JPH1187123A - 高周波用軟磁性粉末 - Google Patents
高周波用軟磁性粉末Info
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Abstract
ための高周波用軟磁性粉末を提供する。 【解決手段】 粉末の粒径をdとすると、表面から粉末
内部に向かって0.1dの範囲の厚さの表層部分(以
下、表面部という)におけるSi濃度が、粉末の中心か
ら表面に向かって0.1dの範囲の中心部分(以下、中
心部という)におけるSi濃度よりも高いSi濃度分布
を有するFe基合金粉末であって、このFe基合金粉末
の表面部におけるSi濃度が2〜25wt%の範囲内に
あり、粉末の中心部におけるSi濃度が0〜12wt%
の範囲内にあり、かつ粉末の表面部におけるSi濃度が
粉末の中心部のSi濃度よりも相対的に高いFe基合金
粉末からなることを特徴とする。
Description
ランスの磁芯などを製造するための高周波用軟磁性粉末
に関するものである。
3%を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
を有するFe基合金粉末が知られている(例えば特開平
3−153005号公報参照)。このSi含有Fe基合
金粉末は、アトマイズ法、超急冷法、機械的粉砕法など
の方法により製造され、その粉末の形状は、球形よりも
長径/短径の比が1を越えた偏平形状をしていることが
好ましいとされている。この従来の偏平形状をしている
軟磁性粉末は、Fe−Si合金のアトマイズ粉末をアト
ライタで偏平化した後、Ar雰囲気中、300〜500
℃の範囲内の所定温度に2時間保持の熱処理を施し、さ
らに分級を行なって粒度を調整することにより製造す
る。
i含有Fe基合金粉末は、通常の電源用トランスの磁芯
を製造するための軟磁性粉末としては使用できるが、周
波数が高くなるほど初透磁率が低下し、特に周波数:1
0kHz以上の周波数電源用トランスの磁芯として使用
すると、初透磁率が低下し、高周波電源のトランスの磁
芯の材料粉末として使用することは好ましくないなどの
課題があった。
上述のような観点から、高周波電源用トランスの磁芯と
して使用しても初透磁率の低下の少ない軟磁性粉末を製
造すべく研究を行なった結果、(a)粉末の断面説明図
である図1に示されるように、粉末の粒径をdとする
と、表面から粉末内部に向かって0.1dの範囲の厚さ
の表層部分(以下、表面部という)におけるSi濃度
が、粉末の中心から表面に向かって0.1dの範囲の中
心部分(以下、中心部という)におけるSi濃度よりも
高いSi濃度分布を有するFe基合金粉末からなる軟磁
性粉末は、これを周波数:10kHz以上の高周波数電
源用トランスの磁芯として使用しても初透磁率の低下が
少なく、優れた特性を有する、(b)前記(a)の粉末
の形状は、平均粒径と平均厚さの比(以下、平均粒径/
平均厚さと記す)が1を越えた偏平形状をしていること
が一層好ましい、という研究結果が得られたのである。
なされたものであって、(1)粉末の表面部におけるS
i濃度が、粉末の中心部におけるSi濃度よりも高いS
i濃度分布を有するFe基合金粉末からなる高周波用軟
磁性粉末、(2)粉末の表面部におけるSi濃度が2〜
25wt%の範囲内にあり、粉末の中心部におけるSi
濃度が0〜12wt%の範囲内にあり、かつ粉末の表面
部におけるSi濃度が粉末の中心部のSi濃度よりも相
対的に高いSi濃度分布を有するFe基合金粉末からな
る高周波用軟磁性粉末、(3)前記Fe基合金粉末は、
平均粒径が1〜200μmの範囲内にあることを特徴と
する前記(1)または(2)記載の高周波用軟磁性粉
末、(4)前記Fe基合金粉末は、平均粒径:10〜2
00μm、平均厚さ:1〜20μmの範囲内にあり、か
つ平均粒径/平均厚さが1〜200の範囲内にある球形
または偏平形状を有する粉末である(1)または(2)
記載の高周波用軟磁性粉末、に特徴を有するものであ
る。
うに、表面に酸化膜などの好ましくない薄膜が存在する
Fe基合金粉末の場合の粒径dは、表面の酸化膜を除い
た粒径をいう。また、偏平粉末の場合の粒径dは、偏平
粉末の断面説明図である図3に示されるように、最も薄
い部分の粒径をdとする。
ランスの磁芯の材料として使用した場合、初透磁率が低
下しない理由として、粉末の表面部におけるSi濃度が
高濃度であるために粉末の表面部における電気抵抗およ
び透磁率が高く、粉末の中心部におけるSi濃度が低濃
度であるために飽和磁束密度が高くなり、その結果、初
透磁率の低下が極めて少なくなるものと考えられる。
トマイズ法により粉末化し、得られた粉末に対して、通
常の条件で分級して所定の粒径とし、これをアトライタ
で偏平化しまたは偏平化せずに温度:500〜900
℃、Ar雰囲気中に保持する予備熱処理を施した後、温
度:600〜900℃、10〜50vol.%SiCl
4 +Ar雰囲気中に保持する浸珪処理を施し、さらに温
度:500〜900℃、Ar雰囲気中に保持する拡散熱
処理を施すことにより製造することができる。
i合金のアトマイズ粉末を作製し、このFe−Si合金
のアトマイズ粉末を偏平化するか、またはFe−Si合
金インゴットを粉砕して偏平化して製造していたが、一
般にFe−Si合金は、硬く脆い特性を有するところか
ら、Fe−Si合金インゴットを粉砕すると、微粉化し
て偏平形状になりにくく、偏平形状のFe−Si合金粉
末が得られたとしても、硬く脆い特性を有するところか
ら、成形時に偏平形状を維持することは困難であった。
ところが、この発明の軟磁性粉末は、柔らかい粘性のあ
る純鉄アトマイズ粉末を偏平化処理するために微粉化す
ることなく全ての粉末が均一に偏平化し、得られた純鉄
の偏平粉末を浸珪処理して表面部を高Si濃度とし、中
心部のSi濃度を0〜12wt%の範囲内に限定して中
心部のSi濃度を低くしているために靭性を維持するこ
とができ、成形時に粉末が折れることがなく、粒子形状
が損なわれることがない。
記の通りに限定した理由を説明する。 (a) Si 軟磁性粉末の表面部におけるSi濃度が2〜25wt%
の範囲内にあるようにしたのは、粉末の表面部における
Si濃度が2wt%未満では10kHzを越える高周波
に対して初透磁率が低くなって高周波電源用トランスの
磁芯材料として好ましくなく、一方、Si濃度が25w
t%を越えると飽和磁束密度が低くなるのでやはり高周
波数電源用トランスの磁芯材料として好ましくないこと
によるものである。また、粉末の中心部におけるSi濃
度が0〜12wt%の範囲内にあるのは、Si濃度が1
2wt%を越えると、飽和磁束密度が低下し、したがっ
て、高周波数電源用トランスの磁芯材料として好ましく
ないことによるものである。さらに軟磁性粉末の表面部
におけるSi濃度が2〜25wt%の範囲内にあり、粉
末の中心部におけるSi濃度が0〜12wt%の範囲内
にあっても、表面部におけるSi濃度>中心部における
Si濃度の関係があることが必要である。
範囲内にある任意の形状を有する粉末であってよく、平
均粒径:1μm未満では粒径が微細すぎて軟磁性粉末と
しては好ましくなく、一方、平均粒径:200μmを越
えると、粒径が粗大すぎて軟磁性粉末としては好ましく
ないことによるものである。しかし、この発明の軟磁性
粉末は、偏平形状をしていることが一層好ましく、平均
粒径:10〜200μm、平均厚さ:1〜20μmの範
囲内にあり、平均粒径/平均厚さが1超〜200の範囲
内にある偏平形状を有する粉末であることが一層好まし
い。
実施例により具体的に説明する。 実施例1 原料として、電解純鉄を用意し、この電解純鉄を高周波
誘導炉にて溶解し、得られた純鉄溶湯を水アトマイズ法
により粉末化し、分級して平均粒径が63μmの粉末を
作製し、ついでこの粉末をAr雰囲気中、800℃に
0.5時間保持の予備熱処理を施したのち、温度:80
0℃、15vol.%SiCl4 +Ar雰囲気中に表1
〜2に示されるt1 時間保持することにより浸珪処理を
施し、さらにAr雰囲気中、温度:800℃に表1〜2
に示されるt2 時間保持する拡散熱処理を施すことによ
り本発明軟磁性粉末(以下、本発明粉末という)1〜1
0および比較軟磁性粉末(以下、比較粉末という)1〜
3を製造した。この予備熱処理、浸珪処理および拡散熱
処理のパターンを図4に示す。このようにして得られた
本発明粉末1〜10および比較粉末1〜3の表面のSi
濃度および中心のSi濃度を測定し、その結果を表1〜
2に示した。この本発明粉末1〜10および比較粉末1
〜3にそれぞれ1.0wt%の樹脂バインダーを加え、
トロイダルコアを作製し、周波数10kHz、30kH
z、100kHz、300kHzおよび1000kHz
の高周波に対する初透磁率を測定し、その結果を表1〜
2に示した。
してSi:8.5wt%を含有し、残部がFeの組成を
有するFe合金溶湯を作製し、このFe合金溶湯を水ア
トマイズ法により粉末化し、分級して平均粒径が63μ
mの粉末を作製した。得られた粉末を実施例1と同様に
1.0wt%の樹脂バインダーを加え、トロイダルコア
を作製し、周波数10kHz、30kHz、100kH
z、300kHzおよび1000kHzの高周波に対す
る初透磁率を測定し、その結果を表2に示した。
比較粉末1〜3の内の一部および従来粉末1について周
波数10kHz、30kHz、100kHz、300k
Hzおよび1000kHzの高周波に対する初透磁率を
図5の折れ線グラフに示した。表1〜2および図5に示
される結果から、本発明粉末1〜10は、従来粉末1に
比して、初透磁率が高く、高周波数電源用トランスの磁
芯として使用した場合に高周波が大きくなっても高初透
磁率を維持することができ優れた効果を示すことが明ら
かである。しかし、この発明の条件から外れた値を示す
比較粉末1〜3は初透磁率が低く、さらに周波数が高く
なるほど初透磁率の低下が著しくなるなど好ましくない
特性が現れることが分かる。
誘導炉にて溶解し、得られた純鉄溶湯を水アトマイズ法
により粉末化し、得られたアトマイズ粉末をアトライタ
で偏平化して平均粒径:51μm、平均厚さ:3μmの
偏平粉末を作製し、ついでこの粉末をAr雰囲気中、7
00℃に0.5時間保持の予備熱処理を施したのち、温
度:700℃、15vol.%SiCl4 +Ar雰囲気
中に表3〜4に示されるt1 時間保持することにより浸
珪処理を施し、さらにAr雰囲気中、温度:700℃に
表3〜4に示されるt2 時間保持する拡散熱処理を施す
ことにより本発明偏平粉末1〜10および比較偏平粉末
1〜3を製造した。この予備熱処理、浸珪処理および拡
散熱処理のパターンを図6に示す。このようにして得ら
れた本発明偏平粉末1〜10および比較偏平粉末1〜3
の表面のSi濃度および中心のSi濃度を測定し、その
結果を表3〜4に示した。この本発明偏平粉末1〜10
および比較偏平粉末1〜3にそれぞれ1.0wt%の樹
脂バインダーを加え、トロイダルコアを作製し、周波数
10kHz、30kHz、100kHz、300kHz
および1000kHzの高周波に対する初透磁率を測定
し、その結果を表3〜4に示した。
がFeの組成を有するFe合金溶湯を水アトマイズ法に
より粉末化し、さらにアトライタで粉砕偏平化し分級し
て平均粒径:51μm、平均厚さ:3μmの従来偏平粉
末1を作製した。得られた粉末を実施例2と同様に1.
0wt%の樹脂バインダーを加え、トロイダルコアを作
製し、周波数10kHz、30kHz、100kHz、
300kHzおよび1000kHzの高周波に対する初
透磁率を測定し、その結果を表4に示した。
0、比較偏平粉末1〜3の内の一部および従来偏平粉末
1について周波数10kHz、30kHz、100kH
z、300kHzおよび1000kHzの高周波に対す
る初透磁率を図7の折れ線グラフに示した。
本発明偏平粉末1〜10は、従来偏平粉末1に比して、
初透磁率が高く、高周波数電源用トランスの磁芯として
使用した場合に優れた効果を示すことが明らかである。
しかし、この発明の条件から外れた値を示す比較偏平粉
末1〜3は初透磁率が低く、さらに周波数が高くなるほ
ど初透磁率の低下が著しくなるなど好ましくない特性が
現れることが分かる。
は、高周波に対して高い透磁率を示すので、電気および
電子産業上優れた効果を有するのである。
ある
ある
図である
理条件を示すパターン図である。
z、300kHzおよび1000kHzの高周波に対す
る各種粉末の初透磁率の折れ線グラフである。
の処理条件を示すパターン図である。
z、300kHzおよび1000kHzの高周波に対す
る各種粉末の初透磁率の折れ線グラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 粉末の粒径をdとすると、表面から粉末
内部に向かって0.1dの範囲の厚さの表層部分(以
下、表面部という)におけるSi濃度が、粉末の中心か
ら表面に向かって0.1dの範囲の中心部分(以下、中
心部という)におけるSi濃度よりも高いSi濃度分布
を有するFe基合金粉末からなることを特徴とする高周
波用軟磁性粉末。 - 【請求項2】 粉末の表面部におけるSi濃度が2〜2
5wt%の範囲内にあり、粉末の中心部におけるSi濃
度が0〜12wt%の範囲内にあり、かつ粉末の表面部
におけるSi濃度が粉末の中心部のSi濃度よりも相対
的に高いSi濃度分布を有するFe基合金粉末からなる
ことを特徴とする高周波用軟磁性粉末。 - 【請求項3】 前記Fe基合金粉末は、平均粒径が1〜
200μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1ま
たは2記載の高周波用軟磁性粉末。 - 【請求項4】 前記Fe基合金粉末は、平均粒径:10
〜200μm、平均厚さ:1〜20μmの範囲内にあ
り、かつ平均粒径と平均厚さの比(平均粒径/平均厚
さ)が1〜200の範囲内にある球形または偏平形状を
有する粉末であることを特徴とする請求項1または2記
載の高周波用軟磁性粉末。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP9242852A JPH1187123A (ja) | 1997-09-08 | 1997-09-08 | 高周波用軟磁性粉末 |
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JP9242852A JPH1187123A (ja) | 1997-09-08 | 1997-09-08 | 高周波用軟磁性粉末 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1187123A true JPH1187123A (ja) | 1999-03-30 |
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ID=17095241
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JP9242852A Abandoned JPH1187123A (ja) | 1997-09-08 | 1997-09-08 | 高周波用軟磁性粉末 |
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