JP2000178099A - シリコン単結晶の製造方法およびこの方法で製造されたシリコン単結晶とシリコンウエーハ - Google Patents
シリコン単結晶の製造方法およびこの方法で製造されたシリコン単結晶とシリコンウエーハInfo
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Abstract
合等のどのような単結晶製造条件の変動に対しても対応
可能な修正方法や炉内構造を見出す方法を開発し、極低
欠陥結晶を安定した条件下で製造する。 【解決手段】 CZ法において結晶引上げ速度をV[mm
/min]とし、結晶中の固液界面近傍の融点から1400
℃の間の温度勾配をG[℃/mm ]とした時、V/G[mm
2/℃・min ]を縦軸に、結晶直径を横軸とした欠陥分布
図において、少なくとも成長方向の一部分で結晶の径方
向の全面がN領域となるようにして結晶を引上げる場合
に、引上げ炉の炉内構造以外の製造条件が変動してGの
径方向分布が傾斜し、そのためV/G値が径方向の全面
でN領域とはならなくなった場合に、引上げ炉の炉内構
造を調節してGの径方向傾斜を小さくし、V/G値を径
方向の全面でN領域となるようにすることを特徴とする
シリコン単結晶の製造方法。
Description
シリコン単結晶を製造するために、炉内構造を調節し、
この炉内構造を調節するための計算方法あるいは適切な
炉内構造を探索する方法に関し、これを用いてシリコン
単結晶を製造する方法に関するものである。
化に伴う素子の微細化に伴い、その基板となるチョクラ
ルスキー法(以下、CZ法と略記する)で作製されたシ
リコン単結晶に対する品質要求が高まってきている。特
に、FPD、LSTD、COP等のグローンイン(Gr
own−in)欠陥と呼ばれる酸化膜耐圧特性やデバイ
スの特性を悪化させる、単結晶成長起因の欠陥が存在し
その密度とサイズの低減が重要視されている。
ず、シリコン単結晶に取り込まれるベイカンシイ(Va
cancy、以下Vと略記することがある)と呼ばれる
空孔型の点欠陥と、インタースティシアル−シリコン
(Interstitial−Si、以下Iと略記する
ことがある)と呼ばれる格子間型シリコン点欠陥のそれ
ぞれの取り込まれる濃度を決定する因子について、一般
的に知られていることを説明する。
acancy、つまりシリコン原子の不足から発生する
凹部、穴のようなものが多い領域であり、I領域とは、
シリコン原子が余分に存在することにより発生する転位
や余分なシリコン原子の塊が多い領域のことであり、そ
してV領域とI領域の間には、原子の不足や余分が無い
(少ない)ニュートラル(Neutral、以下Nと略
記することがある)領域が存在していることになる。そ
して、前記グローンイン欠陥(FPD、LSTD、CO
P等)というのは、あくまでもVやIが過飽和な状態の
時に発生するものであり、多少の原子の偏りがあって
も、飽和以下であれば、欠陥としては存在しないことが
判ってきた。
晶の引上げ速度(成長速度)と結晶中の固液界面近傍の
温度勾配Gとの関係から決まり、V領域とI領域との境
界近辺にはOSF(酸化誘起積層欠陥、Oxidati
on Indused Stacking Faul
t)と呼ばれる欠陥が、結晶成長軸に対する垂直方向の
断面で見た時に、リング状に分布(以下、OSFリング
ということがある)していることが確認されている。
常の結晶中固液界面近傍の△G(結晶中心部分の温度勾
配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配Ge[℃
/mm]との差を△G=|Ge〜Gc|で表す)が大き
い炉内構造(ホットゾーン:HZということがある)を
使用したCZ引上げ機で結晶軸方向に成長速度を高速か
ら低速に変化させた場合、図6に示したような欠陥分布
図として得られる。
ると、図7に示したように、例えば成長速度が0.6m
m/min前後以上と比較的高速の場合には、空孔タイ
プの点欠陥が集合したボイド起因とされているFPD、
LSTD、COP等のグローンイン欠陥が結晶径方向全
域に高密度に存在し、これら欠陥が存在する領域はV−
リッチ領域と呼ばれている(図6のライン(A)、図7
(A)参照)。 また、成長速度が0.6mm/min
以下の場合は、成長速度の低下に伴い、OSFリングが
結晶の周辺から発生し、このリングの外側に転位ループ
起因と考えられているL/D(Large Dislo
cation:格子間転位ループの略号、LSEPD、
LFPD等)の欠陥が低密度に存在し、これら欠陥が存
在する領域はI−リッチ領域(L/D領域ということが
ある)と呼ばれている。さらに、成長速度を0.4mm
/min前後以下と低速にすると、OSFリングがウエ
ーハの中心に凝集して消滅し、全面がI−リッチ領域と
なる(図6のライン(C)、図7(C))。
域の中間でOSFリングの外側に、N領域と呼ばれる、
空孔起因のFPD、LSTD、COPも、転位ループ起
因のLSEPD、LFPDも存在しない領域の存在が発
見されている。この領域はOSFリングの外側にあり、
そして、酸素析出熱処理を施し、X−ray観察等で析
出のコントラストを確認した場合に、酸素析出がほとん
どなく、かつ、LSEPD、LFPDが形成されるほど
リッチではないI−リッチ領域側であると報告している
(図6のライン(B)、図7(B)参照)。
は、引上げ速度を高速から低速に下げた時に成長軸方向
に対して斜めに存在するため、ウエーハ面内では一部分
にしか存在しなかった。この欠陥に関して、ボロンコフ
理論(V.V.Voronkov;Journal o
f Crystal Growth,59(1982)
625〜643)では、引上げ速度(V)と結晶固液界
面軸方向温度勾配(G)の比であるV/Gというパラメ
ータが点欠陥のタイプとトータルな濃度を決定すると唱
えている。このことから考えると、面内(結晶の径方
向)で引上げ速度はほぼ一定のはずであるから、面内で
Gが径方向に分布を持つために、例えば、ある引上げ速
度では中心がV−リッチ領域でN−領域を挟んで周辺で
I−リッチ領域となるような結晶しか得られなかった。
この斜めでしか存在しなかったN−領域を、例えば、引
上げ速度Vを徐々に下げながら引上げた時に、ある引上
げ速度でN−領域が横全面に広がった結晶が製造できる
ようになった。また、この全面N−領域の結晶を長さ方
向へ拡大するには、このN−領域が横に広がった時の引
上げ速度を維持して引上げればある程度達成できる。ま
た、結晶が成長するに従ってGが変化することを考慮
し、それを補正して、あくまでもV/Gが一定になるよ
うに、引上げ速度を調節すれば、それなりに成長方向に
も、全面N−領域となる結晶が拡大できるようになっ
た。この全面N−領域結晶にはグローンイン欠陥が全く
存在せず、酸化膜耐圧特性も良好である。
(温度)分布を考える時に、炉内構造(HZ:ホットゾ
ーンということがある)を主にして熱計算を行う。従っ
て、今までの上記欠陥分布を検討する場合には、HZが
同一であれば、他の引上げ条件を多少変更しても影響は
殆どなく、目的とした品質の結晶が得られると考えてい
た。しかし、結晶回転速度やMCZ法の磁場強度等、特
にシリコン融液の対流に影響を与えると思われるパラメ
ータを変更すると、例えば、引上げ速度を下げながら引
上げた際に、同一HZを使用しているにも関わらず、径
方向に真直ぐに存在したN−領域が、上記条件を変更し
た引上げでは、斜めに存在する場合があることが判明し
た。これらのパラメータは、ウエーハの酸素濃度その他
の仕様や操業条件に応じて変更しなければならない場合
もあり、その許容限界が大きな問題となってきた。
る場合、実際の操業においては、引上げ速度を、例えば
結晶の直径制御のため、意図的に変化させる必要があ
る。さらに、結晶回転用モーターの回転速度はその仕様
の範囲内ではあるが微小な変化を起こしていることが多
い。そして、これらが原因となって引上げ速度が目標値
から外れた場合、すなわち、V/G値が適正範囲から外
れた場合に、その部分に突然グローンイン欠陥が大量に
発生していることがあった。これでは単結晶の歩留りが
低下し、さらに欠陥発生部分は結晶の外見からは判別で
きず、ほぼ全品検査に近い方法で対処しており、品質保
証を極めて困難にするという問題もあった。
たもので、例えば外乱により引上げ速度が設定値から外
れた場合等のどのような単結晶製造条件の変動に対して
も対応可能な適切な修正方法や炉内構造を見出す方法を
開発し、極低欠陥結晶を安定した条件下で生産すること
を目的とする。
成するために為されたもので、本発明の請求項1に記載
した発明は、チョクラルスキー法によってシリコン単結
晶を製造する場合において、少なくとも成長方向の一部
分で、結晶の径方向の全面がN−領域となるようにして
結晶を引上げる場合に、引上げ炉の炉内構造以外の製造
条件が変動して、結晶中の固液界面近傍の融点から14
00℃の間の温度勾配G(温度変化量/結晶軸方向長
さ)[℃/mm]の径方向分布が傾斜し、そのため結晶
引上げ速度をV[mm/min]とした時のV/G[m
m2 /℃・min]値がN−領域となるある範囲から外
れて、径方向の全面でN−領域とはならなくなった場合
に、引上げ炉の炉内構造を調節してGの径方向の傾斜を
小さくし、V/G値を径方を調節してGの径方向傾斜を
小さくし、V/G値を径方向の全面でN−領域となるよ
うな値にすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方
法である。
で結晶の径方向の全面がN−領域となるようにして結晶
を引上げる場合に、引上げ炉の炉内構造以外の製造条件
が変動してGの径方向分布が傾斜し、そのためV/G値
が径方向の全面でN−領域とはならなくなった場合に、
その修正方法として引上げ炉の炉内構造を調節してGの
径方向傾斜を小さくすれば、V/G値を径方向の全面で
N−領域となるようにすることができ、極低欠陥のシリ
コン単結晶を安定して製造することができる。
記引上げ炉の炉内構造の調節は、結晶の固液界面の外周
に環状の固液界面断熱材を設けて、該断熱材下端と融液
面との間隔S[mm]を調節することにより行うことが
望ましい。
を印加するチョクラルスキー法によってシリコン単結晶
を製造する場合において、磁場強度の変動に対して前記
炉内構造を調節することを特徴とするシリコン単結晶の
製造方法である。このように、MCZ法においては、磁
場強度を変動させる場合があり、この変動に対して炉内
構造を適切に調節すれば径方向の全面でN−領域となる
シリコン単結晶を製造することができる。
は、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造
する場合において、結晶回転速度の変動に対して前記炉
内構造を調節することを特徴とするシリコン単結晶の製
造方法である。このように、結晶回転速度は、面内分布
の改善等のため変動させる必要があり、この変動に対し
て炉内構造を適切に調節すれば径方向の全面でN−領域
となるシリコン単結晶を製造することができる。
構造以外の製造条件の変動に伴いGの径方向分布が変化
した時に、その製造条件で少なくとも2種類以上の炉内
構造を用いて、引上げ速度を漸増させる引上げあるいは
引上げ速度を漸減させる引上げを実施して、ある引上げ
速度のときに径方向の全面でN−領域となるような炉内
構造を見出すことを特徴とするシリコン単結晶の製造方
法である。このように、炉内構造以外の製造条件を固定
し、複数の炉内構造を用いて引上げ実験を行い、欠陥分
布図を作成して比較すれば、実際のG値が径方向の全面
でフラットとなるような炉内構造を容易に選択すること
ができる。
は、炉内構造以外の製造条件の変動に伴いGの径方向分
布が変化した時に、その影響を正確に計算できるシュミ
レータを使用して解析し、径方向の全面でN−領域とな
る炉内構造を見出すことを特徴とするシリコン単結晶の
製造方法である。
方向分布の変化を正確に計算できるシュミレータを使用
して解析するならば、変動した製造条件下での径方向の
全面でN−領域となる炉内構造を多数の引上げ実験を行
わなくても容易に見出すことができる。
は、炉内構造以外の製造条件の変動に伴いGの径方向分
布が変化した時に、その影響を正確に計算できない、あ
るいはそのような比較を行わないシュミレータを使用す
る場合、そのシュミレータを製造条件が変動する前に得
られた実験結果に合わせ込むか、または解析結果に合う
ような条件を探しておいて、その条件で引き上げた結晶
の引上げ速度Vを、解析から求まるGで割った値、V/
G値を比較して、欠陥分布の各境界のV/G値を定量化
しておいて、次に炉内構造以外の条件が変わり、欠陥分
布が変化した場合に、先に求めたV/G値と、変化した
条件で新たに引上げた結晶の引上げ速度及び欠陥分布を
比較して、Gの値を逆算して求め、計算G値からその条
件での実際G値への補正量を計算しておいて、次に様々
な炉内構造の解析を行い、その結果にこの補正を行った
上で、△Gが最小となる炉内構造を探すことにより、径
方向の全面がN−領域となる炉内構造を見出すことを特
徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
ュミレータの場合は、上記のような手順で引上げ実験結
果を折り込んで計算すれば、径方向の全面がN−領域と
なる炉内構造を見出すことができる。これにより、全て
実験により見出すよりは効率的に適切な炉内構造を見出
すことが可能となる。
前記欠陥分布図において、引上げ速度を高速から低速に
漸減する、あるいは引上げ速度を低速から高速に漸増す
る場合に、OSFリングの内側ライン、OSFリングの
外側ライン、V−リッチ領域側N−領域とI−リッチ領
域側N−領域の境界ラインおよび転位ループが発生し始
めるラインの中の少なくとも1つ以上をV/G値により
定量化しておいて、炉内構造以外の製造条件が変わった
場合には、同様な引上げを行い、欠陥分布が変化した場
合に、先に求めたV/G値と引上げ速度を利用して結晶
径方向に各境界位置でのGの値を逆算し、計算G値から
その条件での実際G値への補正量を計算しておいて、次
に様々な炉内構造の解析を行い、その結果にこの補正を
行った上で、△Gが最小となる炉内構造を探すことによ
り、径方向の全面がN−領域となる炉内構造を見出すこ
とを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。この
ような解析と実験的手法によっても変動した製造条件下
での径方向の全面がN−領域となる炉内構造を比較的容
易に見出すことができる。
クラルスキー法によりシリコン単結晶を製造する場合に
おいて、引上げ炉内の温度分布と引上げ速度を調節し
て、少なくとも結晶の径方向全面に形成されるN−領域
を結晶の軸方向に拡大する場合に、各引上げ炉固有の最
小引上げ速度変動幅△V[mm/min]に対応した最
大の△G以下となる炉内構造により結晶を引上げること
を特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。このよ
うにすれば、各引上げ炉固有の引上げ速度変動幅に対応
した炉内構造が特定され、結晶の径方向に形成されたN
−領域を結晶の軸方向に拡大することができ、単結晶棒
全域でN−領域である極低欠陥のシリコン単結晶を得る
ことができる。
前記各引上げ炉固有の△V[mm/min]に対し、 △G=―6.5△V+0.1785 の関係で求まる△G[℃/mm]値以下になるように炉
内構造を調節して結晶を引上げれば、より一層安定して
軸方向にN−領域を拡大した高品質のシリコン単結晶を
製造することができる。
は、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製造
する場合において、少なくとも成長方向の一部分で、結
晶の径方向の全面がN−領域となるようにして結晶を引
上げる場合に、引上げ炉の炉内構造が変動して、温度勾
配Gの径方向分布が傾斜し、そのためV/G値が、N−
領域となるある範囲から外れて、径方向の全面でN−領
域とはならなくなった場合に、引上げ炉の炉内構造以外
の製造条件を調節してGの径方向傾斜を小さくし、V/
G値を径方向の全面でN−領域となるような値にするこ
とを特徴とするシリコン単結晶の製造方法である。
て径方向の全面でN−領域とはならなくなった場合に
は、炉内構造以外の製造条件を調節してGの径方向傾斜
を小さくし、V/G値を径方向の全面でN−領域となる
ようにすれば、径方向の全面でN−領域となるシリコン
単結晶を形成することができる。
項12に記載したように磁場強度とすることができ、請
求項13に記載したように結晶回転速度とすることがで
きる。これらにより、シリコン融液の対流が影響され、
欠陥分布を変更することができるので、これを修正に用
いることができるし、またその変更、調整が容易であ
る。
明は、チョクラルスキー法によってシリコン単結晶を製
造する場合において、少なくとも成長方向の一部分で、
結晶の径方向の全面がN−領域となるようにして結晶を
引上げる場合に、ルツボの回転速度を変更したため、N
−領域を得るための結晶引上げ速度が変化した場合に
は、それに応じてN−領域を得るための結晶引上げ速度
を変更することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法
である。
てルツボの回転速度を変更した場合には、磁場強度や結
晶回転速度の変更が温度勾配Gに与える影響とは異な
り、Gの絶対値そのものが変更する、あるいは酸素濃度
が変化するため、そのままの引上げ速度ではN−領域か
ら外れてしまうので、引上げ速度を変更すれば、径方向
の全面でN−領域となるシリコン単結晶を形成すること
ができる。
ルツボの回転速度を変更して全面N−領域となる結晶を
引上げる場合に、先ず、引上げ速度漸減実験を行って、
N−領域となる結晶引上げ速度を実験で確認し、次い
で、その確認した引上げ速度を基準にして、結晶を育成
するようにすれば、より一層安定して軸方向にN−領域
を拡大した高品質のシリコン単結晶を製造することがで
きる。
明は、請求項1ないし請求項15に記載した方法で製造
されたシリコン単結晶である。このように、前記請求項
1ないし請求項15に記載した方法によってシリコン単
結晶を製造すれば、たとえ外乱によって製造条件が変動
し、あるいは意図的に変動を与えても、容易にかつ速や
かに正常値に修復することができ、結晶の径方向の全面
でN−領域となり、結晶の軸方向の広範囲でN−領域と
なる極低欠陥のシリコン単結晶を製造することができ
る。
明は、請求項16に記載されたシリコン単結晶から製造
されたシリコン単結晶ウエーハである。このように、本
発明によって製造されたシリコン単結晶から作製される
シリコン単結晶ウエーハは、結晶の全面でN−領域であ
り、極低欠陥であるので、極めて有用なシリコンウエー
ハとすることができる。
発明はこれらに限定されるものではない。説明に先立ち
各用語につき予め解説しておく。 1)FPD(Flow Pattern Defec
t)とは、成長後のシリコン単結晶棒からウェーハを切
り出し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチン
グして取り除いた後、K2 Cr2 O7 と弗酸と水の混合
液で表面をエッチング(Seccoエッチング)するこ
とによりピットおよびさざ波模様が生じる。このさざ波
模様をFPDと称し、ウェーハ面内のFPD密度が高い
ほど酸化膜耐圧の不良が増える(特開平4−19234
5号公報参照)。
it Defect)とは、FPDと同一のSecco
エッチングを施した時に、流れ模様(flow pat
tern)を伴うものをFPDと呼び、流れ模様を伴わ
ないものをSEPDと呼ぶ。この中で10μm以上の大
きいSEPD(LSEPD)は転位クラスターに起因す
ると考えられ、デバイスに転位クラスターが存在する場
合、この転位を通じて電流がリークし、P−Nジャンク
ションとしての機能を果たさなくなる。
ring Tomography Defect)と
は、成長後のシリコン単結晶棒からウエーハを切り出
し、表面の歪み層を弗酸と硝酸の混合液でエッチングし
て取り除いた後、ウエーハを劈開する。この劈開面より
赤外光を入射し、ウエーハ表面から出た光を検出するこ
とでウエーハ内に存在する欠陥による散乱光を検出する
ことができる。ここで観察される散乱体については学会
等ですでに報告があり、酸素析出物とみなされている
(Jpn.J.Appl.Phys. Vol.32,
P3679,1993参照)。また、最近の研究では、
八面体のボイド(穴)であるという結果も報告されてい
る。
nated Particle)とは、ウエーハの中心
部の酸化膜耐圧を劣化させる原因となる欠陥で、Sec
coエッチではFPDになる欠陥が、SC−1洗浄(N
H4 OH:H2 O2 :H2 O=1:1:10の混合液に
よる洗浄)では選択エッチング液として働き、COPに
なる。このピットの直径は1μm以下で光散乱法で調べ
る。
tion:格子間転位ループの略号)には、LSEP
D、LFPD等があり、転位ループ起因と考えられてい
る欠陥である。LSEPDは、上記したようにSEPD
の中でも10μm以上の大きいものをいう。また、LF
PDは、上記したFPDの中でも先端ピットの大きさが
10μm以上の大きいものをいい、こちらも転位ループ
起因と考えられている。
て、図面を参照しながら詳細に説明する。図1ないし図
4は、結晶引上げ製造条件の変動に伴う欠陥分布を、パ
ラメータとして結晶引上げ速度V[mm/min]を縦
軸に、結晶直径を横軸として示した欠陥分布図である。
図5は本発明で使用した引上げ炉の慨略図である。
5号で提案したように、CZ法によるシリコン単結晶成
長に関し、V領域とI領域の境界近辺について、詳細に
調査したところ、この境界近辺の極く狭い領域にFP
D、LSTD、COPの数が著しく少なく、L/Dも存
在しないニュートラルな領域があることを発見した。
ハ全面に広げることができれば、点欠陥を大幅に減らせ
ると発想し、成長(引上げ)速度と温度勾配の関係の中
で、結晶のウエーハ面内では、引上げ速度はほぼ一定で
あるから、面内の点欠陥の濃度分布を決定する主な因子
は温度勾配である。つまり、ウエーハ面内で、軸方向の
温度勾配に差があることが問題で、この差を減らすこと
が出来れば、ウエーハ面内の点欠陥の濃度差も減らせる
ことを見出し、結晶中心部の温度勾配Gcと結晶周辺部
分の温度勾配Geとの差△G[℃/mm]=|Ge−G
c|を出来るだけ小さくなるように炉内構造を設定し、
炉内温度を制御して引上げ速度を調節すれば、ウエーハ
全面がN領域からなる欠陥のないウエーハが得られるよ
うになった。
響するのは炉内構造のみならず、その他の製造条件の変
動でも欠陥の発生やその分布に対する影響が極めて大き
いことが判った。そこで、本発明者らは、先ず炉内構造
以外のパラメータを変化させて、欠陥分布に与える影響
を調査した。その結果、数あるパラメータの中で、特に
印加する横磁場の強度と引上げ中の結晶回転速度を変化
させた時に、欠陥分布が大きく変化していることを発見
した。
内構造(HZ−1とする)を使用して、横磁場強度30
00Gauss、結晶回転速度15rpmという条件
で、引上げ速度を高速から低速に漸減する引上げ実験を
行った。図5の本発明に使用した引上げ炉の慨略図に示
したように、引上げ炉30で、18インチ石英ルツボ3
2に原料多結晶シリコンを40Kgチャージし、直径6
インチ、方位<100>、直胴長さ約60cmのシリコ
ン単結晶棒1を引上げた。炉内構造HZ−1は、結晶の
固液界面4の外周に環状の固液界面断熱材8を設置し、
該断熱材下端と融液面3との間に間隔S[mm]を設け
たもので、Sを調節することによりGおよび△Gを制御
することができる。HZ−1では、S=30mmに設定
し、結晶中心温度勾配Gc=3.551℃/mm、結晶
周辺温度勾配Ge=3.552℃/mm、△G=0.0
01℃/mmとした。なお、これらの値はFEMAG
(総合伝熱解析ソフト)による計算値である。
に、N−領域がほぼ径方向に広がって存在していた。こ
のとき、N−領域の限界は平坦となっており、最大限に
拡大されたもので、N−領域の結晶軸方向への拡大も容
易であることが判る。ここで言う、N−領域とは、OS
F領域(OSFリング)を含むV−リッチ領域境界線と
I−リッチ領域境界線との間の領域を指している。尚、
製造条件と炉内構造およびその結果の関係を表1にまと
めておいた。また、欠陥分布もフラットであり、Gの面
内分布もフラットであるので、このとき、計算によるG
分布と実際のGが少なくとも相対的に合っていることを
示す。
横磁場強度0Gauss、結晶回転速度15rpmとい
う条件で、引上げ速度漸減実験を行った。この結果は、
図2に示したように、OSFリングが斜めに閉じるよう
な分布になっていた。この場合、全面N−領域となるウ
エーハは1枚取れるか取れないかであり、このままでは
結晶軸方向への拡大も大変困難であることが判る。ま
た、この現象をV/Gから推測すると、引上げ速度Vは
一定であるから、結晶中心の温度勾配Gcを減少させ、
周辺のGeを増加させていることが判る。つまり、磁場
強度を下げれば下げる程、Gcは小さくなり、Geは大
きくなることを示唆している。逆に言えば磁場強度を上
げれば上げる程、Gcは大きくなり、Geは小さくなる
ことを意味している。
1を使用し、横磁場強度3000Gauss、結晶回転
速度5rpmという条件で、引上げ速度漸減実験を行っ
た。この結果は、図3に示したように、引上−2と同様
にOSFリングが斜めに閉じるような分布になってい
た。この場合、特に全面N−領域となる部分は無く、こ
れでは全面N−領域となる結晶は作れないことになる。
Gの変化の傾向は、結晶回転速度を下げれば下げる程、
Gcが下がり、Geが大きくなっていた。
晶回転速度は結晶の変形や面内均一性等に関係するパラ
メータであるので、操業条件によっては、変更せざるを
得ない場合がある。このような場合には、同一炉内構造
(HZ)を使用して全面N−領域となる結晶を製造する
ことは困難である。縦方向への安定成長は、引上−2で
も困難で、引上−3では全く製造できない。
の安定成長のための対策を考えた。外乱や意図的な操業
条件の変化によりGが変動するのであれば、それに連動
してHZを変更し、Gを調節すればよい。逆にHZを固
定して操業条件を変更しGを調節することも可能であ
る。
ことにした。いずれの場合も、△Gを小さくする方向に
補正すればよいので、△Gを変化させるのに有効な図5
に示されている間隔Sを変更してHZ−2、HZ−3の
2種類の炉内構造を準備し、引上げを行った。HZ−2
では、S=40mmに設定し、HZ−3では、S=50
mmに設定した。
上−2(磁場強度:0Gauss)と同じ条件で、引上
−5は、HZ−3を使用した以外は引上−2と同じ条件
で、引上げ速度漸減実験を行った。引上−4の場合は、
図1に近い、OSFリングがフラットになるような結晶
が得られた。また、引上−5の場合は、逆にOSFが僅
か逆M字型に閉じるような図4のような分布となった。
引上−5の場合は、全面N−領域の範囲は狭くなってし
まう。この比較実験ではHZ−2を使用して引上げるの
が、N−領域の限界も広く良いことが判った。すなわ
ち、磁場の印加を中止するという製造条件の変動を間隔
Sを変えるという炉内構造の調節により、再び図1のよ
うな理想的な欠陥分布を得ることができる。
外は引上−3(結晶回転速度:5rpm)と同じ条件
で、引上−7は、HZ−3を使用した以外は引上−3と
同じ条件で、引上げ速度漸減実験を行った。引上−6の
場合は、図2に近い、全面N−領域があるが、まだOS
Fリングが真横に閉じないような分布になった。引上−
7の場合は、図1に近いOSFリングが真横に閉じるよ
うな分布となった。この比較実験では、HZ−3を選択
するのが良いということになる。
1の条件(横磁場強度3000Gauss)でHZ−
2、HZ−3を使用して引上げると、双方とも図4のよ
うな逆M字型に閉じるような分布になった。つまり、こ
の場合は、逆にも言える。すなわち、ある条件で引上げ
たら図4のような分布になった場合は、△Gが0または
マイナスになっているので、HZ−3からHZ−1の方
向、すなわち、△Gを大きくする方向に炉内構造を調節
すればよい。
条件が変化した場合に、炉内構造を追随させて行けば、
どのような条件でも径方向の全面でN−領域であるシリ
コン単結晶ウエーハを製造することが可能となった。
因となって径方向の全面でN−領域とはならなくなった
場合には、炉内構造以外の製造条件を調節してGの径方
向傾斜を小さくし、V/G値を径方向の全面でN−領域
となるようにすれば、径方向の全面でN−領域となるシ
リコン単結晶を形成することができる。
となる適切な炉内構造や製造条件を求めるのに実験的手
法を用いてきたが、トライアンドエラー的な要素が強
く、無駄な実験を数多く強いられる可能性も高く、能率
が悪い。そこで、計算を用いて、磁場強度等の炉内構造
以外の製造条件が変動した場合の、炉内構造の調節方法
を見出す方法を検討した。
速度等の製造条件のGに対する影響を、相対的に正確に
求められるCZ法引上げ炉内の総合伝熱解析ツールがあ
ればそれで計算すればよい。しかし、現状のツールで
は、対流を加味した状態で二次元の伝熱解析では、様々
な状態のGを相対的に正確に求めることは困難であり、
比較ができない場合もある。そこで、理想的な三次元シ
ュミレータがない状況での計算方法を検討した。
シュミレーションの結果を合わせこむ必要がある。或は
シュミレーションの結果と合う条件を実験で見つけても
よい。ここでは、前記引上−1の条件でシュミレーショ
ンの解析結果が合うようになっている。この合う合わな
いの基準は、例えば、引上げ速度漸減実験時のOSF等
の各欠陥分布の境界と、解析で求めたGから割り出した
V/G値の分布を比較して、例えば、OSF内側のライ
ンがV/Gのある一つの値で示されていれば、少なくと
も相対的には合っていることになる。
−1)で引上げ速度漸減実験を行い、OSF内側、OS
F外側、N(V)/N(I)境界、I−リッチ境界等の
各境界および各位置での引上げ速度Vを明確にしてお
く。次に結晶の長さを次々と変化させた熱解析を行って
Gを算出し、この各欠陥境界と計算で求まるV/Gを比
較して各境界をV/Gにより定量化しておく。
て求める。例えば、引上−2の場合、OSFリングやN
(V)/N(I)境界、I−リッチ境界等をまたぐよう
な径方向の一つの線を使用して、この時の引上げ速度と
先に求めたV/Gから、各境界との交点のGを逆算して
求めた。この場合、Gの値が解析値と比較して、結晶中
心で―3.7%、V/Gの有効範囲の周辺(外方拡散の
影響のない内側)で+1.4%となっており、引上−2
の条件のGの分布が求められたことになる。
今度は炉内構造の予測を行う。数種類の熱解析を行い、
最後の先程求めた補正をかければほぼ正確にGの分布を
求めることができる。以上のような方法で、あくまでも
Gがフラットになるような、すなわち△Gが0に近くな
るような炉内構造を見出し、その炉内構造を設定して引
上げれば、炉内構造以外の製造条件が変化しても全面N
−領域の結晶を安定して製造できるようになった。続い
て以上の方法でHZ−2の解析を行ったところ、Gは間
違いなくフラットになった。
のGの補正量を算出し、その補正を加味した解析を行え
ば、この条件でも最適な炉内構造を見出すことが出来
る。この実験にシュミレーションを合わせこむ方法もま
た、どのような状況変化に対する欠陥分布の変化にも使
用可能である。
方向への拡大の難易性について検討した。 図1の場合
は全く問題は無く、軸方向への拡大は容易であり、図2
のような場合は、拡大は極めて困難である。従って、出
来るだけ図1のようにOSFリングが真横に閉じるよう
な条件で操業を行うことが望ましい。
の意図的な引上げ速度Vの制御からモーター起因の固有
の引上げ速度Vの変動があり、この変動によってN−領
域となるV/Gの範囲から外れた時にグローンイン欠陥
が発生する。つまり、引上げ炉の△Vに対するV/Gの
範囲から計算される最大許容△G以下にすれば、N−領
域が確保される。この△Vと最大許容△Gとの関係をN
−領域境界のV/Gから求めたところ、引上げ炉固有の
△V[mm/min]に対し、△G[℃/mm]が、
△G=―6.5△V+0.1785 の関係式から求ま
る値以下にすれば、N−領域の成長方向への拡大が安定
することを発見した。
m/min]の時、最大許容△Gが0.0485[℃/
mm]以下になれば安定することになる。そこで、△G
が0.1[℃/mm]の炉内構造および操業条件(引上
−8)と0.02[℃/mm]の炉内構造および操業条
件(引上−9)で、成長軸方向のGの変化を考慮して、
引上げ速度を少しづつ下げながら引上げを行ったとこ
ろ、引上−8では所どころでFPDやLFPD、LSE
P等が発生したが、引上−9では、結晶の直胴部10c
m以降はグローンイン欠陥の存在しない結晶の育成に成
功した。
晶引上げ炉の構成例を図5により説明する。図5に示す
ように、この単結晶引上げ装置30は、引上げ室31
と、引上げ室31中に設けられたルツボ32と、ルツボ
32の周囲に配置されたヒータ34と、ルツボ32を回
転させるルツボ保持軸33及びその回転機構(図示せ
ず)と、シリコンの種結晶5を保持するシードチャック
6と、シードチャック6を引上げるワイヤ7と、ワイヤ
7を回転又は巻き取る巻取機構(図示せず)を備えて構
成されている。ルツボ32は、その内側のシリコン融液
(湯)2を収容する側には石英ルツボが設けられ、その
外側には黒鉛ルツボが設けられている。また、ヒータ3
4の外側周囲には断熱材35が配置されている。
を設定するために、炉内構造の例として結晶の固液界面
4の外周に環状の固液界面断熱材8を設けている。この
固液界面断熱材8は、その下端とシリコン融液2の湯面
3との間に1〜10cmの間隔Sを設けて設置される。
この間隔Sは、結晶引上げ開始時のルツボの位置、原料
の量によって調節することができるし、別に固液界面断
絶材8自体を昇降可能に構成し、間隔Sを制御するよう
にしてもよい。さらに、冷却ガスを吹き付けたり、輻射
熱を遮って単結晶を冷却する筒状の冷却装置(不図示)
を設けることもある。別に、引上げ室31の水平方向の
外側には、磁石36を設置し、シリコン融液2に水平方
向の磁場を印加することによって、融液の対流を抑制
し、単結晶の安定成長をはかるようにしている。
単結晶育成方法について説明する。まず、ルツボ32内
でシリコンの高純度多結晶原料を融点(約1420°
C)以上に加熱して融解する。次に、ワイヤ7を巻き出
すことにより融液2の表面略中心部に種結晶5の先端を
接触又は浸漬させる。その後、ルツボ保持軸33を適宜
の方向に回転させるとともに、ワイヤ7を回転させなが
ら巻き取り、種結晶5を引上げることにより、単結晶育
成が開始される。以後、引上げ速度と温度を適切に調節
することにより略円柱形状の単結晶棒1を得ることがで
きる。
成するために特に重要であるのは、炉内構造として引上
げ室31の湯面3上の単結晶棒1中の液状部分の外周空
間において、湯面近傍の結晶の融点から1400℃まで
の温度域が制御できるように環状の固液界面断熱材8を
設けたことである。
に、引上げ室31内に環状固液界面断熱材8を設け、こ
の下端と融液表面3との間隔Sを例えば1〜10cmの
範囲で調節すればよい。こうすれば、上記結晶中心部分
の温度勾配Gc[℃/mm]と結晶周辺部分の温度勾配
Ge[℃/mm]との差△G=|Ge〜Gc|を制御す
ることができる。
造されたシリコン単結晶およびこのシリコン単結晶をス
ライスして得られるシリコン単結晶ウエーハは、結晶の
径方向で全面N−領域であり、軸方向にも拡大している
ので結晶全域でN−領域であり、従ってFPD、COP
等のグローンイン欠陥やLSEP,LFPD等の転位ク
ラスターがウエーハ全面内に存在しない極低欠陥品であ
る。
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
インチのシリコン単結晶を育成する場合につき例を挙げ
て説明したが、本発明はこれには限定されず、直径8〜
16インチあるいはそれ以上のシリコン単結晶にも適用
できる。また、本発明は、シリコン融液に水平磁場、縦
磁場、カスプ磁場等を印加するいわゆるMCZ法にも適
用できることは言うまでもない。
ある炉内構造の下で正常な欠陥分布を有するシリコン単
結晶の引上げが行われている時、外乱あるいは意図的な
製造条件の変動により欠陥分布に異常を来した場合に、
炉内構造を適切に調節することによって修復可能とな
り、どのような条件下でも安定して全面N−領域となる
結晶を引上げることができ、極低欠陥シリコン単結晶の
歩留りと生産性の向上を図ることができる。また、各引
上げ炉固有の最小引上げ速度振れ幅に対する△Gが得ら
れたので、炉内構造を適切に調節することによって成長
方向にも安定して全面N−領域となる結晶を引上げるこ
とが可能となった。
結晶軸方向における、結晶の径方向位置を横軸とし、引
上げ速度Vを縦軸として表した諸欠陥分布図である。
合の例を示す諸欠陥分布図である。
た場合の例を示す諸欠陥分布図である。
た場合の例を示す諸欠陥分布図である。
置の概略説明図である。
結晶の径方向位置を横軸とし、成長速度を縦軸とした場
合の諸欠陥分布図である。
内欠陥分布との関係を表した説明図である。(A)高速
引上げの場合、(B)中速引上げの場合、(C)低速引
上げの場合。
固液界面、5…種結晶、6…シードチャック、7…ワイ
ヤ、8…環状固液界面断熱材、30…単結晶引上げ炉、
31…引上げ室、32…ルツボ、33…ルツボ保持軸、
34…ヒータ、35…断熱材、36…磁石。S…湯面と
固液界面断熱材下端との間隔、V…V−リッチ領域、N
…N−領域、OR…OSF領域、 I…I−リッチ領域
(L/D領域)。
Claims (17)
- 【請求項1】 チョクラルスキー法によってシリコン単
結晶を製造する場合において、少なくとも成長方向の一
部分で、結晶の径方向の全面がN−領域となるようにし
て結晶を引上げる場合に、引上げ炉の炉内構造以外の製
造条件が変動して、結晶中の固液界面近傍の融点から1
400℃の間の温度勾配G(温度変化量/結晶軸方向長
さ)[℃/mm]の径方向分布が傾斜し、そのため結晶
引上げ速度をV[mm/min]とした時のV/G[m
m2 /℃・min]値がN−領域となるある範囲から外
れて、径方向の全面でN−領域とはならなくなった場合
に、引上げ炉の炉内構造を調節してGの径方向の傾斜を
小さくし、V/G値を径方向の全面でN−領域となるよ
うな値にすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方
法。 - 【請求項2】 前記引上げ炉の炉内構造の調節は、結晶
の固液界面の外周に環状の固液界面断熱材を設けて、該
断熱材下端と融液面との間隔S[mm]を調節すること
により行うことを特徴とする請求項1に記載したシリコ
ン単結晶の製造方法。 - 【請求項3】 磁場を印加するチョクラルスキー法によ
ってシリコン単結晶を製造する場合において、磁場強度
の変動に対して前記炉内構造を調節することを特徴とす
る請求項1または請求項2に記載したシリコン単結晶の
製造方法。 - 【請求項4】 チョクラルスキー法によってシリコン単
結晶を製造する場合において、結晶回転速度の変動に対
して前記炉内構造を調節することを特徴とする請求項1
ないし請求項3のいずれか1項に記載したシリコン単結
晶の製造方法。 - 【請求項5】 炉内構造以外の製造条件の変動に伴いG
の径方向分布が変化した時に、その製造条件で少なくと
も2種類以上の炉内構造を用いて、引上げ速度を漸増さ
せる引上げあるいは引上げ速度を漸減させる引上げを実
施して、ある引上げ速度の時に、径方向の全面でN−領
域となるような炉内構造を見出すことを特徴とする請求
項1ないし請求項4のいずれか1項に記載したシリコン
単結晶の製造方法。 - 【請求項6】 炉内構造以外の製造条件の変動に伴いG
の径方向分布が変化した時に、その影響を正確に計算で
きるシュミレータを使用して解析し、径方向の全面でN
−領域となる炉内構造を見出すことを特徴とする請求項
1ないし請求項4のいずれか1項に記載したシリコン単
結晶の製造方法。 - 【請求項7】 炉内構造以外の製造条件の変動に伴いG
の径方向分布が変化した時に、その影響を正確に計算で
きない、あるいはそのような比較を行わないシュミレー
タを使用する場合、そのシュミレータを製造条件が変動
する前に得られた実験結果に合わせ込むか、または解析
結果に合うような条件を探しておいて、その条件で引き
上げた結晶の引上げ速度Vを、解析から求まるGで割っ
た値、V/G値を比較して、欠陥分布の各境界のV/G
値を定量化しておいて、次に炉内構造以外の条件が変わ
り、欠陥分布が変化した場合に、先に求めたV/G値
と、変化した条件で新たに引上げた結晶の引上げ速度及
び欠陥分布を比較して、Gの値を逆算して求め、計算G
値からその条件での実際G値への補正量を計算しておい
て、次に様々な炉内構造の解析を行い、その結果にこの
補正を行った上で、△Gが最小となる炉内構造を探すこ
とにより、径方向の全面がN−領域となる炉内構造を見
出すことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれ
か1項に記載したシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項8】 前記欠陥分布図において、引上げ速度を
高速から低速に漸減する、あるいは引上げ速度を低速か
ら高速に漸増する場合に、OSFリングの内側ライン、
OSFリングの外側ライン、V−リッチ領域側N−領域
とI−リッチ領域側N−領域の境界ラインおよび転位ル
ープが発生し始めるラインの中の少なくとも1つ以上を
V/G値により定量化しておいて、炉内構造以外の製造
条件が変わった場合には、同様な引上げを行い、欠陥分
布が変化した場合に、先に求めたV/G値と引上げ速度
を利用して結晶径方向に各境界位置でのGの値を逆算
し、計算G値からその条件での実際G値への補正量を計
算しておいて、次に様々な炉内構造の解析を行い、その
結果にこの補正を行った上で、△Gが最小となる炉内構
造を探すことにより、径方向の全面がN−領域となる炉
内構造を見出すことを特徴とする請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載したシリコン単結晶の製造方
法。 - 【請求項9】 チョクラルスキー法によりシリコン単結
晶を製造する場合において、引上げ炉内の温度分布と引
上げ速度を調節して、少なくとも結晶の径方向に形成さ
れるN−領域を結晶の軸方向に拡大する場合に、各引上
げ炉固有の最小引上げ速度変動幅△V[mm/min]
に対応した最大の△G以下となる炉内構造により結晶を
引上げることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項10】 前記各引上げ炉固有の△V[mm/m
in]に対し、 △G=―6.5△V+0.1785 の関係で求まる△G[℃/mm]値以下になるように炉
内構造を調節して結晶を引上げることを特徴とする請求
項9に記載したシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項11】 チョクラルスキー法によってシリコン
単結晶を製造する場合において、少なくとも成長方向の
一部分で、結晶の径方向の全面がN−領域となるように
して結晶を引上げる場合に、引上げ炉の炉内構造が変化
して、温度勾配Gの径方向分布が傾斜し、そのためV/
G値が、N−領域となるある範囲から外れて、径方向の
全面でN−領域とはならなくなった場合に、引上げ炉の
炉内構造以外の製造条件を調節して、Gの径方向傾斜を
小さくし、V/G値を径方向の全面でN−領域となるよ
うな値にすることを特徴とするシリコン単結晶の製造方
法。 - 【請求項12】 前記調節する製造条件が、磁場強度で
あることを特徴とする請求項11に記載したシリコン単
結晶の製造方法。 - 【請求項13】 前記調節する製造条件が、結晶回転速
度であることを特徴とする請求項11または請求項12
に記載したシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項14】 チョクラルスキー法によってシリコン
単結晶を製造する場合において、少なくとも成長方向の
一部分で、結晶の径方向の全面がN−領域となるように
して結晶を引上げる場合に、ルツボの回転速度を変更し
たため、N−領域を得るための結晶引上げ速度が変化し
た場合には、それに応じてN−領域を得るための結晶引
上げ速度を変更することを特徴とするシリコン単結晶の
製造方法。 - 【請求項15】 前記ルツボの回転速度を変更して全面
N−領域となる結晶を引上げる場合に、先ず、引上げ速
度漸減実験を行って、N−領域となる結晶引上げ速度を
実験で確認し、次いで、その確認した引上げ速度を基準
にして、結晶を育成することを特徴とする請求項14に
記載したシリコン単結晶の製造方法。 - 【請求項16】 請求項1ないし請求項15に記載の方
法で製造されたことを特徴とするシリコン単結晶。 - 【請求項17】 請求項16記載のシリコン単結晶から
製造されたことを特徴とするシリコン単結晶ウエーハ。
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