JP6519418B2 - 軟磁性金属圧粉コア - Google Patents

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Description

本発明は電源回路などに用いられるリアクトルやインダクタに関し、特に軟磁性金属圧粉コアのインダクタンスの直流重畳特性の改善に関する。
大電流を印加する用途で使用されるリアクトルやインダクタ用の磁心材料として、フェライトコア、積層電磁鋼板、軟磁性金属圧粉コア(金型成形、射出成形、シート成形などで作られたコア)などが用いられる。積層電磁鋼板は飽和磁束密度が高いものの、電源回路の駆動周波数が数十kHzを超えるとコアロスが大きくなり、効率の低下を招くという問題があった。一方、フェライトコアは高周波損失の小さい磁心材料であるが、飽和磁束密度が低いことから、形状が大型化するという問題があった。それに対し、軟磁性金属圧粉コアは高周波のコアロスが積層電磁鋼板よりも小さく、飽和磁束密度がフェライトよりも大きいことから、広く用いられるようになっている。とはいえ、軟磁性金属圧粉コアのコアロスは十分に小さいとはいえず、低損失な軟磁性金属圧粉コアが求められている。
リアクトルやインダクタに印加される電流波形は直流成分に交流成分が重畳した波形となっており、直流成分が大きくなるとリアクトルやインダクタのインダクタンスが低下するのが一般的である。リアクトルやインダクタに要求される特性として、直流重畳下でもインダクタンスの低下が小さいことが求められており、それに用いる磁心材料に対しても直流重畳特性が良好なこと、すなわち、直流電流重畳下でもインダクタンスの低下、ひいては透磁率の低下が小さいことが求められる。
特許文献1では、軟磁性金属圧粉コアの飽和磁束密度と鉄損を改善する技術として、Fe−3Si合金粒子と純鉄粒子が圧密され、焼成されてなる複合軟磁性材料であり、複数のFe−3Si合金粒子相と、少なくとも3つ以上の前記Fe−3Si合金粒子相に囲まれた粒界に存在する複数の純鉄粒子相とを有し、前記Fe−3Si合金粒子相の平均粒径が100〜145μmであり、前記純鉄粒子相の圧粉磁心全量に対する含有率が、3質量%以上10質量%未満であることを特徴とする複合軟磁性材料が開示されている。
特許文献2では、軟磁性金属圧粉コアの飽和磁束密度と透磁率、鉄損を改善する技術として、絶縁処理された鉄粉末と2.5〜8質量%Si−残Fe合金粉末とバインダーが混合圧密され、焼成されてなり、前記鉄粉末と2.5〜8質量%Si−残Fe合金粉末が圧密され焼成された主相と、該主相の周囲に生成されたバインダーを主体とする粒界相とが具備されてなり、前記主相に占める2.5〜8質量%Si−残Fe合金の割合が10質量%以上、44質量%未満であり、磁場10kA/m時の飽和磁束密度1.1T以上、保磁力220A/m以下、鉄損(0.1T、10kHz時)20W/kg以下であることを特徴とする複合軟磁性材料を開示している。
特許文献3では、軟磁性金属圧粉コアの磁束密度と保磁力を改善する技術として、鉄粉末と、鉄およびケイ素を含むFe−Si粉末との混合物を、圧粉成形することにより得られることを特徴とする、磁性材料を開示している。Fe−Si系合金におけるFeおよびSiの含有量は、特に制限されないが、Fe−Si系合金100質量部に対して、Feが、例えば、85〜99質量部、好ましくは、93〜99質量部であり、Siが、例えば、1〜10質量部、好ましくは、1〜7質量部である。鉄粉末と、Fe−Si粉末との配合割合は、鉄粉末とFe−Si粉末との総量100質量部に対して、鉄粉末が、例えば、20〜80質量部、好ましくは、40〜80質量部、より好ましくは、40〜60質量部であり、Fe−Si粉末が、例えば、20〜80質量部、好ましくは、20〜60質量部、より好ましくは、40〜60質量部である。
特開2010−153638号公報 特開2010−185126号公報 特開2011−187634号公報
特許文献1〜3の技術では、Fe−Si合金粉末に純鉄粉末を混合することによって、圧粉コアの飽和磁束密度を高め、直流重畳特性を改善しようとしている。しかし、特許文献1〜3で好ましいとされている比率で純鉄粉末を混合しただけでは、圧粉コアの組成の均一性が損なわれるため、十分に良好な直流重畳特性を得ることはできない。
このように従来の技術では、軟磁性金属圧粉コアの飽和磁束密度を高めようとして、Fe−Si合金粉末にFe粉末を混合しても、圧粉コアの組成の均一性が損なわれてしまい、十分に良好な直流重畳特性が得られないという問題があった。したがって、より直流重畳特性に優れた軟磁性金属圧粉コアを実現する技術が求められている。
本発明では、上記の問題を解決するために案出されたものであって、軟磁性金属圧粉コアにおいて、優れた直流重畳特性を実現させることを課題とする。
本発明の軟磁性金属圧粉コアは、Fe−Si系軟磁性金属粉末および絶縁物から成ることを特徴とする圧粉コアであって、前記圧粉コアの任意の断面上において、前記軟磁性金属粉末を構成する80%以上の粒子の断面の円形度が0.75〜1.0であって、前記軟磁性金属粉末を構成する各粒子中央付近のSi濃度の変動係数が0.05以上、0.12以下であり、前記Si濃度の最大値と最小値の差が標準偏差の6倍以内であることを特徴とする。このようにすることで、直流重畳特性に優れた軟磁性金属圧粉コアとすることができる。
また、本発明の軟磁性金属圧粉コアは、前記絶縁物が、シリコン化合物を含むことを特徴とする。このようにすることで、渦電流損失を効果的に抑制することができる。
本発明によれば、軟磁性金属圧粉コアにおいて、直流磁場重畳下での透磁率の低下を抑えることによって、リアクトルやインダクタとして使用した場合に直流電流を重畳した時のインダクタンスの低下を改善することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る軟磁性金属圧粉コアの構造を示す断面の模式図である。 図2は、本発明の軟磁性金属圧粉コアにおける、Si濃度の変動係数と、5kA/mの直流磁場印加時の透磁率μの関係を示したグラフである。
本発明は、Fe−Si系軟磁性金属粉末および絶縁物を含む圧粉コアであって、前記圧粉コアの任意の断面上において、前記軟磁性金属粉末を構成する80%以上の粒子の断面の円形度が0.75〜1.0であって、前記軟磁性金属粉末を構成する各粒子中央付近のSi濃度の変動係数が0.05以上、0.12以下であり、前記Si濃度の最大値と最小値の差が標準偏差の6倍以内であることを特徴とすることで、直流電流重畳下でのインダクタンスを向上させることを可能にしたものである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、軟磁性金属圧粉コア10の断面を示す図である。軟磁性金属圧粉コア10は、軟磁性金属粉末11と、それを構成する大部分の粒子表面を被覆する絶縁層12で構成される。軟磁性金属粉末11は鉄を主成分とする軟磁性金属であり、Fe−Si系合金を用いることができる。
軟磁性金属粉末11の原料粉末はガスアトマイズ法や水アトマイズ法などで作製することができる。一般にガスアトマイズ法を用いる方が、円形度の高い粒子が得られやすいが、水アトマイズ法を用いる場合であっても、噴霧条件などを適度に調整することによって円形度の高い粒子を得ることができる。
この原料粉末を分級することにより所定の粒径を有する軟磁性金属粉末11を得ることができる。分級には振動篩や風力分級器などを用いることができる。
軟磁性金属圧粉コア10を樹脂に埋め込んで研磨し、その断面を観察し、軟磁性金属粉末11の円形度を測定した場合、構成する粒子のうち、80%以上の粒子の円形度が0.75〜1.0である。円形度の一例としてはWadellの円形度を用いることができ、粒子断面に外接する円の直径に対する粒子断面の投影面積に等しい円の直径の比で定義される。真円の場合にはWadellの円形度は1となり、1に近いほど真円度が高い。観察には光学顕微鏡や走査電子顕微鏡を用い、円形度の算出には画像解析を用いることができる。
円形度が低い粒子は、粒子表面の曲率が一定ではないことから、成形時の応力のかかり方が不均一になる。したがって、円形度が低い粒子が多く含まれる場合には、塑性変形量が大きい部分とそうでない部分が生じるため、磁化過程が不均一となり、結果として直流重畳特性が悪化する。すなわち、80%以上の粒子の円形度が0.75〜1.0とすることにより、良好な直流重畳特性を得ることができる。
軟磁性金属粉末11のSi濃度は、圧粉コア10を樹脂に埋め込んで研磨し、その断面を走査電子顕微鏡のエネルギー分散型X線分光器(EDS)で分析するのが簡便であるが、例えば電子線マイクロアナライザ等、その他の分析手法を用いることもできる。
軟磁性金属粉末11のSi濃度のバラツキを定量的に表すためには、以下のようにすればよい。圧粉コア10の断面上で500μm程度の間隔で格子状に100点程度選び、各格子点に最も近い粒子中央付近においてエネルギー分散型X線分光器(EDS)にてスポット分析を行う。その結果得られたSi濃度のデータから、標準偏差と平均値を算出する。標準偏差を平均値で割ったものを変動係数と定義する。この変動係数により、Si濃度のバラツキを定量的に表すことができる。また、この一連のデータの最大値および最小値をもって、軟磁性金属粉末11のSi濃度の最大値および最小値とみなす。
軟磁性金属粉末11のSi濃度の変動係数を0.05〜0.12とし、前記Si濃度の最大値と最小値の差を標準偏差の6倍以内することにより、Si濃度が比較的低く軟らかい粒子が塑性変形して、Si濃度が比較的高く硬い粒子間の空隙を埋めるために、圧粉コア10の粒子間のギャップの均一性が向上し、直流磁場を印加していった時に各粒子にかかる反磁界が均一になるので、圧粉コア10全体が均一に磁化されるため、優れた直流重畳特性を実現することができる。また、軟磁性金属粉末11のSi濃度の変動係数を0.05〜0.12とすることにより、圧粉コア10の組成の均一性も保たれるため、保磁力が極端に大きかったり小さかったりする粒子がなく、直流磁場を印加していった時に圧粉コア10全体が均一に磁化されるため、優れた直流重畳特性を実現することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
軟磁性金属粉末11は、Si濃度が異なる軟磁性金属粉末11−aおよび11−bで構成される。軟磁性金属粉末11−aおよび11−bの粒径は1μm以上200μm以下であることが望ましい。粒径を1μm以上とすることにより、粉の保磁力を800A/m以下にすることができ、低周波数のコアロスが低減する。粒径を200μm以下とすることにより、渦電流損失が減少し、高周波数のコアロスが低減する。軟磁性金属粉末11−aおよび11−bのSi濃度は1wt%以上10wt%以下であることが望ましい。Si濃度を10wt%以下とすることにより、粉の飽和磁化が1.5T以上となり、直流重畳特性が向上する。Si濃度を1wt%以上とすることにより、粉の電気抵抗率が20μΩcm以上に増加し、コアロスが低減する。軟磁性金属粉末11−aおよび11−bのSi濃度と混合比率は、計算上Si濃度の変動係数が0.05〜0.12となるように調整する。ただし、軟磁性金属粉末11−aと11−bのSi濃度の最大値と最小値の差が、標準偏差の6倍以内となるようにする。
軟磁性金属粉末11−aおよび11−bを混合して成形した場合、Si濃度が高くて比較的硬い軟磁性金属粉末(図1では、11−a)の隙間を、Si濃度が低くて比較的軟らかい軟磁性金属粉末(図1では、11−b)が塑性変形して充填すると考えられる。Si濃度の変動係数が0.12より大きい場合、圧粉コアの充填率は上がりやすいが、組成の均一性が損なわれ、直流重畳特性は悪化する。一方、Si濃度の変動係数が0.05より小さい場合、組成の均一性は高いが、軟磁性金属粉末11−bがあまり塑性変形しないので隙間を十分に充填することができず、軟磁性金属粉末間のギャップの均一性が損なわれるため、直流重畳特性は悪化する。また、軟磁性金属粉末11−aと11−bのSi濃度の最大値と最小値の差が標準偏差の6倍よりも大きい場合、Si濃度の変動係数が0.05〜0.12である状態は、一方の混合比率が極端に少ない状態であり、圧粉コアの充填率を上げることができないため、直流重畳特性は悪化する。
軟磁性金属粉末11−aと11−bのSi濃度の変動係数を0.05〜0.12とし、Si濃度の最大値と最小値の差が標準偏差の6倍以内とすることにより、圧粉コア10の組成とギャップの均一性を両立できるので、優れた直流重畳特性を実現させることができる。
軟磁性金属粉末11−aおよび11−bはその表面の大部分が絶縁層12で覆われている。絶縁層12は電気伝導率が小さい無機物、有機物のいずれを用いてもよく、それらの複合物であってもよい。絶縁層12にはシリコン化合物が含まれることが好ましい。シリコン化合物は均一な絶縁層を形成することができるため、高密度にしても渦電流の発生を抑制し、コアロスを低減することができる。
軟磁性金属粉末11−aおよび11−bを用いて軟磁性金属圧粉コア10を作製する方法は一般的な軟磁性金属圧粉コア10の作製方法に則ればよいが、一例を以下に示す。
軟磁性金属粉末に対して、絶縁物を被覆し、顆粒状の造粒物を得る。絶縁物としてはシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの樹脂を用いることができ、成形時の保形性と電気的な絶縁性を有するもので、軟磁性金属粉末表面に均一に塗布できるものが好ましい。これらの溶液を所定の量だけ軟磁性金属粉末11−aおよび11−bに添加し、ニーダーなどで混練したのち、乾燥して得られた凝集物を解砕して、顆粒を得ることができる。
得られた顆粒を所望の形状の金型に充填し、加圧成形して成形体を得る。成形圧力は軟磁性金属粉末の組成や所望の成形密度により適宜選択することができるが、概ね600〜1600MPaの範囲である。必要に応じて潤滑剤を用いてもよい。得られた成形体は、熱硬化させて圧粉コアとする。あるいは成形時の歪を除去するために熱処理を行って、軟磁性金属圧粉コアとする。熱処理の温度は500〜800℃で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの非酸化性雰囲気中で行うことが望ましい。絶縁物としてシリコーン樹脂を用いた場合には、熱処理後にシリコン化合物を含む絶縁物を形成することができるので、より渦電流損失が抑制できるため好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、軟磁性金属粉末11は、Si濃度が異なる3種類以上の軟磁性金属粉末で構成されていてもよい。
本発明の内容を実施例および比較例を用いて以下に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて狙い組成Fe−4.0wt%SiおよびFe−3.0wt%Si合金粉末を作製した。Fe−4.0wt%SiおよびFe−3.0wt%Si合金粉末を20μm〜90μmに分級して粒度分布を調整した後、Fe−3.0wt%Si合金粉末の比率を20wt%となるように混合した。
Fe−4.0wt%SiおよびFe−3.0wt%Siの混合粉末が100wt%に対し、シリコーン樹脂が1.5wt%となるようにキシレンにて希釈して添加し、ニーダーで混練し、乾燥して得られた凝集物を355μm以下となるように整粒して、顆粒を得た。これを外径17.5mm、内径11.0mmのトロイダル形状の金型に充填し、成形圧1180MPaで加圧し成形体を得た。コア重量は5gとした。得られた成形体をベルト炉にて750℃で30min、窒素雰囲気中で熱処理して軟磁性金属圧粉コアとした。
LCRメータ(アジレント・テクノロジー社製4284A)と直流バイアス電源(アジレント・テクノロジー社製42841A)を用いて、軟磁性圧粉コアのインダクタンスを測定し、インダクタンスから軟磁性圧粉コアの透磁率を算出した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合について測定し、それぞれ90、55となった。
また、直流重畳特性測定後の軟磁性金属圧粉コアを冷間埋め込み樹脂で固定し、断面を切り出し、鏡面研磨を行った。圧粉コアの断面上において500μmの間隔で格子状に100点選び、各格子点に最も近い粒子中央付近でエネルギー分散型X線分光器(EDS)にてスポット分析し、Si濃度を測定した。これらのSi濃度のデータから、平均値と標準偏差を求めると、3.7wt%、0.32wt%となり、さらに変動係数を算出したところ、0.089となった。また、これらのSi濃度のデータの中で、最大値は4.5wt%、最小値は2.7wt%であった。その差は1.8wt%であるため、標準偏差の6倍以内となっていた。
さらに、Si濃度を測定した各粒子のWadellの円形度を測定し、円形度が0.75以上である粒子の割合を算出したところ、85%となった。
(実施例2)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.5wt%SiおよびFe−5.0wt%Si合金粉末を、20μm〜63μmに分級して粒度分布を調整した後、Fe−5.0wt%Si合金粉末の比率が30wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ69、51となった。Si濃度の変動係数は0.051、円形度が0.75以上である粒子の割合は89%となった。
(実施例3)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.0Siwt%およびFe−4.0wt%Si合金粉末を、Fe−4.0wt%Si合金粉末の比率が30wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ69、54となった。Si濃度の変動係数は0.108、円形度が0.75以上である粒子の割合は83%となった。
(実施例4)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−6.5wt%SiおよびFe−5.0wt%Si合金粉末を、Fe−5.0wt%Si合金粉末の比率が35wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ63、50となった。Si濃度の変動係数は0.120、円形度が0.75以上である粒子の割合は80%となった。
(実施例5)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.5wt%SiおよびFe−4.5wt%Si合金粉末を、20μm〜106μmに分級して粒度分布を調整した後、Fe−4.5wt%Si合金粉末の比率が25wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ79、55となった。Si濃度の変動係数は0.071、円形度が0.75以上である粒子の割合は85%となった。
(実施例6)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.2wt%SiおよびFe−4.5wt%Si合金粉末を、Fe−4.5wSi合金粉末の比率が35wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ60、52となった。Si濃度の変動係数は0.066、円形度が0.75以上である粒子の割合は87%となった。
(比較例1)
原料粉末として、水アトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.0wt%SiおよびFe−4.0wt%Si合金粉末を、Fe−4.0wt%Si合金粉末の比率が25wt%となるように混合し、成形圧を1480MPaとした以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ120、46となった。Si濃度の変動係数は0.101、円形度が0.75以上である粒子の割合は72%となった。
(比較例2)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−4.0wt%SiおよびFe−2.5wt%Si合金粉末を、20μm〜53μmに分級して粒度分布を調整した後、Fe−2.5wt%Si合金粉末の比率が15wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ66、44となった。Si濃度の変動係数は0.152、円形度が0.75以上である粒子の割合は80%となった。
(比較例3)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.0wt%SiおよびFe−3.5wt%Si合金粉末を、Fe−3.5wt%Si合金粉末の比率が20wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ92、47となった。Si濃度の変動係数は0.125、円形度が0.75以上である粒子の割合は82%となった。
(比較例4)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.0wt%SiおよびFe−3.0wt%Si合金粉末を、Fe−3.0wt%Si合金粉末の比率が20wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ146、40となった。Si濃度の変動係数は0.175、円形度が0.75以上である粒子の割合は80%となった。
(比較例5)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.5wt%SiおよびFe−5.2wt%Si合金粉末を、20μm〜150μmに分級して粒度分布を調整した後、Fe−5.2wt%Si合金粉末の比率が50wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ69、48となった。Si濃度の変動係数は0.029、円形度が0.75以上である粒子の割合は88%となった。
(比較例6)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.5wt%SiおよびFe−5.4wt%Si合金粉末を、Fe−5.4wt%Si合金粉末の比率が30wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ49、40となった。Si濃度の変動係数は0.008、円形度が0.75以上である粒子の割合は87%となった。
(比較例7)
原料粉末として、ガスアトマイズ法にて作製した狙い組成Fe−5.5wt%SiおよびFe−2.0wt%Si合金粉末を、Fe−2.0wt%Si合金粉末の比率が1wt%となるように混合した以外は、実施例1と同様の方法で軟磁性圧粉コアを作製した。直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率は、それぞれ45、39となった。Si濃度の変動係数は0.064、円形度が0.75以上である粒子の割合は93%となった。
上記のようにして作製した軟磁性金属圧粉コアのSi濃度の平均値と標準偏差、変動係数、最大値、最小値、円形度が0.75以上である粒子の割合、コア密度、および直流重畳磁界が0A/mの場合と5000A/mの場合の透磁率をまとめた結果を表1に示す。
Figure 0006519418
また、Si濃度の変動係数を横軸にとり、直流重畳磁界が5000A/mの場合の透磁率を縦軸にとって、表1のデータをプロットしたグラフを図2に示す。図2より、軟磁性金属粉末を構成する80%以上の粒子の断面の円形度が0.75〜1.0であって、Si濃度の変動係数が0.05以上0.12以下の範囲内にある時、直流重畳磁界が5000A/mの透磁率が50以上となっており、優れた直流重畳特性を示すことが確認できる。
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6は、比較的硬いFe−Si合金粉末の隙間に、比較的軟らかいFe−Si合金粉末が塑性変形して入り込むことによって充填率が上がり、圧粉コアのギャプの均一性が向上する。また、Si濃度の変動係数が0.089、0.051、0.108、0.120、0.071、0.066と適切な範囲内にあるため、圧粉コアの組成の均一性があまり損なわれることがなく、直流重畳磁界が5000A/mの透磁率が55、51、54、50、55、52と高い。
比較例1は、Si濃度の変動係数は0.101と適切な範囲内にあるが、円形度が0.75以上である粒子の割合は72%と低く、粒子表面の曲率が一定ではない粒子の割合が多い。このため、成形時の応力のかかり方が不均一になり、塑性変形量が大きい部分とそうでない部分が生じるため、磁化過程が不均一となり、結果として直流重畳磁界が5000A/mの透磁率が46と低い。
比較例2、比較例3、比較例4は、Si濃度の変動係数が0.152、0.125、0.175と高い。このため、圧粉コアの組成の均一性が損なわれ、直流重畳磁界が5000A/mの透磁率が44、47、40と低い。
比較例5、比較例6は、Si濃度の変動係数が0.029、0.008と低い。このため、圧粉コアの組成の均一性は高いが、ギャプの均一性が損なわれ、直流重畳磁界が5000A/mの透磁率が48、40と低い。
比較例7は、Si濃度の変動係数は0.064と適切な範囲内にあるが、Fe−5.5Si粉末とFe−2.0Si粉末のSi濃度の最大値と最小値の差が、標準偏差の6倍を越えている。このため、圧粉コアの密度が低く、ギャプの均一性が損なわれ、直流重畳磁界が5000A/mの透磁率が39と低い。
以上説明した通り、本発明の軟磁性金属圧粉コアは、直流電流重畳下でも高いインダクタンスを有することから、小型化を実現できるので、電源回路などのインダクタやリアクトルなどの電気・磁気デバイスに広く且つ有効に利用可能である。
10:軟磁性金属圧粉コア
11−a、11−b:軟磁性金属粉末
12:絶縁物

Claims (4)

  1. Fe−Si系軟磁性金属粉末および絶縁物を含む圧粉コアであって、前記圧粉コアの任意の断面上において、前記軟磁性金属粉末を構成する80%以上の粒子の断面の円形度が0.75〜1.0であって、前記軟磁性金属粉末を構成する各粒子中央付近のSi濃度の変動係数が0.050以上、0.120以下であり、前記Si濃度の最大値と最小値の差が標準偏差の6倍以内であることを特徴とする軟磁性金属圧粉コア。
  2. 前記軟磁性金属粉末の粒径が、1μm以上200μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の軟磁性金属圧粉コア。
  3. 前記軟磁性金属粉末のSi濃度が、1wt%以上10wt%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の軟磁性金属圧粉コア。
  4. 前記絶縁物は、シリコン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の軟磁性金属圧粉コア。
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