JP2020145310A - 圧粉磁心材料 - Google Patents

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哲隆 加古
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Abstract

【課題】生産性に優れるとともに、低コスト化を図ることができる圧粉磁心材料を提供する。【解決手段】圧粉磁心材料は、軟磁性粉末と、軟磁性粉末の表面に被覆された絶縁被膜と、絶縁被膜の表面に配置した熱可塑性樹脂粉末と、熱可塑性樹脂粉末の周囲に配置した低融点ガラス粉末と、熱可塑性樹脂粉末および低融点ガラス粉末の表面に配置したシリカ微粒子からなる。シリカ微粒子の個数基準の平均粒径を、0.1μm以下で、かつ、配合量が1.0wt%以下とする。【選択図】図2

Description

本発明は、圧粉磁心材料に関する。
圧粉磁心は、表面を絶縁被覆した軟磁性粉を圧縮成形して製造される電磁部品用コアである。省資源・省エネルギーの観点から、磁性コアの小型化/高効率化が求められており、これらを満足するには高透磁率、高磁束密度、低鉄損といった諸特性の向上が必要である。
<軟磁性粉の特徴>
リアクトルやチョークコイルなどの各種磁性コア(圧粉磁心)は数10〜数100kHzなどの高周波領域への対応が求められている。このため、渦電流損失の低減を目的として、材質や平均粒径に留意する必要がある。材質は高比抵抗のものが良く、例えば、Fe-Si系、Fe-Si-Al系、Fe-Ni系、鉄系アモルファス系、鉄系ナノ結晶などである。平均粒径は100μm以下、好ましくは50μm以下とする。これは、平均粒径が小さいほど渦電流の発生領域を細分化できるからである。軟磁性合金粉が均一な大きさの球状粒子と仮定すると粒子間に粗大空孔が生じるので、2種類以上の粒度分布を組み合わせると密充填しやすい。圧粉体の形状保持性は圧粉成形時の粉末同士の絡み合いに依存する。合金粉は硬く塑性変形性に乏しいので、得られる圧粉体は脆い。
<造粒による成形性向上>
生産性の観点および形状保持性の観点から、軟磁性合金粉は一般的に造粒処理を施す。
造粒とは、軟磁性粉同士を"糊"や"接着剤"となるバインダーで接着する操作である。造粒により成形後の形状保持性が良くなるので、搬送時の欠けや割れ等を防止できる。ポリビニルアルコール(PVA)は、水に溶けやすく取扱い性に優れるので、バインダーとして用いる場合が多い(特許文献1)。PVA水溶液濃度、配合量、温間成形等により、圧縮成形体の強度向上が図れる。ポリエチレン(PE)などの非水溶性の低融点樹脂粉末で乾式造粒すれば、乾燥工程が不要なので、生産性が高まる。微細な軟磁性粉は凝集や偏析が生じやすく流動性が悪いが、造粒により見かけの粒子径が大きくなるので、流動性が良くなり、生産性が向上する。熱可塑性樹脂を用いた造粒粉を樹脂の融点未満で圧粉成形することで、高強度な圧粉体を得ることができる(特許文献2)。バインダーには400℃未満で酸化分解する有機材料を用いる場合が多いので、磁気焼鈍後の圧粉磁心は脆弱となるが、磁気焼鈍時に圧粉体強度を担保する材料を配合しておけば問題ない。
<添加材による圧粉磁心の強度向上>
強度を担保する材料の代表例には、磁気焼鈍時に化学結合を形成するシリコーン樹脂や磁気焼鈍時に軟化&流動して軟磁性粉同士を接着する低融点ガラス等が挙げられる。シリコーン樹脂はバインダー兼高強度材として利用できるので、脱脂工程の省略や焼成炉の汚染予防を実現できる。シリコーン樹脂を用いた圧粉磁心の高強度化手法については、特許文献2などがある。低融点ガラス粉末を用いた圧粉磁心の高強度化手法については、特許文献3などがある。低融点ガラス粉末の配合により、圧粉磁心材料の流動度が向上する。これらの高強度化材料と必要に応じてバインダーを組合せることで、圧粉成形後も磁気焼鈍後も強度に優れる圧粉磁心を作製することができる。
特許第5053195号公報 特開2014−116527号公報 特開2014−229839号公報
PVAは水溶性有機高分子なので、特許文献1に記載のPVA造粒粉は、その製造プロセスにおいて、人体に有害でかつ防爆構造を必要とする有機溶剤が不要という特長がある。しかし、PVAは潮解性(空気中などの水分を吸着する性質)を有するので、造粒粉の貯蔵性/保存性に問題がある。この場合、圧粉成形時に流動性が悪化するため、生産性を妨げるという懸念もある。
特許文献2に記載のように、ポリエチレン(PE)などの非水溶性の低融点樹脂粉末で乾式造粒すれば、乾燥工程を省略でき、生産性を高めることができる。しかし、軟化点を超える温度で温間成形する必要があり、この際に圧粉磁心材料の流動性が著しく低下する懸念がある。
特許文献3に記載のように、シリコーン樹脂のようなシロキサン結合を骨格とする無機バインダーは、磁気焼鈍を施しても消失しないため、磁気焼鈍前後の圧粉磁心の高強度化に有効だが、アルコールやトルエンのような有機溶媒に溶解させる必要があり、造粒時にはその揮発分を作業者が吸入する危険性や自然環境の汚染が懸念される。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、生産性に優れるとともに、低コスト化を図ることができる圧粉磁心材料を提供するものである。
本発明の圧粉磁心材料は、軟磁性粉末と、前記軟磁性粉末の表面に被覆された絶縁被膜と、前記絶縁被膜の表面に配置した熱可塑性樹脂粉末と、前記熱可塑性樹脂粉末の周囲に配置した低融点ガラス粉末と、前記熱可塑性樹脂粉末および低融点ガラス粉末の表面に配置したシリカ微粒子からなる。ここで、乾式造粒とは、造粒時に液体成分を用いずに、原料の凝集力を高めて造粒する造粒方法である。例えば、ロールなどの圧力で粉体を圧縮する圧縮造粒などがこれに相当する。
本発明の圧粉磁心材料によれば、シリカ微粒子の配合により、100℃の温間成形時でも高い流動性を維持する圧粉磁心材料を得ることができる。また、熱可塑性樹脂を用い、乾式造粒で軟磁性粉を結着させるので、溶剤の乾燥工程が不要である。同じ圧縮成形条件では、低い流動性の圧粉磁心材料よりも高い流動性の材料のほうが高密度の圧粉体を得ることができる。したがって、本発明の圧粉磁心材料を用いれば、低圧成形で圧粉磁心を製造することができる。
個数基準の平均粒径が0.1μm以下のシリカ微粒子を配合量が1.0wt.%以下となるように配合することによって、流動性を向上できる。すなわち、シリカ微粒子は圧粉磁心材料中で一次粒子まで分散し、圧粉磁心材料同士の接触を予防できるので、加温時に熱可塑性樹脂粉末が軟化しても高流動性を維持できる。また、前記熱可塑性樹脂粉末の個数基準の平均粒径が20μm以下でかつ、配合量が0.5wt%〜2.0wt%であるように設定できる。さらに、前記低融点ガラス粉末がTeO2系、V25系、SnO系、ZnO系、P25系、SiO2系、B23系、Bi23、Al23系、TiO2系のいずれか、またはこれらうちの複数種の組み合わせとすることができる。
前記シリカ微粒子の個数基準の平均粒径が0.1μm以下でかつ、配合量が1.0wt.%以下であり、前記熱可塑性樹脂粉末の個数基準の平均粒径が20μm以下でかつ、配合量が0.5wt%〜2.0wt%であるのが好ましい。
本発明では、高い流動性を維持する圧粉磁心材料を得ることができ、生産性に優れる。また、溶剤の乾燥工程が不要となり、製造設備の簡素化を図ることができて、生産性の向上およびコスト低減を図ることができる。
本発明の圧粉磁心の製造方法を示すブロック図である。 圧粉磁心材料の構成図である。
以下本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の圧粉磁心の製造方法を示すブロック図であり、この圧粉磁心の製造方法は、本発明に係る圧粉磁心材料を製造する粉末生成工程1と、粉末生成工程1にて生成された圧粉磁心材料を圧縮成形する圧縮成形工程2と、圧縮成形工程2にて成形された圧縮成形品を磁気焼鈍する磁気焼鈍工程3とを備える。粉末生成工程1は、造粒工程5と、この造粒工程5にて造粒されてなる造粒品に低融点ガラス粉末11(図2参照)を配合するガラス粉末配合工程6と、ガラス粉末配合工程6にて低融点ガラス粉末11が配合された造粒品にシリカ微粒子12(図2参照)を配合するシリカ微粒子配合工程7とを備える。
圧粉磁心材料は、図2に示すように、母材となる軟磁性粉8、軟磁性粉表面に被覆された絶縁被膜9、成形後の保形性向上を担う熱可塑性樹脂粉末10、磁気焼鈍時の高強度化を担う低融点ガラス粉末11、圧粉磁心材料の流動性向上を担うシリカ微粒子12からなる。
造粒工程5は、絶縁被膜9付き軟磁性粉8と熱可塑性樹脂粉末10を前記熱可塑性樹脂の所定の温度で乾式造粒するものである。
軟磁性粉8にはFe-Si、Fe-Si-Al、Fe-Si-Cr、Fe-Ni、Fe-Ni-Mo、Fe-Co、Fe-Co-V、Fe-Cr、各種Fe系アモルファス合金、各種Fe系ナノ結晶合金、各種金属ガラス等が使用できる。これらの粉末は複数種組み合わせても良い。
軟磁性粉8を被覆する絶縁被膜9は、例えば、B、Ca、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Mo、Biからなる酸化物およびこれらの複合酸化物、Li、K、Ca、Na、Mg、Fe、Al、Zn、Mnからなる炭酸塩およびこれらの複合炭酸塩、Ca、Al、Zr、Li、Na、Mgからなるケイ酸塩およびこれらの複合ケイ酸塩、Si、Ti、Zrからなるアルコキシドおよびこれらの複合アルコキシド、Zn、Fe、Mn、Caからなるリン酸塩およびこれらの複合リン酸塩、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、PI樹脂、PPS樹脂等の耐熱樹脂等から選択できる。
この場合、500℃以上の耐熱性を持つものであればよいが、その後行う磁気焼鈍時において、熱収縮が少ない材料が特に好ましい。熱収縮が大きすぎると、磁気焼鈍時に軟磁性粉8同士が通電するおそれがある。また、絶縁被膜9は一種類でも構わないし、複数種組み合わせて使用しても良い。絶縁被膜の被覆方法は特に限定しないが、例えば、転動流動コーティング法、各種化成処理等を用いれば、均質被膜を作製できるので好ましい。
熱可塑性樹脂粉末10の粒径は母材となる軟磁性粉8の平均粒径(個数基準)より細かいものを使用する。例えば、20μm以下、より好ましくは10μm以下とする。熱可塑性樹脂粉末10は微細であるほど、軟磁性粉8との接着面積が大きくなり、高強度になる。熱可塑性樹脂を用いる理由は軟化点と融点を併せ持つためであり、熱硬化性樹脂のように融点を有しない材料は不向きである。なお、樹脂粉末の融点は成形に伴う金型への負担を考慮すれば、150℃以下が好ましい。
熱可塑性樹脂粉末10には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、メタクリル-スチレン共重合体、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等が使用できる。配合量は0.5wt%〜2.0wt%とする。過剰に配合すると圧粉磁心が低密度となるので、磁気特性の低下を招く。
ガラス粉末配合工程6にて配合する低融点ガラス粉末11の低融点ガラスは、低融点ガラスがTeO2系、V25系、SnO系、ZnO系、P25系、SiO2系、B23系、Bi23、Al23系、TiO2系のいずれか、またはこれらうちの複数種の組み合わせたものを用いることができる。特にSnO系、P25系、TeO2系、V25系およびこれらの組み合わせは軟化点が低い特徴があり、低温焼成における高強度化に対して有効である。なお、PbO系の低融点ガラスは環境適合性の観点から使用すべきではない。
低融点ガラスの粒径は微細であるほど軟磁性粉8との接点が増すため、高強度になる。低融点ガラスの粒径(個数基準の平均粒径)としては、20μm以下が好ましい。個数基準とは、粉体の各粒径毎の頻度を個数で表した粒径分布である。
本発明では、流動性向上のため、個数基準の平均粒径が1.0wt%以下でかつ、配合量0.1μm以下でシリカ微粒子12を配合する。シリカ微粒子12は圧粉磁心材料中で一次粒子まで分散し、圧粉磁心材料同士の接触を予防できるので、加温時に熱可塑性樹脂粉末10が軟化しても高流動性を維持できる。シリカはヒュームドシリカなどの乾式シリカ、湿式シリカのどちらも適用できる。ここで、乾式シリカとは、ハロゲン化ケイ素の熱分解法やケイ砂を加熱還元し、気化したSiOの空気酸化法、有機ケイ素化合物の熱分解法などにより製造される二酸化ケイ素からなる補強性シリカであり、湿式シリカとは、二酸化ケイ素(SiO2 )からなる補強性シリカのことであり、製造方法としては、ケイ酸ナトリウムを直接硫酸で分解する直接法や、ケイ酸ナトリウムを塩類と反応させてケイ酸塩を生成させ、次に硫酸または炭酸ガスで分解する間接法など種々の方法がある。
また、圧粉磁心材料には、必要に応じて固体潤滑剤を配合しても良い。本発明中の軟磁性粉8は塑性変形性が低いので、離型時のスプリングバックが生じにくく、固体潤滑剤を添加せずとも離型が可能である。ただし、金型の長寿命化の観点から、適量の固体潤滑剤を配合することが好ましい。配合量は最大1wt.%程度とする。過剰に配合すると圧粉体の低密度化により磁気特性や強度が低下する。
固体潤滑剤にはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、モンタン酸アミド、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、スターチ、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、ポリテトラフルオロエチレン、ラウロイルリシン、シアヌル酸メラミン等が使用できる。固体潤滑剤は、固体潤滑材は単独で使用しても、複数種組み合わせて使用してもよい。固体潤滑材は金型壁面のみに付着させても圧粉磁心材料に配合してもよい。
ところで、造粒とは、軟磁性粉8同士を「糊」や「接着剤」となるバインダーで接着する操作である。また、乾式造粒とは、水やバインダー(結合剤)を使わず,材料の凝集力を高めて造粒する。このため、本発明では、圧粉磁心材料の混合はV型やダブルコーン型のミキサーを用いて混合する。なお、シリカ微粒子12の混合は造粒粉同士の接触を避けるために実施するので、熱可塑性樹脂による造粒および低融点ガラスの混合の後に実施することが好ましい。
圧縮成形は熱可塑性樹脂粉末10の軟化点を超え融点未満の温度範囲で行う。熱可塑性樹脂粉末10の軟化点を越えれば、熱可塑性樹脂が軟化し、軟磁性粉8と熱可塑性樹脂の接触面積が増大するため、成形体の形状保持性が飛躍的に高まる。軟化点未満では樹脂が流動しないため、本発明の効果を発揮できない。融点より高い範囲では樹脂が金型から流失するので、強度を担保することができない。なお、熱可塑性樹脂の作用・機能が粒子同士の接合であるので、絶縁被膜9上に全周存在する必要がない。このため、粒子と粒子の境界には熱可塑性樹脂が必要となる。また、圧粉磁心材料を焼結すると、熱可塑性樹脂が無くなり、粒子同士の接合の機能を担保する役割を担うのが、熱可塑性樹脂上に存在するシリカ層となる。このため、シリカ層が無ければ、本発明に係る圧粉磁心材料を焼結すると結合が弱くなる。
圧縮成形工程2後に磁気焼鈍工程3を行うことになるが、ここで、磁気焼鈍とは、加熱することで、残留する歪みを除去しつつ、磁気特性の高い組織(結晶)・相を形成する熱処理である。このような磁気焼鈍を行うことによって、圧縮成形で生じた結晶歪を除去することができる。
磁気焼鈍工程における磁気焼鈍時の雰囲気には、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気、大気、空気、酸素、加熱水蒸気等の酸化性雰囲気、水素等の還元性雰囲気が使用できる。磁気焼鈍の温度はFe-Si、Fe-Si-Al、Fe-Si-Cr、Fe-Ni、Fe-Ni-Mo、Fe-Co、Fe-Co-V、Fe-Cr等で700℃〜850℃、Fe
系アモルファス合金やFe系ナノ結晶合金で450℃〜550℃程度である。磁気焼鈍の保持時間は、部品の大きさによるが、5〜60分程度であり、部品の内部まで十分に加熱できるように設定する。潤滑剤やバインダー等の除去が必要な場合は、適宜脱脂工程を設ける。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。このような圧粉磁心は、リアクトルやチョークコイルなどの各種磁性コアに使用することができる。
<圧粉磁心>
軟磁性粉8
鉄系アモルファス合金粉(組成:Fe-Si-Cr-B-C系、平均粒径(個数基準):50μm,エプソンアトミックス株式会社製)を用いた。この鉄系アモルファス合金粉をアミノ系シランカップリング剤で絶縁被覆した。この際、転動流動装置を用いて、約50nmの厚さを有する絶縁被膜9を形成させた。
熱可塑性樹脂粉末10
ポリエチレン粉末(平均粒径(個数基準)20μm、軟化点:80℃、融点:106℃)を用意し、鉄系アモルファス合金粉に対して配合量1.0wt%とし、所定の温度に加温した造粒機にて造粒を施した。
低融点ガラス
低融点ガラス(商品名:NTX-2W、軟化点:321℃、旭硝子株式会社製)を用意し、鉄系アモルファス合金粉に対して1.0wt%となるように常温のV型ブレンダーで配合した。
シリカ微粒子12
シリカ微粒子12(商品名:アドマナノ、粒径0.1μm、株式会社アドマテックス製)を用意し、鉄系アモルファス合金粉に対して0.5wt%となるように常温のV型ブレンダーで配合した。
圧縮成形
1470MPa 100℃で圧縮成形した。試験片は、外径が20mm、内径が12mm、高さ(肉厚)が6mmのリング状とした。
磁気焼鈍
圧縮成形体を所定の条件下で磁気焼鈍した。
以上の条件で製造した圧粉磁心を実施例1とする。
<温間成形時のシリカ微粒子12の効果>
温間成形時の圧粉磁心材料の流動性を調査するため、所定温度に加温した場合の見掛密度、流動度および1470MPa100℃で圧縮成形した場合の圧粉体密度を算出した。なお、見掛密度の測定はJIS Z 2504に、流動度の測定はJIS Z 2502に準拠した。表1に所定温度(室温、80℃、100℃、120℃、150℃)に加温した場合の試験結果(実施例1〜実施例5)を示す。比較のため、シリカ微粒子12を配合していない場合も併記した(比較例1、2)。
Figure 2020145310
シリカ微粒子12を配合すると120℃までの範囲では見掛密度、流動性、圧粉体密度に大きな差異はないが、150℃では見掛密度および圧粉体密度が低下し、流動性は悪化した。シリカ微粒子12を配合しない場合、加温とともに見掛密度および圧粉体密度が低下し、流動性は悪化した。特に100℃では圧粉磁心材料がオリフィス径に詰まり、流動度を測定できなかった。
<シリカ微粒子12配合量の影響>
シリカ微粒子12配合量を、実施例6では0.5wt%とし、実施例7では1.0wt%とし、比較例4では0.0wt%とし、比較例5では2.0wt%とした。また、加熱温度を各実施例6,7及び比較例4,5では100℃とした。このため、実施例6は前記実施例3と同一である。次の表2に実施例6,7及び比較例4,5の試験結果を示す。
Figure 2020145310
シリカ微粒子12配合量が0.5wt%や1.0wt%の場合は流動性が良い結果(見掛密度:高、圧粉体密度:高、流動度:良)となった。一方、シリカ配合量が2.0wt%の場合は流動性に優れていたが、シリカ微粒子12の体積割合が多いので、圧粉体密度が低い結果となった。
<シリカ微粒子12の平均粒径の影響>
シリカ微粒子12の平均粒径(個数基準)を、実施例8では0.1μmとし、実施例9では0.05μmとし、実施例10では0.01μmとし、比較例6では1.0μmとした。また、加熱温度を各実施例8〜10及び比較例6では100℃とした。このため、実施例3は前記実施例3及び実施例6と同一である。次の表3に実施例8〜10及び比較例6の試験結果を示す。
Figure 2020145310
シリカ微粒子の平均粒径(個数基準)が小さいほど流動性が良い結果(見掛密度:高、圧粉体密度:高、流動度:良)となった。なお、シリカ微粒子の平均粒径(個数基準)が1.0μmの場合、流動性が悪く、圧粉体密度も低い結果となった。
<熱可塑性樹脂10、低融点ガラス11、シリカ微粒子12の配合順>
実施例11は、実施例3(熱可塑性樹脂10→低融点ガラス11→シリカ微粒子12の配合順)であり、実施例12は、実施例3に対して、低融点ガラス11→熱可塑性樹脂10→シリカ微粒子12の配合順とし、比較例7は、実施例3に対して、熱可塑性樹脂10→シリカ微粒子12→低融点ガラス11の配合順とし、比較例8は、実施例3に対して、低融点ガラス→シリカ微粒子→熱可塑性樹脂の配合順とし、比較例9は、実施例3に対して、シリカ微粒子12→熱可塑性樹脂10→低融点ガラス11の配合順とし、比較例10は、実施例3に対して、シリカ微粒子12→低融点ガラス11→熱可塑性樹脂10の配合順とした。次の表4に実施例11,12及び比較例7〜10の試験結果を示す。
Figure 2020145310
シリカ微粒子12配合が最後であれば、低融点ガラスの配合と熱可塑性樹脂の造粒の順序は問わず、流動性が良く圧粉体密度が高い結果が得られる。低融点ガラスの配合または熱可塑性樹脂の造粒のどちらかの工程を最後にすると、流動性が悪く圧粉体密度が低い結果となる。
1 粉末生成工程
2 圧縮成形工程
3 磁気焼鈍工程
5 造粒工程
6 ガラス粉末配合工程
8 軟磁性粉
9 絶縁被膜
10 熱可塑性樹脂粉末
11 低融点ガラス粉末
12 シリカ微粒子

Claims (4)

  1. 軟磁性粉末と、前記軟磁性粉末の表面に被覆された絶縁被膜と、前記絶縁被膜の表面に配置した熱可塑性樹脂粉末と、前記熱可塑性樹脂粉末の周囲に配置した低融点ガラス粉末と、前記熱可塑性樹脂粉末および低融点ガラス粉末の表面に配置したシリカ微粒子からなることを特徴とする圧粉磁心材料。
  2. 前記シリカ微粒子の個数基準の平均粒径が0.1μm以下でかつ、配合量が1.0wt%以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心材料。
  3. 前記熱可塑性樹脂粉末の個数基準の平均粒径が20μm以下でかつ、配合量が0.5wt%〜2.0wt%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧粉磁心材料。
  4. 前記低融点ガラス粉末がTeO2系、V25系、SnO系、ZnO系、P25系、SiO2系、B23系、Bi23、Al23系、TiO2系のいずれか、またはこれらうちの複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧粉磁心材料。
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