JP6428771B2 - 多線巻線方法及び多線巻線装置 - Google Patents

多線巻線方法及び多線巻線装置 Download PDF

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Description

本発明は、コアの巻芯部に複数のワイヤを巻回してコイル部品を形成する多線巻線方法及び多線巻線装置に関する。特に、コアの軸方向一端側と他端側にそれぞれ鍔部を有し、各鍔部の実装面側に平坦面を有し、その平坦面にそれぞれワイヤと接続される複数の電極が間隔をあけて形成されたコイル部品、及びその巻線方法と巻線装置に関する。本発明が対象とするコイル部品には、例えば2ライン、3ライン、4ラインなどのコモンモードチョークコイルや、パルストランス型コイルなどが含まれる。
従来、図21に示すような構造のコイル部品100(ここでは2ラインコモンモードチョークコイルを示す)が知られている。101は磁性体からなるコアであり、その中央部に巻芯部102を有し、軸方向両端部に一対の鍔部103,104を有している。巻芯部102には2本のワイヤ110,120が並列に巻回されている。鍔部103、104の実装面側にはそれぞれ2個(合計4個)の電極105〜108が形成されている。ワイヤ110、120の始線部110a、120aは一端側鍔部103の電極105,106上に接続固定され、ワイヤ110、120の終線部110b、120bは他端側鍔部104の電極107,108上に接続固定されている。一方のワイヤ110の始線部110aは、電極105上にコア軸線とほぼ平行(鍔部の外壁面に対してほぼ垂直)に接続固定されているが、他方のワイヤ120の始線部120aは電極106上にコア軸線に対して斜め方向に接続固定されている。また、ワイヤ120の終線部120bは電極108上にコア軸線とほぼ平行に接続固定されているが、ワイヤ110の終線部110bは電極107上にコア軸線に対して斜め方向に接続固定されている。
このような構造のコイル部品100では、ワイヤ120の始線部120aと電位の異なる電極105との間、及びワイヤ110の終線部110bと電位の異なる電極108との間で、ショートが発生する懸念がある。すなわち、ワイヤ120の始線部120a及びワイヤ110の終線部110bが巻芯部と電極との間で直線的に延びているので、始線部120a及び終線部110bが電位の異なる電極105、108と接触(S1、S2で示す)する可能性があり、両者の間でショートの発生リスクが高まるからである。
このような問題に対処するため、図22に示すようなコイル部品200がある。図22において、図21と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。このコイル部品200は、特許文献1に示された巻線装置により作製できる。ワイヤ110、120の始線部110a、120aは電極105、106上にコア軸線方向に固定され、ワイヤ110、120の終線部110b、120bについても、電極107、108に対してコア軸線方向に固定されている。このように、ワイヤ120の始線部120aが、電極106にコア軸線方向に接続された接続部120a1と巻芯部102へと延びる配線部120a2とを有し、接続部120a1と配線部120a2との間で屈曲しているため、始線部120aと電位の異なる電極105との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。また、ワイヤ110の終線部110bについても同様に電極107にコア軸線方向に接続されているので、電極107との接続部110b1と巻芯部102から延びる配線部110b2との間で屈曲し、そのためこの終線部110bと電位の異なる電極108との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。
図22に示すコイル部品200を特許文献1に示す巻線装置により巻線する方法を以下に説明する。まず、2本のワイヤ110、120をフックピンなどにより誘導しながら一端側鍔部103の外側から内側へと導くことにより、ワイヤ110、120の始線部110a、120aを電極105、106上にコア軸線方向に配置し、その状態で始線部110a、120aを電極105、106に固定する。これにより、始線部110a、120aを電極105、106にコア軸線方向に固定できる。その後、コア101を回転させ、2本のワイヤ110、120をコア101の巻芯部102に巻回する。ワイヤ120の終線部120bについては、このワイヤ120を他端側鍔部104の内側から外側へ導くだけで、電極108に対してコア軸線方向に配置可能であるが、ワイヤ110の終線部110bについては、ワイヤ110を他端側鍔部104の内側から外側へ導くだけでは電極107に対してコア軸線方向に配置できない。そこで、前述の巻線装置では、線押え部材201によって終線部110bを巻芯部102に対して押圧することにより、終線部110bを一時的に固定し、固定状態のままワイヤ110をコア軸線方向外側へ導くことで、この終線部110bを電極107上にコア軸線方向に固定している。
特開2002−134347号公報
しかしながら、前述の巻線装置では、図22の(b)に示すように、ワイヤ110の終線部110bを線押え部材201によって巻芯部102に対して押圧するため、ワイヤ110に傷がつくことがあり、最悪の場合、ワイヤが断線する可能性がある。すなわち、ワイヤ110には所定の張力が付与されているので、そのワイヤ110をワイヤ線押え部材201により巻芯部102に対して押圧することで、ワイヤ110の終線部110bに無理な負荷がかかり、傷つきが発生することがある。ワイヤの表面には絶縁皮膜が形成されているが、この絶縁皮膜に傷が生じると、耐圧劣化や絶縁不良を生じる可能性がある。また、線押え部材201によって押圧されたワイヤ110の終線部110bは、接続部110b1と配線部110b2との間で2箇所で屈曲するため、ワイヤ110の終線部110bに弛みが発生する可能性がある。
上述の説明では2ラインコモンモードチョークコイルの例を示したが、3本のワイヤを使用した3ラインコモンモードチョークコイルの場合には、ショートの発生リスクはさらに高まる。図23の(a)は従来の3ラインコモンモードチョークコイル300、(b)は特許文献1に示された巻線装置により作製された3ラインコモンモードチョークコイル400である。(a)の場合、3本のワイヤ301〜303のうち、第2と第3のワイヤ302、303の始線部302a、303aが電位の異なる電極304,305と近接し(S3、S4で示す)、第1と第2のワイヤ301,302の終線部301b,302bが電位の異なる電極308,309と近接する(S5、S6で示す)ため、ショートの発生リスクが高い。これに対し、(b)のように全てのワイヤ301〜303の始線部および終線部が電極304〜309に対してコア軸線方向に固定されている場合には、上述のようなショートの発生リスクを低減できるが、やはりワイヤ301、302の終線部301b、302bを線押え部材310によって巻芯部102に対して押圧する必要があるため、ワイヤ301、302に傷がつくことがあり、ワイヤが断線する可能性もある。
そこで、本発明の目的は、ワイヤと電位の異なる電極とのショートの発生リスクを低減でき、かつワイヤにかかるダメージを軽減できる多線巻線方法及び多線巻線装置を提供することにある。
本発明に係る多線巻線方法は、コアの巻芯部に複数のワイヤを巻回してコイル部品を形成する多線巻線方法であって、前記コアの軸方向一端側と他端側にそれぞれ鍔部を有し、各鍔部の実装面側に平坦面を有し、その平坦面にそれぞれワイヤと接続される複数の電極が間隔をあけて形成されている。この方法は、前記複数のワイヤの始線部を前記コアの一端側鍔部の外側から内側へと導き、それぞれのワイヤの始線部を一端側鍔部の電極上へ接続するステップと、前記複数のワイヤを前記コアの軸方向に対して横方向へ導き、前記巻芯部に前記複数のワイヤを一緒に巻回するステップと、ワイヤ曲げ治具を前記コアの他端側鍔部の平坦面上でかつ前記複数の電極の間に当接させるステップであって、前記ワイヤ曲げ治具の先端を前記他端側鍔部の内側面と同一位置又はそれよりも巻芯部側に突出させるステップと、前記複数のワイヤの終線部を前記コアの他端側鍔部の内側から外側へと導くとともに、前記ワイヤ曲げ治具と前記他端側鍔部との間で前記複数のワイヤのうちの少なくとも1本の終線部を折り曲げるステップと、前記複数のワイヤの終線部を対応する他端側鍔部の電極上へ接続するステップと、を備える。
本発明に係る多線巻線装置は、コアの巻芯部に複数のワイヤを巻回してコイル部品を形成する多線巻線装置であって、前記コアの軸方向一端側と他端側にそれぞれ鍔部を有し、各鍔部の実装面側に平坦面を有し、その平坦面にそれぞれワイヤと接続される複数の電極が間隔をあけて形成されている。この装置は、前記ワイヤをそれぞれ供給する複数のノズルと、前記複数のノズルを移動させる移動機構と、前記コアをその軸心周りに回転させる回転機構と、前記ワイヤを前記電極に接続する接合手段と、前記コアの他端側鍔部の平坦面上でかつ前記複数の電極の間に当接するワイヤ曲げ治具と、前記ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置と、を備える。前記ノズルにより前記複数のワイヤの始線部を前記コアの一端側鍔部の外側から内側へと導き、それぞれのワイヤを一端側鍔部の電極上へ配置して前記接合手段により接続し、前記複数のワイヤを前記コアの軸方向に対して横方向へ導くと共に、前記コアを回転させて前記巻芯部に前記複数のワイヤを一緒に巻回し、前記ワイヤ曲げ治具を、その先端が前記コアの他端側鍔部の内側面と同一位置又はそれよりも巻芯部側に突出するように他端側鍔部の平坦面上に当接させ、前記ノズルにより前記複数のワイヤの終線部を前記コアの他端側鍔部の内側から外側へと導くとともに、前記ワイヤ曲げ治具と前記他端側鍔部との間で前記複数のワイヤのうちの1本を除く他の少なくとも1本の終線部を折り曲げ、前記複数のワイヤの終線部を対応する他端側鍔部の電極上へ配置して前記接合手段により接続する。
本発明に係る巻線型コイル部品は、巻芯部とこの巻芯部の両端部に形成された鍔部とを有し、各鍔部の実装面側に平坦面を有し、その平坦面にそれぞれ複数の電極が間隔をあけて形成されたコアと、前記巻芯部に巻回され、始線部と終線部とが前記電極に接続された複数のワイヤと、を備えている。前記巻芯部の巻き始め位置から近距離にある一端側鍔部の電極に接続された前記ワイヤの始線部は、前記電極上に接続された接続部と、前記電極の巻芯部側縁部で折り曲げられて前記巻き始め位置へ延びる配線部とを有し、前記巻芯部の巻き始め位置から遠距離にある一端側鍔部の電極に接続された前記ワイヤの始線部は、前記電極上に接続された接続部と、前記電極の巻芯部側縁部で横方向に折り曲げられて前記巻き始め位置へ延びる配線部とを有する。前記巻芯部の巻き終わり位置から近距離にある他端側鍔部の電極に接続された前記ワイヤの終線部は、前記電極上に接続された接続部と、前記電極の巻芯部側縁部で折り曲げられて前記巻き終わり位置へ延びる配線部とを有し、前記巻芯部の巻き終わり位置から遠距離にある他端側鍔部の電極に接続された前記ワイヤの終線部は、前記電極上に接続された接続部と、前記電極の巻芯部側縁部で横方向に折り曲げられ、かつこの折り曲げ位置から前記巻き終わり位置へ延びる配線部とを有する。
本発明の巻線型コイル部品では、複数のワイヤの始線部は一端側鍔部の電極に接続され、その電極の巻芯部側縁部で折り曲げられて巻き始め位置へと延びる。特に、巻芯部の巻き始め位置から遠距離にある一端側鍔部の電極に接続されたワイヤの始線部は、電極上に接続された接続部と、電極の巻芯部側縁部で横方向に折り曲げられて巻き始め位置へ延びる配線部とを有する。そのため、このワイヤの始線部と電位の異なる電極との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。一方のワイヤの終線部は、他端側鍔部の電極に接続された後、電極の巻芯部側縁部で折り曲げられて巻き終わり位置へ延びる。他方のワイヤの終線部、つまり巻芯部の巻き終わり位置から遠距離にある電極に接続されたワイヤの終線部は、電極上に接続された接続部と、電極の巻芯部側縁部で横方向に折り曲げられて巻き終わり位置へ延びる配線部とを有する。つまり、巻芯部の巻き終わり位置から引き出されて、電極の巻芯部側の縁部近傍で横方向へ折り曲げられるので、この配線部と電位の異なる電極との距離を確保でき、その電極とのショートの発生リスクを低減できる。また、従来のように線押え部材によって巻芯部に対して押圧する必要がないため、ワイヤの傷付きを防止できる。さらに、巻芯部の巻き終わり位置から引き出されて電極に接続されるまでの間、ワイヤの終線部に1箇所の折り曲げ部が存在するだけであるから、ワイヤに弛みが発生しにくい。
本明細書において、「巻き始め位置」とは、巻回されるワイヤが巻芯部に対して最初に接する巻芯部の位置又は側面であり、「巻き終わり位置」とは、巻回されるワイヤが巻芯部に対して最後に接する巻芯部の位置又は側面のことである。巻芯部の巻き始め位置から遠距離にある一端側鍔部の電極に接続されたワイヤの始線部、及び巻芯部の巻き終わり位置から遠距離にある他端側鍔部の電極に接続されたワイヤの終線部は、それぞれ接続部と配線部とを有する。接続部とは電極上に接続された部分のことであり、配線部とは接続部と巻芯部の巻き始め位置(又は巻き終わり位置)との間に延びる部分のことである。巻芯部の巻き始め位置から近距離にある一端側鍔部の電極に接続されたワイヤの始線部、及び巻芯部の巻き始め位置から遠距離にある一端側鍔部の電極に接続されたワイヤの始線部は、電極上にコア軸線方向に接続してもよく、巻芯部の巻き終わり位置から近距離にある他端側鍔部の電極に接続されたワイヤの終線部も、電極上にコア軸線方向に接続してもよい。一方、巻芯部の巻き終わり位置から遠距離にある他端側鍔部の電極に接続されたワイヤの終線部は、電極上にコア軸線方向に対して斜め方向に接続してもよい。「コア軸線方向に対して斜め方向」とは、「コア軸線方向」と比べてコア軸線に対する傾き角度が大きい方向のこのことである。また、「横方向に折り曲げる」とは、電極との対向方向から見て、ワイヤの始線部(又は終線部)が、配線部と接続部との間で角度変化していることを指す。ワイヤの始線部が横方向に折れ曲がる理由は、一端側鍔部の電極にワイヤの始線部をコア軸線方向に接続した後、そのワイヤの始線部を巻芯部の巻き始め位置へ導くからである。一方、ワイヤの終線部が横方向に折れ曲がる理由は、巻芯部の巻き終わり位置から引き出されたワイヤの終線部をワイヤ曲げ治具で折り曲げた後に他端側鍔部の電極に接続するからである。
ここで、本発明の巻線方法を、2本のワイヤをコアに巻回する場合を例にして説明する。まず、コアの一端側鍔部をスピンドルチャックなどの回転機構により保持する。次に、2本のワイヤの始端部をフックピンなどに引っかけ、ノズルから2本のワイヤを繰り出しながら、ノズルを一端側鍔部の外側から内側へ移動させ、両ワイヤの始線部をそれぞれ一端側鍔部の電極上にコア軸線方向に配置し、接続する。これにより、2本のワイヤの始線部は電極上にコア軸線方向に接続固定される。本明細書の中で、「コア軸線方向」とは、コア軸線方向と厳密に平行である必要はなく、少なくとも電極の内側縁(巻芯部側)と外側縁(鍔部外側面側)との間をつなぐように延びておればよい。このように、ワイヤの始線部は電極にコア軸線方向に接続されるので、ワイヤの始線部と電位の異なる電極とのショートの発生リスクを低減できる。ワイヤの始線部を電極に接続した後、2本のワイヤをコア軸方向に対して横方向へ導き、回転機構によりコアを回転させることで、巻芯部に2本のワイヤを一緒に巻回する。
巻回ステップの終了後、ワイヤ曲げ治具をその先端部が他端側鍔部の内側面と同一位置又はそれより巻芯部側に突出するように他端側鍔部の平坦面上に当接させる。そして、2本のワイヤの終線部を他端側鍔部の内側から外側へと導くと、一方のワイヤについては、ワイヤ曲げ治具に接触することなく鍔部外側へと誘引するだけで、電極上にコア軸線方向に固定できる。他方のワイヤについては、ワイヤ曲げ治具の先端部と他端側鍔部との間に引っ掛けることで折り曲げる。この折り曲げは、従来の巻線装置における線押え部材とは異なり、ワイヤを横方向に折り曲げるだけであるから、ワイヤにかかる負荷を軽減でき、傷付きや断線を抑制できる。ワイヤを折り曲げた後、その終線部の張力を保ったまま対応する電極に接続する。この場合、ワイヤの終線部は電極にコア軸線方向に対して斜め方向又は平行に接続固定される。ここで、巻芯部と電極との間に張り渡されたワイヤは、その途中でワイヤ曲げ治具により角度変化するため、このワイヤと電位の異なる電極との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。このようにして、コイル部品が完成する。
コイル部品に使用されるコアには、鍔部の電極間の部位に溝部を有するタイプと、溝部を有しない(平坦面に電極が形成されている)タイプとがある。溝部を有するタイプのコアの場合、ワイヤの始線部/終線部の電極に接続された部分と巻芯部に巻回された部分との間で、電極と巻芯部との段差及び溝部のために斜め方向の空中配線部分が生じることがある。このような斜め方向の空中配線部分が発生すると、その空中配線部分に対して外部から他の部品などが接触することにより、断線するリスクが高くなる。また、コイル部品を実装基板にはんだ付けした後、その表面を防湿コート樹脂で被覆することがあるが、溝部の中に防湿コート樹脂が入り込み、この樹脂が温度変化により伸縮を繰り返すことで、空中配線部分に応力が繰り返し作用し、断線に至る可能性もある。それに比べて、溝部を有しないタイプのコイル部品では、ワイヤの始線部/終線部に沿って鍔部が存在するため、空中配線部分が発生しにくい。本発明は、このような溝部を有しないタイプのコイル部品において、その他端側鍔部の電極にワイヤの終線部を接続する場合の改良に関する。
鍔部の「平坦面」とは、完全な平坦面である必要はなく、ワイヤ曲げ治具が嵌合しない程度であれば、微小な凹凸や段差が存在してもよい。ワイヤ曲げ治具を他端側鍔部の電極間の部位に当接させるとは、曲げ治具が鍔部上の電極間の空白部に当接する場合だけでなく、曲げ治具が電極の上に部分的にオーバーラップしてもよい。ワイヤ曲げ治具の作動方向は、例えば他端側鍔部に対して上下方向に作動してもよいし、水平方向に作動してもよいし、さらに回転方向に作動してもよい。ワイヤ曲げ治具が他端側鍔部の平坦面上に当接した状態において、ワイヤ曲げ治具と他端側鍔部との間の隙間がワイヤの線径より小さければ、ワイヤの終線部を折り曲げることができる。
コアは、鍔部の巻芯部側の側部、又は鍔部と巻芯部との間に、電極を持たないスペーサ部を有する構造としてもよい。ここで、スペーサ部とは、巻芯部と電極との間にコア軸線方向の間隔をあけるための電極のない部分のことである。コアにこのようなスペーサ部が形成されている場合には、ワイヤと電位の異なる電極との距離をスペーサ部の長さ分だけ拡大できるので、ショートの発生リスクをさらに低減できる利点がある。スペーサ部は、鍔部の巻芯部側の側部に設けてもよいし、鍔部と巻芯部との間に設けてもよい。
3ラインコモンモードチョークコイルの場合、3本のワイヤの内、2本又は1本のワイヤの終線部が異なる電位の電極に近接することになり、2ラインコモンモードチョークコイルに比べてショートが発生するリスクが高くなる。本発明を例えば3ラインコモンモードチョークコイルに適用した場合には、ワイヤ曲げ治具の先端部を二股状とし、それぞれの先端部と他端側鍔部との間に2本のワイヤをそれぞれ引っ掛けて折り曲げるようにしてもよい。つまり、コアの一端側及び他端側の鍔部にはそれぞれ3個の電極が形成され、ワイヤ曲げ治具には他端側鍔部の電極間の部分にそれぞれ当接される2本の凸部が設けられている構造としてもよい。その場合には、2本のワイヤの終線部と異なる電位の電極との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。
さらに、3ラインコモンモードチョークコイルの場合に、ワイヤ曲げ治具には他端側鍔部の平坦面上で、巻芯部の巻き終わり位置から最も遠い位置にある電極とその隣の電極との間の部分にのみ当接される1本の凸部が設けられている構造としてもよい。この場合には、巻き終わり位置から最も遠い位置にある電極に接続されるワイヤのみをワイヤ曲げ治具により折り曲げることができる。そのため、上述のように2本のワイヤの終線部を折り曲げる場合に比べて、ワイヤを繰り出すノズルの動きを簡易化でき、タクトタイムを短縮できる。なお、4ラインコモンモードチョークコイルや4本のワイヤを使用するパルストランス型コイルにも本発明を同様に適用できる。
本発明において、回転機構は、コアの一端側鍔部をチャックして回転させるよう構成され、ワイヤ曲げ治具は、回転機構とは別の固定部に設けられている構成としてもよい。コアを回転させる方法には片持ち支持方式と両持ち支持方式とがあるが、片持ち支持方式では他端側鍔部をチャックする必要がなく、軸心合わせが不要であるため、駆動機構を簡易化できる。その場合に、本発明のワイヤ曲げ治具を回転機構とは別の固定部に設けることで、ワイヤの終線部を接続する際にのみワイヤ曲げ治具を作動させればよく、機構を簡易化しながらショートの発生リスクを低減できる。
以上のように、本発明に係る巻線方法および巻線装置によれば、ワイヤ曲げ治具を他端側鍔部の平坦面上に当接させ、少なくとも1本のワイヤの終線部をワイヤ曲げ治具と他端側鍔部との間に引っ掛けて横方向に折り曲げるものであり、従来の巻線装置のようにワイヤを押さえるなどして負荷をかけないため、ワイヤにかかるダメージを軽減でき、傷付きや断線を抑制できる。ワイヤを折り曲げた後、その終線部を対応する電極に接続するため、このワイヤと電位の異なる電極との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。その結果、信頼性の高いコイル部品を提供できる。
さらに、本発明に係るコイル部品によれば、少なくとも1本のワイヤの終線部を電極の巻芯部側縁部で横方向に折り曲げ、この折り曲げ位置から巻き終わり位置へと延びるようにしたので、このワイヤと電位の異なる電極との距離を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。その結果、信頼性の高いコイル部品を提供できる。また、ワイヤの終線部は横方向に折り曲げるだけであり、従来のようにワイヤを押圧するなどして負荷をかけないため、ワイヤにかかるダメージを軽減でき、傷付きや断線を抑制できる。
本発明に係る巻線型コイル部品の第1実施例(2ラインコモンモードチョークコイル)の平面図、正面図、A−A線断面図及びB−B線断面図である。 本発明に係る巻線装置の一例の正面図(a)及び平面図(b)である。 図2に示す巻線装置の第1工程における正面図(a)及び平面図(b)である。 図2に示す巻線装置の第2工程における正面図(a)及び平面図(b)である。 図2に示す巻線装置の第3工程における正面図(a)、平面図(b)、C−C線断面図(c)である。 第3工程における部分斜視図である。 本発明に係る巻線型コイル部品の第2実施例(3ラインコモンモードチョークコイル)の平面図及びB−B線断面図である。 図7に示すコイル部品の終線部を折り曲げる方法を示す平面図である。 図7に示すコイル部品の終線部を折り曲げる方法及びワイヤ曲げ治具を示す斜視図である。 ワイヤ曲げ治具の他の例の斜視図である。 本発明に係る巻線型コイル部品の第3実施例(3ラインコモンモードチョークコイル)の平面図である。 図11に示すコイル部品の変形例の一部平面図である。 本発明にかかる3ラインコモンモードチョークコイルの第4実施例の平面図である。 本発明にかかる3ラインコモンモードチョークコイルの第5実施例の斜視図である。 本発明にかかる3ラインコモンモードチョークコイルの第6実施例の斜視図である。 本発明をパルストランスに適用した第7実施例の平面図及び側面図である。 本発明にかかる2ラインコモンモードチョークコイルの第8実施例の平面図である。 ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置の他の例を示す概略側面図である。 ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置のさらに他の例を示す概略側面図である。 ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置の別の例を示す概略側面図である。 従来の2ラインコモンモードチョークコイルの一例の平面図である。 従来の2ラインコモンモードチョークコイルの他の例の平面図及びB−B線断面図である。 従来の3ラインコモンモードチョークコイルの一例(a)及び他の例(b)の平面図である。
−巻線型コイル部品の第1実施例−
図1は本発明に係る巻線方法により製造されるコイル部品1の一例であり、ここでは2ラインコモンモードチョークコイルの例を示す。本コイル部品1は磁性体からなるコア2を備えている。コア2は、その中央部に巻芯部3を有し、軸方向両端部に一対の鍔部4,5を有している。巻芯部3は上下面および両側面を有する直方体状をしており、その巻芯部3の周面に2本のワイヤ10,11が並列に巻回されている。なお、図1では、コア2の軸方向をY軸とし、それと垂直な水平方向をX軸、鉛直方向をZ軸としてある。
鍔部4、5の実装面側(図1では上側に示されているが、回路基板への実装時には下面側)には平坦面4a、5aが形成され、その平坦面にはそれぞれ2個の電極6a、6b及び電極7a、7bがX軸方向に間隔をあけて形成されている。電極6aと6bとの間、及び電極7aと7bとの間には平坦面4a、5aが露出している。電極6a〜7bは、例えばAg,Ag−Pd,Ag−Ptなどによる10〜30μmの膜層を有する下地電極と、その上に形成されたNi,Sn,Sn−Pdなどによる1〜30μm程度のめっき層とによって形成されている。なお、下地電極は通常、DIPコーティング、印刷、スパッタなどで形成される。このとき、鍔部4、5の頂面に形成された電極6a〜7bは、実質的に略同一形状および略同一面積で形成されるのがよい。
ワイヤ10、11はCu,Ag,Auなどの金属導線で形成され、その表面には絶縁皮膜が形成されている。ワイヤ10、11の始線部10a、11aは、一端側鍔部4の電極6a,6b上にそれぞれコア軸線とほぼ平行(鍔部4の外壁面とほぼ直角)に接続固定されている。一方、ワイヤ11の終線部11bについては、他端側鍔部5の電極7b上にコア軸線とほぼ平行(鍔部5の外壁面とほぼ直角)に接続固定されているが、ワイヤ10の終線部10bは、他端側鍔部5の電極7a上にコア軸線に対して斜め方向に接続固定されている。接合又は接続固定方法としては、例えばはんだ付けや熱圧着、溶着、スポット溶接など種々の方法が用いられる。
図1の(c)に示すように、一方のワイヤ10の始線部10aは、電極6aの頂面にコア軸線方向に接続固定された後、鍔部4の内壁縁から巻芯部3に向かって縦方向(Z方向)に折り曲げられ、最短距離で巻芯部3の巻き始め位置3aへ巻回される。他方のワイヤ11の始線部11aは、電極6bの頂面にコア軸線方向に接続固定された接続部11a1と、鍔部4の内側縁で横方向に折り曲げられた後、鍔部4の内側縁から巻芯部3の巻き始め位置3aに向かって直線的に延びる配線部11a2とを有し、巻芯部3へと巻回されている。このように始線部11aの接続部11a1と配線部11a2との間で角度変化するので、ワイヤ11の始線部11aと電位の異なる電極6aとの距離δ1(図1(a)参照)を確保でき、ショートを抑制できる。なお、「横方向に折り曲げる」とは、電極との対向方向から見て、ワイヤ11の始線部11aの接続部11a1と配線部11a2との間で角度変化していることを指す。
また、図1の(d)に示すように、一方のワイヤ10の終線部10bは、その配線部10b2が巻芯部3の巻き終わり位置3bから斜め上方へ引き出され、鍔部5の内側面の上縁(折り曲げポイントP1)で横方向に折り曲げられた後、接続部10b1が電極7aにコア軸線方向に対して斜め方向に接続固定されている。このように、終線部10bは配線部10b2と接続部10b1との間で角度変化するため、このワイヤ10と電位の異なる電極7bとの距離δ2(図1(a)参照)を確保でき、ショートの発生リスクを低減できる。他方のワイヤ11の終線部11bは、巻芯部3の巻き終わり位置3bから直上方向に引き出され、鍔部5の内側縁で縦方向に折り曲げられた後、電極7bにコア軸線方向に接続される。
図1では、電極6a、6bに接続されたワイヤ10、11の始線部10a,11aはコア軸線と平行で、電極7bに接続されたワイヤ11の終線部11bもコア軸線と平行である例を示したが、厳密に平行である必要はなく、ワイヤの誘引方向や、電極の位置と巻芯部の側面との関係により、傾きが生じる場合がある。
上述のように構成された本実施例のコイル部品1では、次のような作用効果がある。
(1)隣接する電極にワイヤが近接もしくは接触することがないので、絶縁信頼性が高い。
(2)電極の電極面積が略均一のため、圧着品位および電極固着力を安定して確保できる。
(3)巻き幅を有効的に使えるため、巻き数が稼げ、L値が取り易い。
(4)ワイヤ10の終線部10bを無理に屈曲させないので、断線や傷付きなどのダメージが少ない。
(5)ワイヤ10の終線部10bは、巻き終わり位置3bから直線状に延び、電極7aの内側縁近傍で折り曲げられた直後に電極7aに固定されているので、ワイヤ10に弛みが発生しない。
−巻線装置−
図2は、前述の巻線型コイル部品1にワイヤ10、11を巻回するための巻線装置の一例を示す。この巻線装置20は、大略、スピンドルチャック21と、支持台30と、2本のワイヤ10、11を繰り出すノズル40、41とを備える。ここで、スピンドルチャック21と支持台30との対向方向(コア軸線方向)をY軸とし、それと直交方向(水平方向)をX軸とし、鉛直方向をZ軸とする。
スピンドルチャック21は、本体部22と可動部23とを備えており、可動部23は本体部22に対して図示しない作動手段により接近、離間方向(X軸方向)に移動可能である。本体部22と可動部23とのチャック部22a,23a間でコア2の始線側の鍔部4の両側縁、つまりX軸方向の両側縁を把持できるようになっている。ここで、電極6a〜7bが上側を向くようにコア2は把持される。本体部22の後部には、本体部22と可動部23とを一体に水平軸(Y軸)を中心軸として回転駆動させるサーボモータ24が設けられている。本体部22の上面には、ワイヤクランプ25と2本のフッキングピン26a、26bとが設けられている。フッキングピン26a、26bの位置は、ワイヤ10、11の一端部をワイヤクランプ25に固定し、ワイヤ10、11をそれぞれフッキングピン26a、26bに引っ掛けた状態でノズル40、41をY軸方向に移動させたとき、ワイヤ10、11の始線部10a,11aを電極6a、6bの中央部上にY軸方向(コア軸線と平行)に配置できる位置に設定されている。
支持台30は所定位置に固定された部材であり、その上面にはワイヤクランプ31と2本のフッキングピン32a、32bとが設けられている。一方のフッキングピン32aの位置は、ワイヤ10を後述するワイヤ曲げ治具34に引っかけた状態でコア2から引き出し、そのフッキングピン32aに引っ掛けたとき、ワイヤ10の終線部10bが電極7a上に斜めに横断するような位置に設定されている。他方のフッキングピン32bの位置は、コア2から引き出されたワイヤ11の終線部をそれぞれフッキングピン32bに引っ掛け、ワイヤクランプ31に固定したとき、ワイヤ11の終線部11bが電極7b上にコア軸線とほぼ平行となる位置に設定されている。支持台30には、曲げ治具作動装置33によりワイヤ曲げ治具34がX軸回りに回動可能に取り付けられている。すなわち、ワイヤ曲げ治具34は、上昇位置と下降位置との2位置に回動可能であり、下降位置においてワイヤ曲げ治具34がコア2の鍔部5の上面に当接し、ワイヤ曲げ治具34の先端が鍔部5の内側面より巻芯部側に突出する。ワイヤ曲げ治具34の幅寸法(X方向寸法)は、ワイヤ曲げ治具34が電極7a,7bの上を塞がないように、電極7a、7b間の空白部より小さい寸法に設定されているのが望ましい。なお、曲げ治具作動装置33としては、モータ、ロータリアクチュエータなど任意の装置を使用できる。
スピンドルチャック21と支持台30との間には、上下に昇降できるバックアップ治具27が配置されている。このバックアップ治具27は、ワイヤの巻回作業中は下方に退避しており、ワイヤの巻回終了後に上昇してコア2を下方から支える。そのため、ワイヤ曲げ治具34が他端側鍔部5を上から押圧しても、バックアップ治具27がコア2を支えることにより、コア2の破損やスピンドルチャック21からの脱落を防止できる。なお、バックアップ治具27は、後述するヒータチップ46がワイヤ10、11の終線部10b,11bを電極7a、7bに接続する際にもコア2を支えることができる。
なお、図2では曲げ治具作動装置33を支持台30に設けたが、支持台30とは別の固定部に設けることもできる。また、ワイヤ曲げ治具34の作動方向は、水平な軸回りに回転するものに限らず、例えば上下方向に昇降するものや、水平方向に移動するものであってもよい。この実施例のワイヤ曲げ治具34は直方体形状のブロックであるが、他端側鍔部5との間でワイヤ11を引っ掛ける機能を有するものであれば、その形状は任意である。
ノズル40、41は図示しない保持部材によりそれぞれ保持されて、XY方向(又はXYZ方向)に移動可能であり、ワイヤ間隔を自在に変えることができる。コア2の鍔部4、5の上方位置には、上下方向に作動可能なヒータチップ45、46が配置されている。一方のヒータチップ45は、ワイヤ10、11の始線部10a,11aが電極6a、6b上に配置された状態で降下し、始線部10a,11aを電極6a、6bに接続する。他方のヒータチップ46は、ワイヤ10、11の終線部10b,11bが電極7a、7b上に配置された状態で降下し、終線部10b,11bを電極7a、7bに接続する。なお、ヒータチップ46の作動時には、同時にワイヤ曲げ治具34も鍔部5上に当接した状態にあるので、ワイヤ曲げ治具34と干渉しないように、ヒータチップ46は電極7a、7bだけを加熱できる二股の凸形状とされているのがよい。
−巻線装置の作動説明−
ここで、上記構成からなる巻線装置20の動作について、図3〜図5を参照して説明する。図3は第1工程を示す。第1工程では、スピンドルチャック21のチャック部22a,23aがコア2の鍔部4の両側面を、電極6a〜7bが上側を向くように把持する。ノズル40、41から繰り出されたワイヤ10、11の一端部をワイヤクランプ25に固定し、ワイヤ10、11をそれぞれフッキングピン26a、26bに引っ掛けた状態で、ノズル40、41をコア2上へY軸方向に移動させる。つまり、ワイヤ10、11の始線部10a,11aを一端側鍔部4の外側から内側へと導くことで、始線部10a,11aを電極6a、6b上にY軸方向に配置する。この状態で、ヒータチップ45を降下させ、始線部10a,11aを電極6a、6bに接続する。接続後、ヒータチップ45は再び上昇する。
図4は第2工程であり、ノズル40、41をコア2上から横方向(X方向)に移動させた状態で、サーボモータ24を駆動し、スピンドルチャック21を回転させる。つまり、コア2を回転させる。回転と同時にノズル40、41をY方向及びX方向へ移動させることで、2本のワイヤ10、11をコア2の巻芯部3に並列に巻回する。これにより、ワイヤ10、11の始線部は隣り合う電極6a、6bとの接触を避けて引き回しされ、一定のテンションを付与して巻回される。
図5は第3工程であり、巻芯部3へのワイヤ10、11の所定回数の巻線作業を終了し、スピンドルチャック21の回転を電極6a〜7bが上側を向く位置で停止させる。そして、バックアップ治具27を上昇させてコア2の下面を支えた状態で、ワイヤ曲げ治具34をコア2の鍔部5の上面に当接する位置へ回転させる。次に、ノズル40、41をXY方向に作動させて、一方のワイヤ10の終線部10bをワイヤ曲げ治具34と他端側鍔部5との間に引っ掛けながら他端側鍔部5の内側から外側へと導くことで、終線部10bを折り曲げて電極7a上に斜め方向に配置する。本実施形態では、ワイヤ曲げ治具34を他端側鍔部5に当接させた後にワイヤ10を他端側鍔部5の内側から外側へ導くことで終線部10bを折り曲げるので、ワイヤ10には無理な押圧力が作用せず、ワイヤ10の傷付きや断線の恐れはない。他方のワイヤ11の終線部11bは巻芯部から電極7b上に直線的に導くことで、電極7b上にY軸方向に配置できる。両ワイヤ10、11をそれぞれフックピン32a、32bを介してワイヤクランプ31に固定した後、ヒータチップ46を降下させ、終線部10b,11bを電極7a、7bに接続する(図5の(c)に示す)。接続と同時又はその後に、鍔部4,5の外壁面に沿ってワイヤ10、11をカットすることで、図1に示すコイル部品1を完成する。
図6は、第3工程における詳細図である。図示するように、ワイヤ曲げ治具34は鍔部5の平坦面5a上に当接され、ワイヤ曲げ治具34の先端が鍔部5の内側面と同一位置又はそれより巻芯部側に突出した状態とされる。ワイヤ10の終線部10bをワイヤ曲げ治具34と鍔部5との間に引っ掛けながら鍔部5の内側から外側へと導くことで、終線部10bが電極7a上に斜め方向に横断するように配置される。そのため、ヒータチップ46により終線部10bは電極7aの中心部に固定される。ワイヤ10の終線部10bはワイヤ曲げ治具34の側縁と鍔部5の上縁との交点(一定位置)で折り曲げられるので、ワイヤ10の折り曲げ位置がずれることがない。つまり、電極7aと巻芯部3との間に延びる終線部10bが電極7bとの近接もしくは接触を確実に避ける引き回しが形付けられ、ショートの発生リスクを低減できる。したがって、安定した品質のコイル部品を製造できる。なお、ワイヤ10の終線部10bの折り曲げ位置であるワイヤ曲げ治具34の先端部(角部)に適宜C面やR面を形成し、ワイヤの負荷をさらに軽減してもよい。
−巻線型コイル部品の第2実施例−
図7は、コイル部品の第2実施例を示す。このコイル部品1Aは、本発明を3ラインコモンモードチョークコイルに適用した例を示し、図1と同一又は対応する部分には同じ符号を付して重複説明を省略する。コア2の鍔部4,5の実装面側には平坦面4a,5aが形成され、その平坦面には、それぞれ3個の電極6a〜6c、7a〜7cがコア2の軸方向と垂直な方向に分離して形成されている。そのため、電極の間には、それぞれ電極のない空白部が形成されている。巻芯部3の周面には3本のワイヤ10、11、12が並列に巻回されている。ワイヤ10の始線部10aは電極6aに接続され、ワイヤ11の始線部11aは電極6bに接続され、ワイヤ12の始線部12aは電極6cに接続されている。各電極6a〜6cに対するワイヤ10、11、12の始線部10a,11a,12aの接続方向、つまり接続部10a1、11a1、12a1の方向はほぼコア軸線方向とされている。始線部11aの配線部11a2は接続部11a1に対して横方向に折り曲げられ、始線部12aの配線部12a2は接続部12a1に対して横方向に折り曲げられている。そのため、ワイヤ11の始線部11aが異なる電位の電極6aに接触するのが防止され、ワイヤ12の始線部12aが異なる電位の電極6bに接触するのが防止される。電極6a〜6cに対するワイヤ10、11、12の始線部10a,11a,12aの接続方法は、2ラインコモンモードチョークコイルについて説明した図3と同様であり、ワイヤ10〜12の始線部10a〜12aを一端側鍔部4の外側から内側へと導くことで、始線部10a〜12aを電極6a〜6c上にほぼコア軸線方向に配置できる。
ワイヤ10、11、12の終線部10b,11b,12bは、それぞれ電極7a〜7cに接続されている。このうち、ワイヤ12の終線部12bは巻芯部3から直上の電極7cへと引き出されるため、電極7cに対してほぼコア軸線方向に接続される。一方、ワイヤ10、11の終線部10b、11bは巻芯部3から斜め上方へ引き出され、電極7a、7bにコア軸線に対して斜め方向に接続される。このとき、図8、図9のように、鍔部5の平坦面5a上つまり電極7a、7b、7c間の空白部上に、ワイヤ曲げ治具35の凸部35a,35bを、その先端が鍔部5の内側面より巻芯部側に突出した状態となるように当接させる。この状態でワイヤ10、11の終線部10b、11bを鍔部5の内側から外側へと導けば、これら終線部10b、11bがワイヤ曲げ治具35の凸部35a,35bと鍔部5との間に引っ掛けられ、横方向に折り曲げられる。すなわち、終線部10bの接続部10b1と配線部10b2との間で角度変化が生じ、終線部11bの接続部11b1と配線部11b2との間で角度変化が生じる。そのため、ワイヤ10、11の終線部10b、11bがそれぞれ電位の異なる電極7b、7cを迂回して折れ曲がり、これら電極7b、7cと終線部10b、11bとの距離δ1、δ2(図7参照)を確保できる。その結果、ショートの発生リスクを低減できる。
この実施例では、ワイヤ曲げ治具35は、電極7a〜7cの間の空白部上に当接する2つの凸部35a、35bと、それらを連結する連結部35cとを備えた平面視略U字形状とされている。特に、連結部35cの上面は凸部35a,35bの上面よりも低く(望ましくは電極7bの上面と同一高さ又はそれより低く)形成されているのがよい。この連結部35cの上面に沿ってワイヤ11の終線部11bを通すことで、終線部11bが電極7bから浮き上がるのを抑制できる。そのため、上方からヒータチップが降下して終線部11bを電極7bに接続する際、終線部11bを無理に屈曲させずに接続することができる。
図10は、ワイヤ曲げ治具の種々の変形例を示す。図10の(a)は2ラインコモンモードチョークコイルに適用可能なワイヤ曲げ治具36の例であり、その先端部下面に切り欠き部36aを形成したものである。切り欠き部36aによってワイヤを安定して引っ掛かりやすくなり、ワイヤの折り曲げを容易に行うことができる。図10の(b)は、3ラインコモンモードチョークコイルに適用可能なワイヤ曲げ治具37の例であり、凸部37a,37bの先端部下面にC面(カット面)37dを形成したものである。このC面37dでワイヤをガイドすることで、ワイヤを安定して折り曲げることができる。なお、切り欠き部やC面を有するワイヤ曲げ治具は、2ラインコモンモードチョークコイル、3ラインコモンモードチョークコイルのほか、後述するパルストランスなどにも適用できる。
−巻線型コイル部品の第3実施例−
図11は、コイル部品の第3実施例である3ラインコモンモードチョークコイルの他の例1Bを示す。図7の実施例では、電極6a〜6c、7a〜7cが鍔部4、5の外側面から内側面まで連続的に形成されていたが、この実施例では、電極6a〜6c、7a〜7cは鍔部4、5の内側面の直前で終端となり、電極6a〜6c、7a〜7cより巻芯部側に電極のないスペーサ部4c、5cが形成されている。そのため、ワイヤ10、11の終線部10b、11bの折り曲げポイントP1,P2がスペーサ部5cの長さ分だけ電極から離れ、その結果、ワイヤ10の終線部10bと電極7bとの距離δ1、及びワイヤ11の終線部11bと電極7cとの距離δ2を拡大でき、ショートの発生リスクを一層低減できる。
図12は、図11の変形例を示す。図12では、ワイヤ10、11の終線部10b、11bの折り曲げポイントP1、P2を、電極間の空白範囲d内の任意の位置に変更したものである。折り曲げポイントP1,P2がX軸方向に変化しても、スペーサ部5cによって終線部10bと電極7bとの距離δ1、及び終線部11bと電極7cとの距離δ2を確保できるので、ショートの発生リスクを低減できる。
−巻線型コイル部品の第4実施例−
図13は、3ラインコモンモードチョークコイルの他の例1Cを示す。この実施例のコア形状及び電極形状は図11、図12に示すコイル部品と同様である。図8、図9の実施例では、コア2の他端側鍔部5に形成された電極7a〜7cの間の2つの空白部上に当接する2つの凸部35a、35bを持つワイヤ曲げ治具35を使用したが、この実施例では、2つの空白部のうち巻き終わり位置3bから遠い位置にある空白部にのみ当接する1つの凸部を持つワイヤ曲げ治具38を使用する。この場合には、ワイヤ10の終線部10bだけがワイヤ曲げ治具38によって横方向に折り曲げられるため、ワイヤ10の終線部10bと電位の異なる電極7bとの距離δ1を確保できる。
図8、図9に示すような二股状のワイヤ曲げ治具35を使用した場合、3本のワイヤ10〜12を引き回してその内の2本をワイヤ曲げ治具35に引っ掛けるために、ワイヤノズルの動きが複雑になり、タクトタイムが長くなるという可能性がある。これに対し、図13のようなワイヤ曲げ治具38を鍔部5上に当接させる場合には、1本のワイヤ10だけをワイヤ曲げ治具38と鍔部5との間に引っ掛ければよいので、ワイヤノズルの動きが簡易化され、タクトタイムを短縮できるという利点がある。
図13の実施例では、ワイヤ11の終線部11bが巻芯部3の巻き終わり位置3bから直線的(横方向に折り曲げられず)に引き出されて電極7bに接続されるため、終線部11bが隣の電極7cと近接する可能性がある。しかし、コア2の鍔部4、5の内側部(巻芯部側の側部)に電極を持たないスペーサ部4c,5cを有するので、終線部11bを折り曲げなくても、終線部11bと電極7cとの距離δ2を確保しやすく、ショートの発生を予防できる。なお、一本のワイヤ10のみを折り曲げるこの巻線方法は、鍔部4、5の内側部にスペーサ部4c,5cを有しないコアでも適用可能であるが、ワイヤ11の終線部11bを横方向に折り曲げなくても電極7cに接触しないような形状のコアに適用するのが望ましい。
−巻線型コイル部品の第5実施例−
図14は、3ラインコモンモードチョークコイルのさらに他の例1Dを示す。この実施例は、鍔部4、5と巻芯部3との間に、巻芯部3より広幅でかつ同じ厚みのスペーサ部4d,5dを形成したものである。スペーサ部4dによって巻芯部3の巻き始め位置3aを電極6a〜6cからY軸方向に離間させることができ、始線部11a、12aと電位の異なる電極6a、6bとのショートを抑制できる。同様に、スペーサ部5dによって巻芯部3の巻き終わり位置3bを電極7a〜7cからY軸方向に離間させることができるので、終線部10b、11bと電位の異なる電極7b、7cとのショートを抑制できる。図14では、2本のワイヤ10、11の終線部10b、11bを横方向に折り曲げたが、図13と同様に、中央のワイヤ11の終線部11bを横方向に折り曲げずに電極7bと接続してもよい。なお、図14では、鍔部4、5の平坦面4a,5a上にのみ電極6a〜6c、7a〜7cを設けた例を示したが、鍔部4、5の側面の一部にも電極を設けてもよいことは勿論である。
−巻線型コイル部品の第6実施例−
図15は、3ラインコモンモードチョークコイルのさらに他の例1Eを示す。この実施例では、鍔部4、5と巻芯部3との間に、電極6a〜6c、7a〜7cが形成された鍔部4、5の平坦面4a,5aから巻芯部3の上面に向かって傾斜したスペーサ部4e、5eを形成したものである。スペーサ部4dによって巻芯部3の巻き始め位置3aを電極6a〜6cからY軸方向に離間させることができ、始線部11a、12aと電位の異なる電極6a、6bとのショートの発生リスクを低減できる。同様に、スペーサ部5dによって巻芯部3の巻き終わり位置3bを電極7a〜7cからY軸方向に離間させることができるので、終線部10b、11bと電位の異なる電極7b、7cとのショートの発生リスクを低減できる。図15では、2本のワイヤ10、11の終線部10b、11bを横方向に折り曲げたが、図13と同様に、中央のワイヤ11の終線部11bを横方向に折り曲げずに電極7bと接続してもよい。また、図15では鍔部4、5の平坦面にのみ電極6a〜6c、7a〜7cを設けたが、スペーサ部4e,5eの一部にも電極を設けてもよいことは勿論である。
−巻線型コイル部品の第7実施例−
図16は本発明をパルストランスに適用した例を示す。図16の(a)は平面図、(b)は側面図である。このパルストランス1Fは、コア2の一端側鍔部4の平坦面に4個の電極6a〜6dを有し、他端側鍔部5の平坦面に4個の電極7a〜7dを有している。中央の2つの電極6b,6cの間、及び電極7b,7cの間に、それぞれ電極のない幅広な空白部が形成されている。まず最初に、2本のワイヤ10、11の始線部10a,11aが電極6b,6dにコア軸線方向に接続され、ワイヤ10、11が巻芯部3に例えば反時計周り方向に巻回される。巻回終了後、鍔部5の電極7b,7c間のスペース上にワイヤ曲げ治具39が当接され、ワイヤ10の終線部10bが電極7aにコア軸線方向に接続されると共に、ワイヤ11の終線部11bがワイヤ曲げ治具39と鍔部5の上面との間で横方向に折り曲げられ、電極7cに斜め方向に接続される。
次に、別の2本のワイヤ12、13の始線部12a,13aが電極6a,6cにコア軸線方向に接続され、ワイヤ12、13が巻芯部3にワイヤ10、11とは反対方向(例えば時計周り方向)に巻回される。巻回終了後、鍔部5の電極7b,7c間の空白部上にワイヤ曲げ治具39が当接され、ワイヤ13の終線部13bが電極7dにコア軸線方向に接続されると共に、ワイヤ12の終線部12bがワイヤ曲げ治具39と鍔部5の上面との間で横方向に折り曲げられ、電極7bに斜め方向に接続される。
このように4本のワイヤを巻線するパルストランス1Fにおいては、共通するワイヤ曲げ治具39によって、2本のワイヤ11、12の折り曲げを行うことが可能である。この場合も、ワイヤ曲げ治具39によってワイヤ11、12に無理な負荷をかけずに折り曲げることができるので、これらワイヤ11、12と異なる電位の電極(例えば7b,7c)とのショートの発生リスクを低減できる。
−巻線型コイル部品の第7実施例−
図17は、鍔部4、5の幅寸法と巻芯部3の幅寸法とがほぼ同じコア2を用いた2ラインコモンモードチョークコイル1Gの例を示す。図1と同一又は対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この場合には、ワイヤ10、11の始線部10a、11aは図1と同様に電極6a、6bに対してコア軸線方向に接続されるが、ワイヤ10、11の終線部10b,11bは共に電極7a,7bにコア軸線方向に対して斜め方向に接続されている。ワイヤ10の終線部10bが電極7aに対して斜め方向に接続される理由は、上述の実施例と同様にワイヤ曲げ治具による折り曲げに起因するものであるが、ワイヤ11の終線部11bが電極7bに対して斜め方向に接続される理由は、巻芯部3の巻き終わり位置3bと電極7bの中心とが、幅方向(X方向)にオフセットしているからである。
図18は、ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置の他の例を示す。この作動装置50では、シリンダ51が固定部52に斜め方向に固定され、シリンダ51に前後移動可能に設けられたロッド53の先端にワイヤ曲げ治具54が固定されている。シリンダ51を作動させることにより、ワイヤ曲げ治具54が鍔部5の上面に当接した位置と、上方へ退避した位置との間で前後移動可能とすることができる。
図19は、ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置のさらに他の例を示す。この作動装置60では、モータ61が固定部62に固定され、モータ61に回転可能に取り付けられたレバー63の先端にワイヤ曲げ治具64が角度変化可能に取り付けられている。モータ61を作動させることにより、ワイヤ曲げ治具64が鍔部5の上面に当接した位置と、後方へ退避した位置との間で回動となっている。この実施例では、ワイヤ曲げ治具64が角度変化可能であるから、鍔部5の上面に密着させることができる。
図20は、ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置の別の例を示す。この作動装置70では、シリンダ71が固定部72に水平方向に固定され、シリンダ71に前後移動可能に設けられたロッド73の先端にワイヤ曲げ治具74が軸75を支点として回動可能に取り付けられている。ワイヤ曲げ治具74の前面上部には、鍔部5の上面に当接する爪部74aが形成されている。ロッド73とワイヤ曲げ治具74との間には引張りスプリング76が設けられ、ワイヤ曲げ治具74を常時左回り方向(爪部74aがコア2から離れる方向)に付勢している。
図20の(a)はワイヤ曲げ治具74の後退状態を示し、ワイヤ曲げ治具74がコア2から離れており、ワイヤ曲げ治具74はスプリング76のばね力により軸75を中心として左回り方向に回転した位置にある。図20の(b)は、シリンダ71によりワイヤ曲げ治具74を前進させて、ワイヤ曲げ治具74の下端部をコア2の側面に当接させた状態を示す。図20の(c)は、ワイヤ曲げ治具74をさらに前進させた状態を示す。ワイヤ曲げ治具74を押すと、その下端部がコア2の側面に当接することで、ワイヤ曲げ治具74には軸75を中心として右回り方向のモーメントが作用し、スプリング76に抗してワイヤ曲げ治具74を右回り方向に回転させる。これにより、ワイヤ曲げ治具74の爪部74aをコア2の鍔部5の上面に当接させることができる。シリンダ71を後退させれば、図20の(a)の状態に復帰する。
図18〜20に示す作動装置は、2ラインコモンモードチョークコイル、3ラインコモンモードチョークコイル、さらにはパルストランスなど種々のコイル部品にも適用できる。
上記実施例の巻線装置では、コア2の一端側鍔部がスピンドルチャック21によってチャックされ、他端側鍔部はチャックされない例を示したが、支持台30に他端側鍔部をチャックするチャック機構を設け、支持台30がスピンドルチャック21に対して従動回転又は一体回転するように構成してもよい。その場合、ワイヤ曲げ治具及びその作動装置を支持台30に設けてもよいし、別の固定部に設けてもよい。ワイヤ曲げ治具を従動回転又は一体回転する支持台に設けた場合には、ワイヤ曲げ治具を他端側鍔部上に当接させるステップは、ワイヤの始線部を電極上へ固定するステップの前、又は巻芯部にワイヤを巻回するステップの前であってもよい。
本発明の複数の実施例を図面を参照しながら説明したが、ある実施例の構成要素は他の実施例にも適用可能であり、複数の実施例の特徴を組み合わせることも可能である。例えば、2ラインコモンモードチョークコイルに使用されたワイヤ曲げ治具及びその作動装置は、3ラインコモンモードチョークコイルやパルストランスにも適用可能であり、3ラインコモンモードチョークコイルに設けられたスペーサ部は2ラインコモンモードチョークコイルやパルストランスにも適用可能である。
1、1A〜1F コイル部品
2 コア
3 巻芯部
4、5 鍔部
4a,5a 平坦面
4c,4d,4e、5c,5d,5e スペーサ部
6a〜6c,7a〜7c 電極
10、11、12 ワイヤ
10a、11a、12a 始線部
11a1、12a1 接続部
11a2、12a2 配線部
10b、11b、12b 終線部
10b1、11b1 接続部
10b2、11b2 配線部
20 巻線装置
21 スピンドルチャック
24 サーボモータ
27 バックアップ治具
30 支持台
33 ワイヤ曲げ治具作動装置
34、35、36、37、38、39 ワイヤ曲げ治具
40、41 ノズル

Claims (7)

  1. コアの巻芯部に複数のワイヤを巻回してコイル部品を形成する多線巻線方法であって、前記コアの軸方向一端側と他端側にそれぞれ鍔部を有し、各鍔部の実装面側に平坦面を有し、その平坦面にそれぞれワイヤと接続される複数の電極が間隔をあけて形成された、多線巻線方法において、
    前記複数のワイヤの始線部を前記コアの一端側鍔部の外側から内側へと導き、それぞれのワイヤの始線部を一端側鍔部の電極上へ接続するステップと、
    前記複数のワイヤを前記コアの軸方向に対して横方向へ導き、前記巻芯部に前記複数のワイヤを一緒に巻回するステップと、
    ワイヤ曲げ治具を前記コアの他端側鍔部の平坦面上でかつ前記複数の電極の間に当接させるステップであって、前記ワイヤ曲げ治具の先端を前記他端側鍔部の内側面と同一位置又はそれよりも巻芯部側に突出させるステップと、
    前記複数のワイヤの終線部を前記コアの他端側鍔部の内側から外側へと導くとともに、前記ワイヤ曲げ治具と前記他端側鍔部との間で前記複数のワイヤのうちの少なくとも1本の終線部を折り曲げるステップと、
    前記複数のワイヤの終線部を対応する他端側鍔部の電極上へ接続するステップと、を備えた多線巻線方法。
  2. 前記ワイヤ曲げ治具の作動方向が前記他端側鍔部に対して上下方向であることを特徴とする、請求項1に記載の多線巻線方法。
  3. コアの巻芯部に複数のワイヤを巻回してコイル部品を形成する多線巻線装置であって、前記コアの軸方向一端側と他端側にそれぞれ鍔部を有し、各鍔部の実装面側に平坦面を有し、その平坦面にそれぞれワイヤと接続される複数の電極が間隔をあけて形成された、多線巻線装置において、
    前記ワイヤをそれぞれ供給する複数のノズルと、
    前記複数のノズルを移動させる移動機構と、
    前記コアをその軸心周りに回転させる回転機構と、
    前記ワイヤを前記電極に接続する接合手段と、
    前記コアの他端側鍔部の平坦面上でかつ前記複数の電極の間に当接するワイヤ曲げ治具と、
    前記ワイヤ曲げ治具を作動させる作動装置と、を備え、
    前記ノズルにより前記複数のワイヤの始線部を前記コアの一端側鍔部の外側から内側へと導き、それぞれのワイヤを一端側鍔部の電極上へ配置して前記接合手段により接続し、前記複数のワイヤを前記コアの軸方向に対して横方向へ導くと共に、前記コアを回転させて前記巻芯部に前記複数のワイヤを一緒に巻回し、前記ワイヤ曲げ治具を、その先端が前記コアの他端側鍔部の内側面と同一位置又はそれよりも巻芯部側に突出するように他端側鍔部の平坦面上に当接させ、前記ノズルにより前記複数のワイヤの終線部を前記コアの他端側鍔部の内側から外側へと導くとともに、前記ワイヤ曲げ治具と前記他端側鍔部との間で前記複数のワイヤのうちの1本を除く他の少なくとも1本の終線部を折り曲げ、前記複数のワイヤの終線部を対応する他端側鍔部の電極上へ配置して前記接合手段により接続する、ことを特徴とする多線巻線装置。
  4. 前記ワイヤ曲げ治具の作動方向が前記他端側鍔部に対して上下方向であることを特徴とする、請求項3に記載の多線巻線装置。
  5. 前記コアの一端側及び他端側の鍔部にはそれぞれ3個の電極が形成され、
    前記ワイヤ曲げ治具には他端側鍔部の電極間の部分にそれぞれ当接する2本の凸部が設けられ、
    前記凸部と他端側鍔部との間で3本のワイヤのうちの2本のワイヤを折り曲げる、請求項3又は4に記載の多線巻線装置。
  6. 前記コアの一端側及び他端側の鍔部にはそれぞれ3個の電極が形成され、
    前記ワイヤ曲げ治具には他端側鍔部の平坦面上で、前記巻芯部の巻き終わり位置から最も遠い位置にある電極とその隣の電極との間の部分にのみ当接する1本の凸部が設けられ、
    前記凸部と他端側鍔部との間で3本のワイヤのうちの1本のワイヤを折り曲げる、請求項3又は4に記載の多線巻線装置。
  7. 前記回転機構は、前記コアの一端側鍔部をチャックして回転させるよう構成され、
    前記ワイヤ曲げ治具は、前記回転機構とは別の固定部に設けられていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の多線巻線装置。
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