JP6427991B2 - 圧粉磁心 - Google Patents

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本発明は、非晶質の軟磁性粉体を加圧成形した圧粉磁心に関する。
鉄を主たる構成元素とする非晶質軟磁性合金は、鉄−シリコン合金よりもヒステリシス損失が小さく、センダストに代表される鉄−シリコン−アルミニウム合金よりも飽和磁束密度が高い特徴を持つことから、1k〜100kHzの周波数域における電源用磁気コアとしての用途が拡大している。軟磁性合金の粉体をバインダ材等と混合した後に成形して作られる圧粉磁心は、粉体同士の境界面が磁気ギャップとなり外部磁界に対する磁気抵抗を示す。このため圧粉磁心は軟磁性薄板材を積層したコアに比べて、外部磁界の変化に対する透磁率の変化が小さい、即ち直流重畳特性に優れる特徴を有する。一般的に圧粉磁心の直流重畳特性を高めるには、コア内部に含まれる軟磁性粉体の相対密度を増加することが有効である。鉄を主体とする非晶質軟磁性合金の場合も、粉体試料を高密度に加圧成形する技術が精力的に検討されている。
鉄を主体とする圧粉磁心の相対密度の増加には、結着性を高めるためのバインダ材の含有量を低下する、成形圧力を増加する、粉体粒度を調整する、等の手法が提案されている。ここで粉体粒度の相対密度への影響について考えると、比較的粗大な粉体と微細な粉体を混合して加圧成形することで、圧粉磁心の相対密度を増加させるアイデアが、特許文献1〜3に記載されている。粗大粉体と微細粉体の混合により、粉体の粒度分布は2つの山を有する構成となり、粗大粉体の隙間を微細粉体が充填することにより、単一の山で構成される分布と比べて相対密度が増加すると考えられる。一方で圧粉磁心の直流重畳特性には、相対密度の増加以外に、粉体の形状に由来する磁気的異方性も影響すると考えられている。
特開平5-299232号公報 特開2004-349585公報 特開2009-54615号公報
しかしながら、圧粉磁心における相対密度増加と粉体形状の効果の両方の特性について、体系的な検討・考察を加えて、直流重畳特性の改善方法を見出した例はない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、直流重畳特性を顕著に改善することができる圧粉磁心を提供することである。
本発明は、非晶質軟磁性粉体の粒径分布を制御することによる相対密度の増加と、粉体の形状制御による磁気異方性効果の両方の特性について、体系的に検討することで圧粉磁心の直流重畳特性を改善する技術を提案する。
上記課題を解決する本発明の圧粉磁心は、平均粒径が50μm以上120μm以下でかつアスペクト比が1以上6以下の非晶質軟磁性粉体である粗大粉体と、平均粒径が1μm以上30μm以下でかつアスペクト比が4以上15以下の非晶質軟磁性粉体である微細粉体とを混合した混合粉体で構成されることを特徴とするものである。
本発明によれば、粗大粉体同士の隙間をアスペクト比の大きな微細粉体により緻密に充填することで、反磁界の効果を利用して直流重畳特性を顕著に改善することができる。したがって、直流重畳特性に優れた非晶質の圧粉磁心を得ることが可能となる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
相対密度が低い圧粉磁心における粉体分布の模式図。 相対密度が高い圧粉磁心における粉体分布の模式図。 反磁界係数とアスペクト比の関係を示すグラフ。 機械的粉砕により得られた非晶質粉体のSEM像。 比較例と実施例の初磁化曲線。
圧粉磁心で重要になる磁気特性として、外部からのバイアス磁界を加えた場合に透磁率が安定して高い値を示すことが挙げられる。軟磁性コアの透磁率は、外部磁界が無い場合(ゼロバイアス時)に最も高く(初透磁率)、外部磁界が強まるにつれて透磁率は徐々に減少することが知られている。外部磁界を加えた際の圧粉磁心の透磁率の低下は、軟磁性粉体の種類、軟磁性粉体の相対密度、粉体粒子間の磁気抵抗の大きさ、等により様々に変化する。これらの圧粉磁心の構造を調整することで、大きな外部磁界を加えた場合の透磁率を出来るだけ高く保つことが、圧粉磁心に求められている重要な特性である。
本発明の圧粉磁心の特徴は、粗大粉体同士の隙間をアスペクト比が4以上の扁平な微細粉体で緻密に充填することであり、反磁界の効果を利用して直流重畳特性を改善することができる。
扁平または針状の軟磁性粒子は、粉体内部に形成される反磁界の大きさが方向により異なる。粒子の長手方向に対して平行方向の反磁界は非常に小さく、反磁界係数は0に近い値を取るが、長手方向に対して垂直方向の反磁界は非常に大きく、反磁界係数は1に近い値を取る。一方で軟磁性粒子が球状である場合は、反磁界は等方的となり、粒子の全ての方向で反磁界係数は1/3となる。外部磁界に対して、扁平または針状の軟磁性粒子を長手方向が平行になるように配置した場合、発生する反磁界は非常に小さいが、粒子の長手方向を外部磁界に垂直に配置した場合は、反磁界による外部磁界への抵抗が高まる。
圧粉磁心の相対密度が低い場合は、粗大粉体の隙間の間隔が広がるため、隙間を充填する扁平または針状の微細粉体の長手方向は基本的にはランダムな方向で分布する。図1に相対密度が低い圧粉磁心の断面における粉体分布の模式図を示す。図1の上下方向が成形時に加重が付加される方向に対応する。
一方で圧粉磁心の相対密度が増加した場合は、粗大粉体の隙間が狭まることで微細粉体の長手方向は粗大粉体の表面に対して平行に配置する傾向が高まる。図2に相対密度が高い圧粉磁心の断面における粉体分布の模式図を示す。図2の上下方向が成形時に加重が付加される方向に対応する。なお、本発明における「相対密度」は「圧粉磁心全体に占める非晶質合金粉体の割合(体積比)」を指す。非晶質合金粉体は、粗大粉体と微細粉体の和である。
外部磁界方向に対して粗大粉体表面が垂直な部分では、異なる粗大粉体の隙間を充填する微細粉体の長手方向は、外部磁界に対して垂直に配置される。結果として粗大粉体の隙間における反磁界の効果が高まることで、圧粉磁心の磁気飽和が抑制され、直流重畳特性は改善される。
微細粉体のアスペクト比が4以上になると、反磁界による磁気飽和の抑制効果が高まる。微細粉体の形状を円盤状の扁平楕円体と仮定すると、円盤の面に垂直な方向の反磁界係数とアスペクト比の関係は、Bozorth(Ferromagnetism、Nostrand、Princeton、 1951)のデータより、図3のグラフとして与えられる。図3ではアスペクト比が4に達すると、反磁界係数は0.7まで増加し、アスペクト比が4を超えると反磁界係数の増加は若干緩やかとなる。従って、微細粉体のアスペクト比は4以上が好ましい。一方で粗大粉体の形状に関してはアスペクト比の規定は特に必要は無い。
非晶質な粗大粉体と微細粉体の製造方法についての制約は特に無い。粗大粉体の製造方法としては、高速回転ロールによる溶湯急冷法を用いて非晶質箔体を得た後に、振動ミル、ボールミル、ディスクミル等の機械的粉砕方法により粉体化することが可能である。また、冷却速度の高い水アトマイズ法によって得られた粉体を、篩分けする手法により得ることも出来る。
アスペクト比が4以上の扁平な微細粉体を得る方法としては、例えば非晶質箔体を機械的プロセスで粉砕する際に、粉砕条件を工夫することで、切削片として扁平な微小粉体が粗大粉体と同時に得られる。粉砕加工後の粉体をメッシュによる篩い分けを行うか、あるいはサイクロン分級機等により粗大粉と微細切削粉に分離することで、扁平な微細粉体を得ることが可能である。扁平な微細粉体のアスペクト比は4以上であることが好ましいが、機械的な粉砕を用いるプロセスではアスペクト比が15を超える粉体を得ることは、工業的に困難である。このため、扁平な微細粉体のアスペクト比は、4以上15以下の範囲にあることが好ましい。
粗大粉体のアスペクト比は製造プロセスにより異なるが、水アトマイズで製造される場合は1.0以上2.5以下、非晶質箔体を機械的に粉砕する場合には1.0以上6.0以下の範囲にアスペクト比はあることが好ましい。
粗大粉体の粒子径は質量比で90%以上が40μm以上150μm以下の範囲に分布し、平均粒径(D50)は50μm以上120μm以下の範囲にあることが好ましい。粗大粉体が40μm未満の粒子を10%以上含む場合は、別途調整して混合する扁平な微細粉体の効果を阻害して、直流重畳特性の低下につながることから好ましくない。また150μmを超える粒子を10%以上含む場合は、成形性の低下による相対密度の低下と直流重畳特性の低下が生じることから好ましくない。粗大粉体の平均粒子径は、メッシュを用いた篩い分け法により粒度分布を評価する、あるいは、光学顕微鏡、電子顕微鏡により個々の粉体の寸法を直接観察することで、求めることが出来る。顕微鏡による観察時には、観察される個々の粉体の最大長さを粒子径として評価する。
アスペクト比が4以上の扁平な微細粉体の平均粒径(D50)は30μm以下、好ましくは20μm以下であることが好ましい。粒子径が30μmを上回ると粗大粉体間の隙間の充填が不十分となり、磁束密度の低下、直流重畳特性の低下が生じることから好ましくない。一方で平均粒径が1μm未満のアスペクト比が4以上の扁平粉末は、製造が工業的に困難であることから、扁平な微細粉体の平均粒径は、1μm以上であることが好ましい。微細粉体の平均粒子径の評価は、篩い分け法ではメッシュの目詰まりが生じる課題があることから、光学顕微鏡、電子顕微鏡により個々の粉体の寸法を直接観察することが好ましい。顕微鏡による観察時には、観察される個々の粉体の最大長さを粒子径として評価する。
扁平な微細粉体のアスペクト比を求める方法としては、厳密には個々の微細粉体の3次元形状を得た後に評価する必要がある。しかしながら、この方法は多数の微粉体に対して適用することは困難であることから、本発明では簡便な評価法として、粉体1g以上を樹脂に埋め込み、研磨を行って粉体断面を光学顕微鏡で観察して、粉体断面形状からアスペクト比を評価した。光学顕微鏡組織の個々の粉体断面において、粉体の最大長さと最小長さを測定し、最大長さを最小長さで割った値を個々の粉体のアスペクト比とした。埋め込み試料における観察領域を500μm×500μm以上の面積として、200個以上の個々の粉体についてのアスペクト比を測定し、その平均値を粉体のアスペクト比として採用した。
圧粉磁心の原料となる非晶質軟磁性合金の化学組成は、Feを主体としB、Siを必須元素として含むことが好ましい。他の元素として質量比で5%以下のCr、Mn、Cを含む場合もあり、製造工程で混入する不可避不純物も含まれる。
非晶質の粗大粉体と扁平な微細粉体を所定の比率で混合した後に、金型等を用いて加圧成形を行って軟磁性コアを得る。加圧成形の実施前には、非晶質軟磁性混合粉体に結着性を高めるためのバインダ材、金型との摩擦を低減するための潤滑剤等を必要に応じて添加することで、高密度かつ強度等の機械的性質に優れた圧粉磁心が得られる。バインダ、潤滑剤等を添加する前の非晶質混合粉体において、扁平な微細粉体が占める割合は、質量比で3〜50%の範囲とすることが好ましい。扁平な微細粉体の添加量が3%未満の場合は、粗大粉体境界における充填の不足、境界部の反磁界効果の不足から直流重畳特性が改善されないため好ましくない。扁平な微細粉体の添加量が50%を超える場合は、圧粉磁心の相対密度が低下することで直流重畳特性が低下するため好ましくない。
成形時の金型温度は室温でも可能であるが、金型をヒータにより100℃以上に加熱してバインダや潤滑剤を軟化させた条件で成形することで、相対密度をより増加することも可能である。金型を加熱して成形する際には、バインダ、潤滑剤の高温での軟化、気化等の変化を考慮した成形条件の適切な設定が必要である。300℃を超える高温まで金型を加熱保持して成形する場合は、非晶質粉体自体に軟化による塑性変形が生じて、粉体間の隙間がより緻密に充填されて相対密度は増加する。300℃を超える高温での成形には、バインダ材の気化による消失を防ぐために、耐熱性の高いバインダ材を選ぶ必要がある。
成形後の圧粉磁心は、歪み除去を目的とした熱処理により、ヒステリシス損失を低減する。熱処理温度は一般に非晶質合金の結晶化が生じる温度よりも低温とし、その一方で出来るだけ高温で実施することが好ましい。金型を加熱して成形を行う場合には、熱処理温度は金型温度よりも高温で実施することが好ましい。熱処理後の圧粉磁心の相対密度は80%以上であることが、飽和磁束密度を高めると共にゼロバイアス時の透磁率を80以上と高く出来ることから好ましい。圧粉磁心の相対密度が80%未満の場合は、飽和磁束密度が低下すると共に、ゼロバイアス時の透磁率が80未満に低下することから好ましくない。
本発明の圧粉磁心によれば、粗大粉体同士の隙間をアスペクト比が大きな微細粉体で緻密に充填することで、粗大粉体の隙間の磁気抵抗を高めることができ、従来の圧粉磁心に比べて直流重畳特性を顕著に改善することができる。
以下、実施例を通じて本発明の効果について説明する。
(実施例1)
非晶質軟磁性合金の試作では、Fe、B、Siを原料として質量比92Fe-5.5Si-2.5Bで配合し、真空溶解後に高速回転する銅製ロール表面に溶湯を落下、急冷して厚みが25μmの箔体合金を得た。続いて箔体合金を高エネルギーミルにより粉砕して粉体化した。粉砕粉の形態をSEM観察した一例を図4に示す。
サイズが50μmを超える粗大な破砕粉の表面や周囲に、微細な切断片と推測される板状の扁平粒子が確認される。粉砕粉を溶液中で処理することで粗大な破砕粉体と扁平な微細粉体を分離して、乾燥後にメッシュによる篩分けをそれぞれに対して行い、平均粒径D50=63μmで粒径が40μmから120μmの範囲で分布する非晶質な粗大粉体と、平均粒径D50=12μmで粒径が25μm以下の範囲にある非晶質で扁平な微細粉体を得た。扁平な微細粉体について、樹脂埋め込みと断面研磨を実施して光顕観察を行った結果、断面のアスペクト比は平均で6.8であることを確認した。粗大粉体のアスペクト比は4.2であった。
上記の非晶質の粗大粉体と扁平微細粉体を質量比9:1、8:2、7:3でそれぞれ混合し、これらの非晶質混合粉体に対して、バインダ材のPEEK樹脂を体積比9:1で混合し、400℃付近に加熱しながら撹拌することで、非晶質金属粉体と樹脂との複合粉体を得た。これらの複合粉体1.6gをホットプレスを用いて400℃、1600MPaで成形を行い、外径13mm、内径8mmのリング形状の成形体(コア)を得た。リングコアは窒素雰囲気の400℃以上で1h(1時間)の熱処理を行い歪低減を行った後、銅線によりトロイダル巻線を行って交流B-H測定機による体積あたりの損失Pc(kW/m3、0.1T、10kHz)、及びLCRメータによる10kA/mのバイアス磁界を加えた場合の増分透磁率を評価した。
表1に、圧粉磁心の相対密度、体積あたりの損失、増分透磁率の測定結果を示す。No.2〜8が本発明材、No.1及び9〜11が比較材である。バイアス磁界を加えない場合(ゼロバイアス時)の透磁率は、表1の全てのサンプルで80〜160以下の範囲の値を示した。
Figure 0006427991
表1のNo.1〜4には、PEEKバインダを添加する前の非晶質混合粉体において、微細扁平粉体の添加量が0、10、20、30質量%の場合の、圧粉磁心の相対密度、体積あたりの損失、増分透磁率の測定結果をそれぞれ示す。
微細扁平粉体を含まないNo.1(比較材)の相対密度は83.5%であり、微細粉体を含むNo.2、3、4(本発明材)では相対密度は1〜3%増加する。No.2、3、4では微細粉体が粗大粉体の隙間を充填することで、相対密度が増加したと考えられる。体積あたりの損失の値は、No.1とNo.2、3、4の間には顕著な違いは見られないが、10kA/m磁界印加時の増分透磁率の値は、No.1に比べてNo.2、3、4の方が6〜8程度大きな結果となった。本発明のNo.2、3、4は扁平な微細粉体を粗大粉体に添加することで、損失増加を伴うことなく増分透磁率を増加できることが示された。
次に、箔体合金を高エネルギーミルにより粉砕する際のプロセス条件を調整し、箔体表面から扁平形状の破片を連続的に剥離させることで、平均粒径D50=10μmで粒径が25μm以下であり、断面のアスペクト比が平均で4.8の微細な扁平状粒子を作製した。表1のNo.5〜7で4.8の微細な扁平粉体を粗大粉体中に10、20、30質量%だけ添加した場合の、圧粉磁心の評価結果を示す。
No.5〜7の試料はそれぞれ、No.2〜4と同量の扁平微細粉体を添加している。No.5〜7の相対密度と損失値は、No.2〜4とほぼ同等であり、増分透磁率の値は僅かに低い程度の値を示す。この結果から、アスペクト比が4.8の微細粉体を粗大粉体に加えた場合も、No.1の粗大粉体のみの試料よりも直流重畳特性が改善されることが示された。
表1の本発明材No.8では、アスペクト比が4.8の微細粉体を、粗大非晶質粉体と同量の50質量%添加した結果を示す。No.8の相対密度は、82.3%と表1の中で最も低く、増分透磁率も33.8と他の本発明材No.2〜7よりも低い結果となった。No.8は、微細粉体量が過剰となったことで、他の本発明材よりも相対密度及び磁束密度が低減し、増分透磁率の低下につながったと推測される。
前述の急冷により作製した箔体と同じ化学組成の素材を、水アトマイズプロセスを用いて微細粉化して、篩分けすることで、平均粒径D50=9μmで粒径が20μm以下の範囲にある微細な非晶質粉体を得た。本粉体を樹脂埋め込み、断面研磨して光顕観察した結果では、形状はアスペクト比が1.3の球状に近いことを確認した。このアスペクト比が1.3の微細な非晶質粒子を、No.1の粗大非晶質粉体に10、20、30 質量%添加した場合の圧粉磁心の評価結果を表1のNo.9〜11に示す。No.9〜11の相対密度と損失値はNo.2〜7とほぼ同等であるが、増分透磁率の値30〜32と本発明材よりも低い結果となった。アスペクト比が小さな球状に近い粒子を粗大粉体間の充填に用いた場合は、相対密度の増加には寄与するものの、直流重畳特性の改善効果は小さいことがわかった。低アスペクト比の球状に近い微細粒子を添加する場合は、高アスペクト比の微細粒子に比べて、反磁界の効果が低下することで、増分透磁率の増加が抑制されたと推測される。
(実施例2)
実施例1で試作した厚みが25μmの非晶質箔体合金を素材として、高エネルギーミルにより粉砕する際のプロセス条件を調整することで、粒径が25μm以下であり、断面のアスペクト比が平均で8.9の微細な扁平状粒子を作製した。同じく実施例1で製造方法を記載した、平均粒径D50=63μmで粒径が40μmから120μmの範囲で分布する非晶質な粗大粉体中に、アスペクト比が平均で8.9の本微細粉末を20 質量%添加した後に、実施例1と同じ条件でホットプレス、熱処理を行ってリング状の圧粉磁心を得た。本試料を本発明材No.12とする。No.12の相対密度は86.2%であり、10kA/mのバイアス磁界を加えた場合の増分透磁率は39.7と最も高い値を示した。
表1におけるNo.1、No.3及びNo.12のリングコアの磁気測定から得られた磁化曲線を図5に示す。図5の縦軸には磁束密度:B(T)、横軸には磁界H(A/m)でグラフをプロットした。No.1は扁平な微細粉は無添加である、No.3及びNo.12は扁平な微細粉体を20質量%含むが、微細粉体のアスペクト比が異なっている。粗大粉体のみでコアを形成したNo.1に比べて、扁平な微細粉体を含むNo.3及びNo.12では高磁界側でのグラフの傾きが大きく、透磁率の低下が抑制されていることがわかる。また微細粉体のアスペクト比が大きいNo.12の方が、No.3よりも高磁界側の透磁率が大きいことから、微細粉体のアスペクト比の増加が増分透磁率の改善に有効であることが確認できた。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

Claims (3)

  1. 平均粒径が50μm以上120μm以下でかつアスペクト比が1以上6以下の非晶質軟磁性粉体である粗大粉体と、平均粒径が1μm以上30μm以下でかつアスペクト比が4以上15以下の非晶質軟磁性粉体である微細粉体とを混合した混合粉体で構成され、
    前記混合粉体中に占める前記微細粉体の割合が質量比で10質量%以上30質量%以下の範囲であり、
    前記非晶質軟磁性粉体の原料となる非晶質軟磁性合金は、Feを主体とし、B、Siを必須元素として含み、
    前記粗大粉体は箔体合金の粉砕粉である
    ことを特徴とする圧粉磁心。
  2. 圧粉磁心全体に占める非晶質合金粉体の割合が、体積比で84.3%以上であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記粗大粉体の粒子径は質量比で90%以上が40μm以上150μm以下の範囲に分布し、150μmを超える粒子が10%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉磁心。
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