JP3863990B2 - 非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低軟化点ガラスをバインダーとして用いた非晶質軟磁性合金の圧粉成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非晶質軟磁性合金は、結晶材料と比べて、耐食性、耐摩耗性、強度、透磁率等の点で優れた特性を示すことが知られており、電気又は電子機器における各種デバイスの磁性材料として使用されている。
この非晶質軟磁性合金は、非結晶状態を確保する急冷プロセスの関係上、その形状は一般的に薄帯状、細線状又は粉末状である。従って、所定形状の部材を得るには、薄帯状又は細線状のものについても、一旦粉砕して粉末にしてから、所定温度に加熱した状態で加圧して成形する必要がある。
【0003】
ところで、非晶質軟磁性合金粉末の成形工程は、合金の非晶質状態を維持するために、合金の結晶化開始温度よりも低い温度で行なわなければならない。しかしながら、この温度では合金粉末をバルク化させることはできない。このため、非晶質軟磁性合金粉末に軟化点の低いガラス粉末を混合した原料粉末を、熱間成形用金型に収容して、ガラスの軟化点よりも高く非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低い温度で熱間成形し、軟化したガラスをバインダーとして非晶質軟磁性合金粒子どうしを接合することにより非晶質軟磁性合金粉末成形体を形成する方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法において、原料粉末を熱間成形用金型に収容し、所定の成形温度まで加熱する際に、粉末の状態では、粒子間に空隙が多く存在するから、全体的な熱伝導率が小さく、金型の壁面側と中心側との温度差が大きくなりやすい。原料粉末を均一に加熱し成形を行なうには、約20〜40分程度の加熱時間が必要となり、生産性が低下する。
また、肉厚の異なる成形体を製造するとき、肉厚の差によって、粉末に温度ムラを生じ、均一な特性をもつ成形体が得られない。
一方、生産性の向上を図るため、金型をより高温に熱して入熱量を大きくし、加熱時間を短縮しようとすると、壁面側と中心側の温度差は更に大きくなってしまい、中心側が成形温度に達したときには、壁面側の粉末の温度が非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度を越えて、非晶質性が損なわれてしまう問題がある。
【0005】
本発明の目的は、熱間成形時の原料粉末の熱伝導率の向上を図ると共に、非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造を短時間で行なえるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、原料粉末を予め成形しておき、得られた予備成形体を熱間成形用金型に収容して加熱、加圧することによって、非晶質軟磁性合金粉末成形体を形成するものである。
具体的には、非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低いガラスと、結着性樹脂からなる原料粉末を予備成形用金型の中で加圧し、結着性樹脂の結着力によって予備成形体を形成し、得られた予備成形体を、熱間成形用金型の中で、ガラスの軟化点よりも高く、非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低い温度で加圧成形し、非晶質軟磁性合金粒子をガラスを介して接合することによって、非晶質軟磁性合金粉末成形体を製造するものである。
【0007】
予備成形体が収容される熱間成形用金型は、予めガラスの軟化点よりも高く、非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低い温度に加熱しておくことが望ましい。
【0008】
【作用及び効果】
原料粉末を予備成形用金型に入れて、加圧することによって、原料粉末は、結着性樹脂により結着され、予備成形体が形成される。
得られた予備成形体を、熱間成形用金型に収容し、加熱と加圧を施すことによって、非晶質軟磁性合金粒子がガラスを介して接合される。予備成形体は、粉末状態のものに比べて緻密であるため熱伝導率が大きい。従って、昇温速度を速くしても全体的な温度の均一性を確保することができ、部分的に過熱状態となることを防止できる。このため、熱間成形に要する時間も短縮できる。
熱間成形時の加熱により、結着性樹脂は蒸散する。
【0009】
熱間成形用金型を所定の成形温度程度まで前もって加熱しておくと、熱間成形に要する時間を更に短縮させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる非晶質軟磁性合金、ガラス及び結着性樹脂について説明する。
非晶質軟磁性合金
非晶質軟磁性合金として、Fe系(Fe−Si−Bなど)、Co系(Co−Fe−Si−Bなど)等の合金を挙げることができる。これら合金の結晶化開始温度は、通常、約500℃前後である。
非晶質軟磁性合金の粉末は、公知の種々の方法によって得ることができる。例えば、高速回転水流アトマイズ法、回転液アトマイズ法を例示することができる。
非晶質軟磁性合金粉末の粒径は、約250μm以下とすることが望ましく、平均粒径は、約100〜150μm程度が適当である。
【0011】
ガラス
ガラスは、軟化点が前記非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも約80〜400℃程度低い温度のものを使用する。例えば、軟化点が約100〜400℃のものを使用することが望ましい。これは、熱間成形の成形温度に幅を持たせるためである。その種ガラス材料として、酸化鉛含有のホウ酸塩系ガラス(PbO・B2O3)や、これにZnO又はSiO2を混入させた三元系ガラスなどの低軟化点ガラスを挙げることができる。
ガラスの混合量は、3〜20vol%とすることが望ましく、この範囲内で所望の透磁率に合わせて設定すればよい。ガラスの混合量が少なすぎると、バインダー作用が不足して非晶質軟磁性合金粉末をバルク化させることが困難になると共に、非晶質軟磁性合金粒子間の絶縁性が低下する虞れがある。一方、ガラスの混合量が多すぎると、機械的強度は大きくなるが、成形体中における非晶質軟磁性合金の占める量が小さくなり、十分な磁気特性を確保できなくなる虞れがある。
【0012】
結着性樹脂
結着性樹脂は、予備成形時に原料粉末をある程度緻密化した状態で結着し、予備成形金型から取り出した後も、過大な力が加えられない限り、所定の形状を維持することのできる程度の結着性を有する樹脂材料を用いる。その種結着性樹脂材料として、エポキシ樹脂やPVA、ワックス、或いは軟質のフェノール樹脂、アクリル樹脂などの有機物系バインダーを挙げることができる。
【0013】
上記非晶質軟磁性合金、ガラス及び結着性樹脂から原料粉末が作製される。
原料粉末として、次の3種類のものを例示することができる。
▲1▼ 非晶質軟磁性合金粉末とガラス粉末と結着性樹脂を混合した粉末。
▲2▼ 非晶質軟磁性合金粉末の表面にガラスコーティングを施した複合粒子と、結着性樹脂を混合した粉末。
▲3▼ 非晶質軟磁性合金粉末の表面にガラスと結着性樹脂のコーティングを施した粉末。
【0014】
以下、▲1▼〜▲3▼の各原料粉末の製造方法について順に説明する。
▲1▼の原料粉末
▲1▼の原料粉末は、非晶質軟磁性合金粉末、ガラス粉末及び結着性樹脂からなる。結着性樹脂は、粉末状のものを用いてもよいし、液状又はゲル状のものを用いてもよい。図1は、非晶質軟磁性合金粉末(3)、ガラス粉末(32)及び粉末状の結着性樹脂(34)からなる原料粉末を模式的に示す図である。
粉末状の結着性樹脂を用いる場合、非晶質軟磁性合金粉末、ガラス粉末及び結着性樹脂粉末を準備し、これらを混合することにより原料粉末が調製される。なお、非晶質軟磁性合金粉末の粒子径が約100〜150μmの場合、ガラス粉末の粒子径は約3〜7μmとし、結着性樹脂粉末の粒子径は約0.1〜10μmとすることが望ましい。また、非晶質軟磁性合金粉末の粒子径が約50〜100μmの場合、ガラス粉末の粒子径は約1〜5μmとし、結着性樹脂粉末の粒子径は約0.1〜5μmとすることが望ましい。
液状又はゲル状の結着性樹脂を用いる場合、非晶質軟磁性合金粉末とガラス粉末を混合し、又はこれら粉末を混合しながら、液状又はゲル状の結着性樹脂を添加することによって、ペースト状の原料粉末が作製される。
なお、粉末どうし、また結着性樹脂との混合は、不活性ガス雰囲気又は真空下で行なうことが好ましい。
【0015】
▲2▼の原料粉末
▲2▼の原料粉末は、予め非晶質軟磁性合金粉末(3)の表面にガラスコーティング(36)を施した複合粒子粉末と、結着性樹脂(34)を混合して調製される。図2は、この原料粉末を模式的に示す図である。
複合粒子粉末は、例えば、図4に示す粉末コーティング装置を用いて作製することができる。図4は、複合粒子を作製するのに使用される粉末コーティング装置を示す図であって、装置の円筒状容器(10)の片側端部に近い位置で軸心と直交する方向で切断した断面図である。
図4を参照すると、密封可能な円筒状容器(10)の内部は、回転軸(20)に固定されたボス(11)から第1のアーム(12)が半径方向に突出しており、該第1アーム(12)の先端には、容器(10)の軸方向に伸びる蒲鉾形の押圧部材(14)が形成され、該押圧部材(14)は粉末を押圧・圧縮できるようにするため、その先端面と容器内面とは所定の間隔があけられている。ボス(11)からは、第2のアーム(16)が、前記第1アーム(12)とは反対方向に半径方向に突出しており、第2アーム(16)の先端には、容器(10)の軸方向に向けて細長い形状の板材からなるスクレーパ(18)が形成され、該スクレーパは粉末(22)を掻き取ることができるように、容器内面とほぼ接触するように配備される。なお、容器(10)は、真空又は不活性ガス雰囲気環境下にすることができる。
回転軸(20)は、回転駆動装置(図示せず)に連繋されており、第1アーム(12)と第2アーム(16)は回転軸(20)と共に高速回転する。なお図3中、(a)はスクレーパ(18)が最下部に位置するときの図、(b)は押圧部材(14)が最下部に位置するときの図である。
【0016】
この粉末コーティング装置を用いて、複合粒子粉末は、次の要領にて調製される。
容器(10)に投入された非晶質軟磁性合金粉末(22)とガラス粉末(22)は、スクレーパ(18)により掻き取られて撹拌され、次に、押圧部材(14)により、容器(10)の内周面に押し付けられて強力な圧縮摩擦作用を受ける。これら作用が高速で繰り返されることにより、非晶質軟磁性合金粒子とガラス粒子との間で表面融合が起こり、また、ガラス粒子どうしが溶着する結果、非晶質軟磁性合金粒子(3)の表面がガラスの層(36)で被覆された複合粒子が得られる(図2参照)。
ガラス層の厚さは、最大約3μmにすることが好ましい。3μmを越えるとガラス層の欠け落ちを生じ易く、厚さが不均一になって絶縁性を損なう虞れがあるためである。
【0017】
なお、この複合粒子の作製は、酸化防止のために、不活性ガス雰囲気又は真空下で行なわれるが、真空下で行なうと、固体−固体間の接合を阻害する気体分子が存在しないため、粒子の複合化が促進されるのでより好ましい。
【0018】
得られた複合粉末は、▲1▼と同様の要領で、粉末状、液状又はゲル状の結着性樹脂と混合され、原料粉末が調製される。
【0019】
▲3▼の原料粉末
▲3▼の原料粉末は、非晶質軟磁性合金粉末の表面に、ガラスと結着性樹脂のコーティングが施された複合粒子からなる。図3は、この原料粉末を模式的に示す図である。
非晶質軟磁性合金粒子へのガラスと結着性樹脂のコーティングは、▲2▼の原料粉末の作製の際に用いた粉末コーティング装置によって実施することができ、容器(10)に非晶質軟磁性合金粉末(22)、ガラス粉末(22)及び結着性樹脂粉末(22)を投入して装置を作動させると、圧縮摩擦作用によって、非晶質軟磁性合金粒子、ガラス粒子及び結着性樹脂粉末との間で表面融合が起こり、非晶質軟磁性合金粒子(3)の表面がガラスと結着性樹脂の層(38)で被覆された複合粒子が得られる。
非晶質軟磁性合金粒子の表面に形成されるコーティング層の厚さは、最大約3μmにすることが好ましい。3μmを越えるとコーティング層の欠け落ちを生じ易く、厚さが不均一になって絶縁性を損なう虞れがあるためである。
【0020】
予備成形体の形成
上記の要領により調製された原料粉末を、予備成形用金型に充填して、加圧成形することにより、結着性樹脂によって粉末どうしが結合された予備成形体が形成される。この成形は、常温で行なうことが望ましいが、樹脂の軟化の度合いに応じて、適度に加熱して実施することもできる(但し、その場合でも加圧時の加熱はガラスの軟化点よりも低い温度とする)。
予備成形を行なうことによって、ある程度緻密化したバルク成形体が得られる。この予備成形体は、予備成形金型から取り出しても、過大な力が加えられない限りその形状が保持される。
【0021】
予備成形体に含まれる結着性樹脂を成形体の作製前に除去する必要がある場合には、予備成形体を結着性樹脂が蒸散する温度まで昇温させればよい。昇温は、不活性ガス雰囲気下又は真空中で行なうことが望ましい。
【0022】
成形体の形成
得られた予備成形体を、熱間成形用金型に収容し、加熱と加圧を施すことにより成形体が作製される。加圧成形方法として、ホットプレス法、熱間等方加圧(HIP)法などを採用することができる。
成形時の温度は、ガラスの軟化点よりも高く、非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低い温度に調整する。例えば、結晶化開始温度約500℃のFe−Si−BのFe系非晶質軟磁性合金と、軟化点約320〜400℃のホウ酸塩系ガラスを使用した場合、その加圧成形は、温度約400〜480℃、圧力約1〜2GPa、加圧時間約1分間の条件にて行なうことができる。
なお、予備成形体に含まれる結着性樹脂を予め蒸散させておかなくても、予備成形体を加熱すると、予備成形体中の結着性樹脂は蒸散するから、得られた成形体には、結着性樹脂はほとんど残留しない。
【0023】
予備成形体をガラスの軟化点よりも高い温度まで加熱すると、ガラスは、軟化して流動性を呈する。この状態で、加圧を続けることにより、流動性を呈したガラスは、非晶質軟磁性合金粒子間に隙間なく侵入する。
得られた成形体は、ガラスがバインダーとして機能し、成形体に所望の機械的強度を与えると共に、非晶質軟磁性合金粒子間の絶縁材としても機能することにより、過電流によるパワーロスが少なく、高周波領域での透磁率の低下が小さいといった利点を有している。
【0024】
本発明の非晶質軟磁性合金粉末成形体をチョークコイルやフライバックトランスなどの磁心に使用する場合には、さらに機械加工を施して最終形状に仕上げ、再度、非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低くかつガラスの軟化点よりも高い温度範囲で加熱して、歪取り熱処理を行なうことが望ましい。加熱保持時間は、約10〜20分が適当である。
このような歪取り熱処理を行なうことにより、加圧成形時に非晶質軟磁性合金粉末に機械的な歪が生じたとしても、その後に、再度ガラスがその軟化点を超える温度に加熱されることで、ガラスからの拘束力が除去された状態で、歪が除去される。この結果、歪によって損なわれた磁気特性が回復するので、非晶質軟磁性合金が本来有する特性が成形体の中でも極力維持されるので、その磁心はすぐれた磁気特性を具備することができる。
【0025】
【実施例】
非晶質軟磁性合金粉末成形体の具体的実施例について説明する。
<原料粉末の調製>
原料粉末▲1▼
非晶質軟磁性合金粉末としてFe78Si9B13(最大粒径約100メッシュ)、ガラス粉末としてPbO・B2O3・SiO2系ガラス(平均粒径約10μm、軟化点360℃)、結着性樹脂として粉末状のエポキシ樹脂(最大粒径約100メッシュ)を準備し、非晶質軟磁性合金粉末80vol%、ガラス粉末10vol%、エポキシ樹脂粉末10vol%となるように秤量して、ボールミルに投入して、24時間混合することにより原料粉末▲1▼を調製した。
【0026】
原料粉末▲2▼
非晶質軟磁性合金粉末としてFe78Si9B13(最大粒径約100メッシュ)、ガラス粉末としてPbO・B2O3・SiO2系ガラス(平均粒径約10μm、軟化点360℃)を準備し、非晶質軟磁性合金粉末90vol%、ガラス粉末10vol%となるように秤量して、図4に示す粉末コーティング装置に投入し、非晶質軟磁性合金を母粒子とする粒子の表面にガラスの層が被覆形成された複合粒子からなる粉末を作製した。得られた複合粒子は、非晶質軟磁性合金粒子の平均粒径が約75μm、ガラス層の厚さは約2μmであった。
結着性樹脂として、粉末状のエポキシ樹脂(最大粒径約100メッシュ)を用い、前記複合粒子粉末90vol%と結着性樹脂粉末10vol%をボールミルに投入して、24時間混合することにより原料粉末▲2▼を調製した。
【0027】
原料粉末▲3▼
非晶質軟磁性合金粉末としてFe78Si9B13(最大粒径約100メッシュ)、ガラス粉末としてPbO・B2O3・SiO2系ガラス(平均粒径約10μm、軟化点360℃)、結着性樹脂として粉末状のエポキシ樹脂(最大粒径約100メッシュ)を準備し、非晶質軟磁性合金粉末80vol%、ガラス粉末10vol%、エポキシ樹脂粉末10vol%となるように秤量して、図4に示す粉末コーティング装置に投入し、非晶質軟磁性合金を母粒子とする粒子の表面に、ガラスとエポキシ樹脂の層が被覆形成された複合粒子からなる原料粉末▲3▼を調製した。得られた複合粒子は、非晶質軟磁性合金粒子の平均粒径が約85μm、ガラスとエポキシ樹脂の層の厚さは約3μmであった。
【0028】
<予備成形体の形成>
冷間プレス用の予備成形金型(SKD11製)に原料粉末を充填し、常温雰囲気下、500MPaで加圧し、直径20mm、高さ8mmの予備成形体を作製した。得られた予備成形体を予備成形金型から取り出して観察したところ、複合粒子どうしが結着性樹脂によって結合し、ある程度緻密化したバルク成形体となっていた。この予備成形体は、予備成形金型から取り出しても型崩れせず、所定の形状を維持していた。
【0029】
作製された予備成形体中に含まれる結着性樹脂を蒸散させるために、予備成形体を、真空中、昇温速度45℃/minの条件で、10分間保持し、約450℃まで昇温させた。その結果、予備成形体中の結着性樹脂は蒸散すると共に、複合粒子表面に形成されたガラスが軟化を開始し、結着性樹脂に代わって粒子どうしを接合するから、予備成形体の形状は保持され、また、その強度も維持される。
【0030】
<成形体の形成>
予め、熱間プレス用の熱間成形金型(SKD61製)を、450℃程度に加熱しておき、加熱された熱間成形金型に、前記予備成形体を収容し、450℃の真空雰囲気下、1000MPaで0.5分間加圧し、直径20mm、高さ6mmの成形体を作製した。得られた成形体を熱間成形金型から取り出して観察したところ、図5に示すように、成形体は非晶質軟磁性合金粉末(3)どうしがガラス(30)を介して絶縁されると共に接合されてバルク化していた。
原料粉末▲1▼、▲2▼及び▲3▼から形成した各成形体の相対密度を測定したところ、それぞれ、98%、99%及び98%であり、全て緻密な成形体であった。なお、「相対密度」とは、成形体を完全に緻密体と仮定したときの重量に対する実際の重量の比率として求めたものであり、完全緻密体の重量は、非晶質軟磁性合金粉末とガラス粉末の混合比に基づいて計算した値である。
【0031】
<仕上加工>
得られた成形体を機械加工による仕上げ加工を行ない、リング状の磁心形状に仕上げ、磁気特性を測定した。その結果、粒子間で発生する渦電流が抑制され、高周波用磁心として好適な透磁率を具えており周波数特性も良好な磁心であった。
【0032】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】▲1▼の原料粉末を模式的に示す図である。
【図2】▲2▼の原料粉末を模式的に示す図である。
【図3】▲3▼の原料粉末を模式的に示す図である。
【図4】粉末コーティング装置の説明図である。
【図5】作製された成形体の断面図である。
【符号の説明】
(3) 非晶質軟磁性合金粉末
(32) ガラス粉末
(34) 結着性樹脂粉末
(36) ガラスコーティング
(38) ガラスと結着性樹脂のコーティング
Claims (5)
- 非晶質軟磁性合金粉末と、軟化点が非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低いガラスと、結着性樹脂とからなる原料粉末を加圧し、結着性樹脂の結着力によって予備成形体を形成し、
得られた予備成形体を、ガラスの軟化点よりも高く、非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低い温度で加圧成形し、非晶質軟磁性合金粒子をガラスを介して接合することを特徴とする非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造方法。 - 予備成形体は、ガラスの軟化点よりも高く、非晶質軟磁性合金の結晶化開始温度よりも低い温度に予め加熱された金型の中へ収容され、該金型の中で加圧成形されることを特徴とする請求項1に記載の非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造方法。
- ガラスは、粉末の状態である請求項1又は請求項2に記載の非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造方法。
- ガラスは、非晶質軟磁性合金粒子の表面にコーティングされている請求項1又は請求項2に記載の非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造方法。
- ガラスと結着性樹脂は、非晶質軟磁性合金粒子の表面にコーティングされている請求項1又は請求項2に記載の非晶質軟磁性合金粉末成形体の製造方法。
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