JP5445801B2 - リアクトル、及び昇圧回路 - Google Patents

リアクトル、及び昇圧回路 Download PDF

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Description

本発明はリアクトル用コアとその製造方法およびリアクトルに関するものである。特に、直流重畳特性に優れたリアクトルに関するものである。
近年、地球環境保護の観点からハイブリッド自動車や電気自動車が実用化されている。ハイブリッド自動車は、エンジン及びモータを駆動源として備え、その一方又は双方を用いて走行する自動車である。このようなハイブリッド自動車等は、モータへの電力供給系統に昇圧回路を備えている。そして、昇圧回路の部品の一つとして、電気エネルギーを磁気エネルギーとして蓄えることができるリアクトルが利用される。
リアクトルは、コイルとコアを有し、コイルの励磁により閉磁路をコアに形成する。このコアとして、圧粉成形体で構成されたものがある。圧粉成形体は、金属磁性粒子を絶縁被膜で覆った複合磁性粒子を加圧成形して構成される。このようなコアを交流(AC)磁場で使用した場合、鉄損と呼ばれるエネルギー損が生じる。この鉄損は、概ね、ヒステリシス損と渦電流損との和で表わされる。このうち、渦電流損を低減する技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1は、複合磁性粉末の円相当径に対する最大径の比を特定することを開示している。
一方、コイルに印加される電流波形は、直流成分に交流成分が加わった波形となっている。そのうち直流成分が増加すると、コイルのインダクタンスは低下し、その結果、インピーダンスが低下して、出力が低下したり電力変換効率が低下してしまう等の問題が発生する。そのため、リアクトルでは、直流成分の増加に伴うインダクタンスの低下量が少ないこと、すなわち直流重畳特性が良いことも求められる。この直流重畳特性を改善する技術として、特許文献2に記載の技術が知られている。特許文献2は、粒径が5〜70μmの異形状の軟質磁性粉末を用いることを開示している。
特開2007-129045号公報 特開2004-319652号公報
しかし、従来のリアクトル用コアでは、渦電流損の低減や直流重畳特性のさらなる改善が求められていた。
通常、圧粉成形体は、数百MPaという高圧で成形されている。そのため、複合磁性粒子同士が圧接されて絶縁被膜が損傷されることがある。絶縁被膜が損傷すれば、金属磁性粒子同士の電気的接続により、成形体の渦電流損が増大することになる。特許文献1の技術では、軟磁性粉末の円相当径に対する最大径の比を特定することで、上記絶縁被膜の損傷を抑制しているが、この比率限定だけでは、なお十分とはいえない。
また、特許文献2では、軟質磁性粉末の粒径を限定しているのみなので、この限定範囲内で粉末の粒径にばらつきが生じる。そのため、このような粉末を成形すると、成形体の内部の均一性が低下するため、直流重畳特性に改善の余地が残る。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、直流重畳特性の改善を実現できるリアクトル用コアとその製造方法およびリアクトルを提供することにある。
本発明のリアクトル用コアは、絶縁被膜で覆った金属磁性粒子を加圧成形してなるリアクトル用コアで、前記金属磁性粒子が次の構成を備えることを特徴とする。
(1)平均粒径が1μm以上70μm以下であること。
(2)粒径の標準偏差(σ)と平均粒径(μ)との比である変動係数Cv(σ/μ)が0.40以下であること。
(3)円形度が0.8以上1.0以下であること。
また、本発明のリアクトル用コアの製造方法は、次の工程を備えることを特徴とする。
(1)平均粒径が1μm以上70μm以下で、粒径の標準偏差(σ)と平均粒径(μ)との比である変動係数Cv(σ/μ)が0.40以下で、円形度が0.8以上1.0以下の金属磁性粒子に絶縁被膜を形成した複合磁性粒子を準備する工程。
(2)この複合磁性粒子を加圧成形してリアクトル用コアの所定形状に成形する工程。
(3)得られた成形体に熱処理を施して、前記加圧成形時に複合磁性粒子に導入された欠陥を軽減する工程。
上記の本発明のリアクトル用コアおよびその製造方法において、円形度は、無作為に抽出した1000個以上の金属磁性粒子について断面を顕微鏡で観察し、各金属磁性粒子の面積および外周長さを算出し、以下の式により求めた値の平均値である。
円形度=4π×金属磁性粒子の面積/金属磁性粒子の外周長さの2乗
これらの構成によれば、圧粉体を構成する複合磁性粒子として、平均粒径が微細な金属粒子を用いることで、絶縁被膜で絶縁される金属磁性粒子の厚みを細分化して、渦電流損を低減することができる。また、変動係数を上記のように限定することで、金属磁性粒子の粒径の分布を均一にできる。そのため、複合磁性粒子を加圧成形した成形体内部の均一性を向上でき、磁化過程において磁壁の移動を容易にすることができる。その結果として、直流重畳特性を向上できる。さらに、金属磁性粒子の円形度を0.80以上とすることによって、複合磁性粒子を加圧成形する時に金属磁性粒子の表面に生じる歪みを低減できるので、直流重畳特性を向上できる。そして、円形度を0.80以上とすれば、より真球に近い形状の金属磁性粒子で成形体が構成されるため、複合磁性粒子の加圧成形時に、これら粉末同士が圧接されて絶縁被膜が損傷することを抑制でき、その結果、渦電流損の低減を実現することができる。なお、円形度1.0とは真球のことである。
本発明のリアクトル用コアにおいて、前記金属磁性粒子の平均粒径は50μm以上70μm以下とすることが好ましい。
このような平均粒径の金属磁性粒子であれば、渦電流損の低減効果が得られると共に、複合磁性粒子の取り扱いが容易になり、より高い密度の成形体とすることができる。
本発明のリアクトル用コアにおいて、前記金属磁性粒子が実質的に鉄からなることが好ましい。
鉄は、透磁率及び磁束密度の点から好ましい材料であり、また鉄合金と比較して安価であり、経済性にも優れる。特に99質量%以上がFeである純鉄が好ましい。
本発明のリアクトル用コアにおいて、前記絶縁被膜は、リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選択された少なくとも一種を含むことが挙げられる。
これらの物質は絶縁性に優れているため、コアに生じる渦電流をより効果的に抑制することができる。
本発明のリアクトル用コアにおいて、前記絶縁被膜の平均厚みを10nm以上1μm以下とすることが挙げられる。
このような絶縁被膜の膜厚限定により、加圧成形時に絶縁被膜がせん断破壊することを防止して、渦電流損を効果的に抑制できる。
一方、本発明のリアクトルは、上記のリアクトル用コアと、このコアに巻線を巻回して形成したコイルとを備えることを特徴とする。
この構成のリアクトルにより、上記リアクトル用コアと同様に、渦電流損の低減と直流重畳特性の改善を図ることができる。
本発明のリアクトル用コアおよびその製造方法によれば、直流重畳特性を改善することができる。
本発明リアクトルの一例を示す部分切欠斜視図である。 直流重畳特性の試験方法の説明図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<リアクトル>
ハイブリッド自動車等の昇圧回路に用いられる代表的なリアクトルRのコアは、図1に示すようなリング状のコアMである。このコアMは、以下のような複数のコア片を組み合わせて構成されている。コアMは、矩形状の端面を有するU字状コア片m一対と、I字状コア片m4つとから成り、各U字状コア片mを互いの端面同士が対向するように配し、各端面間にI字状コア片mを2つずつ並べて、それぞれを接合して構成している。上記コアMは、絶縁被膜を有する金属磁性粒子、つまり複合磁性粒子を加圧成形して得ることができる。
また、上記コアMは、通常、磁気飽和を回避するため、コア片の各接合部にスペーサsを配することにより、閉磁路中にギャップが設けられている。リアクトルのインダクタンスは、主として閉磁路に形成するギャップの合計長(ここではスペーサsの合計厚み)により規定される。各スペーサsにはアルミナといった非磁性材料の板材を高精度に加工して利用している。
そして、このようなコアMの一部に巻線を巻回してコイルCを形成し、このコイルCに電流を流すことでコアMに閉磁路を形成する。巻線は、銅線などにエナメルなどの絶縁被膜を施したものが利用できる。巻線の断面形状には、丸や多角形が挙げられる。
その他、図示しないが、コアの形態をいわゆるポットコアとしてもよい。ポットコアは、例えば、コイルの内側に配される柱状の内側コアと、コイルの外側に配される円筒状の外側コアと、コイルの両端側の各々に配される円盤状の端部コアとを有する。ポットコアとすれば、コイルがコア内に収納された状態のリアクトルとなるため、コイルの励磁に伴なう振動による騒音を効果的に抑制したり、コイルを機械的に保護したりすることができる。さらに、コアを介してのコイルの放熱も効果的に行うことができる。
<コア>
上述したようなコアを構成する複合磁性粒子は、金属磁性粒子の表面に絶縁被膜が形成された粉末である。
(金属磁性粒子)
金属磁性粒子としては、鉄を50質量%以上含有するものが好ましく、例えば、純鉄(Fe)が挙げられる。その他、鉄合金、例えば、鉄(Fe)-シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)-アルミニウム(Al)系合金、鉄(Fe)-窒素(N)系合金、鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)-炭素(C)系合金、鉄(Fe)-ホウ素(B)系合金、鉄(Fe)-コバルト(Co)系合金、鉄(Fe)-リン(P)系合金、鉄(Fe)-ニッケル(Ni)−コバルト(Co)系合金、及び鉄(Fe)-アルミニウム(Al)-シリコン(Si)系合金から選択される1種からなるものが利用できる。特に、透磁率及び磁束密度の点から、99質量%以上がFeである純鉄が好ましい。また、純鉄は、鉄合金と比較して安価であり、経済性にも優れる。
金属磁性粒子の平均粒径は、1μm以上70μm以下とする。金属磁性粒子の平均粒径を1μm以上とすることによって、複合磁性粒子の流動性を落とすことがなく、複合磁性粒子を用いて製作された圧粉磁心の保磁力およびヒステリシス損の増加を抑制できる。逆に、金属磁性粒子の平均粒径を70μm以下とすることによって、1kHz以上の高周波域において発生する渦電流損を効果的に低減できる。より好ましい金属磁性粒子の平均粒径は、50μm以上70μm以下である。この平均粒径の下限が50μm以上であれば、渦電流損の低減効果が得られると共に、複合磁性粒子の取り扱いが容易になり、より高い密度の成形体とすることができる。なお、この平均粒径とは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい粒子からの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
また、金属磁性粒子は、その粒径の標準偏差(σ)と平均粒径(μ)との比である変動係数Cv(σ/μ)が0.40以下であることとする。変動係数Cvを0.40以下とすることによって、金属磁性粒子の粒径の分布を均一にできるので、複合磁性粒子を用いて作製された成形体内部の均一性を向上できる。その結果、コアの磁化過程において磁壁の移動を容易にできるので、直流重畳特性を向上できる。より好ましい変動係数Cvは、0.38以下であり、さらに好ましくは0.36以下である。この変動係数Cvは小さいほど好ましいが、製造の容易性の観点から、下限は0.001以上程度である。
金属磁性粒子の形状は、円形度が0.80以上1以下となるような形状とする。円形度を0.80以上とすることで、複合磁性粒子の加圧成形時に金属磁性粒子の表面に生じる歪みを低減できるので、直流重畳特性を向上できる。また、円形度が0.80以上であれば、先鋭な突起が少なく球形に近い形状であるため、複合磁性粒子の加圧成形時に、この粉末同士が圧接されて絶縁被膜が損傷することを抑制できる。特に、円形度は0.91以上が好ましい。なお、金属磁性粒子の外形が真球状である場合には、金属磁性粒子の円形度は1.0となる。
(絶縁被膜)
絶縁被膜は、金属磁性粒子間の絶縁層として機能する。この金属磁性粒子を絶縁被膜で覆うことによって、金属磁性粒子同士の接触を抑制し、成形体の比透磁率を抑えることができる。また、絶縁被膜の存在により、金属磁性粒子間に渦電流が流れるのを抑制して、成形体の渦電流損を低減させることができる。絶縁被膜は、リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選択された少なくとも一種を含む材質が好適に利用できる。これらの物質は絶縁性に優れているため、金属磁性粒子を流れる渦電流を効果的に抑制できる。具体例としては、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、酸化シリコンや酸化ジルコニウムなどが挙げられる。また、絶縁被膜には、金属酸化物、金属窒化物、または金属炭化物や、リン酸金属塩化合物、ホウ酸金属塩化合物、または珪酸金属塩化合物などの絶縁性物質が利用できる。ここでの金属には、Fe、Al、Ca、Mn、Zn、Mg、V、Cr、Y、Ba、Sr、希土類元素などから選択された少なくとも一種が利用できる。このような材質からなる絶縁被膜は、単層でもよいし複数層でもよい。
絶縁被膜の厚みは、10nm以上1μm以下であることが好ましい。絶縁被膜の厚みを10nm以上とすることによって、金属磁性粒子同士の接触の抑制や渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。また、絶縁被膜の厚みを1μm以下とすることによって、複合磁性粒子に占める絶縁被膜の割合が大きくなりすぎない。このため、この複合磁性粒子の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
上記絶縁被膜の厚さは、組成分析(TEM-EDX:transmission electron microscope energy dispersive X-ray spectroscopy)によって得られる膜組成と、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS:inductively coupled plasma-mass spectrometry)によって得られる元素量とを鑑みて相当厚さを導出し、更に、TEM写真により直接、被膜を観察し、先に導出された相当厚さのオーダーが適正な値であることを確認して決定される平均的な厚さとする。
<コアの製造方法>
(準備工程)
まず、準備工程では、上述した平均粒径、変動係数、円形度の金属磁性粒子を用意する。金属磁性粒子の変動係数を変えるには、金属磁性粒子をふるいにかけて分級するなどして、その粒径のばらつきを小さくする。また、円形度が0.8以上の金属磁性粒子を得るには、アトマイズ法にて金属磁性粒子を作製する場合、噴霧した金属が凝固する際の冷却速度を遅くしたりすることが挙げられる。アトマイズ法には、ガスアトマイズ法で生成された粉末や、水アトマイズ法で生成された粉末がある。このうち、前者がほぼ球状の粒子であり、後者は表面に凹凸が形成された非球状の粒子である。ただし、この水アトマイズ法で生成された金属磁性粒子であっても、ボールミルなどで粉砕して球状に形成することで0.8以上の円形度を得ることができる。
上述した所定の金属磁性粒子には、絶縁被膜の形成前に、700℃以上1400℃未満の温度で予備熱処理することが好ましい。金属磁性粒子には、アトマイズ処理時の熱応力などに起因する歪みや結晶粒界などの多数の欠陥が存在している。そのため、上記の予備熱処理を実施することによって、これらの欠陥を低減させることができる。この予備熱処理は省略されてもよい。
得られた金属磁性粒子には、絶縁被膜を施す。絶縁被膜の形成手法の代表例としては、リン酸塩化成処理が挙げられる。その他に溶剤吹きつけや前駆体を用いたゾルゲル処理を利用することもできる。また、有機溶剤を用いた湿式被覆処理や、ミキサーによる直接被覆処理などを利用して、シリコン系有機化合物の絶縁被膜を形成してもよい。その他、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、または高級脂肪酸塩なども絶縁被膜として利用できる。
市販の複合磁性粒子で金属磁性粒子が上記の平均粒径、変動係数、円形度を満たすものがあれば、その市販品が利用できることはいうまでもない。
(成形工程)
コアを製造するには、上記複合磁性粒子を所望の形状に成形する。成形は、所望の金型に複合磁性粒子を充填し、パンチで押圧することで行う。押圧時の圧力は、390MPa以上1500MPa以下が好ましい。390MPa未満では、圧縮度合いが少ないため、コアの密度が小さくなり易く、1500MPa超では、粉末同士の接触により、絶縁被膜が損傷することがある。より好ましくは、700MPa以上1300MPa以下である。成形時の雰囲気は、複合磁性粒子が大気中の酸素により酸化されることを防止するために、Arなどの不活性ガス雰囲気や減圧雰囲気が好ましい。
この成形時、適宜潤滑剤を適用することが好ましい。潤滑剤は、複合磁性粒子の流動性をよくして高密度の成形体を得ることや、複合磁性粒子同士の強い擦れ合いを回避して、絶縁被膜の損傷を抑制すること、ひいては渦電流損を抑制することに寄与する。潤滑剤の具体例としては、金属石鹸および六方晶系の結晶構造を有する無機潤滑剤の少なくとも一方が挙げられる。
潤滑剤の添加量は、複合磁性粒子に対して、0.001質量%以上0.2質量%以下が好適である。この添加量を0.001質量%以上とすることによって、金属石鹸および六方晶系の結晶構造を有する無機潤滑剤の高い潤滑性から、複合磁性粒子の流動性を向上できるので、金型に充填したときの複合磁性粒子の充填性を向上できる。その結果、得られる成形体の密度を向上できるので、直流重畳特性を向上できる。また、上記添加量を0.2質量%以下とすることによって、成形体の密度の低下を抑制できるので、直流重畳特性の劣化を防止できる。
潤滑剤の平均粒径は2.0μm以下であることが好ましい。2.0μm以下とすることによって、複合磁性粒子を加圧成形する時の絶縁被膜の損傷をより低減できるので、鉄損をより低減することができる。この平均粒径は、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい方からの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
そして、上記の潤滑剤と共に、複合磁性粒子を混合して混合材料とする。この混合法には特に制限がなく、振動ボールミル、遊星ボールミルなどが好適に利用できる。もちろん、必要に応じて、樹脂や他の添加剤を混合してもよい。
(熱処理工程)
得られた成形体に熱処理を施し、成形により複合磁性粒子に導入された歪みなどの欠陥を除去して、ヒステリシス損の向上を図る。熱処理の温度は、高いほどヒステリシス損の低減が行えるため好ましいが、絶縁被膜材料の熱分解温度に応じて、その熱分解温度未満の適切な値を選択する。通常、絶縁被膜がリン酸鉄やリン酸亜鉛などの非晶質リン酸塩被膜の場合、熱処理温度はせいぜい500℃程度までである。一方、金属酸化物などからなる耐熱性の高い絶縁被膜の場合、熱処理温度は550℃以上、特に600℃以上、更に650℃以上が好ましい。保持時間は、30分以上60分以下が挙げられる。加熱温度や保持時間は、絶縁被膜の種類によって変更してもよい。
<インシュレータ>
その他、本発明リアクトル用コアとコイルとの間には、インシュレータを介在させてもよい。このインシュレータを用いることで、仮にコイルを形成する巻線の絶縁被膜が損傷しても、コイルとコアとの絶縁を確保することができる。このインシュレータは、予め樹脂を射出成形するなどして構成することができる。
(コアの作製)
金属磁性粒子の準備→絶縁被膜の形成→複合磁性粒子と添加剤の混合→混合材料の成形→成形品の熱処理からなる工程によりリアクトル用コアの試料を作製した。
まず、各試料における金属磁性粒子として、鉄粉を水アトマイズ法により鉄が99.6質量%以上含有され、残部が0.3質量%以下のOおよび0.1重量%以下のC、N、P、またはMnなどの不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した。この金属磁性粒子は、ふるいによる分級により、粒径のばらつきが異なる複数種を用意した。各試料の金属磁性粒子の平均粒径、変動係数Cvおよび円形度Sfは、それぞれ表1に記載の通りであった。
金属磁性粒子の平均粒径および変動係数Cvは、レーザ散乱回折粒度分布測定法を用いて対象粉末の粒度分布を測定することにより算出した。円形度Sfは、次のようにして求めた。まず、多数の金属磁性粒子を樹脂で固め、その固化物を研磨して断面を形成する。次に、この断面を光学顕微鏡で観察して、無作為に抽出した1000個以上の金属磁性粒子を含む観察画像を取得する。そして、この観察画像を画像処理して金属磁性粒子の断面形状を特定し、各金属磁性粒子の面積および外周長さを算出して、以下の式により求めた値の平均値とした。
円形度=4π×金属磁性粒子の面積/金属磁性粒子の外周長さの2乗
次に、各金属磁性粒子にリン酸塩化成処理を実施して、リン酸鉄からなる絶縁被膜を形成して複合磁性粒子とした。この絶縁被膜の平均厚みは、50nmであった。
次に、試料No.1〜3では複合磁性粒子に金属石鹸として、平均粒径が1μmのステアリン酸亜鉛をそれぞれ0.1質量%添加した。また、試料No.4は潤滑剤を用いずに成形した。さらに、各試料No.1〜4には、0.3質量%のメチル系シリコーン樹脂も添加した。そして、これら複合磁性粒子と添加剤を混合し、実施例となる試料No.1〜4の混合材料を得た。
次に、この混合材料を金型に充填し、1000MPaの圧力を印加して、成形体を作製した。続いて、得られた成形体を窒素気流雰囲気において、500℃で1時間熱処理してリアクトル用コアとした。このうち、成形前の円形度が0.92の試料No.2について、成形後の円形度も断面を顕微鏡観察して調べたところ0.85であった。
一方、比較例として、試料No.2と同様に製造したが、変動係数Cv、円形度Sf、および平均粒径(μ)を下記の表1に記載のようにそれぞれ変更した試料No.11〜14も作製した。
(評価方法)
得られた各試料のコアについて、直流重畳特性および渦電流損をそれぞれ測定した。
具体的には、直流重畳特性については、図2に示すように各試料からなるコアMとスペーサsを組み、コアMの周囲にコイルCを形成して、直流重畳試験機を用いて測定した。ここでは、印加電流が0Aの時のインダクタンスL0Aに対する同電流8AのインダクタンスL8Aの比(L8A/L0A)(単位:なし)により直流重畳特性を評価した。この比が大きいほどインダクタンスの低下量が少なく、直流重畳特性に優れることを示す。
また、外径34mm、内径20mm、厚み5mmのリング状の各試料(熱処理済)に、一次300巻、二次20巻の巻き線を施し、磁気特性測定用試料とした。これらの試料について、AC‐BHカーブトレーサを用いて50Hz〜10000Hzの範囲で周波数を変化させて、励起磁束密度1kG(=0.1T(テスラ))における鉄損を測定した。そして、鉄損から渦電流損を算出した。その結果も表1に示す。渦電流損の算出は、鉄損の周波数曲線を次の2つの式で最小2乗法によりフィッティングすることで行なった。
(鉄損)=(ヒステリシス損係数)×(周波数)+(渦電流損係数)×(周波数)2
(渦電流損)=(渦電流損係数)×(周波数)2
その他、試料No.2とNo.4については、得られた成形体の密度と抵抗率も調べた。
Figure 0005445801
(評価結果)
表1に示すように、試料No.2、No.3、No.11の対比から、金属磁性粒子の平均粒径が50〜70μmの試料は、渦電流損が小さくなっていることがわかる。また、試料No.3とNo.13の対比から、変動係数Cvの小さい試料ではインダクタンスの低下量が小さく、直流重畳特性に優れていることが分かる。さらに、試料No.3とNo.14の対比から、円形度Sfが大きいほど直流重畳特性と渦電流損失を抑制できることがわかる。そして、試料No.2は成形体の密度と抵抗率がそれぞれ7.55g/cm3、1.6×105μΩmであったのに対し、No.4の成形体の密度と抵抗率はそれぞれ7.50g/cm3、0.8×105μΩmであり、潤滑剤を適用した方がより高密度で渦電流損の小さい成形体が得られることがわかった。
以上説明したように、金属磁性粒子の平均粒径が50〜70μm、変動係数Cvが0.40以下、円形度Sfが0.8以上であれば、渦電流損を低減できると共に、直流重畳特性を向上できることが確認できた。
なお、本発明はその要旨を逸脱することなく適宜変更することが可能であり、上記の実施例に限定されるものではない。
本発明リアクトル用コア、リアクトルは、ハイブリッド自動車等の昇圧回路用や発電・変電設備用のリアクトルの構成材料として好適に利用することができる。
R リアクトル M コア C コイル
m U字状コア片 m I字状コア片 s スペーサ

Claims (2)

  1. コアと、前記コアに巻線を巻回して形成したコイルとを備えるリアクトルであって、
    前記コアは、絶縁被膜で覆った金属磁性粒子を加圧成形してなり、
    前記金属磁性粒子は、
    99質量%以上がFeである純鉄からなり、
    平均粒径が50μm以上70μm以下であり
    粒径の標準偏差(σ)と平均粒径(μ)との比である変動係数Cv(σ/μ)が0.40以下であり
    円形度が0.8以上1.0以下であり、
    前記絶縁被膜は、
    リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選択された少なくとも一種を含み、
    前記絶縁被膜の平均厚みは10nm以上1μm以下であり、
    印加電流が0Aの時のインダクタンスL 0A に対する印加電流が8Aの時のインダクタンスL 8A の比(L 8A /L 0A )が0.77以上であるリアクトル
    ただし、円形度は、無作為に抽出した1000個以上の金属磁性粒子について断面を顕微鏡で観察し、各金属磁性粒子の面積および外周長さを算出し、以下の式により求めた値の平均値である。
    円形度=4π×金属磁性粒子の面積/金属磁性粒子の外周長さの2乗
  2. 請求項1に記載のリアクトルを備える昇圧回路
JP2012156426A 2012-07-12 2012-07-12 リアクトル、及び昇圧回路 Expired - Fee Related JP5445801B2 (ja)

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