JP5488597B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン単結晶の製造方法及び製造装置に用いて好適な技術に関する。
本願は、2009年6月18日に、日本に出願された特願2009−145248号、及び、2009年6月19日に、日本に出願された特願2009−146995号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
シリコンウェーハの素材であるシリコン単結晶の製造方法として、チョクラルスキー法(以下、CZ法)による育成方法が知られている。
シリコン単結晶の製造にはCZ法と呼ばれる方法が使われる。例えば減圧不活性(Ar)ガス雰囲気中、石英るつぼ内に収容された原料多結晶シリコンを抵抗加熱ヒータなどの加熱手段で溶融する。溶融後融点付近となっているシリコン融液表面に種結晶(シード)を漬け(シード融液接触工程)、種結晶がシリコン融液となじむ程度に液温を調節し、なじんだら種結晶内の転位を除去するためにシードを上方に引上げながら直径5mm前後のシード絞りを行う(ネック工程)。シード絞りをおこなうネック工程後、製品径となるように液温と引上速度を調節しながら円錐状に結晶径を拡大させる(肩工程)。結晶径が製品径に達したら、製品となる部位を鉛直方向に一定長さ育成し(直胴工程)、その後結晶径を円錐状に減径させ(テール工程)、直径が十分小さくなったところで融液から切り離して終了となる。
上記CZ法においては、シリコン種結晶を原料シリコン融液に接触させる際、熱衝撃によって、種結晶に高密度で転位(熱ショック転位、ミスフィット転位)が発生する。この転位は、育成する結晶の単結晶化を阻害するものである。したがって、この転位を消滅させてから、以後の結晶の育成を進行することが必要である。一般に、この転位は、成長する結晶の断面積が小さいほど、発生が少ない。また、一旦発生した転位の成長も停止しやすい。このことから、CZ法等による単結晶育成においては、断面積の小さいネック部を所定長さ育成して転位を消滅させるダッシュネッキング(Dash Necking)法と呼ばれる方法が広く利用されている。
ダッシュネッキング法では、具体的にシリコン種結晶を原料シリコン融液に接触させて溶かし込むシード絞り(ネッキング)工程において、一旦、径を4mm程度にまで細くしたネック部を長さ50〜200mm程度まで形成する。その後、所定の口径になるまでショルダー部により単結晶を太くしていく手法が採用できる。これにより、前記ネック部において、種結晶に導入されたスリップ転位から伝播した転位を消滅させることができ、無転位のシリコン単結晶を引き上げることができる。
また大重量の単結晶を引き上げる際には、熱ショックを与えないようにして着液時の導入転位を抑制していた。これらに類する技術が特許文献1〜3に記載されている。
あるいは、特許文献5に示すように肩形状の手前に径が拡大した径大部を作成し、その径大部を把持して結晶を保持する方法がある。
また、ネッキング工程において、ネック部のみ成長させて無転位化の実証をおこなう手法が特許文献4に記載されている。
特開平11−60379号公報 特開2008−87994号公報 特開平9−2898号公報 特開2001−130996号公報 特開平11−12082号公報
SYNCHROTRON RADIATION INSTRUMENTATION: Ninth International Conference on Synchrotron Radiation Instrumentation. AIP Conference Proceedings, Volume 879, pp. 1545-1549 (2007).
しかし、上記特許文献1〜3に記載された技術では、完全な無転位化を実現できていないという問題があった。特に、例えば4mm程度までネック径を縮径し、かつ、500mm程度と、従来転位が抜けるのに充分と考えられていた長さまで成長させても、直胴部まで転位が残る場合があった。
また、特許文献4に記載されるように、ネックを取り出すため炉内の密閉を破った場合、炉外からの汚染物質や製造装置可動部からの重金属汚染物によるコンタミネーションが発生して石英ルツボ内に残った原料は再利用することは難しい。ウェーハが大口径化している現在、大重量となるシリコン原料をムダに廃棄するようなことはできないため、実際の製造に適用できず、これに変わる手法が求められていた。
また、特許文献5に記載されたような可動部を炉内に設けた場合、この可動部が汚染源となり、結果的にシリコン単結晶引き上げには実用できないという問題があった。
さらにまた、転位の発生および除去の状態を正確に捉えられていないという問題があった。
さらにまた、転位の発生および除去のメカニズムは正確に理解されていない。そのため、どのようにすれば転位を完全に除去できるのかは理解されてはいなかった。特に、ネック部分で発生する転位のうち、結晶引き上げ方向に延在し、ダッシュネック法などで結晶径寸法を変化させても除去できない転位(軸状転位)が存在する。この軸状転位(除去困難転位)が直胴部の全長にわたって存在し、どのようにすれば除去可能か不明であった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成するものである。
1.シード融液接触工程で発生する転位を確実に除去して無転位化を実現すること。
2.転位、特に軸状転位についての発生および除去の状態を正確に捉えること。
3.ネック部での転位の振る舞いと引き上げ条件との関係を正確に把握すること。
4.無転位化可能な引き上げ条件を正確に決定すること。
直径300mm以上、特に450mm程度の大口径シリコン結晶を育成するには、大重量を支えるネック部(ダッシュネック部)の直径が問題となる。そこで、本願発明者らは、無転位状態を維持したまま、従来ネック部といわれてきた部分の直径を太くして安全に育成することを検討した。ここでは、炉内に汚染源となる特別な装置を載置することがなく簡便な方法により、数百Kgから数tのオーダーとなる大重量シリコン単結晶を製造することを前提とする。
大口径シリコン単結晶を育成するには、前述した通常ダッシュネック法という方法が用いられる。ダッシュネック法では、シリコン単結晶の育成時に直径を細くして、シリコン種結晶とシリコン融液が接触した時に導入される転位(熱ショック転位、ミスフィット転位)を除去する。この場合、ネック部の径寸法を細く設定した方が、転位が除去されやすい。また、大重量の結晶を育成するには、ネック部の耐荷重性から径寸法を太く設定することが必要である。ネック部の太さは、これらの関係により算出した寸法に設定していた。直径が300mmのシリコン単結晶では、5mm程度の直径で結晶荷重を支持できていた。しかし、シリコン単結晶の直径が450mmの場合では、結晶を必要な長さまで育成させた場合、ネック部により荷重を支えきれないおそれがある。
また、上述したように、これ以外の方法としても、ネック部を太くするために、シードとメルト(シリコン融液)の表面の温度差を少なくして熱ショック転位が入らないようにするものがあった。しかし、ネック部を細くしたり、シードを高温にしたりしなくても、シリコン単結晶の成長に成功することがあった。
そこで、本願発明者らは、このような条件を解明できれば特別な処理や装置が必要なく簡便な方法で大重量シリコン結晶の育成が可能になると考え、引き上げに伴うネック部内部における転位の挙動について精査する手段を探求した。
本願発明者らは、ネッキング工程において転位がどのような振る舞いをするのかを考察した。また、軸状転位がなぜ除去できないかを考察した。そして、転位の振る舞いを解明できれば特別な処理や装置が必要なく簡便な方法で転位を完全に除去したシリコン結晶の育成が可能になると考えた。そして、引き上げに伴うネック部内部における転位の挙動について精査する手段を探求した。
従来はX線トポグラフィを使用してネック部内の転位状態解析を実施していた。この手法においては、ネック部の断面を厚さ約1.5mmにスライス加工しその後、混酸等で表面エッチングしてX線の透過観察をしていた。従ってある断面のみの画像しか直接観察できないので、この1.5mm間隔の画像をつなぎ合わせて結晶成長に伴う転位の状態変化をとらえていた。そのため、シリコン単結晶の引き上げ方向の中心軸である引き上げ軸に対して斜めに伝播する転位しか観察できなかった。
ところが、非特許文献1に記載されるレベルの高エネルギー放射光として白色X線を利用した場合、ネック部分を観察するとループ状に転位が消滅することを見出した。また、通常の{111}面以外にも転位が存在することを見出した。
つまり、上述した軸状転位とは、このような手法により本願発明者らが初めてその存在を明らかにした。軸状転位は、シリコン単結晶の直胴部、および、これをスライスしたウェーハにおいて、ピットとして観測されていた。しかし、観測されたピットが軸状転位であるとの認識はされていなかった。
この軸状転位は、ウェーハにおいて、以下のような方法により明確に他のピットから区別して検出することが可能である。
まず、ウェーハがスライスされたシリコン単結晶は、晶癖線がきちんと形成されるとともに無転位化(Dislocation free)が実現できており、他の検査によっても単結晶であると認識されている。このようなウェーハ表面において、光学的な検査手段を使用した歪み測定をおこなうことで軸状転位を識別することができる。このような検査手段として、内部応力の分布状態を目視により観察することができるJENAWAVE社製歪み検査装置(SIRD;登録商標)SirTecを用いることができる。
この際、評価対象とするシリコンウェーハに10〜300℃/secの昇降温速度で、900〜1250℃×1sec以上の加熱による顕在化処理を施す。その後、顕在化した歪みを含む前記ウェーハの表面性状を評価する。この顕在化処理では、急速加熱によりウェーハ面内に大きな温度差を生じさせ、この温度差に起因した熱応力を発生させることを意図している。したがって、長時間に及ぶ加熱時間は必要でなく、1sec程度の短時間加熱であっても、所期の作用を発揮させることができる。
軸状転位は、ウェーハの表裏面を貫いて存在しているため、上記のように超短時間の急速加熱とされる顕在化処理によって発生した熱応力による歪みが大きくなる。これに対し、レーザー面検機などによる表面汚染検査において、軸状転位と同じようにピットとして検出されるが、ウェーハ表裏面を貫通するほどの長さがない転位は、顕在化処理によって発生した熱応力による歪みが大きくならないと考えられる。つまり、ウェーハの厚さに対してその寸法が1割程度未満である転位は、顕在化処理によって発生した熱応力による歪みが大きくならないと考えられる。
このため、軸状転位は上記の顕在化処理によって顕在化されるが、他のピットなどはこの顕在化処理によっては顕在化されない。顕在化した軸状転位を有するウェーハの観測例と、軸状転位のないウェーハの観測例とを図11に示す。
図11の(a)に示す観測例は、3個の軸状転位が発生した例であり、図11の(b)に示す観測例は、軸状転位が発生しなかった例である。なお、ウェーハの縁に観測される歪みは、熱処理時のウェーハの支持によって発生したものと考えられる。
軸状転位は、種結晶を融液に接触させた段階で発生する。軸状転位は、ネッキング工程、ショルダー部形成(拡径)工程、および、直胴部成長工程まで、結晶の成長方向に連続して存在する転位である。軸状転位は、ウェーハを製造したときに、ウェーハの特定の領域に限定して存在する。また、軸状転位は、ダッシュネック法のように、拡径、縮径、ネック部長さを一定以上にする等、従来知られているネック部を成長させる際に用いられる手法によっては、除去することができなかった。
引き上げが終了したシリコン単結晶60は、図12に示すように、種結晶(種子結晶)T、種子づけ界面T00を挟んで成長したシリコン単結晶としての縮径部(ネック部)N0、拡径をおこなうショルダー部60a、直胴部60b、テール部60cを有する。
種結晶T付近を拡大すると、図13に示すように、縮径部(ネック部)N0には、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmが発生する。熱ショック転位Jnは、種結晶Tをシリコン融液に接触させた際の熱ショックで種結晶T側に発生し、成長するシリコン単結晶60のネック部N0側に引き継がれる。ミスフィット転位Jmは、種結晶Tとシリコン単結晶60のネック部N0に格子定数の不整合がある場合に発生する。
軸状転位Jは、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmのうち、成長方向(軸方向)に成長するものである。具体的には、図12に示すように、この単結晶60からスライスした110ウェーハWをみると、軸状転位Jは、それぞれその表面においてノッチを時計の12時の方向とした際に、10時方向および4時方向に観測される。より詳細には、100方向であるノッチを0°として、120°〜135°の範囲の領域と、この領域とシリコン単結晶60の中心軸線に対して対称な315°〜350°の範囲の領域に観測される。またこれらの領域をシリコン単結晶60の中心軸線を中心として90°および45°回転した領域からなる除去困難転位存在領域J1の範囲に限って観測される。つまり軸状転位Jは、領域J1において、シリコン単結晶60の成長方向(中心軸方向)に延在している。なお、図において、領域J1は、120°〜135°および315°〜350°の範囲の領域のみを図示している。
なお、所定の長さ以上に成長させたシリコン単結晶においては、軸状転位は消滅する可能性がある。しかし、現在、製造現場では、引き上げた一本分のシリコン単結晶をスライスしたウェーハのデータをつきあわせて初めて軸状転位であることが認識されている。軸状転位は、通常、一本のシリコン単結晶の全長にわたって存在し、シリコン単結晶を貫通していることが多い。
ここで、CZ法によって引き上げるシリコン単結晶における転位を測定する高エネルギー放射光としては、白色X線による白色X線トポグラフィを用いることが好ましい。特に、連続的なスペクトルをもつ30keV〜1MeV、40keV〜100keV程度、50keV〜60keV程度のエネルギーのX線を用いる。あるいは、波長0.001nm〜0.25nm程度のX線を用いる。また、光源からの距離44mの位置で、1mm×1mmのスリットを通して得られる光子数が図5に示すような分布を有するX線を用いる。図5の(a)に示すグラフは、本発明における高エネルギー放射光の一例とされるX線の状態を示すもので、X線のエネルギーに対する光子数の分布を示す。図5の(b)に示すグラフは、本発明における高エネルギー放射光の一例とされるX線を示すもので、波長に対する光子数の分布を示す。また、X線のビーム径は、被測定物であるネック部の直径の0.01〜1倍が好ましい。
このような高エネルギー白色X線を使用することで、スライス加工等、破壊検査をおこなうことなく、単結晶シリコンの内部の転位などの振る舞いを三次元的にイメージとして観測し、転位の位置の情報とその性質とを観測することが初めて可能となった。
図4に示すように一つの回折スポット(例えば004回折スポット)に注目し、シリコン単結晶を回転させることで、そのトポグラフ像によるCTを再構成する。これにより転位線の三次元的な位置情報が得られる。また、これと同時に、図6に示すような白色X線トポグラフィを行い、転位の性質(バーガースベクトルなど)を決定する。
X線トポグラフィはX線回折顕微法とも呼ばれており、非破壊で欠陥の空間分布を観察する方法である。シリコン単結晶に連続的にX線を入射すると、回折斑点と呼ばれる複数の回折像が観測される。X線トポグラフィは、この回折斑点を解析する。
ここで、回折像を観察するために用いる2次元検出器として、以下が挙げられる。蛍光板、X線フィルム、原子核乾板、輝尽性蛍光体(BaFBr:Eu2+)の光輝尽発光現象を利用したイメージングプレート。X線に感度のあるPbO膜やアモルファスSe−As膜を光導電面とした撮像管を用いたX線テレビ。電荷結合素子CCDを用いたCCD型X線検出器。本発明において用いるX線検出器としては、空間分解能やダイナミックレンジとして、次のような特性を考慮することが好ましい。
検出量子効率
ダイナミックレンジ
強度の直線性領域
不感時間と数え落とし
受光面積と位置分解能
感度の不均一性
位置の非直線性(または像ひずみ)
エネルギー分解能
時間分解能
実時間測定の能力
動作の安定性
シリコン単結晶の引き上げにおいては、同じ装置(CZ炉)で、さらに、同じカーボン等の炉内部材を同じように使用しても、引き上げ時の条件によって、転位の発生状態及びその振る舞いが変化する。ここで、引き上げ時の条件とは、例えば、引き上げ速度、シリコン融液の液面から熱遮蔽部材までの高さ(距離)、シリコン融液との接触前の種結晶をシリコン融液の液面上で保持する時間等である。このことから、高エネルギー放射光によるシリコン単結晶の内部の転位の挙動を観測する手段を用いて、異なる炉や異なる炭素材料を組み合わせた構造を採用した製造装置を用いた時のネック部(転位除去部、無転位化部)の製造条件を決定することが可能となる。
従って、X線トポグラフィによる観測を行うことによって、軸状転位が発生した製造条件を排除して、軸状転位が発生しない製造条件を特定することが可能となる。ここでの製造条件とは、いわゆる、制御パラメータである条件以外に、全ての単結晶およびウェーハの特性に関連し、単結晶を引き上げて製造する装置、手段、部品、状態、工程を含む。
また、直径が300mm以上、特に450mm程度の大口径のシリコン単結晶を育成するには、大重量を支えるネック部(ダッシュネック部)の直径が問題となる。そこで、本願発明者らは、炉内に汚染源となる特別な装置を載置することなく、簡便な方法により、数百Kgから数tのオーダーとなる大重量シリコン単結晶を、軸状転位が存在しない状態で安全に育成することを目的として、従来ネック部といわれてきた部分の直径を太くすることを検討した。
大口径のシリコン単結晶を育成するには、通常、前述したダッシュネック法を用い、育成の初期段階でシリコン単結晶の直径を細くしてネック部を形成する。これにより、シリコンの種結晶とシリコン融液とが接触した時に導入される転位(熱ショック転位、ミスフィット転位)を、ネック部において除去する。この場合、ネック部の径を細くした方が、転位が除去されやすい。しかし、大重量の結晶を育成するには、ネック部の耐荷重性から径寸法を太くすることが必要である。これらの関係からネック部の太さを算出していた。直径が300mm程度の結晶では、5mm程度の直径で結晶の荷重を支持できていたが、結晶の直径が450mmでは、必要な結晶長とした場合、荷重を支えきれないおそれがある。そのため、本願明者らは、上記のように、ネックの直径を太くすることを検討した。
本願発明者らは、このように、ネック部の直径を太くすると、上述した軸状転位Jが存在する場合があることを見出した。従来、このような軸状転位は、確認されていなかった。
熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmの振る舞いには、以下のような特性があることが判明した。ここで、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmの振る舞いとは、ネック部、ショルダー部および直胴部を引き上げるシリコン単結晶の育成の過程におけるこれらの伝播方向などを指す。
1) 大前提として、転位はすべり面(シリコンの場合は{111}面)を移動する。
2) 通常{111}に転位は導入される。
3) まれに{111}に導入されずに他の面を移動する場合がある。また、その場合も、通常、すぐに{111}に移り変わる。
4) CZ法により製造するシリコン単結晶に導入される転位のほとんどは、種結晶をシリコン融液に接触させた時に発生する。
ここで、転位の移動するすべり面と引き上げる結晶の種類として、結晶面どうしの角度を表1に示す。
<100>ウェーハを製造するためのシリコン単結晶をシリコン融液から引き上げて製造した場合、熱ショックやミスフィットで発生した転位は、図3に示すように、シリコン単結晶の直径を絞るネッキング工程において、シリコン単結晶のすべり面である{111}を移動する。すべり面を移動した転位は、シリコン単結晶の表面に到達する。そして、シリコン単結晶の表面が転位の終点となると考えられる。しかし、上記のX線トポグラフィによれば、熱ショックやミスフィットで導入された初期の転位が結晶の成長方向に伸びる場合があることがわかった。この現象は、製品の口径の大きさやネッキング時のネック部の直径に関わらず発生する。このとき、転位は、すべり面の{111}を移動せず、シリコン単結晶とシリコン融液との間の結晶の成長界面に垂直な方向に伸び、その後すべり面に移動することなく、結晶の成長方向に進展する。このように結晶の成長方向に進展した転位が、軸状転位になる。
軸状転位は、その後、シリコン単結晶の直径を製品の直径まで増加させても、シリコン単結晶の表面まで到達することがない。このような、軸状転位を有するシリコン単結晶は、軸状転位を有さないシリコン単結晶と同様に晶癖線を有し、インゴットの状態では良品と区別することができない場合がある。そして、そのインゴットをスライスしたウェーハを検査した時に、軸状転位は欠陥として検出される。
また、シリコン単結晶の成長方向に伸びた転位が、シリコン単結晶の直径を増加させている途中、あるいは、直径が製品の直径に到達し、製品となる部位を製造中に{111}へ移動し、軸状転位となる場合もある。
熱ショックやミスフィットによって導入され、結晶の成長方向と平行に伸展した転位をネッキング工程中に{111}へ移動させることができれば、転位をネック部において除去できる。すなわち、ネック部を必要以上に細くしたり、シードを必要以上に高温にしたりしなくても、ネック部において転位を除去した状態で、シリコン単結晶の直径を増加させるショルダー工程へ進むことができる。そのため、製品に結晶成長の初期段階で発生した転位の影響がなくなる。これにより、結晶成長の初期段階で軸状転位が発生したシリコン単結晶を溶かし直す(再溶解)回数とその時間を抑制することができる。
そこで、本願発明者らは、このような条件を解明できれば軸状転位のない重量の大きなシリコン結晶の育成が低コストで可能になると考え、本発明を完成した。
本願発明者らが、最も重要視したのは、以下の点である。
1) シリコン単結晶は、シリコン単結晶とシリコン融液との界面である結晶育成面に垂直に成長する。そのため、ネック部を形成する時に発生して導入された転位は{111}でなく、結晶育成面に垂直な方向に移動する場合がある。
2) したがって、本発明は、{111}に存在しない転位をネック部を形成する段階で{111}に移動させるための方法である。この方法は、ネック部の形成時のシリコン単結晶とシリコン融液との界面の形状を変化させる手段を採用する。その条件確認で放射光設備におけるX線トポグラフィを用いる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、
シリコン融液に種結晶を接触させ、前記シリコン単結晶の引き上げを開始するディップ工程と、
シリコンウェーハとなる前記シリコン単結晶の直胴部を形成するように、前記シリコン単結晶を引き上げる直胴工程と、
ディップ工程で発生した転位又は除去困難転位を前記直胴工程より前に除去する除去困難転位除去工程と、
を有し、
前記除去困難転位除去工程において、前記シリコン融液と前記シリコン単結晶との固液界面の接平面が前記シリコン融液の表面と平行となる部分を中心位置から変動させて固液界面形状を前記シリコン融液の表面から変形させ、前記転位又は前記除去困難転位が伸展する方向を結晶成長方向から移動させることにより上記の課題を解決した。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、以下の工程を有する。シリコン融液に種結晶を接触し引き上げを開始するディップ工程。シリコンウェーハとなる単結晶直胴部を引き上げる直胴工程。ディップ工程で発生した除去困難転位を前記直胴工程より前に除去する除去困難転位除去工程。これらの工程を有することができる
前記除去困難転位除去工程において、除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、除去困難転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去してもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面形状を融液表面から変形させて除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面の接平面が融液表面と平行となる部分を中心位置から変動させて除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面状態の揺らぎを増大して除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液に対するシリコン単結晶の回転を低減して前記固液界面状態の揺らぎを増大してもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液に印加する磁場強度を低減して前記固液界面状態の揺らぎを増大してもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液を貯留する石英ガラスルツボに起因して発生する湯面振動により前記固液界面状態の揺らぎを増大してもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン単結晶を成長軸に対して非対称に加熱して前記固液界面状態の揺らぎを増大してもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面を成長軸に対して非対称になるように温度分布を形成して除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン単結晶を成長軸に対して非対称に加熱して前記固液界面を成長軸に対して非対称にしてもよい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前記除去困難転位除去工程において、前記ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成するとともに、以下の工程を有する。前記除去困難転位除去工程後に必要な直胴部径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、無転位化実施引き上げ条件を決定する引き上げ条件設定工程。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前記除去困難転位除去工程において、前記ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成するとともに、以下の工程を有する。前記除去困難転位除去工程後に必要な直胴部径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。そして、前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、前記拡径工程を開始する。
上記のシリコン単結晶製造方法において、前記高エネルギー放射光が、40keV〜70keVのエネルギーとされ、回転数0.1〜30rpmで回転状態として転位除去部に照射されてもよい。
本発明のシリコン単結晶は、上記のいずれか記載の製造方法により製造される。
本発明のシリコンウェーハは、上記のシリコン単結晶から製造される。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、上記のように、ディップ工程と、直胴工程と、除去困難転位除去工程とを有する。これにより、従来、どのようにすれば除去できるかわからなかった除去困難転位(軸状転位)を初めて除去可能とした。
前記除去困難転位除去工程において、軸状転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させることにより、ショルダー部を引き上げる拡径工程より前に軸状転位を除去できる。そのため、軸状転位として直胴部まで延びる転位が存在しないシリコン単結晶を引き上げることが可能となる。したがって軸状転位のないシリコン単結晶の直胴部から、軸状転位の存在しないウェーハを製造することが可能となる。
前記除去困難転位除去工程において、転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する。すなわち、転位を結晶成長方向と異なる方向となるすべり面に移動させる。そして、転位を外部に抜けさせるかまたは他の転位と対消滅させることが可能となる。これにより、軸状転位の発生を防止できる。そのため、軸状転位として直胴部まで延びる転位が存在しない単結晶をシリコン融液から引き上げることが可能となる。これにより、従来、単結晶化していると判断されていたが、実際には軸状転位の存在している不完全な結晶を排除して、軸状転位の存在しないシリコン単結晶を引き上げることが可能となる。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面形状を融液表面から変形させて除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させることができる。
転位の伸展は、すべり面である{111}でなく、まず結晶育成面に垂直に結晶が成長するためにその方向に移動する。つまり、図16の(a)に示すように、シリコン融液3と成長単結晶6との間の固液界面Kにおいて、転位jを接点とする接平面の法線方向に伸展する。固液界面Kが液面30と平行、つまり、固液界面Kが平面状態の場合、図16の(a)に示すように、転位jは融液3中に矢印で示す方向に伸展していく。従って、図に上下方向で示す軸方向(結晶成長方向)の転位jは結晶成長方向へ伸展する。転位jがこのまま結晶成長方向へ伸展すると、転位jの位置はシリコン単結晶の拡径部で径方向に変化するが、消去されることはない。したがって、結晶成長方向へ伸展する転位jは、直胴部においても結晶成長方向へ延びるように存在する軸状転位になることがある。
シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面形状を融液表面から変形させるとは、図16の(b)に示すように、シリコン融液3と成長したシリコン単結晶6との間の固液界面K1を下方に凸の形状とすることを含む。また、図16の(c)に示すように、シリコン融液3と成長したシリコン単結晶6との間の固液界面K2を上方に凸の形状とすることを含む。
これによって、転位jは、結晶引き上げに従って、図16の(b)に示すように、固液界面K1において、転位jを接点とする接平面の法線方向に伸展する。また、転位jは、結晶引き上げに従って、図16の(c)に示すように、固液界面K2において、転位jを接点とする接平面の法線方向に伸展する。
したがって、転位jは、結晶引き上げに従って、図16の(b)に示すように、それぞれシリコン単結晶の外部方向へ伸展する。または、図16の(c)に示すように、複数の転位jがシリコン単結晶の中心軸方向に集まる。この結果、転位jをシリコン単結晶の外部に抜けさせるか、または他の転位と対消滅させて除去することが可能となる。したがって、転位jが軸状転位すなわち除去困難転位となることを防止できる。
固液界面形状と転位の伝播する方向との関係は次のようにまとめられる。
(a)界面形状がフラットの時 転位は垂直方向(シリコン単結晶の中心軸方向、鉛直方向)に伸展
(b)界面形状が下方に凸の時 転位はシリコン単結晶の外周に向かって伸展
(c)界面形状が上方に凸の時 転位はシリコン単結晶の内部に向かって伸展
これらの固液界面形状は引き上げ速度によって制御することができる。すなわち、引き上げ速度を大きくすると界面の形状は上方に凸になる。また、引き上げ速度を小さくすると、界面の形状は下方に凸になる。また、印加する磁場の大きさ、ルツボの回転速度、結晶の回転速度等を変化させることによって、より精密な制御をおこなうことができる。
また、引き上げ速度の変化により、結晶の直径が変動することがある。転位を除去して軸状転位の発生を防止するために、引き上げ速度を小さくした際、転位が結晶の外部方向へ抜けて除去でき、軸状転位の発生が防止できる。この場合、引き上げる結晶の保持が可能である程度に直径が小さくなることは問題ない。また、引き上げ速度を大きくした際、転位が中心方向へ向かい対消滅して除去できるかそのまま外部へ抜けて除去でき、軸状転位の発生が防止できる。この場合、原料をムダにしない程度に拡径することは問題がない。そのため、シリコン単結晶の直胴部の引き上げへの影響がなければ、結晶の直径の変動の範囲は特に限定されない。
また、引き上げ速度の変化によって、シリコン単結晶の引き上げ方向(軸方向)から転位の伸張方向がずれることも、転位を除去するためには好ましい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面の接平面が融液表面と平行となる部分を中心位置から変動させて除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させることができる。図16の(b)に示す下方に凸の形状とした固液界面K1、および、図16の(c)に示す上方に凸の形状とした固液界面K2は、いずれも、結晶中心を回転軸とする回転対称な形状である。したがって、シリコン単結晶の中心軸の軸線に対して軸対称の形状である。転位は、シリコン単結晶の中心軸線と一致して進展する場合がある。つまり、結晶中心に転位が存在する場合がある。この場合には、上記のように、固液界面形状の凸形状の度合いをどれだけ変化させても、結晶の中心の転位は伸張方向が中心軸方向から変化しないと考えられる。
シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面の接平面が融液表面と平行となる部分を中心位置から変動させるとは、次のことを含む。図17の(a)に示すように、シリコン融液3と成長単結晶6との間の固液界面K3を下方に凸とする。かつ、接平面の法線が鉛直方向つまり結晶中心軸方向となる部分Kdを結晶中心位置であるKcから離間した位置となるように、固液界面K3形状を軸対称ではないように変動させこと。または、図17の(b)に示すように、シリコン融液3と成長単結晶6との間の固液界面K4を上方に凸とする。かつ、接平面の法線が鉛直方向つまり結晶中心軸方向となる部分Kdを結晶中心位置であるKcから離間した位置となるように、固液界面K3形状を軸対称ではないように変動させること。
図17の(a)に示す固液界面K3、または図17の(b)に示す固液界面K4の形状を軸対称からずらす制御は、以下の操作を含む。シリコン融液3と成長結晶6との回転比をゼロにする、つまり、融液に対する結晶回転を停止すること。引き上げ中に印加している磁場を停止すること。成長した結晶の温度分布が結晶の中心軸に対称とならないようにゆがませること。シリコン融液の状態を結晶の中心軸に対称な結晶の成長に適した状態から変化させること。
融液に対する結晶の回転を低減するか停止することにより、シリコン融液の対流の分布が結晶の中心軸に軸対称になっている状態から揺らぎを生じる。そして、対流の分布の対称性が壊れて結晶成長が軸対称でなくなる。その結果、例えば、シリコン単結晶が均等な直径を有さなくなるが、結晶は成長する。つまり、固液界面において、シリコン単結晶の中心軸に軸対称な温度分布が壊れる。そして、固液界面の接平面の法線が鉛直方向つまり結晶の中心軸方向となる部分を、結晶の中心から離間した位置に移動させることができる。
引き上げ中に印加している磁場を停止することにより、シリコン融液中の対流が磁場によって制御された状態から揺らぎを生じる。そして、結晶の成長が結晶の中心軸に軸対称でなくなる。その結果、均等な径寸法を有さなくなるが、結晶は成長する。つまり、固液界面において、シリコン単結晶の中心軸に軸対称な温度分布が壊れる。そして、固液界面の接平面の法線が鉛直方向つまり結晶の中心軸方向となる部分を、結晶の中心から離間した位置に移動させることができる。
結晶に軸対称でない温度分布を形成するには、成長した結晶の偏った部分(直径方向の一部)のみを加熱及び冷却、あるいは加熱又は冷却する。具体的には、回転している結晶に固液界面付近の特定部分のみにレーザ光を照射して、その部分の加熱をおこなう。また、シリコン単結晶を引き上げる炉内において、結晶の直径方向にガス流をシリコン融液の表面付近に供給して、結晶の片側のみが冷却されるようにする。結晶の一部分の加熱或いは冷却をおこなう温度調節手段は、次のような構成を採用することができる。温度調節手段が結晶の回転に追従して回転する構成。結晶の回転に追従してON−OFFの切り替えが可能な構成。レーザを照射する位置あるいは冷却ガスを噴出する位置を回転させて調節可能である構成。このような温度調節手段は、固定した位置に設置してもよい。
温度調節手段は、結晶の一部分にシリコン融液からの熱遮蔽をおこなわないようにして、結晶中に軸対称でない温度分布を形成してもよい。例えば、シリコン単結晶を引き上げる炉内に設けられ、シリコン融液から結晶へ放射される熱を低減する熱遮蔽体の下端部付近に、結晶と同期して回転する切欠を設けてもよい。具体的には、熱遮蔽体の下端部に開閉可能な切欠を設け、熱遮蔽体を結晶の回転と同期して回転させる回転手段を設けた引き上げ装置を用いてもよい。
シリコン融液の状態をシリコン単結晶の中心軸に軸対称な結晶成長に適した状態から変化させるには、シリコン融液を貯留する石英ガラスルツボに対する加熱を軸対称からずれた状態とすることが考えられる。例えば、回転しているルツボに追従して加熱する位置を回転させてもよい。
また、石英ガラスルツボの一部分、例えば内壁の周方向に四分の一程度の範囲の状態をそれ以外の部分と異ならせ、シリコン融液の湯面(液面)の振動の原因と考えられる突沸の発生率を高くしてもよい。具体的には、ルツボ上端から10cmの範囲内であり、周方向の1/4程度の範囲内の内壁において、表面から0.5mm〜1mmの深さ(厚さ位置)における気泡含有率をそれ以外の範囲の部分の内壁の表面の気泡含有率より30%程度(25〜35%)多くしてもよい。
上記以外にも、引き上げ速度、印加する磁場の強度、ルツボの回転速度、結晶の回転速度、結晶及びシリコン融液の加熱状態、等のパラメータを変化させることによって固液界面の形状(状態)を軸対称からずらす方法であれば、どのような方法であっても採用することができる。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面状態の揺らぎを増大して除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。この固液界面の揺らぎは、上述したように、様々な手段により転位の成長方向を結晶の成長方向からずらすように作用する。そして、転位を結晶外に抜けるようにして消滅させるか、又は互いに対消滅させ、軸状転位の形成を防止できる。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液に対するシリコン単結晶の回転を低減して前記固液界面状態の揺らぎを増大させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液に印加する磁場強度を低減して前記固液界面状態の揺らぎを増大させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液を貯留する石英ガラスルツボに起因して発生する湯面振動により前記固液界面状態の揺らぎを増大させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン単結晶を成長軸に対して非対称に加熱して前記固液界面状態の揺らぎを増大させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン融液とシリコン単結晶との固液界面を成長軸に対して非対称になるように温度分布を形成して除去困難転位の伸展方向を結晶成長方向から移動させてもよい。
前記除去困難転位除去工程において、シリコン単結晶を成長軸に対して非対称に加熱して前記固液界面を成長軸に対して非対称にしてもよい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前記除去困難転位除去工程において、前記ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成するとともに、以下の工程を有する。
前記除去困難転位除去工程後に必要な直胴部径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、無転位化実施引き上げ条件を決定する引き上げ条件設定工程。
これにより、従来その挙動が解明されていなかった転位の振る舞いを明らかにすることができる。また、この転位を転位除去部(無転位化部)の成長に伴って外方へ抜けるように消滅させることができる。あるいは、転位をループとして消滅させ、無転位化した上で、シリコン単結晶の直径を拡大する引き上げ条件を容易に求めることができる。
この際、無転位化判断工程において、取得された情報から転位状態を判断する。そのため、転位除去部(無転位化部)内での転位の振る舞いを正確に把握することができる。これにより、従来はわからなかったループの発生による転位除去を有効に利用することができる。そのため、従来はネック部と呼んでいた無転位化部の直径を必要以上に小さくする必要がなくなる。これにより、シリコン融液から引き上げる結晶の重量が増加しても、無転位化部によって荷重を支持できるようになる。したがって、従来よりも直径の大きなシリコン単結晶をシリコン融液から引き上げることができる。また、従来、ディップ工程等に関する余計な手順をおこなうことで製造時間の長時間化および作業工程の増大を招いていた。しかし、上記の方法によれば、製造時間の長時間化および作業工程の増大を招くことなく、軸状転位を有さない無転位状態の直径450mm程度の大きな重量のシリコン単結晶を引き上げることが可能となる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、前記除去困難転位除去工程において、前記ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成するとともに、以下の工程を有する。前記除去困難転位除去工程後に必要な直胴部径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。そして、前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、前記拡径工程を開始する。
これにより、従来不可能であった非破壊検査によって引き上げ時に発生した転位の挙動をリアルタイムに観測することが可能となる。そのため、転位除去部(無転位化部)において転位が除去(無転位化)されたことを確認した後に、ショルダー部(拡径部)および直胴部の引き上げをおこなうことが可能となる。そのため、転位が除去され、軸状転位を有さない無転位結晶を安全かつ容易に引き上げることができる。
上記のシリコン単結晶製造方法において、前記高エネルギー放射光が、40keV〜70keVのエネルギーとされてもよい。
このようなエネルギーを有する高エネルギー放射光によって、無転位の結晶の育成に必要な転位の状態の情報を十分に取得することができる。
また、前記高エネルギー放射光が、回転数0.1〜30rpmで回転状態として転位除去部に照射されてもよい。
これにより、転位の3次元情報を取得することができる。また非破壊で情報を取得可能とすることができる。
ここで、高エネルギー放射光が回転状態で照射されるとは、次のことを含む。転位除去部(無転位化部)が結晶成長方向の中心軸を回転中心軸として回転し、この無転位化部に高エネルギー放射光を照射すること。あるいは、高エネルギー放射光の照射源と無転位化部とが上記の回転に匹敵する相対運動状態で、転位の情報を取得するための高エネルギー放射光照射がおこなわれること。
CZ法によるシリコン単結晶の引上げの初期段階では、ディップ工程、ネック工程およびショルダー部の形成工程が実施される。ディップ工程では、種結晶を回転させながら降下させて、その先端部をシリコン溶融液の表面に浸漬させる。種結晶の先端部をシリコン融液に浸漬した後、種結晶の下降を停止する。そして、シリコン溶融液と種結晶とを十分になじませる。
通常、種結晶をシリコン融液に接触させる際に、これらの界面にはシリコン融液の表面張力によりメニスカスが形成される。ところが、結晶の原料を融解した直後の溶融液の温度は局部的な温度変動が大きい。また、融液全体として、温度のバラツキが著しく大きく、不安定な状態となる。
このため、ディップ工程は、結晶の原料を融解して所定の時間経過した後に実施される。このとき、種結晶をシリコン融液に接触させた際の液面の温度が高すぎる場合には、種結晶の先端部が溶けて、溶融液から切り離されてしまう。逆に、シリコン融液の液面の温度が低すぎる場合には、種結晶の先端部の周囲に結晶が成長する。すると、融液の表面において結晶が種結晶の周囲に張り出した状態になる。このような状態でディップ工程からネック工程に移行すると、ネック部に新たな転位を生ずる。
このため、ディップ工程からネック工程に移行する際には、溶融液温度が安定化していることが必要である。そのため、種結晶の先端部をシリコン融液に浸漬させて、種結晶とシリコン融液とを十分になじませ、シリコン融液の温度が安定化したのを確認した後、ディップ工程からネック工程に移行する。
すなわち、種結晶とシリコン融液とをなじませることは、以下のことを含む。種結晶をシリコン融液に接触させた際のこれらの界面の形状を観察することでシリコン融液の表面(液面)の温度を推定すること。推定した液面の温度に基づいてヒータの電力を制御してシリコン融液への入熱量を調整すること。
言い換えると、種結晶とシリコン融液とをなじませることは、以下の操作を含む。種結晶の成長速度が0(ゼロ)の状態において、種結晶の先端部の周囲に所定形状のメニスカスが形成されるように、ヒーターパワーを調整して融液表面温度を調整し安定化させる操作。なお、メニスカスは種結晶とシリコン融液とをなじませる時だけに形成されるものではない。メニスカスは種結晶とシリコン融液とをなじませる工程に続くネック工程などの結晶の成長時にも結晶と融液との界面に形成される。
CZ法またはMCZ法にかかわらず、ディップ工程で種結晶を融液になじませ、ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、形成されたネック部を再び溶融液になじませて、引き続きネック部を形成する。これにより、ネック部から転位を除去する無転位化に必要なネック部の長さを短くでき、無転位化率を向上できる。
(1)CZ法を用いる場合、まず、ルツボ内の結晶の原料を融解させ、種結晶をルツボ内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませる。その後、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程を実施する。次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する。このようなシリコン単結晶の製造方法において、前記ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することがある。
(2)MCZ法を用いる場合、まず、ルツボ内の結晶の原料を融解させ、種結晶をルツボ内に保持される溶融液に浸漬させて種結晶をなじませる。その後、種結晶を引き上げてネック部を形成するネック工程を実施する。次いで、単結晶のショルダー部およびボディー部を形成する。このような単結晶製造方法において、前記ネック工程で所定長さのネック部を形成した後、当該ネック部を溶融液になじませて、引き続きネック部を形成することがある。
MCZ法を適用する場合には、溶融液に印加する横磁場を2000G〜4000Gの範囲で行ってもよい。
(3)上記(1)または(2)のシリコン単結晶の製造では、ネック工程において最初に形成されるネック部の長さを20mm以上にしてもよい。また、前記ネック工程において、ネック部を形成する際の溶融液の温度よりも高い温度に上昇させた後、当該ネック部を溶融液になじませるようにしてもよい。さらに、ルツボ内の結晶の原料を融解させるヒータの温度を計測(測温)して、当該測温の結果に基づきヒータの温度を制御して溶融液の温度を調整してもよい。
上記の、種結晶を溶融液(シリコン融液)になじませること、及び、ネック部を溶融液になじませること、は、結晶を溶融液に接触させた際の接触界面のメニスカス形状、例えば、晶癖線の張り出しを観察することを含む。すなわち、溶融液の表面の温度を推定し、これに基づいてヒーターパワー(電力)を制御し、溶融液への入熱量を調整して、溶融液表面の温度を安定化させる操作を含む。
このように、種結晶及びネック部を溶融液になじませると、転位を除去し易くなる。しかし、種結晶及びネック部を溶融液になじませない場合でも、本願発明における上記の条件のいずれの製造方法においては、軸状転位のない直胴部を製造することが可能となる。
本発明のシリコン単結晶は、上記のいずれか記載の製造方法により製造される。
本発明のシリコンウェーハは、上記のシリコン単結晶から製造される。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、以下の工程を含む。シリコン融液に種結晶を接触し引き上げを開始するディップ工程。ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成する転位除去工程。必要な径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。直胴部を引き上げる直胴工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、無転位化実施引き上げ条件を決定する引き上げ条件設定工程。これにより、上記の課題を解決した。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、以下の工程を含む。シリコン融液に種結晶を接触し引き上げを開始するディップ工程。ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成する転位除去工程。必要な径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。直胴部を引き上げる直胴工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。
前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、前記拡径工程を開始してもよい。
上記のシリコン単結晶製造方法において、前記高エネルギー放射光が、40keV〜70keVのエネルギーとされ、回転数0.1〜30rpmで回転状態として転位除去部に照射されてもよい。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、以下の工程を含む。シリコン融液に種結晶を接触し引き上げを開始するディップ工程。ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成する転位除去工程。必要な径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。直胴部を引き上げる直胴工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、無転位化実施引き上げ条件を決定する引き上げ条件設定工程。
これにより、従来その挙動が解明されていなかった転位の振る舞いを明らかにすることができる。そして、この転位を転位除去部(無転位化部)の成長に伴って外方へ抜けるように消滅させるか、あるいは、ループとして消滅させることができる。これにより、無転位化部を、軸状転位を有さない無転位化された状態にできる。そして、無転位化部を無転位化した上で、シリコン単結晶の直径を拡大(拡径)する際の引き上げ条件を容易に求めることが可能となる。
無転位化判断工程においては、その前の工程で取得された情報から転位状態を判断する。そのため、転位除去部(無転位化部)の内部の転位の振る舞いを正確に把握することができる。そのため従前ではわからなかったループの発生による転位の除去を有効に利用することができる。そして、シリコン単結晶の直径を小さくすることから、従来はネック部と呼んでいた無転位化部の直径を、従来よりも大きくすることができる。したがって、シリコン融液から引き上げる結晶の重量が大きくなっても、無転位化部によってシリコン単結晶を支持し、大きな直径のシリコン単結晶を引き上げることができる。よって、製造時間の長時間化および作業工程の増大を来すディップ工程等に関する余計な手順を省略することができる。そして、軸状転位を有さない無転位状態で450mm程度の直径の重量の大きなシリコン単結晶を引き上げることが可能となる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、以下の工程を含む。シリコン融液に種結晶を接触し引き上げを開始するディップ工程。ディップ工程で発生した転位を結晶引き上げに従って外部方向へ伸展させるかループ状に対消滅させて除去する転位除去部を形成する転位除去工程。必要な径寸法まで拡径するショルダー部を引き上げる拡径工程。直胴部を引き上げる直胴工程。前記転位除去部に高エネルギー放射光を照射して該転位除去部内における転位の3次元的挙動である転位挙動情報を検出する転位挙動情報取得工程。前記転位挙動情報に基づいて、転位が除去されていることを判断する無転位化判断工程。そして、前記無転位化判断工程における無転位化の判断に基づいて、前記拡径工程を開始する。
これによって、従来不可能であった非破壊検査によって引き上げ時に発生した転位の挙動をリアルタイムに観測することが可能となる。そのため、転位除去部(無転位化部)の転位が除去され、無転位化されたことを確認した後に、シリコン単結晶を引き上げて、ショルダー部(拡径部)および直胴部を形成することができる。そのため、ショルダー部及び直胴部に軸状転位のない無転位の結晶を安全かつ容易に引き上げることができる。
上記のシリコン単結晶製造方法において、前記高エネルギー放射光が、40keV〜70keVのエネルギーであってもよい。
これにより、高エネルギー放射光が、無転位結晶育成に必要な転位状態の情報を取得するために充分なエネルギーを有する。
また、前記高エネルギー放射光が、回転数0.1〜30rpmで回転状態として転位除去部に照射されてもよい。
これにより、転位の3次元情報を取得することができる。また非破壊で転位の3次元情報を取得することができる。
ここで、高エネルギー放射光が回転状態で照射されるとは、次のことを含む。転位除去部(無転位化部)が結晶が成長する方向の中心軸を回転中心軸として回転し、この転位除去部に高エネルギー放射光を照射すること。高エネルギー放射光の照射源と転位除去部とがこれに匹敵する相対運動状態で、転位情報を取得するための高エネルギー放射光照射がおこなわれること。
本発明によれば、従来その挙動が解明されていなかった除去困難転位の振る舞いを明らかにすることができる。また、この転位を転位除去部の成長に伴って外方へ抜けるように消滅させることができる。あるいは、転位をループとして消滅させることができる。
このように、転位を消滅させることにより、無転位化部を無転位化した上でシリコン単結晶を引き上げて直径を拡大し、直胴部を成長させることが可能となる。あるいは、無転位化部が無転位化したことを確認した後に、シリコン単結晶を成長させてショルダー部(拡径部)および直胴部を成長させることが可能となる。これにより、シリコン単結晶の重量を支持するために必要な直径を維持することができる。したがって、大きな重量の軸状転位がない無転位の結晶をシリコン融液から安全かつ容易に引き上げることができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法によれば、種結晶をシリコン融液に接触させる工程で発生する転位を除去して、無転位化を実現することができる。また、転位の発生及び除去の状況を正確に把握することができる。また、ネック部での転位の状態とシリコン単結晶の引き上げの条件との関係を正確に把握することができる。また、無転位化が可能なシリコン単結晶の引き上げ条件を正確に決定することができる。
第1実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法に用いる製造装置の概略を示す断面図である。 第1実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法のフローチャートである。 (a)から(e)は、第1実施形態に係る工程S02及び工程S03の説明図である。 第1実施形態に係る工程S12の説明図である。 (a)及び(b)は、第1実施形態に係る工程S12における高エネルギー放射光の特性を示すグラフである。 第1実施形態に係る工程S12の説明図である。 第1実施形態に係る工程S12において取得した無転位化部の画像データである。 第1実施形態に係る工程S12において取得した無転位化部の画像データであり、(a)は転位が除去されていない状態を示し、(b)は転位がループ状に対消滅している状態を示し、(c)は、転位が除去されている状態を示す。 第2実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法に用いる製造装置の概略を示す断面図である。 第2実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法のフローチャートである。 ウェーハの観測結果を示す画像データであり、(a)は軸状転位を有するウェーハの観測例であり、(b)は軸状転位を有さないウェーハの観測例である。 従来のダッシュネッキング法により製造したシリコン単結晶の概略図である。 従来のダッシュネッキング法により製造したシリコン単結晶の拡大図である。 第3実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法に用いる製造装置の概略を示す断面図である。 第3実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法に用いる製造装置の概略を示す断面図である。 (a)から(c)は、第3実施形態に係る工程S03を説明する説明図である。 (a)及び(b)は、第3実施形態に係る工程S03を説明する説明図である。 第3実施形態に係る工程S12において取得した無転位化部の画像データであり、(a)は転位が除去されていない状態を示し、(b)及び(c)は、転位が除去されている状態を示す。
以下、本発明の第1実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるシリコン単結晶の製造装置を示す模式正面図である。
チョクラルスキー法(以下、CZ法という)を用いたシリコン単結晶の製造装置であるCZ炉は、図1に示すように、ルツボ1と、ヒータ2と、引き上げ軸4と、シードチャック5と、熱遮蔽部(熱遮蔽体)7と、磁場発生部(磁場供給装置)9とを備えている。
ルツボ1は、チャンバー内の中心部に配置され、石英ルツボ1aと黒鉛ルツボ1bとを有する二重構造である。石英ルツボ1aは、内側にシリコン融液3を収容する。黒鉛ルツボ1bは、石英ルツボ1aの外側に配置され、石英ルツボ1aを保持している。ルツボ1は、支持軸(pedestal)1cにより回転および昇降駆動される。
ヒータ2は、ルツボ1の外側に配置されている。ヒータ2としては、例えば抵抗加熱ヒータを用いることができる。ヒータ2は、ルツボ1に収容されたシリコン融液3の温度を融点以上の温度に加熱し、その温度を維持することができれば、抵抗加熱ヒータに限定されない。
引き上げ軸4は、鉛直方向に平行な軸回りに任意の回転速度で回転する。また、引き上げ軸4は、鉛直方向に平行な軸方向に任意の速度で移動する。
シードチャック5は、引き上げ軸4の下端部に設けられ、シリコンの種結晶Tを保持する。
図1に示すCZ炉においてシリコン単結晶6を育成する際には、引き上げ軸4を下降させ、シードチャック5に取り付けた種結晶Tをシリコン融液3に浸漬する。その後、ルツボ1および引き上げ軸4を回転させつつ、引き上げ軸4を上昇させて種結晶T及びシリコン単結晶6を引き上げる。
熱遮蔽部7は、ルツボ1の上方に、育成中のシリコン単結晶6の側面を包囲し、シリコン融液3の液面の一部の上方を包囲するように設けられている。熱遮蔽部7は、円筒形状の黒鉛の外殻を有し、外殻の内部には黒鉛フェルトが充填されている。熱遮蔽部7は、ヒータ2及びシリコン融液3面とシリコン単結晶6の側面部との間に設けられ、輻射熱を遮断する。熱遮蔽部7の内側の面は、上端部から下端部に向かうにしたがって熱遮蔽部7の内径が漸減するように傾斜している。熱遮蔽部7の上部の外側の面は内側の面と同様に傾斜している。熱遮蔽部7の下部の外側の面は、ほぼ鉛直方向に平行である。これにより、熱遮蔽部7の下部の厚みは、シリコン融液3に近い下方側ほど厚くなっている。
熱遮蔽部7の下部の半径方向の幅(厚み)Wは例えば約50mmである。逆円錐台面である熱遮蔽部7の内側の面の鉛直方向に対する傾きθは、例えば約21°である。シリコン融液3の液面から熱遮蔽部7の下端までの高さH1は例えば約10mmから250mm程度までの範囲内である。高さH1は、例えば50mm又は100mmとしてもよい。また、後述する各工程においてその高さH1をそれぞれ設定してもよい。
磁場発生部9は、ヒータ2の外側に配置されている。磁場発生部9が発生させる磁場は、水平磁場又はカスプ磁場であってもよい。水平磁場の強度としては、2000Gから5000Gまで(0.2Tから0.5Tまで)の範囲内であればよい。水平磁場の強度は、3000Gから4000Gまで(0.3Tから0.4Tまで)の範囲内であってもよい。水平磁場の強度のより好ましい範囲は3000Gから3500G(0.30Tから0.35T)である。磁場中心の高さは、シリコン融液3の液面下150mmから液面上100mmまでであればよい。磁場中心のより好ましい高さは液面下75mmから液面上50mmまでの範囲内である。場合によっては、磁場発生部9によって磁場を発生させなくてもよい。
次に、図1に示すCZ炉を用いたシリコン単結晶の製造方法を説明する。
シリコン単結晶6を製造する際には、引き上げ条件を変化させることで、発生する転位の状態及び転位の挙動が変化する。そこで、本実施形態のシリコン単結晶の製造方法においては、転位を除去することができるシリコン単結晶6の引き上げ条件を設定する。
本実施形態の製造方法は、図2に示すように、引き上げ条件設定工程S00と、引き上げ準備工程S01と、ディップ工程S02と、転位除去工程S03と、拡径工程S04、と直胴工程S05と、テール工程S06と、測定準備工程S11と、転位挙動情報取得工程S12と、無転位化判断工程S13と、を有する。
まず、工程S00において、シリコン単結晶6を無転位化することができる引き上げ条件を設定する。ここで、引き上げ条件は、以下を含む。シリコン融液3との接触前における種結晶(シード)Tの保持時間。シリコンの種結晶Tのシリコン融液3との接触時間、及び接触時間に基づく種結晶Tの温度。熱遮蔽部7とシリコン融液3との距離(高さH1)。熱遮蔽部7の下端部の径方向の幅W。炉内の雰囲気の条件。シリコン単結晶の引き上げ時の引き上げ軸4の回転数及び引き上げ速度。ルツボ1の回転数。後述する無転位化部(ネック部、転位除去部)Nの引き上げ方向の長さ。磁場の印加状態。成長したシリコン単結晶の加熱状態すなわち温度分布。これらの引き上げ条件は、シリコン単結晶6の製造を開始する前の初期状態において、任意の値に設定することができる。
なお、工程S00におけるシリコン単結晶6の引き上げ条件は、予め、シリコン単結晶6の引き上げを異なる条件で複数回行って採取したデータを用いてもよい。この場合、製造するシリコン単結晶6の仕様に基づき、引き上げ条件を選択する。
次に、工程S01において、ルツボ1に高純度のシリコン多結晶を投入する。投入するシリコン多結晶の重量は、100kgから400kg程度までの範囲内である。このとき、製品がp型又はn型の何れであるかに基づき、製品を所定の抵抗率に設定するドーパントを、シリコン融液3において所定の濃度になるように投入する。また、製品の抵抗率又はゲッタリング能などを設定又は調整する炭素及び窒素などの濃度を調整する。なお、ドーパントは、場合によっては投入しなくてもよい。
本実施形態においては、ルツボ1に300kgのシリコン多結晶を投入する。ドーパントの濃度は、例えば、製造するシリコン単結晶6の直胴部6bの抵抗値が12Ωcmとなるように調整する。
ここで、CZ炉の内部の雰囲気を不活性ガスとし、不活性ガスの圧力を1.3kPaから13.3kPaまで(10torrから100torrまで)の範囲内に調整する。本実施形態においては、CZ炉の内部の雰囲気は、例えば、圧力50Torr(6.666kPa)のArガスとする。なお、CZ炉の内部の雰囲気は、水素ガスを含有してもよい。
また、磁場発生部9により例えば3000G(0.3T)の水平磁場を発生させ、ヒータ2によりシリコン多結晶を加熱して溶融させる。このとき、磁場の中心の高さを、シリコン融液3の液面下75mmから液面上50mmまでの範囲内とする。磁場を用いるCZ法(MCZ法)を適用する場合には、シリコン融液3に印加する横磁場を2000Gから4000Gまでの範囲内としてもよい。
次に、工程S02において、図3の(a)に示すように、シードチャック5に取り付けた種結晶Tを、シリコン融液3に近接させ、所定の時間保持して加熱する。その後、種結晶Tを回転させながら降下させ、図3の(b)に示すように、シリコン融液3に接触させる。そして、種結晶Tの下端部をシリコン融液3に浸漬する(ディップ工程)。このとき、熱ショックにより種結晶Tの下端部に転位tが発生する(矢印A1参照)。この際、種結晶Tとシリコン融液3との温度状態が所定の範囲となるようにそれぞれの温度を設定する。具体的には、種結晶Tの先端部の周囲に所定形状のメニスカスが形成されるように、ヒータ2の加熱状態を調整して、シリコン融液3の表面温度を調整する。
次に、工程S03において、図3の(c)に示すように、ルツボ1および引き上げ軸4を回転させながらシリコン単結晶6を引き上げる。このとき、シリコン単結晶6とシリコン融液3の界面の形状を凹状に形成する(矢印A2参照)。シリコン単結晶6の引き上げの条件は、工程S00において設定した条件を用いる。この際、引き上げ条件によっては、工程S02で発生した転位が、シリコン単結晶6の径方向の外部へ向けて伸展して消滅するか、又は、ループ状に対消滅する。これにより、図3の(d)及び図3の(e)に示すように、転位tが除去され、無転位化されたネック部、すなわち無転位化部Nが形成される(矢印A3参照)。
転位tが除去された無転位化部Nが形成される際には、図3の(c)に示すように、種結晶Tの下端部に成長するシリコン単結晶とシリコン融液3との界面(メニスカス)の形状が、所定の形状になる。種結晶T又はシリコン単結晶6の下端部に形成されるメニスカスの形状は、ヒータ2の加熱条件、引き上げ軸4の上昇速度などの引き上げ条件により変化する。例えば、種結晶Tとシリコン融液3の温度をそれぞれ所定の範囲内の温度に調整することで、種結晶T又はシリコン単結晶6の下端部に形成されるメニスカスの形状を調整することができる。
転位tを有さない無転位化部Nが形成される際には、図3の(d)に示すように、工程S02において発生した転位tの下方の転位tは、シリコン単結晶6の径方向外側へ延びるように形成される。また、シリコン単結晶6の外周部には晶癖線が形成される(矢印A4参照)。晶癖線の径方向内側の部分は、転位を有さない無転位化された状態になる。さらに、シリコン単結晶6が成長すると、図3の(e)に示すように、下方側の晶癖線は連続化し(矢印A5参照)、無転位化された部分が連続的に形成される(矢印A6参照)。また、無転位化された部分の下方側には、無転位初期コーンが形成される(矢印A7参照)。このように、転位tは、シリコン単結晶6の径方向の外部へ向けて伸展して消滅するか、又は、ループ状に対消滅する。これにより、無転位化部Nが形成される。
次に、工程S04において、シリコン単結晶6の引き上げ速度、引き上げ軸4の回転数、ルツボ1の回転数、及びヒータ2の加熱条件を制御して、シリコン単結晶6の直径を線形的に増加させる。これにより、図3の(e)に示すシリコン単結晶6の無転位化された無転位化部Nの下方側の直径が拡大される。そして、図1に示すように、シリコン単結晶6の無転位化部Nの下方側に円錐状のショルダー部6aが形成される。
次に、工程S05において、シリコン単結晶6の直径を、製品となるシリコンウェーハの直径である例えば300mm又は450mmに維持した状態で、引き上げ軸4を所定の長さ引き上げる。これにより、図1に示すように、シリコン単結晶6に、直径が一定の円柱状の直胴部6bが形成される(直胴工程)。
次に、工程S06において、シリコン単結晶6の引き上げ速度、引き上げ軸4の回転数、ルツボ1の回転数、及びヒータ2の加熱条件を制御して、シリコン単結晶6の直径を線形的に減少させる。これにより、シリコン単結晶6にショルダー部6aとは逆向きの円錐状のテール部(図示略)が形成される。その後、テール部とシリコン融液3とを切り離すことで、シリコン単結晶6がシリコン融液3から切り離される。
次に、工程S11において、無転位化部Nの転位の状態を測定するための準備をする。具体的には、まず、無転位化部Nをシリコン単結晶6から切り離す。切り離した無転位化部Nは、図4に示すように、引き上げ軸4と同軸であったシリコン単結晶の中心軸N4を回転軸として回転することができるように、支持部R1によって支持する。ここで、支持部R1は、回転軸である中心軸N4の方向を変化させることができるように設けられている。
次に、工程S12において、図4に示すように、無転位化部Nに照射部Rから高エネルギー放射光Bとして白色X線を照射し、無転位化部Nに照射した白色X線の回折X線を、CCDを含む検出部dによって検出する(転位挙動情報取得工程)。照射部Rは、アブソーバー、シャッター及び回折計を含み、時間分解能の制御及び熱負荷への対策に用いられるシャッター・アブソーバーを有する。検出部dは、回折計としての機能を有している。検出部dは、白色X線トポグラフィの検出に十分な性能を有する。
従来、X線トポグラフィによる検出対象の転位の解析は以下の手順により行っていた。まず、解析対象の断面を厚さ約1.5mmにスライス加工する。その後、スライス加工した解析対象の表面を混酸でエッチングし、X線を照射して透過図を観察する。従って、所定の間隔の断面における透過図しか得られず、例えば1.5mm間隔の画像をつなぎ合わせて結晶成長に伴う転位の状態の変化を把握していた。そのため、シリコン単結晶の引き上げ軸に対して斜めに伝播する転位しか観察できなかった。
一方、非特許文献1に記載された高エネルギー放射光として白色X線を利用した場合、無転位化部Nを観察すると、ループ状に消滅する転位を測定できる。これにより、通常の{111}面以外にも転位が存在することを確認できる。このような高エネルギーの白色X線を使用することで、スライス加工等、破壊検査を行うことなく、単結晶シリコン内部の転位などの振る舞いを三次元的にイメージとして観測することができる。これにより、転位の位置情報とその性質を三次元的に観測することができる。このような観測装置として、高輝度光科学研究センターの大型放射光施設(Spring−8)のBL28Bを用いることができる。
白色X線は、連続的なスペクトルを有し、エネルギーが30keVから1MeVまでの範囲内であればよい。白色X線のエネルギーは、40keVから100keVまでの範囲内、又は50keVから60keVまでの範囲内であってもよい。白色X線の波長は、0.001nmから0.25nmまでの範囲内であってもよい。これにより、無転位化部Nにおける転位の状態を十分に観測することができる。
図5の(a)は、縦軸を光子数、横軸をエネルギーとして、照射部RのX線の光源から距離44mの位置で、1mm×1mmのスリットを通して得られる光子数の分布を示すグラフである。
図5の(b)は、縦軸を光子数、横軸を波長として、照射部RのX線の光源から距離44mの位置で、1mm×1mmのスリットを通して得られる光子数の分布を示すグラフである。
ここで、X線のビーム径は、被測定物である無転位化部Nの直径の0.01倍から1倍までの範囲内とすることが好ましい。
本実施形態においては、高エネルギー放射光Bであるエネルギーが40keV〜70keVの白色X線を、0.1rpm〜30rpmの回転数で回転させながら無転位化部Nに照射する。具体的には、無転位化部Nを、結晶成長方向の中心軸N4を回転軸として回転させながら、照射部Rから無転位化部Nに高エネルギー放射光を照射する。又は、照射部Rを中心軸N4を中心として回転させながら、照射部Rから無転位化部Nに高エネルギー放射光を照射する。照射部Rと無転位化部Nとの双方を軸N4を回転軸として回転させてもよい。そして、検出結果を例えばフーリエ変換することにより、無転位化部Nの転位の3次元情報を非破壊で取得できる。
また、工程S12においては、図4に示すように、シリコン単結晶6の無転位化部Nの軸N4に対して、高エネルギー放射光Bの照射角度ωを設定する。そして、一つの回折スポット(例えば004回折スポット)に注目し、無転位化部Nを回転させることでトポグラフ像によるCT画像を構成する。これにより転位線の3次元的な位置情報が得られる。このように得られた、無転位化部Nにおける転位の3次元的な挙動を、第1の情報として記録する。
また、図6に示す白色X線トポグラフィにより、バーガースベクトルなどの転位の性質を測定する。図6において、検出位置d1からd7は、白色X線の回折方向に対応している。各検出位置は、例えば、結晶方位[−1 1 1]、[−1 1 3]、[0 0 4]、[1 −1 3]、[1 −1 1]におけるラウエトポグラフを取得する位置に対応している。ここで、上記の結晶方位における−1は、上線が付された1を意味する。
次に、工程S13においては、工程S12において取得された転位の3次元的な挙動を含む第1の情報に基づいて、転位が除去されているか否かを判断する。具体的には、図7に示す無転位化部Nの画像データから、転位が除去されているか否かを判断する。すなわち、図8の(a)に示すように、転位が中心軸N4に沿って線状に延びている場合には、転位が除去されていないと判断する。図8の(b)に示すように、転位は存在するが、これらがループ状に対消滅している場合には、転位が除去されたと判断する。図8の(c)に示すように、転位が確認できない場合には、転位が除去できていると判断する。
次に、工程S13における無転位化の判断を、工程S00にフィードバックする。
すなわち、最初に工程S00において設定した引き上げ条件によって、無転位化部Nの転位が除去された場合には、その引き上げ条件をデータベースに記録し、工程S00においてその引き上げ条件を用いる。最初に工程S00において設定した引き上げ条件によって、無転位化部Nの転位が除去されなかった場合には、その引き上げ条件を工程S00において用いないようにデータベースに記録し、S00において無転位化部Nの無転位化が可能と思われる新たな引き上げ条件を設定する。
以上説明したように、本実施形態のシリコン単結晶の製造方法によれば、無転位化部Nを形成することで、種結晶Tをシリコン融液3に接触させる工程で発生する転位を、シリコン単結晶6のショルダー部6a及び直胴部6bにおいて除去することができる。これにより、シリコン単結晶6のショルダー部6a及び直胴部6bの無転位化を実現することができる。
また、工程S12及び工程S13により、転位の発生及び除去の状況を正確に把握することができる。
また、工程S00から工程S06及び工程S11から工程S13を繰り返すことで、無転位化が可能なシリコン単結晶の引き上げ条件を正確に決定することができる。
また、シリコン単結晶6のネック部すなわち無転位化部Nの直径を必要以上に小さくしなくても、無転位化部Nにおける転位を除去することができる。したがって、特別な処理や装置を必要とすることなく、簡便な方法で、転位が除去された直径450mm程度の重量の大きなシリコン単結晶6を安全に育成することができる。
以下、本発明の第2実施形態に係るシリコン単結晶の製造方法を、図面に基づいて説明する。
本実施形態において、前述した第1実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態のCZ炉は、図9に示すように、ルツボ1と、ヒータ2と、引き上げ軸4と、シードチャック5と、熱遮蔽部7と、磁場発生部9と、照射部Rと、検出部dを有している。
照射部Rは、チャンバー内に位置する引き上げ中の無転位化部Nに対して高エネルギー放射光Bを照射する。検出部dは、無転位化部Nに照射された高エネルギー放射光Bの回折光を検出する。照射部R及び検出部dは、軸N4とほぼ一致する引き上げ軸4に対する高エネルギー放射光Bの角度ωを調整できるように設けられている。
本実施形態のシリコン単結晶の製造方法は、図10に示すように、上記の第1実施形態と同様に工程S00から工程S06を有している。しかし、工程S00から工程S06の後に工程S11から工程S13を有さず、工程S03と工程S04との間に転位挙動情報取得工程S22及び無転位化判断工程S23を有する点で上記の第1実施形態と異なっている。
工程S22においては、上記の工程S12と同様に、照射部Rから高エネルギー放射光Bを無転位化部Nに照射し、回折光を検出部dで測定する。本実施形態において、無転位化部Nに対する高エネルギー放射光Bの照射及び回折光の検出は、CZ炉の内部で、シリコン単結晶を引き上げながらおこなう。
工程S23においては、上記の工程S13と同様に、無転位化部Nの転位が除去されたか否かを判断する。そして、無転位化部Nの転位が除去されている場合に、工程S04を開始する。また、無転位化部Nの転位が除去されていない場合に、工程S03に戻り、無転位化部Nをさらに成長させるか、又は、メルトバックにより無転位化部Nを再成長させる。また、工程S00に引き上げ条件をフィードバックし、フィードバックした引き上げ条件とは異なる引き上げ条件を設定する。
本実施形態によれば、図3の(a)から図3の(e)に示す状態が、リアルタイムで測定される。このため、無転位化部Nにおいて転位tが除去されたことを確認した後に工程S04を開始することができる。したがって、ショルダー部6a及び直胴部6bにおいて転位tが除去されていない状態のシリコン単結晶6を引き上げることがなくなる。したがって、シリコン単結晶6の製造に要する時間を短縮することができる。また、シリコン単結晶6の引き上げにおける歩留まりを著しく向上することができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、シリコン単結晶の全長に亘ってシリコン単結晶の引き上げ方向に延びる軸状転位(除去困難転位)を除去することができるシリコン単結晶の製造方法について説明する。
軸状転位とは、ネック部で発生する転位のうち、従来のダッシュネッキング法などでシリコン単結晶の直径を減少させても除去できない転位である。従来、軸状転位は、シリコン単結晶の直胴部を薄切りにしてウェーハを製造したときに、ピットとして検出されていた。
軸状転位は、以下のような方法により、ピットと区別して検出できる。
まず、シリコン単結晶のウェーハの表面において、光学的な検査手段により内部応力の分布状態を観察することができる例えばJENA WAVE社製の歪み検査装置(SIRD:登録商標)SirTecを使用し、歪みを測定する。
具体的には、ウェーハに10℃/secから300℃/secまでの範囲内の昇温速度で、かつ900℃から1250℃までの範囲内の温度で1sec以上加熱する顕在化処理を施す。そして、顕在化した歪みを含むウェーハの表面性状を評価する。この顕在化処理では、急速加熱によりウェーハの面内に大きな温度差が生じ、これに起因した熱応力が発生する。したがって、長時間の加熱は必要なく、1sec程度の短時間の加熱でよい。
軸状転位は、ウェーハの表面及び裏面を貫いて存在している。そのため、軸状転位は、上記の顕在化処理によって発生した熱応力によって歪みが大きくなる。これに対し、表面汚染検査において、ピットとして検出されるが、ウェーハの表面及び裏面を貫通するほどの長さがない転位は、顕在化処理によって発生した熱応力によって歪みが大きくならない。具体的には、ウェーハの厚さ方向の長さが、ウェーハの厚さの1割程度未満の転位は、顕在化処理によって発生した熱応力によって歪みが大きくならない。
このため、軸状転位は上記の顕在化処理によって顕在化されるが、他のピットなどはこの顕在化処理によっては顕在化されない。図11の(a)に、顕在化した軸状転位を有するウェーハの観測例を示す。図11の(b)に、軸状転位を有さないウェーハの観測例を示す。なお、ウェーハの縁に観測される歪みは、顕在化処理の際にウェーハを支持することによって発生したものと考えられる。
軸状転位は、種結晶をシリコン融液に接触させた段階で発生する。そして、シリコン単結晶が成長する方向、すなわち、ネック部、ショルダー部、直胴部に連続して存在する。軸状転位は、シリコン単結晶をウェーハに加工した際に、特定の領域に現れる。軸状転位は、従来のダッシュネッキング法によっては除去することができない。
図12に示すように、従来のダッシュネッキング法により製造したシリコン単結晶60は、種結晶T0、ネック部N0、ショルダー部60a、直胴部60b、テール部60cを有する。
種結晶T0の近傍を拡大すると、図13に示すように、種結晶T0をシリコン融液に接触させた際の熱ショックにより、種結晶T0において発生してネック部N0まで連続する熱ショック転位Jnが発生する。種結晶T0とネック部N0に格子定数の不整合がある場合には、ネック部N0にミスフィット転位Jmが発生する。
熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmのうち、シリコン単結晶の成長方向に成長したものが、軸状転位Jになる可能性がある。従来、軸状転位Jは、以下のように観測されていた。まず、図12に示すように、シリコン単結晶60の直胴部60bを薄く切断し、{110}断面の複数のウェーハWを得る。軸状転位Jは、各ウェーハWのノッチを時計の12時の方向に合せたときに、10時方向及び4時方向に観測される。より詳細には、軸状転位Jは、{100}方向に設けられたノッチの位置を0°として、120°から135°までの範囲及び315°から350°までの範囲のシリコン単結晶の中心軸に対して対称な領域J1に観測される。また、軸状転位Jは、このシリコン単結晶の中心軸に対して対称な領域を、中心軸を中心として90°および45°回転した領域に観測される。すなわち、軸状転位Jは、領域J1において、シリコン単結晶の成長方向(中心軸方向)に延びている。なお、図12では、ノッチの位置を0°として、120°から135°までの範囲及び315°から350°までの範囲の領域J1のみを図示している。
なお、通常の長さ以上に成長させたシリコン単結晶においては、軸状転位Jは消滅する可能性がある。しかし、通常の長さの1本分のシリコン単結晶のウェーハを観測すると、シリコン単結晶の全長にわたって軸状転位Jが存在し、軸状転位Jがシリコン単結晶を中心軸方向に貫通していることが多かった。
ネック部、ショルダー部および直胴部を引き上げる際のシリコン単結晶の成長の過程において、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmが伝播する方向には、以下のような特性がある。
第1に、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、通常、シリコンのすべり面である{111}面を移動する。
第2に、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、通常、{111}面に導入される。
第3に、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、まれに{111}面に導入されずに他の面を移動する場合があるが、すぐに{111}面に移動する。
第4に、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmのほとんどは、種結晶をシリコン融液に接触させた時に発生する。
<100>ウェーハを製造するシリコン単結晶を引き上げた場合、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、ネック部を形成する工程において、シリコン単結晶のすべり面である{111}面を移動し、シリコン単結晶の表面に到達すると考えられる。しかし、上記のX線トポグラフィによる観測結果によれば、ネック部の直径に関わらず、初期の熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、すべり面の{111}面でなく、シリコン単結晶とシリコン融液との界面に垂直な方向に伸びる。その後、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、すべり面に移動することなく、シリコン単結晶の成長方向に伸びる場合がある。
この場合、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、シリコン単結晶の直径が製品の直径まで増加しても、シリコン単結晶の表面まで到達せず、直胴部の内部に存在する軸状転位になることがある。このように、直胴部の内部に軸状転位を有するシリコン単結晶は、直胴部に軸状転位を有さないシリコン単結晶と同様に晶癖線を有し、インゴットの状態では良品と区別することができない場合がある。そして、軸状転位は、インゴットからウェーハを製造した時に、欠陥として確認される。
一方で、シリコン単結晶の成長方向に伸びた熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、ショルダー部の形成中又は直胴部の形成中に{111}面へ移動する場合がある。
仮に、熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmを、ネック部を形成する工程において{111}面へ移動させることが可能であれば、ネック部の直径を絞ったり、種結晶を高温にしたりしなくても、軸状転位を除去することができる。したがって、ネック部において熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmを{111}面へ移動させることができれば、ショルダー部及び直胴部を形成しても、製品に軸状転位による影響がなくなる。また、シリコン単結晶の成長の初期段階で溶解し直す回数とその時間を抑制することができる。すなわち、ネック部において熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmを{111}面へ移動させることができれば、ショルダー部及び直胴部に軸状転位の存在しない重量の大きなシリコン単結晶を低コストで育成することができる。
上記のように、ネック部を形成する際の熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmは、{111}面でなく、シリコン単結晶とシリコン融液との界面に垂直に進展する。
したがって、本実施形態では、{111}面に存在しない熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmを、ネック部を形成する工程で{111}面に移動させるための方法を説明する。具体的には、ネック部の形成時のシリコン単結晶とシリコン融液との界面の形状を制御する。そして、その条件を確認するためにX線トポグラフィを用いる。
以下、本実施形態のシリコン単結晶の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態のシリコン単結晶の製造方法は、図2に示す第1実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法と同様に、工程S01から工程S06及び工程S11から工程S13を有している。又は、図10に示す第2実施形態におけるシリコン単結晶の製造方法と同様に、工程S01から工程S06、工程S22及び工程S23を有している。本実施形態では、工程S03において上記の軸状転位を除去する点で、上記の第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。
また、本実施形態のCZ炉は、無転位化部Nの温度調節機構を有している点で、上記の第1実施形態又は第2実施形態において説明したCZ炉と異なっている。それ以外の構成は、第1実施形態又は第2実施形態のCZ炉と同様である。
本実施形態のCZ炉は、シリコン単結晶の無転位化部Nの温度調節機構として、図14に示すように、レーザ照射部La及びガス供給部Gを有する。レーザ照射部La及びガス供給部Gは、引き上げ軸4の回転と同期して、引き上げ軸4を中心として回転するように設けられている。すなわち、レーザ照射部La及びガス供給部Gは、引き上げ軸4と共に回転するシリコン単結晶を、所定の方向から加熱及び冷却する。
なお、レーザ照射部La及びガス供給部Gは、引き上げ軸4を中心として回転するように設けられていなくてもよい。この場合、レーザ照射部La及びガス供給部Gを固定して、レーザ照射部La及びガス供給部Gから、所定のタイミングでレーザ光及び冷却ガスを断続的に照射及び供給してもよい。
または、本実施形態のCZ炉は、シリコン単結晶の無転位化部Nの温度調節機構として、図15に示すように、熱遮蔽部7の下端部に開閉可能な切欠7Aが形成される。この場合、熱遮蔽部7の上部に円筒部7aが設けられ、円筒部7aの上端に引き上げ軸4を通す開口を有する蓋部7bが設けられる。蓋部7bの上には、引き上げ軸4の上昇及び下降を制御する制御部41が設けられる。熱遮蔽部7、円筒部7a、蓋部7b、制御部41、及び引き上げ軸4は、引き上げ軸4と一致する軸周りに、引き上げ軸4の回転と同期して一体的に回転する。すなわち、熱遮蔽部7は、引き上げ軸4と共に回転するシリコン単結晶の所定の方向のみ、ヒータ2の熱を遮蔽しない。換言すると、ヒータ2は、切欠7Aを介して、引き上げ軸4と共に回転するシリコン単結晶を、所定の方向から加熱する。
本実施形態では、工程S02において、まず、図3の(a)及び図3の(b)に示すように、種結晶Tをシリコン融液3に接触させる。
その後、工程S03において、引き上げ軸4を上昇させ、種結晶Tの下方にシリコン単結晶を成長させて無転位化部Nを形成する。
工程S02においては、種結晶Tを回転させながら降下させ、種結晶Tの下端部をシリコン融液3に浸漬する。種結晶Tの下端部をシリコン融液3に浸漬した後、種結晶Tの下降を停止して、種結晶Tとシリコン融液3とを十分になじませる。そして、種結晶Tの下端部の一部をシリコン融液3に溶け込ませる。
シリコン融液3が安定した状態であれば、工程S02において種結晶Tをシリコン融液3に接触させると、種結晶Tとシリコン融液3との界面には、シリコン融液3の表面張力が作用し、メニスカスが形成される。
しかし、原料となるシリコン多結晶を融解した直後は、シリコン融液3の温度は局所的な温度の変動が大きく、不安定な状態になる。このため、工程S02は、原料となるシリコン多結晶を融解した後、所定の時間が経過してから実施される。
シリコン融液3の液面における温度が高すぎる場合には、シリコン単結晶の引き上げ時に、種結晶Tの下端部が溶けて、切り離されてしまう。
シリコン融液3の液面における温度が低すぎる場合には、種結晶Tの下端部の側面に結晶が成長して、張り出した状態になる。このような状態で工程S02から工程S03に移行すると、無転位化部Nに新たな転位が発生する。
工程S02から工程S03に移行する際には、シリコン融液3の温度が安定した状態であることが必要である。そのため、種結晶Tの下端部をシリコン融液3に浸漬した後、種結晶Tの下端部をシリコン融液3に十分になじませ、シリコン融液3の温度が安定した後、工程S02から工程S03に移行する。
そのため、種結晶Tの下端部をシリコン融液3になじませる際には、種結晶Tをシリコン融液3に浸漬した後に、種結晶T又はシリコン単結晶とシリコン融液3との界面の形状を観察する。また、界面を観察して晶癖線の張り出しを観察する。そして、種結晶T又はシリコン単結晶とシリコン融液3との界面の形状や晶癖線の張り出しから、シリコン融液3の液面の温度を推定する。そして、推定した温度に基づいてヒータ2に供給する電力を制御し、シリコン融液3への入熱量を調整する。すなわち、種結晶Tの下端部をシリコン融液3になじませる際には、種結晶Tの成長速度がゼロの状態において、種結晶Tの下端部に所定の形状のメニスカスが形成されるように、ヒータ2による加熱条件を調整する。そして、シリコン融液3の液面の温度を調整し、シリコン融液3を安定させる。
このように、工程S02において種結晶Tをシリコン融液3になじませた後、工程S03においてシリコン単結晶を所定の長さ引き上げて無転位化部Nを所定の長さ形成する。種結晶Tをシリコン融液3になじませた後に形成する無転位化部Nの長さは、20mm以上にするのが望ましい。その後、形成された所定の長さの無転位化部Nの下端部を、種結晶Tと同様に、シリコン融液3になじませた後、無転位化部Nを所定の長さ形成する。
また、本実施形態では、工程S03において、上記のようにシリコン融液3の温度を管理した状態で種結晶Tの下端部をシリコン融液3になじませた後、所定の長さの無転位化部Nを形成する。そして形成した所定長さのネック部の下端部を、種結晶Tの下端部と同様に温度管理した状態でシリコン融液3になじませた後、さらに所定の長さの無転位化部Nを形成する。これにより、無転位化に必要な無転位化部Nの長さを短くすることができ、無転位化部Nの転位及び軸状転位を確実に除去することができる。
また、工程S03において、無転位化部Nの温度を、シリコン融液3の液面の温度よりも高い温度に上昇させた後、無転位化部Nをシリコン融液3になじませてもよい。さらに、原料となるシリコン多結晶を融解させる際のヒータ2の温度を測定して、その測定結果に基づいてヒータ2の温度を制御し、シリコン融液の温度を調整してもよい。
シリコン単結晶は、結晶が育成される面であるシリコン融液3との界面Kに対してほぼ垂直に成長する。そのため、図16の(a)に示すように、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面Kが平坦な場合、転位jは、シリコン単結晶のすべり面である{111}面には進展せず、界面Kとほぼ垂直な方向(図の矢印方向)に進展する。したがって、界面Kがほぼ水平な平坦面である場合、転位jは、界面Kからシリコン単結晶のショルダー部及び直胴部まで、シリコン単結晶の成長方向に延びる軸状転位になることがある。
シリコン単結晶とシリコン融液3との界面の形状は、シリコン単結晶の引き上げ速度、すなわち、引き上げ軸4の上昇速度によって変化する。そこで、引き上げ軸4の上昇速度を変化させ、図16の(a)に示す水平面にほぼ平行な平坦な界面Kの形状を曲面状に変化させることを考える。
シリコン単結晶の引き上げ速度が、所定の速度よりも小さいと、図16の(b)に示すように、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K1は、下方に凸の形状に変化する。シリコン単結晶の引き上げ速度が、所定の速度よりも大きいと、図16の(c)に示すように、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K2は、上方に凸の形状に変化する。
すなわち、シリコン単結晶の引き上げ速度を制御することで、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K1,K2の形状を制御することができる。
シリコン単結晶は、界面K1,K2と垂直な方向に成長する。また、転位jは、シリコン単結晶が成長する方向に進展する。すなわち、転位jは、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K1,K2との仮想的な接平面の法線方向に進展する。
そのため、図16の(b)に示すように、界面K1が下方に凸の曲面の場合、転位jのほとんどはシリコン単結晶の無転位化部Nの径方向の外側へ向けて進展する。また、図16の(c)に示すように、界面K2が上方に凸の曲面の場合、転位jのほとんどはシリコン単結晶の無転位化部Nの径方向の内側へ向けて進展する。
このように、界面Kの形状を制御して、曲面状に変形させることで、転位jの進展する方向を、シリコン単結晶の成長方向である中心軸の方向と異なる方向へ移動させることができる。すなわち、界面K1,K2上の任意の点において、仮想的な接平面が水平ではない点では、転位jは、その仮想的な接平面の法線方向に進展する。そのため、界面K1,K2上の任意の点において、仮想的な接平面が水平ではない点では、転位jの進展する方向が、シリコン単結晶の成長方向である中心軸の方向と異なる方向に移動する。これにより、{111}面に存在しない熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmを、{111}面に移動させて除去することができる。
すなわち、界面K1が下方に凸の曲面の場合、転位jはシリコン単結晶の無転位化部Nの径方向の外側へ向けて進展し、シリコン単結晶の外周面に達することで、無転位化部Nにおいて除去される。また、界面K2が上方に凸の曲面の場合、転位jはシリコン単結晶の無転位化部Nの径方向の内側へ向けて進展し、対消滅することで、無転位化部Nにおいて除去される。
したがって、仮想的な接平面が水平ではない界面K1,K2上の任意の点から延びる転位jを除去し、軸状転位Jの発生を防止できる。
転位jをシリコン単結晶の中心軸へ向かって進展させて対消滅させるか、シリコン単結晶の外周面に向けて進展させて除去する際に、シリコン単結晶の引き上げ速度が変動すると、形成されるシリコン単結晶の直径が変動することがある。この際、シリコン単結晶の直径がある程度小さくなっても、最終的に形成されるシリコン単結晶の保持が可能な直径であれば問題はない。また、シリコン単結晶の直径がある程度大きくなっても、原料をムダにしない程度であれば、問題がない。したがって、シリコン単結晶の直胴部の引き上げに悪影響がない範囲であれば、シリコン単結晶の径は、ある程度、変動してもよい。
引き上げ速度の変化によって、転位の進展する方向がシリコン単結晶の引き上げ方向からずれることがある。この現象は転位除去のためには好ましい。
図16の(a)及び図16の(b)に示す界面K1,K2は、シリコン単結晶の成長方向に平行な中心軸に対象な曲面である。すなわち、界面K1,K2は、シリコン単結晶の中心軸を回転軸としたときに、回転対称な曲面である。そのため、界面K1,K2とシリコン単結晶の中心軸との交点における仮想的な接平面は、水平になる場合がある。この場合、シリコン単結晶の中心軸上に発生した転位jは、シリコン単結晶の中心軸上をシリコン単結晶の成長方向に進展する。この転位jは、界面K1,K2からシリコン単結晶のショルダー部及び直胴部まで延びる軸状転位になることがある。
そこで、本実施形態の工程S03においては、図17の(a)及び図17の(b)に示すように、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4を曲面にすると共に、シリコン単結晶の中心軸に非対称な形状に変形させる。具体的には、界面K3,K4に、シリコン単結晶の中心軸と垂直な方向すなわち径方向の温度分布を生じさせる。
シリコン単結晶に径方向の温度分布、すなわち径方向の温度勾配が生じていない場合、図16の(b)及び図16の(c)に示すように、無転位化部Nとシリコン融液3との界面K1,K2は、シリコン単結晶の成長方向に平行な中心軸に対称な曲面になる。
ここで、図14又は図15に示すようなCZ炉を用いて、シリコン単結晶の無転位化部Nを一方向から加熱又は冷却することで、界面K1,K2にシリコン単結晶の中心軸方向に垂直な温度分布を生じさせる。
図14に示すCZ炉を用いる場合には、レーザ照射部Laからレーザ光を照射して、無転位化部Nの界面K1,K2の近傍を一方向から加熱する。
また、ガス供給部Gによってレーザ照射部Laと反対側から冷却ガスを供給する。これにより、無転位化部Nが加熱される方向と逆の方向から、無転位化部Nの界面K1,K2の近傍を冷却する。
図15に示すCZ炉を用いる場合には、熱遮蔽部7の切欠7Aから、ヒータ2及びシリコン融液3の輻射熱を無転位化部Nの界面K1,K2の近傍に到達させ、無転位化部Nを一方向から加熱する。
このようにして、界面K1,K2に、引き上げ軸4の上昇方向に垂直な温度勾配を生じさせる。
すると、図17の(a)及び図17の(b)に示すように、シリコン単結晶の無転位化部Nとシリコン融液3との界面K3,K4は、シリコン単結晶の成長方向に平行な中心軸に非対称な曲面になる。これにより、界面K3,K4の水平な部分Kdが、シリコン単結晶の中心軸上の部分Kcから径方向の外側に離れた位置に移動する。
また、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4の形状は、磁場発生部9によって発生させる磁場の強さ、ルツボ1の回転速度、およびシリコン単結晶の回転速度すなわち引き上げ軸4の回転速度によっても変化する。したがって、これらを制御することで、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4の形状がより精密に制御され、水平な部分Kdの位置がより精密に制御される。
例えば、ルツボ1の回転速度と引き上げ軸4の回転速度を制御して、シリコン融液3と、シリコン単結晶と相対的に静止させた状態にしてもよい。このように、シリコン融液3と、シリコン単結晶とを、相対的に静止させた場合、シリコン融液3の対流に揺らぎが生じる。これにより、シリコン融液3の対流がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなり、シリコン単結晶の成長がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。すなわち、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4における温度分布がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。これにより、界面K3,K4の水平な部分Kdが、シリコン単結晶の中心軸上の部分Kcから径方向の外側に離れた位置に移動する。
また、磁場発生部9によって発生させる磁場の強度を低下させ、磁場の強度を0にしてもよい。シリコン融液3の対流は、磁場によって整流されている。そのため、シリコン単結晶の引き上げ中に磁場を消滅させると、シリコン融液3の対流に揺らぎを生じる。これにより、シリコン融液3の対流がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなり、シリコン単結晶の成長がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。すなわち、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4における温度分布がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。これにより、界面K3,K4の水平な部分Kdが、シリコン単結晶の中心軸上の部分Kcから径方向の外側に離れた位置に移動する。
また、ヒータ2を、引き上げ軸4に非対称に配置した状態で、引き上げ軸4の回転と同期させて回転させてもよい。これにより、シリコン融液3の対流がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなり、シリコン融液3の温度分布がシリコン単結晶の中心軸に対象ではなくなる。これにより、シリコン単結晶の成長がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。すなわち、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4における温度分布がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。これにより、界面K3,K4の水平な部分Kdが、シリコン単結晶の中心軸上の部分Kcから径方向の外側に離れた位置に移動する。
また、石英ルツボ1aの内周面の一部の性状を、それ以外の部分の性状と異ならせてもよい。具体的には、石英ルツボ1aの上端から10cm程度の範囲内で、内周面の全周の4分の1程度の部分を、その他の部分と異なる変質部としてもよい。この場合、変質部において、表面からの深さが0.5mmから1mmまでの範囲内の位置における気泡の含有率を、その他の部分の気泡の含有率よりも25%から35%までの範囲で多くする。例えば、変質部の気泡の含有率を、その他の部分の気泡の含有率よりも30%増加させてもよい。
このように、石英ルツボ1aの内周面の一部の性状を、それ以外の部分の性状と異ならせることで、シリコン融液3の対流がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなり、シリコン単結晶の成長がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。すなわち、シリコン単結晶とシリコン融液3との界面K3,K4における温度分布がシリコン単結晶の中心軸に対称ではなくなる。これにより、界面K3,K4の水平な部分Kdが、シリコン単結晶の中心軸上の部分Kcから径方向の外側に離れた位置に移動する。
上記の方法以外にも、ヒータ2の加熱状態、磁場発生部9によって発生させる磁場の強さ、ルツボ1の回転速度、および引き上げ軸4の回転速度等のパラメータを変化させることで、界面K3,K4の水平な部分Kdの位置を移動させる方法であれば、同様に採用できる。
このように、界面K3,K4の水平な部分Kdを、シリコン単結晶の中心軸上から径方向の外側に移動させることで、シリコン単結晶の中心軸上に発生した転位jの進展する方向が、シリコン単結晶の成長方向である中心軸の方向と異なる方向になる。また、界面K3,K4の水平な部分Kdを、適宜、移動させることができる。これにより、{111}面に存在しない熱ショック転位Jnおよびミスフィット転位Jmを、無転位化部Nにおいて確実に{111}面に移動させて除去することができる。したがって、界面K3,K4上の任意の点から延びる転位jを確実に除去し、軸状転位Jをより確実に除去できる。
したがって、本実施形態によれば、上記の第1実施形態及び第2実施形態において説明したシリコン単結晶の製造方法における効果に加え、従来の方法では除去できなかった直胴部まで延びる軸状転位が存在しないシリコン単結晶を製造できる。そして、軸状転位が存在しないシリコン単結晶の直胴部から、軸状転位の存在しないウェーハを製造することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
本実施例においては、ルツボに300kgのシリコン多結晶を投入する。ドーパントの濃度は、製造するシリコン単結晶の直胴部の抵抗値が12Ωcmとなるように調整する。また、CZ炉の内部の雰囲気を、圧力50Torr(6.666kPa)のArガスとする。
種結晶の直径を300mmとして、無転位化部を成長させる。
ここで、図2に示す工程S00における引き上げ条件として、表2に示すサンプル1からサンプル5までの5つの異なる条件を用いて、工程S00から工程S06及び工程S11から工程S13を実行した。具体的には、表2に示すように、引き上げ軸の引き上げ速度と、熱遮蔽部とシリコン融液の液面からの距離(高さ)と、種結晶をシリコン融液に浸漬して保持する保持時間との異なる5つの組合せを用いた。
図2に示す工程S13において、各サンプルの状態を観測した。サンプル1は、図8の(a)に示すように、転位が軸方向に伸びており、転位が除去されていない。サンプル4は、図8の(b)に示すように、転位が存在しているが、転位がループ状に対消滅しており、転位が除去されている。サンプル5は、図8の(c)に示すように、転位が除去されている。
したがって、工程S00における引き上げ条件として、引き上げ軸の引き上げ速度は0.5mm/minから1.5mm/minまでの範囲内、シリコン融液との距離(高さ)は、100mmから150mmの範囲内、保持時間は100minに設定する。これにより、無転位化部の転位を除去し、シリコン単結晶のショルダー部及び直胴部の転位を除去することができた。
従来の方法を用いてシリコン単結晶を製造した場合、シリコン単結晶のネック部には、図18の(a)に示すように、シリコン単結晶の中心軸方向に延びる軸状転位が存在している。
次に、実施例1と同様に、軸状転位の除去を行った。
その結果、図2に示す工程S13において、図18の(b)に示すように、無転位化部において軸状転位が除去されていると判断される状態になる。または、図18の(c)に示すように、転位の進展する方向が、シリコン単結晶の中心軸の方向と異なる{1 1 1}面に移動し、無転位化部において転位がシリコン単結晶の外周面に達して除去されている状態になる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、以下の工程を有する。種結晶をシリコン融液に接触させた後に引き上げて、シリコン単結晶を育成する工程。前記シリコン単結晶に発生した転位を、前記シリコン単結晶の径方向の外側へ進展させて除去するか又はループ状に対消滅させ、前記シリコン単結晶に無転位化部を形成する工程。前記無転位化部が形成された前記シリコン単結晶を引き上げて所定の直径まで拡大させ、直胴部を形成する工程。
本発明のシリコン単結晶の製造方法は、以下の課題の少なくとも一つを解決する。種結晶をシリコン融液に接触させる工程で発生する転位を除去して、無転位化を実現すること。転位の発生及び除去の状況を正確に把握すること。ネック部での転位の状態とシリコン単結晶の引き上げの条件との関係を正確に把握すること。無転位化が可能なシリコン単結晶の引き上げ条件を正確に決定すること。
1a 石英ルツボ、3 シリコン融液、4 引き上げ軸(中心軸)、6 シリコン単結晶、6a ショルダー部、6b 直胴部、B 高エネルギー放射光、N 無転位化部(転位除去部、除去困難転位除去部)、T 種結晶、K1,K2,K3,K4 界面(固液界面)

Claims (2)

  1. シリコン単結晶をCZ法により引き上げるシリコン単結晶の製造方法において、
    シリコン融液に種結晶を接触させ、前記シリコン単結晶の引き上げを開始するディップ工程と、
    シリコンウェーハとなる前記シリコン単結晶の直胴部を形成するように、前記シリコン単結晶を引き上げる直胴工程と、
    ディップ工程で発生した転位又は除去困難転位を前記直胴工程より前に除去する除去困難転位除去工程と、
    を有し、
    前記除去困難転位除去工程において、前記シリコン融液と前記シリコン単結晶との固液界面の接平面が前記シリコン融液の表面と平行となる部分を中心位置から変動させて固液界面形状を前記シリコン融液の表面から変形させ、前記転位又は前記除去困難転位が伸展する方向を結晶成長方向から移動させるシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記除去困難転位除去工程において、前記転位又は前記除去困難転位を前記シリコン結晶の引き上げに従って、前記シリコン単結晶の外部方向へ伸展させて除去する請求項1記載のシリコン単結晶の製造方法。
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