JP2018168402A - 磁心用粉末および圧粉磁心の製造方法 - Google Patents

磁心用粉末および圧粉磁心の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度で取扱性に優れた圧粉体、ひいては高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を低コストに作製可能とする。【解決手段】圧粉体に焼鈍処理を施すことで得られる圧粉磁心を作製するための磁心用粉末Aであって、絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末を主成分とし、これに軟化点が焼鈍処理温度よりも低いガラス粉末を配合して混合した混合粉からなる。少なくとも上記鉄系アモルファス合金粉末の粒子2同士は、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層5を介して結着している。【選択図】図1

Description

本発明は、磁心用粉末および圧粉磁心の製造方法に関する。
圧粉磁心とは、リアクトルやチョークコイル等の電磁部品のコアとして用いられるものであり、例えば、絶縁処理が施された(個々の粒子表面を絶縁被膜で被覆した)軟磁性金属粉末を主原料(主成分)とする磁心用粉末の圧粉体に焼鈍処理を施すことで得られる。このような圧粉磁心は、形状自由度が高く、小型化や複雑形状化の要請に対応し易い、などという利点を有することから近年重用されている。
圧粉磁心のうち、特に数十〜数百kHzの高周波領域で用いられる圧粉磁心の作製時には、軟磁性金属粉末として、純鉄の粉末よりも材料自体の抵抗率が高く、高周波領域での渦電流損(鉄損)の抑制効果に優れた鉄系合金の粉末が好ましく使用される。使用可能な鉄系合金の粉末としては、Fe−Si粉末、Fe−Ni(パーマロイ)粉末、Fe−Si−Al(センダスト)粉末および鉄系アモルファス合金粉末などを挙げることができる。一方、上記の鉄系合金粉末は、純鉄粉末よりも高硬度で圧縮成形時の塑性変形性に乏しいことから、高密度で取り扱い性に優れた圧粉体、ひいては強度および磁気特性に優れた圧粉磁心を得るためには、圧縮成形時の成形圧を高める必要がある。しかしながら、圧縮成形時の成形圧をむやみに高めると、粒子表面を被覆する絶縁被膜が損傷等し易くなるため、渦電流損が小さい低損失の圧粉磁心を安定的に得ることが難しくなる。そこで、例えば下記の特許文献1には、鉄系合金粉末(特に鉄系アモルファス合金粉末)を主原料とした磁心用粉末を用いて、低損失の圧粉磁心を作製可能とするための技術手段が提案されている。
特許文献1に開示された技術手段は、鉄系アモルファス合金粉末(特許文献1中「非晶質軟磁性合金粉末」)と、軟化点が鉄系アモルファス合金粉末の結晶化温度よりも低いガラス粉末と、結着性樹脂としてのPVA水溶液あるいはPVB溶液との混合物(実質的には、これらの混合物を造粒してなる造粒粉)を用いて圧粉体を圧縮成形し、その後、この圧粉体を鉄系アモルファス合金粉末の結晶化温度よりも低い温度で焼鈍処理する、というものである。このような技術手段によれば、以下のような作用効果が得られる。
(1)造粒粉の作製過程で鉄系アモルファス合金粉末およびガラス粉末の粒子表面を被覆するように形成されたPVA又はPVBの被膜が、造粒粉同士を結着させるバインダーとして機能するので、形状安定性が高く、取り扱い性に優れた圧粉体を得ることができる。
(2)上記の条件で圧粉体を焼鈍することにより、PVA又はPVBは完全に熱分解することなく一部が残り、その残った部分が鉄系アモルファス合金粉末の粒子表面を被覆する絶縁被膜となる。また、圧粉体に対する焼鈍処理を上記の処理条件で実施することにより、鉄系アモルファス合金粉末の粒子同士が接触するのを可及的に防止することができる。これらにより、渦電流損が小さい低損失の圧粉磁心を得ることができる。
なお、特許文献1では特に言及されていないものの、PVAは、水(純水)を溶媒とし得ることから、PVB、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂あるいはこれらの変性物等、アルコールやトルエン等の有機溶媒に溶解させる必要があるその他の結着性樹脂に比べ、人体への悪影響や環境負荷が少ないという利点を有する。
特開2010−27854号公報
特許文献1の磁心用粉末の主要部を構成する造粒粉は、流動性に優れ、圧粉体の成形性を効果的に高め得る反面、その作製に手間とコストを要するという問題がある。また、特許文献1には、“圧粉磁心の低損失化”を主たる目的とした技術手段が開示されているに過ぎず、圧粉磁心の強度(圧粉体の取扱性)やその他の磁気特性を高めるための技術手段については十分な検討がなされていない。
以上の実情に鑑み、本発明の主な目的は、鉄系アモルファス合金粉末を主成分とした場合であっても、高強度で取扱性に優れた圧粉体、ひいては高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を低コストに作製可能とすることにある。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、鉄系アモルファス合金粉末を主成分とする磁心用粉末において、鉄系アモルファス合金粉末の粒子同士を適当な樹脂を用いて結着させれば、高強度で取扱性に優れた圧粉体、ひいては高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を低コストに作製し得ることを見出し、本発明を創案するに至った。
すなわち、上記の知見に基づき創案された本願の第1発明は、圧粉体に焼鈍処理を施すことで得られる圧粉磁心を作製するための磁心用粉末であって、絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末を主成分とし、これに軟化点が焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末を配合して混合した混合粉からなり、少なくとも鉄系アモルファス合金粉末の粒子同士が、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層を介して結着していることを特徴とする。なお、本発明でいう「絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末」とは、個々の粒子表面が絶縁被膜で被覆された鉄系アモルファス合金粉末、と同義である。
本発明に係る磁心用粉末は、絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末(以下、「被膜付磁性粉末」ともいう)と、軟化点が焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末とを混合した混合粉からなる。要するに、本発明に係る磁心用粉末は、被膜付磁性粉末とガラス粉末とを混合した混合物に過ぎず、その作製過程で手間とコストを要する造粒処理は実施していないことから、造粒粉に比べて安価に作製することができる。また、本発明に係る磁心用粉末においては、少なくとも被膜付磁性粉末の粒子同士が、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層を介して結着していることから、これを適当な温度に加熱した状態で圧縮成形すれば、高強度で取扱性に優れた圧粉体(圧粉磁心の基材)を得ることができる。さらに、本発明に係る磁心用粉末は、軟化点が焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末を含んでいることから、当該磁心用粉末の圧粉体に焼鈍処理を施すと、ガラス粉末が軟化・溶融してから隣接する粒子間で硬化することにより、隣接する粒子同士の結着力を増加させる。以上より、高強度で取扱性に優れ、かつ磁気特性に優れた圧粉磁心を低コストに得ることができる。
被膜付磁性粉末に対する樹脂層の重量比は0.5〜1%とするのが好ましく、また、被膜付磁性粉末に対するガラス粉末の添加量は0.1〜1wt%とするのが好ましい。被膜付磁性粉末に対する樹脂層やガラス粉末の重量比が小さ過ぎると、圧粉体および圧粉磁心の強度を十分に高めることができず、また、被膜付磁性粉末に対する樹脂層やガラス粉末の重量比が大き過ぎると、所望の磁気特性を確保するのが難しくなるからである。
ガラス粉末の平均粒径は、被膜付磁性粉末の平均粒径よりも小さくするのが好ましい。ガラス粉末として、平均粒径が被膜付磁性粉末のそれよりも大きいものを使用すると、所望の磁気特性を確保するのが難しくなるからである。
また、上記課題を解決するために創案された本願の第2発明は、圧粉体に焼鈍処理を施すことで得られる圧粉磁心を製造するための方法であって、絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末を主成分とし、これに軟化点が焼鈍処理温度よりも低いガラス粉末を配合して混合した混合粉からなり、少なくとも上記鉄系アモルファス合金粉末の粒子同士が、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層を介して結着した磁心用粉末を得る粉末作製工程と、磁心用粉末を、上記熱可塑性樹脂の軟化点以上融点以下の成形温度で圧縮成形することにより圧粉体を得る圧縮成形工程と、圧粉体に焼鈍処理を施す焼鈍工程と、を有することを特徴とする磁心用粉末の製造方法を提供する。
上記のように、本願の第1発明に係る磁心用粉末を、熱可塑性樹脂(上記樹脂層を構成する熱可塑性樹脂)の軟化点以上融点以下の成形温度で圧縮成形すれば、圧粉体を一層高強度化しつつ、圧粉体を適切に離型することができるので、形状精度や磁気特性に優れた圧粉磁心を安定的に量産することができる。
上記の樹脂層は、絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末(被膜付磁性粉末)と熱可塑性樹脂の粉末(樹脂粉末)とを、熱可塑性樹脂の融点以上に加熱した状態で混合することで得ることができる。
樹脂粉末の平均粒径は、被膜付磁性粉末の平均粒径よりも小さくするのが好ましい。これにより、樹脂粉末の分散性を高めて、被膜付磁性粉末に対する樹脂の接着面積を大きくすることができるので、高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を得る上で有利となる。
以上に示すように、本発明によれば、鉄系アモルファス合金粉末を主成分とした場合であっても、高強度で取扱性に優れた圧粉体、ひいては高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を低コストに作製することが可能となる。
(a)図は、本発明に係る磁心用粉末に含まれる結着粉を模式的に示す図、(b)図は(a)図に示す結着粉を構成する磁性粉末の粒子を模式的に示す図である。 (a)図は圧縮成形工程の初期段階を模式的に示す図、(b)図は圧縮成形工程の途中段階を模式的に示す図である。 圧粉磁心の一例であるチョークコイル用コアの概略斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る磁心用粉末A(図2(a)参照)は、例えばチョークコイル用のコア10(図3参照)のような圧粉磁心を作製する際の原料粉末として用いられる。磁心用粉末Aは、図1(a)に概念的に示すような結着粉1を主粉末とし、必要に応じて所定量の固体潤滑剤を混合した混合粉からなる。結着粉1は、樹脂層5を介して被膜付磁性粉末の粒子2同士が結着したものであり、被膜付磁性粉末の粒子2表面にはガラス粉末の粒子(ガラス粒子6)が付着している。そして、圧粉磁心としてのコア10は、例えば、粉末作製工程、圧縮成形工程および焼鈍工程を順に経て製造される。以下、各工程について詳述する。
[粉末作製工程]
粉末作製工程では、詳細な図示は省略するが、例えば、いわゆるV型やW型(ダブルコーン型)などの混合機を用いて各種粉末を混合すること(のみ)により、磁心用粉末Aを得る。
具体的には、まず、混合機の内部に被膜付磁性粉末と熱可塑性樹脂の粉末(以下、単に樹脂粉末という)とを投入する。ここで、被膜付磁性粉末とは、予め絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末である。従って、被膜付磁性粉末を構成する個々の粒子2は、図1(b)に模式的に示すように、鉄系アモルファス合金粉末の粒子3およびその表面を被覆する絶縁被膜4からなる。鉄系アモルファス合金粉末としては、例えば、Fe−Cr−Si−B−C系組成の粉末であって、平均粒径(個数平均粒径。以下同様。)が1〜100μmのものを使用することができる。
絶縁被膜4は、圧粉磁心に一般的に使用される絶縁材料で形成することができ、ここでは400℃以上の耐熱性を有する絶縁材料で形成される。400℃以上の耐熱性を有する絶縁材料を使用するのは、後述する焼鈍工程において、圧粉体7[図2(b)参照]を400℃以上で所定時間加熱する焼鈍処理を実行するからである。400℃以上の耐熱性を有する絶縁材料としては、例えば、B、Ca、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、MoおよびBiの群から選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物およびこれらの複合酸化物、Li、K、Ca、Na、Mg、Fe、Al、ZnおよびMnの群から選択される少なくとも一種の元素を含む炭酸塩およびこれらの複合炭酸塩、Ca、Al、Zr、Li、NaおよびMgの群から選択される少なくとも一種の元素を含むケイ酸塩およびこれらの複合ケイ酸塩、Si、TiおよびZrの群から選択される少なくとも一種の元素を含むアルコキシドおよびこれらの複合アルコキシド、Zn、Fe、MnおよびCaの群から選択される少なくとも一種の元素を含むリン酸塩およびこれらの複合リン酸塩、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、PPS樹脂、PTFE樹脂等の耐熱性に優れた樹脂材料、などを挙げることができる。絶縁被膜4は、以上で例示した絶縁材料のうちから一種のみを用いて形成しても良いし、二種以上を用いて形成しても良い。すなわち、絶縁被膜4は、単層構造としても良いし、二種以上の被膜が積み重なった積層構造としても良い。
樹脂粉末としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、メタクリル−スチレン共重合体、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粉末を使用することができるが、本発明では、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂、具体的には、ポリエチレンやポリスチレンの粉末が使用される。
樹脂粉末としては、その平均粒径が、被膜付磁性粉末の平均粒径よりも小さいものが選択的に使用される。具体的には、平均粒径が50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。また、被膜付磁性粉末に対する樹脂粉末の配合量は、被膜付磁性粉末の重量を100としたとき、0.5〜1%の範囲とする。
以上のように、混合機の内部に被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを投入した後、混合機を運転して被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを混合する。このとき、被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを、樹脂粉末を構成する熱可塑性樹脂の融点以上に加熱した状態で混合する(温間混合)。例えば、樹脂粉末として融点が106℃であるポリエチレンの粉末を用いる場合、被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを120℃で30分間混合した後、温度を室温程度に下げた上でさらに10分間混合する。係る態様で被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを混合することにより、隣接する被膜付磁性粉末の粒子2間に介在する樹脂粉末の粒子が溶解した後、この溶解物が被膜付磁性粉末の粒子2間で硬化して樹脂層5が形成される。これにより、被膜付磁性粉末の粒子2同士が樹脂層5を介して結着してなる粉末(結着粉1)が得られる。
以上のようにして結着粉1が得られた後、この結着粉1にガラス粉末を配合して両粉末を混合機で混合することにより、結着粉1とガラス粉末の混合物からなる磁心用粉末Aが得られる。ガラス粉末の粒子6は、主に被膜付磁性粉末の粒子2表面に付着する[図1(a)参照]。結着粉1とガラス粉末とを混合する際の温度は常温程度で良い。ガラス粉末の配合量は、被膜付磁性粉末の重量を100としたとき、0.1〜1.0%とする。また、ガラス粉末としては、被膜付磁性粉末よりも平均粒径が小さいもの(例えば平均粒径が0.1〜20μm程度のもの)を使用する。
ガラス粉末としては、比較的低融点のもの、例えば、TeO系、V系、SnO系、ZnO系、P系、SiO系、B系、Bi系、Al系およびTiO系等のガラス粉末の群から選択される一種又は二種以上を使用することができるが、後述する焼鈍工程で実施される圧粉体に対する焼鈍処理の処理温度よりも軟化点が低いものが選択使用される。本実施形態では、磁心用粉末Aが、鉄系アモルファス合金粉末を主成分粉末として含み、400〜480℃程度の温度範囲で焼鈍処理が実施されることから、軟化点が300℃以上400℃未満のガラス粉末が好適に使用される。このようなガラス粉末としては、SnO系、P系、TeO系、V系のガラス粉末の群から選択される何れか一種又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
磁心用粉末Aには、後述する圧縮成形工程で使用する成形金型と磁心用粉末Aとの摩擦力低減、磁心用粉末Aを構成する粒子相互間での摩擦力低減、成形金型の耐久寿命向上、等を目的として固体潤滑剤を含めても良い。但し、磁心用粉末Aに占める固体潤滑剤の配合割合をあまりに高くすると磁気特性に優れた圧粉磁心(コア10)を得ることが難しくなる。そのため、磁心用粉末Aに占める固体潤滑剤の配合割合は、最大で1wt%程度とする。
使用可能な固体潤滑剤に特段の制限はなく、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスヒロドキシステアリン酸アミド、モンタン酸アミド、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、スターチ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、ポリテトラフルオロエチレン、ラウロイルリシン、シアヌル酸メラミンなどが使用できる。以上で例示した固体潤滑剤は、一種のみを選択使用しても良いし、二種以上を組み合わせて使用しても良い。
[圧縮成形工程]
圧縮成形工程では、図2(a)(b)に模式的に示すような成形金型20を用いて、コア10の基材となる円筒状(リング状)の圧粉体を圧縮成形する。すなわち、図2(a)に示すように、コアピン21、ダイ22および下パンチ24で画成されるキャビティに磁心用粉末Aを充填した後、図2(b)に示すように、上パンチ23を下パンチ24に対して相対的に接近移動させることにより磁心用粉圧Aを圧縮し、圧粉体7を得る。磁心用粉末Aの圧縮成形は、磁心用粉末Aおよび成形金型20の何れか一方又は双方を、磁心用粉末Aに含まれる樹脂層5(を構成する熱可塑性樹脂)の軟化点以上融点以下に加熱した状態で行う(温間成形)。また、高密度の圧粉体7を成形する観点から、成形圧力は、980MPa以上とし、好ましくは1470MPa以上とする。但し、成形圧力を1960MPaを超える程度にまで高めると、成形金型20の耐久寿命が低下する他、絶縁被膜3が損傷等する可能性が高まる。従って、成形圧力は、980〜1960MPa、より好ましくは1470〜1960MPaとする。
上記のように、磁心用粉末Aおよび成形金型20の何れか一方又は双方を、磁心用粉末Aに含まれる樹脂層5(を構成する熱可塑性樹脂)の軟化点以上融点以下に加熱した状態で磁心用粉末Aを圧縮成形すると、樹脂層5が軟化又は溶融して磁心用粉末Aを構成する粒子同士を結着するため、圧粉体7の形状保持性が飛躍的に高まる。従って、圧粉体7の離型時にも圧粉体7の形状に崩れ等が生じることがなくなる他、圧粉体7を後工程に移送する際のハンドリング性(取扱性)が飛躍的に高まる。
[焼鈍工程]
焼鈍工程では、適当な雰囲気下におかれた圧粉体7を、所定温度で所定時間加熱する焼鈍処理を実施する。本実施形態では、圧粉体7の焼鈍処理温度を400〜480℃の範囲内とする。また、圧粉体7の加熱時間は、圧粉体7の大きさにもよるが、圧粉体7の芯部まで十分に加熱できるような時間(例えば5〜60分程度)に設定する。なお、焼鈍処理を実施する雰囲気に特段の制約はなく、窒素、アルゴン、大気、水素、酸素、スチーム等を使用できるが、窒素やアルゴン等の非酸化雰囲気であれば、鉄系アモルファス合金粉末の酸化・膨張によるコア10(圧粉磁心)の高鉄損化を可及的に防止できるため、特に好ましい。
圧粉体7に対して上記の焼鈍処理を施すことにより、鉄系アモルファス合金粉末の粒子3に蓄積した歪が適当に除去され、磁気特性に優れた圧粉磁心としてのコア10が得られる。また、上記のような温度で焼鈍処理を実施すれば、圧粉体7に含まれるガラス粉末が軟化・溶融してから隣接する結着粉1間で固化するため、粒子同士の結着力が高い高強度のコア10を得ることができる。
以上で説明したように、圧粉体7に焼鈍処理を施すことで得られる圧粉磁心(コア10)の作製用粉末としての磁心用粉末Aは、絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末(被膜付磁性粉末)を主成分とし、これに軟化点が焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末を配合して混合した混合粉からなる。要するに、本発明に係る磁心用粉末Aは、被膜付磁性粉末とガラス粉末とを混合した混合物に過ぎず、その作製過程で手間とコストを要する造粒処理は実施していないことから、造粒粉に比べて安価に作製することができる。また、本発明に係る磁心用粉末Aにおいては、少なくとも被膜付磁性粉末の粒子2同士が、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層5を介して結着していることから、これを適当な温度(具体的には、上記熱可塑性樹脂の軟化点以上融点未満)で圧縮成形すれば、高強度で取扱性に優れた圧粉体7を得ることができる。さらに、本発明に係る磁心用粉末Aは、軟化点が焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末を含んでいることから、当該磁心用粉末Aの圧粉体7に焼鈍処理を施すと、ガラス粉末が軟化・溶融してから隣接する粒子間で硬化することにより、隣接する粒子同士の結着力を増加させる。以上より、高強度で取扱性に優れ、かつ磁気特性に優れた圧粉磁心としてのコア10を低コストに得ることができる。
また、被膜付磁性粉末に対する樹脂層5の重量比を0.5〜1%とし(換言すると、被膜付磁性粉末に対する樹脂粉末の配合量を0.5〜1wt%とし)、さらに、被膜付磁性粉末に対するガラス粉末の配合量を0.1〜1wt%としているので、高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心(コア10)を適切に得ることができる。すなわち、被膜付磁性粉末に対する樹脂層5やガラス粉末の重量比が小さ過ぎると、圧粉体7およびコア10の強度を十分に高めることができず、また、被膜付磁性粉末に対する樹脂層5やガラス粉末の重量比が大き過ぎると、所望の磁気特性を確保するのが難しくなるからである。
また、樹脂層5の形成材料である樹脂粉末として、その平均粒径が被膜付磁性粉末のそれよりも小さいものを用いているので、高密度・高強度で、かつ磁気特性に優れたコア10を適切に得ることができる。
以上、本発明の実施形態に係る磁心用粉末Aおよび圧粉磁心としてのコア10の製造方法について説明を行ったが、これらには本発明の要旨を逸脱しない範囲で適当な変更を施すことが可能である。
例えば、上述の実施形態では、粉末作製工程でまず被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを混合(温間混合)することにより、隣接する被膜付磁性粉末の粒子2同士が樹脂層5を介して結着した結着粉1を作製してから、この結着粉1とガラス粉末とを混合するようにしたが、ガラス粉末は、被膜付磁性粉末および樹脂粉末とともに温間混合するようにしても構わない。この場合、図示は省略するが、個々のガラス粉末の粒子も隣接する被膜付磁性粉末の粒子2やガラス粉末の粒子と樹脂層5を介して結着させることができる。そして、このようにすれば、ガラス粉末の粒子の保持性が高まるので、高強度で信頼性に富む圧粉磁心(コア10)を安定的に量産することができる。また、樹脂粉末は、被膜付磁性粉末とガラス粉末の混合物(混合粉)を作製してから、この混合粉と温間混合するようにしても構わない。
また、圧粉体7の圧縮成形時には、成形金型20の内壁面(キャビティの画成面)にステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を付着させる金型潤滑成形法を採用しても良い。このようにすれば、一層高密度の圧粉体7を得易くなる。
以上で説明した本発明により奏される作用効果は、以下に示す実施例(実施例1−5)を参照すれば明らかになる。
被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを混合する際の温度条件が、圧粉体の成形性や圧粉磁心の磁気特性等に及ぼす影響を確認するため、第1の確認試験を実施した。当該試験の実施に際し、実施例1−2に係る試験体と、比較例1−3に係る試験体とを作製した。以下、実施例1に係る試験体の作製手順を中心に、実施例1−2および比較例1−3に係る試験体の作製手順を説明する。
[実施例1に係る試験体の作製手順]
(A)エプソンアトミックス社製のFe−Cr−Si−B−C系組成の鉄系アモルファス合金粉末(平均粒径:50μm)を準備し、この鉄系アモルファス合金粉末に絶縁処理を施すことにより、当該粉末を構成する個々の粒子表面を絶縁被膜で被覆してなる被膜付磁性粉末を得た。絶縁被膜はアミノ系シランカップリング剤を用いて形成し、絶縁被膜の膜厚は5−50nm程度とした。
(B)上記の被膜付磁性粉末に対してポリエチレン粉末(平均粒径:20μm、軟化点:80℃、融点:106℃)を1.0wt%配合したものを混合機で混合した。両粉末は、混合機の内部温度を120℃にした状態で30分間混合した後、混合機の内部温度を30℃に低下させた状態で10分間混合した。これにより、被膜付磁性粉末の粒子同士が、ポリエチレンを主成分とする樹脂層を介して結着してなる結着粉を得た。
(C)上記の結着粉に対してガラス粉末を1.0wt%配合した上で両粉末を混合することにより、上記の結着粉とガラス粉末の混合粉からなる磁心用粉末を得た。なお、ガラス粉末としては、TeOおよびVを主成分とし、軟化点:321℃、平均粒径:1.0μm程度の旭硝子社製のNTX−2Wを使用した。
(D)上記の磁心用粉末を、成形圧:1470MPa、成形温度:90℃の条件で圧縮成形(温間成形)することによりリング状の圧粉体を得た。
(E)上記圧粉体に対して大気雰囲気下で450℃×30分間焼鈍処理を施すことにより、実施例1としてのリング状試験体(外径20mm×内径12mm×高さ6mm)を得た。
実施例2および比較例1−3に係る試験体は、上記(B)の工程において、被膜付磁性粉末とポリエチレン粉末とを混合する際の混合温度(最高温度)をそれぞれ以下のように設定した以外は、実施例1と同様の手順を踏んで作製した。
・実施例2:140℃
・比較例1:60℃
・比較例2:80℃
・比較例3:100℃
以上のようにして作製した実施例1−2および比較例1−3に係る試験体のそれぞれについての密度および初透磁率の算出結果、並びに鉄損および圧環強さの測定結果を表1に示す。
なお、試験体の密度は、試験体の寸法および重量から算出し、試験体の初透磁率は、日置電機社製のB−HアナライザIM3570を用い、周波数1kHzの条件で直列自己インダクタンス、巻線数および寸法から算出した。また、鉄損は、岩通計測社製のB−HアナライザSY−8219を用いて測定し、圧環強さは、島津製作所社製オートグラフ精密万能試験機AG−Xplusを用いて測定した。圧環強さは、試験体の焼鈍前[上記(D)の工程完了後]および焼鈍後[上記(E)の工程完了後]のそれぞれについて測定した。以上で説明した密度および初透磁率の算出方法、並びに鉄損および圧環強さの測定方法は、後述する他の実施例および比較例に係る試験体においても同様である。
Figure 2018168402
表1からも明らかなように、本発明を適用した場合、高密度・高強度で取扱性に優れた圧粉体、および高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を得ることができた。これに対し、本発明の適用対象外である比較例1−3に係る試験体は、何れも、焼鈍後に割れ(クラック)が発生した。このことから、被膜付磁性粉末と樹脂粉末とを混合する際の温度を適正値に管理することが、高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を作製する上で重要であることがわかる。なお、比較例1−3に係る試験体にクラックが発生したのは、被膜付磁性粉末とポリエチレン粉末とを混合する際の温度がポリエチレンの融点以下であったために、被膜付磁性粉末の粒子間に該粒子同士を結着させる樹脂層(ポリエチレン粉末が溶解・硬化してなる樹脂層)が適切に存在していない磁心用粉末が得られ、この磁心用粉末の圧粉体を焼鈍するのに伴って粗大空孔が発生したためであると推察される。
次に、磁心用粉末を圧縮成形する際(圧粉体成形時)の成形温度が圧粉磁心の磁気特性等に影響を及ぼすことを確認するために、第2の確認試験を実施した。この試験の実施に際し、実施例3に係る試験体と、比較例4−5に係る試験体とを新たに作製した。実施例3および比較例4−5に係る試験体は、上記(D)の工程において、成形温度をそれぞれ以下のとおりとする以外は、実施例1と同様の手順を踏んで作製した。
・実施例3:100℃
・比較例4:80℃
・比較例5:110℃
実施例1に加え、実施例3および比較例4−5に係る試験体のそれぞれについての、密度および初透磁率の算出結果、並びに鉄損および圧環強さの測定結果を表2に示す。
Figure 2018168402
表2からも明らかなように、成形温度をポリエチレン粉末(ポリエチレン)の軟化点以上融点未満に設定した実施例1および実施例3に係る試験体は、高密度かつ高強度であったが、成形温度をポリエチレンの軟化点未満に設定した比較例4、および成形温度をポリエチレンの融点以上に設定した比較例5の場合は、何れも所定形状の圧粉体を得ることができなかった。より具体的には、比較例4の場合、圧粉体の離型時に圧粉体が崩壊した。これは、被膜付磁性粉末の粒子同士を結着したポリエチレン層が圧縮成形時に軟化・溶融しなかったために、隣り合う結着粉同士を結着させることができなかったためであると推察される。また、比較例5の場合、圧粉体の離型時に圧粉体に割れが生じた。これは、被膜付磁性粉末の粒子同士を結着したポリエチレン層が圧縮成形時に溶融し、溶融したポリエチレンが金型と圧粉体(磁心用粉末)との界面に流出して硬化した結果、圧粉体と下パンチとが融着したためである。従って、圧粉体の成形温度を、被膜付磁性粉末の粒子同士を結着させるために用いた樹脂粉末(熱可塑性樹脂)の軟化点以上融点未満に設定することが、圧粉体の成形性を高める(圧粉体を適切に成形可能とする)上で、また高強度で磁気特性に優れた圧粉磁心を得る上で有利であることがわかる。
次に、被膜付磁性粉末に配合・混合する樹脂粉末の粒径(平均粒径)が、圧粉磁心の磁気特性等に及ぼす影響を確認するために第3の確認試験を実施した。この試験の実施に際し、実施例4−5に係る試験体と、比較例6に係る試験体とを新たに作製した。実施例4−5に係る試験体と比較例6に係る試験体とは、上記(B)の工程において、被膜付磁性粉末に配合するポリエチレン粉末として、平均粒径がそれぞれ以下のものを使用する以外は、実施例1と同様の手順を踏んで作製した。
・実施例4:5μm
・実施例5:50μm
・比較例6:100μm
実施例1に加え、実施例4−5および比較例6に係る試験体のそれぞれについての、密度および初透磁率の算出結果、並びに鉄損および圧環強さの測定結果を表3に示す。
Figure 2018168402
表3からも明らかなように、ポリエチレン粉末の平均粒径が50μm以下の場合、高密度で磁気特性に優れた圧粉磁心を得ることができる。また、ポリエチレン粉末の平均粒径が大きくなるにつれて圧粉磁心の密度や磁気特性が低下し、ポリエチレン粉末の平均粒径が過大であると、所望の密度および磁気特性を有する圧粉磁心を得ることができなくなることがわかる。なお、ポリエチレン粉末の平均粒径が大きくなるにつれて圧粉磁心の密度や磁気特性が低下したのは、ポリエチレン粉末の平均粒径が大きくなるにつれて被膜付磁性粉末に対するポリエチレン粉末の接触面積が小さくなるためであると推察される。従って、磁心用粉末の作製時に被膜付磁性粉末に配合・混合する樹脂粉末(被膜付磁性粉末と温間混合する樹脂粉末)としては、その平均粒径が小さいものが好ましいことがわかる。
次に、被膜付磁性粉末に配合する樹脂粉末の量が、圧粉磁心の磁気特性等に及ぼす影響を確認するために第4の確認試験を実施した。この試験の実施に際し、実施例6に係る試験体と、比較例7−8に係る試験体とを新たに作製した。実施例6に係る試験体と比較例7−8に係る試験体とは、上記(B)の工程において、被膜付磁性粉末に対するポリエチレン粉末の配合量をそれぞれ以下のようにする以外は、実施例1と同様の手順を踏んで作製した。
・実施例6:0.5wt%
・比較例7:0.3wt%
・比較例8:1.5wt%
実施例1に加え、実施例6および比較例7−8に係る試験体のそれぞれについての、密度および初透磁率の算出結果、並びに鉄損および圧環強さの測定結果を表4に示す。
Figure 2018168402
表4からも明らかなように、被膜付磁性粉末に対する樹脂粉末(ポリエチレン粉末)の配合量が0.5〜1.0wt%の範囲では、強度や磁気特性のバランスに優れた圧粉磁心を得ることができた。一方、ポリエチレン粉末の配合量を0.3wt%とした場合、圧粉体を成形金型から離型する際に圧粉体が崩壊した。これは、被膜付磁性粉末の粒子同士の結着材として機能することになるポリエチレン粉末の配合量が少な過ぎたためであることが明らかである。また、ポリエチレン粉末の配合量を1.5wt%とした場合、実施例1,6と同程度の密度および強度を有する圧粉磁心を得ることができたが、磁気特性は実施例1,6よりも劣る結果となった。これは、磁心用粉末、ひいては圧粉磁心に占める被膜付磁性粉末の割合が低下したためであると推察される。従って、被膜付磁性粉末に対する樹脂粉末の配合量を0.5〜1.0wt%に設定する(被膜付磁性粉末に対する樹脂層の重量比を0.5〜1.0%に設定する)ことが、強度および磁気特性に優れた圧粉磁心を得る上で有利であることがわかる。
最後に、焼鈍処理の処理温度が圧粉磁心の磁気特性等に及ぼす影響を確認するために第5の確認試験を実施した。この試験の実施に際し、実施例7−8に係る試験体と、比較例9−10に係る試験体とを新たに作製した。実施例7−8に係る試験体と比較例9−10−8に係る試験体とは、上記(E)の工程において、焼鈍処理の処理温度(焼鈍温度)をそれぞれ以下のとおりに設定した以外は、実施例1と同様の手順を踏んで作製した。
・実施例7:400℃
・実施例8:480℃
・比較例9:350℃
・比較例10:500℃
実施例1に加え、実施例7−8および比較例9−10に係る試験体のそれぞれについての、密度および初透磁率の算出結果、並びに鉄損および圧環強さの測定結果を表5に示す。
Figure 2018168402
表5からも明らかなように、焼鈍温度を400〜480℃に設定した場合、強度および磁気特性に優れた圧粉磁心を得ることができた。一方、焼鈍温度を350℃に設定した場合、圧粉磁心は高鉄損で低強度となった。高鉄損となった理由は、焼鈍温度が低いために圧縮成形時等に生じたひずみを十分に除去できなかったためであり、低強度となった理由は、焼鈍温度が低いためにガラス粉末の溶融が十分に進展せず、ガラス粉末が磁性粉末の粒子同士の結合強度向上に十分に寄与しなかったためであると推察される。また、焼鈍温度を500℃に設定した場合、十分に高強度である反面、著しく高鉄損の圧粉磁心が得られた。著しく高鉄損となった理由は、加熱に伴う磁性粉末の母材(鉄系アモルファス合金粉末)の体積膨張によって母材表面に形成した絶縁被膜が破壊され、母材同士が相互に接触したためであると推察される。従って、磁性粉末の母材として、上記の鉄系アモルファス合金粉末を用いた場合、焼鈍温度を400〜480℃の範囲に設定することが強度および磁気特性に優れた圧粉磁心を得る上で有利であることがわかる。
上述した確認試験1−5の試験結果から、本発明の有用性が実証された。
1 結着粉
2 被膜付磁性粉末の粒子
3 鉄系アモルファス合金粉末の粒子
4 絶縁被膜
5 樹脂層
6 ガラス粉末の粒子
10 コア(圧粉磁心)
A 磁心用粉末

Claims (7)

  1. 圧粉体に焼鈍処理を施すことで得られる圧粉磁心を作製するための磁心用粉末であって、
    絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末を主成分とし、これに軟化点が前記焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末を配合して混合した混合粉からなり、少なくとも前記鉄系アモルファス合金粉末の粒子同士が、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層を介して結着していることを特徴とする磁心用粉末。
  2. 前記鉄系アモルファス合金粉末に対する前記樹脂層の重量比が0.5〜1%である請求項1に記載の磁心用粉末。
  3. 前記鉄系アモルファス合金粉末に対し、前記ガラス粉末が0.1〜1wt%添加・混合されてなる請求項1又は2に記載の磁心用粉末。
  4. 前記ガラス粉末の平均粒径が、前記鉄系合金粉末の平均粒径よりも小さい請求項1〜3の何れか一項に記載の磁心用粉末。
  5. 圧粉体に焼鈍処理を施すことで得られる圧粉磁心を製造するための方法であって、
    絶縁処理が施された鉄系アモルファス合金粉末を主成分とし、これに軟化点が前記焼鈍処理の処理温度よりも低いガラス粉末を配合して混合した混合粉からなり、少なくとも前記鉄系アモルファス合金粉末の粒子同士が、融点が150℃以下の熱可塑性樹脂の溶解物が硬化してなる樹脂層を介して結着した磁心用粉末を得る粉末作製工程と、
    前記磁心用粉末を、前記熱可塑性樹脂の軟化点以上融点以下の成形温度で圧縮成形することにより前記圧粉体を得る圧縮成形工程と、
    前記圧粉体に焼鈍処理を施す焼鈍工程と、を有することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記鉄系アモルファス合金粉末と前記熱可塑性樹脂の粉末とを前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱した状態で混合することにより、前記樹脂層を形成する請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂の粉末の平均粒径が、前記鉄系アモルファス合金粉末の平均粒径よりも小さい請求項5又は6に記載の圧粉磁心の製造方法。
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