JP5130941B2 - 永久磁石素材の製造方法 - Google Patents

永久磁石素材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5130941B2
JP5130941B2 JP2008032476A JP2008032476A JP5130941B2 JP 5130941 B2 JP5130941 B2 JP 5130941B2 JP 2008032476 A JP2008032476 A JP 2008032476A JP 2008032476 A JP2008032476 A JP 2008032476A JP 5130941 B2 JP5130941 B2 JP 5130941B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded body
body element
ihc
permanent magnet
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008032476A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008258585A (ja
Inventor
潤一 江崎
隆弘 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP2008032476A priority Critical patent/JP5130941B2/ja
Priority to CN200810083586.7A priority patent/CN101299363B/zh
Priority to SG200802057-0A priority patent/SG146561A1/en
Publication of JP2008258585A publication Critical patent/JP2008258585A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5130941B2 publication Critical patent/JP5130941B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

本発明は、永久磁石素材の製造方法に関し、詳しくは、希土類系の材料を用いて永久磁石素材を製造する方法に関する。
従来より、電動機、発電機等(例えば、ACサーボモータ、同期モータ、ステッピングモータ、ブラシ付きDCモータ、同期発電機など)においては、例えば界磁に永久磁石を用いたものがある。これらに用いられる永久磁石に関しては、希土類系の材料を塑性加工して永久磁石素材を製造し、それに着磁して用いる方法は広く知られている。例えば特許文献1に示される永久磁石素材の製造方法は次のようにされている。希土類、鉄族金属およびホウ素を配合した原料を溶解し、単ロール法により超急冷して薄帯としたものを所要粒径に粉砕した後、冷間プレスで圧粉成形し、さらに、ホットプレスして高密度化し、更に、塑性加工を行なって所定形状のカップ状体(永久磁石素材ともいう)を製造する。以上のような方法で製造された永久磁石素材は磁気異方性(magnetic anisotropy)を有し、要求に対応して着磁されることにより、磁気特性の優れた永久磁石として利用できる特長がある。
特開平9−129463号公報
従来の永久磁石素材は、要求に対応して着磁された永久磁石を、高熱に晒される、又は外部からの減磁界を受ける、又はこれらが複合した(以下、本明細書においては単に” 高熱に晒される等”ともいう)環境下で使用した場合、短期間で永久磁石における一部に熱による減磁、又は外部磁界からの減磁、又はこれらが複合した減磁(以下、総称して不可逆減磁と呼ぶ)が生じ、性能が劣化する問題点がある。そこで一般的には、永久磁石の保磁力を高めることで、不可逆減磁が生じないように対策されている。
希土類系の永久磁石(例えばNd−Fe−B系永久磁石やPr−Fe−B系永久磁石)の保磁力を高めるには、化学量論組成(stoichiometric composition)(例えばNd2Fe14BやPr2Fe14B)よりも希土類元素の組成を増やして希土類元素リッチの組成にしたり、Feの一部をCoと置換したり、ホウ素の割合を増やしたりするが、この方法では効果には限界がある。そこで希土類元素中のNdやPrの一部をDyやTb等の保磁力を向上させる元素(以下、本明細書においては単に”Dy等”ともいう)と置換することが行われている。
しかしながら、この方法では以下のような問題点がある。すなわちDy、Tbなどの元素は大変高価であり、これらの元素を大量に使用した高保磁力用途の永久磁石はコストが高くなってしまう。また、Dy、Tbで置換する方法では、確かに保磁力は高くなるが、残留磁束密度は低くなってしまう欠点がある。更には、低い残留磁束密度を補うため、どうしても高い磁束量を要する用途では、磁石そのものの使用量を増やして対応せざるを得ないため、なおさら永久磁石コストが上昇する、といった悪循環に陥ってしまう。また永久磁石の使用量の増加は、これが組み込まれる機器の容積が大型化してしまうといった問題点も有する。
ところが近年、永久磁石に対する要求は年々過酷さを増しており、高温下、軽量化、小型化、低コスト化の全てを満足する必要がある。従って、高熱に晒される等の環境下で使用した場合でも不可逆減磁が起こらず、更にはDy、Tbなどの元素の使用量を減らし、なおかつ磁石そのものを小型化させる要求が高まってきた。
本件出願の目的は、合成成形体を用いた永久磁石素材に対して着磁することにより、磁気特性の優れた永久磁石として利用できることは勿論、永久磁石素材に着磁してなる永久磁石が高熱に晒される等、磁気特性に悪影響が及ぶような環境下で使用する場合でも、永久磁石全体の磁気特性は劣化し難く、長寿命で使用することができる永久磁石素材の製造方法を提供しようとするものである。
他の目的は、永久磁石素材全体におけるDy等の使用量は少なくても、保磁力の高い永久磁石素材を提供できる永久磁石素材の製造方法を提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
本発明における永久磁石素材の製造方法は、保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、
残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素と、
中間用の磁性粉末で形成される中間成形体要素とを、
上記高iHc成形体要素と上記高Br成形体要素との間に上記中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体を形成し、
上記中間成形体要素の磁性粉末の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて順次低くなる材質に設定し、
さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
上記の高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の上記貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、 上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体Eにおける高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって 、
永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材Fを成形するものである。
また好ましくは、保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、
残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素と、
中間用の磁性粉末で形成される中間成形体要素とを、
上記高iHc成形体要素と上記高Br成形体要素との間に上記中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体を形成し、
上記中間成形体要素の磁性粉末の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、
保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて順次低くなる材質であって、しかも、
残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて順次低くなる材質に設定し、
さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
上記の高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、
上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素との合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって、
得られる永久磁石素材における合成成形体に対する押出し方向のひずみε1と前記Y方向のひずみε2とのひずみ比ε2/ε1が、0.2〜3.5の範囲となるようにし、その上、
永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形するものであればよい。
以上のように本発明は、夫々上記磁性粉末 (magnetic powder )で形成される高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ一体化して永久磁石用合成成形体Eを形成したものであるから、従来と同様に上記永久磁石用合成成形体Eに基づく永久磁石素材Fに対して着磁することにより、磁気特性(magnetic properties)の優れた永久磁石として利用できる。
しかも、本発明は、保磁力(intrinsic coercive force)が高Br成形体要素Bに比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素Bに比較して低い材質の磁性粉末Maで形成される高iHc成形体要素Aと、残留磁束密度が高iHc成形体要素Aに比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素Aに比較して低い材質の磁性粉末Mbで形成される高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ一体化して、永久磁石用合成成形体Eを形成するものであるから、上記永久磁石用合成成形体Eに基づく上記永久磁石素材Fに着磁した永久磁石を熱に晒される等の環境下で使用する際、永久磁石における高iHc成形体要素側を高熱等の影響を受ける側に配置して使用することにより、永久磁石の上記高iHc成形体要素側は不可逆減磁(irreversible demagnetization)しにくい特長がある。よって、永久磁石全体としては磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができるという使用上の効果がある。
その上、本発明は、上記のように磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石を長寿命で使用することができるものであっても、保磁力の高い磁性粉末Maを用いた高iHc成形体要素Aと、残留磁束密度の高い磁性粉末Mbを用いた高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ一体化して、永久磁石用合成成形体Eを形成するようにしたものだから、不可逆減磁しにくく、しかも、残留磁束密度の高い特長を合せ備える永久磁石用合成成形体Eを提供することができる。
その上に、保磁力の高い磁性粉末Maを用いた高iHc成形体要素Aは、永久磁石用合成成形体E全体の内の一部分でよく、高価なDy等はその一部分に対して使用すれば足りる特長がある。このことは、永久磁石用合成成形体E全体における高価なDy等の使用量は僅かで、保磁力の高い永久磁石用合成成形体Eを安価なコストで提供することができる経済上の効果がある。
さらに本発明にあっては、保磁力の高い磁性粉末Maを用いた高iHc成形体要素Aと、残留磁束密度の高い磁性粉末Mbを用いた高Br成形体要素Bとの間に、保磁力が上記高iHc成形体要素Aから上記高Br成形体要素Bに向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素Bから上記高iHc成形体要素Aに向けて順次低くなる材質に設定してある中間用の磁性粉末Mcで形成される中間成形体要素Cを1又は2以上介在させる場合にも、上記高価なDy等の使用量を減量させて、永久磁石用合成成形体Eのコストの低減を図ることのできる経済効果もある。
他の発明の効果は以下の説明により容易に明らかになるであろう。
以下本発明の実施の形態に関し、図面を用いて説明する。
まず、図1〜図12を用いて本発明の実施に関連する技術的事項について説明する。
図1は永久磁石素材Fを作るための製法を説明する為の図面で、磁性粉末Mから形成された粉末状要素2に順次、冷間プレス、熱間プレス、塑性加工を施すことによって磁気異方性を備える永久磁石素材Fを作る例を示す。
図1(a)における2は、冷間プレスにおけるダイのキャビティ(図示省略)中に磁性粉末Mを充填して、磁性粉末Mをキャビティの内形に対応させた形状にしたものである。本件の特許請求の範囲、明細書、図面(以下「本件」という)では、これを「粉末状要素」と称する。
磁性粉末Mは、周知の手段で製造されたもの、例えば、希土類、鉄族金属およびホウ素を配合した原料を溶解して得られた溶湯を回転ロールに噴出させて、フレーク状の超急冷リボンを製造し、このフレーク状の超急冷リボンを所要粒径に粉砕すると得られる。
磁性粉末Mは、一般的に上記希土類、鉄族金属およびホウ素 を原料として製造された粉末の総称として使用されている。磁性粉末Mの合金の組成としては、要望に対応した種々の組成のものが用いられる。例えば、希土類としては、Y、ランタノイドを採用可能であるが、特にNd、Pr、Dy、Tbもしくはこれらの2種以上の混合物を好適に採用できる。また鉄族金属としては、Fe、Co、Niを採用可能であるが、特にFe、Co、もしくは両者の混合物を好適に採用できる。なお、塑性加工性(割れ防止)を向上する目的で、必要に応じてGaを添加してもよい。
図1(b)における3は、粉末状要素2を周知の冷間プレス手段(例えば、室温、面圧200〜300MPa)によって圧縮して形成された固形物である(本件では、これを「固形状要素」と称する)。図1(c)における4は固形状要素3を周知の熱間または温間プレス手段(例えば、Ar雰囲気中、700〜900℃、面圧200〜300MPa)によって圧縮して形成された固形物である(本件では、これを「高密度要素」と称する)。図1(d)におけるFは高密度要素4に塑性加工を施すことによって(例えば、700〜900℃、大気中で押出し加工を施すことによって)成形された永久磁石素材を示す(図1(d)は単一の永久磁石素材60を示す)。上記永久磁石素材Fは厚み方向(X方向)に沿って永久磁石素材F全体の磁化容易軸69が揃っており、磁気異方性を有する。例えば上記のようにして、上記磁性粉末Mから永久磁石素材Fは造られる。この永久磁石素材Fに周知の方法で着磁することにより永久磁石(図示省略)が得られる。
次に、保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素とを、寄せ合わせ一体化して合成成形体を形成し、
上記合成成形体に塑性加工を施すことによって磁気異方性を備えさせ、上記塑性加工は、合成成形体を押出して所定形状の永久磁石素材に成形する押出し加工であって、上記押出し加工に際しての押出し方向は、上記合成成形体における高Br成形体要素と高iHc成形体要素との合せ面に平行する方向へ押出し、上記合成成形体を潰す方向は、上記合せ面に直交する方向へ潰して、永久磁石素材における磁化容易軸を上記合せ面に直交する方向に向くようにする点の実施例につき、以下説明する。
なお、実施例においては、上記合成成形体を潰す方向は、上記合せ面に平行する方向で、かつ、上記押出し方向に直交する方向へ潰して、永久磁石素材における磁化容易軸を、上記合せ面に平行する方向で、かつ、上記押出し方向に直交する方向に向くようにしたものでも良い。
まず、上記押出し加工に用いる押出し金型について説明する。
図2は、永久磁石素材Fの製造方法に用いる押出し金型を示すものであって、ダイスホルダ70に装着された押出し金型71には、貫通孔73、テーパ孔75および等形通孔76が直列に形成されている。そして、貫通孔73に装填した高密度要素4を押圧パンチ(図示せず)により押圧プレスすることで、該高密度要素4がテーパ孔75および等形通孔76に押出されて、板形状の永久磁石素材Fに成形される。
前記押出金型71は、図8(a)、(b)から理解できるように押出し方向(矢印79方向)と直交する断面(押出し断面)が長方形の高密度要素4を、厚み(X方向)T1に対して幅(Y方向)W1が長い断面矩形板状の永久磁石素材Fに成形するよう形成されたものである。
すなわち、図2からも理解できるように、押出し方向79に所定長さで延在する前記貫通孔73が形成された入側金型72と、該入側金型72の出側に配置されて、貫通孔73に連通する前記テーパ孔75が形成された成形ダイス74とから押出金型71が構成され、該成形ダイス74にはテーパ孔75に連通する前記等形通孔76が出側74bに形成されている。
前記入側金型72に形成される貫通孔73は、押出し方向79と直交する断面におけるX方向およびこれと直交するY方向の各寸法が、前記高密度要素4の厚みTおよび幅Wと略同一寸法となる長方形に形成され、貫通孔73に対して高密度要素4は厚み方向をX方向および幅方向をY方向に一致させた状態で長さ方向(X方向およびY方向と直交するZ方向)に沿って装填される。
また前記成形ダイス74の出側に形成される等形通孔76は、押出し方向79と直交する断面におけるX方向およびこれと直交するY方向の各寸法が、図8(b)に示す製造する永久磁石素材Fの押出し方向79と直交する断面(押出し断面)での寸法における厚みT1および幅W1と同一に設定された矩形状に形成されている。
これに対し、前記成形ダイス74に形成されるテーパ孔75については、図3〜図6に示すように、該テーパ孔75における入口74aは、X方向およびY方向の各寸法が貫通孔73の対応する方向と同一となる長方形(X方向の寸法がTでY方向の寸法がW)に形成されると共に、該テーパ孔の出側24bは、X方向およびY方向の各寸法が等形通孔76の対応する方向と同一の矩形状(X方向の寸法がT1でY方向の寸法がW1)に形成されている。そして、テーパ孔75において、入口74aから出側74bに向けて、X方向は絞られ(図2(b)、図4参照)、Y方向は拡げられる(図2、図3参照)ように、テーパが形成されている。
すなわち、押出金型71で押出し加工される断面長方形の高密度要素4は、図7に示す如く、X方向が絞られ(潰され)、Y方向が拡げられることで、断面矩形板状の永久磁石素材Fに成形される。言い替えれば、X方向は押出し加工に際して高密度要素4を絞る(潰す)方向であり、Y方向は押出し加工に際して高密度要素4が拡がる方向である。この場合に、永久磁石素材Fは、最大圧縮方向であるX方向に磁気異方化される。
なお、前記テーパ孔75は、曲面形状で滑らかに傾斜するよう設定され、高密度要素4の円滑な塑性加工を達成し得るようにしてある。また成形ダイス74では、前記入口74aは、対応する貫通孔73と同一寸法で軸方向に所定長さで延在するよう形成され、入口74aと傾斜面との連接部も所要曲率の曲面に形成されて、高密度要素4の円滑な塑性加工を図るようにしている。また、テーパ孔75の出側74bは、等形通孔76に対して滑らかに連続して、高密度要素4の円滑な塑性加工を図るようになっている。
前記高密度要素4、押出金型71における貫通孔73、テーパ孔75および等形通孔76のX方向、Y方向およびZ方向の各寸法は、高密度要素4に対して押出し成形された永久磁石素材Fの押出し方向のひずみε1と、Y方向のひずみε2とのひずみ比ε2/ε1が、0.2〜3.5の範囲、好ましくは0.4〜1.6の範囲となるよう設定される。すなわち、厚みT1、幅W1で長さL1の板形状の永久磁石素材Fを、上記のように厚みT、幅Wで長さLの断面長方形の高密度要素4から成形する場合は、下記の式1で示す関係となるように、高密度要素4、貫通孔73、テーパ孔75および等形通孔76の前記各方向の寸法が設定される。
ε2/ε1=ln(W1/W)/ln(L1/L)=0.2〜3.5・・・(式1)
ln:自然対数
そして、ひずみ比ε2/ε1を前記式1に示す範囲に収めることで、押出し加工で得られる永久磁石の残留磁束密度(Br)、IH曲線の保磁力(iHc)および最大エネルギー積((BH)max)等の磁気特性は、据込み加工で製造した永久磁石の磁気特性と同等、あるいはそれ以上に向上する。更に、ひずみ比ε2/ε1を0.4〜1.6の範囲とすることで、得られる永久磁石の磁気特性がより向上する。
すなわち、塑性加工により永久磁石素材Fに与えられる押出し方向のひずみε1と、Y方向のひずみε2とを等しくすることで、X方向の磁気異方化度が高まり、高い磁気特性が得られるものである。従って、ひずみ比ε2/ε1を1とすることで、磁気特性は最も向上する。なお、ひずみ比ε2/ε1が前記範囲外となる場合は、X方向の磁気異方化度が低く、高い磁気特性が得られにくくなる。
〔実験例1〕
Nd:29.5質量%、Co:5質量%、B:0.9質量%、Ga:0.6質量%、残部が実質的にFeからなる磁性合金を溶製し、単ロール法で急冷して厚さ25μm、平均結晶粒径0.1μm以下の磁性薄帯を得た。更に、この磁性薄帯を粉砕して200μm以下の長さの磁性粉末Mを得た。この130.8gの磁性粉末Mで形成される粉末状要素2を常温、面圧200MPaで冷間プレスを行い圧粉成形し、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=36mmの固形状要素3を得た。更にAr雰囲気下において温度800℃、圧力200MPaでホットプレスを行ない、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmの断面長方形の高密度要素4を製造した。このときの高密度要素4の平均結晶粒径は0.1μmであった。また嵩密度/真密度は0.999であった。なお、実験例1では、定形の高密度要素4から押出し成形される永久磁石素材Fにおける前記ひずみ比ε2/ε1を変えることで、該ひずみ比ε2/ε1の影響を検証した。
すなわち、表1、表2に表れているように、前記高密度要素4に対して、押出し後の厚みT1が8mmとなり、なおかつひずみ比ε2/ε1が0.1となる例1、ひずみ比ε2/ε1が0.2となる例2、ひずみ比ε2/ε1が0.4となる例3、ひずみ比ε2/ε1が0.8となる例4、ひずみ比ε2/ε1が1.0となる比較例1、ひずみ比ε2/ε1が1.6となる例5、ひずみ比ε2/ε1が2.0となる例6、ひずみ比ε2/ε1が3.5となる例7、およびひずみ比ε2/ε1が4.0となる例8の、夫々の永久磁石素材Fが得られるように貫通孔73、テーパ孔75および等形通孔76を設計した押出金型71で、高密度要素4を押出し加工した。そして、得られた各例の永久磁石素材Fにつき、同一条件で磁化した永久磁石のX方向の残留磁束密度(Br)、IH曲線の保磁力(iHc)および最大エネルギー積((BH)max)を測定し、その結果を表1に示した。また、例1〜8および比較例1の各高密度要素4および得られた永久磁石素材Fの寸法を表2に示す。
なお、押出し加工時の高密度要素4および押出金型71の温度は800℃とし、加工機としては80トン油圧プレスを用いた。
また、例1〜8および比較例1の各永久磁石素材Fの磁気特性の具体的な測定については、永久磁石素材Fの幅中央部でかつ長さ中央部から、幅×長さ×厚みが8mm×8mm×8mmとなる磁気測定試料を採取し、該試料を3.2MA/mの磁界中で着磁したものを使用した。そして、前記着磁により飽和磁化に達している各磁気測定試料について、BHトレーサーにて磁気特性を測定した。なお、比較例1の磁気測定試料を用いて、その結晶粒の組織を観察すると偏平形状になっており、その大きさはX方向で平均0.1μm、Y方向で平均0.5μmであった。
Figure 0005130941
Figure 0005130941
〔実験例2〕
Nd:26.8質量%、Pr:0.1質量%、Dy:3.6質量%、Co:6質量%、B:0.89質量%、Ga:0.57質量%、残部が実質的にFeの磁性合金を用い、前記実験例1と同一条件で磁性粉末Mを得、順次、粉末状要素2、固形状要素3、高密度要素4を製造した。その製造した比較例1と同一寸法の高密度要素4に対し、前記比較例1と同じく、押出し後の厚みT1が8mmで、ひずみ比ε2/ε1が1.0となるよう押出し成形された永久磁石素材Fの磁気特性を、表1に比較例2として示す。また、比較例2における高密度要素4および得られた永久磁石素材Fの寸法を表2に示した。なお、押出し成形の条件および磁気特性の測定の具体的な方法は、実験例1と同じである。
次に、図1〜図8において、永久磁石素材Fに磁気異方性を備えさせる為の塑性加工として押出加工の例を説明した。しかし、磁気異方性を備えさせる為の塑性加工としては、上述の押出し加工の他に、周知のように据込み加工、圧延加工等があり、必要に応じてそれらの塑性加工を選択利用すればよい。
さらに、図1〜図8において、単一の高密度要素4に塑性加工を施して永久磁石素材Fを成形する場合について前述した。しかし、上記塑性加工及び他の周知の塑性加工は、上記高密度要素4と同視できる他の合成成形体E、即ち、図13〜33に表われる夫々の合成成形体Eについても、同様の塑性加工を適用して、夫々、対応する永久磁石素材Fを成形することができる。
次に、図1〜図8の高密度要素4、永久磁石素材F、押出金型71とは、高密度要素4と永久磁石素材Fの形状、押出し金型における貫通孔73、テーパ孔75、等形通孔76、成形ダイス74等の形状の点において異なる例を示す図9、図10について説明する。
図1〜図8を用いて上述したように、断面長方形の高密度要素4から板形状の永久磁石素材Fを製造する場合を説明したが、図9(a),(b)に示す如く、円柱形状の高密度要素4aから板形状の永久磁石素材F(永久磁石素材60a)を製造するものであってもよい。
すなわち、厚みT1、幅W1で長さL1の板形状の永久磁石素材60aを、直径(X方向およびY方向)D、長さ(Z方向)Lの円柱形状の高密度要素4aから押出し成形するに際し、そのひずみ比ε2/ε1=ln(W1/D)/ln(L1/L)が、0.2〜3.5の範囲、好ましくは0.4〜1.6の範囲となるよう貫通孔テーパ孔および等形通孔の各寸法を設定することで、上述と同様の作用効果が得られる。
ちなみに、図9の永久磁石素材60aを製造するための成形ダイス84では、図10から理解できるように、テーパ孔85は、入口84aが高密度要素4aと同一直径の円形に形成されると共に、該テーパ孔85の出側84bおよび等形通孔86が、永久磁石素材60aと同一のX方向の寸法がT1でY方向の寸法がW1の矩形状に形成されていればよい。
〔実験例3〕
前記実験例1と同一組成の磁性合金を用い、実験例1と同一条件で製造した直径D=14.5mm、長さL=22.5mmの円柱形状の高密度要素4aに対し、押出し後の厚みT1が3mmとなり、なおかつひずみ比ε2/ε1が1.0となるよう押出し成形された永久磁石素材60aのX方向の磁気特性を、表1に例9として示した。また、例9における高密度要素4aおよび得られた永久磁石素材60aの寸法を表3に示した。なお、例9の永久磁石素材Fの磁気特性の具体的な測定については、永久磁石素材Fの幅中央部でかつ長さ中央部から、幅×長さ×厚みが8mm×8mm×3mmとなる磁気測定試料を採取し、該試料を3.2MA/mの磁界中で着磁したものを、BHトレーサーにて測定した。
Figure 0005130941
次に、図1〜図8の高密度要素4、永久磁石素材Fとは、高密度要素4と永久磁石素材Fの形状の点において異なる例を示す図11について説明する。
図11(a),(b)に示す如く、厚み(X方向)T、幅(Y方向)Wで長さ(Z方向)Lの断面長方形の高密度要素4bから、厚み(X方向)T1、外周側の円弧長(Y方向)W1、内周側の円弧長(Y方向)W2で長さ(Z方向)L1の断面円弧状の永久磁石素材F(永久磁石素材60b)を押出し成形する場合を示す。
押出し成形するに際し、ひずみ比ε2/ε1=ln(((W1+W2)/2)/W)/ln(L1/L)が、0.2〜3.5の範囲、好ましくは0.4〜1.6の範囲となるよう押出金型における貫通孔73、テーパ孔75および等形通孔76等の各寸法を設定すればよい。
このように設定することで、図1〜図8を用いて上述したと同様の作用効果が得られる。なお、図11に示される永久磁石素材60bの磁気異方化方向は、円弧に沿って直角なラジアル方向となる。
〔実験例4〕
前記実験例1と同一組成の磁性合金を用い、実験例1と同一条件で製造した厚みT=24mm、幅W=23mm、長さL=25mmの断面長方形の高密度要素4bに対し、厚みT1=8mm、円弧長((W1+W2)/2)=40mm、円弧半径R1=40mmとなり、なおかつひずみ比ε2/ε1が1.0となるよう断面円弧状に押出し成形された永久磁石素材60bの磁気特性を、表1に例10として示した。
また、例10における高密度要素4bおよび得られた永久磁石素材60bの寸法を表4に示した。なお、例10の永久磁石素材60bの磁気特性の具体的な測定については、永久磁石素材60bの幅中央部でかつ長さ中央部から、幅×長さが8mm×8mmのものを切り出した後、円弧になった部分を厚み方向の両端面において片側約0.5mmずつ削って厚み7mmの磁気測定試料を採取し、該試料を3.2MA/mの磁界中で着磁したものを、BHトレーサーにて測定した。
Figure 0005130941
表1に示す実験結果から、ひずみ比ε2/ε1について、0.2≦ε2/ε1≦3.5の範囲に設定することで、磁気特性が向上することが確認され、0.4≦ε2/ε1≦1.6の範囲とすることで、磁気特性が更に向上することが確認された。更には、ひずみ比ε2/ε1が1に近づくにつれて、磁気特性が最も向上することが確認された。また、比較例1、2及び例1〜10の永久磁石素材Fは、何れも外観は良好であり、切捨てが必要な部分は、長さ方向の最先端部および最後端部の夫々約2mmを除いて皆無であった。更に、浸透探傷試験および過流探傷試験の結果、表面割れおよび内部割れの発生は確認されなかった。すなわち、本発明によれば、高い磁気特性を有する永久磁石を、生産性、歩留および製造コストの点で優れている押出し加工により製造し得ることが確認された。
次に、図1〜図8の高密度要素4、永久磁石素材Fとは、高密度要素4と永久磁石素材Fの形状の点において異なる例を示す図12について説明する。
1.図12(a)に示す如く、短軸D1、長軸D2で長さ(Z方向)Lの断面楕円形の高密度要素4cから、図12(b)に示すように、最大厚み(X方向)T1、円弧辺の円弧長(Y方向)W1、直線辺の幅(Y方向)W2で長さ(Z方向)L1の断面蒲鉾形の永久磁石素材F(断面蒲鉾形の永久磁石素材60c)、または図12(c)に示すように、最大厚み(X方向)T1、外周側の円弧長(Y方向)W1、内周側の円弧長(Y方向)W2で長さ(Z方向)L1の断面三日月形の永久磁石素材F(断面三日月形のの永久磁石素材60d)を製造するものであってもよい。
この場合は、ひずみ比ε2/ε1=ln(((W1+W2)/2)/D2)/ln(L1/L)が、0.2〜3.5の範囲、好ましくは0.4〜1.6の範囲となるよう、押出金型71の貫通孔73、テーパ孔75および等形通孔76等の各方向の寸法を設定することで、図1〜図8を用いて上述したと同様の作用効果が得られる。
ここで、断面楕円形の高密度要素4cから断面蒲鉾形の永久磁石素材60cあるいは断面三日月形の永久磁石素材60dを製造する場合における高密度要素4cのX方向およびY方向は、得られる永久磁石素材60c、60dの厚みT1、幅(円弧長)W1,W2の関係によって決まる。
すなわち、短軸D1がX方向で長軸D2がY方向となる場合と、短軸D1がY方向で長軸D2がX方向となる場合とがある。ちなみに、この関係は楕円形から矩形に成形する場合で考えても同様であるので、その具体例を表5に示す。
Figure 0005130941

2.予備成形体および永久磁石の断面形状に関しては、各例で示した以外の形状であってもよい。また、予備成形体と永久磁石の断面の組合わせについては、実施例の組合わせ以外であってもよい。
3.図2〜図7を用いて前述した上記成形ダイス74では、そのテーパ孔75の入口を、貫通孔73に対して等形となる部分を所定長さで形成したが、貫通孔73の端にテーパが直接連続するようにテーパ孔75を形成してもよい。
次に図13〜図42に示されている本発明の実施例を説明する。
永久磁石素材Fの製造方法は、図13に表れているように、保磁力が高Br成形体要素Bに比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素Bに比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素Aと、残留磁束密度が高iHc成形体要素Aに比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素Aに比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素Bとを、寄せ合わせ、一体化して永久磁石用の合成成形体Eを形成し、上記合成成形体Eに塑性加工を施すことによって磁気異方性を備えさせるようにしてある。
この点を図13を用いてさらに詳しく説明する。図13は永久磁石素材Fの製法を説明する為の図面で、(a)〜(d)に順次表われるように、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bを形成し、それらを寄せ合わせ一体化して永久磁石用合成成形体E(
本件では、これを「合成成形体E」とも称する。)を形成し、さらに合成成形体Eに塑性加工を施して永久磁石素材Fを作る例を示す。
図13(a)、(b)、(c)夫々の上段の高iHc成形体要素Aにおいて、6は冷間プレスにおけるダイのキャビティ(図示省略)中に、磁性粉末を充填して形成された高iHc粉末状要素を示す。なお、上記磁性粉末は、図1を用いて前述した磁性粉末Mと同様に、周知の手段で製造すればよい。この磁性粉末の材質は、高Br成形体要素Bを形成する磁性粉末に比較して保磁力が高く、かつ、残留磁束密度が低い材質であればよい。例えば、上記実験例2で用いた磁性粉末Mを用いてもよいし、又は、不可逆減磁に対する要望、サイズの大小やコストに係る要望等により、磁性合金の組成を変えたり、Dy等を増減した磁性粉末を用いてもよい。本件では、これらの磁性粉末を「磁性粉末Ma」とも称する。このような磁性粉末Maの残留磁束密度は、高Br成形体要素Bの残留磁束密度より低く、かつ、保磁力は、高Br成形体要素Bの保磁力より高いという条件を備える。なお、高iHc成形体要素Aに用いられる磁性粉末は、全てが磁性粉末Maであってもよいし、上記の条件の範囲で磁性粉末Maと後述の磁性粉末Mbを適量宛配合したものであってもよい。 7は、高iHc粉末状要素6を冷間プレス手段によって成形される高iHc固形状要素、8は、高iHc固形状要素7を熱間または温間プレス手段によって製造される高iHc高密度要素を示す。なお、冷間プレス手段、熱間または温間プレスとしては、周知の手段を用いればよく、例えば、図1を用いて前述したと同様に冷間プレス手段、熱間または温間プレス手段を行なえばよい。
次に、図13(a)、(b)、(c)夫々の下段の高Br成形体要素Bにおいて、11は、冷間プレスにおけるダイのキャビティ(図示省略)中に、磁性粉末Mbを充填して形成された高Br粉末状要素を示す。なお、この磁性粉末Mbは、図1を用いて前述した磁性粉末Mと同様に、周知の手段で製造すればよい。この磁性粉末Mbの材質は、高iHc成形体要素Aを形成する磁性粉末Maに比較して保磁力が低く、かつ、残留磁束密度が高いという条件を備える材質であればよい。例えば、上記実験例1で用いた磁性粉末M(Br:1.47T、iHc:1.22MA/m)を用いてもよいし、又は、不可逆減磁に対する要望、サイズの大小やコストに係る要望等により、磁性合金の組成を変えたり、Dy等を加えたりした磁性粉末を用いてもよい。本件では、これらの磁性粉末を「磁性粉末Mb」とも称する。なお、高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末は、全てが上記磁性粉末Mbであってもよいし、上記の条件の範囲で磁性粉末Mbと磁性粉末Maを適量宛配合したものであってもよい。
12は高Br粉末状要素11を冷間プレス手段によって成形される高Br固形状要素、13は高Br固形状要素12を熱間または温間プレス手段によって製造される高Br高密度要素を示す。なお、冷間プレス手段、熱間または温間プレス手段としては、周知の手段を用いればよく、例えば、図1を用いて前述したと同様に冷間プレス手段、熱間または温間プレスを行なえばよい。
なお、高iHc高密度要素8と高Br高密度要素13の夫々の外形寸法は、両者を寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc高密度要素8:厚みT2=18mm、幅W2=19mm、長さL2=25mm; 高Br高密度要素13:厚みT2=18mm、幅W2=19mm、長さL2=25mmとすればよい。すると合成成形体Eは、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmとなる。
次に、夫々個別に製造した高iHc高密度要素8(高iHc成形体要素A)と、高Br高密度要素13(高Br成形体要素B)とを、図13(c2)に表われているように、任意周知の手段で寄せ合わせる。この寄せ合せた状態は、次段の塑性加工に用いる金型に挿入するまでバラバラ(離れ離れ)にならないよう軽い力で押えておけばよい(例えば、各要素をロボットハンド等で金型に挿入する直前まで押さえておけばよい)。上記寄せ合わせた状態の合成成形体Eには、一体化する為の任意の周知の手段、例えば、周知の一体化させる為のプレス手段を施せば一体化させることができる。またこの時点で、要望に対応して、後述する図20〜図22に表われているような任意の外形形状に成形してもよい。
次に、図13(c2)の寄せ合わせた状態の合成成形体E(2種合成成形体51)に、磁気異方性を備えさせる為の塑性加工を施して、図13(d)の永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)を成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよく、例えば、図1〜図8を用いて前述したと同様に、押出し金型71を用いる押出加工を施して成形すればよい。合成成形体Eは、塑性加工で高温になることで希土類元素リッチ相が溶融し、自然に一体化する。
次に上記押出し加工に際しての押出し方向は、磁極における一方の側が保磁力の高い側となり、他方の側が残留磁束密度の高い側となるようにして利用する場合は、例えば、上記合成成形体Eにおける高Br成形体要素Bと高iHc成形体要素Aとの合せ面57に平行する方向(矢印79方向)へ押出し、上記合成成形体Eを潰す方向は、上記合せ面57に直交する方向(X方向)へ潰して(絞って)、永久磁石素材Fにおける磁化容易軸69を上記合せ面57に直交する方向(X方向)に向くようにするとよい。
このような押出加工を施すことは、本発明の目的である「磁極の一方側に保磁力が高い高iHc成形体要素A側が位置し、磁極の他方側に残留磁束密度が高い高Br粉末状要素B側が夫々位置させる」ことになる。このことは図15、16、24、26、28、30、33に表われる夫々の合成成形体Eに塑性加工を施して、永久磁石素材Fを成形する場合においても同様である。
上記永久磁石素材Fに着磁を施して永久磁石として利用する場合は、磁極における一方の側が保磁力の高い側となり、他方の側が残留磁束密度の高い側となるようにして利用することのできる特長がある。
図13(d)の永久磁石素材Fにおいて、67は高iHc成形体要素A側、68は高Br成形体要素B側を示し、69は磁化容易軸の方向を示す。
なお、永久磁石素材Fの外形寸法は、合成成形体Eに施す塑性加工により相違するが、例えば、上記実験例1における比較例1と同様の押出し加工を施した場合、合成成形体E:厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmの場合、永久磁石素材F:厚みT1=8mm、幅W1=40mm、長さL1=53.4mmとなる。
以上のように製造された2層の永久磁石素材Fは、全体の磁化容易軸69が揃っており、磁気異方性を有する。よって、永久磁石素材Fに着磁することにより、磁気特性の優れた永久磁石として利用できる。この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表6に示す。さらに、この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフを図14に示す。
Figure 0005130941
上記表6、図14に示されるように、永久磁石の高iHc成形体要素A側は、Dy含有率は3.6質量%だから保磁力は極めて高い(1.85MA/m)。よって、永久磁石を熱に晒される環境下で使用する際、永久磁石における高iHc成形体要素A側を熱の影響を受ける側に配置して使用することにより、永久磁石の高iHc成形体要素A側は不可逆減磁しにくい特長があるので、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表6に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bの平均値で1.8質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
なお、永久磁石の高iHc成形体要素A側の保磁力、高Br粉末状要素B側の保磁力として、夫々1.85MA/m、1.22MA/mのものを例示した。しかし、これらは、図13(d)の永久磁石素材Fに着磁したものの一例を示すものである。一般に、永久磁石素材Fに着磁する永久磁石の使用場所、温度条件、外部磁界の大きさ、磁石の寸法によって必要な保磁力は異なる。よって、必要に応じて、高iHc成形体要素A側と高Br成形体要素B側の夫々の磁性粉末Ma、Mbの組成を変える等して保磁力を設定すればよい。
次に、図13(a)〜(c2)の合成成形体Eに至る過程とは、高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ、一体化する過程の点において異なる例を示す図15、図16について説明する。
図15は、(a)〜(d)に順次表われるように、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bを形成し、それらを図15(b2)の時点で寄せ合わせ、一体化して合成された固形状要素10を形成し、その合成固形状要素10に熱間プレスを施して合成成形体Eを形成し、さらに合成成形体Eに塑性加工を施して永久磁石素材Fを作る例を示す。
なお、本件における各図においては、他の図のものと機能、性質、手段又は特徴等が同一又は均等と考えられる部分には、他の図に用いたと同一の符号を付して、他の図に係る機能、性質、手段又は特徴等についての説明を援用する。よって重複する説明は省略する。
図15(b2)において、10は、高iHc固形状要素7(高iHc成形体要素A)と、高Br固形状要素12(高Br成形体要素B)とを、寄せ合わせ一体化した合成固形状要素を示す。この寄せ合せは、次段の熱間または温間プレスに用いる金型に挿入するまでバラバラ(離れ離れ)にならないよう図13(c2)について説明したと同様に軽い力で押えておけばよい。この合成固形状要素10を熱間または温間プレス手段によって一体化し、図15(c)の合成成形体E(2種合成成形体51)を形成する。合成固形状要素10は、熱間または温間プレスで高温にすることで希土類元素リッチ相が溶融し、自然に一体化する。
なお、熱間または温間プレスとしては、周知の手段を用いればよく、例えば、図1を用いて前述したと同様に冷間プレス手段、熱間または温間プレスを行なえばよい。
次に、図15(c)の合成成形体Eに塑性加工を施して、図15(d)の永久磁石素材Fを成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
以上のように製造された永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)は、実施例1と同様の作用効果が得られる。
次に、図16は、図16(a)の時点で図13で説明した磁性粉末Maと磁性粉末Mbとをキャビティ内において寄せ合わせ、一体化して合成された粉末状要素9を形成し、その合成粉末状要素9を冷間プレス、熱間プレスによって、順次、合成固形状要素10、合成成形体Eを形成し、さらに合成成形体Eに塑性加工を施して永久磁石素材Fを作る例を示す。
図16(a)の合成粉末状要素9を構成する高iHc粉末状要素6と高Br粉末状要素11は、磁性粉末Maと磁性粉末Mbとを寄せ合わせ(ダイのキャビティ中に並列状態に充填して)一体化して形成された粉末状要素である。なお、磁性粉末Maと磁性粉末Mbとをダイのキャビティ中に充填する際には、予めキャビティ内に任意の仕切り用の治具を用いて磁性粉末Maと磁性粉末Mbを充填する空間を仕切るようにしておけばよい。さらに、上記治具表面に予めステアリン酸Liを塗布しておくとよい。そのようにすると、磁性粉末Maと磁性粉末Mbの充填後、治具を引き抜くとき、粉末の持ち上がりが解消される。
図16(b)の10は合成粉末状要素9を冷間プレス手段によって形成された合成固形状要素を示し、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ一体化して形成されたものである。この合成固形状要素10に熱間または温間プレス手段によって図16(c)の合成成形体E(2種合成成形体51)を形成する。なお、冷間プレス手段、熱間または温間プレス手段としては、周知の手段を用いればよく、例えば、図1を用いて前述したと同様に冷間プレス手段、熱間または温間プレスを行なえばよい。
次に、図16(c)の合成成形体Eに塑性加工を施して、図16(d)の永久磁石素材Fを成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
以上のように製造された永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)は、実施例1と同様の作用効果が得られる。
次に、図13(c2)の合成成形体Eに施す塑性加工における潰す方向(X方向)とは、押出加工に際しての合成成形体Eを潰す方向を、合成成形体Eの合せ面57に平行する方向で、かつ、押出し方向79に直交する方向(Y方向)へ潰した点において異なる例を示す図17について説明する。
この図17に示す例は、本発明の目的である次の点、即ち、永久磁石素材Fにおける磁化容易軸69を、上記合せ面57に平行する方向で、かつ、押出し方向79に直交する方向に向くようにする永久磁石素材Fの製造方法を提供する例である。
図17(a)〜(c)に順次表れるように、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bを製造する。次に、夫々個別に製造した図17(c)の高iHc成形体要素A(高iHc高密度要素8)と、高Br成形体要素B(高Br高密度要素13)とを、図17(c2)に表われているように、幅方向(Y方向)に寄せ合わせ一体化して合成成形体E(2種合成成形体51)を製造する。
なお、図17(c)の高iHc高密度要素8と高Br高密度要素13の夫々の外形寸法は、両者を寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc高密度要素8:厚みT2=36mm、幅W2=9.5mm、長さL2=25mm; 高Br高密度要素13:厚みT2=36mm、幅W2=9.5mm、長さL2=25mmとすればよい。このようにすると合成成形体Eは、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmとなる。
次に、図17(c2)の合成成形体Eに塑性加工を施して、図17(d)の永久磁石素材Fを成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
さらに、上記押出し加工に際しての押出し方向は、図13の場合とは異なり、上記合成成形体Eにおける高Br成形体要素Bと高iHc成形体要素Aとの合せ面57に平行する方向(矢印79方向)へ押出し、上記合成成形体Eを潰す(絞る)方向は、上記合せ面57に平行する方向で、かつ、上記押出し方向に直交する方向へ潰して、永久磁石素材Fにおける磁化容易軸を、上記合せ面に平行する方向で、かつ、上記押出し方向に直交する方向に向くようにしてもよい。
上記図17(図18、図19の場合も同旨)のように構成された永久磁石素材Fに、着磁を施して永久磁石として利用する場合は、一方の側が保磁力の高い側となり、他方の側が残留磁束密度の高い側となるようにして利用することができる。
以上のように製造された永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)は、実施例1と同様の作用効果が得られる。
次に、図17(a)〜(c2)の合成成形体Eに至る過程とは、高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ一体化する過程の点において異なる例を示す図18、図19について説明する。
図18は永久磁石素材Fの製法を説明する為の図面で、(a)〜(d)に順次表われるように、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bを形成し、それらを図18(b2)の時点で、図17(c)の場合と同様に幅方向(Y方向)に寄せ合わせ一体化して合成固形状要素10を形成する。上記合成固形状要素10は、高iHc固形状要素7(高iHc成形体要素A)と、高Br固形状要素12(高Br成形体要素B)とを、寄せ合わせ一体化した合成固形状要素を示す。
この合成固形状要素10を熱間または温間プレス手段によって図18(c)の合成成形体E(2種合成成形体51)を形成する。なお、熱間または温間プレスとしては、周知の手段を用いればよく、例えば、図1を用いて前述したと同様に冷間プレス手段、熱間または温間プレスを行なえばよい。
次に、図18(c)の合成成形体Eに塑性加工を施して、図18(d)の永久磁石素材Fを成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
以上のように製造された永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)は、実施例4と同様の作用効果が得られる。
図19は永久磁石素材Fの製法を説明する為の図面で、(a)〜(d)に順次表われるように、図19(a)の時点で高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとを寄せ合わせ一体化して合成粉末状要素9を形成する。
上記合成粉末状要素9は、高iHc粉末状要素6(高iHc成形体要素A)と高Br粉末状要素11(高Br成形体要素B)とを寄せ合わせ(ダイのキャビティ中に共に充填して)一体化して形成された合成した粉末状要素を示す。なお、粉末状要素6、11の充填手段は、図16について説明したと同様にすればよい。
図19(b)の10は合成粉末状要素9を冷間プレス手段によって形成された合成固形状要素を示し、この合成固形状要素10には前述の実施例5の場合と同様の考え方で熱間または温間プレス手段と塑性加工を施して、図19(d)の永久磁石素材Fを成形する。
以上のように製造された永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)は、実施例4と同様の作用効果が得られる。
次に、図13の合成成形体E、永久磁石素材Fとは、形状の点において異なる例を示す図20、21、22について説明する。
図20は、円柱形状の合成成形体Eから板形状の永久磁石素材Fを製造する方法を提供するものである。図21は、断面長方形の合成成形体Eから断面円弧状の永久磁石素材Fを製造する方法を提供するものである。図22は、図22(a)の断面楕円形の合成成形体Eから図22(b)の断面蒲鉾形の永久磁石素材Fを製造する方法を提供するものである。さらに、図22(a)の断面楕円形の合成成形体Eから図22(c)の断面三日月形永久磁石素材Fを製造する方法を提供するものである。
図20(a)の円柱形状の合成成形体Eの外径寸法(直径D、長さL)は、上記図9を用いて前述した高密度要素4aと同様に設定すれば良い。
さらに、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bの夫々の外形寸法は、両者を寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとを、合成成形体Eを合せ面57で2等分した寸法にすればよい。
次に、図20(b)の板形状の永久磁石素材Fの外径寸法(厚みT1、幅W1、長さL1)は、上記図9を用いて前述した永久磁石素材60aと同様に設定すれば良い。
合成成形体Eを永久磁石素材Fに成形する塑性加工としては、周知の塑性加工を用いればよく、例えば、図9、10を用いて前述したと同様に、押出加工を施して成形すればよい。
次に図21(a)の合成成形体Eの外径寸法(厚み(X方向)T、幅(Y方向)W、で長さ(Z方向)L)は、上記図11を用いて前述した高密度要素4bと同様に設定すれば良い。
なお、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bの夫々の外形寸法は、両者を寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとを、合成成形体Eを合せ面57で2等分した寸法にすればよい。
次に、図21(b)の断面円弧状の永久磁石素材Fの外径寸法(厚み(X方向)T1、外周側の円弧長(Y方向)W1、内周側の円弧長(Y方向)W2、長さ(Z方向)L1)は、上記図11を用いて前述した永久磁石素材60bと同様に設定すれば良い。
合成成形体Eを永久磁石素材F(図21(b)参照)に成形する塑性加工としては、周知の塑性加工を用いればよく、例えば、図11を用いて前述したと同様に押出加工を施して成形すればよい。
次に図22(a)の合成成形体Eの外径寸法(短軸D1、長軸D2、長さ(Z方向)L)、は、図12を用いて前述した高密度要素4cと同様に設定すれば良い。なお、図22(a)の合成成形体Eを形成する高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bの夫々の外形寸法は、両者を寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとを、合成成形体Eを合せ面57で2等分した寸法にすればよい。
図22(b)に示される断面蒲鉾形のの永久磁石素材Fの外径寸法(最大厚み(X方向)T1、円弧辺の円弧長(Y方向)W1、直線辺の幅(Y方向)W2で長さ(Z方向)L1)は、上記図12を用いて前述した永久磁石素材60cと同様に設定すれば良い。
図22(c)の断面三日月形の永久磁石素材Fの外径寸法(最大厚み(X方向)T1、外周側の円弧長(Y方向)W1、内周側の円弧長(Y方向)W2で長さ(Z方向)L1)は、図12を用いて前述した永久磁石素材60cと同様に設定すれば良い。
なお、合成成形体Eを永久磁石素材F(図22(b)又は図22(c)参照)に成形する塑性加工としては、周知の塑性加工を用いればよく、例えば、図11を用いて前述したと同様に押出加工を施して成形すればよい。
次に、図13の合成成形体Eを構成するにあたり、高iHc成形体要素Aに用いられる磁性粉末Maと、磁性粉末Mb、及び高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末Mbと、磁性粉末Maとの配合割合は、用途においての要望(例えば、不可逆減磁に対する要望、サイズの大小、コストの低減等)によって相対的に配合割合を増減して決定すればよい。なお、このことは、例えば表7、9、11、13、15、17のいずれに関しても、磁性粉末Maと磁性粉末Mbとの配合割合は、要望される永久磁石について、夫々対応できるように加減して決定すればよいものである。
次に、相対的な割合の増減例を説明する。本例は、図13(d)の永久磁石素材Fに着磁することにより使用される永久磁石における高Br成形体要素B部に、より高保磁力が要求される場合、その要求に対応することができる永久磁石素材Fの製造方法を提供するものである。なお、上記要求される保磁力として、例えば、後出の図34の条件の場合、すなわち、永久磁石の厚み方向の距離t=0で1.85MA/m、t=T1で1.22MA/m、t=0〜T1の間は直線的に変化するような保磁力が要求されるような条件の場合を想定する。本例の高iHc成形体要素A及び高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末Mbの例としては、例えば表7に示される配合割合、比率を用いればよい。なお、2層目には2種類の粉末を配合して使用したが、当然ながら直接iHc=1.535MA/mの特性をもつ1種類の磁性粉末を準備して使用しても良い。この時の成分組成は、実験例2で用いた磁性粉末と実験例1で用いた磁性粉末の全成分を足して2で割った値となる。
Figure 0005130941
表7に示されるような材質で形成される高iHc成形体要素Aと高Br粉末状要素Bとを用い、図13(a)〜(d)に順次示されるように永久磁石素材F(2種永久磁石素材61)を製造する。図13(a)〜(d)の過程については、図13を用いて前述したと同様に行なえばよい。
以上のように製造された2層の永久磁石素材Fに着磁された永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表8に示す。さらに、この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフを図23に示す。
Figure 0005130941
上記表8、図23に示されるように、永久磁石の高iHc成形体要素A側は、Dy含有率は3.6質量%だから保磁力は極めて高い(1.85MA/m)。また、永久磁石の高Br成形体要素B側は、Br=1.415Tであり、永久磁石全体におけるBrは、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bの平均値で1.3875Tとなり、高い残留磁束密度を有する。よって、図13を用いて前述したと同様に、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表8に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bの平均値で2.7質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
次に、図13(c2)の合成成形体Eとは、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に1つの中間成形体要素Cが介在する状態で寄せ合わせて一体化して合成成形体Eを形成する点において異なる例を示す図24について説明する。図24は、(a)〜(d)に順次表われるように、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bと、中間高密度要素Cを形成し、それらを寄せ合わせ、一体化して合成成形体E(3種(複数種)合成成形体52)を形成し、さらに合成成形体Eに塑性加工を施して永久磁石素材F(3種永久磁石素材62)を作る例を示す。
永久磁石素材Fの製造方法は、図24に表れているように、高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bと、中間用の磁性粉末Mcで形成される中間成形体要素Cとを、上記高iHc成形体要素Aと上記高Br成形体要素Bとの間に上記中間成形体要素Cが介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体Eを形成し、上記中間成形体要素Cの磁性粉末Mcの材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体Eの状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素A から上記高Br成形体要素Bに向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素B から上記 高iHc成形体要素Aに向けて順次低くなる材質(本件では、このような材質の磁性粉末を「磁性粉末Mc」又は「中間用の磁性粉末Mc」とも称する)に設定してあり、さらに、上記合成成形体Eに塑性加工を施すことによって磁気異方性を備えさせる。
この点を図24を用いてさらに詳しく説明する。
図24の1層目の高iHc成形体要素Aにおける高iHc高密度要素8及び3層目の高Br成形体要素Bにおける高Br高密度要素13は、図13を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。
次に、上記高iHc成形体要素A及び高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末Ma, Mbの例としては、例えば表9に示される配合割合、比率を用いればよい。
Figure 0005130941
次に、図24(a)、(b)、(c)夫々の2層目の中間成形体要素Cにおいて、16は冷間プレスにおけるダイのキャビティ(図示省略)中に、磁性粉末Mcを充填して形成された中間粉末状要素を示す。なお、この磁性粉末Mcは、図1を用いて前述した磁性粉末Mと同様に、周知の手段で製造すればよい。この磁性粉末Mcの材質の設定は、図24(c2)の合成成形体Eの状態で、保磁力が高iHc成形体要素Aから高Br成形体要素Bに向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が高Br成形体要素Bから高iHc成形体要素Aに向けて順次低くなる条件を備える材質に設定すればよい。なお、磁性粉末Mcは、磁性粉末Maと磁性粉末Mbとを適当な割合で混合して(表9、11、13、15、17から容易に想定できる量を混合して)用いてもよいし、又は磁性粉末Ma又は磁性粉末Mbに対して夫々適当な磁性合金の組成を増減させて用いてもよい。その場合、磁性粉末Mcは、合成成形体Eの状態で、保磁力が高iHc成形体要素Aから高Br成形体要素Bに向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が高Br成形体要素Bから高iHc成形体要素Aに向けて順次低くなるような条件を満たせばよい。例えば、上記表9に示される磁性粉末Mcを用いてもよい。図24(b)の17は中間粉末状要素16を冷間プレス手段によって成形される中間固形状要素、図24(c)の18は中間固形状要素17を熱間または温間プレス手段によって製造される高Br高密度要素を示す。なお、冷間プレス手段、熱間または温間プレス手段としては、周知の手段を用いればよく、例えば、図1を用いて前述したと同様に冷間プレス手段、熱間または温間プレスを行なえばよい。
上記説明において、「成形体要素」という用語は、磁性粉末から合成成形体に至る、形を造る過程の粉末状要素、固形状要素又は高密度要素の総称的用語である。さらに、成形体要素において、高iHc、高Br、中間等の字句は、他のものと相対的な材質を区別する為に付された字句である。
なお、高iHc高密度要素8と高Br高密度要素13と中間高密度要素18の夫々の外形寸法は、全者を寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc高密度要素8と高Br高密度要素13と中間高密度要素18夫々を厚みT2=12mm、幅W2=19mm、長さL2=25mmとすればよい。 このようにすると、合成成形体Eは厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmとなる。
次に、夫々個別に製造した高iHc高密度要素8(高iHc成形体要素A)と、高Br高密度要素13(高Br成形体要素B)と、中間高密度要素18(中間成形体要素C)とを、図24(c2)に表われているように、寄せ合わせ、一体化して合成成形体E(3種合成成形体52)を製造する。この寄せ合わせは、図13を用いて説明したと同様の考えですればよい。
なお、本件においては、上記のように複数の成形体要素(符号A及びB、又は、符号A、B及びCが付された成形体要素)を寄せ合わせ一体化したものを合成成形体Eと称する。
次に、図24(c2)の合成成形体Eに塑性加工を施して、図24(d)の永久磁石素材F(3種永久磁石素材62)を成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
なお、永久磁石素材Fの外形寸法は、合成成形体Eに施す塑性加工により相違するが、例えば、上記実験例1における比較例1と同様の押出し加工を施した場合、合成成形体E:厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmの場合、永久磁石素材F:厚みT1=8mm、幅W1=40mm、長さL1=53.4mmとなる。
以上のように製造された3層の永久磁石素材Fに着磁した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表10に示す。さらに、この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフを図25に示す。
Figure 0005130941
上記表10、図25に示されるように、永久磁石の高iHc成形体要素A側は、Dy含有率は3.6質量%だから保磁力は極めて高い(1.85MA/m)。また、永久磁石の高Br成形体要素B側は、Br=1.433Tであり、永久磁石全体におけるBrは、各層の平均値で1.397Tとなり、高い残留磁束密度を有する。よって、図13を用いて前述したと同様に、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表10に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に、中間成形体要素Cを介在させることにより、それら三者の平均値で2.4質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
次に、図13(c2)の合成成形体Eとは、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に複数の中間成形体要素Cが介在する状態で寄せ合わせて一体化して合成成形体Eを形成する点において異なる例を示す図26〜図32について説明する。
図26は個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bと、複数(2種)の中間高密度要素Cを夫々形成し、それらを寄せ合わせ、一体化して合成成形体E(4種(複数種)合成成形体53)を形成し、さらに合成成形体Eに前述した塑性加工を施して永久磁石素材Fを作る例を示す。
図28は、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bと、複数(3種)の中間高密度要素Cを夫々形成し、それらを寄せ合わせ一体化して合成成形体E(5種(複数種)合成成形体54)を形成し、さらに合成成形体Eに前述した塑性加工を施して永久磁石素材F(5種永久磁石素材64)を作る例を示す。
図30は、個別に高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bと、複数(8種)の中間高密度要素Cを夫々形成し、それらを寄せ合わせ、一体化して合成成形体E(10種(複数種)合成成形体55)を形成し、さらに合成成形体Eに前述した塑性加工を施して永久磁石素材F(10種永久磁石素材65)を作る例を示す。
さらに、図32は、上記図30において、中間成形体要素Cの数を18種に増加させる場合には、Dy含有率が少なくなること、永久磁石全体のBrが増加することを説明する為の図である。
永久磁石素材Fの製造方法は、図26に表れているように、高iHc成形体要素Aと、高Br成形体要素Bと、夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末Mcで形成される複数の中間成形体要素とを、上記高iHc成形体要素Aと上記高Br成形体要素Bとの間に上記複数の中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体Eを形成し、上記複数の中間成形体要素Cの各磁性粉末Mcの夫々の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体Eの状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素Aから上記高Br成形体要素B に向けて夫々順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素Bから上記高iHc成形体要素A に向けて夫々順次低くなる材質(本件では、このような材質の磁性粉末を「磁性粉末Mc」又は「中間用の磁性粉末Mc」とも称する)に夫々設定してある。さらに、上記合成成形体Eに塑性加工を施すことによって磁気異方性を備えさせてある 。
この点を図26を用いてさらに詳しく説明する。
図26の1層目の高iHc成形体要素Aにおける高iHc高密度要素8及び4層目の高Br成形体要素Bにおける高Br高密度要素13は、図13を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。
次に、上記高iHc成形体要素A及び高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末Mの例としては、例えば表11に示される配合割合、比率を用いればよい。
Figure 0005130941
次に、図26の2層目と3層目における複数の中間成形体要素C(中間成形体要素20a、中間成形体要素20b)夫々における中間高密度要素23a、23bは、図24を用いて説明した中間高密度要素18と同様の考えで形成するとよい。上記複数の中間成形体要素Cに用いられる相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末Mcの夫々の材質は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体Eの状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素Aから上記高Br成形体要素B に向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素Bから上記高iHc成形体要素A に向けて順次低くなる材質になるように設定すればよい。なお、上記複数の磁性粉末Mcは、磁性粉末Maと磁性粉末Mbとを適当な割合で混合して(表11、13、15、17から容易に想定できる量を混合して)用いてもよいし、磁性粉末Ma又は磁性粉末Mbに対して夫々適当な磁性合金の組成を増減させて用いてもよい。その場合、磁性粉末Mcは、合成成形体Eの状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素Aから上記高Br成形体要素B に向けて夫々順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素Bから上記高iHc成形体要素A に向けて夫々順次低くなるような条件を満たせばよい。 例えば、上記複数の磁性粉末Mcの夫々の材質の例としては、1層から4層を含めて、例えば、表11に示される配合割合、比率のものを用いればよい。
なお、図26(c)の高iHc高密度要素8、高Br高密度要素13、2層目及び3層目の中間高密度要素23a、23bの夫々の外形寸法は、これらを寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体Eになるような寸法に形成すればよい。例えば、高iHc高密度要素8、高Br高密度要素13、2層目及び3層目の中間高密度要素23a、23bの夫々を厚みT2=9mm、幅W2=19mm、長さL2=25mmとすればよい。すると、合成成形体Eは、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmとなる。
次に、夫々個別に製造した高iHc高密度要素8(高iHc成形体要素A)と、高Br高密度要素13(高Br成形体要素B)と、2層目及び3層目の中間高密度要素23a、23b(複数の中間成形体要素C)とを、図24(c2)に表われているように、寄せ合わせ一体化して合成成形体E(4種合成成形体53)を製造する。この寄せ合わせは、図13を用いて説明したと同様の考えですればよい。
次に、図26(c2)の合成成形体Eに塑性加工を施して、図26(d)の永久磁石素材F(4種永久磁石素材63)を成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
なお、永久磁石素材Fの外形寸法は、合成成形体Eに施す塑性加工により相違するが、例えば、上記実験例1における比較例1と同様の押出し加工を施した場合、合成成形体E:厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmの場合、永久磁石素材F:厚みT1=8mm、幅W1=40mm、長さL1=53.4mmとなる。
以上のように製造された4層の永久磁石素材Fに着磁した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表12に示す。さらに、この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフを図27に示す。
Figure 0005130941
上記表12、図27に示されるように、永久磁石の高iHc成形体要素A側は、Dy含有率は3.6質量%だから保磁力は極めて高い(1.85MA/m)。また、永久磁石の高Br成形体要素B側は、Br=1.4425Tであり、永久磁石全体におけるBrは、各層の平均値で1.40125Tとなり、高い残留磁束密度を有する。よって、図13を用いて前述したと同様に、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表12に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に複数(2層)の中間成形体要素Cを介在させることにより、それら四者のとの平均値で2.25質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
次に、図28について説明する。
図28の1層目の高iHc成形体要素Aにおける高iHc高密度要素8及び5層目の高Br成形体要素Bにおける高Br高密度要素13は、図13を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。さらに、2層目〜4層目の中間成形体要素C(中間成形体要素30a〜30c)における複数の中間高密度要素33a〜33c夫々は、図26を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。例えば、上記高iHc成形体要素A、高Br成形体要素B及び複数の中間成形体要素Cに用いられる磁性粉末Mの例として、表13に示される配合割合のものを用いてもよい。合成成形体Eにおける高iHc成形体要素A、高Br成形体要素B及び複数の中間成形体要素Cの厚さの比率は、例えば、表13に示されるようにすればよい。
Figure 0005130941
なお、図26(c)の高iHc高密度要素8、高Br高密度要素13、2層目〜4層目の中間高密度要素33a〜33cの夫々の外形寸法は、これらを寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体E(5種(複数種)合成成形体54)になるような寸法に形成すればよく、例えば、高iHc高密度要素8、高Br高密度要素13、中間高密度要素33a、33bの夫々を厚みT2=7.2 mm、幅W2=19mm、長さL2=25mmとすればよい。すると、合成成形体Eは、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmとなる。
次に、夫々個別に製造した高iHc高密度要素8(高iHc成形体要素A)と、高Br高密度要素13(高Br成形体要素B)と、2層目〜4層目の中間高密度要素33a〜33c(複数の中間成形体要素C)とを、図28(c2)のように、寄せ合わせ一体化して合成成形体E(5種合成成形体54)を製造する。この寄せ合わせは、図13を用いて説明したと同様の考えですればよい。
次に、合成成形体Eに塑性加工を施して、図28(d)の永久磁石素材F(5種永久磁石素材64)を成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
なお、永久磁石素材Fの外形寸法は、合成成形体Eに施す塑性加工により相違するが、例えば、上記実験例1における比較例1と同様の押出し加工を施した場合、合成成形体E:厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmの場合、永久磁石素材F:厚みT1=8mm、幅W1=40mm、長さL1=53.4mmとなる。
以上のように製造された5層の永久磁石素材Fに着磁された永久磁石における、残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表14に示す。さらに、この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフを図29に示す。
Figure 0005130941
上記表14、図29に示されるように、永久磁石の高iHc成形体要素A側は、Dy含有率は3.6質量%だから保磁力は極めて高い(1.85MA/m)。また、永久磁石の高Br成形体要素B側は、Br=1.448Tであり、永久磁石全体におけるBrは、各層の平均値で1.404Tとなり、高い残留磁束密度を有する。よって、図13を用いて説明したと同様に、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表14に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に複数(3層)の中間成形体要素Cを介在させることにより、それら五者の平均値で2.16質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
次に、図30について説明する。なお、図30の説明にあっては、1層目〜10層目の高iHc成形体要素A、高Br成形体要素B及び中間成形体要素Cについて夫々の外観図を正しく記載すべきであるが、3層目〜8層目の図は、2層目の外観と同様に表われるので図示は省略した。
図30の1層目の高iHc成形体要素Aにおける高iHc高密度要素8及び10層目の高Br成形体要素Bにおける高Br高密度要素13は、図13を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。さらに、2層目〜9層目の中間成形体要素Cにおける図30(c)の複数の中間高密度要素夫々は、図26を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。
例えば、上記高iHc成形体要素A、複数の中間成形体要素C及び高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末Mの例としては、表15に示される配合割合を参考にして用いれば、本発明における複数の中間成形体Cを備える永久磁石素材Fの実施は可能になる。合成成形体Eにおける高iHc成形体要素A、複数の中間成形体要素C及び高Br成形体要素Bの比率は表15に示されるようにすればよい。
Figure 0005130941
なお、図30(c)の高iHc高密度要素8(1層目)、高Br高密度要素13(10層目)、中間高密度要素(2層目〜9層目)の夫々の外形寸法は、これらを寄せ合わせ一体化したときに、所定の外形寸法の合成成形体E(10種(複数種)合成成形体55)になるような寸法に形成すればよく、例えば、高iHc高密度要素8、高Br高密度要素13、複数の中間高密度要素(2層目〜9層目)の夫々を厚みT2=3.6mm、幅W2=19mm、長さL2=25mmとすればよい。すると、合成成形体Eは、厚みT=36mm、幅W=19mm、長さL=25mmとなる。
次に、夫々個別に製造した高iHc高密度要素8(高iHc成形体要素A)と、高Br高密度要素13(高Br成形体要素B)と、2層目〜9層目の複数の中間高密度要素(複数の中間成形体要素C)とを、図30(c2)に表われているように、寄せ合わせ一体化して合成成形体E(10種合成成形体55)を製造する。
上記寄せ合わせる配列順は1層〜10層の順になるようにするとよい。
次に、図30(c2)合成成形体Eに塑性加工を施して、図30(d)の永久磁石素材F(10種永久磁石素材65)を成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
以上のように製造された10層の永久磁石素材Fに着磁された永久磁石における、残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表16に示す。さらに、この永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフを図31に示す。
Figure 0005130941
上記表16、図31に示されるように、永久磁石の高iHc成形体要素A側は、Dy含有率は3.6質量%だから保磁力は極めて高い(1.85MA/m)。また、永久磁石の高Br成形体要素B側は、Br=1.459Tであり、永久磁石全体におけるBrは、各層の平均値で1.4095Tとなり、高い残留磁束密度を有する。よって、図13を用いて説明したと同様に、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表16に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に複数の中間成形体要素Cを介在させることにより、それら10者の平均値で1.98質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
次に、図33について説明する。前述の図13と図16においては、2種合成成形体Eを形成するに当り、図13(a)のように、相互に個別状態にある高iHc粉末状要素6と高Br粉末状要素11、又は図16(a)に示されるように一つのキャビティ内に並列状態に収っている高iHc粉末状要素6と高Br粉末状要素11を、選択的に利用する例について説明した。
図33の場合は、複数種合成成形体Eを形成するに当たって、図13及び図16の例に習って粉末状要素を、選択的に利用して形成する例を説明するものである。即ち、保磁力が高Br粉末状要素11に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br粉末状要素11に比較して低い材質の磁性粉末Maで形成される高iHc粉末状要素6と、残留磁束密度が高iHc粉末状要素6に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc粉末状要素6に比較して低い材質の磁性粉末Mbで形成される高Br粉末状要素11と、夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末Mcで形成される複数の中間粉末状要素41とを、キャビティ5内において、相互に並列する状態で、上記高iHc粉末状要素6と上記高Br粉末状要素11との間に上記複数の中間粉末状要素が介在する状態で、寄せ合わせ、それらをプレス手段によって、一体化して合成成形体Eを形成し、上記複数の中間粉末状要素41の各磁性粉末Mcの夫々の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体Eの状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素Aから上記高Br成形体要素B に向けて夫々順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素Bから上記高iHc成形体要素A に向けて夫々順次低くなる材質に夫々設定してある永久磁石用合成成形体Eを製造するものである。
これらの点をさらに説明すれば、先に図30(c2)において、永久磁石用複数種合成成形体として例示した10種合成成形体Eを、図30(a)列の粉末状要素を利用して形成すればよいと説明した。しかし、図13及び図16の説明から自明なように、合成成形体Eを形成するに当たっては、図16の考え方に習って、図33(a)のように、磁性粉末Maと磁性粉末Mbとの間に、2層目〜9層目の異質の磁石粉末Mcをキャビティ中に並列状態で充填して形成される合成粉末状要素9を選択利用すればよい。なお、図において、9は高iHc粉末状要素6と、高Br粉末状要素11と、夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末Mcで形成される複数の中間粉末状要素41とを、キャビティ5内において、相互に並列する状態で、上記高iHc粉末状要素6と上記高Br粉末状要素11との間に上記複数の中間粉末状要素が介在する状態で、寄せ合わせて構成された合成粉末状要素を示す。この合成粉末状要素9には、周知のプレス手段を施し、一体化して合成成形体Eを形成する。10は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bと複数の中間成形体要素Cとを、上記高iHc成形体要素Aと上記高Br成形体要素Bとの間に上記複数の中間成形体要素Cが介在する状態で、寄せ合わせ一体化して形成された合成固形状要素である。
上記図33(a)列の粉末状要素の時点で寄せ合わせ一体化する製法によれば、図30に比較して低コストで永久磁石素材Fを提供することができる。すなわち、図30の場合のように各粉末状要素を個別に形成する例では、多数(例えば21回)プレス作業が必要になるのに比べ、図33のようにキャビティ内に多種の粉末状要素を並べた例では、小数(例えば3回)のプレス作業で済む。なお、図33と図30の永久磁石素材Fを着磁した永久磁石の磁気特性は同一であった。
さらに、前述した図24〜図28に表われる中間粉末状要素16、21、31を用いて夫々の他の複数種合成成形体Eを形成する場合においても、図33(a)(b)(c)における中間粉末状要素41及び中間固形状要素42等の数を要望に応じて対応減少させることによって、前述と同様の考えで、対応層数の合成成形体Eを形成すればよい。
なお、前述の図13〜図33においては、合成成形体Eを構成する高iHc成形体要素A、高Br成形体要素B、中間成形体要素Cは、等寸法の例で説明した。しかし、不可逆減磁に対する要望、サイズの大小やコストに係る要望等に応じて、夫々の合わせ方向のサイズ(厚さ方向又は幅方向のサイズ)は適宜増減すればよい。
次に図32について説明する。図32は前述したように、図30における中間成形体要素Cの層の数を、10層増加させて18層にした場合の保磁力(iHc)と残留磁束密度(Br)の関係を説明する為のものである。なお、本実施例15における図面、即ち実施例14の図30に対応する図面は、図30において、中間成形体要素Cを10層増加させた図になる。よって、自明なので図示は省略する。
1層目の高iHc成形体要素Aにおける高iHc高密度要素及び20層目の高Br成形体要素Bにおける高Br高密度要素は、図13を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。さらに、2層目〜19層目の中間成形体要素Cの複数の中間高密度要素夫々は、図26を用いて説明したと同様の考えで形成するとよい。例えば、本実施例15における高iHc成形体要素A、18層の中間成形体要素C及び高Br成形体要素Bに用いられる磁性粉末M夫々の例としては、例えば表17に示される配合割合のものを用いてもよい。さらに合成成形体Eにおける高iHc成形体要素A、複数の中間成形体要素C及び高Br成形体要素Bの比率は、表17に示されるようにすればよい。
Figure 0005130941

次に、高iHc成形体要素A、18層の中間成形体要素C及び高Br成形体要素Bを用いて永久磁石素材Fを製造する方法は、表17に示されるような材質の磁性粉末Mから形成される、高iHc成形体要素A、18種の中間成形体要素C及び高Br成形体要素Bから、20層の合成成形体E、永久磁石素材Fを形成する。その過程については、図30を用いて前述したと同様の考えで行なえばよい。
以上のように製造された永久磁石素材F(20種永久磁石素材)の残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)及びDy含有率を表18に示す。
Figure 0005130941
本例にあっては、表18、図32から理解できるように、永久磁石素材Fの一面側67(高iHc成形体要素側)は保磁力が高い(1.85MA/m)。また、永久磁石の高Br成形体要素B側は、Br=1.4645Tであり、永久磁石全体におけるBrは、各層の平均値で1.41225Tとなり、高い残留磁束密度を有する。よって、図13を用いて説明したと同様に、永久磁石全体として磁気特性が劣化しにくく、磁気特性の優れた永久磁石として長寿命で使用することができる。
しかも、表18に示されるように、永久磁石全体におけるDyの使用量は、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bとの間に複数の中間成形体要素Cを介在させることにより、それら20層の平均値で1.89質量%となり、高価なDyを少ない使用量で上記のような高保磁力を発揮できる永久磁石を得ることが可能となる特長がある。
なお、図24〜図33を用いて前述した実施例10〜実施例15においては、高iHc成形体要素A、中間成形体要素C、高Br成形体要素Bを、X方向に寄せ合わせ一体化して、合成成形体Eを形成する例を説明した。しかし、高iHc成形体要素A、中間成形体要素C、高Br成形体要素Bを寄せ合わせ一体化して合成成形体Eを形成する場合、図17(c)に示されると同様の考えで、Y方向に寄せ合わせて合成成形体Eを形成してもよい。
次に、上記図13、23、24、26、28、30、32、33に表われている永久磁石素材Fの磁気特性の具体的な測定は次の通り。
前述した実験例1と同様に、永久磁石素材Fの幅中央部でかつ長さ中央部から、幅×長さ×厚みが8mm×8mm×8mmとなる切片を採取し、さらに各要素部分単層になるまで厚み方向を削り込み、それを実験例1と同じ厚み(8mm)になるよう複数枚を重ね合わせ、各要素毎の磁気測定試料とした。そして該試料を3.2MA/mの磁界中で着磁したものを使用して、残留磁束密度、保磁力を測定した。
さらに、上記図17〜19に表われている永久磁石素材Fの磁気特性の具体的な測定は次の通りである。永久磁石素材Fの各要素の幅中央部でかつ長さ中央部から、幅×長さ×厚みが8mm×8mm×8mmとなる切片を採取し、各要素毎の磁気測定試料とした。そして該試料を3.2MA/mの磁界中で着磁したものを使用して、残留磁束密度、保磁力を測定した。
次に、高iHc成形体要素A、高Br成形体要素B、中間成形体要素Cを形成する磁性粉末Mの材質を選定する例について、図34〜図41を用いて説明する。
図34〜図41は、永久磁石素材Fに対して、図34に示すような所定の保磁力が要求される場合に、その要求に対応して、不可逆減磁が生じないように磁性粉末Mの材質を選定する設計例を説明する為のものである。なお、永久磁石素材Fに着磁した永久磁石を使用する場合にあっては、永久磁石の一面が高熱に晒される等の環境下、もう一面がそうではない環境下に置かれた場合、永久磁石内部には、その永久磁石に要求される保磁力に分布が生じる。例えば、要求される保磁力の分布として、図34の条件の場合について説明する。すなわち、tは永久磁石の厚み方向の距離を表すこととし、t=0で1.85MA/m、t=T1で1.22MA/m、t=0〜T1の間は直線的に変化するような保磁力が要求されるような条件を想定する。なお、温度や外部減磁界強度から、永久磁石に要求される保磁力を求める手段は公知の方法によればよい。また、安全率をある程度見込んで保磁力を多少大きく取ることも、この時点で行なっておいてもよい。ここで、図34中の斜め線より上の領域(斜線部分)の保磁力を永久磁石の厚さ方向の各部位に付与すれば不可逆減磁は生じない。
次に、実施例10に例示したような2層の永久磁石素材Fの場合について、図35を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、2層で厚み方向に均等分割を考えた場合、図35のように1層目は1.85MA/m、2層目は1.535MA/mとなるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
よって、実験例2で用いた磁性粉末Mと実験例1で用いた磁性粉末Mの2種類を使って、この保磁力を実現するためには、例えば、前述の表7に示すように、1層目には実験例2で用いた磁性粉末を100%、2層目には実験例2で用いた磁性粉末を50%と実験例1で用いた磁性粉末を50%の割合で配合すると良い。
このときの2層目の磁気特性は図23に示すように実験例2で用いた磁性粉末と実験例1で用いた磁性粉末の磁気特性の配合率の比と同じ50%:50%の位置となる。まとめとして1層目、2層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率は、前述の表8のようになる。また、2層目には2種類の粉末を配合して使用したが、当然ながら直接iHc=1.535MA/m、Br=1.415Tの特性をもつ1種類の磁性粉末を準備して使用しても良い。この時の成分組成は、実験例2で用いた磁性粉末と実験例1で用いた磁性粉末の全成分を足して2で割った値となる。
次に、実施例10に例示したような2層の永久磁石素材Fの場合について、図35とは異なる例を図36を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、図36のように、保磁力の高い1層目を拡張し、不均等ピッチで分割(0.75T1の位置)して2層化を考えた場合、1層目は1.85MA/m、2層目は1.3775MA/mとなるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
なお、上記1層目及び2層目に用いられる磁性粉末Mの例として表19に示す配合割合のものを用いるとよい。本例による1層目、2層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率を表20に示す。
Figure 0005130941
Figure 0005130941

ただし、図35と図36の例では、同じ効果が得られるかというとそうではない。図36の方が、上に凸の三角形の面積の総和(塗り潰されたの三角形の面積)が大きい。すなわち、これは過剰に保磁力を付与している部分が大きいということを表している。最適な設計は、下に凸の三角形が生じないで、かつ上に凸の三角形の面積の総和が最も小さくなるようにすると、過剰に保磁力を付与している部分が最も小さいということになる。図34のように、保磁力分布が直線的に変化する場合は、各層は均等ピッチで分割し、材料の選定も必要な保磁力を下回らないようにかつ過剰な保磁力を付与しないように選定するのが最適だといえる。従って、この場合は図35の設計が最適だと言える。ただ、材料の入手性の違いなどで最適な保磁力が選定できないなどの制約がある場合は、不均等ピッチでの分割でも過剰な保磁力の削減効果が望めるので、適用する価値はあるといえる。
次に、実施例11に例示したような3層の永久磁石素材Fの場合について、図37を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、3層で厚み方向に均等分割を考えた場合、図37のように1層目は1.85MA/m、2層目は1.64MA/m、3層目は1.43MA/mとなるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
なお、上記1層目〜3層目に用いられる磁性粉末Mの例としては、例えば表9に示される配合割合のものを用いるとよい。本例による1層目〜3層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率は表10のようになる。
次に、実施例12に例示したような4層の永久磁石素材Fの場合について、図38を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、4層で厚み方向に均等分割を考えた場合、図38のように1層目は1.85MA/m、2層目は1.6925MA/m、3層目は1.535MA/m、4層目は1.3775MA/mとなるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
なお、上記1層目〜4層目に用いられる磁性粉末Mの例としては、例えば表11に示される配合割合のものを用いるとよい。本例による1層目〜4層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率は表12のようになる。
次に、実施例13に例示したような5層の永久磁石素材Fの場合について、図39を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、5層で厚み方向に均等分割を考えた場合、図39のように1層目は1.85MA/m、2層目は1.724MA/m、3層目は1.598MA/m、4層目は1.472MA/m、5層目は1.346MA/mとなるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
なお、上記1層目〜5層目に用いられる磁性粉末Mの例としては、例えば表13に示される配合割合のものを用いるとよい。本例による1層目〜5層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率は表14のようになる。
次に、実施例14に例示したような10層の永久磁石素材Fの場合について、図40を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、10層で厚み方向に均等分割を考えた場合、1層目〜10層目を図40、前述の表16のような保磁力となるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
なお、上記1層目〜10層目に用いられる磁性粉末Mの例としては、例えば、前述の表15に示される配合割合のものを用いるとよい。本例による1層目〜10層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率は表16のようになる。
次に、実施例15に例示したような20層の永久磁石素材Fの場合について、図41を用いて説明する。本例の磁性粉末Mの材質は、20層で厚み方向に均等分割を考えた場合、1層目〜20層目を図41、前述の表18のような保磁力となるよう材料を選定すれば不可逆減磁は生じない。
なお、上記1層目〜20層目に用いられる磁性粉末Mの例としては、例えば、前述の表17に示される配合割合のものを用いるとよい。本例による1層目〜20層目の磁気特性(Br、iHc)及びDy含有率は、表18のようになる。
[実験例5]
次に、次に比較例1(実験例1で用いた磁性粉末Mが100%の単層の永久磁石素材F)、比較例2(実験例2で用いた磁性粉末Mが100%の単層の永久磁石素材F)と実施例10、実施例16(2層の永久磁石素材F)、実施例11(3層の永久磁石素材F)、実施例12(4層の永久磁石素材F)、実施例13(5層の永久磁石素材F)、実施例14(10層の永久磁石素材F)、実施例15(20層の永久磁石素材F)を用いて、室温で同一の磁気性能となるよう永久磁石を製作し、同一の高熱環境下に置いた場合の作用、効果のまとめを表21に示す。
すなわち、例示したように厚みT1=8mm、幅W1=40mm、長さL1=53.5mmの永久磁石素材Fを得るが、これをこのまま着磁したのでは、例えば比較例1は残留磁束密度Brが高く、比較例2は低いため磁石全体の磁束量(フラックス値:単位はウェーバ(Wb))は異なり同一の磁気性能とはいえない。これを揃える為には、一般的には磁石重量(長さ)を調整して行う。そこで、Brが最も小さい比較例2を基準に、着磁した各永久磁石のフラックス値が同じになるよう、それぞれを長さ方向に研削した。この時の長さ及び重量を表21に示す。またDy含有率は前述の通りであるため、永久磁石1個当りのDy使用量は表21の通りとなる。
フラックス値の測定には、フラックスメータを使用した。すなわちコイルの中に永久磁石を置いて、永久磁石を一定速度でコイル中から取り除いた時の電位差から求めた磁束量をフラックス値とした。研削に際しては、内部組織を壊さないよう冷却しながら少しずつ研削した。脱磁、研削、再着磁、フラックス値測定を繰り返し比較例2のフラックス値と一致するまで実施した。
また、ここでは高熱下に晒された永久磁石の熱による不可逆減磁状況を調べた。すなわち、温度調整できる冷却水を流せる構造と電熱ヒータで加熱する構造を併せ持ち、室温〜300℃程度まで一定の温度を保持できる研磨面を持った銅ブロックを2セット準備し、この研磨面同士を対向させて配置した。この研磨面間に、厚み方向(すなわち幅W1=40mm×研磨後の永久磁石の長さの面に研磨面が接触するよう)に永久磁石を挟み込み1時間保持した。銅ブロックは永久磁石に比べ十分大きな体積を持っており、局部的な温度分布ができ難いようにした。更には接触部の銅ブロック側の直下に熱電対を埋め込み、設定した表面温度が保持されるよう冷却水とヒータをコントロールした。また研磨面には熱伝導グリスを使用して永久磁石との伝熱促進を図った。
低温側の銅ブロックの温度は65℃、高温側の温度は155℃とした。永久磁石内部にも熱電対を挿入し、厚み方向の温度分布を調べたが、高温側から低温側に直線的に変化していることを確認した。また接触面で温度ギャップが生じるため、永久磁石の表面温度は低温側接触面で70℃、高温側接触面で150℃となっていた。
以上の方法で永久磁石内に温度分布を持たせた高熱環境試験を行い、永久磁石を銅ブロック間から取り除いたのち室温までゆっくり冷却した。そして、そのまま再度フラックスメータでフラックス値を測定し、比較例2の高熱環境試験前のフラックス値で除した数値を表21に示す。従って、不可逆減磁が生じるとフラックス値は低下してしまうため、この値を不可逆減磁の度合いを表す指標として用いた。表21中の数値が1.0に近いほど不可逆減磁は起こっておらず、数値が小さいほど不可逆減磁の度合いが大きいことを示す。
結果として、比較例1はBrが高く磁石重量も少なくて済み、更にはDy使用量はゼロとなるが、高熱環境に晒されると大幅に不可逆減磁してしまい初期の性能を維持できなくなってしまう。比較例2は不可逆減磁は起こらないがBrが低く磁石重量、Dy使用量共に大きくコスト的に最も高くなってしまった。実施例10〜実施例16は、いずれも温度分布を持った高熱環境下に晒されても不可逆減磁は起こらない。また層数が多くなるほどBrは高く、磁石重量、Dy使用量は少なくなった。ただし、層数が多いほど合成成形体を作る手間が増えるためコスト上昇要因となってしまう。層数をどのくらいにするかは、要求されるコストと磁石の性能から決定すれば良い。いずれにせよ、実施例10〜実施例16は、磁気特性の優れた永久磁石として、高熱環境下でも長寿命で使用することができるという効果を持つ。
また、実施例10〜実施例16は比較例2に比べ、永久磁石長さも短くできるため、永久磁石が組み込まれる機器の容積もその分小さくできるメリットを持つことも付記しておく。
上記は、測定の容易さ、永久磁石への負荷の印加のしやすさから高熱に晒される環境下に置かれた永久磁石の不可逆減磁状況を調査したが、外部からの減磁界を永久磁石に印加して、磁界強度分布を持たせた場合や、高熱と外部からの減磁界の両方の環境に同時に晒される場合でも同様な作用・効果が得られる。温度分布や磁界強度分布から、磁石に要求される保磁力分布を求めて、これに合わせて設計を行えば良い。
Figure 0005130941
次に、図42に表れる合成成形体Eは、図13(c2)の合成成形体Eとは、高iHc成形体要素A又は高Br成形体要素Bが1枚付加されている点で異なる例を示す。
図42において、高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bは、図17を用いて前述したと同様の手段を用いて形成し、それらと同様の機能、性質又は特徴等が得られるように構成される。
次に、図42(a)のA2は、図示の如く高iHc成形体要素Aと対照的に備えさせる高iHc成形体要素を示す。なお、高iHc成形体要素A2の組成は、高iHc成形体要素Aと同様にすればよい。
次に、図42(a)の高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素Bと高iHc成形体要素A2とから形成される合成成形体Eを形成する手段は、図24を用いて説明したように、3層を寄せ合わせ一体化させて合成成形体Eを形成する手段と同様の考え方でその手段を用いればよい。さらに、合成成形体Eに塑性加工を施して、永久磁石素材Fを成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
次に、図42(b)のB2は、図示の如く高Br成形体要素Bと対照的に備えさせる高Br成形体要素を示す。高Br成形体要素B2の組成は、高Br成形体要素Bと同様にすればよい。
図42(b)の高Br成形体要素Bと高iHc成形体要素Aと高Br成形体要素B2とから形成される合成成形体Eを形成する手段は、図24を用いて説明したように、3層を寄せ合わせ一体化させて合成成形体Eを形成する手段と同様の考え方でその手段を用いればよい。さらに、合成成形体Eに塑性加工を施して、永久磁石素材Fを成形する。塑性加工としては、前述した種々の塑性加工を用いればよい。
次に、図42に示されるような、複数層からなる永久磁石素材F等の種々なタイプの必要性は、次の通りである。
実際に磁気回路に組み込まれて使われる永久磁石を考えた場合、永久磁石内部の保磁力分布は、単純に一方が高くて、他方が低い場合のみではなく、より複雑な保磁力分布を有するのが一般的である。例えば、電動機では正逆転両方向で使用されるため、これに対応するためには、両端部が高保磁力、中央部が低保磁力となるパターンが考えられる(図42(a)参照)。また他の磁気回路では、逆に両端部が低保磁力、中央部が高保磁力のような場合も有り得る(図42(b)参照)。
このような場合でも、本例の方法によれば、製造が困難でコストが高くなおかつ高価なDy等を大量に使用した高保磁力でかつ高残留磁束密度の永久磁石を用いることなく、製造が容易でコストが安くなおかつDy等の使用量が少ない永久磁石を提供できる。すなわち高保磁力−低残留磁束密度の部材(例えば上記実験例2で用いた磁性粉末Mで形成される部材)と低保磁力−高残留磁束密度の部材(例えば実験例1で用いた磁性粉末Mで形成される部材)を、保磁力分布に合わせて適切に配置してやることにより、実現できる。
部材の配置のパターンや層数は、コストと効果のバランスで決定すればよい。
図42(a)は電動機に使われる永久磁石内部の保磁力分布に合わせて、Y方向に高保磁力−低保磁力−高保磁力の3層構造とした例である。低保磁力部位に高残留磁束密度の材質を使用できるため、この永久磁石全体としては、高保磁力の単一部材のみでできた永久磁石よりも、残留磁束密度を高めることができる。またこの例ではX方向は1層であるが、この方向の保磁力の分布も大きいようならば、図42(c)のように、更にX方向にも2層、3層と増やしてやれば、必要な保磁力分布に合わせた無駄に保磁力が高い部位が少なく、残留磁束密度が高い永久磁石とすることが出来る。同時にDy等の使用量も、高保磁力の単一部材のみでできた永久磁石に比べ、少なくて済む。
図42(c)において、例えば手前が奥に比べて高い保磁力が要求されるのであれば、A>A’、B>B’、B2>B2’となるように保磁力を選定する。選定方法は図34の考え方を拡張して、保磁力−厚さ−幅の三次元系のグラフで要求される保磁力を三次元プロットし、過剰な保磁力部分(三次元なので体積)を最小にするよう材料を選定すれば、不可逆減磁が発生することなしに残留磁束密度Brが高く、磁石使用量、Dy等の使用量の減少が実現できる。
永久磁石素材の製法を説明する為の概略図。 (a)は塑性加工としての押出し加工に用いる押出し金型を説明する為の縦断正面図、(b)は押出し金型を説明する為の縦断側面図。 押出し金型における成形ダイスを説明する為の図で、拡大縦断正面図。 押出し金型における成形ダイスを説明する為の図で、拡大縦断側面図。 押出し金型における成形ダイスを説明する為の平面図 押出し金型における成形ダイスを説明する為の底面図。 押出し加工の際、押出し金型により高密度要素から永久磁石素材が押出し成形される塑性加工状態を説明する為の概略斜視図。 図1(c)(d)における塑性加工を説明する為の図で、(a)は高密度要素の概略斜視図、(b)は高密度要素に押出し加工を施して製造された永久磁石素材の概略斜視図。 図1〜図8の高密度要素、永久磁石素材Fとは異なる例を説明する為の概略斜視図。 図2〜図6の押出金型における成形ダイスとは異なる例を説明する為の概略平面図。 図1〜図8の高密度要素、永久磁石素材Fとは異なる例を説明する為の概略斜視図。 図1〜図8の高密度要素、永久磁石素材Fとは異なる例を説明する為の概略斜視図。 永久磁石素材(2種永久磁石素材)の製法を説明する為の概略図。 実施例1の永久磁石素材に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 図13(a)〜(c2)の合成成形体Eに至る過程とは異なる例を説明する為の概略図。 図13(a)〜(c2)の合成成形体Eに至る過程とは異なる例を説明する為の概略図。 図13(c2)の合成成形体Eとは、高iHc成形体要素と高Br成形体要素を寄せ合わせる方向、塑性加工における潰す方向において異なる例を説明する為の概略図。 図17(a)〜(c2)の合成成形体Eに至る過程とは、異なる例を説明する為の概略図。 図17(a)〜(c2)の合成成形体Eに至る過程とは、異なる例を説明する為の概略図。 図13の合成成形体E、永久磁石素材Fとは、形状の点において異なる例を説明する為の概略斜視図。 図13の合成成形体E、永久磁石素材Fとは、形状の点において異なる例を説明する為の概略斜視図。 図13の合成成形体E、永久磁石素材Fとは、形状の点において異なる例を説明する為の概略斜視図。 実施例10の永久磁石素材に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 永久磁石素材(3種永久磁石素材)の製法を説明する為の概略図。 実施例11の永久磁石素材に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 永久磁石素材(4種永久磁石素材)の製法を説明する為の概略図。 実施例12の永久磁石素材に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 永久磁石素材(5種永久磁石素材)の製法を説明する為の概略図。 実施例13の永久磁石素材に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 永久磁石素材(10種永久磁石素材)の製法を説明する為の概略図。 実施例14の永久磁石素材に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 実施例15の永久磁石素材(11種永久磁石素材)に着磁を施した永久磁石における残留磁束密度(Br)、保磁力(iHc)の関係を示すグラフ。 粉末状要素の時点で、高iHc成形体要素と、複数の中間成形体要素と、高Br成形体要素とを寄せ合わせ一体化する例を説明する為の図。(A)は、材質が相互に異なる粉末状要素複数を寄せ合わせ、永久磁石素材を形成する方法を説明する為の図面、(B)は(A)における(a)のS−S線端面図。 磁性粉末Mの材質を選定する一例について説明する為のグラフで、要求される厚さ方向の保磁力分布を示す。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(2層)について説明する為のグラフ。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(2層)について説明する為のグラフ。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(3層)について説明する為のグラフ。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(4層)について説明する為のグラフ。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(5層)について説明する為のグラフ。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(10層)について説明する為のグラフ。 磁性粉末Mの材質を選定する一例(20層)について説明する為のグラフ。 図13(c2)の合成成形体Eとは異なる例を説明する為の概略図。
A・・・高iHc成形体要素、
B・・・高Br成形体要素、
C・・・中間成形体要素、
E・・・永久磁石用合成成形体、
F・・・永久磁石素材、
M・・・磁性粉末、
2・・・粉末状要素、
3・・・固形状要素、
4・・・高密度要素、
5・・・キャビティ、
6・・・高iHc粉末状要素、
7・・・高iHc固形状要素、
8・・・高iHc高密度要素、
11・・・高Br粉末状要素、
12・・・高Br固形状要素、
13・・・高Br高密度要素、
16・・・中間粉末状要素、
17・・・中間固形状要素、
18・・・中間高密度要素、
20a、20b・・・中間成形体要素、
21(21a、21b)・・・中間粉末状要素、
22(22a、22b)・・・中間固形状要素、
23(23a、23b)・・・中間高密度要素、
30a〜30c・・・中間成形体要素、
31(31a〜31c)・・・中間粉末状要素、
32(32a〜32c)・・・中間固形状要素、
33(33a〜33c)・・・中間高密度要素、
40a〜40h・・・中間成形体要素、
41(41a〜41h)・・・中間粉末状要素、
42(42a〜42h)・・・中間固形状要素、
43(43a〜43h)・・・中間高密度要素、
51・・・2種(複数種)合成成形体、
52・・・3種(複数種)合成成形体、
53・・・4種(複数種)合成成形体、
54・・・5種(複数種)合成成形体、
55・・・10種(複数種)合成成形体、
57・・・合せ面、
60・・・永久磁石素材、
61・・・2種永久磁石素材、
62・・・3種永久磁石素材、
63・・・4種永久磁石素材、
64・・・5種永久磁石素材、
65・・・10種永久磁石素材、
67・・・高iHc成形体要素A側、
68・・・高Br成形体要素B側、
69・・・磁化容易軸、
70・・・ダイスホルダ、
71・・・押出金型、
72・・・入側金型、
73・・・貫通孔、
74・・・成形ダイス、
74a・・・入口、
74b・・・出側、
75・・・テーパ孔、
76・・・等形通孔、
79・・・押出し方向、
X・・・方向、
Y・・・方向、
Z・・・方向、
T・・・厚み、
W・・・幅、
L・・・長さ

Claims (6)

  1. 保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、
    残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素と、
    中間用の磁性粉末で形成される中間成形体要素とを、
    上記高iHc成形体要素と上記高Br成形体要素との間に上記中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体を形成し、
    上記中間成形体要素の磁性粉末の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて順次低くなる材質に設定し、
    さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
    上記の高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の上記貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、 上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって 、
    永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形することを特徴とする永久磁石素材の製造方法
  2. 保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、
    残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素と、
    中間用の磁性粉末で形成される中間成形体要素とを、
    上記高iHc成形体要素と上記高Br成形体要素との間に上記中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体を形成し、
    上記中間成形体要素の磁性粉末の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、
    保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて順次低くなる材質であって、しかも、
    残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて順次低くなる材質に設定し、
    さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
    上記の高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、
    上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素との合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって、
    得られる永久磁石素材における合成成形体に対する押出し方向のひずみε 1 と前記Y方向のひずみε 2 とのひずみ比ε 2 /ε 1 が、0.2〜3.5の範囲となるようにし、その上、
    永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形することを特徴とする永久磁石素材の製造方法。
  3. 保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、
    残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素と、
    夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末で形成される複数の中間成形体要素とを、
    上記高iHc成形体要素と上記高Br成形体要素との間に上記中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体を形成し、
    上記中間成形体要素の磁性粉末の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて順次低くなる材質に設定し、
    さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
    上記の高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の上記貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、 上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって 、
    永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形することを特徴とする永久磁石素材の製造方法
  4. 保磁力が高Br成形体要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc成形体要素と、
    残留磁束密度が高iHc成形体要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc成形体要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br成形体要素と、
    夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末で形成される複数の中間成形体要素とを、
    上記高iHc成形体要素と上記高Br成形体要素との間に上記中間成形体要素が介在する状態で、寄せ合わせ、一体化して合成成形体を形成し、
    上記中間成形体要素の磁性粉末の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて順次低くなる材質であって、しかも、残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて順次低くなる材質に設定し、
    さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
    上記の高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、
    上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素との合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって、
    得られる永久磁石素材における合成成形体に対する押出し方向のひずみε 1 と前記Y方向のひずみε 2 とのひずみ比ε 2 /ε 1 が、0.2〜3.5の範囲となるようにし、その上、
    永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形することを特徴とする永久磁石素材の製造方法。
  5. 保磁力が高Br粉末状要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br粉末状要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc粉末状要素と、
    残留磁束密度が高iHc粉末状要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc粉末状要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br粉末状要素と、
    夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末で形成される複数の中間粉末状要素とを、
    キャビティ内において、相互に並列する状態で、
    上記高iHc粉末状要素と上記高Br粉末状要素との間に上記複数の中間粉末状要素が介在する状態で、寄せ合わせ、
    それらをプレス手段によって一体化して合成成形体を形成し、
    上記複数の中間粉末状要素の各磁性粉末の夫々の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、
    保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて夫々順次低くなる材質であって、しかも、
    残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて夫々順次低くなる材質に夫々設定して合成成形体を形成し、
    さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
    上記の高Br成形体要素と、中間粉末状要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の上記貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、 上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって 、
    永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形することを特徴とする永久磁石素材の製造方法
  6. 保磁力が高Br粉末状要素に比較して高く、かつ、残留磁束密度が高Br粉末状要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高iHc粉末状要素と、
    残留磁束密度が高iHc粉末状要素に比較して高く、かつ、保磁力が高iHc粉末状要素に比較して低い材質の磁性粉末で形成される高Br粉末状要素と、
    夫々は相互に材質の異なる複数の中間用の磁性粉末で形成される複数の中間粉末状要素とを、
    キャビティ内において、相互に並列する状態で、
    上記高iHc粉末状要素と上記高Br粉末状要素との間に上記複数の中間粉末状要素が介在する状態で、寄せ合わせ、
    それらをプレス手段によって一体化して合成成形体を形成し、
    上記複数の中間粉末状要素の各磁性粉末の夫々の材質の設定は、上記寄せ合わせ一体化した合成成形体の状態で、
    保磁力が上記高iHc成形体要素から上記高Br成形体要素に向けて夫々順次低くなる材質であって、しかも、
    残留磁束密度が上記高Br成形体要素から上記高iHc成形体要素に向けて夫々順次低くなる材質に夫々設定して合成成形体を形成し、
    さらに、相互に連通する貫通孔と、テーパ孔と、等形通孔を備える押出金型を用意し、
    上記の高Br成形体要素と、中間粉末状要素と、高iHc成形体要素とを寄せ合わせ一体化してなる合成成形体を、上記押出金型の貫通孔に対して装填し、上記貫通孔に装填した合成成形体をテーパ孔および等形通孔に押出し、
    上記テーパ孔においては、上記合成成形体を、合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素との合せ面に直交するX方向へ潰すと共に、上記合せ面に平行し、かつ、押出し方向に直交するY方向に拡げながら、等形通孔に向けて押出す塑性加工を施し、さらに等形通孔において成形することによって、
    得られる永久磁石素材における合成成形体に対する押出し方向のひずみε 1 と前記Y方向のひずみε 2 とのひずみ比ε 2 /ε 1 が、0.2〜3.5の範囲となるようにし、その上、
    永久磁石素材に対して、上記合成成形体における高Br成形体要素と、中間成形体要素と、高iHc成形体要素等の合せ面に直交するX方向に向く磁化容易軸を備えさせた永久磁石素材を成形することを特徴とする永久磁石素材の製造方法。
JP2008032476A 2007-03-13 2008-02-13 永久磁石素材の製造方法 Active JP5130941B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008032476A JP5130941B2 (ja) 2007-03-13 2008-02-13 永久磁石素材の製造方法
CN200810083586.7A CN101299363B (zh) 2007-03-13 2008-03-12 永久磁铁用合成成型体以及永久磁铁坯料的制造方法
SG200802057-0A SG146561A1 (en) 2007-03-13 2008-03-13 Methods of producing composite compact for permanent magnet and producing permanent magnet blank

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007064175 2007-03-13
JP2007064175 2007-03-13
JP2008032476A JP5130941B2 (ja) 2007-03-13 2008-02-13 永久磁石素材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008258585A JP2008258585A (ja) 2008-10-23
JP5130941B2 true JP5130941B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=39981814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008032476A Active JP5130941B2 (ja) 2007-03-13 2008-02-13 永久磁石素材の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5130941B2 (ja)
CN (1) CN101299363B (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101847487B (zh) * 2010-06-30 2012-05-30 烟台正海磁性材料股份有限公司 梯度矫顽力钕铁硼磁体及其生产方法
KR101367797B1 (ko) * 2013-04-10 2014-02-28 세아씰텍(주) 영구자석 제조용 이방화 장치
JP6036648B2 (ja) * 2013-11-05 2016-11-30 トヨタ自動車株式会社 希土類磁石の製造方法
JP6613730B2 (ja) * 2015-09-01 2019-12-04 大同特殊鋼株式会社 希土類磁石の製造方法
US11688899B2 (en) 2018-08-21 2023-06-27 Pure Watercraft, Inc. Batteries for electric marine propulsion systems, and associated systems and methods
JP7342706B2 (ja) * 2020-01-10 2023-09-12 大同特殊鋼株式会社 永久磁石およびその製造方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6241583Y2 (ja) * 1981-05-11 1987-10-24
GB2112578B (en) * 1981-07-14 1986-03-05 Hitachi Metals Ltd Field composite permanent magnet and method of producing the same
JPS5899251A (ja) * 1981-12-05 1983-06-13 Hitachi Metals Ltd 回転電気機械用永久磁石
JPS5976157A (ja) * 1982-10-22 1984-05-01 Hitachi Metals Ltd セグメント磁石
JPS59156143A (ja) * 1983-02-25 1984-09-05 Hitachi Ltd 永久磁石界磁々極
JPH04148508A (ja) * 1990-10-11 1992-05-21 Sanyo Special Steel Co Ltd 一軸異方性希土類磁石の製造方法
US5647886A (en) * 1993-11-11 1997-07-15 Seiko Epson Corporation Magnetic powder, permanent magnet produced therefrom and process for producing them
JPH08340651A (ja) * 1995-06-12 1996-12-24 Toshiba Corp 永久磁石及び永久磁石形回転電機
US5872501A (en) * 1996-07-07 1999-02-16 Toda Kogyo Corporation Rare earth bonded magnet and rare earth-iron-boron type magnet alloy
JP2000012359A (ja) * 1998-06-18 2000-01-14 Mitsubishi Materials Corp 磁石およびその製造方法
JP4581770B2 (ja) * 2005-03-17 2010-11-17 トヨタ自動車株式会社 複合磁石およびモータおよび複合磁石の製造方法
TWI417906B (zh) * 2005-03-23 2013-12-01 Shinetsu Chemical Co 機能分級式稀土族永久磁鐵

Also Published As

Publication number Publication date
CN101299363A (zh) 2008-11-05
JP2008258585A (ja) 2008-10-23
CN101299363B (zh) 2014-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5130941B2 (ja) 永久磁石素材の製造方法
US7730755B2 (en) Process of producing permanent magnet and permanent magnet
CN101978444B (zh) 线圈装置的磁芯以及用于制造磁芯的方法
JP6044504B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
EP1830451A1 (en) Rotor for motor and method for producing the same
US20130069747A1 (en) Case-integrated bonded magnet and production method for same
CN102365142A (zh) R-t-b系稀土类永久磁铁用合金材料、r-t-b系稀土类永久磁铁的制造方法和电动机
JP6447380B2 (ja) 比抵抗が大きいSmFeN系のメタルボンド磁石成形体
KR20140041612A (ko) 압분 성형체, 리액터용 코어 및 자기 회로 부품
US20150147217A1 (en) Nanocomposite permanent magnets and method of making
JP6613730B2 (ja) 希土類磁石の製造方法
EP0452581B1 (en) Dies for extrusion moulding
US9224526B1 (en) Magnet construction by combustion driven high compaction
CN106653266A (zh) 非平面磁体的制造方法
US9199402B2 (en) Permanent magnet production method
US8511367B2 (en) Method and apparatus for fabricating a rotor for an induction motor
JP2015093312A (ja) 前方押出し鍛造装置および前方押出し鍛造方法
JP6718358B2 (ja) 希土類磁石およびその製造方法
JP4302498B2 (ja) 等方性磁石の製造方法およびその磁石
KR20160041790A (ko) 희토류 자석의 제조 방법
JP7342706B2 (ja) 永久磁石およびその製造方法
JP5845022B2 (ja) 磁気回路部品
JP2020092167A (ja) 円弧状永久磁石およびその製造方法
EP3559964A1 (en) Sintered magnet, electrical machine, use of the sintered magnet for an electrical machine and manufacturing method of a sintered magnet
JP6083153B2 (ja) コアの製造方法およびコア

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121009

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121022

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5130941

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150