので好ましくない。
上述したように、種結晶Tがシリコン融液3に接した際の熱衝撃によってシリコン中に導入される転位は、固液界面Kの法線方向に沿って成長する性質があるので、固液界面Kを下凸状にすることで、導入された転位をネッキング部6nの表面にまで到達させて転位を除去することができる。
上述したように、種結晶Tがシリコン融液3に接した際の熱衝撃によってシリコン中に導入される転位は、固液界面Kの法線方向に沿って成長する性質があるので、固液界面Kを下凸状にすることで、導入された転位をネッキング部6nの表面にまで到達させて転位を除去することができる。
そして、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4を回転させつつ結晶引き上げを行って、まずはネッキング部6nを形成する。尚、引き上げの際の結晶方位は、第1の実施形態と同様に、{100}、{111}または{110}のいずれかとする。
ネッキング部の形成について詳細に説明すると、第1の実施形態において参照した図2と同様に、種結晶をシリコン融液3に浸漬させてから、るつぼ1および引き上げ軸4を回転させつつ種結晶を引き上げることにより、減径部6n1を形成する。このときの引き上げ速度は、2.5mm/分以上にすることが望ましい。この減径部6n1は、ネッキング部6nの一部であって、引き上げ方向の反対方向に沿って直径が徐々に減少されるように引き上げられたものである。本実施形態においては、直径D1が4〜10mmになるまで減径部6n1の形成を行うことが望ましい。
本実施形態において減径部6n1の引き上げ速度を2.5mm/分以上にするのは、2つの理由に基づく。第1の理由は、シリコン結晶に導入された転位は引上げにともなって移動する固液界面に向かって成長するため、その成長速度を上回る速度で結晶を引上げなければ、転位密度を減少することができないことである。また、第2の理由は、ネッキング部6nを形成する工程で固液界面Kが下凸状態であることを利用して転位を除去するには、下凸状態を保持する引上げ長さをある程度長くする必要があるからである。例えば、中心近傍にある転位を除去するには、半径方向に結晶半径の長さだけ移動させることが必要になるが、引上げ方向の移動距離が大きいほど、半径方向の移動距離が稼げることになる。したがって、引上げ方向の移動距離を確保することによって、転位密度を確実に低減することができる。そして、固液界面が下凸状態である引上げ方向の移動距離を長く確保するには、引上げ速度を速くことが有効である。言い換えれば、引上げ速度を速くすることによって、固液界面が下凸状態にある時間が短くなるが、この時間短縮による下凸状態での引上げ長さの減少作用より、引上げ速度を速くすることによる固液界面の下凸状態での引上げ方向の移動距離の延長作用の方が大きくなる。
本発明によれば、ネッキング部6nの定径部6n2を4.5mm以上の大径にする場合であっても、前述の通り、シリコン融液の液温を比較的低温に設定し、ネッキング部6nの減径部6n1における引上げ速度を2.5mm/分以上にすることにより、導入された転位を確実に除去することができる。すなわち、引上げ速度を2.5mm/分以上にすれば、種結晶の中心近傍に存在する転位であっても、下凸状態の固液界面を通して、結晶外に排除することが可能になる。
尚、引上げ速度の上限は、ネッキング部6nの形成不良のうち結晶が融液から切り離される、いわゆる絞り切れの発生状況によって制限される。一般的に、シリコン融液3に磁場が印加されていない場合には上限を6mm/分とし、磁場を印加した場合には上限を10mm/分とするのが望ましい。このように、シリコン融液3に磁場を印加した場合に、引上げ速度の上限を大きく採れるのは、融液の温度変動が小さくなり、絞り切れが発生し難くなるためである。
尚、引上げ速度の上限は、ネッキング部6nの形成不良のうち結晶が融液から切り離される、いわゆる絞り切れの発生状況によって制限される。一般的に、シリコン融液3に磁場が印加されていない場合には上限を6mm/分とし、磁場を印加した場合には上限を10mm/分とするのが望ましい。このように、シリコン融液3に磁場を印加した場合に、引上げ速度の上限を大きく採れるのは、融液の温度変動が小さくなり、絞り切れが発生し難くなるためである。
次に、第1の実施形態において参照した図3と同様に、減径部6n1の端部の直径が4.5〜10mmになった後に、今度は引き上げ速度を2.5mm/分〜4.0mm/分の範囲に設定して引き上げを続行することにより、定径部6n2を形成する。この定径部6n2は、減径部6n1と共にネッキング部6nを構成するものであり、引き上げ方向またはその反対方向に沿って直径が一定になるように引き上げられたものである。本実施形態においては、定径部6n2の直径D2を4.5〜10mmとし、定径部6n2の長さを少なくとも10mm以上にすることが望ましい。このようにしてネッキング部6nを形成する。
第1の実施形態と同様に、ネッキング部6nを形成する間においては、シリコン融液3と種結晶Tの固液界面K、またはシリコン融液3と形成途上のネッキング部6nとの固液界面Kを、下凸状に維持し続けることが好ましい。固液界面Kを下凸状にすることで、導入された転位をネッキング部6nの表面にまで到達させて転位を除去することができる。
尚、ネッキング部6nの形成が終了したならば、CZ炉内の雰囲気を、水素含有雰囲気から水素含有物質を含まない雰囲気(例えば100%不活性ガス雰囲気)としても良く、水素ガス含有雰囲気を保持したままでショルダー部6a及びボディ部6bの形成を行っても良い。
そして、第1の実施形態と同様にして、ショルダー部6a及びボディ部6bの形成を行い、通常条件でテイル絞りを行った後、結晶成長を終了する。
そして、第1の実施形態と同様にして、ショルダー部6a及びボディ部6bの形成を行い、通常条件でテイル絞りを行った後、結晶成長を終了する。
本実施形態のシリコン単結晶の製造方法においては、ネッキング部6nの定径部6n2の直径D2が4.5〜10mm以下であって、転位除去に関しては比較的不利な条件であるところ、ネッキング部6nの形成時の雰囲気を水素含有雰囲気とすることで、ネッキング部6n内における転位の伝搬を止めると共に転位の発生を防止することができ、これによりボディ部6bへの転位の伝搬をより効果的に防止することができる。これは、水素含有雰囲気においてネッキング部6nを形成することで、水素含有物質に由来する水素がシリコン融液3に溶け込まれ、更にこの水素が、シリコンが凝固する際にシリコンの格子間に取り込まれ、これにより種結晶Tがシリコン融液3に接触した際の熱衝撃によって発生する転位を、ネッキング部6nの途中で固着させると共に、転位の発生自体を防止できるためである。
よって、本実施形態によれば、ネッキング部6nの形成による無転位化の成功率を、飛躍的に向上させることができる。
よって、本実施形態によれば、ネッキング部6nの形成による無転位化の成功率を、飛躍的に向上させることができる。
CZ法によりシリコン単結晶インゴットを下記の実験例1〜実験例9に示す条件のもとで製造し、得られた単結晶インゴットについて、ネッキング部による無転位化の成功率を調べた。
尚、各実験例において、2つのCZ炉を用いて、各CZ炉において10回、合計で20回の製造実験を行って20本のインゴットを製造し、各インゴットについて無転位化の成功の有無を調べ、その結果から無転位化の成功率を算出した。
また、無転位化の成功の有無は、ネッキング部の定径部を切り出して、X線トポグラフによって判定した。
尚、各実験例において、2つのCZ炉を用いて、各CZ炉において10回、合計で20回の製造実験を行って20本のインゴットを製造し、各インゴットについて無転位化の成功の有無を調べ、その結果から無転位化の成功率を算出した。
また、無転位化の成功の有無は、ネッキング部の定径部を切り出して、X線トポグラフによって判定した。
(実験例1)
図1に示す坩堝1に高純度シリコンの多結晶を300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率が12Ωcmになるようにp型のドーパントとしてB(ホウ素)を添加した。
図1に示す坩堝1に高純度シリコンの多結晶を300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率が12Ωcmになるようにp型のドーパントとしてB(ホウ素)を添加した。
次に、CZ炉内をアルゴンガス雰囲気とし、雰囲気圧力を4.0kPaとした。
次いで、磁場供給装置9から3000Gの水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とした。
次に、シードチャック5に直径15mmの種結晶Tを取り付け、この種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4をそれぞれ2rpm、4rpmで相互に逆回転させつつ結晶引き上げを行った。引き上げの際の結晶方位は{100}とした。
次いで、磁場供給装置9から3000Gの水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とした。
次に、シードチャック5に直径15mmの種結晶Tを取り付け、この種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4をそれぞれ2rpm、4rpmで相互に逆回転させつつ結晶引き上げを行った。引き上げの際の結晶方位は{100}とした。
引き上げは、先ず、種結晶Tをシリコン融液3に浸漬させてから、引き上げ速度2.4mm/分の条件で直径が3mmになるまでで引き上げを行い、減径部を形成した。
次に、引き上げ速度を3.2mm/分に設定して引き上げを続行して、直径3mm、長さ7mmの定径部を形成した。このようにして、減径部と定径部からなるネッキング部を形成した。
ネッキング部の形成後、ネッキング部をシリコン融液から切り離し、CZ炉外に取り出した。そして、定径部を無転位化の判定に供した。
次に、引き上げ速度を3.2mm/分に設定して引き上げを続行して、直径3mm、長さ7mmの定径部を形成した。このようにして、減径部と定径部からなるネッキング部を形成した。
ネッキング部の形成後、ネッキング部をシリコン融液から切り離し、CZ炉外に取り出した。そして、定径部を無転位化の判定に供した。
(実験例2)
図1に示す坩堝1に高純度シリコンの多結晶を300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率が12Ωcmになるようにp型のドーパントとしてBを添加した。
図1に示す坩堝1に高純度シリコンの多結晶を300Kg装入し、単結晶の電気抵抗率が12Ωcmになるようにp型のドーパントとしてBを添加した。
次に、CZ炉内をアルゴンガス雰囲気とし、雰囲気圧力を4.0kPaとした。
次いで、磁場供給装置9から3000Gの水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とした。シリコン融液の温度は、「シリコン融液3に種結晶を接触させて種結晶を1.5mm/分の引き上げ速度で引き上げた場合に、種結晶下端部の直径が減径しない温度」とした。
次に、シードチャック5に直径15mmの種結晶Tを取り付け、この種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4をそれぞれ2rpm、4rpmで相互に逆回転させつつ結晶引き上げを行った。引き上げの際の結晶方位は{100}とした。
次いで、磁場供給装置9から3000Gの水平磁場を磁場中心高さが融液液面に対して−75〜+50mmとなるように供給するとともに、ヒータ2によりシリコンの多結晶を加熱してシリコン融液3とした。シリコン融液の温度は、「シリコン融液3に種結晶を接触させて種結晶を1.5mm/分の引き上げ速度で引き上げた場合に、種結晶下端部の直径が減径しない温度」とした。
次に、シードチャック5に直径15mmの種結晶Tを取り付け、この種結晶Tをシリコン融液3に浸漬し、坩堝1および引き上げ軸4をそれぞれ2rpm、4rpmで相互に逆回転させつつ結晶引き上げを行った。引き上げの際の結晶方位は{100}とした。
引き上げは、先ず、種結晶をシリコン融液3に浸漬させてから、引き上げ速度2.2mm/分の条件で直径が5mmになるまでで引き上げを行い、減径部を形成した。
次に、引き上げ速度を2.8mm/分に設定して引き上げを続行して、直径5mm、長さ12mmの定径部を形成した。このようにして、減径部と定径部からなるネッキング部を形成した。
ネッキング部の形成後、ネッキング部をシリコン融液から切り離し、CZ炉外に取り出した。そして、定径部を無転位化の判定に供した。
次に、引き上げ速度を2.8mm/分に設定して引き上げを続行して、直径5mm、長さ12mmの定径部を形成した。このようにして、減径部と定径部からなるネッキング部を形成した。
ネッキング部の形成後、ネッキング部をシリコン融液から切り離し、CZ炉外に取り出した。そして、定径部を無転位化の判定に供した。
(実験例3)
CZ炉内の雰囲気を、濃度1%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.6mm/分とし、定径部の直径を5.2mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度1%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.6mm/分とし、定径部の直径を5.2mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
(実験例4)
CZ炉内の雰囲気を、濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気としたこと以外は、実験例1と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気としたこと以外は、実験例1と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
(実験例5)
CZ炉内の雰囲気を、濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.7mm/分とし、定径部の直径を5.4mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.7mm/分とし、定径部の直径を5.4mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
(実験例6)
CZ炉内の雰囲気を、濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.5mm/分とし、定径部の直径を8.9mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度3%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.5mm/分とし、定径部の直径を8.9mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
(実験例7)
CZ炉内の雰囲気を、濃度6%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.6mm/分とし、定径部の直径を8.1mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度6%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.6mm/分とし、定径部の直径を8.1mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
(実験例8)
CZ炉内の雰囲気を、濃度6%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.1mm/分とし、定径部の直径を8.0mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度6%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を2.1mm/分とし、定径部の直径を8.0mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
(実験例9)
CZ炉内の雰囲気を、濃度18%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を3.2mm/分とし、定径部の直径を9.1mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
CZ炉内の雰囲気を、濃度18%の水素がアルゴンガス中に混合されてなる水素含有雰囲気とし、定径部形成時の引き上げ速度を3.2mm/分とし、定径部の直径を9.1mmとしたこと以外は実験例2と同様にしてネッキング部の形成を行い、このネッキング部を無転位化の判定に供した。
表1に、各実験例における無転位化成功率を示す。
表1に示すように、実験例1及び実験例4は、定径部の直径を3mmとした実験例であり、第1の実施形態に対応するものである。
実験例1と4を比較すると、実験例4では水素を3%導入することで、無転位化の成功率が実験例1の70%から100%まで上昇していることが分かる。
実験例1と4を比較すると、実験例4では水素を3%導入することで、無転位化の成功率が実験例1の70%から100%まで上昇していることが分かる。
また、表1に示すように、実験例2、3及び5〜9は、定径部の直径を4.5mm以上とした実験例であり、第2の実施形態に対応するものである。
実験例2及び3と、実験例5〜7及び9とを比較すると、実験例5〜7及び9では水素を3〜20%導入することで、無転位化の成功率が実験例5〜7の0〜15%から90〜95%まで上昇していることが分かる。
また、実験例7と8を比較すると、実験例7では定径部の引き上げ速度を2.6mm/分とすることで、引き上げ速度が2.1mm/分の実験例8に対して、無転位化の成功率が実験例8の25%から95%まで上昇していることが分かる。
実験例2及び3と、実験例5〜7及び9とを比較すると、実験例5〜7及び9では水素を3〜20%導入することで、無転位化の成功率が実験例5〜7の0〜15%から90〜95%まで上昇していることが分かる。
また、実験例7と8を比較すると、実験例7では定径部の引き上げ速度を2.6mm/分とすることで、引き上げ速度が2.1mm/分の実験例8に対して、無転位化の成功率が実験例8の25%から95%まで上昇していることが分かる。
以上のように、本実施例によれば、水素含雰囲気中でネッキングの形成を行うことにより、無転位化の成功率を向上させることができることが分かる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えばCZ炉内への水素ガスの供給は、市販の水素ガスボンベ、水素ガス貯蔵タンク、水素吸蔵済みの水素吸蔵合金を充填したタンク等から、専用の配管を通じて引き上げ炉内に供給すればよい。
3…シリコン融液、6…シリコン単結晶、6n…ネッキング部、6n1…減径部、6n2…定径部、T種結晶
Claims (5)
- シリコン融液に接触させた種結晶を徐々に引き上げることにより、減径部と定径部からなるネッキング部を形成し、続いて、シリコン単結晶を引き上げるシリコン単結晶の製造方法であって、
前記ネッキング部を形成する際の雰囲気を、不活性ガス中に水素含有物質が含まれてなる水素含有雰囲気とすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 前記水素含有雰囲気中の水素含有物質の濃度を、水素ガス換算濃度で3%以上20%以下の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記水素含有物質が水素ガスであり、前記水素含有雰囲気中における水素ガス濃度が3%以上20%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記ネッキング部の前記定径部の直径を3mm以下に制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記ネッキング部の前記定径部の直径を4mm以上10mm以下に制御するとともに、前記定径部を形成する際の前記種結晶の引き上げ速度を2.5mm/分以上とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
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