JP6083153B2 - コアの製造方法およびコア - Google Patents

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Description

本発明は、コア(磁心)の製造方法およびコアに関する。
リアクトル等に用いられるコアは、一般的に磁性粉末や電磁鋼板等から作られる。また、磁気特性を調整するために磁路方向に垂直にギャップが挿入されたコアも提案されている。
特許文献1は、磁性体からなる複数の第1のコア部をギャップ板を介して接続した一対のコアユニットと、一対のコアユニットの両端にそれぞれ接続された磁性体からなる第2のコア部とを有する環状コアを開示する。第1のコア部と第2のコア部との間にエアギャップが形成される。あるいは、第1のコア部と第2のコア部が接着剤により接合される。
特許文献2は、磁性体からなる複数のコアブロックと、これらコアブロックの外周に設けられ、通電することでコアブロック間に磁力を生じさせ、その磁力により複数のコアブロック同士を接合状態とするコイルとを有するリアクトルを開示する。特許文献2に記載されたリアクトルは、複数のコアブロックの接合時にコイルに通電して磁力を発生させ、その磁力を吸引力として利用することにより複数のコアブロックを接合する。その状態でコアブロック同士を接着させることにより、簡便かつ正確なリアクトルの組み立てが実現される。
特許文献3は、ギャップ部材にセラミックス材料と熱硬化性樹脂との混合物が用いられているコアを開示する。特許文献3によれば、コアを製造するに当たり、まず、セラミックス材料と熱硬化性樹脂との混合物を加熱して熱硬化性樹脂を半硬化させたギャップ部材予備成形体を作製する。次いで、ギャップ部材予備成形体を磁性体からなるコア部に形成されたギャップ位置に配置してコア予備成形体を組み立てる。その後、コア予備成形体をボビン成形用金型にセットし、熱可塑性樹脂を射出することによりボビンを成形する。ボビン成形時に加えられる熱によって半硬化している熱硬化性樹脂が硬化する。このとき熱硬化性樹脂によりギャップ部材とコア部とが接着される。
特許文献4は、磁性層と絶縁層が交互に積層された圧粉コアを開示する。特許文献4によれば、表面に絶縁酸化被膜を有する軟磁性金属粒子をプレスして磁性層を成形する磁性層成形工程と、絶縁性粒子をプレスして非磁性層を成形する絶縁層成形工程とを交互に行うことにより、磁性層と絶縁層が交互に積層されたコアが製造される。
特開2008−263062号公報 特開2006−351722号公報 特開2007−335523号公報 特開2008−270368号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1および2によれば、磁性体からなるコア部と非磁性体からなるギャップ部が接着剤により接合される。また、特許文献4に記載の圧粉コアにおいても、磁性層と絶縁層(非磁性層)とを接合するための接着剤が必要である。この接着剤は、その後の工程でコアを焼鈍する際に加えられる熱(600〜750℃)に耐え得るように耐熱性を有する接着剤でなければならない。耐熱性接着剤は高価であるのでコストアップを招く。
特許文献3によれば、ギャップを構成する熱硬化性樹脂が半硬化しているときに発揮する粘着力によりギャップ部材とコア部が接合されるが、熱硬化性樹脂の耐熱温度は一般的に200℃前後であり、その後の工程でコアを焼鈍する際に加えられる熱に耐えることができない。また、耐熱性を有する熱硬化性樹脂を用いる場合には、上記と同様にコストアップを招く。
本発明は、高価な耐熱性接着剤を用いることなくギャップ部とコア部とが確実に接合されるようなコアの製造方法及び、そのような方法で製造されるコアを提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、磁性体からなり、磁路を形成するように直列的に配置された複数のコア部と、隣接配置された2つの前記コア部間に介装されたギャップ部とを有するコアの製造方法であって、前記ギャップ部の原材料であって非磁性及び電気絶縁性を有するベース粉末と低融点ガラス粉末とを混合した非磁性原料粉末の圧粉体を、隣接配置された2つのコア部間に介装して、前記コアの予備成形体を作製する第1工程と、前記予備成形体を、600℃から750℃の間の所定温度で加熱することにより前記低融点ガラス粉末を軟化させるとともに前記コア部を磁気焼鈍する第2工程と、前記第2工程で加熱された前記予備成形体を冷却することにより、軟化した低融点ガラス材料を固化させて前記ギャップ部を成形するとともに前記コア部と前記ギャップ部とを接着する第3工程と、を含み、前記非磁性原料粉末に含まれる低融点ガラス粉末の軟化点が、前記所定温度をT0とすると、T0−150℃以上且つT0以下の温度であり、前記非磁性原料粉末に含まれる前記低融点ガラスの体積分率が、31vol.%から69vol.%の間の体積分率である、コアの製造方法を提供する。
本発明によれば、ギャップ部の原材料は、非磁性および電気絶縁性を有するベース粉末と低融点ガラス粉末との混合粉末(非磁性原料粉末)の圧粉体である。この圧粉体を隣接配置された2つのコア部間に介装して予備成形体を作製し、予備成形体を低融点ガラス粉末の軟化点以上の所定温度で加熱する。すると、低融点ガラス粉末が軟化して流動し、ベース粉末に絡みつく。そして、その後冷却することにより、低融点ガラス材料がベース粉末に絡みついた状態で固化される。これによりギャップ部が成形される。また、軟化した低融点ガラス材料はコア部にも絡みつき、その状態で固化することによって、例えばアンカー効果によりコア部とギャップ部とが接着される。このように本発明では低融点ガラス材料をバインダーとしてコア部とギャップ部とを接着させているので、高価な耐熱性接着剤を用いることなくギャップ部とコア部とが確実に接合される。
この場合、前記低融点ガラス粉末の軟化点は750℃以下であるのがよい。また、前記第2工程にて、前記予備成形体を600℃〜750℃の間の所定温度で加熱することにより、前記低融点ガラス粉末を軟化させるとともに前記コア部を磁気焼鈍する。
一般的なコアは鉄を主成分として含有しており、その磁気焼鈍温度は600℃〜750℃である。したがって、第2工程で予備成形体を加熱することによってコア部の磁気焼鈍と低融点ガラス粉末の軟化とを同時に行わせることにより、加熱工程の短縮化を図ることができる。この場合、低融点ガラス粉末の軟化点Tは、第2工程における加熱温度をT0とすると、T0−150℃〜T0℃の間の範囲である。軟化点TがT0−150℃未満であると、第2工程での加熱時に低融点ガラスの流動性が高くなり過ぎて、低融点ガラスが流れ落ちるおそれがある。
前記ベース粉末の粒径(例えば平均粒子径Dp50)と前記低融点ガラス粉末の粒径(例えば平均粒子径Dp50)は、同程度であるのがよい。これらの粉末の粒径が同程度であれば、低融点ガラス粉末が加熱により軟化して流動性を帯びたときにベース粉末に絡みやすい。また、ベース粉末は、ギャップとしての特性を発揮するため粉末であり、非磁性及び電気絶縁性を有する粉末であればどのような粉末でもよい。ベース粉末として、アルミナ(Al)粉末、シリカ(SiO)粉末、酸化マグネシウム(MgO)粉末、酸化チタン(TiO)粉末、ジルコニア(ZrO)粉末を用いることができる。
前記コア部は、磁性材料であればどのようなものでも良いが、後の工程で焼鈍を行う必要が生じるような材料でコア部が成形されるとよい。例えば電磁鋼板をプレス等で打ち抜いてコア部を成形することができる。また、純鉄または数%の非鉄金属を含む鉄粉(磁性原料粉末)の圧粉体をコア部に用いることもできる。この場合、渦電流損失を低減するために絶縁被覆されていると良い。コア部の原材料が磁性原料粉末である場合、第2工程で軟化された低融点ガラス材料をコア部(磁性原料粉末)に容易に絡ませることができるため、コア部とギャップ部との接着力の向上が期待できる。また、磁性原料粉末と非磁性原料粉末を交互に型内に充填し、プレス成形することで、隣接配置された2つのコア部間に磁性原料粉末の圧粉体が介在された予備成形体を容易に作製することができる。
前記低融点ガラス粉末は、60wt%以下の酸化ビスマスを含有すると良い。低融点ガラス粉末中に酸化ビスマスが含まれている場合、第2工程で予備成形体が加熱されたときに低融点ガラス粉末中の酸化ビスマスが還元され、ギャップ部内にビスマスが析出される。ここで、酸化ビスマスの含有量が60wt%以下であれば、析出されたビスマスがギャップ内で分断されるので、ギャップ部の比抵抗の低下を防止できる。一方、酸化ビスマスの含有量が60wt%を越えている場合、析出されたビスマス同士がギャップ内で繋がるためにギャップ部の比抵抗が低下する。よって、ギャップ部の絶縁性を確保するために酸化ビスマスの含有量は60wt%以下であるのよがい。
前記低融点ガラス粉末は、アルカリ金属成分を含有しないのがよい。低融点ガラス粉末中にカリウムやナトリウム等のアルカリ金属成分が例えば酸化物として含有されている場合、アルカリ金属のイオン移動度が高くなるため比抵抗が低下するおそれがある。よって、ギャップ部の絶縁性を確保するために、低融点ガラス粉末にアルカリ金属成分が含有されていないのがよい。
本実施形態に係るコアの概略斜視図である。 円柱状コアブロックの製造工程を示したフローチャートである。 本実施形態に係る第1工程を示す図である。 評価用予備成形体の斜視図である。 評価サンプルのSEM−EDX画像である。 評価サンプルの外観を表す写真である。
以下、本実施形態に係るコアについて説明する。図1は、リアクトルに用いられるコアの概略図斜視図である。図1に示すように、コア10は、2本の円柱状コアブロック11,11と、2本の連結コアブロック12,12とを有する。図1からわかるように2本の円柱状コアブロック11,11が並んで平行に配設される。2本の円柱状コアブロック11,11の両端面のうち、同一方向を向いた一方の端面がともに一方の連結コアブロック12に接続され、他方の端面がともに他方の連結コアブロック12に接続される。したがって、2本の円柱状コアブロック11,11と2本の連結コアブロック12,12とによりコア10内に閉じた磁路が形成される。それぞれの円柱状コアブロック11の外周には、図示しないコイルが巻回される。
円柱状コアブロック11は、複数のコア部111と、隣接する2つのコア部111,111間に介装された複数のギャップ部112とを有する。コア部111とギャップ部112は、共に同径の円板状に形成されている。コア部111は磁性材料(磁性体)で形成される。本実施形態では、コア部111はFe系(例えばFe−Si系)の粉末(磁性原料粉末)を圧粉することにより形成される。なお、Fe系の粉末の表面は渦電流損失を低減するために電気絶縁膜で覆われている。複数のコア部111は、図示しないコイルに通電されたときに図1の点線矢印で示すような磁路を形成するように、磁路方向に沿って直列的に配置される。
ギャップ部112は非磁性材料(非磁性体)で形成される。ギャップ部112は、円柱状コアブロック11に形成される磁路方向に垂直な方向に介在されている。ギャップ部112の原材料は、非磁性及び絶縁性を有するベース粉末と低融点ガラス粉末とを混合した粉末(非磁性原料粉末)の圧粉体である。
非磁性原料粉末中のベース粉末として、本実施形態ではアルミナ(Al)粉末を用いた。その他、シリカ(SiO)粉末、酸化マグネシウム(MgO)粉末、酸化チタン(TiO)粉末、ジルコニア(ZrO)粉末がベース粉末として用いられても良い。
非磁性原料末中の低融点ガラス粉末の軟化点は、750℃以下である。この低融点ガラス粉末には、60wt%以下の酸化ビスマスが含まれており、且つ、アルカリ金属成分が含まれていない。
次に、円柱状コアブロック11の製造方法について説明する。この円柱状コアブロック11が、本発明に関連する部分に相当する。図2は、円柱状コアブロック11の製造工程を示すフローチャートである。円柱状コアブロック11の製造に当たり、まず、円柱状コアブロック11の予備成形体を作製する(第1工程)。この予備成形体は、ギャップ部112の原材料である非磁性原料粉末の圧粉体を、隣接配置された2つのコア部111間に介装することにより作製される。本実施形態においては、磁性原料粉末と非磁性原料粉末とを交互に型内に充填し、プレスすることにより予備成形体が作製される。
図3は、本実施形態に係る第1工程を示す図である。予備成形体を製造するために、まず、図3(a)に示すように、円柱状のキャビティCAが形成された金型の前記キャビティCA内に、コア部111の原料粉末(磁性原料粉末)Sを充填する。次いで、図3(b)に示すように、キャビティCA内に充填されている磁性原料粉末SをパンチPで加圧することにより、磁性原料粉末の圧粉体からなるコア部111を成形する(コア部成形工程)。次に、パンチPをキャビティCA内から引き上げ、その後、図3(c)に示すようにキャビティCA内に成形されたコア部111上にギャップ部の原料粉末(非磁性原料粉末)Tを充填する。その後、図3(d)に示すようにキャビティCA内に充填されている非磁性原料粉末TをパンチPで加圧することにより非磁性原料粉末の圧粉体112’をコア部111上に成形する(ギャップ部予備成形工程)。さらに、コア部成形工程とギャップ部予備成形工程とを交互に同一のキャビティCA内で繰り返し実施することにより、図3(e)に示すように、隣接配置されたコア部111間に非磁性原料粉末112’の圧粉体が介装された予備成形体Sが成形される。
上記のようにして作製された予備成形体Sは、次いで、加熱炉内に投入されて加熱される(第2工程)。加熱温度は、非磁性原料粉末中の低融点ガラス粉末の軟化点よりも高い温度であって、且つ、コア部111を焼鈍することにより歪みを除去することが可能な温度である。一般的に鉄系コアの焼鈍温度は600℃〜750℃である。よって、加熱温度は600℃〜750℃の間であって、且つ低融点ガラス粉末の軟化点以上の所定温度である。
第2工程にて予備成形体Sが加熱されることにより、コア部111が磁気焼鈍される。また、第2工程における加熱温度は低融点ガラス粉末の軟化点以上の所定温度であるので、この工程にて低融点ガラス粉末が軟化して流動する。流動性を帯びた低融点ガラス材料はベース粉末に絡みつく。また、コア部111と非磁性原料粉末の圧粉体との界面では低融点ガラス材料がコア部111を構成するFe系粉末にも絡みつく。なお、第2工程における加熱温度(焼鈍温度)が低融点ガラス粉末の軟化点に対して非常に高い場合は、この第2工程における加熱によって低融点ガラス材料の流動性が高まり過ぎて、低融点ガラスが予備成形体Sから流れ落ちてしまう。したがって、第2工程時における低融点ガラス材料の適度な粘性を保つために、低融点ガラス粉末の軟化点Tは、第2工程での加熱温度をT0(600℃≦T0≦750℃)とした場合、T0−150℃以上であり、且つT0℃以下であるのがよい。
第2工程にて所定時間(例えば60分)だけ予備成形体Sを加熱した後に、予備成形体Sを冷却する(第3工程)。冷却に伴い軟化していた低融点ガラス材料が固化する。このときベース粉末に絡みついた低融点ガラス材料の固化によって、ベース粉末と低融点ガラス材料が強固に接合されて、ギャップ部112が成形される。また、コア部111と非磁性原料粉末の圧粉体との界面にて軟化した低融点ガラス材料が固化することにより、アンカー効果を発揮して、コア部111とギャップ部112とが接着される。以上の工程を経て予備成形体Sから円柱状コアブロック11が製造される。製造された円柱状コアブロック11が連結コアブロック12に接続されることによって、コア10が完成する。
次に、ギャップ部112の原材料である非磁性原料粉末中の低融点ガラス粉末に含まれる成分の最適化を図るために、以下の実験を行った。
まず、低融点ガラス粉末として、表1に示すように、異なる組成を持つ3種類の低融点ガラス粉末(ガラスNo.1粉末、ガラスNo.2粉末、ガラスNo.3粉末)を用意した。
表1からわかるように、ガラスNo.1粉末及びガラスNo.2粉末には、酸化ビスマス(Bi)が含まれている。一方、ガラスNo.3粉末には酸化ビスマスが含まれていない。また、ガラスNo.3粉末にはアルカリ金属であるカリウムの酸化物(KO)が含まれているが、ガラスNo.1粉末及びガラスNo.2粉末にはアルカリ金属が含まれていない。なお、上記表1において、BはICP−AESにより測定され、その他の成分はXRFによる半定量分析により測定された。したがって、測定結果の総量が100wt%を越えているものも存在するが、おおよそ上記表1に示す含有量とみてさほど問題はない。
また、各低融点ガラス粉末の材料特性を表2に示す。
表2からわかるように、全ての低融点ガラス粉末の軟化点が500〜600℃近辺である。なお、表2において、熱膨張係数は、温度を50℃〜350℃まで変化させた場合に得られる値である。
次いで、各低融点ガラス粉末とベース粉末としてのアルミナ粉末(α−Al:株式会社高純度化学研究所製:純度3N:Dp50=1μm)とを、低融点ガラス粉末:アルミナ粉末=70:30の体積比で自動乳鉢等により混合して、ギャップ部の原材料である非磁性原料粉末を作製した。
また、コア部の原材料である磁性原料粉末として、フェライト粉末、もしくは、渦電流損失を低減するための絶縁膜を被覆した金属粉末(磁性原料粉末)を用意した。金属粉末は、純鉄粉または数%の非鉄金属を含む鉄粉であるのがよい。絶縁膜としては、600℃以上の耐熱性を有する酸化膜が好ましい。
次に、金型内のキャビティに磁性原料粉末3gを投入し、その上に非磁性原料粉末3gを投入し、さらにその上に磁性原料粉末3gを投入した。そして、キャビティ内の粉末をハンドプレスで加圧した。このとき成形圧力は6t、成形面圧は5.3ton/cmであった。これにより図4に示すような評価用予備成形体を作製した。図4に示すように、評価用予備成形体20は円柱形状であり、高さは約10mm、直径は約12mmである。また、高さ方向に沿って、コア部である磁性原料粉末の圧粉体A、ギャップ部の原材料である非磁性原料粉末の圧粉体B、磁性原料粉末の圧粉体Aが、この順で配設されている。すなわち、非磁性原料粉末の圧粉体Bが、磁性原料粉末の圧粉体Aに挟まれている。
続いて、作製した評価用予備成形体20を加熱炉内に投入し、アルゴン雰囲気で600℃に加熱した。所定時間(例えば60分)だけ評価用予備成形体20を加熱した後に、評価用予備成形体20を加熱炉から取り出して自然冷却した。これにより、隣接配置されたコア部と、それらの間に介在されたギャップ部とを有するコアの評価サンプルNo.1、No.2、No.3を作製した。ここで、評価サンプルNo.1は、低融点ガラス粉末としてガラスNo.1粉末を用いて作製した評価サンプルであり、評価サンプルNo.2は、低融点ガラス粉末としてガラスNo.2粉末を用いて作製した評価サンプルであり、評価サンプルNo.3は、低融点ガラス粉末としてガラスNo.3を用いて作製した評価サンプルである。
作製した各評価サンプルのコア部とギャップ部との界面付近をSEMにより観察した。また、デジタルマルチメータ(ケースレー社製2002型)を用い、サンプルの端面間(ギャップ部を挟んだコア部間)における抵抗(比抵抗)を測定した。図5は各評価サンプルの反射電子像であり、図5(a)が評価サンプルNo.1、図5(b)が評価サンプルNo.2、図5(c)が評価サンプルNo.3を、それぞれ表わす。また、表3に、各評価サンプルの抵抗(比抵抗)の測定結果を示した。
表3からわかるように、評価サンプルNo.1の比抵抗は7.6E+07μΩm、評価サンプルNo.2の比抵抗は8.7E+12μΩm、評価サンプルNo.3の比抵抗は1.3E+10μΩmである。絶縁物と定義される比抵抗の閾値は1.0E+10μΩmである。したがって、評価サンプルNo.2のみが、良好な電気絶縁性を示していることがわかる。
評価サンプルNo.1及び評価サンプルNo.2のギャップ部の原材料である非磁性原料粉末中の低融点ガラス粉末(ガラスNo.1粉末及びガラスNo.2粉末)には、酸化ビスマスが含有されている(表1参照)。ここで、図5(a),図5(b)からわかるように、評価サンプルNo.1及び評価サンプルNo.2においては、コア部を構成する鉄成分が低融点ガラス粉末中の酸化ビスマスと反応して、コア部とギャップ部との界面付近に酸化鉄が生成しているとともに、酸化ビスマスが還元されて金属ビスマスが析出している。図5(a)および図5(b)において、白色で表わされる部分が金属ビスマスである。金属ビスマスの周囲に酸化鉄が生成されている。評価サンプルNo.1は酸化ビスマスの含有量が多い(約80wt%)ので、金属ビスマスの析出量も多く、多量に析出した金属ビスマスがギャップ部内で繋がる。そのため比抵抗が低下すると考えられる。一方、酸化ビスマスの含有量が適度(50wt%)である評価サンプルNo.2の場合には、金属ビスマスの析出量が少ないので、析出した金属ビスマスがギャップ内で分断配置される。そのため比抵抗の低下が抑えられると考えられる。発明者らの実験によって、酸化ビスマスの含有量が60wt%以下であれば、析出した金属ビスマスがギャップ内で分断配置されることが確認された。故に、ギャップ部の電気絶縁性を確保するために、低融点ガラス粉末中に含有される酸化ビスマスの量は60wt%以下であるのがよい。また、酸化ビスマスの含有量が40wt%未満である場合には、コア部同士を接合することが困難となるので、好ましくは、酸化ビスマスの量は、40〜60wt%であるのがよい。
また、評価サンプルNo.3のギャップ部の原材料である非磁性原料粉末中の低融点ガラス粉末(ガラスNo.3粉末)には酸化ビスマスが含まれていない。一方、ガラスNo.3粉末にはアルカリ金属であるカリウムの酸化物(KO)が含まれている。図5(c)を見る限りにおいて、評価サンプルNo.3において金属カリウムの析出は確認されていないため、酸化カリウムの還元反応は起こっていないと思われる。しかしながら、評価サンプルNo.3の比抵抗は1.3E+10μΩmであり、十分に高い絶縁性を有するとは言えない。これは、低融点ガラス粉末中にアルカリ金属成分が含有されている場合に、アルカリ金属元素のイオン易動度が高いため比抵抗が低下することが原因だと考えられる。したがって、ギャップ部の電気絶縁性を確保するために、低融点ガラス粉末中にはアルカリ金属成分が含有されていないのがよい。
以上のことから、低融点ガラス粉末中には、60wt%以下の酸化ビスマスが含有され、且つ、アルカリ金属成分が含有されていないのがよい。
次に、非磁性原料粉末中のアルミナ粉末と低融点ガラス粉末の配合比率の最適化を図るために、アルミナ粉末に対する低融点ガラス粉末の体積分率を100vol.%、70vol.%、50vol.%、30vol.%、10vol.%としてそれぞれ図4に示す予備成形体を作製し(第1工程)、それらを600℃で所定時間だけ加熱し(第2工程)、その後に冷却して(第3工程)、評価サンプルを作製した。なお、ここで用いた低融点ガラス粉末は、表1に示すガラスNo.2粉末である。図6は、作製した評価サンプルの外観を表す写真である。図6(a)は低融点ガラス粉末の体積分率が100vol.%、図6(b)は低融点ガラス粉末の体積分率が70vol.%、図6(c)は低融点ガラス粉末の体積分率が50vol.%、図6(d)は低融点ガラス粉末の体積分率が30vol.%、図6(e)は低融点ガラス粉末の体積分率が10vol.%、である場合における、評価サンプルの外観写真である。
図6に示すように、アルミナ粉末と低融点ガラス粉末が等量である場合(低融点ガラス粉末の体積分率が50vol%である場合:図6(c))、最も成形性が良いことがわかる。また、低融点ガラス粉末の配合量が多い場合(低融点ガラス粉末の体積分率が70vol.%以上である場合:図6(a)、図6(b))、コア部とギャップ部との界面に大きな亀裂が発生した。これは、加熱時に低融点ガラス材料が溶け出して外部に流れ落ち、流れ落ちた部分に隙間が形成されたためと考えられる。一方、アルミナの配合量が多い場合(低融点ガラス粉末の体積分率が30vol%以下である場合:図6(d)、図6(e))、評価サンプルの持ち運び時にコア部とギャップ部との界面で剥離が起きた。また、ギャップ部が非常に脆く、崩れかけていた。これは、低融点ガラス粉末の配合量が少ないために、ベース粉末同士の結合力が弱く、ギャップ部の強度が非常に弱くされていたこと、および、コア部とギャップ部との接着力が弱いことに起因していると考えられる。これらのことから、ベース粉末に対する低融点ガラス粉末の配合比率は、31vol.%〜69vol.%であるのがよい。好ましくは40vol%〜60vol%であるのがよい。より好ましくは45〜55vol%であり、最も好ましくは50vol%である。
以上のように、本実施形態に係るコア(円柱状コアブロック11)の製造方法は、ギャップ部112の原材料であって非磁性及び電気絶縁性を有するベース粉末(例えばアルミナ粉末)と低融点ガラス粉末とを混合した非磁性原料粉末の圧粉体112’を、隣接配置された2つのコア部111間に介装して、コアの予備成形体Sを作製する第1工程と、予備成形体Sを低融点ガラス粉末の軟化点以上の所定温度(例えば600℃)で加熱することにより低融点ガラス粉末を軟化させる第2工程と、第2工程で加熱された予備成形体Sを冷却することにより、軟化した低融点ガラス材料を固化させてギャップ部112を成形するとともにコア部111とギャップ部112とを接着する第3工程と、を含む。
本実施形態によれば、低融点ガラス材料をバインダーとしてコア部111とギャップ部112とを接着させているので、高価な耐熱性接着剤を用いることなくギャップ部112とコア部111とが確実に接合される。
また、第2工程にて、予備成形体を、コア部111の磁気焼鈍温度である600℃〜750℃の間の温度であって低融点ガラス粉末の軟化点以上の所定温度(例えば600℃)で加熱している。このため第2工程で低融点ガラス粉末が軟化するとともに、コア部111が磁気焼鈍される。低融点ガラス粉末の軟化と磁気焼鈍とを同時に行わせることにより、加熱工程の短縮化を図ることができる。
また、低融点ガラス粉末は、60wt%以下の酸化ビスマスを含有する。低融点ガラス粉末中に酸化ビスマスが含まれている場合、第2工程で予備成形体Sが加熱されたときに低融点ガラス粉末中の酸化ビスマスが還元され、ギャップ部内にビスマスが析出される。ここで、酸化ビスマスの含有量が60wt%以下であれば、析出されたビスマスがギャップ内で分断されるので、ギャップ部の比抵抗の低下を防止できる。
また、低融点ガラス粉末は、アルカリ金属成分を含有しない。このため、アルカリ金属元素のイオン易動度が高いことに起因すると考えられる比抵抗の低下を防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきではない。例えば、上記実施形態においては、コア部の原材料としてFe系の粉末を用いているが、電磁鋼板等を用いても良い。この場合、プレス成形等により電磁鋼板を打ち抜いたときに発生する歪みを第2工程で焼鈍して除去することができる。また、上記実施形態では磁性原料粉末と非磁性原料粉末とを金型のキャビティ内に交互に充填して圧縮することで予備成形体Sを作製したが、磁性原料粉末の圧粉体と非磁性原料粉末の圧粉体とを別々に成形し、その後にこれらを組み合わせて予備成形体を作製してもよい。また、コア部の原材料として電磁鋼板等を用いる場合、電磁鋼板を積層配置し、隣接する電磁鋼板の間に非磁性原料粉末を充填して予備成形体を作製してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
11…円柱状コアブロック、111…コア部、112…ギャップ部、112’…磁性原料粉末の圧粉体、12…連結コアブロック、20…評価用予備成形体、S…予備成形体

Claims (4)

  1. 磁性体からなり、磁路を形成するように直列的に配置された複数のコア部と、隣接配置された2つの前記コア部間に介装されたギャップ部とを有するコアの製造方法であって、
    前記ギャップ部の原材料であって非磁性及び電気絶縁性を有するベース粉末と低融点ガラス粉末とを混合した非磁性原料粉末の圧粉体を、隣接配置された2つのコア部間に介装して、前記コアの予備成形体を作製する第1工程と、
    前記予備成形体を、600℃から750℃の間の所定温度で加熱することにより前記低融点ガラス粉末を軟化させるとともに前記コア部を磁気焼鈍する第2工程と、
    前記第2工程で加熱された前記予備成形体を冷却することにより、軟化した低融点ガラス材料を固化させて前記ギャップ部を成形するとともに前記コア部と前記ギャップ部とを接着する第3工程と、
    を含み
    前記非磁性原料粉末に含まれる低融点ガラス粉末の軟化点が、前記所定温度をT0とすると、T0−150℃以上且つT0以下の温度であり、
    前記非磁性原料粉末に含まれる前記低融点ガラスの体積分率が、31vol.%から69vol.%の間の体積分率である
    コアの製造方法。
  2. 請求項1に記載のコアの製造方法において、
    前記非磁性原料粉末の圧粉体は、前記ベース粉末と前記低融点ガラス粉末とからなる、コアの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のコアの製造方法において、
    前記低融点ガラス粉末が60wt%以下の酸化ビスマスを含有する、コアの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコアの製造方法において、
    前記低融点ガラス粉末がアルカリ金属成分を含有しない、コアの製造方法。
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