JP4569103B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(Czochralski Method、以下CZ法と略称する)による単結晶の製造方法に関するものであり、特に、複数の単結晶をそれぞれの単結晶毎に所望の結晶品質を有するように製造することのできる単結晶の製造方法に関するものである。
半導体デバイスの基板として用いられる単結晶には、例えばシリコン単結晶等があり、主にチョクラルスキー法により製造されている。近年、半導体デバイスでは高集積化が促進され、素子の微細化が進んでいる。それに伴い、単結晶の結晶成長中に導入されるグローンイン(Grown−in)欠陥の問題がより重要となっている。
ここで、グローンイン欠陥について図9を参照しながら説明する。
一般に、シリコン単結晶を成長させるときに、結晶成長速度V(結晶引上げ速度)が比較的高速の場合には、空孔型の点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD(Flow Pattern Defect)やCOP(Crystal Originated Particle)等のグローンイン欠陥が結晶径方向全域に高密度に存在する。これらのボイド起因の欠陥が存在する領域はV(Vacancy)領域と呼ばれている。
また、結晶引上げ速度を低くしていくと成長速度の低下に伴いOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidation Induced Stacking Fault)領域が結晶の周辺からリング状に発生し、さらに成長速度を低速にすると、OSFリングがウエーハの中心に収縮して消滅する。一方、さらに成長速度を低速にすると格子間シリコンが集合した転位ループ起因と考えられているLSEPD(Large Secco Etch Pit Defect)、LFPD(Large Flow Pattern Defect)等の欠陥が低密度に存在し、これらの欠陥が存在する領域はI(Interstitial)領域と呼ばれている。
近年、V領域とI領域の中間でOSFリングの外側に、ボイド起因のFPD、COP等の欠陥も、格子間シリコン起因のLSEPD、LFPD等の欠陥も存在しない領域の存在が発見されている。この領域はN(ニュートラル、Neutral)領域と呼ばれる。また、このN領域をさらに分類すると、OSFリングの外側に隣接するNv領域(空孔の多い領域)とI領域に隣接するNi領域(格子間シリコンが多い領域)とがあり、Nv領域では、熱酸化処理をした際に酸素析出量が多く、Ni領域では酸素析出が殆ど無いことがわかっている。
さらに、熱酸化処理後、酸素析出が発生し易いNv領域の一部に、Cuデポジション処理で検出される欠陥が著しく発生するCuデポ欠陥領域があることが見出されており、これは酸化膜耐圧特性のような電気特性を劣化させる原因になることがわかっている。
一般に、CZ法により単結晶を製造する際には、例えば図8に示すような単結晶製造装置30を用いて単結晶の製造が行われる。
この単結晶製造装置30は、例えばシリコンのような原料多結晶を収容して溶融するための部材や、熱を遮断するための断熱材などを有しており、これらは、メインチャンバ1内に収容されている。メインチャンバ1の上部には育成した単結晶3を収容し、取り出すための引上げチャンバ2が連接されており、この上部に単結晶3をワイヤー14で引上げる引上げ機構(不図示)が設けられている。
メインチャンバ1内には、溶融された原料融液4を収容する石英ルツボ5とその石英ルツボ5を支持する黒鉛ルツボ6が設けられ、これらのルツボ5、6は駆動機構(不図示)によって回転昇降自在に保持軸13で支持されている。このルツボ5、6の駆動機構は、単結晶3の引上げに伴う原料融液4の液面低下を補償すべく、ルツボ5、6を液面低下分だけ上昇させるようにしている。
そして、ルツボ5、6を囲繞するように、円筒形状の加熱ヒーター7が配置されている。この加熱ヒーター7の外側には、加熱ヒーター7からの熱がメインチャンバ1に直接輻射されるのを防止するために、断熱材8がその周囲を取り囲むように設けられている。
また、メインチャンバ1の内部には、単結晶3の冷却の制御を目的とした円筒状のガス整流筒31が設けられており、このガス整流筒31の下端には逆円錐形の遮熱部材32が設置されている。さらに、引上げチャンバ2の上部にはガス導入口10が設けられており、このガス導入口10からアルゴンガス等の不活性ガスを導入でき、引上げ中の単結晶3とガス整流筒31との間を通過させた後、原料融液4の融液面上を通過させ、ガス流出口9から排出することができる。
そして、上記の単結晶製造装置30を用いて、CZ法により単結晶を育成する場合、先ず、石英ルツボ5に原料多結晶を収容し、加熱ヒーター7により石英ルツボ5内の多結晶原料を加熱し、溶融する。次に、この原料融液4に種ホルダー15に固定された種結晶16を着液させ、その後、回転させながら静かに引上げることによって略円柱状のシリコン単結晶3を成長させることができる。
このようなCZ法による単結晶の製造において、上記で説明したグローンイン欠陥は、単結晶を成長させるときの引上げ速度V(mm/min)と固液界面近傍のシリコンの融点から1400℃の間の引上げ軸方向の結晶温度勾配G(℃/mm)の比であるV/G(mm/℃・min)というパラメーターにより、その導入量が決定されると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。したがって、例えば、単結晶を育成する際の結晶引き上げ速度を変化させたり、また上記単結晶製造装置のメインチャンバ内でホットゾーンンを構成している加熱ヒーターや遮熱部材等の構造を変更して結晶温度勾配Gを変化させたりすることにより、様々な品質特性を有する単結晶を製造することが可能となっている。
例えば特許文献1では、シリコン単結晶を育成する際に、結晶中心でのV/G値を所定の範囲内(例えば、0.112〜0.142mm/℃・min)に制御して単結晶を引上げることによって、ボイド起因の欠陥及び転位ループ起因の欠陥が存在しないシリコン単結晶ウエーハを得ることができることが示されている。
さらに、特許文献2では、育成する単結晶の周囲に置かれる引き上げ軸と同軸の熱遮蔽体が単結晶に面する内面が上方ほど内径の大きくなる逆円錐台面であり、引き上げる単結晶に対して所定の寸法を有し、下端部の融液面からの高さHを50〜130mmとして配置されているシリコン単結晶製造装置を開示しており、この装置を用いて引き上げ速度を適宜選ぶことにより、グローンイン欠陥の極めて少ない単結晶を容易に製造し得るとしている。
しかしながら、上記のように、所望の結晶品質を有する単結晶を製造する場合、特に、生産性の向上等の理由から引き上げ速度を速くできるV領域を含む領域で単結晶の育成が行われる場合は、欠陥発生領域を制御する方法と、欠陥発生領域内の欠陥密度を制御する方法の2つの方法での制御が要求される。通常、欠陥発生領域は、上記のように結晶引上げ速度V及び固液界面近傍の結晶温度勾配Gにより制御可能であり、また欠陥発生領域内の欠陥密度は、単結晶製造装置における炉内の温度分布と結晶引上げ速度によって決まる熱履歴により制御可能である。そして、固液界面近傍の結晶温度勾配及び炉内の温度分布は、炉内構造によってきまり、製造条件としての結晶引上げ速度を制御することにより、所望の欠陥発生領域と欠陥密度を有する単結晶が得られる。
そのため、例えば複数の単結晶を製造する場合に、各単結晶がそれぞれ異なる所望の欠陥領域及び所望の欠陥密度を有するようにするためには、それぞれの結晶品質で要求される炉内構造物を設計して単結晶製造を行う必要があり、例えば、欠陥発生領域を変えずに欠陥密度を変更することや、欠陥密度を変えずに欠陥発生領域を変えることは単結晶製造装置の炉内構造を変更しない限り実現できないという問題があった。
したがって、従来の単結晶製造では、単結晶の育成を行う度に例えばユーザーからの要求等に応じてそれぞれの結晶品質に合った炉内構造を設計して製造を行なっているため、様々な結晶品質に対してそれぞれの炉内構造物を準備し、構造物の交換・取り替え等の作業を行わなければならなかった。そのため、単結晶の品質要求における多様化が進むにつれて、製造コストアップや生産性の低下といった問題が生じ、さらに作業者に対する負担も増えるという問題もあった。そこで従来では、その対策として、ヒーターの寸法や設置位置を変更することにより熱履歴を制御するという技術も提案されているが、これも設備コストが増加し、さらに炉内構造物の構成が複雑になるなどのデメリットがあることから、より有効な技術の開発が望まれている。
特開平11−147786号公報 特開2001−261493号公報 V.V.Voronkov,Journal of Crystal Growth,vol.59(1982),pp.625〜643
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、チョクラルスキー法による単結晶の製造において、複数の単結晶を育成する際に、単結晶製造装置のチャンバ内の構造物(ホットゾーンパーツ)を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するように単結晶を製造することのできる単結晶の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、チョクラルスキー法によってチャンバ内で単結晶を原料融液から引上げて、少なくとも2本以上の単結晶を製造する方法において、前記単結晶の直胴部を成長させるときの引上げ速度をV(mm/min)、固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)で表したとき、前記少なくとも2本以上の単結晶を育成する際に、前記原料融液の融液面と前記チャンバ内で原料融液面に対向配置された遮熱部材との距離を個々の単結晶の育成を開始する毎に当該単結晶が目的の結晶規格となる大きさに調節して前記結晶温度勾配Gを調整し、さらに前記引上げ速度Vを個々の単結晶の育成に応じて当該単結晶が目的の結晶規格となる値に制御することによって、前記少なくとも2本以上の単結晶が各単結晶毎に所望の結晶品質を有するようにして単結晶の製造を行うことを特徴とする単結晶の製造方法が提供される
このように、CZ法により少なくとも2本以上の単結晶を製造する際に、原料融液面と遮熱部材との距離を個々の単結晶の育成を開始する毎に所定の大きさに調節して結晶温度勾配Gを調整し、さらに引上げ速度Vを個々の単結晶の育成に応じて所定値に制御して単結晶の製造を行うことにより、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するようにして複数の単結晶を容易にかつ低コスト・高生産性で製造することができるし、さらに作業者への負担も大幅に軽減することができる。
このとき、前記少なくとも2本以上の単結晶を、各単結晶毎に異なる欠陥領域及び/または異なる欠陥密度を有するように製造することができる
本発明の単結晶の製造方法は、前記のような特徴を有することにより、少なくとも2本以上の単結晶を製造する際に、各単結晶毎に異なる欠陥領域及び/または異なる欠陥密度を有するようにして複数の単結晶を非常に容易にかつ低コストで製造することができる。
この場合、前記少なくとも2本以上の単結晶を同一のルツボから育成することが好ましい
このように少なくとも2本以上の単結晶を同一のルツボから例えば1製造バッチ内で連続的に育成することにより、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するように複数の単結晶を製造して所望品質の結晶を所望の量だけ製造することができ、多品種生産に十分に対応できるとともに、単結晶製造における製造時間の短縮やより一層のコストダウンを図ることができる。
また、前記単結晶をV領域で育成する際に、該単結晶に形成される欠陥が所望のサイズとなるようにすることができる
本発明では、特に単結晶をV領域で育成する際に、所望の欠陥密度にすることができるだけでなく、単結晶に形成される欠陥のサイズを所望のサイズとなるようにすることができるため、様々な結晶品質を有する単結晶を容易に作り分けることができ、ユーザーからの要求を確実に満たすような高品質の単結晶を低コストで安定して製造することが可能となる。
さらに、前記原料融液面と遮熱部材との距離を、予め試験を行って求めた変更条件に従って自動的に調節することが好ましい
原料融液面と遮熱部材との距離を各単結晶の育成毎に調節する際に、例えば実際に単結晶の製造が行われる製造環境での結晶温度勾配Gの分布を予めシミュレーション解析、あるいは実生産等の試験を行って明らかにし、そこで得られた情報を基に各単結晶が目的の結晶規格となるようにして原料融液面と遮熱部材との距離を変更する変更条件を求めておく。そして、その求めた変更条件に従って原料融液面と遮熱部材との距離を単結晶の育成を開始する毎に自動的に調節することによって、結晶温度勾配Gを高精度に自動調整することが可能となるので、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を高精度に有する複数の単結晶を一層安定して製造することができる。
加えて、前記単結晶の直胴部の引上げ中に原料融液面と遮熱部材との距離を制御することが好ましい
このように、単結晶直胴部の引上げ中に原料融液面と遮熱部材との距離を制御することにより、単結晶育成中に結晶温度勾配Gを非常に高精度に制御することができるようになるので、所望の結晶品質を有する単結晶を非常に安定して製造することができる。
また、本発明の製造方法では、前記チャンバ内に、冷却媒体で強制冷却される冷却筒と、該冷却筒の下方に設置される冷却補助部材とを前記育成する単結晶を取り囲むように配置しておくことが好ましい
このように、チャンバ内に冷却筒と冷却補助部材とを育成する単結晶を取り囲むように配置しておくことにより、単結晶を引上げる際に、例えば点欠陥が凝集する温度帯を所望の冷却速度で急冷することが可能となり、所望の結晶品質を高精度に有する単結晶をより確実に育成することができる。
さらに、前記単結晶の引上げを、中心磁場強度が300ガウス以上6000ガウス以下の範囲となる磁場を印加しながら行うことが好ましい
このように、単結晶を引上げる際に中心磁場強度が300ガウス以上6000ガウス以下となる磁場を印加することにより、ルツボ内の原料融液の対流を制御し、融液対流が安定していて結晶成長界面形状が良好な状態で単結晶を育成することができるため、所望の結晶品質を有する高品質の単結晶を、より高い製造歩留り、より高い生産性で製造することができる。
また、前記製造する単結晶をシリコン単結晶とすることができさらに、前記単結晶の直胴部の直径を150mm以上とすることができる
本発明は、シリコン単結晶を製造する場合や、また直胴部の直径が150mm以上の大口径となる場合に特に好適に用いることができる。それにより、それぞれが所望の結晶品質を有する複数のシリコン単結晶を、チャンバ内の構造物を取り替えることなく容易にかつ低コストで製造することができる。また、結晶径方向面内の温度分布が大きくなりやすかった直径150mm以上となる大口径の単結晶を複数製造する場合でも、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するように容易にかつ低コストで製造を行うことができる。
そして、本発明によれば、前記単結晶の製造方法により製造された単結晶が提供される
このように本発明により製造された単結晶は、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するようにして製造された高品質で低コストの単結晶とすることができる。
以上のように、本発明によれば、CZ法により少なくとも2本以上の単結晶を製造する際に、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するようにして複数の単結晶を容易にかつ低コスト・高生産性で製造することができる。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者等は、CZ法により少なくとも2本以上の単結晶を製造する際に、従来のようにチャンバ内の構造物の交換・取り替え作業を行うことなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するようにして単結晶の製造を行うことのできる製造方法について鋭意実験及び検討を重ねた。その結果、単結晶を育成する際の原料融液の融液面とチャンバ内に設けられた遮熱部材との距離に注目し、この原料融液面と遮熱部材間の距離を個々の単結晶育成を開始する毎に調節することによって、固液界面近傍のシリコンの融点から1400℃の間の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gを調整できるため、それぞれが所望の結晶品質を有する複数の単結晶を炉内構造物の取り替えを行わずに製造可能であると考えた。
ここで、総合伝熱解析ソフトFEMAG(F.Dupret, P.Nicodeme, Y.Ryckmans, P.Wouters, and M.J.Crochet, Int.J.Heat Mass Transfer,33,1849(1990))を用いて、原料融液の融液面とチャンバ内に設けた遮熱部材間の距離を様々な大きさに調節して単結晶の引上げを行った場合の引上げ軸方向の結晶温度勾配Gについてシミュレーション解析した結果の一例を図1に示す。
図1に示したように、シミュレーション解析の結果から、原料融液面と遮熱部材間の距離を変えることによって結晶温度勾配Gを変化させることができることがわかる。そこで、本発明者等は、上記のシミュレーション解析の結果を踏まえて、単結晶の育成を開始する際に原料融液面と遮熱部材間の距離を種々の大きさに調整し、さらに単結晶の直胴部を成長させるときの引上げ速度Vを様々な値に制御して単結晶の製造を行い、それぞれの条件で得られた単結晶の結晶品質を調べる実験を行った。
(実験)
図8に示した従来の単結晶製造装置30を用いて、直径32インチ(800mm)の石英ルツボ5に原料多結晶シリコンを300kgチャージし、CZ法により直径300mmのシリコン単結晶を育成した。尚、このとき、原料融液4の融液面と遮熱部材32との最短距離が、単結晶の育成を開始する際に30、50、または70mmとなるように調節し、また単結晶直胴部を成長させるときの引上げ速度Vを0.9〜0.3mm/minの範囲で制御して、種々のシリコン単結晶を製造した。そして、得られた種々のシリコン単結晶の直胴部からそれぞれウエーハを切り出した後、平面研削及び研磨を行って検査用のサンプルを作製し、そのサンプルウエーハの欠陥領域の分布を異物検査装置(KLAテンコール社製、SP−1)で検査した。この欠陥領域検査で得られた検査結果を図2に示す。
図2に示したように、原料融液面と遮熱部材との距離を変化させたり、また引上げ速度Vの値を変化させることによって、育成する単結晶の欠陥領域も変化することがわかる。この結果から、単結晶を育成する際に調節する原料融液面と遮熱部材との距離の大きさ、及び単結晶直胴部の引上げ中に制御する引上げ速度Vの値の組み合わせを適宜選択することにより、チャンバ内の構造物の交換・取り替えを行わなくても所望の欠陥領域を有する単結晶を容易に製造できることがわかる。
さらに、本発明者等は、上記で製造した単結晶のうちで同じ欠陥領域を有する単結晶について、すなわち、図2のA1、B1、C1の単結晶、またA2、B2、C2の単結晶について、欠陥密度及び欠陥サイズの分布について調査した。その結果を図3及び図4に示す。
図3及び図4に示したように、同じ欠陥領域を示すA1、B1、C1の単結晶や、またA2、B2、C2の単結晶であっても、それらの単結晶の欠陥密度を調べてみると、それぞれが互いに異なる欠陥密度(欠陥の個数)を有していることがわかる。さらに、図3及び図4に示したように、V領域で育成した単結晶の場合は、同じ欠陥領域を有する単結晶であっても、形成される欠陥のサイズの分布も異なることが確認できる。例えば、同じ欠陥領域を有する単結晶A1と単結晶C1を比較すると、C1の単結晶の方が0.12μm以上のサイズを有する欠陥の数は少ないものの、0.16μm以上の欠陥についてはA1の単結晶の方が少なくなる。すなわち、単結晶C1は、単結晶A1に比べて、欠陥密度は低いものの、一つ一つの欠陥のサイズがより大きなものであることがわかる。
これは、原料融液面と遮熱部材間の距離を変えることにより、単結晶を所望の欠陥領域で育成するために選択する最適な結晶引上げ速度の値が変化し、それによって結晶育成中に単結晶が受ける熱履歴が変わることによると思われる。つまり、原料融液面と遮熱部材との距離が変化すると、最適な結晶引上げ速度も変化するため、その結果、図5に示すように、欠陥の凝集が進む特定の温度帯(例えば、1150〜1080℃帯)での単結晶の通過時間が変化し、例えば結晶引上げ速度が遅くなるほど、1150〜1080℃帯の通過時間も長くなることから欠陥の凝集が進むので、小さいサイズの欠陥が減少し、大きいサイズの欠陥が増加するようになる。
本発明は、原料融液面と遮熱部材間の距離、及び引上げ速度Vを変化させることにより、上記のように育成する単結晶の欠陥領域や欠陥密度を変化させることができることを利用して見出されたものである。
すなわち、本発明の単結晶の製造方法は、CZ法によってチャンバ内で単結晶を原料融液から引上げて、少なくとも2本以上の単結晶を製造する方法において、少なくとも2本以上の単結晶を育成する際に、原料融液面とチャンバ内で原料融液面に対向配置された遮熱部材との距離を個々の単結晶の育成を開始する毎に当該単結晶が目的の結晶規格となる大きさに調節して結晶温度勾配Gを調整し、さらに引上げ速度Vを個々の単結晶の育成に応じて当該単結晶が目的の結晶規格となる値に制御することによって、少なくとも2本以上の単結晶が各単結晶毎に所望の結晶品質を有するようにして単結晶の製造を行うことに特徴を有するものである。
以下、本発明の単結晶の製造方法について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の単結晶の製造方法で用いられる単結晶引上げ装置は、チャンバ内に原料融液面に対向して配置された遮熱部材を具備し、単結晶の育成を開始する際に原料融液面と遮熱部材間の距離を調節・変更できるものであれば特に限定されないが、例えば図6に示すような単結晶引上げ装置を用いることができる。先ず、図6を参照しながら、本発明の単結晶の製造方法を実施する際に使用することのできる単結晶引上げ装置について説明する。
図6に示した単結晶引上げ装置20は、メインチャンバ1内に、原料融液4を収容する石英ルツボ5と、この石英ルツボ5を保護する黒鉛ルツボ6とがルツボ駆動機構21によって回転・昇降自在に保持軸13で支持されており、またこれらのルツボ5、6を取り囲むようにして原料融液を加熱するための加熱ヒーター7と断熱材8が配置されている。
メインチャンバ1の上部には育成した単結晶3を収容し、取り出すための引上げチャンバ2が連接されており、引上げチャンバ2の上部には単結晶3をワイヤー14で回転させながら引上げる引上げ機構17が設けられている。
さらに、メインチャンバ1の内部には、引上げ中の単結晶3を取り囲むように冷却筒22が設置されており、冷媒導入口23から冷却媒体を流して冷却筒22内を循環させることによって単結晶3を強制冷却できるようになっている。この場合、冷却筒22内に流す冷却媒体の流量や温度を調節することにより、冷却筒22の除去熱量を変化させることができる。これにより、所望の冷却雰囲気を作りだすことが可能となり、単結晶引上げ中に特定の温度帯を所望の冷却速度で急冷するように制御することができる。
また、冷却筒22の下方部から原料融液4の表面近傍に延伸する円筒状の冷却補助部材11が設けられている。この冷却補助部材11は、引上げられた直後の高温の単結晶3の周囲を囲んでおり、加熱ヒーター7あるいは原料融液4等からの輻射熱を遮って単結晶3を冷却する効果を有する。尚、冷却補助部材の形状は、円筒状に限られず、他には、例えば下方に向かって縮径された形状のものが挙げられる。この冷却補助部材の配置位置、形状等を変更することによっても、単結晶引上げの際に、各温度帯を所望の冷却速度で急冷するように制御することが可能である。
さらに、冷却筒22の外側には、保護部材24が設けられている。保護部材24は、メインチャンバ1の天井部から延伸し、メインチャンバ1内の冷却筒22の下端面を含む外周面を覆うようにして配置されている。このように保護部材24を設けることで、原料多結晶の溶融時などに飛散する恐れのある原料融液が冷却筒22に付着することを防ぐことができるし、また、加熱ヒーター7等からの輻射熱が直接冷却筒22にあたるのを防ぐことができるので、冷却筒22の損傷の防止や除熱効果の向上を図ることができる。
そして、上記冷却補助部材11の下部には原料融液4と対向するように遮熱部材12を設置して、原料融液4の表面からの輻射をカットするとともに原料融液4の表面を保温するようにしている。また、本発明では、例えば冷却補助部材11を昇降させて遮熱部材12の位置を上下に調節できる遮熱部材駆動手段(不図示)を設置することも可能である。尚、本発明において、遮熱部材12の形状や材質等は特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更することができる。また、この遮熱部材12は、融液面に対向配置されたものであれば良く、必ずしも上記のように冷却補助部材11の下部に設置されているものに限定されず、例えば図7(a)に示すように、ガス整流筒26の下端に逆円錐形の遮熱部材12aを設置したり、また図7(b)に示すように、断熱材8に設置されている保持部材27の先端から遮熱部材12bを傾斜させて設置することもできる。
また、引上げチャンバ2の上部に設けられたガス導入口10からはアルゴンガス等の不活性ガスを導入でき、引上げ中の単結晶3と冷却筒22及び冷却補助部材11との間を通過させた後、遮熱部材12と原料融液4の融液面との間を通過させ、ガス流出口9から排出することができる。
さらに、上記のルツボ駆動機構21や遮熱部材駆動手段(不図示)はそれぞれ駆動制御手段18に接続されている。そして、例えばこの駆動制御手段18に、ルツボ5、6の位置、遮熱部材12の位置、CCDカメラ19で測定した原料融液4の融液面の位置等の情報がフィードバックされることにより、駆動制御手段18でルツボ駆動機構21及び/または遮熱部材駆動手段を調節してルツボ5、6の位置及び/または遮熱部材12の位置を変えることができ、それによって、原料融液4の融液面と遮熱部材12間の距離Lを調節できるようになっている。尚、本発明では、上記の遮熱部材駆動手段は必ずしも設置されている必要はなく、例えばルツボ駆動機構21によって原料融液面と遮熱部材の距離を調節することができれば良く、このような単結晶引上げ装置は、従来用いられている装置に大幅な改造を加えることなく対応することが可能となるという利点がある。
加えて、図6に示した単結晶引上げ装置20は、メインチャンバ1の外側に磁場発生装置25を配置することができ、原料融液に例えば中心磁場強度が300ガウス以上6000ガウス以下となる磁場を印加することができるようになっている。
このような単結晶引上げ装置20を用いて、CZ法により例えばシリコン単結晶を育成する場合、種ホルダー15に固定された種結晶16を石英ルツボ5中の原料融液(シリコン融液)4に浸漬し、その後回転させながら静かに引上げて種絞りを形成した後所望の直径まで拡径して、略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶3を成長させることができる。
本発明は、このようにCZ法によってシリコン単結晶を原料融液から引上げて、少なくとも2本以上の単結晶を製造する際に、原料融液面と遮熱部材との距離Lを個々のシリコン単結晶の育成を開始する毎に当該単結晶が目的の結晶規格となる大きさに調節して結晶温度勾配Gを調整し、さらに単結晶直胴部を育成する際の引上げ速度Vを個々の単結晶の育成に応じて当該単結晶が目的の結晶規格となる値に制御して単結晶の製造を行うものである。
具体的に説明すると、先ず1本目のシリコン単結晶の引上げを開始する際に、この1本目のシリコン単結晶が目的の結晶規格となるように、ルツボ駆動機構21でルツボ5、6の位置を移動させたり、また遮熱部材駆動手段で遮熱部材12の位置を移動させることによって原料融液面と遮熱部材との距離Lを調節して結晶温度勾配Gの調整を行う。
そして上記のように原料融液面と遮熱部材との距離Lを調節した後、単結晶の引上げを開始し、単結晶の直胴部を成長させる際にシリコン単結晶が目的の結晶規格となるように引上げ速度Vを制御しながら単結晶の育成を行う。
このように、1本目のシリコン単結晶の育成を開始するときに原料融液面と遮熱部材間の距離Lを所定の大きさに調節して結晶温度勾配Gを調整し、さらに引上げ速度Vを所定値に制御しながらシリコン単結晶を育成することによって、当該1本目の単結晶が所望の結晶品質を有するように単結晶の製造を行うことができる。
このとき、例えば単結晶製造に用いる単結晶引上げ装置について予めシミュレーション解析あるいは実測等の試験を行って、原料融液面と遮熱部材間の距離L及び引上げ速度Vの条件と育成される単結晶の結晶品質との関係を調べてデータ化しておくことにより、育成する単結晶が所望の結晶品質となるように上記原料融液面と遮熱部材との距離Lの大きさ、及び直胴部を育成する際の引上げ速度Vの値を適切に設定することができる。
特にこの場合、予め調べた原料融液面と遮熱部材間の距離L及び引上げ速度Vの条件と、育成される単結晶の結晶品質との関係、さらに育成する単結晶の目的とする結晶品質を例えば上記駆動制御手段18に入力しておき、そして単結晶の育成を開始する際に、例えばルツボ5、6の位置、遮熱部材12の位置、CCDカメラ19で測定した原料融液4の融液面の位置等の情報が駆動制御手段18にフィードバックされることにより、原料融液面と遮熱部材との距離を単結晶が目的の結晶規格となる大きさに自動的に変更することができる。このように原料融液面と遮熱部材との距離を予め試験を行って求めた変更条件に従って自動的に調節することにより、結晶温度勾配Gを高精度に調整することが可能となるので、所望の結晶品質を高精度に有する単結晶を非常に安定して製造することができる。
また、上記のようにしてシリコン単結晶の製造を行う場合、シリコン単結晶の直胴部を引上げている間は、原料融液面と遮熱部材との距離Lを制御することが好ましい。一般に、結晶温度勾配Gは単結晶の成長が進むにつれて低下する傾向にあることが知られており、単結晶直胴部の成長開始時より成長終了時の方が小さくなる。したがって、単結晶直胴部の引上げ中に、上記のように引上げ速度Vを制御するだけでなく、例えばルツボ駆動機構や遮熱部材駆動手段でルツボ5、6の位置や遮熱部材12の位置を調節して原料融液面と遮熱部材との距離Lを制御することによって、結晶温度勾配Gを例えば一定の値となるように非常に高精度に制御することができるようになるので、所望の結晶品質を有する単結晶を非常に安定して製造することができる。
さらに、単結晶引上げ装置20のチャンバ内には、前述のように、冷却筒22と冷却補助部材11とがシリコン単結晶を取り囲むように配置されているので、冷却筒22内に流す冷却媒体の流量や温度を調節することにより、単結晶引上げ中の所定の温度帯、例えば点欠陥が凝集する温度帯(およそ、1150〜1080℃帯)を所望の冷却速度で急冷することが可能となるので、所望の結晶品質を高精度に有する単結晶をより確実に育成することができる。
また、上記のように単結晶の引上げを行う際には、前記磁場発生装置25から中心磁場強度が300ガウス以上6000ガウス以下の範囲となる磁場を印加することが好ましい。このように、単結晶を引上げる際に中心磁場強度が300ガウス以上6000ガウス以下となる磁場を印加することにより、石英ルツボ内の原料融液の対流を制御し、融液対流が安定していて結晶成長界面形状が良好な状態で単結晶を育成することができる。したがって、高品質の単結晶を、より高い製造歩留り、より高い生産性で製造することができる。
そして、本発明では、上記のようにして1本目の単結晶を育成した後、2本目の単結晶の育成を開始する際に、2本目の単結晶が目的の結晶規格となるように原料融液面と遮熱部材との距離Lを再度調節して結晶温度勾配Gを調整する。その後、2本目の単結晶の引上げを開始し、単結晶の直胴部を成長させる際に2本目の単結晶が目的の結晶規格となるように引上げ速度Vを制御しながら、上記1本目の単結晶を育成するときと同様にして単結晶の育成を行う。このようにして2本目の単結晶を育成することにより、所望の結晶品質を有する単結晶を安定して製造することができる。この場合、本発明では、例え1本目と2本目の結晶規格が異なっていても、炉内部品を取り替える等の作業をすることなく、原料融液面と遮熱部材との距離Lを調節して結晶温度勾配Gを調整し、その後単結晶の直胴部を成長させる際に当該単結晶が目的の結晶規格となるように引上げ速度Vを制御しさえすれば、連続して異なる規格の単結晶を育成できることが最大の利点である。
その後、例えば3本目、4本目の単結晶を育成する場合は、上記1本目及び2本目と同様に、各単結晶の育成を開始する毎に当該単結晶が目的の結晶規格となるように原料融液面と遮熱部材との距離Lを調節して結晶温度勾配Gを調整し、その後単結晶の直胴部を成長させる際に当該単結晶が目的の結晶規格となるように引上げ速度Vを制御しながら単結晶の育成を行うことにより、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するようにして単結晶製造を行うことができる。この場合も、3本目、4本目の結晶の品質規格が、1、2本目と異なるものであっても良い。
以上のようにして少なくとも2本以上の単結晶を製造することによって、チャンバ内の構造物(ホットゾーンパーツ)を取り替えることなく、1種類のホットゾーンで各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するようにして複数の単結晶を容易にかつ低コスト・高生産性で製造することができる。また、このように単結晶の製造を行えば、チャンバ内の構造物を取り替える必要がないので、従来のように様々な構造物を購入・保管する必要がなく、大幅なコストダウンを図ることが可能となる。さらに、このようにして製造された複数の単結晶は、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有する高品質で非常に安価な単結晶とすることができる。
特に本発明では、欠陥領域は原料融液面と遮熱部材間の距離で制御し、欠陥密度は引上げ速度で単結晶の熱履歴を制御するといったようにそれぞれの制御を独立して行うことが可能となり、それによって、例えば、各単結晶毎に目的や要求に応じて、欠陥領域が結晶全面がV領域であるもの、OSFリングが存在する領域であるもの、結晶全面がN領域であるもの、結晶全面がI領域であるもの等や、さらに欠陥領域としてV領域やI領域を含むような単結晶であれば、所定の欠陥密度を有するものとなるような、各単結晶毎に異なる欠陥領域及び/または異なる欠陥密度を有するようにして複数の単結晶をチャンバ内の構造物を取り替えることなく製造することができる。したがって、例えば、従来ではチャンバ内の構造物を取り替えなければ実現できないような欠陥発生領域を変えずに欠陥密度を変更することや、欠陥密度を変えずに欠陥発生領域を変えることを容易に行うことができるようになり、各単結晶毎に異なる結晶品質を有する複数の単結晶を非常に容易に、また作業者への負担を大幅に軽減して製造することができる。
さらに、本発明の製造方法で単結晶をV領域で育成する場合には、前述の実験結果でも示したように、単結晶に形成される欠陥が所望の欠陥密度となるようにすることができるだけでなく、欠陥のサイズも所望の大きさとなるようにすることができる。そのため、様々な結晶品質を有する単結晶を容易に作り分けることができ、ユーザーからの要求を確実に満たすような高品質の単結晶を低コストで安定して製造することが可能となる。
また、本発明の単結晶の製造方法では、従来一般的に行われているように、1製造バッチで1つの石英ルツボを用いて単結晶を1本ずつ育成して、少なくとも2本以上の単結晶を複数の製造バッチで製造することができるし、また、同一の石英ルツボから少なくとも2本以上の単結晶を1製造バッチ内で連続的に育成することもできる。特に、2本以上の単結晶を同一のルツボで、原料の充填・単結晶の育成を繰り返したり、また原料を充填・補充しつつ1製造バッチ内で連続的に育成することにより、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するように単結晶の製造を行うことができる。こうして、製造時間の短縮やより一層のコストダウンを図ることが可能となる。
そして、このような本発明の単結晶の製造方法は、半導体デバイス用基板の材料となるシリコン単結晶や、近年需要が増加している直胴部の直径が150mm以上、特には、200mm以上、300mm以上となる大口径の単結晶を製造する場合に特に好適に用いることができる。それによって、例えばそれぞれが所望の結晶品質を有する複数のシリコン単結晶を、チャンバ内の構造物を取り替えることなく容易にかつ低コストで製造することができるし、また、直径150mm以上となる大口径の単結晶を複数製造する場合でも、チャンバ内の構造物を取り替えることなく、各単結晶がそれぞれ所望の結晶品質を有するように容易にかつ低コストで製造することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
図6に示した単結晶引上げ装置20を用いて、直径32インチ(800mm)の石英ルツボ5に原料多結晶シリコンを300kgチャージし、中心磁場強度が4000ガウスの水平磁場を印加しながら直径300mmのシリコン単結晶を4本育成した。
このとき、1本目及び2本目のシリコン単結晶では欠陥領域が径方向全域でV領域となるように、また3本目及び4本目のシリコン単結晶では欠陥領域がOSFリングが存在するV領域となるようにするとともに、1本目及び4本目のシリコン単結晶がそれぞれ2本目及び3本目のシリコン単結晶に比べて欠陥密度が小さくなるような4種類のシリコン単結晶を製造するため、各単結晶の育成を行う毎に原料融液面と遮熱部材との距離、及び結晶引上げ速度が以下の表1に示す値となるよう調節・制御して、原料多結晶シリコンの充填・単結晶の育成を繰り返して同一の石英ルツボから4本の単結晶を連続的に育成した。尚、1本目〜4本目のシリコン単結晶の製造は同一バッチ内であるから、チャンバ内の構造物の取り替えは一切行われていない。
Figure 0004569103
そして、得られた4本のシリコン単結晶からそれぞれウエーハを切り出した後、平面研削及び研磨を行って検査用のサンプルウエーハを作製し、そのサンプルウエーハの欠陥領域を前記異物検査装置で検査した。その結果、1本目及び2本目のシリコン単結晶から作製したサンプルウエーハは、ウエーハ全面がV領域となるものであり、また3本目及び4本目のシリコン単結晶から作製したサンプルウエーハは、ウエーハの外周部にOSFリングが観察され、その内側部分がV領域となるものであることが確認された。
さらに、1本目〜4本目のシリコン単結晶から作製したサンプルウエーハに形成されているサイズが0.12μm以上となる欠陥の数を検査した。さらに、ウエーハに形成されている欠陥のサイズの分布を調べるために、サイズが0.20μm以上となる欠陥の数も検査した。その欠陥検査を行った結果を以下の表2に示す。
Figure 0004569103
表2に示したように、各シリコン単結晶から作製したサンプルウエーハの欠陥密度を測定した結果、1本目のシリコン単結晶では、サイズが0.20μm以上となる大きな欠陥が比較的多く観察されたものの、2本目のシリコン単結晶に比べて0.12μm以上のサイズとなる欠陥の数が大幅に減少しており、欠陥密度が低いものであることがわかった。また、3本目のシリコン単結晶と4本目のシリコン単結晶とを比較してみると、4本目のシリコン単結晶の方が欠陥密度が低いものであることがわかった。
以上のように、本発明の単結晶の製造方法によって、チャンバ内の構造物を取り替えなくても、各単結晶がそれぞれ互いに異なる所望の結晶品質を有する複数の単結晶を製造できることが確認された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記では主にシリコン単結晶を製造する場合を例に挙げて説明を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、CZ法によって化合物半導体単結晶等の単結晶を製造する場合にも同様に適用することができる。
原料融液面と遮熱部材間の距離と結晶温度勾配Gとの関係の一例を示すグラフである。 様々な条件の原料融液面と遮熱部材間の距離及び引上げ速度で製造した種々のシリコン単結晶の欠陥領域を検査した結果を示す図である。 図2に示したA1、B1、C1の単結晶の欠陥密度及び欠陥サイズを調査した結果を示すグラフである。 図2に示したA2、B2、C2の単結晶の欠陥密度及び欠陥サイズを調査した結果を示すグラフである。 結晶引上げ速度と1150〜1080℃帯の通過時間との関係を示したグラフである。 本発明の単結晶の製造方法を実施する際に使用することのできる単結晶引上げ装置の一例を示す構成概略図である。 (a)及び(b)は、単結晶引上げ装置に設置される遮熱部材の他の形態を示す構成概略図である。 従来の単結晶製造装置の一例を示す構成概略図である。 V/Gと結晶欠陥分布の関係を表す説明図である。
符号の説明
1…メインチャンバ、 2…引上げチャンバ、 3…単結晶(シリコン単結晶)、
4…原料融液(シリコン融液)、 5…石英ルツボ、
6…黒鉛ルツボ、 7…加熱ヒーター、 8…断熱材、
9…ガス流出口、 10…ガス導入口、 11…冷却補助部材、
12,12a,12b…遮熱部材、 13…保持軸、
14…ワイヤー、 15…種ホルダー、 16…種結晶、
17…引上げ機構、 18…駆動制御手段、 19…CCDカメラ、
20…単結晶引上げ装置、 21…ルツボ駆動機構、
22…冷却筒、 23…冷媒導入口、 24…保護部材、 25…磁場発生装置、
26…ガス整流筒、 27…保持部材、
30…単結晶製造装置、 31…ガス整流筒、 32…遮熱部材。

Claims (7)

  1. チョクラルスキー法によってチャンバ内で単結晶を原料融液から引上げて、少なくとも2本以上の単結晶を製造する方法において、前記単結晶の直胴部を成長させるときの引上げ速度をV(mm/min)、固液界面近傍の引上げ軸方向の結晶温度勾配をG(℃/mm)で表したとき、前記少なくとも2本以上の単結晶を同一のルツボから育成する際に、前記原料融液の融液面と前記チャンバ内で原料融液面に対向配置された遮熱部材との距離を個々の単結晶の育成を開始する毎に当該単結晶が目的の結晶規格となる大きさとなるように予め試験を行って求めた変更条件に従って自動的に調節して前記結晶温度勾配Gを調整し、さらに前記引上げ速度Vを個々の単結晶の育成に応じて当該単結晶が目的の結晶規格となる値に制御することによって、前記少なくとも2本以上の単結晶が各単結晶毎に異なる欠陥領域及び/または異なる欠陥密度を有するようにして単結晶の製造を行うことを特徴とする単結晶の製造方法。
  2. 前記単結晶をV領域で育成する際に、該単結晶に形成される欠陥が所望のサイズとなるようにすることを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記単結晶の直胴部の引上げ中に原料融液面と遮熱部材との距離を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記チャンバ内に、冷却媒体で強制冷却される冷却筒と、該冷却筒の下方に設置される冷却補助部材とを前記育成する単結晶を取り囲むように配置しておくことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  5. 前記単結晶の引上げを、中心磁場強度が300ガウス以上6000ガウス以下の範囲となる磁場を印加しながら行うことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  6. 前記製造する単結晶をシリコン単結晶とすることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
  7. 前記単結晶の直胴部の直径を150mm以上とすることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
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