JP2012057183A - アルミニウム合金製クラッド材およびそれを用いた熱交換器 - Google Patents

アルミニウム合金製クラッド材およびそれを用いた熱交換器 Download PDF

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健二 根倉
Taketoshi Toyama
猛敏 外山
Masahiro Omae
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Abstract

【課題】 ベアフィン材がろう付け接合される熱交換器のチューブ用向けのクラッド材として、充分なろう付け機能を有すると同時に、優れた耐食性、特にチューブ外面側の環境に対する良好な耐食性を確保し得るクラッド材を提供する。
【解決手段】 芯材の一方の面に、Si:2.5〜7.0mass%(以後、%と記す。)、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠性陽極材層がクラッドされたアルミニウム合金製クラッド材。
【選択図】なし

Description

本発明は、インタークーラー、コンデンサやエバポレータ等の主として自動車に使用される熱交換器において、媒体流路を構成するチューブ用材料に関するものであり、特に優れた耐食性とろう付性を有するアルミニウム合金製クラッド材に関するものである。
自動車用熱交換器において冷却水等の媒体の流路を構成するためのチューブ材には、一般に3004合金などのAl−Mn系合金を芯材とし、その片面にAl−Si系合金からなるろう材層や、Al−Mn系合金からなる犠牲陽極材層をクラッドした2層構成のクラッド材、あるいは芯材の一方の面にろう材層を、他方の面に犠牲陽極材層をクラッドした3層構成のクラッド材などが広く使用されている。
これら板状のクラッド材に曲げ加工を施して偏平管状に成形し、その両端の重ね合せ部分をろう付けあるいは溶接により接合し、媒体流路であるチューブとする。該偏平チューブ外面にコルゲート状のフィンをろう付け接合するとともに、チューブの両端部分をヘッダ部の挿入孔にろう付け接合して熱交換器コアとする。さらに、場合によってはチューブの内側にインナーフィンを配置して、これをチューブ内面にろう付け接合することもある。通常は、これら一連のろう付けを1回のろう付け加熱により行い、熱交換器を製造する。
フィン材としては、芯材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしてなる、いわゆるブレージングシートを用いることも多い。しかし、放熱性やコストの点からは、フィン材としてろう材をクラッドしていないベアフィン材を用いることが望ましい。このようなベアフィン材を用いる場合、そのベアフィン材がろう付け接合されるチューブ材には、そのろう付面が高いろう付け性を有していることが要求される。またチューブ材に対しては、その内部に流れる水などの冷媒に対する耐食性やチューブ外面側の環境に対する高い耐食性が要求されるのが通常である。
従来、上述のようにチューブ材のろう付け機能と耐食性を同時に満足させるためには、犠牲陽極効果を付与するべくZnを添加したAl−Si系ろう材を用いることが行われている。しかし、Al−Si系ろう材にZnを添加したクラッド材では、ろう付け接合時に、溶融したろうが流動して接合部においてフィレットを生じるため、Znもフィレットに流動してしまう。その結果、ろう付け接合後、チューブ材の表面層、特にフィン間の中央部分に残存するZn量が少なくなり、充分な耐食性を確保することが困難となる。その問題を解決するためには、ろう材に添加するZn量を増量すると、フィレットに、流動したZnが著しく濃化するため、フィレット部分が優先腐食してしまい、やはり耐食性を確保することが困難となる。
これらの観点から、良好なろう付性と耐食性を兼ね備えた熱交換器コアに使用されるチューブ用材料の開発が強く求められている。
このような要求に対し、既に特許文献1においては、芯材の一方の面にクラッドされるZn含有犠牲陽極材として、ろう付け性を付与するために1.5%を越え3.0%未満のSiを添加し、かつその犠牲陽極材のZn量を3.0〜10.0%の範囲内とするクラッド材が提案されている。この犠牲陽極材は僅かな液相が生成してろう付性を与えるとともに、犠牲陽極材の厚さが維持されるため耐食性の維持も可能であることが示されている。
一方、特許文献2においては、チューブの内面となる内面犠牲陽極材として、犠牲陽極効果を付与するためにZnを1.0〜10.0%含有させると同時にろう付け性付与のためにSiを3.0〜6.0%含有させることが示されている。また、犠牲陽極材のマトリックス中に、粒子径(円相当径)0.1〜1.0μmのSi粒子が、1mm当たり2×10〜1×10個存在することが記載されている。
しかしながら、これらの特許文献1および2に示される熱交換器のチューブ用のクラッド材は、良好なろう付け性と充分な耐食性、特にチューブ外面側の環境(外部環境)に対する耐食性を確保するには、未だ満足できるものではなかった。
すなわち、ラジエータなどのようにチューブ内に冷却水が常に流れている環境下では、インナーフィンに犠牲防食効果を持たせることが可能である。また、一般にチューブ内面に常に水膜が広がっている使用環境であるため、チューブ内面での犠牲防食効果を充分に発揮させることは比較的容易である。しかしながら、熱交換器のチューブの外面側は、一般に湿潤と乾燥が繰返されて、水膜が途切れがちな環境下にあるのが通常である。このようなチューブ外面側の環境に対する耐食性については、上記の特許文献1、2に示される技術では未だ満足できるものではなかった。また、フィン間チューブ部でも、乾燥時の水膜の途切れと腐食加速イオンの局部的な濃縮により、犠牲防食効果を充分に機能させ難く、したがって、より高いレベルの防食能力が要求されているのが実情である。
特許文献1では犠牲陽極材層のSi添加量を1.5〜3.0%としている。しかし、ベアフィンとろう付する際に十分なろう付性は得られない。特許文献2では、犠牲陽極材層中のSi粒子分布を、耐エロージョンコロージョン性およびエロージョン性の観点から、0.1〜1.0μmのSi粒子を1mm当り2×10〜1×10個存在させているが、犠牲陽極材層をチューブ外面側に設けても特にベアフィン材とろう付け接合する場合、充分なろう付け性を確保することは困難であった。
特開2005−307252号公報 特開2000−309837号公報
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、ベアフィン材がろう付け接合される熱交換器のチューブ用向けのクラッド材として、充分なろう付け機能を有すると同時に、優れた耐食性、特にチューブ外面側の環境に対する良好な耐食性を確保し得るクラッド材を提供することを課題とするものである。
上述のような課題を解決するため、本発明者等は、芯材の一方の面に犠牲陽極材層を配置した2層構造のクラッド材、さらに一方の面に犠牲陽極材層および他方の面にろう材層を配置した3層構造のクラッド材について、種々実験および検討を重ねた。その結果、そのクラッド材構成材料、特に犠牲陽極材層および芯材の成分組成を適切に規制すると同時に、犠牲陽極材層の合金組織を適切に設定することによって、犠牲陽極材層側のベアフィン材に対するろう付け性を充分に向上させ、同時にチューブ外面側の環境に対する耐食性を充分に確保し得ることを見出し、この知見に基づきさらに研究を重ねこの発明をなすに至った。
具体的には、請求項1に係る発明は、芯材の一方の面にSi:2.5〜7.0mass%(以後、単に%と記す。)、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠牲陽極材層がクラッドされたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材である。
請求項2に係る発明は、芯材の一方の面に、Si:2.5〜7.0%、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠牲陽極材層がクラッドされ、他方の面に、Si:7.5〜12%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるろう材層がクラッドされたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材である。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のアルミニウム合金製クラッド材において、前記芯材として、Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Cu:0.05〜1.2%、Mn:0.6〜1.8%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられることを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材である。
請求項4または5に係る発明は、請求項1または2を引用する請求項3に記載のアルミニウム合金製クラッド材において、前記芯材として、請求項3に記載の成分元素に加えて、Mg:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Cr:0.05〜0.3%、V:0.05〜0.3%のうち1種以上をさらに含有し、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材である。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5に記載のアルミニウム合金製クラッド材において、芯材のろう付け加熱後の結晶粒の大きさが板平面方向で30〜500μmであることを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材である。
請求項7に係る発明は請求項1〜6に記載のアルミニウム合金製クラッド材を用いた熱交換器である。
この発明のクラッド材は、主にベアフィン材がろう付け接合される熱交換器用チューブ向けのクラッド材として、充分な外部ろう付性を有すると同時に、優れた耐食性、特にチューブ外面側の環境に対する良好な耐食性を発揮することができる。したがって、この発明のクラッド材を自動車用熱交換器などの種々の熱交換器のチューブに使用すれば、ろう付け接合不良を招くことなく充分な構造強度を有し、かつ耐食性が優れていて充分な耐久性を有する熱交換器を製造することができる。
図1は、この発明のクラッド材を用いて作成した偏平チューブの模式的な断面図である。 図2は、この発明で規定するベアフィンとチューブとの接合部のフィレット幅の測定箇所を示す模式的な断面図である。 図3は、この発明の実施例および比較例で使用した模擬コンデンサコアの外観を示す模式的な斜視図である。
本発明におけるクラッド材10の積層構造について図1を参照して説明する。クラッド材10は、芯材1の片面でチューブ材4の外部環境に曝される面に犠牲陽極材層2を、また、チューブ材4の内側となる面にろう材層3を、それぞれクラッドしてなるものである。本発明において、ろう材層3は、主として、重ね合せ部10Cのろう付け接合のために配置しているものである。したがって、チューブ材4とベアフィン材(ろう材層を有しない単層のフィン材)とろう付けするために、犠牲陽極材層2は、ろう付け機能を有する。なおろう材層3は、チューブ内面側にインナーフィンを配置する場合には、そのインナーフィンのろう付け接合にも利用可能である。インナーフィンにろう材層を有している場合は犠牲陽極材と芯材の2層材とする。
また、チューブの内部が腐食環境にある場合には犠牲陽極材層面をチューブの内側に配置してもよい。
次に、本発明のアルミニウム合金製クラッド材の各構成材についてさらに詳細に説明する。
犠牲陽極材層は、犠牲陽極機能のみならず、ベアフィン材をろう付け接合するためのろう付け機能を有している。まず、犠牲陽極材層の成分限定理由を以下に説明する。
Siは、犠牲陽極材層の融点を低下させてろう付け加熱により液相を生じやすくし、ベアフィン材とのろう付け(外部ろう付け)を可能にする。Si量が2.5%未満では、生じる液相がわずかとなって、充分な外部ろう付けが出来ない。一方、Si量が7.0%を越えると液相量が多くなるために、固相として存在する犠牲陽極材層部分が少なくなり、耐食性が低下する。そこで犠牲陽極材層のSi量は2.5〜7.0%の範囲とした。なお、ろう付け性と耐食性の観点からより好ましいSi量は、3.1〜4.5%である。
Znは、犠牲陽極材層の自然電位を下げる作用を有し、芯材に対する犠牲防食効果によりクラッド材の耐食性を向上させる効果がある。また、Znは犠牲陽極材層の融点を下げるため、ろう付け加熱時に生じる液相量が多くなり、外部ろう付け性を向上させる。犠牲陽極材層のZn量が1.0%未満では、犠牲防食効果が発揮されにくくなり、耐食性が低下する。一方、Zn量が5.5%を越えれば、犠牲陽極材層の腐食が促進され、クラッド材の耐食性が低下する。また、フィン/チューブ接合部のZn量が増加するため、フィレットが優先的に腐食し、フィン剥がれが発生する。そこで犠牲陽極材層のZn量は1.0〜5.5%の範囲内とした。より好ましいZn量は、3.0〜5.5%である。
Feは、犠牲陽極材層の表層や、フィレットの共晶部にAl−Fe系やAl−Fe−Si系化合物を形成する。フィンの犠牲防食作用が及ばないチューブ材表層では、これらの化合物が腐食の起点となるため、犠牲陽極効果により耐食性を向上させる。一方、フィレットの共晶部では、これらの化合物がカソードとなり、優先腐食の発生を助長する。Fe量が0.2%未満では、表層に生成するAl−Fe−Si系化合物が少ないため、犠牲陽極材層の耐食性が低下する。一方、Fe量が0.5%を越えれば、フィレットの共晶部分のAl−Fe系やAl−Fe−Si系化合物が増えるため、チューブ重ね合せ接合部の耐食性が低下する。そこでチューブの耐食性と、重ね合せ接合部の耐食性とを両立させるため、犠牲陽極材層のFe量は0.1〜1.0%の範囲内とした。なお、より確実にこれらの効果を確保するためには、Fe量は0.2〜0.6%とすることが好ましい。
Naは、犠牲陽極材層中に粗大なSi粒子が発生することを抑制し、Si粒子を細かく均一に分散させる効果がある。Si粒子を微細かつ均一に分散させることにより、ろう付加熱中に粒界や表層に拡散するSi量が増加し、表層に形成される液相量を増加させる。Na量が0.005%未満では、上記の効果が発現せず、一方、0.1%を越えてNaを添加しても、その効果は飽和する。そこでNaの添加量は、0.005〜0.1%の範囲内とした。より好ましいNa量は、0.005〜0.01%である。
犠牲陽極材層の成分組成は、以上の各元素のほかは、残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として混入する元素は、それぞれ0.05%以下とし、かつ合計で0.15%以下であることが好ましい。
次に、犠牲陽極材層には、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する。Si粒子の分布状態は、ろう付け性と耐食性に影響を与える。Si粒子はより小さいほうがろう付時にろうを発生させやすく、ろう付に有効に寄与する。そのため、Si粒子の粒子径は上記範囲内において、より小さい方が好ましい。Si粒子が0.1μmより小さいとろう付け性において十分な効果が得られない。また、円相当径が0.1〜5.0μmのSi粒子が5000個/mm未満では、Si粒子の個数が少なく、ろう付加熱中に粒界や表層に拡散するSi量が減少することで表層に形成される液相量が低下するため、ろう付け性が低下する。一方、Si粒子が15000個/mmを越えて存在すれば、ろう付け加熱時に形成される液相が多くなるため、固相として存在する犠牲陽極材部分が減少し、耐食性が低下する。より好ましい範囲は円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が8000〜15000個/mm以下である。
円相当径が5.0μmを越えるSi粒子では、ろう付加熱中にそのSi粒子周りで大きな液相が発生する。発生した大きな液相は犠牲陽極材中に留まり、ろう付に有効な液相とならず、ろう付性が低下する。円相当径が5.0μm以上のSi粒子が2000個/mmを超えて存在すると、ろう付に寄与しない犠牲陽極材中に留まる液相の発生頻度が高くなり、ろう付性が低下する。また、粗大なSi粒子は、ろう付け時に芯材を溶融して、場合によってはピット状の穴が形成され、耐食性の低下を引き起こす。よって、より好ましい範囲は円相当径が5.0μmを越え50μm以下の範囲のSi粒子が1500個/mm以下である。
従って、犠牲陽極材には、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在することが望ましい。
さらにこの犠牲陽極材層の厚みは25μm〜60μmであることが望ましく、30〜50μmがより好ましい。犠牲陽極材層中のSiはろう付け加熱中に芯材へも拡散するので、犠牲陽極材層の厚さが25μm未満では、ろう付け時のSi量が少なくなり、ろう付けのための液相量確保が困難となる。一方、犠牲陽極材層の厚さが60μmを越えると、適正なクラッド率の確保が困難になる。
次に、芯材の成分組成の限定理由について説明する。
芯材のSi量は、犠牲陽極材層のろう付け性に影響を与える。Si量が0.1%未満では、犠牲陽極材層と芯材のSi濃度差が大きくなるため、犠牲陽極材層のSiが芯材へと拡散し、ろう付け性が低下する。また、1.2%を越えてSiを添加すれば、芯材の融点が低下するため、チューブの重ね合せ接合部にエロージョンが発生するおそれがある。そこで芯材のSi量は0.1〜1.2%の範囲内とする。より好ましいSi量は0.4〜0.7%である。
Feは、芯材に添加することにより、Al−Fe系化合物やAl−Fe−Si系化合物として芯材合金中に存在し、ろう付け後の強度を向上させる効果がある。Fe量が0.1%未満では、これら化合物の生成量が少ないため、ろう付け後の強度が不足する。また、Fe量が1.0%を越えれば、これらの化合物が多くなるため、カソードが増加して、芯材の耐食性が低下する。そこで芯材のFe量は0.1〜1.0%の範囲内とした。より好ましいFe量は0.1〜0.7%である。
Cuは、芯材の強度を向上させる作用があるが、Cuが0.05%未満では、芯材の強度を向上させることができない。一方、Cu量が1.2%を越えれば、粒界腐食感受性が増加し、耐食性を低下させる。そこで芯材のCu量は0.05〜1.2%の範囲内とした。より好ましいCu量は0.1〜0.8%である。
Mnは芯材の強度を向上させるが、Mn量が0.6%未満では、芯材の強度を向上させることができない。一方、Mn量が1.8%を越えれば、粗大な金属間化合物が生成されて、加工性と耐食性が低下する。そこで芯材のMn添加量は0.6〜1.8%の範囲内とした。
さらに、芯材にはMg:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Cr:0.05〜0.3%、V:0.05〜0.3%のうち1種以上を含有することができる。これらの元素を添加する理由は次の通りである。
Mgは、MgSiの析出により強度を向上させる。Mgの含有量は、0.05〜0.5%であり、0.05%未満ではその効果が小さく、0.5%を超えるとろう付が困難となる。更に好ましくは、0.15〜0.4%である。
Tiは、芯材合金の耐食性を向上させる元素であり、芯材にTiが含有されていれば、芯材中へ層状にTiが析出して、孔食が深さ方向に進行することを抑制する効果がある。但し、Ti量が0.05%未満では、その効果が充分ではなく、耐食性向上に影響を与えない。一方、Ti量が0.3%を越えれば、粗大な金属間化合物が生成されるため、加工性と耐食性が低下する。そこで芯材のTi量は0.05〜0.3%の範囲内とする。より好ましいTi量は0.05〜0.15%である。
Zrは、固溶強化により強度を向上させ、またAl−Zr系の金属間化合物が析出し、ろう付後の結晶粒粗大化に作用する。好ましい含有量は、0.05〜0.3%であり、0.05%未満ではその効果は得られず、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Crは、固溶強化により強度を向上させ、またAl−Cr系の金属間化合物が析出し、ろう付後の結晶粒粗大化に作用する。好ましい含有量は、0.05〜0.3%であり、0.05%未満ではその効果は得られず、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Vは、固溶強化により強度を向上させる。好ましい含有量は、0.05〜0.3%であり、0.05%未満ではその効果は得られず、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
芯材における以上の各元素のほかは、残部Alおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として混入する元素は、それぞれ0.05%以下とし、かつ合計で0.15%以下であることが好ましい。
さらに芯材のろう付け加熱後の結晶粒の大きさは、板平面(L−LT面)で30〜500μmの範囲内であることが望ましく、100〜400μmがより好ましい。
ろう付け加熱後の結晶粒径が30μm未満となる場合、ろう溶融直前の芯材の結晶粒が細かく、ろう付け加熱時に犠牲陽極材層内のSiが芯材へ拡散し易くなり、クラッド材の表層に流出する液相量が減少するため、ろう付け性が低下する。また、ろう付け加熱後の結晶粒径が500μmを越える場合、芯材の結晶粒の粗大化により、ろう付け加熱後の強度が低下する。したがって、ろう付け加熱後の結晶粒径を30〜500μmと規定する。なお、結晶粒径の測定は、JIS H:501に記載されている切断法により実施するものとする。また、ろう溶融直前の結晶粒径はろう付け加熱後の結晶粒径とほぼ同じであるため、ここで規定する結晶粒の大きさは、ろう付け加熱後のものとする。一般にろう付け加熱は、590〜610℃程度の範囲内の温度で2〜10分程度で行われ、上記の結晶粒径の測定もその範囲内の代表的な条件すなわち600℃で3分間の加熱を行った後のものとする。
クラッド材の層構成が3層である場合、クラッドされるろう材層の成分限定理由は次の通りである。
ろう材層のSi量が7.5%未満では、形成される溶融ろう量が少なくなるため、ろう付け性が低下する。一方、ろう材層のSi量が12%を越えれば、鋳造時に粗大なSiが晶出するため、クラッド材の製造工程において、圧延時に割れが発生しやすくなる。そこでろう材層のSi量は7.5〜12%の範囲内とするが、7.5〜11%が好ましい。
Feは、フィレットにAl−Fe系やAl−Fe−Si系化合物を形成する。これらの化合物は、カソードとなり腐食発生の起点となる。Fe量が0.1%未満では、フィレット内の化合物量が少ないため、より電位構成が卑となる共晶部分が優先腐食し、貫通孔食が発生する。一方、Fe量が1.0%を越えれば、フィレットのAl−Fe系やAl−Fe−Si系化合物量が増えるため、共晶部分が優先腐食し、貫通孔食が発生する。そこでろう材層のFe量を0.2〜0.5%の範囲内とすることで、初晶部分と共晶部分が均等に腐食するため、優先腐食による貫通孔食の発生を抑制することができる。なお、0.2〜0.4%の範囲内とすることがより好ましい。
Naは、ろう材層中に粗大なSi粒子が発生することを抑制し、Si粒子を細かく均一に分散させる効果がある。その結果、ろう材層の芯材部やチューブ重ね合せ接合部の局部溶融やエロージョンを抑制させることができる。Na添加量が0.005%未満では、上記の効果が発現せず、また、0.1%を越えてNaを添加しても、上記の効果は飽和する。そこでろう材層のNa量は0.005〜0.1%の範囲内とした。より好ましいNa量は0.005〜0.01%である。
なお、ろう材層における上記各元素のほかは、残部Alおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として混入する元素は、それぞれ0.05%以下とし、かつ合計で0.15%以下であることが好ましい。
Al−Si系ろう材層のクラッド厚さは、10〜30μmの範囲内とすることが望ましい。すなわち、ろう材層の厚さが、10μm未満では、ろう材厚が薄く、適切なクラッド率の確保が困難になる。一方、ろう材層の厚さが30μmを越えると、芯材厚さが薄くなり、クラッド材の強度が低下してしまう。また、ろう付け加熱時に多量の溶融ろうが形成されるため、チューブ重ね合せ接合部のエロージョンが発生する。
クラッド材の厚さは、0.1〜0.5mmとする。クラッド材の厚さが0.1mm未満では、犠牲陽極材層が薄くなり、ろう付け加熱時に発生する単位面積当たりの液相量が少なくなるため、ベアフィン材とのろう付け接合部のフィレットが小さくなる。また厚さが0.5mmを越えれば、耐食性およびろう付け性については特に問題はないが、熱交換器として使用する際に放熱性が悪くなり、近年の自動車用熱交換器の軽量化にも反するため問題がある。そこでクラッド材の厚さは0.1〜0.5mmの範囲内とするが、0.15〜0.4mmがより好ましい。
このようなクラッド材を製造する方法は特に限定されるものではないが、代表的な例について次にその概要を説明する。
先ず芯材、犠牲陽極材、ろう材のそれぞれについて、常法にしたがってDC鋳造法、連続鋳造法等によって鋳塊を製造する。ここで、犠牲陽極材については、鋳造時に晶出するSi粒子を微細化するため、鋳造時の鋳塊中心の冷却速度が0.5℃/sec以上となるように鋳造条件を調整することが望ましい。
犠牲陽極材およびろう材の鋳塊は、面削後、熱間圧延を施し、必要に応じて冷間圧延を施してそれぞれ所定の板厚の圧延板とする。また芯材鋳塊は、均質化処理および面削を施してその所定の板厚とするか、あるいはさらに熱間圧延や冷間圧延を施して所定の板厚とする。2層材の場合には芯材の一方の面に犠牲陽極材を配し、3層材の場合はさらにもう一方の面にろう材を配し、これら2層もしくは3層に重ね合せた材料を、通常のクラッド板製造方法に従って熱間圧延し、さらに冷間圧延を施して所定の最終板厚を有するアルミニウム合金製クラッド材とする。またこの冷間圧延の中途、あるいは冷間圧延の前には、中間焼鈍を施してもよい。
本発明のアルミニウム合金製クラッド材は、例えば図1に示すように、クラッド材10に曲げ成形を施し、その両端部10A,10Bの重ね合せ部分10Cをろう付け接合して、冷却水などの媒体を流すためのチューブ(通常は偏平チューブ)4として使用するものである。熱交換器は、該チューブ4の外面(通常は偏平チューブにおける幅広な偏平面4A)に放熱のためのフィン材(図示せず)を配置し、さらに該チューブ4の両端部分をヘッダープレート(図示せず)に取り付け、それら各部材をろう付け接合して製造される。また必要に応じて該チューブ内面にインナーフィンを配置、接合する。なお、前述のクラッド材10をチューブ4に成形した後の両端重ね合せ部分10Cの接合、フィン材とチューブ4外面の接合、さらにチューブの両端とヘッダープレートの接合、またインナーフィンの接合は、同時に1回のろう付け加熱によって行なうのが通常である。
本発明におけるろう付け接合方法としては、主に窒素雰囲気中でフッ化物系フラックスを用いた方法(ノコロックろう付法等)を適用することが望ましい。また、一般にろう付け加熱は、前述のように、590〜610℃程度の範囲内の温度で2〜10分程度で行うのが通常である。
さらに、チューブの外面にろう付け接合されるベアフィン材の形状、寸法は特に限定されないが、通常は、板厚40〜100μmで、フィンピッチ2.5〜4mmとなるようにコルゲート加工されたフィンを用いることが望ましい。フィン材には、チューブとの電位差を構成して犠牲防食効果を持たせるためにZn等を添加してチューブよりも自然電位を低くした材料を用いることが好ましい。
一方、チューブの外面にベアフィン材をろう付け接合するにあたっては、図2に示すように、ろう付け接合後の状態として、チューブ4とコルゲート加工されたベアフィン材5とのろう付け接合部分のフィレット7の幅Wが、400〜650μmとなるようにすることが望ましい。フィレット幅Wが400μm未満では、熱交換器としての強度を保つことが困難となり、一方650μmを越えれば、ろう付け加熱時に生成される液相量が多くなって接合部近傍においてフィンが溶解する部位が多くなるおそれがある。ここで、フィレット幅Wは、より好ましくは、500〜650μmの範囲内が望ましい。
以下に、この発明を実施例に基づき、比較例と対比して説明する。なおこれらの実施例は、この発明の好ましいものを示すに過ぎず、この発明の技術的範囲を限定するものでない。
表1に合金符号A1〜A14としてこの発明の成分組成範囲内外の犠牲陽極材の組成、表2に合金符号B1〜B34としてこの発明の成分組成範囲内外の芯材の組成、および表3に合金符号C1〜C9としてさらに、この発明の成分組成範囲内外のAl−Si系ろう材組成を示した。これらの合金組成で犠牲陽極材、芯材及びAl−Si系ろう材を、それぞれDC鋳造し、鋳塊を作製した。
犠牲陽極材とAl−Si系ろう材については、面削を実施後に、500℃にて熱間圧延により所定の板厚に圧延して板形状にした。芯材用鋳塊は、520℃×6時間の均質化処理を行い、厚さ400mmに面削をした。層構成を2層材とする場合には、犠牲陽極材板、芯材用鋳塊を重ね合わせて熱間圧延を施す。また3層材とする場合には、犠牲陽極材板、芯材用鋳塊、Al−Si系ろう材用板を重ね合わせて熱間圧延を施す。いずれも熱間圧延は480℃で加熱して施し、厚さ3.5mmの2層もしくは3層のクラッド材とし、これを0.28mmまで冷間圧延を行い、次いで360℃で3時間の焼鈍を施した後に、所定の板厚まで冷間圧延を実施し、評価用クラッド材とした。
なおここで表1〜表3に示す各成分組成値は発光分光分析装置によって、鋳造後の犠牲陽極材、芯材、Al−Si系ろう材より測定された値である。
Figure 2012057183
Figure 2012057183
Figure 2012057183
得られた各々のクラッド材について、製造性、引張強度、ろう付け性、耐食性について、次のように試験し評価した。その結果を表4に示す。
製造性評価:
犠牲陽極材、芯材、およびAl−Si系ろう材を重ね合せてクラッド材を製造した際に、健全なクラッド材ができた場合を◎とし、鋳造時に割れが発生した場合や、クラッド率の制御ができなかった場合を×とした。
引張強度測定:
各アルミニウム合金クラッド材からJIS5号試験片を切り出し、ろう付け相当加熱処理として窒素雰囲気中で600℃×3分の加熱を実施し、引張試験を行ない、引張強度を調べた。そしてろう付け相当加熱処理後の引張強度が140MPa以上を◎、120MPa以上140MPa未満を○、120MPa未満を×とした。
ろう付け性評価:
各アルミニウム合金クラッド材について、犠牲陽極材層面を外側として、図1に示すような偏平断面形状に成形し、両端部の重ね合せ幅を3mm、チューブ長さを20cmとした。この偏平チューブを9本作製し、図3に示すように、偏平チューブ4の外側面にベアフィン材5を、また偏平チューブ4の両端にヘッダプレート8を組合せて、KF−AlF系のフラックス(KAlF等)粉末を塗布して乾燥後、窒素雰囲気中で600℃×3分間のろう付け加熱を実施し、偏平チューブが9段の模擬コンデンサコア9を作製した。ここでフィン材としては、JIS 3003合金にZnを1%添加した板厚0.08mmのベア材を使用して、フィンピッチ3mm、コルゲート後のフィンの長さが18cm、偏平チューブとの接合点数が60箇所となるようにコルゲート加工を施したものを用いた。またヘッダプレート材としては、JIS 3003合金の片面にクラッド率10%でJIS 4045合金をクラッドし、厚さ1mmに圧延した2層クラッド材を使用した。
上述のようにしてろう付け接合して得られた模擬コンデンサコアについて、以下の(1)、(2)の2箇所の接合部を調査した。
(1)フィン/チューブ接合部フィレット幅
図3に示すようなろう付け接合を施して得られた模擬コンデンサコアについて、9段の偏平チューブのうち下から3段目を切り出した。その3段目の60箇所の接合部のうちで、中央近傍の21番目から40番目までの計20箇所のベアフィンと偏平チューブとの接合部のフィレット幅Wを、図2に示すように測定してその平均値を算出した。測定したフィレット幅Wの平均値が500μm以上、650μm以下の場合を◎、400μm以上、500μm未満の場合を○、400μm未満の場合を×とした。
(2)チューブ重ね合せ接合部
図3に示すような、ろう付け接合により得られた模擬コンデンサコアについて、9段の偏平チューブのうち、下から4段目を切り出して、偏平チューブの断面組織観察を実施した。チューブ重ね合せ接合部が正常にろう付けされている場合を◎、ろう付け接合がされていない場合や、エロージョンが発生した場合を×とした。
耐食性評価:
図3に示すような、ろう付け接合により得られた模擬コンデンサコアについて、9段の偏平チューブのうち、下から5段目と6段目を切り出し、耐食性評価としてSWAAT試験を実施した。すなわち、切断したヘッダプレート材の両端をテープでマスキングし、試験期間を1000時間として、SWAAT試験を行ない、その後の模擬コンデンサコアについて、次の(1)、(2)の2箇所の腐食状況を調査した。
(1)フィン間のチューブ部分
SWAAT試験後の模擬コンデンサコアについて、フィン間のチューブ部分の孔食深さを測定した。フィン間のチューブの最大孔食深さが、60μm未満を◎、80μm未満を○、80μm以上を×とした。
(2)偏平チューブの重ね合せ接合部
SWAAT試験後の模擬コンデンサコアについて、偏平チューブの重ね合せ接合部の腐食状況を調査した。重ね合せ接合部に発生した優先腐食の長さが0.3mm未満のものを◎、0.3mm以上、0.5mm未満を○、0.5mm以上を×とした。
Figure 2012057183
表4に上記各試験の結果を示す。2層材の実施例はNo.1〜30に、2層材の比較例はNo.37〜55に示す。また、3層材の実施例はNo.31〜36に、3層材の比較例はNo.56〜63に示す。
この発明の実施例1〜36では、いずれも製造性、引張強度、ろう付け性、耐食性について、この発明のクラッド材が適用される用途および環境に適していることが確認されたが、比較例37〜63では、次に述べるように、この発明のクラッド材が使用されるべき用途、環境において、評価結果が不良となることが判明した。
すなわち、比較例37の場合は、犠牲陽極材層のSi量が少ないため、ろう付け加熱時に形成される液相量が少なくなり、フィン/チューブ接合部のフィレット幅が小さくなった。
比較例38の場合は、犠牲陽極材層のSi量が多いため、残存犠牲陽極材部分が少なくなり、フィン間チューブ部の耐食性が低下した。
比較例39の場合は、犠牲陽極材層のZn量が少ないため、フィン間チューブ部の耐食性が低下した。
比較例40の場合は、犠牲陽極材層のZn量が多いため、フィン間チューブ部の耐食性が低下した。
比較例41の場合は、犠牲陽極材層のFe量が少ないため、フィン間チューブ部の耐食性が低下した。
比較例42の場合は、犠牲陽極材層のFe量が多いため、チューブ重ね合せ接合部の耐食性が低下した。
比較例43の場合は、犠牲陽極材層にNaを添加していないため、犠牲陽極材層内のSi粒子が微細化されず、そのためろう付け加熱時に表層に形成される液相量が少なく、フィン/チューブ接合部において接合不充分となった。
比較例44の場合は、犠牲陽極材層の厚さが小さいため、フィン/チューブ接合部のフィレット幅が小さくなり、フィン間チューブ部の耐食性も低下した。
比較例45の場合は、犠牲陽極材層の厚さが大きいため、健全なクラッド材が製造できなかった。
比較例46の場合は、芯材のSi量が少ないため、ろう付け加熱中に犠牲陽極材層のSiが芯材へ拡散してしまい、フィン/チューブ接合部のフィレット幅が小さくなった。
比較例47は、芯材のSi量が多いため、チューブ重ね合せ接合部にエロージョンが発生した。
比較例48の場合は、芯材のFe量が少ないため、強度が低下した。
比較例49の場合は、芯材のFe量が多いため、フィン間チューブ部の耐食性が低下した。
比較例50の場合は、芯材のMn量が少ないため、ろう付け加熱後の引張強度が低下した。
比較例51の場合は、芯材のMn量が多いため、粗大金属間化合物が形成されて、健全なクラッド材が製造できなかった。
比較例52の場合は、芯材のCu量が少ないため、ろう付け加熱後の強度が低下した。
比較例53の場合は、芯材のCu量が多いため、粒界腐食が発生して、フィン間チューブ部の耐食性が低下した。
比較例54の場合は、芯材の結晶粒径が小さいため、犠牲陽極材層のSiが芯材へ拡散し、フィン/チューブ接合部のフィレット幅が小さくなった。
比較例55、芯材の結晶粒径が大きいため、ろう付け接合後の引張強度が低下した。
比較例56の場合は、Al−Si系ろう材層のSi量が少ないため、チューブ重ね合せ接合部が正常にろう付けされなかった。
比較例57の場合は、Al−Si系ろう材層のSi量が多いため、健全なクラッド材が製造できなかった。
比較例58の場合は、Al−Si系ろう材層のFe量が少ないため、扁平チューブの重ね合せ接合部の耐食性が低下した。
比較例59の場合は、Al−Si系ろう材層のFe量が多いため、扁平チューブの重ね合せ接合部の耐食性が低下した。
比較例60の場合は、Al−Si系ろう材層にNaを添加していないため、扁平チューブの重ね合せ接合部にエロージョンが発生した。
比較例61の場合は、Al−Si系ろう材層の厚さが小さいため、健全なクラッド材が製造できなかった。
比較例62の場合は、Al−Si系ろう材層の厚みが大きいため、ろう付け加熱時に生成される溶融ろう量が多くなり、重ね合せ接合部にエロージョンが発生した。
比較例63の場合は、クラッド材の板厚が薄いため、健全なクラッド材が製造できなかった。
1 芯材
2 犠牲陽極材層
3 Al−Si系ろう材層
4 チューブ(偏平チューブ)
5 ベアフィン材
7 フィレット
10 クラッド材
W フィレット幅

Claims (7)

  1. 芯材の一方の面に、Si:2.5〜7.0mass%(以後、%と記す。)、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠性陽極材層がクラッドされたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材。
  2. 芯材の一方の面に、Si:2.5〜7.0%、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠牲陽極材層がクラッドされ、他方の面に、Si:7.5〜12%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるろう材層がクラッドされたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材。
  3. 請求項1または2に記載のアルミニウム合金製クラッド材において、前記芯材として、Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Cu:0.05〜1.2%、Mn:0.6〜1.8%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金が用いられることを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材。
  4. Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Cu:0.05〜1.2%、Mn:0.6〜1.8%を含有し、Mg:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Cr:0.05〜0.3%、V:0.05〜0.3%のうち1種以上をさらに有する、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる芯材に対し、一方の面に、Si:2.5〜7.0mass%、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠性陽極材層がクラッドされたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材。
  5. Si:0.1〜1.2%、Fe:0.1〜1.0%、Cu:0.05〜1.2%、Mn:0.6〜1.8%を含有し、Mg:0.05〜0.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Cr:0.05〜0.3%、V:0.05〜0.3%のうち1種以上をさらに有する、残部Alと不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる芯材に対し、一方の面に、Si:2.5〜7.0mass%、Zn:1.0〜5.5%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、円相当径で0.1〜5.0μmのSi粒子が5000〜15000個/mm、かつ5.0μmを越えるSi粒子が2000個/mm以下存在する犠性陽極材層がクラッドされ、他方の面に、Si:7.5〜12%、Fe:0.1〜1.0%、Na:0.005〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるろう材層がクラッドされたことを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製クラッド材において、芯材のろう付け加熱後の結晶粒の大きさが板平面方向で30〜500μmであることを特徴とするアルミニウム合金製クラッド材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製クラッド材を用いた熱交換器。
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