JP6613730B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents
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(a)希土類磁石合金の超急冷リボンを粉砕して粉末を作製し、
(b)粉末をコールドプレス及びホットプレスすることにより柱状体を作製し、
(c)ダイ、パンチ及びマンドレルを用いて柱状体を筒状体に押出加工する
方法が開示されている。
(a)磁石合金の超急冷リボンを粉砕して粉末を作製し、
(b)粉末を冷間プレス及び熱間プレスすることにより予備成形体を作製し、
(c)予備成形体のX方向の寸法を絞ると同時に、X方向と直交するY方向の寸法を拡げるように、予備成形体を押出加工する
方法が開示されている。
(a)希土類元素を含む鉄系合金を溶解、鋳造し、
(b)鋳造インゴットを熱間加工(押出加工、圧延加工、又は、スタンプ加工)する
希土類−鉄系永久磁石の製造方法が開示されている。
(a)希土類元素、遷移金属及びホウ素を含む原料合金粉末を磁場中成形し、
(b)成形体を放電プラズマ焼結する
希土類焼結磁石の製造方法が開示されている。
(a)希土類元素を含む原料を冷間成形し、
(b)冷間成形体を熱間成形(ホットプレス)し、さらに、
(c)熱間成形体を後方押出し加工し、円筒状の希土類磁石を得る
希土類磁石の製造方法が開示されている。
(a)急冷凝固により得られたフレーク状の合金粉末を冷間成形し、
(b)冷間成形体を予備加熱した後、熱間成形(ホットプレス)し、
(c)熱間成形体を熱間押出し加工する
磁気異方性磁石素材の製造方法が開示されている。
(a)キャビティ内に磁性粉末を充填し、磁性粉末にラジアル配向磁場を印加しながら、キャビティ内の磁性粉末を軸方向から加圧して、リング状磁石成形体を成形し、
(b)リング状磁石成形体を焼結させる
リング状焼結磁石の製造方法が開示されている。
(a)合金組成(質量%):31Nd−3Co−1B−0.4Ga−残部Feからなる原料を急冷凝固することにより得られる合金薄片を粉砕して合金粉末を作製し、
(b)合金粉末を成形(ホットプレス)してバルク体を作製し、
(c)成形とは異なる加工方向にバルク体の熱間据え込み加工又は熱間圧延加工を行う
R−T−B系希土類磁石の製造方法が開示されている。
同文献には、成形とは90°異なる加工方向に熱間据え込み加工又は熱間圧延加工を行うことにより、磁化が向上すると同時に、高い保持力を確保することができる点が記載されている。
(a)希土類元素を含む粉末を加圧成形し、
(b)成形体を押出し加工することによって板状の中間体を製造し、
(c)中間体の厚み方向に据え込み加工する
希土類磁石の製造方法が開示されている。
さらに、無配向の異方形状粒を含む成形体を熱間塑性加工すると、粒界相が液相化して粒界滑りが起きる。その結果、c軸方向(板状の異方形状粒の厚さ方向)が圧縮方向に揃うように、異方形状粒が回転する。
(1)前記希土類磁石の製造方法は、
希土類元素(R)を含む磁性材料からなる薄片状の粉末であって、磁気異方性を有する異方形状粒と、非磁性の粒界相とを含む前記希土類磁石を製造するための粉末を成形し、成形体を得る成形工程と、
前記成形体の熱間押出加工を行い、前記異方形状粒の磁化容易軸を配向させる熱間押出加工工程と
を備えている。
(2)前記成型工程は、冷間成形と熱間成形の双方を行い、該冷間成形で得られる冷間成形体は、前記熱間成形の過程で一軸方向に圧縮され、該熱間成形時の圧縮方向が該冷間成形時の圧縮方向と平行でない。
(3)前記冷間成形工程における圧縮方向と、前記熱間押出加工工程における圧縮方向とのなす角が5°以下となっている。
これに対し、成形体を熱間押出加工する場合、成形時の圧縮方向と熱間押出加工時の圧縮方向とをほぼ平行にすると、高い保持力と高い残留磁束密度(又は、最大エネルギー積)とを両立させることができる。
[1. 希土類磁石の製造方法]
図1に、本発明に係る希土類磁石の製造方法の工程図を示す。図1において、希土類磁石の製造方法は、原料粉末製造工程と、成形工程と、熱間押出加工工程とを備えている。
まず、希土類元素(R)を含む磁性材料からなる薄片状の粉末であって、磁気異方性を有する異方形状粒と、非磁性の粒界相とを含む希土類磁石を製造するための粉末を製造する(原料粉末製造工程)。
原料粉末は、希土類元素(R)を含む磁性材料からなり、かつ、磁気異方性を有する異方形状粒と、非磁性の粒界相とを含む希土類磁石を製造可能なものであれば良い。
すなわち、原料粉末は、
(a)初めから、異方形状粒と、粒界相とを含むもの、又は、
(b)加熱により、異方形状粒と、粒界相とを生成可能なもの、
のいずれであっても良く、例えば、アモルファス及び/又は磁化容易軸を有する結晶粒を含むものとすることができる。なお、前記結晶粒を含む場合には、さらに非磁性の粒界相を含む。
前記磁性材料は、特に、少なくとも希土類元素(R)、元素T(Tは、Fe又はFe+Co)、及びBを含むR−T−B系合金からなるものが好ましい。R−T−B系合金を適切な条件下で成形及び加工すると、R2T14B相を主相とする異方形状粒と、異方形状粒の周囲を取り囲む粒界相とを有する希土類磁石が得られる。この場合、元素Rの種類及び量、Feを置換するCoの量、他の添加元素(M)の種類及び量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
12.5≦R≦15.0at%、
4.5≦B≦6.5at%、
0.1≦Ga≦0.7at%、
0≦Co≦6.0at%、及び、
0≦Cu+Al≦2.0at%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなるものが好ましい。
Coは、Feの一部を置換する元素(T)であり、耐食性及び熱安定性を向上させる作用がある。Coは、必要に応じて添加される。
Cu及びAlは、R−T−B−系合金に添加される添加元素(M)であり、いずれも粒界相を低融点化し、保磁力を向上させる作用がある。Cu及びAlは、それぞれ、必要に応じて添加される。また、Cu及びAlは、いずれか一方を添加しても良く、あるいは、双方を添加しても良い。
原料粉末は、初めから異方形状粒と、粒界相とを含むものでも良い。しかしながら、異方形状粒を含む粉末を用いて熱間押出加工を行うと、熱間押出加工時に異方形状粒の異方成長が過度に進行し、保磁力が低下する場合がある。
主相の粒径を微細化し、高い保持力を得るためには、原料粉末は、主相からなる微細な等軸形状粒を含むもの(すなわち、加熱により異方形状粒及び粒界相を生成可能なもの)が好ましい。また、微細な異方形状粒を生成させるためには、等軸形状粒の粒径は小さいほどよい。
本発明において、原料粉末は、薄片状の形状を持つ。「薄片状」とは、厚さ(t)に対する、面積が最も大きい面(最大面)の最小寸法(D)の比(=D/t)が2以上であることをいう。具体的な寸法については、特に限定されないが、厚さ(t)は5〜25μmとすることができ、最小寸法(D)は50〜300μmとすることができる。なお、各寸法は、光学顕微鏡又はSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて測定することができる。また、最小寸法(D)及び厚さ(t)は、複数箇所の測定値の平均値として良い。
ミクロレベルで見た時に、粉末粒界の内部に存在する主相粒子の大きさや配向度に大きな差が無いにもかかわらず、加工条件の相違によって材料全体の磁気特性は大きく変化する。これは、熱間押出加工後の粉末粒界の形状が磁気特性に影響しているためと考えられる。そのため、薄片状の原料粉末に対して本発明を適用すると、高い効果が得られる。
原料粉末の製造方法は、上述した条件を満たす原料粉末が得られる限りにおいて、特に限定されない。原料粉末の製造方法は、特に、磁性材料の溶湯を超急冷することにより薄帯を製造する方法(超急冷法)が好ましい。
次に、得られた粉末を成形し、成形体を得る(成形工程)。成形は、(a)冷間成形のみ、(b)熱間成形のみ、又は、(c)冷間成形と熱間成形の組み合わせ、のいずれであっても良い。
「冷間成形」とは、室温近傍(20℃±15℃、好ましくは、25℃±5℃)の温度で行う成形をいう。本発明において、冷間成形の方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法を選択することができる。
例えば、図1(b)に示すように、ダイのキャビティ内に粉末を充填し、パンチを用いて粉末を一軸加圧すると、ブロック状の成形体が得られる。この場合、圧縮方向は、パンチによる加圧方向となる。
あるいは、図示はしないが、円筒状のゴム容器の中心にマンドレルを配置し、ゴム容器とマンドレルの隙間に粉末を充填し、CIP処理すると、円筒状の成形体を得ることができる。この場合、圧縮方向は、ラジアル方向となる。
冷間成形時の雰囲気は、特に限定されない。通常、冷間成形は、大気中で行われる。
本発明における相対密度とは、理論密度に対する実測密度の比率を意味する。
「熱間成形」とは、成形体の緻密化が進行する温度域で行う成形をいう。熱間成形は、粉末に対して直接行っても良く、あるいは、冷間成形体に対して行っても良い。緻密な成形体を得ることが可能な限りにおいて、熱間成形方法は、特に限定されない。熱間成形方法としては、例えば、ホットプレス法、HIP処理法、放電プラズマ焼結法などがある。
熱間成形は、成形体の酸化を防ぐために、非酸化雰囲気下(例えば、Ar中、真空中など)で行うのが好ましい。
また、熱間押出加工に用いられるダイの形状を最適化すると、冷間成形体の緻密化と、緻密化した成形体(熱間成形体)の熱間押出加工とを同時に行うこともできる。このような場合には、独立した熱間成形工程を省略することができる。
次に、成形体の熱間押出加工を行う(熱間押出加工工程)。「熱間押出加工」とは、結晶粒が固相であり、かつ、粒界相が液相化する温度域で行う押出加工をいう。
得られた押出加工材は、必要に応じて、切断、研削、面取などの後加工に供される。
[A. 加工温度及び加工雰囲気]
熱間押出加工は、異方形状粒が固相であり、かつ、粒界相のみが液相化する温度域で行われる。これは、熱間押出加工時に粒界滑りを生じさせるためである。最適な加工温度は、押出加工方法や磁性材料の組成により異なる。加工温度は、通常、500〜900℃、好ましくは、700〜850℃である。
熱間押出加工は、成形体の酸化を防ぐために、非酸化雰囲気下(例えば、Ar中、真空中など)で行うのが好ましい。
熱間押出加工は、成形時の圧縮方向とほぼ平行に成形体が圧縮されるように行う。具体的には、成形工程における圧縮方向と、熱間押出加工工程における圧縮方向とのなす角(以下、「角度差」という)が5°以下となるように行う。角度差は、好ましくは、3°以下、より好ましくは、1°以下である。
上述のように熱間押出加工を行うことで、熱間押出加工工程における圧縮方向に最小主ひずみが導入され、その方向に磁化容易軸が配向する。そして、熱間押出加工工程における圧縮方向を着磁方向とすることで、優れた異方性希土類磁石とすることができる。
(a)冷間成形のみが行われた場合には、冷間成形時の圧縮方向、
(b)熱間成形のみが行われた場合には、熱間成形時の圧縮方向、
(c)冷間成形及び熱間成形の双方が行われた場合には、冷間成形時の圧縮方向
をいう。
これに対し、角度差が所定の値以下であるときには、粉末粒界がほぼ平行に並んだ押出加工材が得られる。この点は、熱間成形のみを行った場合、並びに、冷間成形及び熱間成形の双方を行った場合も同様である。
熱間押出加工は、粒界滑りにより異方形状粒を回転させ、c軸を一方向に揃えるために行われる。そのため、熱間押出加工時の圧縮ひずみが小さすぎると、異方形状粒の回転が不十分となる。その結果、押出加工材の磁気配向度が低下する。
高い磁気配向度を得るためには、圧縮ひずみは、1.0以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上が一層好ましい。
ここで、「圧縮ひずみ」とは、熱間押出加工前後において、熱間押出加工時の圧縮方向の寸法を、それぞれt0及びtとした場合に、ln(t0/t)として定義される。
上述した条件を満たす限りにおいて、熱間押出加工の方法は、特に限定されない。例えば、熱間押出加工は、前方押出加工であっても良く、あるいは、後方押出加工であっても良い。また、熱間押出加工は、板状に押出加工するものでも良く、あるいは、円筒状に押出加工するものでも良い。
図2に、板磁石の製造方法の模式図を示す。板磁石を製造する場合、まず、図2(a)に示すように、直方体状の成形体10を作製する。図2に示す例の場合、X方向が成形時の圧縮方向である。
キャビティ14aは、
(a)上方から成形体10を挿入可能であり、かつ、
(b)成形体10を下方に押し出す際に、X方向の寸法を絞ると同時に、X方向と直交するY方向の寸法を拡げるような塑性変形が可能となる
ような形状を持っている。
なお、図2(b)の中央図は、成形体10の平面図(Z方向から見た図)である。
この時、図2(c)に示すように、成形時の圧縮方向(X方向)の寸法が絞られると同時に、X方向と直交するY方向の寸法が拡がる。その結果、図2(d)に示すような形状を有する押出加工材18が得られる。
なお、図2(c)の中央図は、加工途中の押出加工材18の平面図(Z方向から見た図)である。
図3に、リング磁石の製造方法の模式図を示す。リング磁石を製造する場合、まず、図3(a)に示すように、円筒状の成形体20を作製する。図3に示す例の場合、ラジアル方向(r方向)が成形時の圧縮方向である。
マンドレル26は、一様の直径を有する小径部26aと、一様の直径を有する大径部26bとを備えている。大径部26bの直径は、小径部26aの直径より大きくなっている。
パンチ28は、円筒状になっている。パンチ28の外径は、ダイ24のキャビティ24aの内径より小さくなっている。また、パンチ28の内径は、マンドレル26の小径部26aの外径より大きくなっている。
この時、図3(c)に示すように、成形体20は、キャビティ24aと大径部26bとの間でラジアル方向に圧縮される。その結果、図3(d)に示すような形状を有する押出加工材30が得られる。
本発明に係る希土類磁石は、本発明に係る方法により得られたものからなる。
[2.1. 組成]
本発明に係る希土類磁石は、希土類元素(R)を含む磁性材料からなる。磁性材料の組成の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[2.2.1. 結晶粒径]
本発明に係る希土類磁石は、磁気異方性を有する異方形状粒(磁石相)と、異方形状粒の周囲に存在する粒界相(非磁石相)とを含む。希土類磁石の残留磁束密度(又は、最大エネルギー積)は、主として磁性材料の組成及び異方形状粒の配向度に依存し、保磁力は、主として異方形状粒の粒径に依存する。高い保持力を得るためには、異方形状粒の粒径は、小さいほど良い。ここで、「異方形状粒の粒径」とは、異方形状粒の最大面の大きさをいう。
本発明に係る方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、異方形状粒の粒径が150〜500nmである希土類磁石が得られる。
異方形状粒は、板状を呈しており、厚さ方向が磁化容易軸(c軸)である。本発明に係る希土類磁石は、熱間押出加工により製造されるため、磁化容易軸が一方向に配向している。磁化容易軸の配向の程度(磁気配向度)は、飽和磁束密度(Js)に対する残留磁束密度(Br)の比(=Br/Js)で表すことができる。
本発明に係る方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、磁気配向度が0.9以上である希土類磁石が得られる。
「粉末粒界」とは、薄片状の原料粉末同士の界面をいい、結晶粒(主相)よりも希土類元素(R)リッチな領域となっており、希土類元素(R)の酸化物が主として含まれる。また、粉末粒界は、光学顕微鏡で確認できる程度の厚みがある。
本発明に係る希土類磁石は、成形時の圧縮方向と熱間押出加工時の圧縮方向がほぼ平行になるように、熱間押出加工することにより得られる。そのため、本発明に係る希土類磁石は、従来の方法により得られる希土類磁石に比べて、粉末粒界の形状の乱れが少ない。
粉末粒界の形状の乱れの程度は、熱間押出加工時の圧縮方向と、粉末の最大長さ方向とのなす角θの平均値θmにより表すことができる。θmは、無作為に選んだ50個以上の粉末のθから求める。
「粉末の最大長さ方向」とは、熱間押出加工の圧縮方向に対して平行な断面(その面の法線方向と、圧縮方向とのなす角が90°である面)において、粉末の長さが最も長くなる方向をいう。
本発明に係る方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、θmが70〜90°である希土類磁石が得られる。
[3.1. 配向メカニズム]
図4に、希土類磁石の配向メカニズムの模式図を示す。超急冷法により製造された原料粉末は、微細な等軸形状粒からなる主相を含んでおり、個々の主相の磁化容易軸がランダムな方向を向いた無配向組織を呈している。このような粉末を冷間成形すると、無配向組織の冷間成形体が得られる(図4(a))。
このような冷間成形体を熱間成形すると、主相粒子(2−14−1結晶)がc軸に対して優先的に成長し、主相からなる異方形状粒が生成すると同時に、成形体が緻密化する。この時、成形体に加えられる塑性ひずみは相対的に小さいので、異方形状粒は無配向なままである(図4(b))。
これに対し、薄片が積層している成形体を熱間押出加工する場合において、成形時の圧縮方向と熱間押出加工時の圧縮方向とを一致させると、薄片の最大面の法線方向に均等に応力がかかる。そのため、局所的なひずみ方向のバラツキや、磁化容易軸の配向の乱れが生じにくい。本発明に係る希土類磁石が従来の希土類磁石に比べて、高保磁力かつ高残留磁束密度であるのは、このような局所的な乱れが影響していると考えられる。
特許文献8には、希土類磁石の原料粉末を成形し、成形体を熱間据え込み加工又は熱間圧延加工を行う場合において、成形方向とは90°異なる方向に熱間据え込み加工又は熱間圧延加工を行うと、磁気特性が向上すると記載されている。
これに対し、成形体を熱間押出加工する場合、成形時の圧縮方向と熱間押出加工時の圧縮方向とをほぼ平行にすると、高い保持力と高い残留磁束密度(又は、最大エネルギー積)とを両立させることができる。
[1. 試料の作製]
超急冷法を用いて、組成の異なる2種類の粉末を作製した。各粉末の希土類元素(R)の総量は、14.0at%、又は、14.2at%とした。各粉末を、それぞれ、室温において冷間成形(一軸加圧)し、直方体状の成形体を得た。
次に、図2に示す押出成形装置12を用いて、熱間押出加工を行った。押出加工の温度は、750℃とし、圧縮ひずみが1.3となるように、ひずみ速度は、0.03〜0.08s-1の範囲で変化させた。また、熱間押出加工時の角度差は、5°以下(実施例1)、又は、90°(比較例1)とした。
[2.1. 組織]
SEMを用いて、押出加工材の断面組織を観察した。
[2.2. 磁気特性]
磁気特性の測定は、閉磁回路式及びパルス励磁式のB−Hトレーサーにより行った。閉磁回路式B−Hトレーサーは、東英工業株式会社製の直流自記磁束計TRF−5BH−25、パルス励磁式B−Hトレーサーは、東英工業株式会社製のパルス励磁型磁気特性測定装置TPM−2−08s−25VTを使用した。
閉磁回路式B−Hトレーサーは、反磁界の影響を受けないために残留磁束密度の測定に、パルス励磁式B−Hトレーサーは、磁極の飽和の影響を受けないために、本発明対象のような高保磁力磁石の保磁力の測定に適している。
残留磁束密度は、閉磁路式B−Hトレーサーでの測定値、保磁力はパルス励磁式B−Hトレーサーの測定値を採用した。
[3.1. 組織]
図5(a)及び図5(b)に、それぞれ、押出加工時の角度差が5°以下である押出加工材の断面の顕微鏡写真及びその拡大写真を示す。図5(c)及び図5(d)に、それぞれ、押出加工時の角度差が90°である押出加工材の断面顕微鏡写真及びその拡大写真を示す。図5より、角度差の相違により、粉末粒界の形状が大きく異なることがわかる。
表1に、種々の条件下で熱間押出加工することにより得られた磁石の磁気特性を示す。なお、表1には、粉末組成及び押出加工条件も併せて示した。また、図6に、種々の条件下で熱間押出加工することにより得られた磁石の磁気特性を示す。表1及び図6より、以下のことがわかる。
(3)いずれの試料も、あるひずみ速度で残留磁束密度が極大となった。これは、高ひずみ速度(短時間)では結晶粒の異方成長が不十分となったために配向が進まず、一方、低ひずみ速度(長時間)では等軸形状の異常粒成長が生じたため周囲の配向が乱れたためと考えられる。
12 押出加工装置
14 ダイ
14a キャビティ
16 パンチ
18 押出加工材
Claims (6)
- 以下の構成を備えた希土類磁石の製造方法。
(1)前記希土類磁石の製造方法は、
希土類元素(R)を含む磁性材料からなる薄片状の粉末であって、磁気異方性を有する異方形状粒と、非磁性の粒界相とを含む前記希土類磁石を製造するための粉末を成形し、成形体を得る成形工程と、
前記成形体の熱間押出加工を行い、前記異方形状粒の磁化容易軸を配向させる熱間押出加工工程と
を備えている。
(2)前記成型工程は、冷間成形と熱間成形の双方を行い、該冷間成形で得られる冷間成形体は、前記熱間成形の過程で一軸方向に圧縮され、該熱間成形時の圧縮方向が該冷間成形時の圧縮方向と平行でない。
(3)前記冷間成形工程における圧縮方向と、前記熱間押出加工工程における圧縮方向とのなす角が5°以下となっている。 - 前記熱間押出加工工程は、さらに、圧縮ひずみが1.0以上となるように、前記成形体を熱間押出加工するものからなる請求項1に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記熱間押出加工工程は、前記成形時の圧縮方向(X方向)の寸法を絞ると同時に、X方向と直交するY方向の寸法を拡げるように、前記成形体を熱間押出加工するものからなる請求項1又は2に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記粉末は、前記磁性材料の溶湯を超急冷することにより薄帯を製造し、前記薄帯を粉砕することにより得られるものからなる請求項1から3までのいずれか1項に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記磁性材料は、少なくとも前記希土類元素(R)、元素T(Tは、Fe又はFe+Co)、及びBを含むR−T−B系合金からなる請求項1から4までのいずれか1項に記載の希土類磁石の製造方法。
- 前記R−T−B系合金は、
12.5≦R≦15.0at%、
4.5≦B≦6.5at%、
0.1≦Ga≦0.7at%、
0≦Co≦6.0at%、及び、
0≦Cu+Al≦2.0at%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる請求項5に記載の希土類磁石の製造方法。
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