JP5498214B2 - ろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents
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(心材)
SiおよびMg:
SiとMgは、化合物Mg2Siの微細析出による時効硬化により心材の強度を向上させるよう機能する。Siの好ましい含有範囲は0.2〜2.0%であり、2.0%を超えて含有すると、心材の融点が低下して、ろう付け時に粒界に沿ったエロージョンを生じ易くなる。Siのさらに好ましい範囲は0.4〜0.8%である。
Mnは、心材の強度を向上させるとともに、心材の電位を貴にして犠牲陽極材との電位差を大きくして耐食性を高めるよう機能する。好ましい含有範囲は0.8〜2.0%であり、0.8%未満ではその効果が小さく、2.0%を越えて含有すると、鋳造時に粗大な化合物が生成し、圧延加工性が害される結果健全な板材が得難い。Mnのさらに好ましい範囲は、1.0〜1.7%である。
Cuは、心材の強度を向上させるとともに、心材の電位を貴にし、犠牲陽極材との電位差を大きくして、防食効果を向上させるよう機能する。さらに、心材中のCuは加熱ろう付け時に犠牲陽極材中に拡散して、なだらかな濃度勾配を形成させる結果、心材側の電位は貴となり、犠牲陽極材の表面側の電位は卑となって犠牲陽極材中になだらかな電位分布が形成され、腐食形態を全面腐食型にする。Cuの好ましい含有量は1.2%以下であり、1.2%を超えて含有すると、心材の融点が低下して、ろう付け時に粒界に沿ったエロージョンを生じ易くなる。Cuのさらに好ましい範囲は0.2〜0.8%である。
Feは、心材の強度を向上させる。好ましい含有範囲は2.0%以下であり、2.0%を超えて含有すると、鋳造時に粗大な化合物が生成し、圧延加工性が害される結果、健全な板材が得難くなる。
Tiは、心材の板厚方向に濃度の高い領域と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状となり、Ti濃度の低い領域が高い領域に比べ優先的に腐食する結果、腐食形態を層状にする効果を有し、それにより板厚方向への腐食の進行を妨げて材料の耐孔食性を向上させる。Tiの好ましい含有範囲は0.35%以下であり、0.35%を超えると鋳造が困難となり、また加工性が劣化して健全な材料の製造が困難となる。
Cr、Zr、V、Bは、ろう付け加熱中の再結晶温度を高め、心材の結晶粒度を粗大化させることにより、ろう付け加熱中のエロージョンを抑制する。これらの元素の好ましい含有範囲は、いずれも0.3%以下であり、それぞれ0.3%を超えて含有しても効果が飽和しそれ以上の改善効果が期待できない。
通常のろう材として用いられているAl−Si系合金は、ろう付け加熱によりほとんどが液相となり、しかも、ろうの厚さも低下するため、液相拡散により心材中の多量のMgがろう材表層に到達する。皮材1としては、前記のような通常のろう材として用いられるAl−Si系合金とは異なり、ろう付け可能な範囲でSi濃度を低く限定することにより、ろう付け加熱中における固相率を高め、皮材1の厚さを可能な限り低下させないようにすると、心材から皮材1表層への距離を大きくすることができ、しかも、Mgの液相拡散を抑制することができるようになる。
Siは、上記の理由により2.5〜6.0%に限定する。2.5%未満ではろう材としての機能がなく、6.0%を超えて含有すると、Mgの拡散量が増しろう付け性を阻害する。Siのより好ましい範囲は3.0〜4.5%であり、さらに好ましい範囲は3.0〜4.0%である。
Mnは、ろう付け加熱中に生成する再結晶粒の粒度を粗大化して、Mgの拡散経路となる結晶粒界を減少させる。Mnの好ましい含有量は0.3〜1.8%の範囲であり、0.3%未満ではその効果が小さく、1.8%を超えて含有すると、鋳造時に粗大な化合物が生成して、圧延加工性が害され健全な板材の製造が困難となる。Mnのさらに好ましい含有範囲は0.6〜1.2%である。
Srは、単体Siの分散状態を微細かつ均一にし、皮材1の局部溶融を抑制する。Srの好ましい含有範囲は0.005〜0.1%であり、0.005%未満ではその効果が小さく、0.1%を超えて含有してもその効果が飽和し、それ以上の改善効果が期待できない。Srのさらに好ましい範囲は0.01〜0.05%である。
Zn、InおよびSn:
Zn、InおよびSnは、皮材2の電位を卑にし、心材に対する犠牲陽極効果を保持させる。その結果、心材の孔食やすき間腐食を防止する。Znの好ましい範囲は0.5〜10.0%、Inの好ましい範囲は0.001〜0.1%、Snの好ましい範囲は0.001〜0.1%である。Znのさらに好ましい範囲は1.5〜5%、Inのさらに好ましい範囲は0.01〜0.05%、Snのさらに好ましい範囲は0.01〜0.05%である。
連続鋳造により表1に示す組成を有する心材用合金、表2に示す組成を有する皮材1用合金、および表3に示す組成を有する皮材2用合金を造塊し、得られた鋳塊のうち、心材用合金と皮材2用合金について均質化処理を行い、皮材1用合金および皮材2用合金を熱間圧延して所定の厚さとし、これらと心材用合金の鋳塊とを組み合わせて熱間圧延し、クラッド材を得た。
得られたクラッド材を用いて、フラックスを塗布することなく、窒素ガス中で600℃(材料温度)に3分間加熱し、加熱後の試験材を、皮材1面をエメリー紙(1000〜2400)で数μm研磨して、バフ研磨で鏡面に仕上げた。さらに、純水500mL、フッ酸27mL(46%)、ホウ酸11gを混合した溶液中で、電圧25〜30Vで45〜60秒電解した。その後、光学顕微鏡を用いて犠牲陽極材表面の偏光ミクロ組織を撮影し、比較法により結晶粒度を測定した。比較にはASTM(E112−61)の標準結晶粒度組織図を用いた(標準結晶粒度組織図に示されているグレインサイズを平均結晶粒度の指標とした)。平均結晶粒度100μm以上良好、100μm未満を不良と評価した。
得られたクラッド板材を用いて、図4に示すように、垂直板の端部を直角に折り曲げ、垂直板にだけフッ化物フラックスを5g/m2塗布した後、図4のように組み合わせて間隙充填試験片を作成し、窒素ガス中で600℃(材料温度)に3分間加熱し、加熱後の間隙充填試験片の間隙充填長さ(図5のFL)をノギスを用いて測定し、間隙充填長さ(FL)が7.0mm以上を良好、7.0mm未満を不良とした。なお、図4において、数値は長さ(単位mm)を示す。
得られたクラッド材にフラックスを塗布することなく、窒素ガス中、600℃(材料温度)に3分間加熱し、その後、引張試験(JIS Z 2241)を行い、引張強さが180MPa以上を良好、180MPa未満を不良とした。
連続鋳造により表5に示す組成を有する皮材1用合金を造塊し、得られた鋳塊について熱間圧延して所定の厚さとし、実施例1で造塊した心材用合金の鋳塊と、実施例1で造塊後所定厚さまで熱間圧延した皮材2用合金を組み合わせて熱間圧延し、クラッド材を得た。
2 心材
3 ろう材(皮材1)
4 犠牲陽極材(皮材2)
W 溶接部
Claims (5)
- 心材の一方の面に皮材1をクラッドし、他方の面に皮材2をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、質量%で、心材が、Mn:0.8〜2.0%、Si:0.2〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Mn−Si−Mg系アルミニウム合金であり、皮材1が、Si:2.5〜6.0%、Mn:0.3〜1.8%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Si系アルミニウム合金であり、皮材2が、Zn:0.5〜10%、In:0.001〜0.1%、Sn0.001〜0.1%のうちの1種または2種以上を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とするろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記皮材1が、Si:2.5〜6.0%、Mn:0.3〜1.8%、Sr:0.005〜0.1%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるAl−Si系アルミニウム合金であることを特徴とする請求項1に記載のろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記心材が、さらに、Cu:1.2%以下、Fe:2.0%以下、Ti:0.35%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、B:0.3%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記皮材1が、さらに、Fe:2.0%以下、Ti:0.3%以下、Zn:2.0%以下、Cu:1.0%以下、Na:0.1%以下、Sb:0.1%以下、Bi:0.2 %以下、Be:0.1 %以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 前記皮材2が、さらに、Mn:1.8%以下、Fe:2.0%以下、Si:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、Ti:0.35%以下、Cu:0.2%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
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