JP4909312B2 - 圧粉磁心用軟磁性材および圧粉磁心 - Google Patents

圧粉磁心用軟磁性材および圧粉磁心 Download PDF

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本発明は、交流で使用されるモータなどの電磁気部品の圧粉磁心の作製に用いられる表面に絶縁処理した軟磁性粉末より成る圧粉磁心用軟磁性材と、その圧粉磁心用軟磁性材を圧粉成形して作製される圧粉磁心に関するものである。
従来から交流で使用されるモータなどの電磁気部品の磁心には、電磁鋼板や電気鉄板を積層した磁心が用いられていたが、近年は、より磁気特性に優れ、三次元形状の自由度も高いことから、表面に絶縁処理した純鉄粉や軟磁性鉄基合金粉末等の軟磁性粉末を圧粉成形した圧粉磁心が用いられるようになってきた。
表面に絶縁処理した軟磁性粉末を圧粉成形した圧粉磁心は、磁気特性に優れるとはいうものの通常の製造方法で製造される球形に近い軟磁性粉末を圧粉成形するだけでは、高い透磁率を確保することはできない。
そこで、高い透磁率を確保するために考えられたのが軟磁性粉末を偏平形状にすることである。この軟磁性粉末を偏平形状にするという技術は、特許文献1〜12等で数多く提案されている。これらの技術によれば、軟磁性粉末を偏平形状にすることで、確かに軟磁性粉末の長軸方向での反磁界が小さくなり、長軸方向の透磁率は高くすることができる。しかしながら、短軸方向では逆に反磁界が大きくなり、短軸方向の透磁率は低くなってしまう。これら偏平形状の軟磁性粉末を、成形金型のキャピティーに充填してプレスで圧粉成形すると、そのプレス圧により軟磁性粉末は、図2に示すように、その長軸方向がプレスの加圧方向(矢印で示す)と直交する方向を向いてしまう。その結果、圧粉成形された圧粉磁心は、プレスの加圧方向と直交する方向(図2の縦方向)では透磁率は高くなるが、逆にプレスの加圧方向と平行な方向(図2の横方向)では透磁率は低くなってしまう。このように異方性のある軟磁性粉末を単に圧粉成形して作製された圧粉磁心を、3次元的な磁気回路を構成するモータなどのコアに用いることは、圧粉磁心の磁気特性が等方的でないため望ましくはない。
また、偏平形状の軟磁性粉末と球形に近い軟磁性粉末を混合して圧粉磁心を作製する技術も特許文献13として提案されている。この特許文献13には、偏平形状の軟磁性粉末の長軸方向をプレスの加圧方向と平行にすると記載されているものの、振動を与えて偏平形状の軟磁性粉末の長軸方向をプレスの加圧方向と平行に配向させることが必要で、余計な製造設備、製造工程を必要とする。また、偏平形状の軟磁性粉末の長軸方向がプレスの加圧方向と平行な方向を向いてしまうため、前記した圧粉磁心とは逆に、圧粉成形された圧粉磁心は、プレスの加圧方向と平行な方向で透磁率は高くなるものの、プレスの加圧方向と直交する方向で透磁率は低くなってしまう。従って、特許文献1〜12記載の軟磁性粉末から圧粉磁心を作製した場合と同様、この特許文献13記載の圧粉磁心を、3次元的な磁気回路を構成するモータなどのコアに用いることは、圧粉磁心の磁気特性が等方的でないため望ましくはない。
特開平6−267723号公報 特開2005−15914号公報 特開2003−272909号公報 特開2006−80166号公報 特開平1−294801号公報 特開平8−260114号公報 特開平8−269501号公報 特開2000−30924号公報 特開2001−326116号公報 特開平8−236331号公報 特開昭63−233508号公報 特開2005−209753号公報 特開2006−210847号公報
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、磁気的な等方性を維持しつつ、透磁率を向上させることができ、交流で使用されるモータなどの電磁気部品の作製に用いることが最適な圧粉磁心用軟磁性材と、その圧粉磁心用軟磁性材を圧粉成形して作製される圧粉磁心を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、表面に絶縁処理した軟磁性粉末より成る圧粉磁心用軟磁性材であって、含有される軟磁性粉末は、篩を用いて篩分けされた、粒子径が小さな軟磁性粉末と粒子径が大きな軟磁性粉末とを含み、粒子径が小さな軟磁性粉末は篩分け後に偏平加工されたものであり、粒子径が小さな軟磁性粉末の平均アスペクト比は3.0以上、粒子径が大きな軟磁性粉末の平均アスペクト比は3.0未満であることを特徴とする圧粉磁心用軟磁性材である。
請求項2記載の発明は、前記軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径は75μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径は75μm以上である請求項1記載の圧粉磁心用軟磁性材である。
請求項3記載の発明は、前記軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径は63μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径は63μm以上である請求項1記載の圧粉磁心用軟磁性材である。
請求項4記載の発明は、前記軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径は45μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径は45μm以上である請求項1記載の圧粉磁心用軟磁性材である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の圧粉磁心用軟磁性材を圧粉成形して作製されたことを特徴とする圧粉磁心である。
本発明の圧粉磁心用軟磁性材および圧粉磁心によると、磁気的な等方性を維持しつつ、透磁率を向上させることができるので、交流で使用されるモータなどの電磁気部品の作製に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
本発明の圧粉磁心用軟磁性材は、純鉄粉や軟磁性鉄基合金粉末(Fe−Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイ)、或いはアモルファス粉末等の表面に絶縁処理した軟磁性粉末より構成される。これらの軟磁性粉末は、還元法や、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、粉砕等によって製造することができる。
これらの軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の平均アスペクト比(長径/短径)は3.0以上、粒子径が大きな軟磁性粉末の平均アスペクト比(長径/短径)は3.0未満である。これら粒子径が小さな軟磁性粉末と粒子径が大きな軟磁性粉末は、日本粉末治金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA P02−1992)で規定された篩を用いて篩い分けすることができる。
例えば、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径を75μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径を75μm以上とする場合は、目開き75μmの篩を用いて篩い分けすることができる。目開き75μmの篩を通したとき、篩を通過した軟磁性粉末が、粒子径が75μm未満の小さな軟磁性粉末、篩上に残った軟磁性粉末が、粒子径が75μm以上の大きな軟磁性粉末となる。
目開き75μmの篩以外に、目開き106μm、目開き63μm、目開き45μmの篩を用いて篩い分けすることで、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径を夫々106μm未満、63μm未満、45μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径を夫々106μm以上、63μm以上、45μm以上とすることができる。
篩い分け前の軟磁性粉末は、還元法や、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、粉砕等によって製造したままで、平均アスペクト比(長径/短径)が3.0未満の球形に近い形状であるため、篩い分けした軟磁性粉末のうち、粒子径が大きな軟磁性粉末はそのまま使用することになるが、粒子径が小さな軟磁性粉末は、振動ボールミルなどのボールミル加工や、アトライタ圧延などの塑性加工などを用いて偏平加工することで、平均アスペクト比(長径/短径)を3.0以上にする。
偏平加工の条件は、軟磁性粉末の成分組成や、用いる装置などによって異なるため、一律に規定することはできないが、例えばボールミル加工の場合、軟磁性粉末の投入量や、ボールの種類、ボールの大きさ、ボールの投入量、振動数(回転数)、偏平加工時間、振幅などを制御すれば、偏平加工後の平均アスペクト比(長径/短径)を調整することができる。
このような軟磁性粉末の表面は絶縁処理されている。絶縁処理としては絶縁被膜を形成することが望ましい。この絶縁被膜としては、リン酸系化成被膜等のリン酸を主成分とする被膜やクロム系化成被膜などの無機物、或いは様々な樹脂を用いて形成することができる。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンなどのオレフィン樹脂、カーボネート樹脂、ケトン樹脂、フッ化メタクリレートやフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、PEEKなどのエンジニアリングプラスッチックまたはその変性品などを被膜として用いることができる。
このような絶縁被膜の中でも、リン酸系化成被膜を形成することが推奨される。リン酸系化成被膜は、オルトリン酸(HPO)などの化成処理によって生成するガラス状の被膜であり、特に電気絶縁性に優れている。このリン酸系化成被膜の膜厚は1〜250nmが好ましい。膜厚が1nmより薄いと絶縁効果が発現し難く、250nmを超えると絶縁効果が飽和する上、成形される圧粉磁心の高密度化を阻害するためである。また、その付着量は、0.01〜0.8質量%程度が好ましい。尚、リン酸系化成被膜には、Na、S、Si、W、Mg、B、Co等の元素を含有させることができる。これらの元素は、高温での歪取焼鈍中にリン酸系化成被膜中の酸素がFeと反応し、半導体を形成することを阻害し、歪取焼鈍による比抵抗の低下を抑制するのに有効に作用する。
軟磁性粉末の表面に、リン酸系化成被膜を形成するには、水性溶媒にオルトリン酸(HPO)などを溶解して、固形分0.1〜10質量%程度の処理液とし、鉄基合金水アトマイズ粉末:100質量部に対して、その処理液を1〜10質量部添加して、ミキサー、ボールミル等の混合機で混合し、大気中、減圧下、或いは真空下で、150〜250℃で乾燥すれば形成できる。
また、このリン酸系化成被膜の表面に、シリコーン樹脂被膜が形成されていることが推奨される。シリコーン樹脂被膜は単独で形成しても良いが、電気絶縁性の熱的安定性を向上させる上に、成形される圧粉磁心の機械的強度も高めるという作用を有する。このシリコーン樹脂としては、硬化が遅くなると粉末がべとついて被膜形成後のハンドリング性が悪くなる二官能性のD単位(RSiX:Xは加水分解性基)よりは、三官能性のT単位(RSiX:Xは加水分解性基)を多く含有する方が好ましい。また、四官能性のQ単位(SiX:Xは加水分解性基)が多く含まれていると、予備硬化の際に粉末同士が強固に結着してしまい、後の成形が行えなくなるので好ましくない。よって、T単位が60モル%以上、好ましくは80モル%以上、最も好ましくは全てがT単位のシリコーン樹脂被膜が形成されていることが推奨される。尚、シリコーン樹脂としては、前記Rがメチル基またはフェニル基となっているメチルフェニルシリコーン樹脂が一般的である。
このシリコーン樹脂被膜の膜厚は1〜200nmが好ましい。より好ましい膜厚は1〜100nmである。また、その付着量は、リン酸系化成被膜が形成された鉄基合金水アトマイズ粉末と、シリコーン樹脂被膜の合計を100質量%としたとき、0.05〜0.3質量%であることが好ましい。0.05質量%より少ないと絶縁性に劣り、0.3質量%より多いと圧粉磁心の高密度化ができにくくなる。
また、シリコーン樹脂被膜とリン酸系化成被膜を合わせた厚みは250nm以下であることが好ましい。合計膜厚が250nmを超えると磁束密度の低下が大きくなることがある。尚、リン酸系化成被膜をシリコーン樹脂被膜より厚めに形成すれば、鉄損を小さくすることができる。
リン酸系化成被膜の表面に、シリコーン樹脂被膜を形成するには、アルコール類やトルエン、キシレン等の石油系有機溶剤などにシリコーン樹脂を溶解させて、固形分が2〜10質量%になるように調製した樹脂溶液を、リン酸系化成被膜が表面に形成された鉄基合金水アトマイズ粉末:100質量部に対して、その樹脂溶液を0.5〜10質量部添加して、混合して乾燥すれば形成できる。
以上説明した平均アスペクト比(長径/短径)が3.0以上の粒子径が小さな軟磁性粉末と、平均アスペクト比(長径/短径)が3.0未満の粒子径が大きな軟磁性粉末で成る圧粉磁心用軟磁性材を用いて圧粉成形することで、圧粉磁心は作製される。圧粉成形法は特に限定することはないが、例えば、軟磁性粉末を成形金型のキャピティーに充填してプレスで圧粉成形することで、圧粉磁心を製造することができる。尚、必要に応じて圧粉成形後の圧粉磁心は、歪取焼鈍等の熱処理が施される。
平均アスペクト比(長径/短径)が3.0以上で、偏平形状の粒子径が小さな軟磁性粉末と、平均アスペクト比(長径/短径)が3.0未満で、偏平加工せず球形に近い形状の粒子径が大きな軟磁性粉末で成る圧粉磁心用軟磁性材を用いて圧粉成形すると、図1に示すように、偏平形状の粒子径が小さな軟磁性粉末は、プレスの加圧方向とは関係なく、球形に近い形状の粒子径が大きな軟磁性粉末の周りの隙間で様々な方向を向くこととなる。その結果、圧粉成形された圧粉磁心は、どの方向においても透磁率は高くなり、且つ、異方性はなく磁気特性が等方向となるため、作製された圧粉磁心は、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに好適に用いることができる。
日本粉末治金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA P02−1992)に準拠して、神戸製鋼所製のアトマイズ粉末「アトメル300NH」:100kgを、目開き106μm、目開き75μm、目開き63μm、目開き45μmの篩に夫々通すことで、粒子径が小さな軟磁性粉末と粒子径が大きな軟磁性粉末に篩い分けした。また、比較例として特に篩い分けしない神戸製鋼所製のアトマイズ粉末「アトメル300NH」も準備した。
篩い分けした軟磁性粉末のうち粒子径が小さな軟磁性粉末を、振動式ボールミルに入れ、軟磁性粉末に偏平加工を施した。同様に、比較例の軟磁性粉末にも偏平加工を施した。
振動式ボールミルは、中央加工機製の「MB−50型」で、この振動式ボールミルに、軟磁性粉末と共に大きさが1/5インチのカーボン鋼球を400kg入れ、振動数を1200cpm(回/分)、振幅を8mmとして偏平加工した。このときの加工時間を調整することで、偏平加工後の軟磁性粉末の平均アスペクト比(長径/短径)を、5.1と10.5の2種類とした。尚、比較例の軟磁性粉末は、偏平加工しないもの、偏平加工して平均アスペクト比(長径/短径)を5.1としたもの、偏平加工して平均アスペクト比(長径/短径)を10.5としたものの合計3種類とした。
偏平加工後、粒子径が小さな偏平形状の軟磁性粉末と、偏平加工を施さない粒子径が大きな軟磁性粉末を混合し(比較例は混合する必要はない。)、水素ガス雰囲気中で、950℃で2時間の歪取焼鈍を行った。歪取焼鈍後の軟磁性粉末を、日本粉末治金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA P02−1992)に準拠して目開きが250μmの篩を用いて篩い分けし、篩上に残った粒子径250μm以上の粉末を除去して成形体を圧粉成形する軟磁性粉末を得た。
また、軟磁性粉末の絶縁処理は、水1リットル当たり、リン酸(163g)、MgO(31g以下)、ホウ酸(30g)を含む水溶液を、軟磁性粉末1kgに対して、50ccの割合で混合して、この混合体を大気中200℃で30分間乾燥させることにより行った。
圧粉成形は型潤滑成形で行い、ステアリン酸カルシウムをアルコールに懸濁して成形金型の壁面に塗布した。この成形金型の内部に、前記した軟磁性粉末を充填し、プレス圧をかけて圧粉成形してφ50mm×t50mmの圧粉成形体を得た。尚、成形時の面圧はおおよそ10〜20ton/cmであり、圧粉成形体の密度が7.5g/cmになるようにプレス圧を調整して成形を行った。
次に、この圧粉成形で得られた圧粉成形体を大気中230℃で10分間熱処理、樹脂の硬化を行った。
その後、圧粉成形体からワイヤーカットで、φ36mm×φ24mm×t5mmのリング形状の試料を切り出した。切り出した試料からプレスの加圧方向と直交する方向と、プレスの加圧方向と平行する方向の二方向の磁気特性を測定できるように、図3および図4に示す部位から試料を切り出した。
測定は、理研電子製の直流磁気測定B−Hカーブトレーサ(BHN−50)を用いて、最大励磁磁場500eで測定し、最大透磁率を評価した。尚、試料の1次巻数は200回、2次巻数は20回とした。測定では、作製した試料から、プレスの加圧方向と直交する方向(a)と、プレスの加圧方向と平行する方向(b)の二方向の最大透磁率を測定し、夫々の透磁率、直交方向(a)の透磁率/平行方向(b)の透磁率(以下、透磁率比という。)から、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに用いることができることが可能であるか否かを評価した。得られた測定結果を表1に示す。
Figure 0004909312
まず、比較例から説明する。No.8は、軟磁性粉末の偏平加工を施さなかった比較例、No.9は、軟磁性粉末を偏平加工して平均アスペクト比(長径/短径)を5.1とした比較例、No.10は、軟磁性粉末を偏平加工して平均アスペクト比(長径/短径)を10.5とした比較例である。
軟磁性粉末の偏平加工を施さなかったNo.8の透磁率が評価基準となるが、No.8では、直交方向(a)の透磁率は510、平行方向(b)の透磁率は500であった。透磁率比は、1.020であり、No.8のように、偏平加工を施さなかった軟磁性粉末を用いて試料を作製した場合、直交方向(a)の透磁率と平行方向(b)の透磁率に殆ど差が生じないことが分かる。尚、偏平加工を施さなかった軟磁性粉末を用いて作製した圧粉磁心は、直交方向(a)、平行方向(b)ともに透磁率が低いため、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに採用するには問題がある。
これに対し、軟磁性粉末に偏平加工を施したNo.9,10では、直交方向(a)の透磁率が夫々630、720となっており、偏平加工により直交方向(a)の透磁率が高くなっていることが分かる。一方、平行方向(b)の透磁率は480と460であり、軟磁性粉末の偏平加工を施さなかったNo.8の透磁率よりも低くなっている。また、透磁率比は1.238と1.361である。これは、図2に示すように、プレス圧によって、軟磁性粉末の長軸方向がプレスの加圧方向と直交する方向を向いてしまったためである。このように、透磁率比が大きな軟磁性粉末から作製した圧粉磁心は、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに採用するには問題がある。
次に、本発明の実施例について説明する。No.1,2は、目開き45μmの篩を用いて篩い分けした軟磁性粉末から試料を作製した実施例(請求項4に該当する。)、No.3,4は、目開き63μmの篩を用いて篩い分けした軟磁性粉末から試料を作製した実施例(請求項3に該当する。)、No.5,6は、目開き75μmの篩を用いて篩い分けした軟磁性粉末から試料を作製した実施例(請求項2に該当する。)である。偏平加工した粒子径が小さな軟磁性粉末の平均アスペクト比(長径/短径)は、夫々5.1と10.5の2種類とした。
これらの実施例では、直交方向(a)の透磁率、平行方向(b)の透磁率ともに、600以上であり、両方向ともに、評価基準のNo.8よりも透磁率が高くなっている。また、透磁率比は、1.016〜1.025であって、評価基準のNo.8の1.020と比べて殆ど差異のないことが分かった。以上の試験結果より、No.1〜6の軟磁性粉末から作製した圧粉磁心は、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに好適に用いることができるということが分かった。尚、平均アスペクト比(長径/短径)は、大きくしたほうが直交方向(a)の透磁率が高くなるが、透磁率比もそれに伴い大きくなる傾向がある。
また、No.7は、目開き106μmの篩を用いて篩い分けした軟磁性粉末から試料を作製した実施例である。試料は、偏平加工した粒子径が小さな軟磁性粉末の平均アスペクト比(長径/短径)は、5.1のものだけとしたが、直交方向(a)の透磁率と平行方向(b)の透磁率は、ともに600以上となっており、特に直交方向(a)の透磁率は700と非常に高くなっている。但し、透磁率比は、1.107であり、評価基準のNo.8や他の実施例のNo.1〜6と比べて多少大きくなっている。透磁率比の面で多少劣ってはいるが、その数値は、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに用いるには問題のない数値であり、No.7の軟磁性粉末から作製した圧粉磁心も、3次元的な磁気回路を構成するモータなどに採用することができる。
本発明の実施形態を示すもので、偏平形状の粒子径が小さな軟磁性粉末と、球形に近い形状の粒子径が大きな軟磁性粉末で成る圧粉磁心用軟磁性材を用いて圧粉成形した圧粉磁心の軟磁性粉末の状態を示す要部拡大縦断面図である。 背景技術を示すもので、偏平形状の軟磁性粉末のみを用いて圧粉成形した圧粉磁心の軟磁性粉末の状態を示す要部拡大縦断面図である。 実施例で、プレスの加圧方向と直交する方向の磁気特性を測定するための試料を、圧粉成形体から切り出す位置を例示する説明図である。 実施例で、プレスの加圧方向と平行する方向の磁気特性を測定するための試料を、圧粉成形体から切り出す位置を例示する説明図である。

Claims (5)

  1. 表面に絶縁処理した軟磁性粉末より成る圧粉磁心用軟磁性材であって、
    含有される軟磁性粉末は、篩を用いて篩分けされた、粒子径が小さな軟磁性粉末と粒子径が大きな軟磁性粉末とを含み、粒子径が小さな軟磁性粉末は篩分け後に偏平加工されたものであり、
    粒子径が小さな軟磁性粉末の平均アスペクト比は3.0以上、粒子径が大きな軟磁性粉末の平均アスペクト比は3.0未満であることを特徴とする圧粉磁心用軟磁性材。
  2. 前記軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径は75μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径は75μm以上である請求項1記載の圧粉磁心用軟磁性材。
  3. 前記軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径は63μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径は63μm以上である請求項1記載の圧粉磁心用軟磁性材。
  4. 前記軟磁性粉末のうち、粒子径が小さな軟磁性粉末の粒子径は45μm未満、粒子径が大きな軟磁性粉末の粒子径は45μm以上である請求項1記載の圧粉磁心用軟磁性材。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の圧粉磁心用軟磁性材を圧粉成形して作製されたことを特徴とする圧粉磁心。
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