JP6447177B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂およびポリアミド樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来、ポリアミド樹脂は、機械特性、耐熱性、難燃性、電気特性や成形加工性等に優れていることから、自動車部品、外装部品、電気電子部品において広く用いられている。近年、これらの部品は多種多様な形状に改良が行われ、更なる薄肉化の検討がなされ始めている。それに伴い、素材樹脂には、薄肉形状における機械特性の要求が一層高まっており、特に、互いに相反する特性である、剛性と靭性の高いレベルでの両立が求められるようになっている。
これまでに、高衝撃性ポリアミド樹脂組成物として、例えば、特定構造のポリアミド樹脂50〜95重量%に対して、該ポリアミド樹脂の粘度より高い溶融粘度を有するエチレン系アイオノマー樹脂を5〜50重量%含有してなる難燃性ポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、耐衝撃性と剛性のバランスに優れる樹脂組成物として、ポリアミド樹脂を含む熱可塑性樹脂に、反応性官能基を有する樹脂を配合してなる樹脂組成物であって、これらの連続相および分散相中に平均粒子径が300nm以下の微粒子が存在する樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、アイオノマーの連続相中に、ポリアミドとアイオノマーとのブレンド物が分散され、前記ブレンド物が、ポリアミドの連続相中にアイオノマーが分散されたものであり、ブレンド物粒子の最長径と、直交するブレンド粒子の第2最長径が約1〜10の比率を有している組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭58−108251号公報 特開2005−187809号公報 特表2014−505157号公報
しかしながら、特許文献1〜3に示される技術は、より複雑な形状の成形品を成形する上での成形性、特に薄肉流動性が低く、バリの発生量が大きいという課題があった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、薄肉流動性に優れ、成形時のバリを低減して機械特性(剛性および靱性)に優れた成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子間および/または分子内に金属イオンによる架橋構造を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂に対し、特定の融点を有するポリアミド樹脂を特定量含有し、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が連続相、ポリアミド樹脂(B)が平均粒子径が300nm以下の分散相となるモルフォロジーを有する熱可塑性樹脂組成物により、上記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(i)分子間および/または分子内に金属イオンによる架橋構造を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、下記式(1)を満たす融点(T)を有するポリアミド樹脂(B)を5〜100重量部含む熱可塑性樹脂組成物であって、透過型電子線トモグラフィー法により観察されるモルフォロジーにおいて、前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が連続相、前記ポリアミド樹脂(B)が分散相を形成し、前記ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の平均粒子径が300nm以下であり、前記ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の粒子径分布の標準偏差が85nm以下である、熱可塑性樹脂組成物。
150℃≦T−THDT≦210℃ (1)
上記式(1)中、Tはポリアミド樹脂(B)の融点(℃)を示し、THDTはASTM D−648法により荷重0.455MPaの条件で測定したポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の荷重たわみ温度を示す。
(ii)前記ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の最大コンパクトネスが3.0以下である(i)記載の熱可塑性樹脂組成物。
最大コンパクトネスは、電子顕微鏡写真中の任意に選択した10μm×10μmの領域に存在する分散相について、以下の式(3)に従ってコンパクトネス(φ )を算出し、その最大値を最大コンパクトネス(φ max )とする。下記式(3)中、l は分散相の周囲長を、S は分散相の面積を表す。)
Figure 0006447177
(iii)前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、さらに(C)炭素数12以上の高級脂肪酸を0.1〜5重量部含む(i)または(ii)記載の熱可塑性樹脂組成物。
(iv)前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、さらに(D)層状珪酸塩を0.1〜5重量部含む(i)〜(iii)いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
(v)(i)〜(iv)いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形して得られる成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、薄肉流動性に優れる。本発明の熱可塑性樹脂組成物により、成形時のバリを低減し、機械特性(剛性および靱性)に優れた成形品を得ることができる。
実施例および比較例において用いたバリ評価用試験片の正面図(a)および側面図(b)である。
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と記載する場合がある。)は、分子間および/または分子内に金属イオンによる架橋構造を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)(以下、「ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)」と記載する場合がある。)を含む。ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)は、分子間および/または分子内に金属イオンによる架橋構造を有することが重要であり、かかるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)を含むことにより、溶融状態では高い流動性を有することから薄肉流動性を向上させることができることに加え、金型末端の低圧領域においては急激に金属イオンによる架橋構造を形成し、粘度が上昇するため、成形時のバリを低減することができる。
本発明におけるポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とは、少なくとも1種のオレフィンを重合させて得られる重合体または共重合体を言う。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。オレフィンと他の成分との共重合体の場合、他の成分としては、例えば、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸や、メタクリル酸グリシジルやメタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらの共重合比は特に限定されない。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)としては、具体的には、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物や、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物などの、いわゆるアイオノマー樹脂が挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。なお、これらのアイオノマー樹脂においては、カルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンにより中和されていればよい。
前記金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどの1価の金属イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、カドミウムイオンなどの2価の金属イオン、アルミニウムイオンなどの3価の金属イオン、錫イオン、ジルコニウムイオンなどのその他のイオンが挙げられ、これらを2種以上使用してもよい。成形品の衝撃特性を向上させる観点から、ナトリウムイオン、亜鉛イオンが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)とともに、下記式(1)を満たす融点(T)を有するポリアミド樹脂(B)を含むことを特徴とする。
150℃≦T−THDT≦210℃ (1)
上記式(1)中、Tはポリアミド樹脂(B)の融点(℃)を示し、THDTはASTM D−648法により荷重0.455MPaの条件で測定したポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の荷重たわみ温度を示す。
後述するように、本発明の樹脂組成物は、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が連続相、ポリアミド樹脂(B)が分散相を形成するモルフォロジーを有する。分散相を形成するポリアミド樹脂(B)の融点を、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の荷重たわみ温度よりも150〜210℃高くすることにより、成形時に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が荷重たわみ温度THDTよりも高温で軟化した状態において、ポリアミド樹脂(B)が融点以下の温度で固化するため、ポリアミド樹脂(B)がポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)よりも先に固化することによる核剤効果が働き、バリの発生が抑えられる。また、成形加工温度を適度に抑えることができ、成形時のポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の分解を抑制することができる。T−THDTの値が150℃未満であると、成形時にバリが生じやすくなる。160℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。一方、T−THDTの値が210℃を超えると、成形品の機械特性(靱性)が低下する。200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましい。
ここで、ポリアミド樹脂(B)の融点(T)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、ポリアミド樹脂(B)を40℃から300℃まで20℃/minの速度で昇温し、300℃で1分間保持した後、300℃から40℃まで20℃/minの速度で降温し、40℃で1分間保持し、再度40℃から300℃まで20℃/minの速度で昇温した際の最大の吸熱量を示す温度とする。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の荷重たわみ温度は、ASTM D−648法に準拠し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの試験片を用いて、試験方向をフラットワイズ、荷重を0.455MPa、昇温速度を120℃/時とする条件において、曲げひずみ量0.2%に達した際の温度とする。
ポリアミド樹脂(B)は、3員環以上のラクタム、アミノ酸、ジアミンと二塩基酸、あるいはこれらの混合物の重縮合によって得られる任意のポリアミド樹脂の中から、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の荷重たわみ温度に応じて、所望の融点を有するものを選択して用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、前記ポリオレフィン熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、前記ポリアミド樹脂(B)を5〜100重量部含む。ポリアミド樹脂(B)の含有量が5重量部未満であると、成形時にバリが生じやすく、剛性が低下する。15重量部以上が好ましい。一方、ポリアミド樹脂(B)の含有量が100重量部を超えると、薄肉流動性が低下し、成形時にバリが生じやすく、成形品の靱性も低下する。75重量部以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、透過型電子線トモグラフィー法により観察されたモルフォロジーにおいて、前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が連続相、前記ポリアミド樹脂(B)が分散相を形成し、ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする。前述のとおり、本発明の樹脂組成物は、成形時に、ポリアミド樹脂(B)がポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)よりも先に固化するため、ポリオレフィン系熱可塑性(A)が連続相、ポリアミド樹脂(B)が分散相を形成することにより、分散相による流動抑制効果が働き、成形時のバリの発生を抑制することができる。さらに、分散相の平均粒子径を300nm以下とすることにより、分散相と連続相の接触面積が大きくなることにより核剤効果がより高まり、成形時のバリの発生を低減することができる。分散相の平均粒子径は250nm以下が好ましく、200nm以下が好ましく、190nm以下がさらに好ましく、175nm以下が最も好ましい。
樹脂組成物のモルフォロジーは以下のように観察することができる。一般的な成形条件で成形した場合には、成形前後でモルフォロジーは変化しないため、本発明においては、樹脂組成物を、シリンダ温度240℃、金型温度30℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件で射出成形して得られるASTM Type−IV型(1mm厚)試験片を用いて観察する。前記試験片の平行部の樹脂流動方向に直交する面の面出しを行い、試験片を2%リンタングステン酸水溶液に80℃で2時間浸漬した後、1%オスミウム酸水溶液に室温で3日間浸漬して化学的に構造を固定し、0.2μm厚の切片を切り出す。得られた切片を透過型電子顕微鏡で2000倍に拡大して観察する。観察画像中の染色された部分がポリアミド樹脂(B)、染色されていない部分がポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)を示す。
上記方法により観察する画像において、分散相の平均粒子径は画像解析により算出することができる。上記方法により得られる画像を解像度300dpiでコンピューターに取り込み、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」を使用して、任意に選択した10μm×10μmの領域に存在する分散相の長径と短径を測定し、その平均値を各分散相の粒子径(μ)とする。分散相の長径および短径とは、画像の水平方向をX軸、それに垂直に交わる方向をY軸とし、分散相の粒子を各々の軸に投影した投影図の長さのうち、長いものを長径、短いものを短径と定義する。任意に選択した10μm×10μmの領域で検出された全ての分散相(n個)について粒子径を算出し、その数平均値を平均粒子径(μ)とする。
なお、本発明において、分散相の平均粒子径を上記範囲にする手段としては、例えば、後述する樹脂組成物の製造方法により製造することが挙げられる。
本発明において、バリの発生量をより低減する観点から、前記モルフォロジーにおいて、ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の粒子径分布の標準偏差を85nm以下とすることが好ましく、75nm以下とすることがより好ましい。ここで、粒子径分布の標準偏差(σ)は、前述の各分散相の粒子径(μ)、平均粒子径(μ)および計測した分散相数(n)から、下記式(2)により求めることができる。
Figure 0006447177
なお、本発明において、分散相の粒子径分布の標準偏差を上記範囲にする手段としては、例えば、後述する樹脂組成物の製造方法により製造することが挙げられる。
本発明において、バリの発生量をより低減する観点から、前記モルフォロジーにおいて、ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の最大コンパクトネスを3.0以下とすることが好ましく、2.5以下とすることがより好ましい。ここで、分散相の最大コンパクトネス(φmax)は、前述のモルフォロジー観察において検出された各分散相について、下記式(3)に従ってコンパクトネス(φ)を算出し、その最大値を求めることにより特定することができる。ただし、下記式(3)において、lは分散相の周囲長を、Sは分散相の面積を表す。
Figure 0006447177
なお、本発明において、分散相の最大コンパクトネスを上記範囲にする手段としては、例えば、後述する樹脂組成物の製造方法により製造することが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、さらに炭素数12以上の高級脂肪酸(C)(以下、「高級脂肪酸(C)」と記載する場合がある。)を含むことが好ましく、薄肉流動性をより向上させることができる。
高級脂肪酸(C)としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、オレイン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸などを挙げることができ、これらを2種以上用いてもよい。とりわけ、薄肉流動性向上効果の高い、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸が好ましい。
本発明の樹脂組成物における高級脂肪酸(C)の含有量は、ポリオレフィン系熱可塑性熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましい。高級脂肪酸(C)の含有量を0.1重量部以上とすることにより、バリの発生を抑えながら薄肉流動性をより向上させることができる。一方、高級脂肪酸(C)の含有量を5重量部以下とすることにより、成形中の金型汚れを抑制することができる。
本発明の樹脂組成物は、さらに層状珪酸塩(D)を含むことが好ましく、良好な薄肉流動性を保持しながら成形時のバリをより低減することができる。
層状珪酸塩(D)は、層状の構造を有する珪酸塩である。層状珪酸塩としては、層状の構造を有する珪酸塩であれば特に限定されず、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、クリソタイル、リザーダイト、アメサイトなどのカオリナイト族の層状珪酸塩;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト族の層状珪酸塩;二八面体型バーミキュライト、三八面体型バーミキュライトなどのバーミキュライト族、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライトなどの雲母族の層状珪酸塩;マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどの脆雲母族の層状珪酸塩;クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイトなどの緑泥石族の層状珪酸塩などが挙げられる。これらの層状珪酸塩は、天然のものでも、合成のものでもいずれでもよい。また、これらを2種以上含んでもよい。これらの中でも、スメクタイト族の層状珪酸塩、バーミキュライト族、雲母族が好ましく、特にモンモリロナイト、雲母族の層状珪酸塩が好適である。
前記層状珪酸塩を構成する各層(一次粒子)は、厚さが10nm以下であることが好ましく、その長さと幅はそれぞれ1μm以下の平板な形状を有することが好ましい。前記層状珪酸塩の粒子径は、特に限定されないが、1μm以下が好ましく、700nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましい。
前記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、30meq/100g以上200meq/100g以下であることが好ましい。陽イオン交換容量が30meq/100g以上であれば、後述する有機化処理を行う際に、有機オニウムイオンの交換を十分に行うことができ、層間距離を所望の間隔に容易に拡大することができる。より好ましくは40meq/100g以上、さらに好ましくは50meq/100g以上である。一方、陽イオン交換容量が200meq/100g以下であれば、結晶層間の結合力が適度な範囲となり、容易に層間距離を拡大することができる。より好ましく180meq/100g以下、さらに好ましくは160meq/100g以下である。なお、陽イオン交換容量とは、単位質量当たりの層状珪酸塩が含有する交換性を有する陽イオンの量である。
本発明においては、層状珪酸塩(D)として有機化層状珪酸塩を用いることが好ましく、成形品の機械特性(剛性)をより向上させることができる。有機化層状珪酸塩とは、層状珪酸塩がその結晶層間に本来有する金属陽イオンの一部または全部を、有機オニウムイオンに交換したものをいう。
前記有機化層状珪酸塩中のイオン交換率は、50モル%以上が好ましい。有機化層状珪酸塩中のイオン交換率を50モル%以上とすることにより、樹脂成分に対する有機化層状珪酸塩の分散性を向上させることができる。より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。ここで、有機化層状珪酸塩中のイオン交換率とは、有機化処理前の層状珪酸塩が含有する交換性を有する陽イオンに対する、有機陽イオンに交換された陽イオンの比率(百分率)である。
層状珪酸塩の有機化処理に用いられる有機オニウムイオンとは、炭素鎖を有する陽イオンである。前記有機オニウムイオンとしては、特に限定されず、例えば、有機アンモニウムイオン、有機フォスフォニウムイオン、有機スルフォニウムイオンなどが挙げられる。
有機アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。1級アンモニウムイオンとしては、例えば、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。2級アンモニウムイオンとしては、例えば、メチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。3級アンモニウムイオンとしては、例えば、ジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン;トリオクチルメチルアンモニウムなどのトリオクチルアルキルアンモニウムイオン;トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン;ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
また、これらの他にも、アニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
これらのアンモニウムイオンの中でも、分子内の炭素数の合計が11〜30である4級アンモニウムイオンが、層状珪酸塩の分散性、イオン結合の形成性の点から特に好適である。具体的には、テトラオクタデシルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
有機化層状珪酸塩は、交換性の金属イオンを層間に有する層状珪酸塩と有機オニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中において層状珪酸塩と有機オニウムイオンをイオン交換反応させる方法や、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させた有機オニウムイオンの塩を直接反応させる方法などが挙げられる。
また、前記層状珪酸塩は、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理されたものでもよい。
これらのカップリング剤の中でも、有機シラン系化合物が好ましく、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。特に、炭素炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。
これらカップリング剤による層状珪酸塩の処理方法としては、例えば、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で、カップリング剤を層状珪酸塩に吸着させる方法、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌混合機の中で層状珪酸塩を撹拌しながらカップリング剤溶液を滴下して吸着させる方法、層状珪酸塩に直接シランカップリング剤を添加して、乳鉢等で混合して吸着させる方法などが挙げられる。層状珪酸塩をカップリング剤で処理する場合には、カップリング剤のアルコキシ基の加水分解を促進するために、水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合することが好ましい。また、カップリング剤の反応効率を高めるため、水のほかにメタノールやエタノール等の水、カップリング剤両方を溶解する有機溶媒を混合してもかまわない。このようなカップリング剤で処理した層状珪酸塩を熱処理することによってさらに反応を促進させることも可能である。なお、予め層状珪酸塩のカップリング剤での処理を行わずに、層状珪酸塩とポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)およびポリアミド樹脂(B)を溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
層状珪酸塩の有機オニウムイオンによる処理とカップリング剤による処理の順序にも特に制限はないが、まず有機オニウムイオンで処理した後、カップリング剤処理をすることが好ましい。
有機化層状珪酸塩の具体例としては、例えば、Laviosa Chimica Mineraria S.p.A.社から市販されている“Dellite”(登録商標)43B(精製モンモリロナイト、粒子径500nm、厚み1nm、4級アンモニウム塩処理:ベンジル基、牛脂脂肪酸基及び2個のメチル基を有する4級アンモニウム塩)、“Dellite”(登録商標)67G(精製モンモリロナイト、粒子径500nm、厚み1nm、4級アンモニウム塩処理:2個の牛脂脂肪酸基及び2個のメチル基を有する4級アンモニウム塩)、株式会社ホージュン製の“エスベン”(登録商標)などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに他のポリマー、銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を一種以上含んでもよい。
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明の樹脂組成物を製造する方法としては、前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)および必要に応じてその他成分を、例えば、溶融状態で混練する方法や溶液状態で混合する方法等が挙げられるが、ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の平均粒子径を300nm以下にする観点から、溶融状態で混練する方法が好ましく使用できる。溶融状態で混練する方法としては、例えば、押出機による溶融混練や、ニーダーによる溶融混練等が挙げられるが、生産性の点から、連続的に製造可能な押出機による溶融混練が好ましく使用できる。押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機、二軸単軸複合押出機等が挙げられる。混練性、生産性の向上の点から、二軸押出機、四軸押出機等の多軸押出機が好ましく、二軸押出機がより好ましい。
本発明の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造する際、特に制限はないが、混練性を向上させ、分散相の平均粒子径を小さくする観点から、L/Dの値が20以上であることが好ましく、30〜200であることがより好ましく、40〜200の範囲であることがより好ましい。ここで、L/Dとは、スクリュー長さLを、スクリュー直径Dで割った値のことである。スクリュー長さとは、スクリュー根元の原料が供給される位置(フィード口)にあるスクリューセグメントの上流側の端部から、スクリュー先端部までの長さである。また、押出機において、原材料が供給される側を上流、溶融樹脂が吐出される側を下流ということがある。
二軸押出機は、一般的に、フルフライト、ニーディングディスクなどの長さや形状的特徴が異なるスクリューセグメントが組み合わされて構成されている。本発明においては、混練性、反応性の向上の点から、二軸押出機のスクリューが複数ヶ所のフルフライトゾーンおよびニーディングゾーンを有することが好ましい。フルフライトゾーンは1個以上のフルフライトより構成され、ニーディングゾーンは1個以上のニーディングディスクより構成される。溶融樹脂の混練性を向上させ、分散相の平均粒子径および分散相の粒子径分布の標準偏差をより小さくし、最大コンパクトネスをより向上させる観点から、ニーディングゾーンを有することが好ましい。ニーディングゾーンに溶融樹脂を充満することにより、混練性および分散相の分散性が飛躍的に向上する。溶融樹脂の充満状態を示す一つの指標として、樹脂圧力の値があり、樹脂圧力が大きいほど、溶融樹脂が充満していることを示す。本発明の樹脂組成物を二軸押出機を使用して製造する場合、ニーディングゾーンの樹脂圧力を、フルフライトゾーンの樹脂圧力より、ある範囲で高めることにより、分散相の分散性をより向上させ、微細で均一な、コンパクトネスの高い分散相を形成することが可能となる。
本発明の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造する際、複数ヶ所のニーディングゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最大となるニーディングゾーンの樹脂圧力をPkmax(MPa)、複数ヶ所のフルフライトゾーンに設置された樹脂圧力計が示す樹脂圧力のうち、最小となるフルフライトゾーンの樹脂圧力をPfmin(MPa)とすると、Pkmaxの値を、(Pfmin+0.3MPa)以上とすることが好ましく、(Pfmin+0.4MPa)以上とすることがより好ましく、(Pfmin+0.5MPa)以上とすることがさらに好ましい。
ニーディングゾーンにおける樹脂圧力を高める方法としては、特に制限はないが、例えば、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に、溶融樹脂を上流側に押し戻す効果のある逆スクリューゾーンや、溶融樹脂を溜める効果のあるシールリングゾーン等を導入する方法などが挙げられる。逆スクリューゾーンやシールリングゾーンは、1個以上の逆スクリューや1個以上のシールリングからなり、それらを組み合わせることも可能である。
例えば、ニーディングゾーンの間やニーディングゾーンの下流側に逆スクリューゾーンを導入する場合、逆スクリューゾーンのそれぞれの長さをLrとすると、全ての逆スクリューゾーンが、Lr/D=0.1〜10の長さを有することが、混練性、反応性の観点から好ましい。各逆スクリューゾーンの長さLr/Dは、より好ましくは0.3〜6である。なお、逆スクリューゾーンの長さLrは、その逆スクリューゾーンを構成する最も上流の逆スクリューの上流端部からスクリュー軸中心線への垂線と、最も下流の逆スクリューの下流端部からスクリュー軸中心線への垂線との間の距離とする。
また、二軸押出機における樹脂組成物の押出量Qは、色調の変化を抑える上で、スクリュー直径37mmの二軸押出機を例にとると、スクリュー1rpm当たり0.01kg/h以上が好ましく、0.1〜0.3kg/hがより好ましい。かかる押出量とは、押出機から1時間当たりに吐出される樹脂組成物の重量(kg)を指す。
なお、スクリュー直径が異なる二軸押出機を用いる場合、押出量は、スケールダウンあるいはスケールアップ前後のスクリュー直径比に対して、好ましくは2.5乗則あるいは3乗則、より好ましくは2.5乗則に従って、低下または増大するものとして、読み替えることができる。例えば、スクリュー直径が20mmの二軸押出機を使用する場合、押出量がスケールダウン前後のスクリュー直径比の2.5乗則に従うものとすると、樹脂組成物の押出量は、スクリュー回転数1rpm当たり、0.002kg/h以上が好ましく、0.02〜0.06kg/hがより好ましい。また、スクリュー直径が100mmの二軸押出機を使用する場合、押出量がスケールアップ前後のスクリュー直径比の2.5乗則に従うものとすると、樹脂組成物の押出量は、スクリュー1rpm当たり、0.12kg/h以上が好ましく、1.2〜3.6kg/hがより好ましい。
また、スクリューの回転速度は、特に制限はないが、通常10rpm以上、好ましくは20rpm以上である。また、押出量は、特に制限はないが、通常0.1kg/h以上、好ましくは0.2kg/h以上である。さらに、分散相の平均粒子径および分散相の粒子径分布の標準偏差を前述の好ましい範囲に調整するために、押出量Q(kg/h)と回転数N(rpm)の比Q/Nを0.25以下とすることが好ましく、0.15以下とすることがより好ましく、0.13以下とすることがさらに好ましい。
また、本発明の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造する際、樹脂組成物の二軸押出機中における滞留時間は1〜30分間が好ましく、より好ましくは2〜25分間である。ここで、滞留時間とは、二軸押出機に原材料を供給してから吐出するまでの滞留時間の平均であり、無着色の樹脂組成物が所定の押出量に調節された定常的な溶融混練状態において、原料が供給されるスクリュー根本の位置から、原料と共に、着色剤を通常1g程度投入し、着色剤等を投入した時点から、樹脂組成物が押出機の吐出口より押出され、その押出物への着色剤による着色度が最大となる時点までの時間とする。滞留時間が上記の範囲内にある場合、樹脂組成物の色調変化を抑えることができる。
二軸押出機のスクリューとしては、例えば、完全噛み合い型、不完全噛み合い型、非噛み合い型等が挙げられる。混練性、反応性の観点から、完全噛み合い型スクリューが好ましい。また、スクリューの回転方向は、同方向、異方向どちらでもよいが、混練性、反応性の観点から、同方向回転が好ましい。
二軸押出機のスクリュー構成は、フルフライトおよび/またはニーディングディスクを組み合わせて使用することが一般的であるが、溶融状態の樹脂組成物へ効果的に剪断場を付与するスクリュー構成が好ましい。そのため、前記の通り、1個以上のニーディングディスクから構成されるニーディングゾーンを、長手方向に複数箇所所有していることが好ましい。さらに、ニーディングゾーンの合計長さは、スクリューの全長の5〜50%が好ましく、15〜30%がより好ましい。ニーディングゾーンの合計の長さが上記の範囲内にある場合、分散相の平均粒子径、分散相の粒子径分布の標準偏差および分散相の最大コンパクトネスを前述の好ましい範囲に容易に調整することができ、バリをより低減することができる。なお、ニーディングゾーンは、スクリュー内の特定の位置に偏在することなく、全域に渡って配置されることが好ましい。
また、二軸押出機のスクリューにおけるニーディングゾーンのそれぞれの長さをLkとすると、全てのニーディングゾーンが、Lk/D=0.2〜10の長さを有することが、混練性、反応性、色調変化抑制の観点から好ましい。各ニーディングゾーンの長さLk/Dは、より好ましくは0.5〜8である。なお、ニーディングゾーンの長さLkは、そのニーディングゾーンを構成する最も上流のニーディングディスクの上流端部からスクリュー軸中心線への垂線と、最も下流のニーディングディスクの下流端部からスクリュー軸中心線への垂線との間の距離とする。
本発明の樹脂組成物は、任意の成形方法により成形することができ、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルムまたはシート状、パイプ状、中空状、箱状等の任意の形状の成形品を得ることができる。成形方法としては、溶融成形が好ましく、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、中空成形などが挙げられる。生産性の観点から、射出成形、押出成形が好ましく、射出成形が最も好ましい。
本発明の樹脂組成物は、薄肉流動性に優れ、成形時のバリを低減し、機械特性に優れた成形品を得ることができる。そのため、本発明の樹脂組成物および成形品は、電気電子部品、自動車・車輌関連部品、筐体、外装部品、衝撃吸収部材に好適である。また、靭性、剛性に特に優れていることから、筐体、衝撃吸収部材に特に好適である。
本発明の成形品は、コネクター、コイルをはじめとして、センサー、LEDランプ、ソケット、抵抗器、リレーケース、小型スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品等に代表される電子部品、発電機、電動機、変圧器、変流器、電圧調整器、整流器、インバーター、継電器、電力用接点、開閉器、遮断機、ナイフスイッチ、他極ロッド、電気部品キャビネットなどの電気機器部品、VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク、DVD等の音声・映像機器部品照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・冷却系・ブレーキ系・ワイパー系・排気系・吸気系各種パイプ・ホース・チューブ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、電池周辺部品、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクター、ヒューズ用コネクター等の各種コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバー、ウインドレギュレーターハンドル、ウインドレギュレーターハンドルのノブ、パッシングライトレバー、サンバイザーブラケット、インストルメントパネル、エアバッグ周辺部品、ドアパッド、ピラー、コンソールボックス、各種モーターハウジング、ルーフレール、フェンダー、ガーニッシュ、バンパー、ドアパネル、ルーフパネル、フードパネル、トランクリッド、ドアミラーステー、スポイラー、フードルーバー、ホイールカバー、ホイールキャップ、グリルエプロンカバーフレーム、ランプベゼル、ドアハンドル、ドアモール、リアフィニッシャー、ワイパー等の自動車・車輌関連部品;包装用フィルムおよびシート、工業用フィルムおよびシート、農業・土木用フィルムおよびシート、医療用フィルムおよびシート、生活雑貨用フィルムおよびシート等のフィルムおよびシート用品;外装部品;自動車外板等の衝撃吸収部材;土木建築物の壁、屋根、天井材関連部品、窓材関連部品、断熱材関連部品、床材関連部品、免震・制振部材関連部品、ライフライン関連部品;ゴルフクラブやシャフト、グリップ、ゴルフボール等のゴルフ関連用品、テニスラケットやバトミントンラケットおよびそのガット等のスポーツラケット関連用品、アメリカンフットボールや野球、ソフトボール等のマスク、ヘルメット、胸当て、肘当て、膝当て等のスポーツ用身体保護用品、スポーツウェア等のウェア関連用品、スポーツシューズの底材等のシューズ関連用品、釣り竿、釣り糸等の釣り具関連用品、サーフィン等のサマースポーツ関連用品、スキー・スノーボード等のウィンタースポーツ関連用品;その他インドアおよびアウトドアスポーツ関連用品等々に適用できる。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例および比較例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)靭性:引張り破断ひずみ(1mm厚)
実施例および比較例で得られたペレットを、日精樹脂工業(株)製の射出成形機NEX1000により、シリンダ温度240℃(ただし、比較例8は280℃、比較例9は191℃)、金型表面温度30℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件で射出成形し、ASTM Type−IV型(1mm厚)を作製した。
上記方法により得られた試験片をアルミの防湿袋に真空密閉保管した。この試験片を試験直前に防湿袋から取り出し、ASTM D638に従い、測定速度10mm/minの条件で引張り破断ひずみを測定した。各5本の試験片について引張り破断ひずみを測定し、その数平均値を算出した。引張り破断ひずみが150%以上であれば、靱性に優れると判断した。
(2)剛性:曲げ弾性率
実施例および比較例で得られたペレットを、日精樹脂工業(株)製の射出成形機NEX1000により、シリンダ温度240℃(ただし、比較例8は280℃、比較例9は191℃)、金型表面温度30℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件で射出成形し、ISO Type−A規格の試験片を作製した。
上記方法により得られた試験片をアルミの防湿袋に真空密閉保管した。この試験片を試験直前に防湿袋から取り出し、ISO178に従い、支点間距離64mm、測定速度2mm/minの条件で曲げ弾性率を測定した。各3本の試験片について曲げ弾性率を測定し、その数平均値を算出した。曲げ弾性率が400MPa以上であれば、剛性に優れると判断した。
(3)薄肉流動性
実施例および比較例で得られたペレットを、日精樹脂工業(株)製の射出成形機NEX1000により、シリンダ温度240℃(ただし、比較例8は280℃、比較例9は191℃)、金型表面温度80℃、スクリュー回転数150rpm、射出圧力60MPa、射出速度100mm/秒、射出/冷却=10/10秒の条件で、幅10mm×厚み0.7mmの直方体を射出成形した際の、成形品の流動長を測定した。流動長が25mm以上であれば、薄肉流動性に優れるとした。
(4)バリの大きさ
実施例および比較例で得られたペレットを、日精樹脂工業(株)製の射出成形機NEX1000により、シリンダ温度240℃(ただし、比較例8は280℃、比較例9は191℃)、金型表面温度30℃、スクリュー回転数150rpm、射出圧力100MPa、射出速度100mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件で射出成形し、図1に示すバリ評価用試験片を作製した。20μm厚の間隙に流れ込んだ樹脂の最大流動長を測定し、その値をバリの大きさとした。バリの大きさが55μm以下であれば、バリが少ないとした。
(5)モルフォロジーの観察
ISO1874−2に従い、実施例および比較例で得られたペレットを、日精樹脂工業(株)製の射出成形機NEX1000により、シリンダ温度240℃、金型表面温度30℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件で射出成形し、ASTM Type−IV型(1mm厚)試験片を作製した。なお、かかる成形条件であれば成形前後でモルフォロジーは変化しないため、成形した試験片を用いてモルフォロジーを観察した。前記試験片の平行部の樹脂流動方向に直交する面の面出しを行った。その後、サンプルを2%リンタングステン酸水溶液に80℃で2時間浸漬させ、1%オスミウム酸水溶液に室温で3日間浸漬して化学的に構造固定し、続いて試験片から0.2μm厚の切片を切り出した。上記切片を日立製作所製H−7100型透過型電子顕微鏡で2000倍に拡大して観察する画像を得た。観察画像中の染色された部分がポリアミド樹脂(B)を示す。
(a)分散相の平均粒子径の測定
分散相の平均粒子径は、画像解析により算出した。上記の方法で得られた画像を解像度300dpiでコンピューターに取り込み、Scion Corporation社製画像解析ソフト「Scion Image」を使用して、電子顕微鏡写真中の任意に選択した10μm×10μmの領域に存在する分散相の長径と短径を測定し、その平均値を各分散相の粒子径(μ)とした。分散相の長径および短径とは、画像の水平方向をX軸、それに垂直に交わる方向をY軸とし、分散相の粒子を各々の軸に投影した投影図の長さのうち、長いものを長径、短いものを短径とした。任意に選択した10μm×10μmの領域から検出された全ての分散相(n個)について粒子径を算出し、その数平均値を平均粒子径(μ)とした。
(b)分散相の粒子径分布の標準偏差の測定
上記の方法で得られた各分散相の粒子径(μ)、平均粒子径(μ)および測定した分散相数(n)から、以下の式(2)に従って成形品の分散相の粒子径分布の標準偏差(σ)を算出した。
Figure 0006447177
(c)分散相の最大コンパクトネスの測定
分散相の最大コンパクトネス(φmax)は、画像解析により算出した。上記の方法で得られた画像を解像度300dpiでコンピューターに取り込み、Matrox社製画像解析ソフト「Inspector」を使用して、電子顕微鏡写真中の任意に選択した10μm×10μmの領域に存在する分散相について、以下の式(3)に従ってコンパクトネス(φi)を算出し、その最大値を最大コンパクトネス(φmax)とした。ただし、下記式(3)中、lは分散相の周囲長を、Sは分散相の面積を表す。
Figure 0006447177
各実施例および比較例において使用した原料を下記に記した。ここで、ポリアミド樹脂の融点(T)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、ポリアミド樹脂を40℃から300℃まで20℃/minの速度で昇温し、300℃で1分間保持した後、300℃から40℃まで20℃/minの速度で降温し、40℃で1分間保持し、再度40℃から300℃まで20℃/minの速度で昇温した際の最大の吸熱量を示す温度とした。また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度は、ASTM D−648法に準拠し、縦80mm×横10mm×厚み4mmの試験片を用いて、試験方向をフラットワイズ、荷重を0.455MPa、昇温速度を120℃/時とする条件において、曲げひずみ量0.2%に達した際の温度とした。
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂:「“ハイミラン”(登録商標)1706」(三井デュポン社製)(アイオノマー樹脂、荷重たわみ温度48℃、ポリエチレンとメタクリル酸の二元共重合体の亜鉛架橋樹脂)
(A’2)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂:「“ボンドファースト”(登録商標)7L」(住友化学社製)(グリシジルメタクリレート変性ポリエチレン共重合体樹脂、荷重たわみ温度46℃)
(B1)ポリアミド樹脂:「“アミラン”(登録商標)CM1017」(東レ社製)(ポリアミド6、融点225℃)
(B2)ポリアミド樹脂:「“アミラン”(登録商標)CM3001」(東レ社製)(ポリアミド66、融点265℃)
(B3)ポリアミド樹脂:「“ベスタミド”(登録商標)L1901」(ダイセル社製)(ポリアミド12、融点176℃)
(C)高級脂肪酸:ステアリン酸(和光純薬社製)。
(製造例1)有機化層状珪酸塩の調製
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:“クニピア”(登録商標)F、陽イオン交換容量120meq/100g)100gを温水10リットルに撹拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド51g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間撹拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥して、乾燥した有機化層状珪酸塩を得た。メタノールで5時間ソックスレー抽出をして、有機化層状珪酸塩中に含まれるベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドを定量したところ、有機化層状珪酸塩の0.1質量%以下であることが分かった(イオン交換率90%)。
比較例11
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と(B1)ポリアミド樹脂を表1に示す配合組成で混合し、真空ポンプによる揮発分の除去を行いながら、スクリュー径37mm、2条ネジの2本のスクリューを有するL/D=100の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(東芝機械社製、TEM−37BS−26/2V)を使用し、シリンダ温度240℃、スクリュー回転数130rpm、押出量26kg/hの条件で溶融混練を行い、吐出口(L/D=100)よりストランド状の溶融樹脂組成物を吐出した。ここで、スクリュー構成として、L/D=22、28、43、55、69、77、93の位置から始まる7箇所のニーディングゾーンを設け、各ニーディングゾーンの長さLk/Dは、順番にLk/D=1.8、1.8、2.3、2.3、2.3、2.3、3.0とした。さらに各ニーディングゾーンの下流側に逆スクリューゾーンを設け、各逆スクリューゾーンの長さLr/Dは、順番にLr/D=0.4、0.4、0.8、0.8、0.4、0.8、0.4とした。また、スクリュー全長に対する上記ニーディングゾーンの合計長さの割合(%)を、{(ニーディングゾーンの合計長さ)÷(スクリュー全長)}×100により算出すると、16%であった。また、吐出されたストランド状の溶融樹脂組成物を、冷却バスを通過させて冷却し、ペレタイザーにより引取りながら裁断することにより、樹脂組成物のペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルを真空度1013hPa、60℃の条件で24時間乾燥させた後に、前記方法により各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
スクリュー回転数を180rpmに変更したこと以外は比較例11と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて、比較例11と同様に評価した結果を表1に示す。
〔実施例3〜7〕
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、(B1)ポリアミド樹脂、(C)高級脂肪酸および(D)層状珪酸塩を表1に示す配合組成で混合し、スクリュー回転数を205rpmに変更したこと以外は比較例11と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A1)とポリアミド樹脂(B1)を表2に示す配合組成で混合し、真空ポンプによる揮発分の除去を行いながら、スクリュー径57mm、2条ネジの2本のスクリューを有するL/D=28の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(Werner&Pfleiderer製:ZSK57)を使用し、シリンダ温度を240℃、スクリュー回転数200rpm、押出量60kg/hの条件で溶融混練を行い、吐出口(L/D=28)よりストランド状の溶融樹脂組成物を吐出した。ここで、スクリュー構成として、L/D=8.4、20の位置から始まる2箇所のニーディングゾーンを設け、各ニーディングゾーンの長さLk/Dは、順番にLk/D=1.8、1.1とした。さらに各ニーディングゾーンの下流側に、逆スクリューゾーンを設け、各逆スクリューゾーンの長さLr/Dは、順番にLr/D=0.35、0.35とした。また、スクリュー全長に対する上記ニーディングゾーンの合計長さの割合(%)を、{(ニーディングゾーンの合計長さ)÷(スクリュー全長)}×100により算出すると、10%であった。その他の条件を比較例11と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例2〕
(B1)ポリアミド樹脂を配合しないこと以外は実施例3と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例3〕
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と(B1)ポリアミド樹脂を表2に示す配合組成で混合したこと以外は実施例3と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例4〕
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と(B1)ポリアミド樹脂を表2に示す配合組成で混合したこと以外は比較例1と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例5〕
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と(B1)ポリアミド樹脂を表2に示す配合組成で混合したこと以外は比較例11と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例6〕
(A1)ポリオレフィン系熱可塑性樹脂と(B1)ポリアミド樹脂を表2に示す配合組成で混合したこと以外は実施例2と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて実施例2と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例7〜9〕
(A1)または(A2)ポリオレフィン樹脂と(B1)〜(B3)のポリアミド樹脂を表2に示す配合組成で混合したこと以外は実施例3と同様にしてペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
〔比較例10〕
比較例1で得られたサンプルを、真空ポンプによる揮発分の除去を行いながら、スクリュー径57mm、2条ネジの2本のスクリューを有するL/D=28の同方向回転完全噛み合い型二軸押出機(Werner&Pfleiderer製:ZSK57)を使用し、比較例1と同条件で、再度溶融混練を行い、ペレット状のサンプルを得た。得られたサンプルについて比較例11と同様に評価した結果を表2に示す。
Figure 0006447177
Figure 0006447177

Claims (5)

  1. 分子間および/または分子内に金属イオンによる架橋構造を有するポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、下記式(1)を満たす融点(T)を有するポリアミド樹脂(B)を5〜100重量部含む熱可塑性樹脂組成物であって、透過型電子線トモグラフィー法により観察されるモルフォロジーにおいて、前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)が連続相、前記ポリアミド樹脂(B)が分散相を形成し、前記ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の平均粒子径が300nm以下であり、前記ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の粒子径分布の標準偏差が85nm以下である、熱可塑性樹脂組成物。
    150℃≦T−THDT≦210℃ (1)
    上記式(1)中、Tはポリアミド樹脂(B)の融点(℃)を示し、THDTはASTM D−648法により荷重0.455MPaの条件で測定したポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)の荷重たわみ温度を示す。
  2. 前記ポリアミド樹脂(B)から形成される分散相の最大コンパクトネスが3.0以下である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
    最大コンパクトネスは、電子顕微鏡写真中の任意に選択した10μm×10μmの領域に存在する分散相について、以下の式(3)に従ってコンパクトネス(φ )を算出し、その最大値を最大コンパクトネス(φ max )とする。下記式(3)中、l は分散相の周囲長を、S は分散相の面積を表す。)
    Figure 0006447177
  3. 前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、さらに(C)炭素数12以上の高級脂肪酸を0.1〜5重量部含む請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、さらに(D)層状珪酸塩を0.1〜5重量部含む請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形して得られる成形品。

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