JP4844428B2 - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化アルミニウムの融液から結晶成長によりサファイア単結晶を製造する方法に関する。
サファイアは、六方晶の結晶構造を有する酸化アルミニウムの単結晶(融点:約2050℃)である。サファイア単結晶は、種々の用途に用いられており、例えば、青色LED用のGaN成膜基板などの基板材料として使用される。サファイア単結晶は異方性を有する材料であり、サファイア単結晶のインゴットからGaN成膜用のウエハを切り出す場合、ウエハの主面がサファイア単結晶のc軸<0001>に垂直な面(c面)となるように切り出すことが一般的である。
また、サファイアは光学的に一軸性の透明材料であることから液晶プロジェクタ用フィルムなどの光学材料としても使用される。光学材料として使用する場合、着色がなく透明であることが要求される。また、サファイア単結晶の偏光特性から、上記の基板材料の場合と同様、c軸に垂直な面を主面とする基板(以下、「c面基板」という。)が主に使用される。
サファイア単結晶のインゴットからc面基板を切り出す場合、材料をなるべく無駄にしないためには、c軸方向に結晶を育成して略円柱状のインゴットを得るとともに、このインゴットをc軸方向(インゴットの軸方向)に対して垂直に切断することが望ましい。しかしながら、c軸方向に結晶を育成した場合、泡欠陥が生じやすいことが知られている。インゴット内に泡欠陥があると、加工時に割れが生じやすく、また、基板材料や光学材料として使用した場合にそれらの特性が不十分となりやすい。泡欠陥の発生を低減する方法として、サファイア単結晶の育成方向をc軸から所定角度ずらした方向としたり、c軸に垂直なa軸又はm軸方向とすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、サファイア単結晶の製法として、チョクラルスキ法、ベルヌイ法、EFG法、キロプロス法などが挙げられる。これらのなかでもチョクラルスキ法は、単結晶の大型化が可能であるとともに、温度勾配の調整が比較的容易なことから高品質のインゴットを作製可能とされる。チョクラルスキ法では、るつぼ内に入れた原料を溶融し、当該融液にサファイア単結晶からなる種結晶を接触させて、これを回転させながら引き上げて単結晶を成長させる。
チョクラルスキ法では、一般にサファイア単結晶の育成は不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)中又は真空中で行われる。しかしながら、サファイア単結晶の原料である酸化アルミニウムを加熱して溶融させると、原料の一部が分解して酸素が発生し、これが泡欠陥の原因となり得る。このようにして生じる余分な酸素を融液から除去するために不活性ガスに水素や一酸化炭素を添加して、泡欠陥の発生を低減する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−83316号公報 特許第2962795号公報
しかしながら、上述の通り、サファイア単結晶をc軸方向に成長させた場合には泡欠陥が発生しやすく、特許文献2のように水素や一酸化炭素が添加された不活性ガスの雰囲気下にて結晶の育成を行ったとしても、泡欠陥の発生について改善の余地があった。
本発明は、上記実情に鑑み、サファイア単結晶をc軸方向に成長させた場合であっても泡欠陥の発生を十分に低減できるサファイア単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、酸素と不活性ガスとの混合ガスの雰囲気下、酸化アルミニウムの融液から結晶成長によりサファイア単結晶を製造する方法であって、るつぼ内に収容された融液からサファイア単結晶を回転させながら引き上げて当該サファイア単結晶のインゴットの肩部を形成する肩部形成工程と、当該サファイア単結晶を回転させながら引き上げて肩部の下方に延在するようにインゴットの直胴部を形成する直胴部形成工程と、を備え、直胴部形成工程において直胴部の下端面が水平面となるように当該サファイア単結晶の引上げ速度及び回転速度を調整することを特徴とする方法を提供する。
本発明者らは、微量の酸素の存在下にて結晶の育成を行うことによって、原料の酸化アルミニウムの分解に起因して生じる泡欠陥を低減できることを見出した。この主因は以下のように推察される。すなわち、結晶育成中の雰囲気ガスとして不活性ガスと微量の酸素との混合ガスを使用することで、融液と雰囲気ガスとの界面において酸素濃度が平衡状態となりやすい。そのため、融液からの酸素の離脱を抑制することができ、融液から作製される単結晶中の酸素欠損が低減されることで泡欠陥の発生が低減される。なお、泡欠陥の発生を十分に低減する観点から混合ガスの酸素濃度(混合ガスの全体積基準)は0.2〜0.5体積%であることが好ましい。
また、泡欠陥は原料の分解に起因するものだけでなく、サファイア単結晶の異方性にも起因して生じると考えられる。すなわち、結晶の成長速度はその成長方位によって大きく異なるため、成長速度が遅い部分には泡欠陥が取り込まれやすいと考えられる。例えば、サファイア単結晶を一定の速度で引き上げて育成したとしても、育成中のサファイア単結晶の下端面は融液側に膨らんだ形状となる場合がある。単結晶の下端面が十分に水平になっていないと、結晶の成長方向にばらつきが生じる。そうすると、結晶の成長速度にもばらつきが生じ、上記の通り泡欠陥が生じやすくなる。
なお、上記の場合、サファイア単結晶の下端面の融液側に膨らんだ部分は融液中に浸った状態となっている。サファイア単結晶の下端面がこのような形状となるのは、サファイア単結晶はその透明性の高さから輻射を透過しやすく、融液の温度と比較して、結晶化した部分の温度の方が低くなるためと考えられる。
結晶の成長速度のばらつきを抑制するため、本発明では直胴部形成工程において直胴部の下端面が水平面となるように当該サファイア単結晶の引上げ速度及び回転速度を調整する。引上げ速度及び回転速度を調整することによって、るつぼ内の融液の対流の状態を調整して直胴部と融液との界面の温度分布の均一化が図られる。
るつぼ内の融液は温度が高い部分と低い部分とでは密度が異なるため、融液の対流が発生する。るつぼ内では、通常、るつぼの内壁面に接する外側で融液が加熱されて膨張して上昇した後、融液の表面で冷却されて収縮してるつぼの中央部付近から再び下方に沈み込むといった自然対流が生じる。自然対流は融液に接している単結晶の直径が小さい段階(例えば、肩部形成工程の初期)でその回転速度が遅い場合に生じやすい。
これに対し、単結晶の直径が大きい段階(例えば、肩部形成工程の終期、直胴部形成工程)や単結晶の回転速度が速い場合には、融液が単結晶の回転に引きずられ、その遠心力によって表面付近の融液は外側に向けて流れようとする。単結晶の直径及びその回転速度が十分に大きい場合には、融液の対流はるつぼの内壁面側で沈み込み、るつぼの中央部付近で上昇するといった強制対流となる。
本発明における直胴部形成工程は、直胴部形成工程は、るつぼ内において肩部形成工程後の肩部の下端部に向けて融液が当該るつぼ内の水平方向中心側の当該るつぼの下部から上方に流れ、当該るつぼの側壁面側で下方に流れる対流(強制対流)が生じるようにサファイア単結晶の回転速度を調整するとともに、当該肩部の下端部の融液に浸かっている部分が再溶融するようにサファイア単結晶の引上げ速度を減じる再溶融工程を備える。
再溶融工程では、回転速度を制御することによってるつぼ内の融液に強制対流を発生させる。回転速度の制御に加え、引上げ速度を制御することによって肩部形成工程で単結晶の下端面が水平でなく融液側に膨らんでいる場合に、その部分を再溶融させて単結晶の下端面を十分に水平にすることができる。
また、直胴部形成工程は、サファイア単結晶の回転速度を減速させながら、サファイア単結晶を引き上げてインゴットの下端部を形成する下端部形成工程を備えることが好ましい。単結晶の成長段階に合わせて、すなわち、るつぼ内の融液の残量に合わせて、単結晶の回転速度を徐々に遅くすることで、るつぼ内の融液の対流を十分に一定に保つことができ、単結晶の下端面が十分に水平となる。
また、本発明においては、サファイア単結晶の製造はサファイア単結晶を当該単結晶のc軸とのなす角が10°以内の方向に引き上げて行うことができる。上記範囲内の方向に引き上げてサファイア単結晶を育成することにより、c軸基板として使用可能なサファイア単結晶のインゴットを作製可能である。
本発明によれば、サファイア単結晶をc軸方向に成長させた場合であっても泡欠陥の発生を十分に低減できるサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本方法で用いる引き上げ装置について図1を参照して説明する。同図に示す引き上げ装置10は、高周波誘導加熱炉14を有している。この加熱炉14は耐火性を有する側壁が筒状の有底容器であり、有底容器の形状自体は公知のチョクラルスキ法に基づく単結晶育成に使用されるものと同様である。この加熱炉14の底部の該側面には高周波誘導コイル15が巻回されている。そして、加熱炉14の内部の底面上には、るつぼ17(例えば、Ir製のるつぼ)が配置されている。
るつぼ17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。そして、るつぼ17中に、サファイア単結晶の原料の酸化アルミニウムを投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけると、るつぼ17が加熱され、酸化アルミニウムの融液18が得られる。
また、加熱炉14の底部中央には、加熱炉14の内部から外部へ貫通する開口部(図示せず)が設けられている。そして、この開口部を通じて、加熱炉14の外部からるつぼ支持棒16が挿入されており、るつぼ支持棒16の先端はるつぼ17の底部に接続されている。このるつぼ支持棒16を回転させることにより、加熱炉14中において、るつぼ17を回転させることができる。開口部とるつぼ支持棒16との間には、パッキンなどによりシールされている。
次に、引き上げ装置10を用いたより具体的な製造方法について説明する。図2は本方法によるサファイア単結晶の製造工程を表す工程図である。本方法は、酸化アルミニウムを溶融して融液を得る溶融工程と、融液からサファイア単結晶を引き上げて育成する単結晶育成工程と、得られたサファイア単結晶のインゴットを冷却する冷却工程とを備えている。そして、単結晶育成工程は、インゴットの肩部を形成する肩部形成工程と、肩部の下方に延在する直胴部を形成する直胴部形成工程とからなる。
まず、るつぼ17中に、原料として酸化アルミニウムを投入した後、溶融工程に先立って、加熱炉14の空気を不活性ガスと酸素との混合ガスに置換する。この混合ガスの雰囲気下にて酸化アルミニウムの溶融及びサファイア単結晶の育成を行うことで融液からの酸素の離脱を抑制するためである。混合ガスの酸素濃度(混合ガスの全体積基準)は0.05〜0.5体積%であることが好ましく、0.2〜0.5質量%であることがより好ましい。当該酸素濃度が0.05体積%未満であると、酸化アルミニウムの融液から酸素が離脱して泡欠陥が生じやすくなり、他方、0.5体積%を超えると、イリジウム製のるつぼを使用する場合、るつぼが酸化してその強度が劣化しやすくなる。るつぼの強度劣化が著しいものになると結晶の育成中にるつぼが損傷してしまう。
加熱炉14内の空気を上記混合ガスで十分に置換した後、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、酸化アルミニウムの融液18を得る(溶融工程)。
次に、るつぼ17の上方から、種結晶2を下部先端に固定した引き上げ棒12を融液18の表面の中央部から融液18中に入れて種付けを行う(図1参照)。なお、サファイア単結晶のc軸の方向に結晶を育成させる場合は、種結晶2をそのc軸がるつぼ17の融液面に対して垂直となるように種付けすることが好ましい。種付け後、引き上げ棒12を回転させながら引き上げて、略円柱状の単結晶インゴット1を形成する(単結晶育成工程)。
単結晶育成工程は肩部形成工程と直胴部形成工程とからなる。肩部形成工程は、ヒータ13の加熱出力を調節し、単結晶インゴット1が所望の直径となるまで結晶を育成させる工程である。肩部形成工程を経ることによって単結晶インゴット1の肩部1aを形成する(図3参照)。なお、単結晶インゴット1の直径は50mm以上とすることが好ましい。直径を50mm以上にまで育成すると、直胴部形成工程において融液18の対流を制御しやすくなる。また、得られた単結晶インゴット1からサイズの大きい基板を切り出すことができる。
直胴部形成工程は、肩部1aの下方に延在する直胴部1bを形成する工程である。直胴部形成工程は、その初期段階に実施する再溶融工程と、その終期段階に実施する下端部形成工程とを有している。再溶融工程は上記の肩部形成工程後の肩部1aの下端部のうち、融液18に浸かっている部分を再溶融させる工程である。この再溶融工程を経ることによって肩部1aの下端面を十分に水平にすることができ、単結晶インゴット1の直胴部1bを育成するに際し、結晶の育成方向のばらつきを低減できる。
再溶融工程では、るつぼ17内において肩部形成工程後の肩部1aの下端部に向けて融液18がるつぼ17の水平方向中心側の下部から上方に流れ、るつぼ17の側壁面側で下方に流れる強制対流が生じるように引き上げ棒12の回転速度を調整する。これに加え、肩部形成工程後の肩部1aの下端部の融液18に浸かっている部分が再溶融するように引き上げ棒12の引上げ速度を一定の期間減じる。融液18の対流を強制対流としても、すぐに肩部1aの下端部の融液18に浸っている部分が再溶融するわけではないので、引き上げ棒12の引上げ速度を減じることで短い引き上げ距離の間に下端部の再溶融を行う。
なお、肩部形成工程後の肩部1aの下端面は、融液側に膨らんだ形状となりやすく、その膨らんだ部分は融液中に浸った状態となっている。サファイア単結晶の下端面がこのような形状となるのは、サファイア単結晶はその透明性の高さから輻射を透過しやすく、融液の温度と比較して、結晶化した部分の温度の方が低くなるためと考えられる。
再溶融工程で肩部1aの下端面を水平にした後は、回転速度を維持して融液18の流れを強制対流に維持したまま、引上げ速度を速めて直胴部1bを育成することができる。図3は単結晶インゴット1の直胴部1bを形成している状態を示しており、同図中の矢印Bは融液18の強制対流の流れを表すものである。これに対し、図1は肩部形成工程の初期の段階の状態を示しており、同図中の矢印Aは融液18の自然対流の流れを表すものである。
直胴部1bの育成が進み、るつぼ17内の融液18の量が少なくなってくると、その対流の状態を一定に維持することが困難となる。融液18の対流が不安定になると単結晶インゴット1の下端面に凹凸が生じやすくなり、それに伴い単結晶内の泡欠陥が顕著となったり、内部の応力が大きくなったりして加工時の割れの原因となる。
下端部形成工程は、直胴部育成工程の終期段階に引き上げ棒12の回転速度を減速させながら、引き上げ棒12を引き上げて単結晶インゴット1の下端部を形成する工程である。このようにるつぼ17内の融液18の減少に伴って回転速度を徐々に減速させながら育成することで、るつぼ17内の対流を安定的なものとすることができ、単結晶インゴット1の下端面を十分に水平にすることができる。
次に、冷却工程では、単結晶育成工程により得られた単結晶インゴット1を融液18から切り離した後、所定の速度で冷却する。
このような単結晶インゴット1の製造方法によれば、微量の酸素が存在する雰囲気下で結晶の育成を行うことで融液18からの酸素の離脱に起因して生じる泡欠陥を低減することができる。これに加え、直胴部形成工程において引き上げ棒12の引上げ速度及び回転速度を制御することで育成中の単結晶インゴット1の下端面が水平となるように維持して結晶を成長させることができる。これによりサファイア単結晶の異方性に起因して生じる泡欠陥を低減することができる。
また、育成中の単結晶インゴット1の下端面が水平となるように結晶成長させることにより、製造した単結晶インゴット1内部の応力を緩和することができる。例えば、単結晶インゴット1の下端面が下方(融液側)に膨らんだ形状となっていると、単結晶インゴット1の回転中心側の方が外周側と比較して低温で育成される。一方、単結晶インゴット1の下端面が上方にへこんだ形状となっていると、単結晶インゴット1の回転中心側の方が外周側と比較して高温で育成される。このように結晶育成中に単結晶インゴット1の回転中心側と外周側とで温度差があると内部応力の増大につながるところ、本方法によれば、このような応力の発生が緩和されるためこれを原因とする加工時の割れの発生を低減できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
直径100mm、深さ100mmのイリジウム製るつぼに、原料として純度99.99質量%以上の酸化アルミニウム2600gを充填した。このるつぼを高周波誘導加熱炉内に載置した。るつぼの外周にジルコニア製の円筒を配置して、るつぼ周辺を保温した。高周波誘導によってるつぼを加熱し、るつぼ内の原料を溶融させた。
サファイア単結晶のインゴットをチョクラルスキ法に基づき製造するにあたり、加熱炉内の雰囲気を酸素含有窒素(酸素濃度:0.25体積%)とし、圧力は大気圧とした。サファイアの種結晶を引き上げ棒の先端に固定し、この種結晶を原料の融液中に入れて種付けを行った。このとき、種結晶は、そのc軸が融液面に対して垂直となるように種付けをした。
種結晶を種付けした後、まず、単結晶インゴットの肩部を形成した(肩部形成工程)。すなわち、引き上げ棒を回転速度1回転/分で回転させるとともに、引上げ速度1.5mm/時間で引き上げた。融液の温度を調整することにより、単結晶インゴットの直径を60mmまで広げて肩部を形成した。このとき、単結晶インゴットの下端面は融液側に膨らんだ形状となっていた。
次いで、単結晶インゴットの直胴部を形成した(直胴部形成工程)。すなわち、引き上げ棒の回転速度を50回転/分、引上げ速度を0.1mm/時間にそれぞれ設定し、この条件にて2時間引き上げを続けた。これにより、単結晶インゴットの下端部の融液に浸っている部分(融液側に膨らんでいる部分)を再溶融させた(再溶融工程)。
その後、回転速度50回転/分及び引上げ速度0.7mm/時間の条件で単結晶インゴットを引き上げ、直胴部の長さが80mmとなるまでc軸方向に単結晶を育成した。そして、直胴部の長さが80mmとなったときに回転速度を114時間かけて50回転/分から35回転/分まで直線的に減じた(下端部形成工程)。
回転速度が35回転/分になった時点で、単結晶インゴットを切り離し、約20時間かけて冷却を行った。
得られた単結晶インゴットを目視により観察したところ、直胴部の大部分において泡欠陥は認められなかった。また、この単結晶インゴットを研削したところ、研削工程において割れは発生しなかった。
(実施例2)
引き上げ棒の回転速度及び引上げ速度の条件を変更したことの他は、実施例1と同様にしてサファイアの単結晶インゴットを作製した。すなわち、本実施例の再溶融工程では引き上げ棒の回転速度を70回転/分、引上げ速度を0.1mm/時間にそれぞれ設定し、この条件にて2時間引き上げを続けた。これにより、単結晶インゴットの下端部の融液に浸っている部分(融液側に膨らんでいる部分)を再溶融させた。
その後、回転速度70回転/分及び引上げ速度1.5mm/時間の条件で単結晶インゴットを引き上げ、直胴部の長さが80mmとなるまでc軸方向に単結晶を育成した。そして、直胴部の長さが80mmとなったときに回転速度を53時間かけて70回転/分から30回転/分まで直線的に減じた。
回転速度30回転/分になった時点で、単結晶インゴットを切り離し、約20時間かけて冷却を行った。
得られた単結晶インゴットを目視により観察したところ、直胴部の大部分において泡欠陥は認められなかった。また、この単結晶インゴットを研削したところ、研削工程において割れは発生しなかった。
(実施例3)
サファイア単結晶を育成する工程において、炉内の雰囲気を酸素含有窒素(酸素濃度:0.13体積%)としたこと、並びに、直胴部形成工程にて、引き上げ棒の回転速度及び引上げ速度の条件を変更したことの他は、実施例1と同様にしてサファイアの単結晶インゴットを作製した。すなわち、本実施例の直胴部形成工程では、回転速度40回転/分及び引上げ速度を0.01mm/時間にそれぞれ設定し、この条件にて4時間引き上げを続けた。これにより、単結晶インゴットの下端部の融液に浸っている部分(融液側に膨らんでいる部分)を再溶融させた。
その後、回転速度40回転/分及び引上げ速度0.7mm/時間の条件で単結晶インゴットを引き上げ、直胴部の長さが80mmとなるまでc軸方向に単結晶を育成した。そして、直胴部の長さが80mmとなったときに単結晶インゴットを切り離し、約20時間かけて冷却を行った。
得られた単結晶インゴットを目視により観察したところ、単結晶インゴットの中心付近に連なった泡欠陥が認められたが、単結晶インゴットの下部には泡欠陥はほとんど発生していなかった。また、この単結晶インゴットを研削したところ、研削工程において割れは発生しなかった。
参考例1
直胴部形成工程において、引き上げ棒の回転速度及び引上げ速度の条件を変更したことの他は、実施例1と同様にしてサファイアの単結晶インゴットを作製した。本参考例の直胴部形成工程では、単結晶インゴットの下端面を水平に維持しながら回転速度40回転/分及び引上げ速度を0.7mm/時間の条件で直胴部の長さが80mmとなるまでc軸方向に単結晶を育成した。そして、直胴部の長さが80mmとなったときに単結晶インゴットを切り離し、約20時間かけて冷却を行った。
得られた単結晶インゴットを目視により観察したところ、単結晶インゴットの中心軸上に泡欠陥が点々と発生していたが、泡欠陥が生じていない領域も存在していた。なお、この単結晶インゴットを研削したところ、単結晶インゴットの肩部において割れが発生した。
(比較例1)
サファイア単結晶を育成する工程において、炉内の雰囲気を窒素としたこと、並びに、直胴部形成工程にて、引き上げ棒の回転速度及び引上げ速度の条件を変更したことの他は、実施例1と同様にしてサファイアの単結晶インゴットを作製した。すなわち、本比較例の直胴部形成工程では、回転速度45回転/分及び引上げ速度を0.7mm/時間の条件で直胴部の長さが80mmとなるまでc軸方向に単結晶を育成した。そして、直胴部の長さが80mmとなったときに単結晶インゴットを切り離し、約20時間かけて冷却を行った。
得られた単結晶インゴットを目視により観察したところ、単結晶インゴットの中心部に筋状に連なった泡欠陥が発生していた。また、この単結晶インゴットを研削したところ、研削工程において割れが発生した。
表1に実施例1〜3、参考例1及び比較例1における育成条件並びに評価結果をまとめて示す。表1中の泡欠陥及び育成時間についての評価は下記の基準に基づき行った。
(泡欠陥についての評価基準)
A:直胴部に泡欠陥がほとんど発生していない、
B:直胴部に泡欠陥が部分的に発生している、
C:直胴部の一部分に泡欠陥が発生していない領域が存在する、
D:直胴部全体に泡欠陥が発生している。
(育成時間についての評価基準)
A:比較例1においてインゴットを作製するのに要した時間よりも短い、
B:比較例1においてインゴットを作製するのに要した時間と同程度、
C:比較例1においてインゴットを作製するのに要した時間よりもやや長い、
D:比較例1においてインゴットを作製するのに要した時間よりも長い。
Figure 0004844428
サファイア単結晶を製造するための引き上げ装置の一例を示す模式断面図である。 本発明に係るサファイア単結晶の製造方法の好適な製造工程を表す工程図である。 図1の引き上げ装置を使って単結晶の直胴部を形成している状態を示す模式断面図である。
符号の説明
1…単結晶インゴット、1a…肩部、1b…直胴部、2…種結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、14…高周波誘導加熱炉、15…高周波誘導コイル、17…るつぼ、18…融液。

Claims (4)

  1. 酸素と不活性ガスとの混合ガスの雰囲気下、酸化アルミニウムの融液から結晶成長によりサファイア単結晶を製造する方法であって、
    るつぼ内に収容された前記融液からサファイア単結晶を回転させながら引き上げて当該サファイア単結晶のインゴットの肩部を形成する肩部形成工程と、
    当該サファイア単結晶を回転させながら引き上げて前記肩部の下方に延在するように前記インゴットの直胴部を形成する直胴部形成工程と、
    を備え、
    前記直胴部形成工程は、前記直胴部の下端面が水平面となるように、前記るつぼ内において前記肩部形成工程後の前記肩部の下端部に向けて前記融液が当該るつぼ内の水平方向中心側の当該るつぼの下部から上方に流れ、当該るつぼの側壁面側で下方に流れる対流が生じるように前記サファイア単結晶の回転速度を調整するとともに、当該肩部の下端部の前記融液に浸かっている部分が再溶融するように前記サファイア単結晶の引上げ速度を減じる再溶融工程を有し、
    前記混合ガスの酸素濃度は0.13〜0.5体積%であることを特徴とする方法。
  2. 前記直胴部形成工程は、前記再溶融工程後に、前記引上げ速度を速めて前記直胴部を育成する工程を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記直胴部形成工程は、前記サファイア単結晶の回転速度を減速させながら、前記サファイア単結晶を引き上げて前記インゴットの下端部を形成する下端部形成工程を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記サファイア単結晶の製造は、前記サファイア単結晶を当該単結晶のc軸とのなす角が10°以内の方向に引き上げて行うものであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
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