JP2015124103A - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

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真一 久府
Shinichi Kubu
真一 久府
望月 直人
Naoto Mochizuki
直人 望月
祐一 池田
Yuichi Ikeda
祐一 池田
小川 勝也
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勝也 小川
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Abstract

【課題】 チョクラルスキー法で直胴部直径が150mm以上、かつ直胴長さが200mmを超える長さのサファイアインゴットを育成するに際し、直胴後半部に泡群及びリネージが発生しないサファイア単結晶の製造法を提供する。【解決手段】 チョクラルスキー法で直胴部直径が150mm以上のサファイアインゴットを育成するに際し、少なくとも原料の固化率が15%になるまでの結晶回転数は0.1〜1rpmとするとともに、原料の固化率が28%となった以降の結晶回転数は2〜6rpmで育成する。リネージの発生しやすい育成なかばまでは、結晶回転数を小さくして該リネージの発生を抑え、育成後半においては、結晶回転数を大きくして不純物の濃縮等による泡の発生を抑制する。【選択図】 なし

Description

本発明は、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の製造方法に関する。
サファイア(酸化アルミニウム)単結晶体は、青色LEDや白色LEDを作製する際のエピタキシャル成長基板として広く利用されている。近年、これらのLEDは省エネルギーの観点からLEDテレビやLED照明などとして需要が急激な拡大傾向にあり、サファイア基板の需要も拡大が予想されている。
LEDチップは、c軸面サファイア基板上にMOCVD装置を用いてGaN、InGaN、AlN等の窒化物系化合物半導体発光体層を形成した後、チップに分割して作製する方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。よって、安価かつ大面積のc軸面を表面に有するサファイア基板を提供することは、LEDチップの生産の高効率化、低コスト化を達成するために重要な課題である。
酸化物単結晶体の育成方法はさまざまあるが、その優れた結晶特性や大口径の単結晶体が得られることから大部分が溶融固化法で育成されている。溶融固化法の中でも特に、チョクラルスキー法やキロポーラス法などの引き上げ法が一般的に広く用いられている。チョクラルスキー法とは、坩堝中の原料溶融液面に種結晶体を接触させ、次いで、その種結晶体を坩堝の加熱域から徐々に引上げて冷却することにより、該種結晶体の下方に単結晶体を成長させる方法である。キロポーラス法はチョクラルスキー法に類似しているが、原料溶融液面に接触させた種結晶体は引上げず、或いはチョクラルスキー法と比較して極端に遅い速度で引上げつつ、ヒーター出力を徐々に下げて坩堝を冷却することにより、原料溶融液面下で単結晶体を成長させる点がチョクラルスキー法と異なる方法である。一般に、チョクラルスキー法はキロポーラス法に比べて育成速度が速く生産性が高い利点がある。
チョクラルスキー法やキロポーラス法などの引き上げ法によりサファイア単結晶体を育成する場合の単結晶体引き上げ方位は、a軸或いはc軸が一般的であるが、LED用途としてはc軸面のサファイア基板が使用されるため、c軸引き上げにより得られた単結晶体インゴットからc軸面基板を取得する方が、生産性(加工性、基板収率)に優れており、サファイア基板の低コスト化に期待できる。
特開2000−82676号公報 特械2010−59031号公報 特開2008−207992号公報
しかしながら、サファイアの優先成長方位はa軸方位でありc軸方位には成長しにくいため、c軸引き上げにより成長させると結晶中に微小な気泡が密に集合した泡群が発生したり、直胴後半部にかけてリネージが広がるという問題がある。
より具体的には、育成時の結晶回転数が小さければ、リネージの発生が抑制される一方、結晶育成の後半で気泡が発生しやすく、逆に育成時の結晶回転数が大きいと、泡の発生は抑制できるが、リネージが発生しやすいという問題を本発明者等は見出した。
この微小な気泡(泡群)は、サファイア基板加工後の基板表面にピット状に残存してしまう為、窒化物系化合物のエピタキシャル成長時に、均一な成長を阻害したり、ピットを起点としてプロセス中に基板割れを生じたりする等の収率不良を発生させる。また直胴初期から発生し、直胴最終にかけて広がるリネージは、結晶表面上にごくわずかな段差を生成し、これもまたエピタキシャル成長時に均一な成長を阻害しLEDチップの低コスト化を阻害する要因となる。
この泡の問題を解決する手法として特許文献2に開示されているように、肩部、直胴上部の泡群の解決する手段が提案されている。
一方で、サファイア基板収率の向上、生産性の向上を達成する為には、直胴の長さを延長していく必要がある。しかしながら、直径150mm以上のサファイア単結晶インゴットで、直胴部長さを延長していき、直胴部長さを200mmを超える長さとした場合、直胴後半部からテイル部に泡群が頻繁に発生し、かつリネージが広がってしまうという新たな問題に直面した。
本発明は、チョクラルスキー法で直胴部直径が150mm以上、かつ直胴長さが200mmを超える長さのサファイアインゴットを育成するに際し、直胴後半部に泡群せず、かつ直胴上部のリネージの広がりを抑制したサファイア単結晶の製造法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った。そして、リネージは結晶育成の中ば頃に発生しやすいこと、泡群はそれよりも遅く、原料の溶融液が一定以上固化して、温度勾配が初期と比べて大きく変わった状態で発生しやすいことを見出し、さらに、直胴育成時の原料の固化率をパラメータとして結晶回転速度を変化させれば、結晶中にリネージや泡群が発生し難い直胴育成条件を規定できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、チョクラルスキー法で直胴部直径が150mm以上のサファイアインゴットを育成するに際し、少なくとも原料の固化率が15%になるまでの結晶回転数は0.1〜1rpmとするとともに、原料の固化率が28%となった以降の結晶回転数は2〜6rpmで育成することを特徴とするサファイアインゴットの製造方法である。
本発明によれば、直径150mm以上のような大口径のサファイア単結晶育成において、長尺の、例えば直胴長さが250mm以上、特には300mmものサファイアインゴットを育成するに際し、直胴下部に泡群とリネージの広がりを有しないサファイア単結晶体を製造することができ、直胴部全長にわたりサファイア基板収率を向上させることができる。
さらに、収率を向上させるために初期溶融原料に対するインゴットの重量の比率が60%以上となるようなサファイア単結晶の育成においても、効率よく泡群を含有せず、リネージ領域の拡大を抑制したサファイア単結晶を製造することが出来る。
CZ法サファイア単結晶製造装置の模式図。 拡径部(肩部)育成途中を示す模式図。 比較例1で育成した泡を含有した結晶。 比較例2で育成したリネージが広がった結晶。 実施例1で育成した泡とリネージのない結晶。 比較例3で育成した泡を含有しリネージのない結晶。
本発明は、結晶成長炉内で、原料溶融液に対して種結晶を接触させた後に引き上げ、該種結晶下に拡径部及び直径Dの直胴部を有する単結晶体を成長させるチョクラルスキー法によるサファイア単結晶の製造方法であれば、特に制限なく適用できる。さらに本発明は、引き上げ方向がc軸方位の場合に特に好適に適用できる。
まず始めに、本発明が適用されるチョクラルスキー法によるc軸サファイア単結晶の製造方法全般について説明する。なお、本発明において「c軸サファイア単結晶」とは、引き上げにより成長する成長方向(引き上げ方向)がc軸方向であることを意味する。
図1は本発明の製造方法に用いられるチョクラルスキー法の結晶育成装置の一例(模式図)である。
この単結晶引上げ装置は、結晶成長炉を構成するチャンバー1を備えており、このチャンバー上壁には、開口部を介して、図示しない駆動機構によって上下動および回転可能な単結晶引上げ棒2が吊設されている。この単結晶引上げ棒の先端には、保持具3を介して種結晶体4が取り付けられており、種結晶体が坩堝5の中心軸上に位置するように配置されている。また、この単結晶引上げ棒の上端には、結晶重量を測定するロードセル6を備えている。
坩堝5は、チョクラルスキー法に用いられる坩堝として公知の形状の坩堝を使用することができる。一般には、上部から見た開口部が円形状であり、円柱状の胴部を持ち、底面の形状が平面状又は碗状又は逆円錐状のものが用いられる。また、坩堝の材質としては、原料溶融液である酸化アルミニウムの融点に耐え、また酸化アルミニウムとの反応性が低いものが適しており、イリジウム、モリブデン、タングステン、レニウムまたはこれらの混合物が一般的に用いられる。とりわけ、耐熱性に優れたイリジウム、または安価で経済性の良いモリブデンを使用することが好ましい。
坩堝の周囲には坩堝の底部及び外周を取り囲むように、断熱壁7aが設置されている。また、坩堝上方の単結晶引上げ域の側周部を環囲する断熱壁7bが設置されている。該断熱壁7a,7bは、公知の断熱性素材で形成されていれば制限なく利用できるが、酸素を含む雰囲気下で育成を行う場合には、特にイットリウム、カルシウム、マグネシウム等を添加して安定化したジルコニア系若しくはハフニア系の素材、またはアルミナ系の素材が好適に利用できる。ここで用いられる断熱壁は、内面と外面の温度差が非常に大きい環境下で使用されるため、加熱、冷却の繰り返しによって素材が著しく変形、割れを生じやすく、このような断熱壁の変形や割れによって結晶成長域の温度勾配が刻々と変化し、安定的な結晶製造を困難にする。そこで、断熱壁は全体を一体の素材で構成するのではなく、いくつかに分割された断熱材の組み合わせで構成することにより、このような変形や応力による断熱壁の割れやそれに伴う温度環境の変化を低減するのが好ましい。
単結晶引上げ域を環囲する断熱壁の上端の開口部は、単結晶引上げ棒の挿入孔が少なくとも穿孔された天井板8により閉塞される。これにより、単結晶引上げ域は、上記断熱壁7a,7bと天井板8とにより形成される単結晶引上げ室内に収まるため、その保熱性が大きく向上する。該天井板は断熱壁と同様、公知の断熱性素材で形成されていればよく、特にイットリウム、カルシウム、マグネシウム等を添加して安定化したジルコニア系若しくはハフニア系の素材、またはアルミナ系の素材が好適である。
また、該天井板は、必ずしも平板状である必要はなく、断熱壁の環囲体の上端開口部を前述の穿孔部分を除いて閉塞するものであれば如何なる形状であっても良い。例えば。円錐台状、逆円錐台状、笠状、逆笠状、ドーム状、逆ドーム状等であっても良い。
断熱壁の外周、おおよそ坩堝の高さの位置を環囲して、坩堝5を加熱するための高周波コイル9が設置されている。該高周波コイルには、図示しない高周波電源が接続される。高周波電源は、一般のコンピュータからなる制御装置に接続され、出力を適宜調節される。該制御装置は、前記ロードセルの重量変化を解析して高周波電源の出力を調整するほかに、結晶引上げ軸や坩堝の回転数、引上げ速度、ガスの流入出のためのバルブ操作なども併せてプログラム制御するのが一般的である。
LED用サファイア基板用の単結晶サファイア製造の原料としては、通常、純度4N(99.99%)以上の純度を有する酸化アルミニウム(アルミナ)が用いられる。不純物はサファイア単結晶の格子間又は格子内に混入して結晶欠陥の起点となることから、純度の低い原料を用いるとサブグレインが発生しやすく、また結晶が濃く着色する傾向がある。結晶の着色の原因は不純物によって形成された結晶欠陥に起因する色中心(カラーセンター)であり、結晶欠陥の多さを間接的に示している。特に不純物としてのクロムは着色に顕著な影響を及ぼすことから、クロムの含有量が100ppm未満の原料を使用することが好ましい。また、該原料の嵩密度はなるべく高いものが坩堝に多くの原料を充填することができ、また炉内での原料の飛散を抑制できるため適している。好ましい原料の嵩密度は1.0g/ml以上、さらに好ましくは2.0g/ml以上である。このような性状の原料としては、酸化アルミニウム粉末をローラープレス等で造粒したものや、破砕サファイア(クラックル、クラッシュサファイア等)が知られている。
該原料を前記結晶成長炉内に設置された前記坩堝内に装入し、加熱により原料溶融液とする。原料が溶融状態に到達するまでの昇温速度は特に限定されないが、50〜200℃/時間であることが好ましい。
結晶引上げ軸先端の種結晶保持具に装着された種結晶を該原料溶融液面に接触させ、ついで徐々に引上げて単結晶体を成長させる。単結晶引上げを実施する際の原料溶融液の温度は、結晶が異常成長を起こさず安定的に成長するためには、必然的に融点よりも僅かに低い温度(過冷却温度)となることが知られている。サファイア単結晶の場合は2000〜2050℃の温度で実施することが好ましい。
引き上げ速度は、育成初期よりも育成終了直前の引き上げ速度を遅くすることが好ましく、具体的には、育成初期の引き上げ速度が2〜5mm/hであり、育成終了直前の引き上げ速度が初期速度の50〜80%であることが好ましい。当該引き上げ速度を低下させる時点は、固化率が28%となる前とすることが好ましい。
引き上げに用いる種結晶は、サファイア単結晶であり、溶融液と接する先端鉛直方向をc軸とする必要がある。c軸を該種結晶の先端鉛直方向とする場合の融液に接触する先端の形状は特に限定されず、不特定面で構成されていても良いが、好ましくはc軸の平面、または、n面、r面、R面、S面の任意の組み合わせで構成された多角錐形が好ましい。また、該種結晶の側面は特に限定されず任意の形状を選択できるが、円柱状、あるいはm面もしくはa面によって構成される三角柱状、六角柱状、あるいはm面とa面によって構成される四角柱状、十二角柱状などが好ましい。
また、該種結晶の上方には、保持具で保持するための拡大部及び/又はくびれ部及び/又は貫通孔を有するのが一般的である。
成長させる単結晶の品質は、該種結晶の品質に大きく依存するため、その選定には特に注意を要する。種結晶としては、結晶欠陥や転移と呼ばれる結晶構造の不完全部分が極力少ないものが望ましい。結晶構造の良否は、種結晶の先端面又はその近傍をエッチピット密度測定、AFM、X線トポグラフィ等の方法を用いて評価することができる。また、結晶欠陥は残留応力が大きいほど多くなる傾向があることから、クロスニコル観察や応力複屈折などで応力の程度が小さいものを選定することも効果的である。一般に、種結晶としては、キロポーラス法で製造されたサファイア単結晶が特に適している。
該種結晶を原料溶融液に接触させた後、種結晶および/又は坩堝の回転数、引上げ速度、高周波コイルの出力等を制御して肩部(拡径部)を形成し、所望の結晶径まで拡径させた後、当該結晶径を維持するように直胴部の引き上げを行う。
単結晶体引上げ中の炉内圧力は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれでもよいが、常圧下で行うことが好ましい。雰囲気としては窒素、アルゴン等の不活性ガスに、0〜10体積%の任意の量の酸素を含む雰囲気が好ましい。
所望の直胴部径と長さを有する、c軸を鉛直方向に持つサファイア単結晶体を引上げた後、該単結晶体を原料溶融液から切り離す。単結晶体を原料溶融液から切り離す方法は特に限定されず、ヒーター出力の増大(原料溶融液の温度の上昇)により切り離す方法、結晶引上げ軸上昇速度の増加により切り離す方法、坩堝の降下により切り離す方法など、いずれの方法を採用しても良い。なお、単結晶体が原料溶融液から切り離れる瞬間の温度変動(ヒートショック)を小さくするために、ヒーター出力を徐々に上げる、もしくは結晶引上げ軸上昇速度を徐々に速くすることによって結晶径を徐々に減少させるテール処理を行うことは効果的である。
原料溶融液から切り離された単結晶体は、炉内から取り出せる程度の温度まで冷却される。冷却速度は速いほうが結晶育成炉を占有する時間が短く、育成工程の生産性を上げることができるが、速すぎると単結晶体の内部に残留する応力歪みが大きくなり、冷却時や後の加工時に破砕やひび割れが発生したり、最終的に得られる基板に異常な反りが発生するおそれがある。逆に、冷却速度が遅すぎると結晶育成炉を占有する時間が長くなり、育成工程の生産性が低下する。これらを勘案し、冷却速度としては、10〜200℃/時間が好ましい。
本発明の製造方法は上述の如きチョクラルスキー法によるサファイア単結晶の製造方法における直胴部の形成方法に係わるものである。
従来技術では、結晶回転数は直胴部の育成開始から終了まで一定の値を保って行われていたが、このように一定速度で行うと、後述する比較例に具体的に示したように結晶化率が高くなってくると泡群やリネージが形成されてしまう。
結晶中に泡群が形成された場合、該泡群は、当該結晶を目視観察するだけで容易に確認することができる。目視観察の方法は、明るい場所であれば特に限定されず、蛍光灯や太陽等の光で十分に観察可能であり、結晶中の泡群の形成されている部分は、透明感が無く白濁して見え、よく観察すると、微小な泡が密集していることが目視でも確認できる。
またリネージは、転位が密集し粒界の微小な方位ずれを起こしている欠陥の呼称で、ウェハー加工後に面方位や表面粗さに影響を及ぼす。リネージはX線トポグラフで容易に観察することができる。またハロゲン光を照射することにより、目視でも確認することが可能である。結晶中のリネージは、結晶の成長に伴い、結晶中心部から外周部に葉脈状に広がる特徴がある。
リネージは、結晶成長界面への異物の付着や育成時の不安定条件により成長界面の結晶構造がわずかに乱れ、この状態で成長していくことで、乱れが徐々に伝播し、本来の単結晶部分と微小な方位ずれを形成していくと考えられる。
当該リネージは、通常、育成の際の結晶回転数を1rpm以下と小さくしておくことによって発生を抑制できる。しかし、そのような回転数では、原料の固化が進むことによる坩堝内の原料溶融液の減少に伴い、原料溶融液の対流の低下、原料溶融液の温度勾配の低下、また、不純物の偏析現象による不純物濃度の上昇等により、結晶育成の直胴後半部で泡の生成を促進してしまう。
この結晶中に見られる泡群は、組成的過冷却が生じた結果、結晶界面が不安定化してセル成長することにより形成されたものと考えられる。このセル成長(組成的過冷却)は、結晶界面における結晶成長速度が速過ぎる場合に起こりやすいと思われる。チョクラルスキー法によるサファイア単結晶育成においても、引き上げ速度が速過ぎる場合や、結晶成長が不安定化する何らかの要因が発生して急成長した場合に、結晶中に泡群が生じる傾向が顕著である。なお、セル成長(組成的過冷却)は、温度勾配が緩すぎる場合にも起こりやすいことが一般的に知られており、直胴終盤部に泡群が生じやすい原因は温度勾配起因や不純物の濃縮によるものであると考えられる。
また、サファイア単結晶中に泡群が形成された場合、該泡群の下部(テール側)にサブグレインが発生していることがあり、泡群がサブグレインの発生要因である懸念がある。結晶育成中、一度発生したサブグレインは、結晶下部(テール側)へと伝播してしまう。
これに対し本発明においては、直胴部育成時の結晶回転数を、前半よりも後半で大きくなるように変化させる。これにより、不純物が濃縮される直胴部の後半部分において、攪拌力が増大し、無理な成長(セル成長)が起こってしまうことが少なくなり、結果として泡群の発生を抑制することが可能となる。即ち、リネージが発生しやすい結晶育成中盤までは小さい回転数で、このリネージの発生を抑制し、泡群が生じやすい結晶育成後半において結晶回転数を大きくして、泡群の発生を抑制するものである。
より具体的には、本発明においては、原料の固化率が15%に到達するまでは、結晶回転数を0.1〜1rpmとする。これよりも回転数が大きいとリネージが発生しやすくなる。一方、回転数が小さすぎる場合には、安定した結晶成長が困難となる。結晶回転数はこの範囲で変化させてもよい。好ましくは、原料の固化率が20%に到達するまでは結晶回転数を0.1〜1rpmとする。
一方、結晶育成の後半は結晶回転数を大きくして泡群の発生を抑制する必要があり、具体的には、原料の固化率が28%となった以降の結晶回転数は2〜6rpmとする。回転数がこれより小さいと泡群の発生の抑制効果は得られない。また回転数が大きすぎでも安定した結晶の育成が困難である。結晶回転数はこの範囲で変化させてもよい。
固化率が15%〜28%の間の回転数は特に限定されず、0.1〜6rpmの間で適宜設定することが可能である。但し、結晶の直胴部育成開始から終了までは、回転数を大きくする方向への変化のみであることが好ましい。
結晶回転数を0.1〜1rpmから2〜6rpmへと変動させるに際しては、連続的に行っても良いし、段階的に行ってもよいし、双方を組み合わせて行っても良い。育成プログラムの実行のさせやすさから段階的に行うことが好ましい。段階的に行う際、1段階〜10段階の速度変化を行わせることが好ましい。
結晶の直胴部の育成は、可能な限り原料固化率が高くなるまで行った方が歩留まりが高く、コスト的に有利であるが、固化率があがるにつれ原料溶融液の対流の低下、原料溶融液の温度勾配の低下、不純物の偏析現象による不純物濃度の上昇等により泡が発生しやすくなり、結晶回転数を大きくするだけでは対応が困難になる傾向が強い。従って、原料固化率80%以下で直胴部育成を終了させることが好ましく、同70%以下がより好ましく、同65%以下が特に好ましい。
なお前記テール処理中の結晶回転数は特に限定されるものではない。また、肩部形成時の結晶回転数も特に限定されないが、育成開始時の結晶回転数と同じにしておくことが、引き上げプログラムの作成上、好ましい。
以下、具体的な実験例を挙げて本発明の実施態様をより詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
比較例1
最初に、内径が220mm、深さが225mmのイリジウム製坩堝に、出発原料として純度が4N(99.99%)の高純度アルミナ(AKX−5 住友化学製)を45kg投入した。原料を投入した前記坩堝を、図1に示すような炉内構造をした高周波誘導加熱方式のチョクラルスキー型結晶引上げ炉に設置し、炉内を100Pa以下まで真空排気した後に窒素ガスを40L/minで大気圧まで導入した。大気圧到達後は、酸素を1.0体積%含む窒素ガスを2.0L/minで炉内に導入しながら、炉内圧力が大気圧を維持するよう排気を行った。坩堝の加熱を開始し、坩堝内の酸化アルミニウム原料が溶融する温度に到達するまで16時間かけて徐々に加熱した。原料溶融液表面の対流の様子(スポークパターン)を参考にヒーター出力を適宜調整した後、CZ法で製造され、サファイア単結晶からなる、先端がc軸面、直径10mmの種結晶を、0.5回転/minの速度で回転させながら徐々に降下させ、種結晶の先端を原料溶融液に接触させた。種結晶が溶けず、かつ融液表面に結晶が成長しないようヒーター出力をさらに微調整した後、引き上げ軸上昇速度0.1mm/hの速度で種結晶の引き上げを開始した。
引き上げを開始した後は、表1に示す育成プログラム(従来例)を実行させ、結晶直径、結晶引き上げ軸上昇速度、結晶回転数を、当該育成プログラムに示した目標値となるよう制御させながら結晶育成を行った。
Figure 2015124103
図3に示すように、最初から最後まで直胴部の育成における結晶回転速度が小さい従来例では、直胴部育成の後半に多量の泡群が生じてしまった。
比較例2
表2に示す育成プログラムを用いた以外は、比較例1と同様にして結晶育成を行った。
Figure 2015124103
図4に示すように、最初から最後まで直胴部の結晶回転数が大きい例では、泡の発生は抑えられたが、直胴中盤ころからリネージが生じてしまった。
実施例1
育成プログラムを表2に示すように変更した以外は、比較例1と同様に育成を行った。
Figure 2015124103
この実験例では、固化率27.2%まで結晶回転数を1.0rpm、27.2%の時点から4.0rpmとしている。その結果、図5に示す通り、全長で泡、リネージのない直胴長さ300mmもの長尺の結晶を得ることができた。
比較例3
表4に示す育成プログラムを用いた以外は、比較例1と同様にして結晶育成を行った。
Figure 2015124103
育成プログラム
表4に示す育成プログラムでは、結晶回転数を2〜6rpmの範囲へ変化させるタイミングが、原料の固化率33.7%の時点と、本発明で規定するよりも遅い。
このため図6に示す通り、リネージは発生していないものの。直胴200mm付近に泡群が生じてしまった。但し、回転数を上げているため、その後の直胴部には泡群の発生はみられない。
1:チャンバー
2:単結晶引上げ棒
3:種結晶体保持具
4:種結晶体
5:坩堝
6:ロードセル
7a,7b:断熱壁
8:天井板
9:高周波コイル
10:サファイア単結晶
11:サファイア融液

Claims (2)

  1. チョクラルスキー法で直胴部直径が150mm以上のサファイアインゴットを育成するに際し、少なくとも原料の固化率が15%になるまでの結晶回転数は0.1〜1rpmとするとともに、原料の固化率が28%となった以降の結晶回転数は2〜6rpmで育成することを特徴とするサファイアインゴットの製造方法。
  2. インゴットの直胴部長さが200mm以上である請求項1又は2に記載のサファイアインゴットの製造方法。
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