JP6457271B2 - Al合金管の接合体、ならびに、これを用いた熱交換器 - Google Patents

Al合金管の接合体、ならびに、これを用いた熱交換器 Download PDF

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Description

本発明は、ろう付けすることによって得られる接合部の耐食性を向上させたAl合金管の接合体、ならびに、この接合体とフィン材とを組み合わせた熱交換器に関する。
ラジエータ、コンデンサ、エバポレータ等をはじめとする自動車用アルミニウム製熱交換器は軽量化を目的として製造、使用されてきた。また、エアコンなどの空調設備においては、コスト面の観点から銅製の配管が使用されており、アルミニウム製配管は使用されていなかった。しかしながら、近年になって銅の価格高騰から銅よりもアルミニウムの方がコスト面で優れる情勢となり、銅に替わってアルミニウムを配管に使用した空調設備用の熱交換器が注目されている。
家庭用エアコンの熱交換器は、従来は銅製のチューブのストレート部とアルミニウム製のフィン材を機械的拡管によって接合していた。チューブのストレート部とフィンを接合した後、ストレート端部の片方をフレア加工でさらに拡管、Rベンドと呼ばれる他方のU字部品の管材端部を挿入して、トーチろう付によって接合し熱交換器を作製するものである。
チューブをアルミニウム合金に置き換えた熱交換器では、従来の銅製の熱交換器と比較して、高温多湿下で発生する孔食形態の腐食の問題が生じる。チューブのストレート部やフィンと接していないRベンド部及びチューブの曲げ部の管材内面においては、フロンガスなどの気体を冷媒に使用するために腐食の懸念は無いが、外面では高温多湿の条件に曝された場合に、表面に孔食が発生し、それが進行すると貫通してしまう事故に繋がる可能性がある。
自動車用熱交換器などでは、表面に純度99.0%以上の純Al材を被覆した2層クラッド材、Al−1%Zn材を被覆したクラッド材、表面に純Znを溶射した溶射材が用いられる。これにより、表面に被覆された純Al、Al−1%Zn、純Znが犠牲陽極層として作用し、腐食による貫通を防止している。これらを家庭用エアコン用の熱交換器に応用することで、チューブのストレート部やフィンと接していないRベンド部及びチューブの曲げ部の腐食による貫通を防止できることが判明した。
しかしながら、表面に犠牲陽極材を用いたクラッド管や溶射管では、チューブのストレート部とRベンド部間のトーチろう付部の接合部において、腐食による貫通漏れが発生する問題が生じた。図7に示すように、表面に設けた犠牲陽極層がトーチろう付部のろう材フィレットよりも腐食による溶解が発生しやすく、この部分が優先的に腐食してしまうことにより発生する。また、Zn溶射管の場合には、ろう材フィレットにZn濃化層が形成されることによって腐食による貫通が発生する。図7において、1は端部が拡管された管材のフレア部、2はフレア部1に挿入された管材のストレート部、3はろう付部において優先的に腐食した犠牲陽極材、4は内管、5はろう材フィレット、7はフィレット5によって接合されている管材の接合部である。
このような接合部の腐食を防止する手段として、特許文献1に記載のように、アルミニウム管体の接合部を、内側にろう材層又ははんだ層を設けたスリーブによって囲繞した後に加熱接合することが考えられる。この方法では接合部分の長さが長くなることで貫通漏れまでの時間を延ばすことができるが、犠牲材の優先腐食を完全に防止することはできない。またこの方法を用いると、接合部分にスリーブを接続するため、部品点数及び工数の増加につながりコストが増加する問題がある。
また、接合部の腐食を防止する他の手段として、特許文献2及び3に記載のように、Znを1.0〜2.0%添加したろう材を用いて、アルミニウム管同士をトーチろう付によって接合し、接合部のろう材フィレットとAl−Zn犠牲層を一体化させて優先腐食を防止する方法が考えられる。しかしながら、Al−Zn犠牲層の優先腐食を防止できても、ろう材フィレット自体の腐食速度も増加させてしまうため、接合部自体の耐食性の向上に寄与できない可能性がある。
特開昭58−163572号公報 特開2010−221256号公報 特開2010−240696号公報
本発明は上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果なされたもので、ろう付けすることによって得られる接合体であって、ろう付部の優先腐食を防止してろう付部の貫通漏れが発生しない耐食性に優れたAl合金接合体、ならびに、この接合体とフィン材とを組み合わせた熱交換器を提供するものである。
本発明は請求項1において、両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体とした。
本発明は請求項2において、両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、前記フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側でストレート部の外表面と接するフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の端部に接しており、
前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体とした。
本発明は請求項3において、両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、前記フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側でストレート部の外表面と接するフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の表面に接しており、前記フィレット端部からフィレットとストレート部の外表面に設けたAl-Zn犠牲層とが管軸方向に沿って連続して接している長さが、フィレットの管軸方向に沿った全体長さの60%未満であり、
前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体とした。
本発明は請求項4において、両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、前記フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側でストレート部の外表面と接するフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の設けられていない部分において内管の表面に接しており、前記Al-Zn犠牲層の設けられていない部分の両端にあるAl-Zn犠牲層の端部のうちフィレットの形成されていない側のAl-Zn犠牲層端部と前記フィレット端部との管軸方向に沿った距離が、フィレットの管軸方向に沿った全体長さの60%未満であり、
前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体とした。
更に本発明の請求項5では、請求項1〜4のいずれか一項に記載のAl合金管の接合体とフィン材とを接合した熱交換器とした。
本発明により、ろう付けすることによって得られる接合体であって、従来のAl合金接合体よりもろう付部の優先腐食が防止され、接合部の耐食性に優れるAl合金管の接合体、ならびに、この接合体とフィン材とを組み合わせた熱交換器が提供され、これらは工業上顕著な効果を奏する。
本発明に係る接合方法を示す断面図である。 犠牲陽極層の優先腐食が発生する際の電位状態を示す接合部の断面図である。 犠牲陽極層の優先腐食の進行を模式的に示す接合部の断面図である。 本発明における接合部の第1形態を模式的に示す接合体の断面図である。 本発明における接合部の第2形態を模式的に示す接合体の断面図である。 本発明における接合部の第3形態を模式的に示す接合体の断面図である。 従来技術における犠牲陽極層の優先腐食を示す接合部の断面部である。
A.貫通漏れ現象のメカニズム
本発明者らは、Al−Zn犠牲層を設けたAl合金管をトーチろう付けによって接合した場合に、接合部においてAl−Zn犠牲層が優先腐食して貫通漏れに至る現象についてメカニズムを検討した。具体的には図1に示すように、端部をフレア加工にて拡管した一方のAl合金管のフレア部1に他方のAl合金管のストレート部2を挿入して、トーチろう材5を用いてトーチろう付けによって両管を接合する場合について検討した。ここで、フレア部1、ストレート部2の内管4の外面に形成された層3は、Al−Zn犠牲層を表す。
Al−Zn犠牲層を設けたAl合金管において貫通漏れに至る現象は、図2に示すように、接合部7においてAl−Zn犠牲層3の自然電位が、トーチろう材5及びAl合金管の内管4より卑であることに起因する。図2において、グラフの縦軸は、Al合金管のストレート部2の軸中心から半径方向への任意距離を示し、自然電位は、各部位の相対的な電位を示す。そして、図3に模式的に示すように、腐食が進行した腐食中期では、Al合金管のストレート部2における接合部7以外のAl−Zn犠牲層31が消失する。更に腐食が進行した腐食後期では、トーチろう材5とAl−Zn犠牲層3の自然電位差の作用によって、Al合金管のストレート部2の接合部7におけるAl−Zn犠牲層32が優先的に腐食することが判明した。
本発明者らは、鋭意研究の結果、このトーチろう付部で発生するAl−Zn犠牲層の優先腐食を防止する根本的対策として、Al−Zn犠牲層を設けたAl合金管における貫通漏れに対しては、接合部7にAl−Zn犠牲層を存在させない部分を設けることが有効であることを見出した。
本発明においては、Al合金からなる内管の外表面にAl−Zn犠牲層を設けたAl合金管が用いられる。Al−Zn犠牲層としては、クラッド層、Zn溶射層、Znめっき層、Zn置換処理層等が用いられる。
B.接合体の形態
両端部がストレート部2又はストレート部2からなる複数のAl合金管を用いてこれらを接合するものである。図4に示すように、一方の端部をフレア部1とし他方の端部をストレート部2としたAl合金管を複数用いて、第1のAl合金管のストレート部2を第2のAl合金管のフレア部1に嵌合させ、次いで、第2のAl合金管のストレート部2を第3のAl合金管のフレア部1に嵌合させる。これを順次繰り返して、複数のAl合金管の全てについてストレート部2をフレア部1に嵌合させて嵌合体を作製する。そして、嵌合部分を順次又は一挙にトーチろう付け等のろう付けによって接合して接合体とするものである。
また、これに代わって、両端部がフレア部からなる複数のAl合金管と、両端部がストレート部からなる複数のAl合金管を用いることもできる。この場合には、第3のAl合金管の一方のフレア部に第4のAl合金管の一方のストレート部を嵌合し、次いで、この第4のAl合金管の他方のストレート部を、第5のAl合金管の一方のフレア部に嵌合し、これを順次繰り返して、複数のAl合金管の全てについてストレート部2をフレア部1に嵌合させて嵌合体を作製する。そして、嵌合部分を順次又は一挙にトーチろう付け等のろう付けによって接合して接合体とするものである。更に、これら二つの形態が混在した形態としても良い。
C.接合部の形態
次に、接合部の具体的な形態について説明する。
C−1.フィレット端部がAl-Zn犠牲層の端部に接している形態(第1形態)
図4に示すように、この第1形態では、ストレート部2の外表面とフレア部1の内表面に接するフィレット5が設けられる。図中において51は、フィレット5の管軸方向におけるフレア部1先端側の端面であり、511は、51がストレート部2の外表面と接する部位である。以下において、51をフィレット端面、511をフィレット端部と記す。また、フレア部1内に嵌入されていないストレート部2のうちフィレット端面51側の所定部分には、Al-Zn犠牲層3が設けられていない。そして、フィレット端部511は、フレア部1内に嵌入されていないストレート部2の外表面に設けられたAl-Zn犠牲層3のフィレット端面51側の端部33と接している。この第1形態では、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分を存在させるが、このような部分は、フィレットに接するストレート部の外表面の少なくとも一部であり、全体にわたってもよい。このように、Al-Zn犠牲層が設けられていない部分が全体にわたっている場合には、一部の場合に比べてAl-Zn犠牲層除去の加工が容易になる。このことは、第2、3形態においても同様である。
この第1形態では、フィレット端部511とAl−Zn犠牲層の端部33が接していることにより、フィレット5がAl−Zn犠牲層3によって防食され接合部の耐食性がさらに向上する。後述するところの、フィレット端部511がAl−Zn犠牲層3の表面に存在している第2形態では、フィレット端部511の周辺が腐食することで接合部7の強度が低下するおそれがある。また、同じく後述するところの、フィレット端部511がAl-Zn犠牲層3が設けられていない部分に存在している第3形態では、Al-Zn犠牲層3の設けられていない部分に存在するフィレットの耐食性が低下するおそれがある。従って、この第1実施様態が好ましい。
また、この第1形態においてAl−Zn犠牲層3をどのように設けるのかについては特に制限されるものではないが、接合部7のフィレット5に接するAl合金管表面のAl−Zn犠牲層3の一部又は全てをろう付前にあらかじめ機械的に除去する方法や、苛性ソーダなどをはじめとする化学薬品を用いたエッチング処理などによって、フィレット5と接する管材表面のAl−Zn犠牲層3の一部又は全てをろう付前にあらかじめ除去しておくのが好ましい。また、Zn溶射管やZnめっきした管、Zn置換処理を施した管材であれば、Znを被覆する製造工程前に接合該当箇所にマスキングなどの処理を施し、フィレット5に接するAl−Zn犠牲層3の一部又は全てを設けないようにしても良い。
C−2.フィレット端部がAl-Zn犠牲層の表面に存在している形態(第2形態)
図5に示すように、この第2形態においても、ストレート部2の外表面とフレア部1の内表面に接するフィレット5が設けられる。この形態では、ストレート部2のうちフレア部1内に嵌入されている部分の一部には、Al-Zn犠牲層3が設けられていない。そして、フィレット端部511は、フレア部1内に嵌入されていないストレート部2の外表面に設けられたAl-Zn犠牲層3の表面に存在している。この第2形態においても上記第1形態と同様に、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分を存在させるが、このような部分は、フィレットに接するストレート部の外表面の少なくとも一部であり、全体にわたってもよい。なお、第1形態及び第2形態において、全体にわたってAl-Zn犠牲層が設けられていない部分が存在する場合には両者は同じ形態となる。
また、この第2形態においてもAl−Zn犠牲層3をどのように設けるのかについては特に制限されるものではなく、上述のような第1形態におけるのと同様の方法が用いられる。
この第2形態においては、Al−Zn犠牲層3の設置範囲について、以下のように設定するのが好ましい。すなわち、フィレット端部511からフィレット5とストレート部2の外表面に設けたAl-Zn犠牲層3とが管軸方向に沿って連続して接している長さが、フィレット5の管軸方向に沿った全体長さ6に対して、60%未満とするものである。60%未満であれば、フィレット5と接するAl−Zn犠牲層3による優先腐食の停止後において、接合部7の強度が維持できる。60%以上では、Al−Zn犠牲層3による優先腐食の停止後において接合部7の強度が維持できず、内管を流れる冷媒の圧力で破断するおそれがある。なお、60%未満とすることにより0%も含まれ、この場合は、フィレットに接するストレート部の外表面全体にわたってAl-Zn犠牲層が設けられていない。
C−3.フィレット端部がAl-Zn犠牲層3の設けられていない部分に存在している形態(第3形態)
図6に示すように、この第3形態においても、ストレート部2の外表面とフレア部1の内表面に接するフィレット5が設けられる。この形態では、ストレート部2の一部にAl-Zn犠牲層3が設けられていない部分(乖離部分)があり、フィレット端部511は、この乖離部分において内管4と接している。この第3形態においても上記第1、2形態と同様に、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分を存在させるが、このような部分は、フィレットに接するストレート部の外表面の少なくとも一部であり、全体にわたってもよい。
また、この第3形態においてもAl−Zn犠牲層3をどのように設けるのかについては特に制限されるものではなく、上述のような第1形態におけるのと同様の方法が用いられる。
この第3形態においては、Al-Zn犠牲層3の乖離部分の設置範囲について、以下のように設定するのが好ましい。すなわち、乖離部分の両端にあるAl-Zn犠牲層の端部のうちフィレットが形成されていない側のAl-Zn犠牲層端部とフィレット端部との管軸方向に沿った距離を、フィレットの管軸方向に沿った全体長さの60%未満とするものである。すなわち、図6の左上の四角線で囲まれた部分図において、フレア部1内に嵌入されていないストレート部2の外表面に設けられたAl-Zn犠牲層3のフィレット端面51側の端部33とフィレット端部511との管軸方向に沿った距離を、フィレット5の管軸方向に沿った全体長さ6に対して、60%未満とするものである。60%未満であれば、Al−Zn犠牲層3の優先腐食も防止でき、また接合部7以外のストレート部2の孔食による腐食も防止できる。一方、60%以上では、接合部7以外のストレート2部表面の犠牲防食効果が発揮できず、ストレート部2の孔食による腐食が進行し、早期に貫通してしまう可能性がある。なお、60%未満とすることにより0%も含まれ、この場合は、フィレットに接するストレート部の外表面全体にわたってAl-Zn犠牲層が設けられていない。
更に、犠牲層が除去された乖離部分が露出している構成により、手ろう付けのようなろう材浸透量がバラツキ易いろう付け方法においても、乖離部分を目視確認しながらろう付けができるため、乖離部分に確実にろう材を回すことができる。
D.フィレットとAl合金管との接合界面
本発明に係るAl合金管の接合体では、フィレット5とAl合金管ストレート部2のAl−Zn犠牲層が設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることが望ましい。このZn濃度は0質量%であってもよい。接合界面の表面Zn濃度が0.2質量%以上では、接合界面のZn層から優先的に腐食が進行し、早期に貫通してしまうおそれがある。
E.内管
次に、Al合金管の内管の合金組成について述べる。この合金組成は、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.1〜0.8質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる合金が好ましい。以下に、前記各合金元素の役割について説明する。
Mn:
Mnは、強度向上に大きく寄与する元素である。0.8質量%未満では、その効果が十分でなく、1.6質量%を超えると加工性が低下し、加工時に割れや破断が生じ易くなる。
Cu:
Cuは、アルミニウム合金中に固溶して強度を向上させるのに寄与する元素である。また、接合部においてフィレットがAl−Zn犠牲層の無い内管と接している場合、トーチろう付の際に内管のCuがフィレット方向に拡散する。それよってフィレット部の自然電位が貴化し耐食性が向上する。0.1質量%未満ではその効果が十分でなく、0.8質量%を超えると耐食性が低下する。
Si、Fe:
Si及びFeは不純物として混入することが多いが、上記の濃度範囲であれば含有していてもかまわない。しかしながら、Siの含有量が0.7質量%以上では、合金の加工性が低下し、加工時に割れや破断が生じ易くなり、また耐食性が低下する。Feについても含有量が0.7質量%以上では耐食性が低下する。
F.Al−Zn犠牲層
内管の外表面に設けられたAl-Zn犠牲層は、Zn:0.5〜5.0質量%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からのが好ましい。以下に、Zn元素の役割について説明する。なお、上述のように敢えて設けない箇所を除いて、接合すべきAl合金管の全表面には、Al−Zn犠牲層を設けるのが好ましい。
Zn:
Znは、耐食性を向上させるのに寄与する元素である。0.5質量%未満ではその効果が十分でなく、5.0質量%を超えると腐食速度が大きくなり過ぎてしまい、耐食性の向上に寄与しない
Znの他に、不純物としてSiやFeが混入する場合がある。Siにおいては、0.7質量%未満であれば含有してもかまわない。しかしながら、0.7質量%以上では、合金の加工性が低下し、加工時に割れや破断が生じ易くなり、また耐食性が低下する。Feにおいても、0.7質量%未満であれば含有していてもかまわない。しかしながら、0.7質量%以上では耐食性が低下する。
Al−Zn犠牲層がクラッド層の場合、クラッド層厚さは、50μm〜300μmとするのが好ましい。クラッド層厚さが50μm未満であると、Rベンド部やUベンド部においてクラッド層の犠牲防食効果が十分に発揮されず貫通寿命が短くなる場合がある。
また、内管材料とクラッド材の熱処理工程においてZnが内管方向へ拡散する。本発明では、このZnの拡散距離については特に限定されるものではない。しかしながら、拡散距離が50μm未満であると、Al-Zn犠牲層の犠牲防食効果が十分に発揮されず早期に貫通するおそれがある。
Al−Zn犠牲層がZn溶射層、Znめっき層、Zn置換処理層の場合、溶射量、めっき量、Zn置換量は、11〜18g/mとするのが好ましい。11g/m未満では、十分な犠牲陽極効果が得られず、18g/mを超えてもその効果は飽和してしまうからである。
G.トーチろう材
本発明において、ろう付に用いるろう材の合金組成については特に限定されるものではないが、JIS4045や4047などのAl−Si系合金が好適に用いられる。
H.Al合金管の作製
Al合金管は以下のようにして作製される。ここでは、Al−Zn犠牲層がクラッド層の場合について説明する。まず、円筒状の内管の外面にクラッド層となる皮材スリーブを被せて、組み合わせビレットを作製する。所望のクラッド層厚さになるように、皮材スリーブの厚さを選定する。次いで、組み合わせビレットを加熱炉で350℃〜600℃に均熱する。次いで、組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に狭持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で芯材内径より大きな外径をもつマンドレルを圧入し、内管の内径を拡管して内管と皮材間の空気を追い出す。更に、マンドレルを所定の位置に固定して、ホローシステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの中空管材とするものである。最後に、抽伸工程を経て所定の外径と内径を有するAl合金クラッド管を作製する。
これに代わって、押し出し成形によって内管を作製し、その外面に溶射によってZn溶射層を形成しても、めっきによってZnめっき層を形成しても、或いは、Zn置換処理層によってZn置換処理層を形成しても良い。
I.トーチろう付け
一端を拡管した一方のAl合金管のフレアー部に、接合部にフラックスを塗布した他方のAl合金管を挿入する。次いで、接合部にトーチろう材を配置し、プロパン・エアー・トーチ等のトーチを用いたトーチろう付けによって両管をろう付け接合する。フラックスには、フッ化物系フラックス、セシウム系フラックスを用いることができる。このように、トーチろう付け方法は、一般的な方法を用いることができる。
トーチろう付けの条件は、600℃に到達してから3〜8秒保持される。この時間が3秒未満の場合には、トーチろう付け部に均一に熱がいきわたらないため、ろう材が犠牲材を完全に侵食できない。一方、8秒を超えるとろうの侵食が激しくなり円滑な接合面が形成できなくなり、ろう付け性が劣る。また、ろう付け温度が600℃未満であると、ろうの溶解が不十分でろう付けが不完全となる。従ってろう付け条件は、600℃に到達してから(好ましくは600〜645℃で)3〜8秒保持と規定した。
J.熱交換器の作製
本発明に係る熱交換器は、上述のAl合金管の接合体とフィン材とを接合することによって得られる。フィン材としては、JISA1200合金やJISA1100合金等が用いられる。これらの合金を用いることでAl合金管の接合体を入れるフィン穴の形状(バーリング形状)を、フィンとAl合金管の接合体を密着させる形状に成型できる。これらAl合金管の接合体とフィン材と組み合わせて、拡管用の治具を管内部に押し込み、Al合金管の接合体を広げフィン穴と密着させ接合する。この後に、拡管用の治具を入れたAl合金管同士を、拡管した同構成のU字管の部品でつなぎ、接合部にワイヤーろうを配置してトーチろう付けすることによって熱交換器が製造される。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
本発明例2〜6、8、10、12〜15、17、18及び比較例19〜27
まず、上記第1形態の例について説明する。各種評価には外径φは7mm、全肉厚tは0.8mm、クラッド率は20%、すなわちクラッド厚さは160μmの2層クラッド管を用いた。
まず、2層クラッド管の製造法の実施例について説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。本発明例の2層クラッドの中空ビレットには、内管として円筒状芯材(外径370mm、内径80mm、長さ9mm)である148mmφの芯材中空ビレットを、Al−Zn犠牲層として外皮材を用いた。各成分組成を表1、2に示す。外皮材を495℃に加熱後、常温の芯材中空ビレットの外側に外皮材を被せ、2層クラッドの中空ビレットを得た。2層クラッドの中空ビレットを460℃で間接押出し、外径45mm、肉厚4.0mmの押出管とし、この押出管に引抜加工を繰返し施して、外径7mm、肉厚0.8mmの2層クラッド管を得た。なお、内管表面のAl−Zn犠牲層3の一部を、ろう付前にあらかじめ機械的に除去して第1形態を形成した。表1で、接合部の形態における「接触」とはこの第1形態を指し、フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側の端面のストレート部の外表面と接する部位であるフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の端部に接していることを意味する。また、表2で接合部の形態における「重複」とは、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分が存在しない形態を意味する。また、表1、2の設置範囲とは、フィレットの管軸方向に沿った全体長さ(B)に対する、フィレットとストレート部の外表面に設けたAl-Zn犠牲層とが管軸方向に沿って接している長さ(A)の比を意味する。
Figure 0006457271
Figure 0006457271
これらの管を用いて、実際の熱交換器の接合部分と同じように、一方の管材をフレア加工で拡管し、このフレア部に他方の管材のストレート部を挿入した。次いで、ワイヤーろう材を用いて接合部分をトーチろう付して(600℃に到達してから5秒間加熱)接合体試験片を作製した。
このようにして作製した各試験片の特性を、以下の(a)〜(c)の試験により評価した。
(a)非接合部の曲げ加工性を評価するために,曲げ加工を行った際の非接合部の状態を目視で観察した。目視による観察で不具合の無いものを「○」(合格)、割れや破断などの不具合があったものを「×」(不合格)とした。
(b)非接合部の耐食性を評価するために、腐食試験を2000時間行った。評価方法は、試験後に光学顕微鏡観察により非接合部の最大孔食深さを測定し、2000時間で貫通しているものを「×」(不合格)、貫通していないものを「○」(合格)とした。
(c)接合部の耐食性を評価するために、腐食試験を2000時間行った。評価方法は、試験後に接合試験片の耐圧試験を行い、さらに接合部の断面観察を行い、耐圧試験によるリーク漏れが生じている場合、及び/又は、断面観察で接合部が腐食で貫通しているものを「×」(不合格)とし、耐圧試験でリーク漏れが生じておらず、かつ、断面観察から接合部が腐食で貫通していない場合を「○」(合格)とした。
評価結果を、表1、2に示す。
表1に示すように、本発明例2〜6、8、10、12〜15、17、18の接合体では、各元素の含有量、接合界面におけるZn濃度、ならびに、接合部の形態を本願発明にて規定した範囲内であるため、非接合部の曲げ加工性、非接合部及び接合部の耐食性が良好であった。
これに対して表2に示すように、比較例19〜27では、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分が存在しなかったため、非接合部の曲げ加工性、非接合部及び接合部の耐食性の少なくともいずれかが不合格であった。
本発明例28、30、31、33、34、36〜39、41、43、44、47、48及び比較例49〜64
次に、上記第2形態の例について説明する。評価に用いた材料及び形状、材料の製造方法、ろう付方法、ならびに、評価方法は第1形態と同じである。また、内管表面のAl−Zn犠牲層の一部を、ろう付前にあらかじめ機械的に除去して第2形態を形成した。
なお、表3、4で、接合部の形態における「重複」とはこの第2形態を指し、フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側の端面のストレート部の外表面と接する部位であるフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の表面に接していることを意味する。また、表3、4の設置範囲とは、フィレットの管軸方向に沿った全体長さ(B)に対する、フィレット端部からフィレットとストレート部の外表面に設けたAl-Zn犠牲層とが管軸方向に沿って連続して接している長さ(A)の比を意味する。
表1、2におけるのと同じである。結果を表3、4に示す。
Figure 0006457271
Figure 0006457271
表3に示すように、本発明例28、30、31、33、34、36〜39、41、43、44、47、48の接合体では、各元素の含有量、接合界面におけるZn濃度、ならびに、接合部の形態を本願発明にて規定した範囲内としたため、非接合部の曲げ加工性、非接合部及び接合部の耐食性が良好であった。
これに対して表4に示すように、比較例49〜64では、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分が存在するものの、設置範囲が60%を超えていたため、非接合部の曲げ加工性、非接合部及び接合部の耐食性の少なくともいずれかが不合格であった。
本発明例65〜69、71、73〜76、78、80、81、84、85及び比較例86〜101
更に、上記第3形態の例について説明する。評価に用いた材料及び形状、材料の製造方法、ろう付方法、ならびに、評価方法は第1形態及び第2形態と同じである。また、内管表面のAl−Zn犠牲層の一部を、ろう付前にあらかじめ機械的に除去して第3形態を形成した。
なお、表5、6で、接合部の形態における「乖離」とはこの第3形態を指し、フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側の端面のストレート部の外表面と接する部位であるフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の乖離部分においてAl合金管の内管の表面に接していることを意味する。また、表5、6で「設置範囲」とは、フィレットの管軸方向に沿った全体長さ(B)に対する、乖離部分の両端にあるAl-Zn犠牲層の端部のうちフィレットが形成されていない側のAl-Zn犠牲層端部とフィレット端部との管軸方向に沿った距離(A)の比を意味する。結果を表5、6に示す。
Figure 0006457271
Figure 0006457271
表5に示すように、本発明例65〜69、71、73〜76、78、80、81、84、85の接合体では、各元素の含有量、接合界面におけるZn濃度、ならびに、接合部の形態が本願発明にて規定した範囲内であるため、非接合部の曲げ加工性、非接合部及び接合部の耐食性が良好であった。
これに対して表6に示すように、比較例86〜101では、フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分が存在するものの、設置範囲が60%を超えていたため、非接合部の曲げ加工性、非接合部及び接合部の耐食性の少なくともいずれかが不合格であった。
本発明により提供される、Al合金管の接合体、この接合体とフィン材とを組み合わせた熱交換器は、ろう付部の優先腐食が防止され、接合部の耐食性に優れる。
1・・・フレア部
2・・・ストレート部
3・・・クラッド層、Zn溶射層、Znめっき層、Zn置換処理層
31・・・Al−Zn犠牲層
32・・・Al−Zn犠牲層
33・・・Al-Zn犠牲層のフィレット端面側の端部
4・・・内管
5・・・トーチろう材、ろう材フィレット
51・・・フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側の端面
511・・・フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側の端面がストレート部の外表面と接する部位
6・・・フィレットの管軸方向に沿った全体長さ
7・・・接合部

Claims (5)

  1. 両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
    前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
    ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
    ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
    前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体。
  2. 両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
    前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
    ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
    ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、前記フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側でストレート部の外表面と接するフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の端部に接しており、
    前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体。
  3. 両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
    前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
    ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
    ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、前記フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側でストレート部の外表面と接するフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の表面に接しており、前記フィレット端部からフィレットとストレート部の外表面に設けたAl-Zn犠牲層とが管軸方向に沿って連続して接している長さが、フィレットの管軸方向に沿った全体長さの60%未満であり、
    前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体。
  4. 両端部がストレート部又はフレア部のいずれかからなる複数のAl合金管を用い、内管の外表面にAl-Zn犠牲層を備えた一方のAl合金管のストレート部と他方のAl合金管のフレア部とを嵌合して複数のAl合金管をろう付けした接合体であって、
    前記Al合金管の内管が、Mn:0.8〜1.6質量%、Cu:0.22〜0.75質量%、Si:0.7質量%未満、Fe:0.7質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、前記Al-Zn犠牲層が、Zn:1.8質量%以上5.0質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
    ろう付け前の状態において、前記ストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、
    ろう付け後の状態において、前記ストレート部の外表面とフレア部の内表面に接するフィレットが形成されており、当該フィレットがJIS4045又は4047から選択されるAl−Si系合金のろう材から成り、前記フィレットに接するストレート部の外表面においてAl-Zn犠牲層が設けられていない部分があり、前記フィレットの管軸方向におけるフレア部先端側でストレート部の外表面と接するフィレット端部が、ストレート部の外表面のAl-Zn犠牲層の設けられていない部分において内管の表面に接しており、前記Al-Zn犠牲層の設けられていない部分の両端にあるAl-Zn犠牲層の端部のうちフィレットの形成されていない側のAl-Zn犠牲層端部と前記フィレット端部との管軸方向に沿った距離が、フィレットの管軸方向に沿った全体長さの60%未満であり、
    前記フィレットとストレート部のAl-Zn犠牲層の設けられていない外表面との接合界面におけるZn濃度が0.2質量%未満であることを特徴とするAl合金管の接合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のAl合金管の接合体とフィン材とを接合した熱交換器。
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