JP4033562B2 - アルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法およびアルミニウム合金製熱交換器と熱交換器用ブレージングシート成形体 - Google Patents

アルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法およびアルミニウム合金製熱交換器と熱交換器用ブレージングシート成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は犠牲材層を有するブレージングシートを用いたアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法、特にドロンカップ積層型熱交換器の製造に適した方法に関するものであり、またその製造方法により製造されたアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体と、その熱交換器ろう付け構造体に使用されるブレージングシート成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の熱交換器、例えばラジェータやオイルクーラなどとしては、従来は銅製のものやステンレス鋼製のものが一般的であったが、環境問題の点から鉛を含むろう材の使用を避けることが望まれ、また熱交換器のろう付け構造体を軽量化することが望まれており、そこでAl−Si系ろう材をクラッドしたアルミニウム合金ブレージングシートを用いて熱交換器を組立てることが多くなっている。
【0003】
またこのようなアルミニウム合金製熱交換器としては、従来は押出チューブにブレージングシートをろう付けしたサーペンタイン型のものが主流であったが、最近では軽量化とコストダウンを図るため、ドロンカップ積層型のものが広く使用されるようになっている。このようなドロンカップ積層型熱交換器を製造するにあたっては、一般にブレージングシートを所定の形状に成形してブレージングシート成形体(一般には“コアプレート”と称される)とし、複数のブレージングシート成形体と別に用意されたフィン材等を用いて熱交換器形状に組立て、ろう付け加熱を施して熱交換器ろう付け構造体とするのが一般的である。ここで、ドロンカップ積層型熱交換器ろう付け構造体に使用されるブレージングシート成形体(コアプレート)の一例の要部を図11、図12に示し、そのブレージングシート成形体1を用いて組立てたドロンカップ積層型熱交換器の一例の要部を図13に示す。
【0004】
図11、図12において、ブレージングシート成形体1は、全体として平坦なプレート部3と、熱交換器ろう付け構造体の後述する継手部となるべき部分5とに区分され、その継手部となるべき部分5にはカップ部5Aが形成されかつカップ部5Aの底面中央には貫通開口部7が形成され、またプレート部3には規則的な比較的小さい凹凸9が形成されている。このようなブレージングシート成形体(コアプレート)1の複数枚を積層して形成したのが図13に示すドロンカップ積層型熱交換器である。図13において、複数枚のブレージングシート成形体1は、交互に上下に反転して積重ねられ、上下に隣り合うブレージングシート成形体1のカップ部5Aの底面同士がろう付け接合されて、その部分が継手部11の接合面11Aとなり、また上下に隣り合うブレージングシート成形体1のプレート部3における凸部同士がろう付け接合されて、凹部間に流路13が形成される。ここで、各カップ部5Aの内面側の空間が貫通開口部7により連通されて、その内部空間がタンク室12となり、この部分を水や冷媒などの熱交換対象媒体(一般には冷却対象媒体)が流れ、さらにその媒体はプレート部3間の流路13に流れ込むことになる。さらに継手部11の接合面(カップ部底面)11Aにおいて上下に接合された一対のブレージングシート成形体1のプレート部3間にはフィン15が配設され、そのフィン15がプレート部3にろう付け接合されている。
【0005】
ところでブレージングシートを用いた熱交換器の耐食性改善を図るための方策としては、ブレージングシートにおける芯材とろう材との間に、芯材よりも腐食電位が低い犠牲材層、例えば純Al、Al−Zn系合金、Al−Mg系合金などを配置し、犠牲材層を優先腐食させることにより芯材を保護する方法が知られている。このように犠牲材層を設けたブレージングシートの一例を図14に示し、また他の例を図15に示す。図14は片面側にのみ犠牲材層を設けたブレージングシートを示すものであり、芯材21の一方の面に犠牲材層25が設けられ、さらにその犠牲材層25の外側と、芯材21の他方の面にそれぞれろう材層23A,23Bが設けられている。図15は両面側に犠牲材層を設けたブレージングシートを示すものであり、芯材21の両面にそれぞれ犠牲材層25A,25Bが設けられ、これらの犠牲材層25A,25Bの外面にそれぞれろう材層23A,23Bが設けられている。
【0006】
ここで、ラジェータ、エバポレータなどの如き自動車用熱交換器の場合は、走行環境による塩素イオンや硫酸イオンによる強い腐食を受けやすいため、大気に接する側の面のろう材と芯材との間に犠牲材層を配置したブレージングシートを用い、外気による腐食に対する耐食性を高めることが行なわれている。具体的には、図13に示される熱交換器ろう付け構造体のブレージングシート成形体1におけるフィン15に接する側の面、したがって図12に示されるブレージングシート成形体1における下面側においてろう材と芯材との間に犠牲材層を配設したブレージングシートを用いることが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように芯材よりも腐食電位を低くした犠牲材層を芯材とろう材との間に配置して耐食性を高める方法は、熱交換器におけるプレート部では優れた耐食性を発揮することができる反面、継手部では逆に耐食性に悪影響を与えることがある。すなわち、プレート部では犠牲材層を設けることによって、外気からの腐食を芯材まで至らしめない効果を奏することができるが、継手部では犠牲材層が板面に沿って層状に優先腐食することにより、タンク内内面に露出する犠牲材層端面まで腐食が貫通して、漏洩が生じてしまうおそれがある。
【0008】
この点についてさらに詳細に説明すれば、ブレージングシートにおけるろう材は、ろう付け加熱時に溶融し、その後の冷却過程で再凝固することになるが、ろう材層は一般にその厚みが薄く、また冷却時には板厚方向に温度勾配が生じるため、凝固粒界は板面に対し垂直に形成されるのが通常である。また凝固後のろう材層の粒界にはラメラー状に共晶Siとα相とが存在するため、腐食環境に曝されれば、共晶Siとα相との電位差により粒界部のα相が優先腐食されて短時間のうちに腐食先端が板面に対し垂直な凝固ろう材粒界を貫通してしまう。ここで、芯材よりも電位的に卑な犠牲材層がろう材層と芯材との間に配置されていれば、ろう材層の粒界を通って板厚方向に侵入した腐食に連続して犠牲材層が板面に沿った方向へ優先的に腐食され、芯材への腐食の進行を著しく遅延させることができる。このように熱交換器のプレート部においては、ろう材層から腐食が進入しても、犠牲材層を板に沿った方向へ優先腐食させることにより、板厚方向への腐食の貫通が遅れ、耐食性向上を図ることができるのである。
【0009】
一方、継手部では、その構造上、前述のような板面に沿った方向への犠牲材層の優先腐食が逆に耐食性に対して悪影響をもたらす。すなわち、熱交換器の継手部においては、例えばドロンカップ積層型熱交換器について図13に示しているように、ブレージングシート成形体1の端部1Aがタンク室12内に位置しており、その部分では犠牲材層の端面もタンク室12内に露呈していることになる。そしてこの犠牲材層の露呈端面はタンク室12内の熱交換対象媒体である水や冷媒に接していることになる。一方、タンク12内へ露呈しているブレージングシート成形体端部1Aの比較的近くの位置、例えば図13の部分Aや部分Bは外気に曝されている。このような場合において、腐食性の強い外気に曝される部位、例えば部分Aからの継手部の腐食の進行状況を図16に示す。図16において、外気に曝されている部分Aから腐食が開始されて、矢印Cに示すようにろう材層23Aを板厚方向に腐食が貫通し、さらに犠牲材層25が矢印Dで示すように板面方向に沿って優先腐食されれば、その面方向腐食が、タンク室内に露呈するブレージングシート成形体の端部1Aの犠牲材層露出端面33に早期に達してしまう。このことは、熱交換器の外気に接する部分と被熱交換媒体に接する部分との間が早期に貫通してしまうことを意味する。したがって継手部においては、ろう材と芯材との間に芯材よりも腐食電位が低い犠牲材層を設けておくことによって、板厚方向の腐食の貫通は遅らせることができても、板面に沿った方向への腐食の進行は逆に促進させてしまうため、耐食性を劣化させてしまう結果となる。
【0010】
もちろん芯材と犠牲材層との電位差によって板厚方向、板面方向の腐食速度の関係は変化し、例えば犠牲材層として純Alを適用した場合には、板厚方向の腐食を遅らせる効果はさほど大きくなく、そのためプレート部の耐食性向上効果もさほど大きくないものの、板面に沿った方向への腐食の促進も少ないため、継手部の耐食性を劣化させるおそれも少ない。これに対し純Alよりもさらに卑な金属、例えばAl−Zn系合金を犠牲材層に用いれば、プレート部の耐食性はZn量の添加とともに向上するが、継手部の耐食性はZn量の添加とともに低下してしまう。
【0011】
以上のように従来は、ブレージングシートを用いたアルミニウム合金製熱交換器において、芯材とろう材との間に犠牲材層を介在させる手法は、耐食性向上効果をプレート部と継手部とで両立させることは困難とされているのである。
【0012】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、熱交換器のプレート部と継手部との両者の耐食性を同時に改善することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述のような問題を解決するため、この発明においては、基本的にはブレージングシートとして犠牲材層を有するものを用いて、プレート部では従来と同様に犠牲材層の存在による板厚方向への腐食を遅らせる効果を利用し、一方継手部については、犠牲材層における板面と平行な方向への腐食の進行を停止させるべく、ろう材側の面から溝部を形成しておくこととした。
【0014】
具体的には、請求項1の発明のアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法は、Al−Mn系合金もしくはAl−Mg−Si系合金からなる芯材の少なくとも片面に芯材よりも20mV以上腐食電位が低い犠牲材層が積層され、さらにその犠牲材層の外側にAl−Si系合金もしくはAl−Si−Mg系合金からなるろう材が積層されてなるブレージングシートを用いて、そのブレージングシートを所定の形状に成形してブレージングシート成形体とした後、熱交換器形状に組立てて、ろう付け加熱するアルミニウム合金製熱交換器の製造方法において、ブレージングシート成形体を熱交換器形状に組立てるに先立ち、ブレージングシートにおける犠牲材層を有する側の継手部接合面に相当する部位に、ろう材の平均厚さに対応する深さ以上でかつブレージングシート全厚みの2/3以下の深さの溝部をろう材表面から形成しておき、その後ブレージングシート成形体を熱交換器形状に組立ててろう付け加熱することを特徴とするものである。
【0015】
また請求項2の発明のアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法は、請求項1に記載のアルミニウム合金製熱交換器の組立方法において、前記溝部を、継手部接合面端部に相当する犠牲材層露呈端面に沿って連続して形成することを特徴とするものである。
【0016】
さらに請求項3の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の方法により製造されたアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体を規定している。
【0017】
一方請求項4の発明の熱交換器用ブレージングシート成形体は、Al−Mn系合金もしくはAl−Mg−Si系合金からなる芯材の少なくとも片面に芯材よりも20mV以上腐食電位が低い犠牲材層が積層され、さらにその犠牲材層の外側にAl−Si系合金もしくはAl−Si−Mg系合金からなるろう材が積層されてなるブレージングシートからなり、かつ熱交換器の継手部に相当する部分とプレート部に相当する部分とを一体に成形した熱交換器用ブレージングシート成形体において、犠牲材層を有する側の継手部接合面に相当する部位に、ろう材の平均厚さに対応する深さ以上でかつブレージングシート全厚みの2/3以下の深さの溝部がろう材表面から形成されているとを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
先ずこの発明の熱交換器ろう付け構造体に使用されるブレージングシートについて説明する。
【0019】
ブレージングシートの積層構造としては、図14に示したように犠牲材層を一方の面の側のろう材と芯材との間にのみ設けた構造、あるいは図15に示したように犠牲材層を両面側のろう材と芯材との間に設けた構造とのいずれの構造でも良い。
【0020】
ブレージングシートに用いる芯材は、基本的にAl−Mn系合金またはAl−Mg−Si系合金であれば、強度、耐食性を確保することができる。より詳細には、芯材のAl−Mn系合金としては、Mn0.6〜2.0%を有し、さらに必要に応じて強度向上、耐食性向上のためCu0.05〜1.5%、Si0.05〜0.6%、Ti0.06〜0.3%、Mg0.06〜0.5%、Cr0.06〜0.3%、Zr0.06〜0.3%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を用いることが適当であり、また芯材のAl−Mg−Si系合金としては、Mg0.1〜1.5%、Si0.2〜2.0%を有し、さらに必要に応じて強度向上、耐食性向上のためCu0.05〜1.5%、Ti0.01〜0.3%、Mn0.05〜1.5%、Cr0.06〜0.3%、Zr0.06〜0.3%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を用いることが適当である。
【0021】
一方ろう材は、基本的にAl−Si系合金またはAl−Si−Mg系合金であれば、ろう付け性を確保することができる。より詳細には、ろう材としては、Si6.0〜13.0%を有し、さらに必要に応じて耐食性向上、ろう付け性向上のためMg0.05〜2.0%、Zn0.3〜4.0%、Bi0.01〜0.3%、Be0.0001〜0.002%、In0.10%以下、Sn0.10%以下、Ga0.10%以下のうちの1種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を用いることが好ましい。
【0022】
さらに犠牲材層は、基本的に芯材より電位が20mV以上低ければ、芯材に対する犠牲防食効果が得られ、プレート部に関して充分な耐食性をもたらすことができる。犠牲材合金としては、Al−Mn系合金もしくはAl−Mg−Si系合金よりなる芯材より電位を下げるために、Mn0.5%以下、Cu0.3%以下、Ti0.2%以下、Cr0.2%以下に規制し、さらに効果的に電位を下げるためには必要に応じてZn0.1〜10%、Mg0.05〜2.0%、In0.005〜0.1%、Sn0.02〜0.2%、Ga0.01〜0.1%のうちの1種または2種以上を含有させ、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金を用いることが望ましい。
【0023】
前述のような芯材の望ましい成分組成の限定理由を説明する。
【0024】
Al−Mn系合金の場合:
Mnは強度を高めるとともに耐孔食性を向上させるに有効な元素である。Mn量が0.6%未満ではこれらの効果が充分に得られず、2.0%を越えれば巨大な金属間化合物が生成されて圧延性や成形性を損なうとともに耐食性も低下し、また粒界腐食感受性が高まってしまう。そこで芯材のMn量は、0.6〜2.0%の範囲内とすることが好ましい。
【0025】
Cuは芯材の電位を貴にするとともに、ろう付け後の強度を高めるために有効な元素であるが、Cuが0.05%未満ではこれらの効果が小さく、一方1.5%を越えて添加すれば、孔食が発生しやすくなって耐食性が低下する。したがって必要に応じてCuを添加する場合のCu量は、0.05〜1.5%の範囲内が好ましい。
【0026】
Siは強度を高めるとともにろう材から拡散してくる余剰なSiを低減し、エロージョン抑制に有効な元素である。Siが0.05%未満ではこれらの効果が充分に得られず、一方0.6%を越えて添加すれば耐食性を損なう。そこでSi量は0.05〜0.6%の範囲内が好ましい。
【0027】
Tiの添加は芯材の電位を貴にするとともに、腐食形態をピット状から層状に変化させることによって最大腐食深さを小さくし、これによって耐食性を向上させるために有効である。Tiの添加量が0.06%未満ではこれらの効果が充分に発揮されず、一方0.3%を越えれば、これらの効果が飽和して経済性を損なうばかりでなく、Al3Tiの巨大金属間化合物が生成されて圧延性や成形性を損なう。したがって必要に応じてTiを添加する場合のTi量は、0.06〜0.3%の範囲内が好ましい。
【0028】
Mgはろう付け後の強度を高めるために有効な元素であるが、Mg量が0.06%未満ではその効果が少なく、一方0.5%を越えれば強度上昇に伴なって成形性が低下するとともに、電位を下げることにより耐食性を著しく低下させる。そこで必要に応じてMgを添加する場合のMg量は、0.06〜0.5%の範囲内とする。
【0029】
Cr、Zrはいずれもろう付け加熱後の強度を高めるために有効な元素であるが、いずれも0.06%未満ではその効果が充分に得られず、一方0.3%を越えれば巨大な金属間化合物が生成されて成形性を損なう。そこで必要に応じてCr、Zrのいずれか一方または双方を添加する場合のCr量、Zr量はそれぞれ0.06〜0.3%の範囲内が好ましい。
【0030】
なおアルミニウム合金においては一般に不可避的不純物としてFeが含有されるが、Feは耐食性を低下させるから、可及的に少ないことが望ましい。具体的には、Fe量は0.7%以下、より好ましくは0.3%以下とする。
【0031】
Al−Mg−Si系合金の場合:
MgはSiと共存するとろう付け後の冷却中にMg2Si微細析出物を形成し強度を高める。Mg量が0.1%、Si量が0.2%未満ではこの効果が得られず、Mg量が1.5%、Si量が2.0%を越えれば強度は高まるものの成形性が低下し、また粒界腐食感受性が鋭敏化し耐食性を劣化させるから、Mg量は0.1〜1.5%、Si量は0.2〜2.0%の範囲内とする。なお充分な強度を得るには、Mg2Siの化学量論的組成比よりもSiを過剰に含有させることが効果的である。
【0032】
Cuは芯材の電位を貴にするとともに、ろう付け後の強度を高めるために有効な元素であるが、Cuが0.05%未満ではこれらの効果が小さく、一方1.5%を越えて添加すれば、孔食が発生しやすくなって耐食性が低下する。したがって必要に応じてCuを添加する場合のCu量は0.05〜1.5%の範囲内が好ましい。
【0033】
Tiの添加は芯材の電位を貴にするとともに、腐食形態をピット状から層状に変化させることによって最大腐食深さを小さくし、これによって耐食性を向上させるために有効である。Tiの添加量が0.01%未満ではこれらの効果が充分に発揮されず、一方0.3%を越えればこれらの効果が飽和して経済性を損なうばかりでなく、Al3Tiの巨大金属間化合物が形成されて圧延性や成形性を損なう。したがって必要に応じてTiを添加する場合のTi量は0.01〜0.3%の範囲内が望ましい。
【0034】
Mnはろう付け加熱後の強度を高めるために有効な元素であるが、0.05%未満ではその効果が得られず、一方1.5%を越えると巨大な金属間化合物が形成されて圧延性や成形性を損なうとともに耐食性も低下し、また粒界腐食感受性が高まってしまう。したがって芯材のMn量は0.05〜1.5%の範囲内とすることが好ましい。
【0035】
Cr、Zrはいずれもろう付け加熱後の強度を高めるために有効な元素であるが、いずれも0.06%未満ではその効果が充分に得られず、一方0.3%を越えれば巨大な金属間化合物が生成されて成形性を損なう。そこで必要に応じてCr、Zrのいずれか一方または双方を添加する場合のCr量、Zr量はそれぞれ0.06〜0.3%の範囲内が好ましい。
【0036】
なおアルミニウム合金においては一般に不可避的不純物としてFeが含有されるが、Feは耐食性を低下させるから、可及的に少ないことが望ましい。具体的には、Fe量は0.7%以下、より好ましくは0.3%以下とする。
【0037】
次にろう材の望ましい成分の限定理由を以下に説明する。
【0038】
Siはアルミニウム合金ろう材として必須の合金元素であって、ろう材の融点を低下させ、溶融ろうの流動性を良好にする作用を有する。Si含有量が6.0%未満ではその効果が少なく、一方13.0%を越えればDC鋳造性、圧延性、成形性の低下を招くから、Siは6.0〜13.0%の範囲内とした。
【0039】
Mgはアルミニウム合金に添加された場合にその電位を卑にし、貴な芯材に対して犠牲陽極効果を発揮させる効果をもたらす。また真空ろう付けの場合には、加熱中にMgが蒸発することによりアルミニウム表面の酸化皮膜を浄化してろう付け性を向上させる役割も果たす。Mg量が0.05%未満ではこれらの効果がなく、一方Mg量が2.0%を越えれば圧延性が低下するとともに、Mg蒸発による炉の汚染を招くおそれがあるから、ろう材をAl−Si−Mg系合金とする場合のMg量は0.05〜2.0%の範囲内とした。
【0040】
Znはアルミニウム合金に添加された場合にその電位を卑にし、貴な芯材に対して犠牲陽極効果を発揮させるために有効である。Zn添加量が0.3%未満ではその効果が少なく、一方4.0%を越えて添加すれば、自己腐食作用が激しくなるとともに、圧延性、成形性を損なう。そこで必要に応じて添加されるろう材中のZn量は0.3〜4.0%の範囲内とした。
【0041】
Biは溶融ろうの流動性を向上させて、ろう付け性を改善する効果を有する。Bi量が0.01%未満ではその効果が得られず、一方0.3%を越えて添加してもその効果は飽和し、経済性を損なう。そこでBiを添加する場合のBi量は0.01〜0.3%の範囲内とした。
【0042】
Beも溶融ろうの流動性を向上させて、ろう付け性を改善する効果を有する。Be量が0.0001%未満ではその効果が得られず、一方0.002%を越えて添加してもその効果は飽和し、経済性を損なう。そこでBeを添加する場合のBe量は0.0001〜0.002%の範囲内が望ましい。
【0043】
In、Sn、Gaはいずれもアルミニウム合金に添加された場合にその電位を卑にする作用があり、したがってろう材に添加されればその犠牲陽極効果を向上させるに寄与する。それぞれ添加量が0.10%を越えればろう材の電位が卑になり過ぎて腐食速度が速まり、逆に耐食性を低下させてしまうおそれがあるから、いずれもその添加量は0.10%以下が適当である。
【0044】
なおろう材のアルミニウム合金にも不可避的不純物としてFeが含有されるが、Feはろう材の耐食性を低下させるから、その含有量ができる限り少ないことが好ましい。具体的にはFe量は0.7%以下が好ましく、より望ましくは0.5%以下が適切である。
【0045】
次に犠牲材層の望ましい成分の限定理由を以下に説明する。
【0046】
犠牲材層は、その電位を芯材のそれよりも下げて芯材を保護するためのものであり、芯材との電位差が20mV未満では犠牲材層による犠牲防食効果が充分に得られないから、犠牲材層と芯材との電位差は20mV以上とし、好ましくは50mV以上とする。但し、必要以上に電位差が大きくなり過ぎれば、犠牲材層の腐食速度が大きくなってしまうから、50〜500mVの範囲内が最も好ましい。このように電位を調整するため、犠牲材層の合金としては、電位を貴にする元素の添加を規制する必要がある。このように、電位を貴にして芯材と犠牲材層の電位差を少なくし、犠牲防食効果を低下させる元素としては、Mn、Cu、Ti、Crなどがあるが、これらはそれぞれMn0.5%以下、Cu0.3%以下、Ti0.2%以下、Cr0.2%以下に規制することが望ましい。
【0047】
Zn、Mg、In、Sn、Gaはアルミニウムに添加されればその電位を卑にして、貴な芯材に対して犠牲陽極効果を発揮させるために有効な元素であり、犠牲材合金に必要に応じて添加される。Zn0.1%未満、Mg0.05%未満、In0.005%未満、Sn0.02%未満、Ga0.01%未満ではその効果が得られず、またZn10%、Mg2.0%、In0.1%、Sn0.2%、Ga0.1%を越えれば犠牲材層の腐食速度が過大となって逆に耐食性を低下させるとともに、圧延性を低下させるから、Znは0.1〜10%、Mgは0.05〜2.0%、Inは0.005〜0.1%、Snは0.02〜0.2%、Gaは0.01〜0.1%の範囲内とすることが好ましい。
【0048】
この発明においては、前述のような芯材、ろう材、犠牲材を積層してなるブレージングシートを成形して熱交換器を組立てるにあたって、組立ておよびろう付け加熱前の段階のブレージングシート成形体(コアプレート)について、熱交換器の継手部接合面に相当する部位に、犠牲材層が存在する側のろう材表面から、ろう材の平均厚み以上の深さで溝部を形成しておくことが重要である。
【0049】
この発明に従ってドロンカップ積層型熱交換器用のブレージングシート成形体(コアプレート)における継手部接合面に対応する位置に溝部を形成した例を、図1、図2に示し、またこのように溝部を形成したブレージングシート成形体を用いて組立てたドロンカップ積層型熱交換器ろう付け構造体の例を図3に示す。さらに図4には、図1に示されるブレージングシート成形体1における溝部形成部分付近を拡大して示す。これらの図1〜図4に示すようにブレージングシート成形体1における熱交換器の継手部11の接合面11Aに対応する位置には、ろう材層23Aの側から溝部31が形成されている。
【0050】
ここで、ブレージングシートとしては、図4に拡大して示しているように、芯材21の一方の面に犠牲材層25を設け、その犠牲材層25の外側の面および芯材21の他方の面にそれぞれろう材層23A,23Bを設けた例を示している。そして犠牲材層25が存在する側のろう材層23Aの表面から、断面が逆台形状をなす溝部31が形成されており、この溝部31はろう材層23Aの表面から底端が例えば犠牲材層25内の厚み方向中間位置まで到達するように形成されている。なおこの溝部31は、継手部11のタンク室内面側へ露出するブレージングシート端部1A(犠牲材層25の露呈端面33)に沿って連続して円周状に形成されている。
【0051】
このように溝部を形成しておくことによって、次に述べるように溝部に対応する箇所において犠牲材層の犠牲効果を喪失させ、犠牲材層における板面方向に沿っての優先腐食の進行をその溝部に対応する部分で停止させることができるから、継手部接合面においてろう材側から進入した腐食が犠牲材層において板面方向へ進行して、継手部接合面の犠牲材露呈端面33まで貫通してしまうことを有効に防止し、継手部に充分な耐食性を与えることができる。
【0052】
このような溝部による作用を、図4に示した例についてさらに詳細に説明する。
【0053】
すなわち、図4に示すような溝部31を形成したブレージングシート成形体1を用いて熱交換器を組立て、ろう付け加熱を行えば、ろう材層23A,23Bのろう材が溶融し、特に溝部31を形成した側のろう材層23Aでは図5に示すように溝部31の周辺から溶融ろうが溝部31内に流入し、更にはその溶融ろうが犠牲材層25を局部的に溶融させて、その部分で固相として残る犠牲材層25が薄くなる。このように溝部31の底部付近においてろう付け加熱時に薄くなって固相として残る犠牲材層31の部分25aを、図4においてクロスハッチングで示す。
【0054】
上述のようなろう付け加熱の過程において、溝部31の底部付近の犠牲材層25aからは、電位を卑にする合金成分、例えばMgやZnがろう材中へ拡散して、溝部31の底部付近に残る犠牲材層25aの電位が局部的に高くなる。またろう材23A中に含まれていた電位を貴にする合金成分が犠牲材層25a中へ拡散することもあり、さらには犠牲材層25a中のMgやZnなどの電位を卑にする合金成分が溝部31から直接蒸散することもあり、これらも溝部31の底部付近の犠牲材層25aの電位を局部的に高くさせるに寄与する。このようにして溝部31の底部付近に残る犠牲材層25aの電位が局部的に高くなる結果、溝部31の底部付近では犠牲材層25aと芯材21との電位差が局部的に小さくなり、その部分で犠牲材層25aが優先腐食され難くなる。したがって例えば図6に示すように溝部31の側方の位置Aにおいてろう材層23A表面から腐食が生じてその部分でろう材層23Aの腐食が貫通し(実線矢印Q1)て犠牲材層25に腐食が達し、芯材21と犠牲材層25との電位差により犠牲材層25中を板面と平行な方向へ腐食が進行し(実線矢印Q2)、その腐食が溝部31に対応する部分25aに達すれば、その部分では前述のように犠牲材層と芯材との電位差が小さいため、犠牲材層25の優先腐食が停止される。すなわち、板面に沿った方向への犠牲材層25の腐食の進行が停止し、ブレージングシート成形体1の端部の犠牲材露呈端面33まで犠牲材層25の腐食が進行してしまうこと、すなわち腐食が位置Aから犠牲材露呈端面33まで貫通してしまうことを防止できるのである。
【0055】
ここで、ろう付け加熱時においては、ろう材層23Aは全面的に溶融するから、溝部以外の部分でも犠牲材層からろう材中への合金成分の拡散はある程度生じる。しかしながら、特に溝部31を形成した部分では、溝部31内に流入した溶融ろうにより集中的に犠牲材層が溶融され、固相で残る犠牲材層の厚みが薄くなるところから、固相拡散の拡散距離が他の部分と比較して短くなり、そのため犠牲材層からのMgやZnの拡散が速やかに生じて、溝部31の底部付近で局部的に犠牲材層中に含まれるMgやZnの如く電位を卑にする合金元素量が少なくなる現象が生じるのである。またろう付け加熱の初期においては、溝部31の底部では犠牲材層が露呈しているため、MgやZnの直接的な蒸散も生じ、このことも溝部31の底部付近の犠牲材層のMgやZnの濃度を下げることに寄与する。
【0056】
なお図4に示す例では溝部31は犠牲材層25の厚み方向の中間位置まで達するように形成しているが、溝部31の深さdは、要は平均ろう材厚みt以上でかつブレージングシートの全厚みの2/3以下であれば良い。図7には溝部31の深さdが下限値の場合、すなわち平均ろう材厚みtと等しい場合を示し、また図8には溝部31の深さdが平均ろう材厚みtと平均犠牲材層厚みt′との合計(t+t′)よりも大きい場合、すなわち溝部31の底端が芯材21中に達している場合を示す。これらの図7の例、図8の例のいずれの場合もこの発明の範囲内に含まれることはもちろんである。但し、後に改めて説明するように、溝部の深さdが平均ろう材厚みt以上(但しブレージングシート全厚みの2/3以下)であっても、溝部の形成のための加工方法によっては、溝部の底部にろう材が薄く存在することもあり、このようなケースもこの発明では許容される。
【0057】
ここで、溝部の深さdが平均ろう材厚みtよりも小さければ、ろう付け加熱時において溝部の底部に相当する位置の犠牲材層からMg、Znなどの電位を卑にする成分をろう材中へ充分に拡散させる効果がほとんど得られず、またこれらの成分を溝部から直接蒸散させることも困難となり、そのため溝部の底部付近において局部的に犠牲材層の電位を高くすることが困難となって、犠牲材層の板面方向に沿った腐食を溝部の底部付近で停止させることが困難となり、その結果継手部の耐食性向上効果も得られなくなる。したがって溝部の深さdは平均ろう材厚みt以上とした。一方、溝部の深さdの上限は、ブレージングシートの全厚みの2/3以下とする。すなわち、溝部を形成するための加工における製品形状の維持と強度の維持を図り、またろう付け加熱時に確実に溝部内に溶融ろうを流入させる観点から、溝部の深さはブレージングシートの全厚みの2/3以下とする必要がある
【0058】
この発明において、溝部を形成するための加工方法としては種々の方法を適用することができる。代表的な方法としては、切削加工によって溝部の部分を物理的に切欠除去する方法がある。この場合は溝部の深さdがろう材の平均厚みt以上となるように切削することにより、溝部の底部では犠牲材層が露呈することになるから、ろう付け加熱時に溝部内に流入した溶融ろうが直接犠牲材層に接し、そのため犠牲材層中のMgやZn等の合金成分をろう材中へ最も効果的に拡散させることができる。一方、ナイフエッジ状の工具を用いてプレス加工により溝部を押し込み加工(圧縮加工)しても良い。この場合は図9に示すようにろう材の平均厚みt以上となるように溝部31を形成しても、溝部31の底部にろう材23Aが薄く残存するが、溝部31の底部に対応する位置で犠牲材層25が薄くなり、しかもその薄くなった部分で犠牲材層25のろう材側の表面部分が溶融ろうにより局部的に溶融せしめられるため、犠牲材層25中のMg、Zn等の合金元素を溶融ろう中へ速やかに拡散させ、溝部31に対応する位置において犠牲材層25の電位を局部的に高める効果が得られる。
【0059】
なお溝部形成のための加工は、一般にはブレージングシートを成形してブレージングシート成形体(コアプレート)とした後に行なうのが通常であるが、場合によっては成形と同時に、あるいは成形前に行なうことも可能である。
【0060】
溝部の断面形状は特に限定されるものではないが、一般には逆台形状あるいは矩形状、またはV字形状やU字形状とするのが通常である。また溝部の幅も特に限定されるものではなく、例え溝部の幅が狭くても、ろう付け加熱時においては溶融ろうが毛細管現象により狭い溝部内にも侵入することができるから、前述のような溝部の機能を果たすことができる。但し、短時間のろう付け加熱中に犠牲材成分の拡散をより効果的に行なわせるためには、溝部の開口部分の幅が20μm以上あることが望ましい。また、プレス加工などの圧縮加工によって溝部を形成する場合、溝部に対応する位置の犠牲材層を局部的に薄くして犠牲材成分の拡散を促進させるためには、圧縮工具のナイフエッジとして先端角度が小さいもの、具体的には90°以下のものを用いて溝部の開口角度を小さくすることが望ましい。さらに、プレス加工などの圧縮加工によって溝部を形成する場合において、加工工具寿命を確保するためにナイフエッジ形状を台形形状とする場合でも、先端平坦部分の幅は500μm以下とすることが望ましい。
【0061】
なお、図1〜図4の例においては、継手部接合面に対応する部分に、タンク室12を1周するように1列の溝部を形成しており、このように1列に溝部を形成するだけで充分に継手部の耐食性を確保することが可能であるが、溝部形成のための加工の信頼性を考慮して、間隔を置いて2列以上の溝部を形成しても良く、この場合にはより確実に耐食性を確保することができる。
【0062】
さらに、熱交換器の継手部における特定の部位においてのみ腐食が進行することが経験により判明している場合には、その部分にのみ溝部を形成しておいても良い。
【0063】
なおブレージングシートにおけるろう材のクラッド率は特に限定されるものではなく、最終的な熱交換器の種類や用途、形状あるいはブレージングシートの全厚みなどに応じて適宜定めれば良いが、一般には5〜25%程度であれば良好なろう付け性を確保することができる。また犠牲材層のクラッド率も特に限定されるものではなく、最終的な熱交換器の種類や用途、形状、あるいはブレージングシートの全厚み、ろう材の厚みなどによって適宜定めれば良いが、一般には5〜25%程度であれば所定の性能を得ることができる。
【0064】
なおブレージングシート自体の製造方法としては、通常のクラッド材の製造方法などに用いられている方法を適用すれば良く、特に限定されるものではない。
【0065】
具体的には、例えば各合金材料を鋳造して、必要に応じて均質化処理を施してから熱間圧延を行なって所定の板厚とするか、あるいは熱間圧延を行なわずに面削のみによって所定の厚みとし、その後各板を重ね併せて熱間圧延によりクラッド圧延を行ない、必要に応じて中間焼鈍を施してから冷間圧延を行なって最終板厚とすれば良く、また冷間圧延の中途で必要に応じて中間焼鈍を行なったり、また最終の冷間圧延後に必要に応じて最終焼鈍を施しても良い。ここで、鋳造方法としては一般的な半連続鋳造法を用いれば良い。また鋳造後には、芯材あるいは犠牲材層については、溶融ろうによる耐エロージョン性を考慮して均熱処理を行なうことが望ましく、この場合の均熱温度としては450〜620℃が適当であるが、耐エロージョン性をより向上させるためには高い温度で均熱処理を施すことが望ましい。クラッド圧延は、前述のように熱間圧延を適用するのが通常であるが、積層数が多い場合には2回以上のクラッド圧延を組合せても良いことはもちろんである。なおクラッド圧延時には接合性を良好にするため、事前にクラッド合せ面について酸洗もしくはアルカリ洗、溶剤脱脂などによって酸化皮膜の除去や脱脂を行ない、表面を清浄化しておくことが望ましい。最終のテンパー状態は、ブレージングシートを用いる熱交換器部品の種類や熱交換器の用途などによって定めれば良いが、例えばエバポレータ用コアプレートの場合はプレス成形を行なうためにO材(完全焼鈍材)とする必要があり、またラジェータのチューブ材では通常はH1nの加工材が使用されるなど、それぞれのテンパー状態に応じて冷間圧延、焼鈍の有無、焼鈍の条件などを定めれば良い。
【0066】
最終的にブレージングシート成形体を組立ててろう付けを行なうにあたってのろう付け法は特に限定されるものではない。またこの発明による熱交換器の用途は特に限定されるものではないが、自動車用熱交換器に適しており、また乗用車に限らずトラック等の大型車両のオイルクーラなどにも適している。
【0067】
【実施例】
表1の合金符号A1,B1〜B3,C1,C2に示す化学組成の各構成材をDC鋳造し、芯材合金B1〜B3および犠牲材層合金C1,C2については、常法に従って鋳塊に均質化処理を施した。その後表2のようなクラッド率で3層または4層の厚み4mmの熱間圧延合せ板を作製した。これを0.6mm厚まで冷間圧延し、350℃で2時間焼鈍した後、図1、図2に示すようなエバポレータコアプレートにプレス成形した。さらに図10に示すような断面形状を有する工具を用いて、継手部接合面に種々の深さでプレス加工により溝部を形成した。このエバポレータコアプレートを10枚積層して治具で固定した後、5×10-4Torr以上の真空中で600℃×3分のろう付けを施した。さらに、腐食試験のため、一般プレート部と継手部を切り離し、所定のシールを行なった後、それぞれに対し5水準の試験時間でSWAAT試験を行ない、一般プレート部については光学顕微鏡の焦点深度法で最大腐食深さを測定し、極値解析により板厚貫通までの腐食時間を推定した。また継手部については腐食部を断面研磨して最大腐食深さを測定し、接合面幅を2.5mmとしたときの接合面貫通までの腐食時間を推定した。
【0068】
各材料の腐食電位については、焼鈍材を5×10-4Torr以上の真空中で600℃×3分加熱し、犠牲材層、芯材に達するまで50℃、10%NaOHでエッチングした後、窒素ガスで60分脱気した25℃、2.67%AlCl3水溶液中で孔食電位を測定した。
【0069】
【表1】
Figure 0004033562
【0070】
【表2】
Figure 0004033562
【0071】
【表3】
Figure 0004033562
【0072】
以上の実施例において、一般プレート部については、犠牲材層を形成していない試料番号1と犠牲材層を設けた試料番号2,4,7,11との比較から明らかなように、犠牲材層を設けることによって耐食性が向上し、特に試料番号2,4,7の比較から明らかなように犠牲材層のZn量を多くして芯材/犠牲材層の電位差を大きくするほど腐食寿命が長くなって耐食性が向上している。一方継手部に関しては、溝部を形成しなかった場合は、試料番号2,4,7から明らかなように犠牲材層のZn量を多くして芯材/犠牲材層の電位差を大きくするほど腐食寿命が短くなり、耐食性が低下していることが判明した。これに対し、ろう材平均厚み(90μm)よりも厚い150μmもしくは200μmの深さの溝部を継手部接合面に形成した場合(試料番号3,6,9,10,13)には、継手部の腐食寿命が大幅に延長され、耐食性が改善されていることが判明した。また試料番号5,8,12の例は、いずれも継手部接合面の溝部の深さをろう材平均厚みより小さい60μmとした例であり、これらの場合には、継手部の耐食性は溝部を形成しない場合と比べて特に改善されなかった。
【0073】
なお継手部の腐食形態を光学顕微鏡により観察したところ、試料番号1ではろう材の共晶領域がピット状に腐食されており、また試料番号4,7,11ではろう材から侵入した腐食が犠牲材層に達し、さらに犠牲材層が全面腐食されていることが明らかになった。また試料番号2の場合は両者の腐食形態が混在していた。
【0074】
【発明の効果】
前述の説明から明らかなように、この発明によれば、芯材との電位差が20mV以上の犠牲材層を設けたブレージングシートからなるブレージングシート成形体における継手部接合面に対応する部位に、ろう材の平均厚み以上の深さの溝部を形成しておくことにより、溝部の底部付近において犠牲材層の犠牲効果を抑制して、板面に沿う方向の犠牲材層の層状腐食の進行をその部位で停止させることができ、そのため継手部の貫通腐食を大幅に遅らせることができるから、継手部でも一般プレート部と同等以上の耐食性を確保することができ、その結果熱交換器全体としての耐食性を従来よりも大幅に向上させることができ、またそれに伴ないブレージングシートの薄肉化を図って従来よりも一層のコスト低減、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明におけるブレージングシート成形体の一例を示す要部拡大平面図である。
【図2】図1のII−II線における拡大縦断面図である。
【図3】図1、図2に示されるブレージングシートを用いて組立てた熱交換器ろう付け構造体の一例を示す要部拡大縦断面図である。
【図4】図1に示されるブレージングシート成形体の要部をさらに拡大して示す縦断面図である。
【図5】図4に示されるブレージングシート成形体のろう付け加熱後の状態を示す縦断面図である。
【図6】図5に示されるブレージングシート成形体を用いた熱交換器における腐食の進行状況を示すための縦断面図である。
【図7】この発明におけるブレージングシート成形体の他の例を示す縦断面図である。
【図8】この発明におけるブレージングシート成形体のさらに他の例を示す縦断面図である。
【図9】この発明におけるブレージングシート成形体において溝部を圧縮加工により形成した例を示す縦断面図である。
【図10】この発明の実施例において溝部形成のために使用した台形状ナイフエッジの先端形状、寸法を示すための略解図である。
【図11】従来の熱交換器に使用されるブレージングシート成形体の一例を示す要部拡大平面図である。
【図12】図11のX−X線における拡大縦断面図である。
【図13】図11、図12に示されるブレージングシート成形体を用いて組立てた従来の熱交換器の一例の要部拡大縦断面図である。
【図14】一般的なブレージングシートの積層構造の一例を示す縦断面図である。
【図15】一般的なブレージングシートの積層構造の他の例を示す縦断面図である。
【図16】図13に示される従来の熱交換器における継手部の腐食進行状況を示す要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 ブレージングシート成形体
3 プレート部
11 継手部
11A 継手部接合面
21 芯材
23A,23B ろう材
25 犠牲材層
31 溝部
33 犠牲材露呈端面

Claims (4)

  1. Al−Mn系合金もしくはAl−Mg−Si系合金からなる芯材の少なくとも片面に芯材よりも20mV以上腐食電位が低い犠牲材層が積層され、さらにその犠牲材層の外側にAl−Si系合金もしくはAl−Si−Mg系合金からなるろう材が積層されてなるブレージングシートを用いて、そのブレージングシートを所定の形状に成形してブレージングシート成形体とした後、熱交換器形状に組立てて、ろう付け加熱するアルミニウム合金製熱交換器の製造方法において、
    ブレージングシート成形体を熱交換器形状に組立てるに先立ち、ブレージングシートにおける犠牲材層を有する側の継手部接合面に相当する部位に、ろう材の平均厚さに対応する深さ以上でかつブレージングシート全厚みの2/3以下の深さの溝部をろう材表面から形成しておき、その後ブレージングシート成形体を熱交換器形状に組立ててろう付け加熱することを特徴とする、アルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法。
  2. 前記溝部を、継手部接合面端部に相当する犠牲材層露呈端面に沿って連続して形成することを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体の製造方法。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の方法により製造されたアルミニウム合金製熱交換器ろう付け構造体。
  4. Al−Mn系合金もしくはAl−Mg−Si系合金からなる芯材の少なくとも片面に芯材よりも20mV以上腐食電位が低い犠牲材層が積層され、さらにその犠牲材層の外側にAl−Si系合金もしくはAl−Si−Mg系合金からなるろう材が積層されてなるブレージングシートからなり、かつ熱交換器の継手部に相当する部分とプレート部に相当する部分とを一体に成形した熱交換器用ブレージングシート成形体において、犠牲材層を有する側の継手部接合面に相当する部位に、ろう材の平均厚さに対応する深さ以上でかつブレージングシート全厚みの2/3以下の深さの溝部がろう材表面から形成されていることを特徴とする、熱交換器用ブレージングシート成形体。
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