JP2006089791A - 高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高密度、高強度、高比抵抗および高飽和磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法を提供する。
【解決手段】容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結する高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結する高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
この発明は、モータ、アクチュエータ、磁気センサなどの製造に使用される高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材、特に高比抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法に関するものである。
一般に、モータ、アクチュエータ、磁気センサなどの磁心には鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末(以下、これらを軟磁性金属粉末と総称する)を燒結して得られた軟磁性焼結材料が用いられることは知られている。
前記軟磁性金属粉末などを燒結して得られた軟磁性焼結材料は、磁束密度が高いが、高周波特性が悪い。これを改良するために、前記軟磁性金属粉末の粒子間に高固有抵抗物質を介在させた複合磁性材料が提案されている。一例として、軟磁性金属粉末と、SiO2を生成する化合物と、MgCO3またはMgOの粉末からなる混合物を圧縮成形して成形体を作製し、この成形体を温度:500〜1100℃に保持することにより軟磁性金属粉末の粒子間にSiO2とMgOを主成分とするガラス相を形成し、軟磁性金属粉末粒子間の絶縁を確保することにより圧粉磁心の製造方法が知られている(特許文献1参照)
特開2003−217919号公報
前記従来の高固有抵抗物質を軟磁性金属粉末に添加し焼結して得られた複合軟磁性焼結材は、密度、抗折強度、比抵抗および磁束密度の内でも特に比抵抗が十分でなく、尚一層高比抵抗を有する複合軟磁性焼結材が求められていた。
そこで、本発明者らは、密度、抗折強度、比抵抗および磁束密度の内でもなお一層高比抵抗を有する複合軟磁性焼結材を得るべく研究を行った。その結果、
(イ)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することにより得られた複合軟磁性焼結材は、軟磁性金属粉末の粒間にフォルステライト(2MgO・SiO2)を主体とした酸化物が形成され、このフォルステライトはSiO2とMgOを主成分とするガラス相に比べて金属に対する密着性が高いことから、従来の複合軟磁性焼結材に比べて一層高強度の複合軟磁性焼結材が得られる、という研究結果が得られたのである。
(イ)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することにより得られた複合軟磁性焼結材は、軟磁性金属粉末の粒間にフォルステライト(2MgO・SiO2)を主体とした酸化物が形成され、このフォルステライトはSiO2とMgOを主成分とするガラス相に比べて金属に対する密着性が高いことから、従来の複合軟磁性焼結材に比べて一層高強度の複合軟磁性焼結材が得られる、という研究結果が得られたのである。
したがって、この発明は、
(1)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結する高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
(1)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結する高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
前記(1)記載のこの発明の高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材は、特に高比抵抗を有するものの、強度が十分でなく、そのために本発明者らは、高抵抗を有しかつ一層の高強度を有する複合軟磁性焼結材を得るべく研究を行った。その結果、
(ロ)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対するマグネシウムアルコキシド溶液の割合を1〜3の範囲内で変えて配合した複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、
この複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液の内で最初にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOを最も多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、初層という)を形成し、
引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を、前記初層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の初層の表面にMgOを次に多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、中間層という)を形成し、
最後にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も少ないMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を前記初層および中間層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより中間層の表面にMgOを最も少なく含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、最表面層という)を形成することにより、MgOの濃度が軟磁性合金粉末の表面から外に向って小さくなるMgO濃度勾配を有するMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を軟磁性金属粉末の表面に形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末(以下、この粉末を勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末という)を作製し、この勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結すると、
前記勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末は、軟磁性金属粉末に接して形成されているMgOを最も多く含む初層の熱膨張係数が軟磁性金属粉末の熱膨張係数に最も近似していることからホットプレス後の軟磁性金属粉末に対する密着性はフォルステライトのみの層よりも優れたものとなり、さらに最表面層はSiO2を最も多く含むためにフォルステライトのみの層よりも焼結性に優れたものとなり、前記勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することにより得られた複合軟磁性焼結材は、高比抵抗を維持しつつなお一層高強度の複合軟磁性焼結材が得られる、という研究結果が得られたのである。
(ロ)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対するマグネシウムアルコキシド溶液の割合を1〜3の範囲内で変えて配合した複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、
この複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液の内で最初にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOを最も多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、初層という)を形成し、
引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を、前記初層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の初層の表面にMgOを次に多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、中間層という)を形成し、
最後にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も少ないMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を前記初層および中間層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより中間層の表面にMgOを最も少なく含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、最表面層という)を形成することにより、MgOの濃度が軟磁性合金粉末の表面から外に向って小さくなるMgO濃度勾配を有するMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を軟磁性金属粉末の表面に形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末(以下、この粉末を勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末という)を作製し、この勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結すると、
前記勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末は、軟磁性金属粉末に接して形成されているMgOを最も多く含む初層の熱膨張係数が軟磁性金属粉末の熱膨張係数に最も近似していることからホットプレス後の軟磁性金属粉末に対する密着性はフォルステライトのみの層よりも優れたものとなり、さらに最表面層はSiO2を最も多く含むためにフォルステライトのみの層よりも焼結性に優れたものとなり、前記勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することにより得られた複合軟磁性焼結材は、高比抵抗を維持しつつなお一層高強度の複合軟磁性焼結材が得られる、という研究結果が得られたのである。
したがって、この発明は、
(2)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対するマグネシウムアルコキシド溶液の割合を1〜3の範囲内で変えて配合した複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、
この複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液の内で最初にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面に初層を形成し、
引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を、前記初層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の初層の表面に中間層を形成し、
最後にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も少ないMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を前記初層および中間層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより中間層の表面に最表面層を形成することにより勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結する高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
(2)容量比でアルコキシシラン溶液:1に対するマグネシウムアルコキシド溶液の割合を1〜3の範囲内で変えて配合した複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、
この複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液の内で最初にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面に初層を形成し、
引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を、前記初層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の初層の表面に中間層を形成し、
最後にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も少ないMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を前記初層および中間層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより中間層の表面に最表面層を形成することにより勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結する高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
前記中間層は、単相であっても良く、また複数層であっても良い。中間層が複数層である場合は、初層に接する中間層の最下層を中間層の内でMgOを最も多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を使用して形成し、最表面層に接する中間層の最上層を中間層の内でSiO2を最も多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を使用して形成する。したがって、この発明は、
(3)前記中間層は、初層を形成するときに使用したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液に比べてマグネシウムアルコキシド溶液含有量が少ないが前記最表面層を形成するときに使用したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液に比べてマグネシウムアルコキシド溶液含有量を多く含むマグネシウムアルコキシド溶液含有量の異なるMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を複数溶液作製し、前記複数溶液の内でマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を用いてMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を前記初層の表面に形成し、引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を用いてMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆を形成し、これを繰り返すことでMgOの含有量が異なる複数ゲル被覆を形成することにより作製する前記(2)記載の高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
(3)前記中間層は、初層を形成するときに使用したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液に比べてマグネシウムアルコキシド溶液含有量が少ないが前記最表面層を形成するときに使用したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液に比べてマグネシウムアルコキシド溶液含有量を多く含むマグネシウムアルコキシド溶液含有量の異なるMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を複数溶液作製し、前記複数溶液の内でマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を用いてMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を前記初層の表面に形成し、引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を用いてMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆を形成し、これを繰り返すことでMgOの含有量が異なる複数ゲル被覆を形成することにより作製する前記(2)記載の高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
この発明において、アルコキシシラン溶液とマグネシウムアルコキシド溶液の混合比を容量比で1〜3の範囲内にしたのは、アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1未満を混合して得られたMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を使用して作製した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することにより得られた複合軟磁性焼結材は、軟磁性金属粉末の粒間にSiO2が多く介在し、そのために十分な量のフォルステライト(2MgO・SiO2)が形成されなくなるので好ましくなく、一方、アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:3を越えて混合して得られたMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を使用して作製すると、複合軟磁性焼結材の軟磁性金属粉末の粒間に介在する絶縁層はMgOが多くなり過ぎて十分な量のフォルステライト(2MgO・SiO2)が形成されないので好ましくないという理由によるものである。
また、この発明において混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末の圧粉成形体を温度:500〜1300℃で燒結するのは、500℃未満で燒結してもフォルステライト(2MgO・SiO2)が形成されないので好ましくなく、一方、1300℃を越える温度で燒結すると、複合軟磁性金属粉末の焼結が進行し過ぎて前記軟磁性金属粉末の粒子間の絶縁を確保することが困難となるので好ましくないという理由によるものである。
また、この発明において混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末の圧粉成形体を温度:500〜1300℃で燒結するのは、500℃未満で燒結してもフォルステライト(2MgO・SiO2)が形成されないので好ましくなく、一方、1300℃を越える温度で燒結すると、複合軟磁性金属粉末の焼結が進行し過ぎて前記軟磁性金属粉末の粒子間の絶縁を確保することが困難となるので好ましくないという理由によるものである。
前記(1)および(2)記載の軟磁性金属粉末は、従来から一般に知られている鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末または絶縁処理Fe粉末である。一層具体的には、
鉄粉末は純鉄粉末であり、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はAl:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であり、
Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末はNi:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−49%Ni粉末)であり、
Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末はCr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末でり、
Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、
Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末は、P:0.6%(以上、%は質量%を示す)を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末、
絶縁処理Fe粉末は、Fe粉末の表面にリン酸塩被膜を形成した粉末であることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
そして、これら軟磁性金属粉末は平均粒径:5〜500μmの範囲内にある軟磁性金属粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、軟磁性金属粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、軟磁性金属粉末内部の渦電流が増大して高周波における損失が増大するので好ましくないことによるものである。
鉄粉末は純鉄粉末であり、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はAl:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であり、
Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末はNi:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−49%Ni粉末)であり、
Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末はCr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10%、Al:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末でり、
Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52%、V:0.1〜3%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、
Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末は、P:0.6%(以上、%は質量%を示す)を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末、
絶縁処理Fe粉末は、Fe粉末の表面にリン酸塩被膜を形成した粉末であることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
そして、これら軟磁性金属粉末は平均粒径:5〜500μmの範囲内にある軟磁性金属粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、軟磁性金属粉末の体積割合が低くなるために磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、軟磁性金属粉末内部の渦電流が増大して高周波における損失が増大するので好ましくないことによるものである。
この発明の複合軟磁性焼結材の製造方法によると、従来の複合軟磁性焼結材に比べて一層高比抵抗かつ高強度を有する複合軟磁性焼結材を製造することができる。
軟磁性原料粉末として、いずれも平均粒径:70μmを有する、
純鉄粉末、
Al:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Ni:49質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、
Cr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:3質量%、Al:3質量を含有し、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Co:30%、V:2%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、をそれぞれ用意した。
純鉄粉末、
Al:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Ni:49質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、
Cr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、
Si:3質量%、Al:3質量を含有し、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、
Co:30%、V:2%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、をそれぞれ用意した。
実施例1および比較例1
水と塩酸を添加した前加水分解アルコキシシラン溶液およびマグネシウムアルコキシド溶液を用意し、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液を表1に示される容量比で混合してMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意した純鉄粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法1および比較法1〜2を実施した。この本発明法1および比較法1〜2で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
水と塩酸を添加した前加水分解アルコキシシラン溶液およびマグネシウムアルコキシド溶液を用意し、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液を表1に示される容量比で混合してMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意した純鉄粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法1および比較法1〜2を実施した。この本発明法1および比較法1〜2で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
従来例1
先に用意した純鉄粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表1に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法1を実施した。この従来法1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
先に用意した純鉄粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表1に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法1を実施した。この従来法1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表1に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表1に示した。
表1に示される結果から、本発明法1で作製した複合軟磁性焼結材は従来法1で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法1〜2で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例2および比較例2
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法2および比較法3〜4を実施した。この本発明法2および比較法3〜4で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2に示した。
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法2および比較法3〜4を実施した。この本発明法2および比較法3〜4で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2に示した。
従来例2
先に用意したFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表2に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法2を実施した。この従来法2で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2に示した。
先に用意したFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表2に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法2を実施した。この従来法2で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表2に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表2に示した。
表2に示される結果から、本発明法2で作製した複合軟磁性焼結材は従来法2で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法3〜4で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例3および比較例3
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法3および比較法5〜6を実施した。この本発明法3および比較法5〜6で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3に示した。
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法3および比較法5〜6を実施した。この本発明法3および比較法5〜6で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3に示した。
従来例3
先に用意したFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表3に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法3を実施した。この従来法3で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3に示した。
先に用意したFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表3に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法3を実施した。この従来法3で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表3に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表3に示した。
表3に示される結果から、本発明法3で作製した複合軟磁性焼結材は従来法3で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法5〜6で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例4および比較例4
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法4および比較法7〜8を実施した。この本発明法4および比較法7〜8で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表4に示した。
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法4および比較法7〜8を実施した。この本発明法4および比較法7〜8で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表4に示した。
従来例4
先に用意したFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表4に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法4を実施した。この従来法4で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表4に示した。
先に用意したFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表4に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法4を実施した。この従来法4で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表4に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表4に示した。
表4に示される結果から、本発明法4で作製した複合軟磁性焼結材は従来法4で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法7〜8で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例5および比較例5
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法5および比較法9〜10を実施した。この本発明法5および比較法9〜10で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表5に示した。
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法5および比較法9〜10を実施した。この本発明法5および比較法9〜10で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表5に示した。
従来例5
先に用意したFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表5に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法5を実施した。この従来法5で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表5に示した。
先に用意したFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表5に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法5を実施した。この従来法5で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表5に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表5に示した。
表5に示される結果から、本発明法5で作製した複合軟磁性焼結材は従来法5で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法9〜10で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例6および比較例6
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法6および比較法11〜12を実施した。この本発明法6および比較法11〜12で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表6に示した。
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法6および比較法11〜12を実施した。この本発明法6および比較法11〜12で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表6に示した。
従来例6
先に用意したFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表6に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法6を実施した。この従来法6で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表6に示した。
先に用意したFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表6に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法6を実施した。この従来法6で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表6に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表6に示した。
表6に示される結果から、本発明法6で作製した複合軟磁性焼結材は従来法6で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法11〜12で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例7および比較例7
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法7および比較法13〜14を実施した。この本発明法7および比較法13〜14で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表7に示した。
実施例1で作製したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を先に用意したFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末に対してMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.2質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法7および比較法13〜14を実施した。この本発明法7および比較法13〜14で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表7に示した。
従来例7
先に用意したFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表7に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法7を実施した。この従来法7で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表7に示した。
先に用意したFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末に対してシリコーン樹脂およびMgO粉末を表7に示される割合となるように混合して従来混合粉末を作製し、得られた従来混合粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、従来法7を実施した。この従来法7で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表7に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表7に示した。
表7に示される結果から、本発明法7で作製した複合軟磁性焼結材は従来法7で作製した複合軟磁性焼結材と比べて、抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。しかし、比較法13〜14で作製した複合軟磁性焼結材は相対密度、磁束密度の特性が劣るので好ましくないことが分かる。
実施例8
実施例1で用意した前加水分解アルコキシシラン溶液およびマグネシウムアルコキシド溶液を、容量比で、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:3となるように混合することによりMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し(以下、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を「ゾル液A」という)、
さらに、容量比で、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:2となるように混合することによりMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し(以下、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を「ゾル液B」という)、
さらに、容量比で、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1となるように混合することによりMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製した(以下、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を「ゾル液C」という)。
先に用意した軟磁性原料粉末である純鉄粉末に、先ず、ゾル液AをMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.1質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面に混合比がMgO:SiO2=3:1の混合酸化物ゲル被覆層(以下、この混合酸化物ゲル被覆層を「ゲル層A」という)有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、次に、このゲル層Aを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末にゾル液BをMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.1質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末のゲル層Aの表面に混合比がMgO:SiO2=2:1の混合酸化物ゲル被覆層(以下、この混合酸化物ゲル被覆層を「ゲル層B」という)有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、さらにこのゲル層AおよびBを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末にゾル液CをMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.1質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末のゲル層B表面に混合比がMgO:SiO2=1:1の混合酸化物ゲル被覆層(以下、この混合酸化物ゲル被覆層を「ゲル層C」という)有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。
実施例1で用意した前加水分解アルコキシシラン溶液およびマグネシウムアルコキシド溶液を、容量比で、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:3となるように混合することによりMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し(以下、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を「ゾル液A」という)、
さらに、容量比で、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:2となるように混合することによりMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し(以下、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を「ゾル液B」という)、
さらに、容量比で、前加水分解アルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1となるように混合することによりMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製した(以下、このMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を「ゾル液C」という)。
先に用意した軟磁性原料粉末である純鉄粉末に、先ず、ゾル液AをMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.1質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面に混合比がMgO:SiO2=3:1の混合酸化物ゲル被覆層(以下、この混合酸化物ゲル被覆層を「ゲル層A」という)有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、次に、このゲル層Aを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末にゾル液BをMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.1質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末のゲル層Aの表面に混合比がMgO:SiO2=2:1の混合酸化物ゲル被覆層(以下、この混合酸化物ゲル被覆層を「ゲル層B」という)有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、さらにこのゲル層AおよびBを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末にゾル液CをMgOとSiO2の混合酸化物換算で0.1質量%添加し混合し、得られた混合粉末を温度:150℃で加熱乾燥することにより混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末のゲル層B表面に混合比がMgO:SiO2=1:1の混合酸化物ゲル被覆層(以下、この混合酸化物ゲル被覆層を「ゲル層C」という)有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製した。
このようにして得られたゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を金型に入れ、プレス成形して縦:55mm、横:10mm、厚さ:5mmの寸法を有する板状圧粉体および外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmの寸法を有するリング形状圧粉体を成形し、得られた圧粉体を窒素雰囲気中、温度:500℃、30分保持の条件で焼結することにより板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法1−1を実施した。この本発明法1−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
実施例9
軟磁性原料粉末としてFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法2−1を実施した。この本発明法2−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
軟磁性原料粉末としてFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法2−1を実施した。この本発明法2−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
実施例10
軟磁性原料粉末としてFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法3−1を実施した。この本発明法3−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
軟磁性原料粉末としてFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法3−1を実施した。この本発明法3−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
実施例11
軟磁性原料粉末としてFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法4−1を実施した。この本発明法4−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
軟磁性原料粉末としてFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法4−1を実施した。この本発明法4−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
実施例12
軟磁性原料粉末としてFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法5−1を実施した。この本発明法5−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
軟磁性原料粉末としてFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法5−1を実施した。この本発明法5−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
実施例13
軟磁性原料粉末としてFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法6−1を実施した。この本発明法6−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
軟磁性原料粉末としてFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法6−1を実施した。この本発明法6−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
実施例14
軟磁性原料粉末としてFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法7−1を実施した。この本発明法7−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
軟磁性原料粉末としてFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末を使用する以外は実施例8と同様にしてゲル層A、BおよびCを有する混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を用いて実施例8と同様にして板状およびリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製し、本発明法7−1を実施した。この本発明法7−1で得られた板状焼結体からなる複合軟磁性焼結材の相対密度、比抵抗および抗折力を測定してその結果を表8に示し、さらにリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサで磁束密度を測定し、それらの結果を表8に示した。
表8の本発明法1−1〜7−1で作製した複合軟磁性焼結材と軟磁性原料粉末が同じである表1〜7の従来法1〜7で作製した複合軟磁性焼結材をそれぞれ比較すると、本発明法1−1〜7−1で作製した複合軟磁性焼結材は軟磁性原料粉末が同じである従来法1〜7で作製した複合軟磁性焼結材よりも抗折強度、磁束密度および比抵抗が共に優れていることが分かる。
また、実施例8の本発明法1−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例1の軟磁性原料粉末が同じである本発明法1で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例9の本発明法2−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例2の軟磁性原料粉末が同じである本発明法2で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例10の本発明法3−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例3の軟磁性原料粉末が同じである本発明法3で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例11の本発明法4−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例4の軟磁性原料粉末が同じである本発明法4で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例12の本発明法5−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例5の軟磁性原料粉末が同じである本発明法5で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例13の本発明法6−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例6の軟磁性原料粉末が同じである本発明法6で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例14の本発明法7−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例7の軟磁性原料粉末が同じである本発明法7で作製した複合軟磁性焼結材とをそれぞれ比較すると、本発明法1−1〜7−1で作製した複合軟磁性焼結材は、本発明法1〜7で作製した複合軟磁性焼結材で作製した複合軟磁性焼結材よりもいずれも抗折強度および比抵抗が共に一層優れていることが分かる。
また、実施例8の本発明法1−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例1の軟磁性原料粉末が同じである本発明法1で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例9の本発明法2−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例2の軟磁性原料粉末が同じである本発明法2で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例10の本発明法3−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例3の軟磁性原料粉末が同じである本発明法3で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例11の本発明法4−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例4の軟磁性原料粉末が同じである本発明法4で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例12の本発明法5−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例5の軟磁性原料粉末が同じである本発明法5で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例13の本発明法6−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例6の軟磁性原料粉末が同じである本発明法6で作製した複合軟磁性焼結材、
実施例14の本発明法7−1で作製した複合軟磁性焼結材と実施例7の軟磁性原料粉末が同じである本発明法7で作製した複合軟磁性焼結材とをそれぞれ比較すると、本発明法1−1〜7−1で作製した複合軟磁性焼結材は、本発明法1〜7で作製した複合軟磁性焼結材で作製した複合軟磁性焼結材よりもいずれも抗折強度および比抵抗が共に一層優れていることが分かる。
Claims (5)
- 容量比でアルコキシシラン溶液:1に対してマグネシウムアルコキシド溶液:1〜3の範囲内の一定比率で混合して得られたMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性金属粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を作製し、この混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することを特徴とする高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
- 容量比でアルコキシシラン溶液:1に対するマグネシウムアルコキシド溶液の割合を1〜3の範囲内で変えて配合した複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を作製し、
この複数のMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液の内で最初にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の表面にMgOを最も多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、初層という)を形成し、
引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量を次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を、前記初層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより軟磁性金属粉末の前記初層の表面にMgOを次に多く含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、中間層という)を形成し、
最後にマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も少ないMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を前記初層および中間層を形成した軟磁性合金粉末に添加し混合したのち加熱乾燥することにより前記中間層の表面にMgOを最も少なく含むMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層(この層を以下、最表面層という)を形成することにより、MgOの濃度が軟磁性合金粉末の表面から外に向って小さくなるMgO濃度勾配を有するMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を軟磁性金属粉末の表面に形成した混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末(以下、この粉末を勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末という)を作製し、この勾配混合酸化物ゲル被覆軟磁性金属粉末を圧粉成形したのち、温度:500〜1300℃で燒結することを特徴とする高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。 - 前記中間層は、初層を形成するときに使用したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液に比べてマグネシウムアルコキシド溶液含有量が少ないが前記最表面層を形成するときに使用したMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液に比べてマグネシウムアルコキシド溶液含有量を多く含むマグネシウムアルコキシド溶液含有量の異なるMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を複数溶液作製し、前記複数溶液の内でマグネシウムアルコキシド溶液含有量の最も多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を用いてMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆層を前記初層の表面に形成し、引き続いてマグネシウムアルコキシド溶液含有量の次に多いMgOとSiO2の混合酸化物ゾル溶液を用いてMgOとSiO2の混合酸化物ゲル被覆を形成し、これを繰り返すことでMgOの含有量が異なる複数ゲル被覆を形成することにより作製することを特徴とする請求項2記載の高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
- 前記軟磁性金属粉末は、鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末または絶縁処理Fe粉末であることを特徴とする請求項1、2または3記載の高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
- 請求項1、2、3または4記載の方法で製造した高密度、高強度、高比抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性焼結材。
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