JP7456239B2 - インダクタ - Google Patents
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Description
素体と、前記素体の外面に配置された一対の外部電極とを備え、
素体は、
磁性粉及び樹脂から形成され、ベース部及びベース部の上面に形成された柱状部を有する磁性部と、
柱状部の周囲に巻回された導線から構成され、下面がベース部の上面に面する巻回部、及び巻回部の両端部から引き出された導線から構成され、それぞれ外部電極に接続される一対の引き出し部を有するコイルと、
磁性粉及び樹脂から形成され、少なくとも巻回部の外周面及び上面を覆う磁性外装部と、
を備え、
柱状部の上面積がベース部の底面積の80%以上であり、
磁性外装部を形成する磁性粉は、第1の磁性粉と、第1の磁性粉の平均粒径よりも小さい平均粒径、及び第1の磁性粉の硬度よりも低い硬度を有する第2の磁性粉とを有する。
はじめに、図1から図4を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るインダクタの説明を行う。図1は、本発明の第1の実施形態に係るインダクタを模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すインダクタを上方から見た平面図である。図3は、図1の断面を模式的に示す平面断面図である。図4は、図2における断面A-Aを模式的に示す側面断面図である。
図1では、実際には外部電極で隠れて外から見えない、外部電極と接続されるコイル20の引き出し部24Aの一部を点線で示している。図2では、素体に埋設されたコイル20を点線で示している。図1~4、7、8では、インダクタ2が、実装面を下にして水平面上に置かれた場合を示している。下記では、図示されたその状態に合わせて、上下を記載している。
素体4は、(1)磁性粉及び樹脂から形成され、ベース部12及びベース部の上側に形成された柱状部14を有する磁性部10、
(2)柱状部14の周囲に巻回された導線Pから構成され、下面22cがベース部12の上面12aに面する巻回部22、及び巻回部22の両端部P1、P2から引き出された導線Pから構成され、外部電極6A、6Bにそれぞれ接続される一対の引き出し部24A、24Bを有するコイル20、及び
(3)磁性粉及び樹脂から形成され、少なくとも巻回部22の外周面22b及び上面22aを覆う磁性外装部30
を備える。
本実施形態に係る素体4は、外観形状が略直方体である。素体4は、下面4aと、下面4aに対向する上面4bと、短手方向に延在する側面4c、4dと、長手方向に延在する側面4e、4fとを有する。素体4の寸法として、長手方向の長さが約1~12mmであり、短手方向の長さが約1~12mmであり、高さ方向の長さが約0.5~8mmを例示することができるが、これに限られるものではない。
磁性部10は、略直方体のベース部12と、横断面が楕円状の柱状部14を備える。ベース部12の上面12aには、上面12aの中心において略垂直に延在する中心軸に沿って、柱状部14が配置されている。この中心軸は、インダクタ2の上下方向の中心軸Cと略一致する。柱状部14の中心軸に沿った長さ(柱状部14の高さ)は、例えば、約0.5~4.5mmである。磁性部10を構成するベース部12及び柱状部14は、例えば、一体成形により形成することができる。ベース部6の長手方向の長さは、例えば、約1~12mmであり、短手方向の長さは、例えば、約1~12mmである。
本実施形態では、コイル20を形成する導線Pは、導体の表面に絶縁性を有する被覆層と、被覆層の表面に融着層を有する導線であって、互いに対向する一対の幅広面を有し、断面が矩形形状の導線(所謂、平角線)である。
導線を構成する導体は、例えば銅等で形成される。被覆層は、ポリアミドイミド等の絶縁性樹脂で形成される。融着層は、巻回部22を構成する導線同士を固定できる様に、自己融着成分を含む熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂等で形成される。
平角線を用いることにより、巻回部22の径方向の寸法を抑制しながら、導線の断面積を大きくすることができる。これにより、コイル20の直流抵抗Rdcを低減させることができる。ただし、適用する導線が平角線に限られるものではなく、例えば、円形断面を有する線材を用いることもできるし、線材を扁平に潰して用いることもできる。
磁性外装部30も、磁性粉及び樹脂を含有する。磁性外装部30は、磁性部10の柱状部14の周囲に巻回された巻回部22の外面、及び磁性部10の巻回部22と面していない領域を覆うように形成されている。更に詳細に述べれば、磁性外装部30により、少なくとも、巻回部22の外周面22b及び上面22a、柱状部14の上面14a、並びにベース部12の上面12aの巻回部22と面していない領域が覆われている。これにより、素体4の略直方体の外観形状が得られる。
一対の外部電極6A、6Bは、素体4の表面に形成され、互いに離隔して配置されている。本実施形態では、一方の外部電極6Aは、素体4の短手方向の側面4cとそれに隣接する4つの面4a、4e、4b、4fの一部とを覆っており、素体4から露出した引き出し部24Aの先端24Aaの幅広面と電気的に接続されている。また、他方の外部電極6Bは、素体4の側面4dとそれに隣接する4つの面4a、4e、4b、4fの一部とを覆っており、素体4から露出した引き出し部24Bの先端24Baの平面部と電気的に接続されている。
本実施形態に係る磁性部10では、柱状部14の上面積がベース部12の底面積の80%以上となっている。図3において、斜線でハッチングされた部分の面積が柱状部14の上面積に該当し、側面4c、4e、4d及び4fで示す4辺で囲まれた長方形の面積がベース部12の底面積に該当する。柱状部14の上面積が、ベース部12の底面積に比べて相対的に大きく取られている。これにより、インダクタ2を小型化した場合であっても、巻回部22の巻軸となる磁性部の柱状部14によって巻回部22の巻軸の径を大きくできるので、巻回部の巻軸における、磁束飽和を従来のものよりも遅らせることができ、従来のものよりも飽和磁束密度を大きくすることができる。従って、従来のものよりも大きな電流を加えても巻回部の巻軸における磁気飽和を低減でき、直流重畳定格電流Isatを大きくすることができる。
更に、上記のように平角線を用いることにより、巻回部22の径方向の寸法を抑制しながら、大きな導線の断面積を得ることができる。特に、図4に示すように、平角線の幅Wに対する厚みTの比が20%以上であることが好ましい。これにより、コイル20の直流抵抗Rdcを効果的に低減することができる。 なお、導線Pの断面積の増大、及び巻回部22の径方向の寸法の抑制のバランスを考慮すると、平角線の幅Wに対する厚みTの比が20%以上30%以下の範囲にあることが好ましい。
なお、ベース部12の強度等も考慮すると、柱状部14の高さH1が磁性部10の全高H2の70%以上80%以下の範囲にあり、柱状部14の体積が磁性部10の全体積の90%以上95%以下の範囲にあるのが好ましい。
これに対処するため、本実施形態に係る磁性外装部30では、磁性粉が、第1の磁性粉と、第1の磁性粉の平均粒径よりも小さい平均粒径、及び第1の磁性粉の硬度よりも低い硬度を有する第2の磁性粉とを有している。これにより、平均粒径の大きい第1の磁性粉の間に平均粒径の小さい第2の磁性粉を効果的に充填することができる。特に、第2の磁性粉が、第1の磁性粉の硬度よりも低い硬度を有するので、第1の磁性粉の間の空間に第2の磁性粉がより充填され易くなる。
更に、本実施形態では、第1の磁性粉及び第2の磁性粉の粒度分布の標準偏差が小さくなっている。このことを、図5A、図5B、図6A及び図6Bを参照しながら説明する。図5Aは、一般的な磁性粉の体積基準の累積分布を説明するためのグラフである。図5Bは、一般的な磁性粉の平均値±標準偏差の範囲を説明するためのグラフである。図6Aは、磁性外装部における磁性粉の充填の状態を模式的に示す図であって、粒度分布の標準偏差が大きい従来の場合を示す図である。図6Bは、磁性外装部における磁性粉の充填の状態を模式的に示す図であって、粒度分布の標準偏差が小さい本実施形態の場合を示す図である。
これにより、標準偏差SDは、
SD=(D84-D16)/2
で表すことができる。標準偏差SDの値が小さいほど、シャープな分布となる。
本実施形態では、第1の磁性粉S1に平均粒径D50が20~40μm、粒度分布の標準偏差が10μm以下のFe-Si-Cr系金属磁性粉が用いられ、第2の磁性粉S2に平均粒径D50が1μm以下、粒度分布の標準偏差が0.1~0.5μmの鉄粉が用いられる。つまり、第1の磁性粉S1及び第2の磁性粉S2の平均粒径に十分な差があり、第1の磁性粉S1及び第2の磁性粉R2の粒径が揃ったシャープな標準偏差を有する。第1の磁性粉と第2の磁性粉の比率は、第1の磁性粉と第2の磁性粉の合計体積に占める第1の磁性粉の体積が70%以上90%未満となる様に設定される。
第1の磁性粉の平均粒径D50を20μmよりも小さく、第1の磁性粉の粒度分布の標準偏差を10μmよりも大きくし、第2の磁性粉の平均粒径D50が1μmよりも大きく、第2の磁性粉の粒度分布の標準偏差を0.5μmよりも大きくしたところ、外装部材の厚みが薄い領域において、従来と同様に、樹脂量が多くなって、磁性粉の密度が低下した。
第1の磁性粉の平均粒径D50を40μmより大きく、第1の磁性粉の粒度分布の標準偏差を10μmより小さくし、第2の磁性粉の平均粒径D50を1μmより小さく、第2の磁性粉の粒度分布の標準偏差を0.1μmよりも小さくしたところ、やはり、外装部材の厚みが薄い領域において、従来と同様に、樹脂量が多くなって、磁性粉の密度が低下した。
従って、第1の磁性粉の平均粒径D50を20~40μm、第1の磁性粉の粒度分布の標準偏差が10μm以下とし、第2の磁性粉の平均粒径D50が1μm以下、第2の磁性粉の粒度分布の標準偏差が0.1~0.5μmとすることにより、第1の磁性粉の平均粒径と第2の磁性粉の平均粒径を適切に離間させ、第1の磁性粉の大きさのばらつき及び第2の磁性粉の大きさのばらつきを小さくすることができる。第1の磁性粉の平均粒径と第2の磁性粉の平均粒径を適切に離間させ、第1の磁性粉の大きさのばらつき及び第2の磁性粉の大きさのばらつきを小さくすることにより、磁性外装部30の厚みが薄い領域における、第1の磁性粉と第2の磁性粉の配置の偏りを小さくできる。さらに、第2の磁性粉の硬度が第1の磁性粉の硬度よりも低いため、第2の磁性粉を第1の磁性粉間の隙間の形状に合わせて変形させることができ、磁性粉間の距離をより小さくできる。従って、インダクタ2の大きさを大きくすることなく、巻回部22の巻軸の径を大きくし、断面積が大きな導線Pを用いることにより、磁性外装部30の厚みが薄くなった場合においても、磁性外装部30の厚みが薄い領域に磁性粉の密度を従来のものよりも高くすることができ、透磁率を高くすることができる。
次に、図7及び図8を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係るインダクタの説明を行う。図7は、本発明の第2の実施形態に係るインダクタを模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示すインダクタを上方から見た平面図である。
図7では、素体4に埋設され、外部電極と接続されるコイル部の引き出し部24A’,24B’の一部を点線で示している。図8では、素体4に埋設されたコイル20を点線で示している。
その他の点については、上記の第1の実施形態と同様なので、更なる説明は省略する。なお、上記の第1、第2の実施形態に係るインダクタは、あくまで一例であり、磁性粉及び樹脂を含有する磁性部及びコイルを有するものであれば、その他の任意の構造のインダクタを採用することができる。
4 素体
4a 下面
4b 上面
4c~4f 側面
6A、6B、6A’、6B’ 外部電極
10 磁性部
12 ベース部
12a 上面
14 柱状部
14a 上面
14b 側面
20 コイル部
22 巻回部
22a 上面
22b 外周面
22c 下面
24A、24B、24A’、24B’ 引き出し部
24Aa、24Ba 先端
26 樹脂
30 磁性外装部
P 導線
Q1 大きい磁性粉
Q2 小さい磁性粉
R 樹脂
S1 第1の磁性粉
S2 第2の磁性粉
Claims (2)
- 素体と、前記素体の外面に配置された一対の外部電極とを備え、
前記素体は、
磁性粉及び樹脂から形成され、ベース部及び前記ベース部の上面に形成された柱状部を有する磁性部と、
前記柱状部の周囲に巻回された導線から構成され、下面が前記ベース部の上面に面する巻回部、及び前記巻回部の両端部から引き出された前記導線から構成され、それぞれ前記外部電極に接続される一対の引き出し部を有するコイルと、
磁性粉及び樹脂から形成され、少なくとも前記巻回部の外周面及び上面を覆う磁性外装部と、
を備え、
前記磁性部は、前記柱状部の上面積が前記ベース部の底面積の80%以上90%以下、前記柱状部の高さが前記磁性部の全高の70%以上80%以下、前記柱状部の体積が前記磁性部の全体積の90%以上95%以下であり、
前記コイルは、互いに対向する一対の平面部を有し、幅に対する厚みの比が20%以上30%以下の前記導線を前記柱状部の周囲に巻回して、1本の前記導線が最内周で繋がった上段及び下段に巻回された前記巻回部が形成され、前記引き出し部が、前記巻回部の最外周から引き出され、
前記磁性外装部を形成する磁性粉は、平均粒径が20~40μm、粒度分布の標準偏差が10μm以下のFeとSiを含有する金属磁性粉で構成される第1の磁性粉と、平均粒径が1μm以下、粒度分布の標準偏差が0.1~0.5μmで、前記第1の磁性粉の硬度よりも低い硬度を有する鉄粉で構成される第2の磁性粉とを有し、前記磁性外装部の前記巻回部の外周面と素体の長手方向に延在する側面間の樹脂量が前記磁性部の樹脂量と同等であることを特徴とするインダクタ。 - 少なくとも前記巻回部の表面全体が5~10μmの厚みの樹脂により被覆されることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
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